「リスクオン」で円高の謎…海外ヘッジファンドの思考が逆転?

外国為替市場で円高・ドル安の動きが止まりません。この記事を書いている4月7日の夕方時点では、ドル円は一時1ドル=108円に接近し、あわや107円台突入かというような動きを見せています。 さて、年初から続く円高進行の裏側で、ここ数年の市場を知っている人なら「?」と思うような動きが相次いでいます。 4月6日の米国株式市場は堅調で、米S&P500種指数は上昇し、4月1日につけた今年の高値に接近しました。米国株は2月中旬以降、上昇基調を続けています。そして翌4月7日の日経平均株価も8日ぶりに上昇しました。 株式市場に安堵感が広がるかと言えばそうではありません。ドル円相場は108円台まで円高が進んだからです。 米国株が上がっても円高が進む。まるで「リスクオン」(リスク選好)で円高という流れにも見えます。これまで、リスク回避時に買われる通貨だった円が、リスク選好時にも買われている。いったい何が起こっているのでしょうか。 利上げ→円安は通用しない 第一生命経済研究所の藤代宏一・主任エコノミストは、4月5日に『「利上げ→円安」は通用しない』というタイトルのレポートを発行しました。日米の金利差とドル円相場との連動性が薄れているという話です。 通常、米国の景気が改善に向かうと、利上げの期待が高まり、米国の金利は上昇します。日本の金利はゼロ近辺のため、日米の金利差が拡大。お金は金利の高いところへ向かうのがセオリーのため、日米金利差の拡大はドル買い・円売りの材料とされます。 ですが、下記のグラフ(赤線がドル円相場、青線が日米金利差、QUICKデータで集計)を見る限り、米国が利上げに踏み切った昨年12月ごろから、逆に動くようになっています。 藤代氏はレポートの中で、米国の「初回利上げの混乱を経験して市場参加者は、利上げとその後のリスクオフを同時に織り込むようになったので、米利上げ観測が高まってもキャリートレードを膨らませなくなったと判断される。世界経済がFED(米連邦準備理事会)の利上げを上手く乗り切れるかについて、投資家が自信を持っていないということだろう。FEDの6月利上げが単純に円安に繋がるとは限らない」とコメントしています。(キャリートレードとは日本円などの金利の低い通貨を調達し、高金利通貨で運用する手法です) 要するに、次の利上げが実施された場合、世界経済の動揺につながり、米景気が腰折れしかねない、という心配があるということです。実際、市場は初回利上げ前に緩和マネーの引き上げを警戒したため、原油相場が急激に下落しました。次の米国の利上げが見えているからといって、簡単に円売り・ドル買いの動きが高まらないわけです。 「円高」は投機筋のリスク選好の象徴? もちろん、米国は経済に配慮し、利上げのペースを緩やかにすると声明を出しました。 2月以降の米国株上昇も、緩和マネーの急激な引き締めが無いとみた安心感が背景にあります。つまり市場は、以前よりも「リスクオン」の雰囲気をまとっています。 ではなぜ、円高が進むのでしょうか。本日、日本経済新聞電子版で、以下のような分析が掲載されていました。 米国では利上げが緩やかになるという観測が幅を利かせており、米国債利回りは低位安定が続いている。半面、金利先高観の後退は米株価の支援要因になり、ファンドも恩恵を受ける。お金に余裕ができた分を円買い戦略に振り向けられる。かつて投資家のリスク回避姿勢の映し絵とされてきた円高進行が足元に限れば、リスク選好の象徴のような動きをしているわけだ。 (出所:円108円台に急接近、けん制球かわし一段高)   リスクオンによる米国株高で資金的余裕が増え、円買い戦略を取りやすくなっているという見方です。確かに、マイナス金利政策発表後に円安が進まず、国際協調の面で円売り介入も仕掛けにくいという背景があるため、ヘッジファンドにとっては円買いはチャンスのある投資戦略となっています。 このサイトのFXポジションを見ると、年明けから海外の投機筋は円買い一辺倒であることが一目でわかります。 投機筋がどういう戦略で、どの市場に向かっているのか。FXのようなリスクの高い金融商品で運用する際は、常に考えておく必要がありそうです。

インドネシア中銀、今年3度目の利下げ 年内6.5%までの低下を予想

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのリズキ・ファジャル(Rizki Fajar)氏がレポートします。(※本記事は2016年3月25日にQUICK端末で配信された記事です) インドネシア、追加利下げで民間投資誘引 インドネシア中央銀行(BI)の理事会は17日の会合で、政策金利(BIレート)を0.25%引き下げて6.75%にすると決定した。同様に貸出ファシリティー金利と翌日物預金ファシリティー金利(FASBI)もそれぞれ7.25%と4.75%に引き下げる。インドネシアのマクロ経済の安定に加え、米FRBの追加利上げが年内にほとんど見込めないことが利下げの背景だ。中銀は「マクロ経済と金融システムの安定を維持しつつ経済成長を支える」とを強調。目先の焦点として、金融調節の一貫性ある運用体制づくりをあげた。   一方で、中銀は、インフラプロジェクト開発の加速などの財政刺激策に支えられ、今年の経済成長が5.2~5.6%に上向くことを期待。さらに、最近の政府の規制緩和とそれに続く中銀の金融緩和を受け、今年後半には民間投資が回復すると見込んでいる。 外的リスクへの対処に尽力 世界経済の展望については、2016年と2017年の世界成長予測が以前よりも引き下げられていることから、中銀は外的リスクに対して引き続き警戒していくとしている。日本、欧州の不況と低インフレにより、欧州中央銀行(ECB)と日本銀行はそれぞれ、流動性供給やマイナス金利政策を通じた追加緩和を強いられたと中銀は認識している。加えて長期に及ぶ中国の経済減速により、中国人民銀行(中央銀行)は低迷する自国経済を刺激するために預金準備率を引き下げた。  中銀は、今後もマクロ経済の安定と持続可能な成長を維持するため、インドネシア経済のファンダメンタルを踏まえ、為替相場の安定を維持する努力を強めていくと述べた。 さらに25bpの利下げを予想 インドネシアの金融システムは、弾力的な銀行制度と比較的健全な金融市場に支えられ、安定を維持している。2016年1月の各行の自己資本比率(CAR)は下限値の8%を大きく上回り、21.5%の高さを維持した。同時に不良債権比率(NPL)は依然低く、債権全体比でグロス値が2.7%、ネット値が1.4%と比較的安定している。これに対し、1月の貸付成長率は前年同月比9.6%と前月の10.4%から低下したが、同月の預金残高は前年同月比6.8%の伸びを記録した。  さらにRHB証券では、燃料価格の下落と軟調な国内需要が原因で、2016年はインフレが低水準で推移するとみている。2016年の経常赤字は対処可能な水準にとどまりそうだ。また、大量の外資流入と国内市場での外貨需要の低下が続き、ルピア高を促すと見込まれる。これらは中銀に対して、金融政策をいっそう緩和させる余地を与えるだろう。しかし中銀は今後の金融緩和の決定には慎重な姿勢を維持し、次の動きを決定する前に世界経済の成長を考慮するだろう。この点に関して、われわれは2016年中に政策金利がさらに0.25%引き下げられ、6.5%になると予想する。【翻訳・編集:NNA】

円高に押される日本株…為替の影響が限定的な株の見つけ方は?

日経平均株価は一時1万6000円割れ 4月の日本株は大幅下落で始まりました。市場で期待されていた機関投資家の年度初の買いが、予想していたほどの規模ではなかったことから、手じまい売りがかさんだと言われています。さらに追い打ちのように円高・ドル安が1ドル=110円台まで進んだことから、4月5日時点で、日経平均株価も再び1万6000円を割り込む展開となっています。 今後についても、日銀による金融政策の現状維持などが続けば、円高が進むものと考えられます。円高にともなった企業の業績悪化を懸念する投資家心理が働き、輸出をともなう自動車業や精密機器を中心に株が売られるという流れが続きそうです。 株価下落の一因は為替…為替に左右されない株に注目 このような状況下の中で注目しておきたい株が、為替に左右されにくい株です。今回の円高の影響により、全体的な株価は下がったものの、特に自動車や精密機器などの輸出が絡む企業の株価は売りの姿勢が強く出ました。 このような業種の株価・業績は為替の動向との影響が強いため「為替感応度が高い」と言えます。一方「為替感応度の低い」業種は、もちろん株式相場の全体的な下げに多少は影響される可能性があるものの、下落は限定的と言えそうです。 さらに、すでに株価指数が下落している業種については特に影響は限定的でしょう。3月の時点で株価指数が低く、為替に影響されにくい業種と言えば、電気・ガス業や陸運業です。乗り換えなども検討しながら、注目しておきたいところです。 為替感応度を簡単チェック QUICK Money Worldでは各銘柄ごとの為替感応度を簡単に把握できます。 たとえば国内で時価総額が最大のトヨタ(7203)の個別画面を見てください。QUICKスコアに「為替」という項目があることが確認できると思います。     このスコアは、為替感応度を表しており、スコア値が高いほど為替に対する感応度が高く、低いほど為替に対する感応度が低いことを意味します。株価の対ドル円レート感応度(36ヶ月)と海外売上高比率を参照して算出しています。 トヨタは日本最大の輸出企業だけあって、為替スコアが10と最大で、輸送用機器業種の平均よりも高い値をつけています。 一方、為替感応度がそれほど高くないとされるのが電気・ガス業や陸運業です。国内向けの事業が中心だからです。東京ガス(9531)のスコアを見ると、為替スコアは4と低め。宅配便最大手のヤマトホールディングス(9064)も3となっています。       為替感応度だけで安心するのはダメ ただし、気をつけておきたいのは、為替感応度が低いからといって、必ずしも下落のリスクがないわけではないということです。電気・ガス業について。2016年4月以降、一般家庭での電力自由化の面から、競争が激化し株価が変動する可能性があります。陸運も為替以外で事業環境が変わる可能性は十分あります。 QUICK株サーチでは、こだわり条件で業種を絞ることができるため、株価指数と為替感応度が低いとされている電気・ガスと陸運業を指定することで、さらに絞って検索が可能です。こうして株サーチを利用することによって、電気・ガスおよび陸運業の中でも、比較的リスクが低く割安な株を見つけて、投資することが、損失を抑える一つの手法だと言えます。   編集:QUICK Money World

香港、浙商銀と天津銀が上場 中国の景気低迷で投資家に慎重ムードも

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。(※本記事は2016年3月25日にQUICK端末で配信された記事です) 浙商銀と天津銀が上場…合計200億香港ドル規模調達 中国の商業銀行である浙商銀行(コード@2016/HK)と天津銀行(コード@1578/HK)が、きょう30日に香港株式市場へ上場する予定だ。浙商銀行はH株(中国本土企業株)を33億株発行、公募価格のレンジを3.92~4.12香港ドルとし、約129億~136億香港ドルを調達する。現時点で今年初めて香港で調達規模が100億香港ドルを越える新規株式公開(IPO)となる。一方、天津銀行はH株9億9550万株を発行。公募価格のレンジを7.37~9.58香港ドルに設定した。レンジの中間の値で算出した場合、諸費用を除いた調達規模は約74億1500万香港ドルとなる。  昨年下半期(7~12月期)に香港で株式上場した中国系の金融銘柄と同じく、浙商銀と天津銀も比較的多くの中核的投資家を引き入れた。浙商銀は、浙江省海港運営集団、エン煤国際、紹興領雁股権投資基金パートナーシップ企業、申万宏源集団、アリババ集団(コード@BABA/U)傘下のアリペイ(香港)インベストメントの5社を中核的投資家とする。これら5社の引受額は合計約76億香港ドルで、今回の株式上場に伴う調達額の55.8~58.9%を占める。他方、天津銀が引き入れた中核的投資家は、中国船舶(香港)航運租賃傘下のFortune Eris Holding、華達、天津物産集団傘下の天物投資、天津房地産集団傘下の天房津城、山東天業房地産開発集団傘下の瑞フ祥投資、天津泰達投資ホールディングス傘下の泰達香港、および匯鼎ホールディングスの7社。同7社が今回の調達額の45.58~59.23%に相当する合計43億4800万香港ドルを引き受ける。 両社ともに成長率・資金繰りは高水準 浙商銀は浙江省に本部を置く全国規模の株式制商業銀行だ。国内の全国規模の株式制商業銀行12行中、2014年12月末時で総資産ベースで11番目の規模。浙江省や江蘇省、上海市といった華東エリアで主に業務を展開している。昨年9月末時点で北京市や上海市、江蘇省など11省(直轄市を含む)と浙江省内のすべての大規模都市を合わせた計約130カ所に支店を設けており、長江デルタや環渤海エリア、珠江デルタ、一部の中西部地域をカバーしている。12~14年にかけて総資産と経常収益の年間平均成長率(CAGR)がそれぞれ30.4%、28.9%と、香港に上場する中国の都市商業銀行の同期間の平均成長率を上回った。昨年9月末までの9カ月間の純利益は前年同期比26.8%増の56億3700万人民元で、上場している全国規模の株式制商業銀行の同時期の伸び率を上回り、同期間の自己資本利益率(ROE)も18.66%と、上場している全国規模の株式制商業銀行の同時期の平均より約0.7%高かった。  浙商銀は事業を急速に拡大させると同時に、リスク管理と内部統制に関する対策に慎重に取り組んでいる。昨年9月末時の同行の不良債権比率は1.22%と、他のすべての上場している全国規模の株式制商業銀行よりも低かった。また、同時期の不良債権引当カバー率が227.61%、貸倒引当金カバー率が2.78%で、大部分の上場している全国規模の株式制商業銀行よりも良好だった。浙商銀は調達資金を各業務の持続的な成長に備えるための資金に充当する。 一方、天津銀は天津市に本部を置く都市商業銀行だ。中国の都市商業銀行としては8番目の香港上場銀行となる。同行の営業網は天津市、北京市、上海市、河北省、山東省、四川省の6省・直轄市をカバーしている。総資産は14年末時点で4789億元。12~14年の期間では、総資産のCAGRが25.8%、純利益のCAGRが29.6%で、同期間の中国の都市商業銀行の平均CAGR(総資産が21%、純利益が16.6%)をそれぞれ上回った。資産の質については、昨年9月末時点の同行の不良債権比率が1.49%と、同時期における中国の商業銀行全体の不良債権比率(1.59%)より低かった。また、同行の不良債権引当カバー率は199.79%で、同時期の中国全体の商業銀行の不良債権引当カバー率(190.79%)を上回った。天津銀はIPOで調達する資金を業務の持続的な発展を支える資本基盤の強化に用いる。 市場参加者は懸念…中国景気の低迷で もっとも、中国景気の低迷が続く中、融資需要の減退と不良債権の増加への懸念から、香港の投資家たちは中国本土の銀行への投資に対して慎重になっている。昨年に香港株式市場へ新規上場した商業銀行の例では、鄭州銀行(コード@6196/HK)のIPOへの反応が比較的良かったのを除き、錦州銀行(コード@416/HK)や青島銀行(コード@3866/HK)ではいずれも株式購入の申し込みが応募枠に達しない状況だった。  

鴻海によるシャープの買収が決定…交渉経緯と株式市場の動きを振り返る

シャープの買収交渉、ついに決着 3月30日、ついに台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業によるシャープ(6753)の買収が決まりました。3月15日にホンハイが「シャープの2016年1~3月」業績が明らかになるまで買収を見送る可能性があると示唆し、ホンハイとシャープの主力取引銀行(みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行)の協議が長引いていましたが、一応の決着を見せた形となります。 これまでの議論の経緯を簡単に振り返っておきましょう。 業績が悪化したシャープは、官民ファンドの産業革新機構とホンハイからの支援提案を両天秤にかけて、協議に進めてきました。今年2月にホンハイからの支援受け入れで一本化したものの、シャープの将来の負債となる恐れのある偶発債務が明らかになったことを受け、鴻海は買収条件の見直しを要求しました。 シャープは偶発債務に関しては「買収に影響しない」とのコメントを発表していましたが、結局、鴻海によるシャープへの出資額は3888億円と当初予定より約1000億円減額することになりました。将来的な負債の恐れなど潜在的リスクについて考慮したためです。 とはいえ、ホンハイの持ち株比率は66%と落ちてはいません。出資時の増資の発行価格が1株88円と従来の118円から引き下げられたためです。「買収価格を値切られた」とみるべきでしょう。もちろん、背景には偶発債務という重要情報があるためであり、ホンハイ側としては理由ある行動となります。 (出典:日本経済新聞電子版) さて、様々な報道で言われている通り、ホンハイは買収に際して金額面の「揺さぶり」をかけていました。ただし相手は「シャープ」だけではなく、銀行、そして株式市場に対してでもあります。 報道によればホンハイは3月、銀行に偶発債務が実際に発生する場合に備えてシャープに対する追加金融支援を求めました。つまり、何かあったときには追加でお金を貸すと約束しなさい、という要求です。また主力取引銀行2行が持つシャープの優先株の買取予定額の減額交渉もしていました。こちらは「偶発債務が出てくるリスクがあるのでもうちょっと安く譲って」という議論だと伝えられています。 この交渉延長でもっとも揺さぶられたのは、株式市場、つまり投資家とも言えそうです。というのもホンハイ支援で決まりと広がった2月に株価は184円まで上昇したものの、ホンハイの交渉延長が伝わると120円台に低迷する場面が目立ちました。 市場としては「買収されることを期待しての買い」が入っていたと捉えることができます。   シャープは投資する価値があるのか? では現在のシャープは、財務・業績的にみて投資する価値があるのでしょうか? QUICKスコアで分析した結果を見る限り、プロの方は「難しい」と言うのではないのでしょうか。 企業規模は大きいものの財務内容(主に負債)も重く、また買収目的の投機買いによって割安感もない上に、収益性も成長性もないという「成長できなくなった大企業」の形状をしています。 今回の買収に関しても、市場としては「買収されればとりあえず倒産は回避できる」という程度の見方で、ホンハイ側がどのようにシャープ事業を活用して、ビジネスを再成長させていくのかが今後の争点になりそうです。 ですので、チャートの値動きを追っての投機目的でしたら面白みはありますが、財務内容をメインとして中~長期的な投資が目的でしたら、買収されるからといって飛びつくことは控えた方が良いでしょう。来期は一時的に黒字になるかもしれませんが、本質的に立ち直ったのか、という視点が必要となります。 シャープは、交渉の過程でホンハイの要求で製品在庫の評価損計上額等を2000億円近く増やしており、ホンハイ傘下となる来期はある意味何もしなくてもV字回復の可能性がある。LEDについては韓国勢の優位を…https://t.co/nK17G7R8Ro #NewsPicks — 安東泰志 (@nhcjpn) 2016年3月30日 また、市場では新たに追加された条項が話題になっています。契約が破談になっても、鴻海に責任がない破談であれば、ディスプレー事業だけは鴻海が手に入れることを可能にする条項です。つまり、まだまだシャープという会社自体、危機を脱したとは言い切れないのです。 ホンハイがシャープの液晶事業だけ買い取れるオプションとは露骨だな。あとは時間稼いでシャープの事業悪化を待てば良いのか。/鴻海「ディスプレー以外要らない」が本音か シャープ買収額1000億円減だけで済まない https://t.co/H9JyRB3T8w — 竹内健 (@kentakeuchi2003) 2016年3月30日 もちろん、今のシャープのようなスコアの形になっても復活した企業、たとえばソニーのような例もあります。シャープはようやくスタートラインに立とうとしている段階なので、投資するにしても、きちんとここからのニュースや開示情報を精査すべきでしょう。 トレンドワードをみると、本日もシャープについて、ネット上で様々な議論が出ています。新しい視点やニュースがないか、ここでチェックするのも良いかと思います。 編集:QUICK Money World

高利回りの銀行株をチェック…マイナス金利で「地銀再編」がテーマに?

マイナス金利の影響もあり、銀行預金の利率が大幅に低下しています。大手銀行の預金金利を見ると、普通預金が年0.001%。定期預金に至っては、預入金額300万円未満も、1000万円以上の大口定期預金も、あるいは預入期間で見ても、1カ月物から10年物まで、すべて同じ利率(三菱東京UFJ銀行の場合でそれぞれの定期預金金利は年0.01%)となりました。 こうなると「もはや銀行預金は貸金庫代わりの使い道しかない」なんて声が出てきてもおかしくないと言えます。何しろ金利がほぼ付かないのに等しいわけですから。10年物の利率が年0.01%ということは、仮に1000万円を満期まで預けたとしても、利息は税引き前で1万円にしかなりません。この間、普通預金で時間外の引き出しなどを繰り返したら、その手数料で利息がすべて持って行かれる計算になります。 配当利回りで3~4%の銀行株がごろごろ そこで一計を案じてみましょう。 同じ銀行で運用するならば、預金に預けるのではなく、銀行の株式に投資するのです。というのも、株価自体の下落リスクはありますが、高い配当利回りが得られるからです。 QUICK株サーチの機能を使って、今回は「お買い得感」のある銘柄、つまり割安感の高い銘柄を検索してみました。プロのアナリストが株価に強気かどうかを示す「QUICKレーティング」の高い順でみると、上位は「その他金融業」や「銀行業」で占められています。ちなみにランキングトトップは、その他金融業のジャックス(8584)で、2位以下はメガバンクや地方銀行を中心にランクインしています。 ランキング2位の三井住友フィナンシャルグループ(8316)の予想配当利回りは4.3%です。株価は3500円前後ですが、単元株数は100株単位なので、1000万円の投資資金で買えるなら、2800株ほどを購入でき、総投資金額は980万円。年間の配当利回りが4.31%ですから、単純に計算しても、42万円相当の配当金を得ることが出来ます。ところが預金だったら、同じ1000万円を預けても、1年で得られる利息は1000円にしかなりません。 ここで言う「お買い得感」は、QUICKスコアのうち「割安度」による部分が大きいものです。「割安度」のスコアは、業績や株主配当など企業の実体的価値に基づいた株価の割安度を表しているものです。スコア、予想PER、実績PBR、予想配当利回りから算出しており、値が高いほど割安で、低いほど割高であることを意味します。 三井住友フィナンシャルグループの予想PERは6.4倍、実績PBRは0.53倍です。なお、日経平均採用銘柄の平均PERが15.2倍、平均PBRが1.14倍、平均配当利回りが1.72%ですから、これらの数字と比較しても、三井住友フィナンシャルグループの株価水準は割安であると判断されます。 割安さの理由はマイナス金利、地銀再編は投資テーマになるか 「お買い得感」でスクリーニングした銘柄には、みずほフィナンシャルグループ(8411)のようなメガバンクもありますが、その他に静岡銀行(8355)やふくおかフィナンシャルグループ(8354)、群馬銀行(8334)、広島銀行(8379)といった地方銀行も含まれています。 いずれも予想PERが日経平均株価採用銘柄の平均PERに比べて低く、実績PBRが1倍を大きく割り込んでおり、かつ配当利回りが相対的に高めであることが、お買い得感の根拠となっています。 ただ、これはすべての銀行株について言えることですが、昨年の夏場前後から、株価は大幅な調整局面に入っています。三井住友フィナンシャルグループの株価は、昨年8月11日の高値で5700円でした。それが今年2月12日の安値で2819円まで下落しています。マイナス金利が業績に及ぼすネガティブな影響が懸念されたわけですが、今の水準は流石に売られ過ぎの感もあり、だからこそ「お買い得感」が高いというわけです。 特に地方銀行については今後、さらなる業界再編の動きが出てくるでしょう。マイナス金利による業績悪化をにらみ、合併で規模拡大・効率化を進め、生き残りを図るとの見方があるためです。 2016年10月をメドに足利銀行を擁する足利ホールディングスと常陽銀行が経営統合する予定ですし、この統合に群馬銀行が加わるのではないかとの見方もあります。4月には横浜銀行と東日本銀行が統合し、地銀最大規模のコンコルディアフィナンシャルグループが誕生します。広島銀行なども、地銀再編のストーリーには度々名前が上がります。 一方で、静岡銀行のように、明確に経営統合をしないという方針を打ち出している個性派地銀もありますが、マイナス金利で収益確保が一段と厳しくなる地銀を中心として、業界再編の動きが加速する可能性があります。お買い得感の高い地銀は、配当利回り狙いだけではなく、業界再編を材料にした投資妙味にも注目できそうです。   編集:QUICK Money World

円高への歴史的な転換点か…米雇用統計で相場レンジの変化を見極めよ

強弱入り混じった米雇用統計でドル買いトレンドは出ず まず3月のドル円相場について振り返りましょう。111円台~114円台という狭いレンジで推移しましたが、いくつかの大きなイベントを受けての結果となります。 3月4日に発表された米2月雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが前月比24万2000人増と市場予想を上回り、失業率についても4.9%と市場予想と一致していました。この結果を受けて、ドルは一時は114円台まで上昇したものの、時間当たりの賃金が減少していたことで、一転して113円台前半まで下落する展開となりました。 雇用統計の結果が強弱入り混じった内容だったことで、トレンドが出にくく、投資家が積極的にポジションを取りに行く流れとはならなかったようです。実際、ドル円ポジションのQUICKが集計した店頭FX建玉統計を見てみると、雇用統計が発表される前の週と比較して多少買い越し建玉が減少しているもののほとんどポジションは変わっていません。少なくとも、個人投資家は、雇用統計前にポジション調整を行い、以後、積極的にポジションを取りに行ってはいないと言えるのではないでしょうか。   ※個人投資家のポジション(店頭FX建玉の集計)   打ち止めの可能性が強まってきた欧州の金融緩和   その後、リスク回避の流れから、ドル円は一時112円台まで下落します。背景には、中国の貿易収支悪化などがありますが、大きなイベントとしては欧州中央銀行(ECB)の政策会合でしょう。 3月10日、ECBは追加金融緩和を発表しました。初動は、緩和によるリスク選好からドル円は114円台半ばまで上昇しましたが、ドラギECB総裁が会見で、さらなる追加緩和について否定的な発言を行うと、流れが一変し、112円台を付ける場面もありました。   今回の金融緩和の内容は、政策金利をゼロ%に引き下げただけでなく、金融機関が中銀に預け入れる余剰資金の金利のマイナス幅を0.4%に拡大しました。さらに、量的緩和についても資産買い入れ規模を月間600億ユーロから800億ユーロに拡大し、買入資産に社債を加え、質的な金融緩和も行いました。 ただ、会見でドラギECB総裁が更なる追加緩和の可能性について、否定的な発言を行ったことから、金融緩和そのものは市場で評価されつつも、市場予想を上回る規模の緩和策を発表した割には、不発に終わったと言える状況となっています。   ドル円相場の見通し…3月の雇用統計に注目 ドル円相場はその後、3月の決算期末に向けた国内勢のリパトリ(日本円買い、外貨売り)などもあって、3月末にかけては一時111円台まで下落する場面もありましたが、113円台半ばまで戻しています。2月後半以降の111円~114円のレンジに収まっている格好です。 さて、今後のドル円相場についてですが、注目すべきキーワードは「緩和の打ち止め」でしょうか。 ドラギECB総裁が追加緩和について否定的な発言として、「制限なく金利のマイナス幅を拡大できると示唆したくなかった」というものがあります。これは何もECBだけではなく、日本銀行においても言えるのではないでしょうか。日銀による追加緩和についても、そのマイナス幅は無制限なものではなく、先行する欧州程度が限界と考えれば、日米金利差拡大は限定的と言えるでしょう。 一方、相対的に景気好調な米国も、雇用統計で景気減速懸念は払しょくされたものの、時間当たりの賃金が減少していたことからも分かるように、早期の追加利上げの可能性はまだまだ流動的と言えるでしょう。利上げペースはより緩やかなものになるかどうか、市場の関心は今週末4月1日発表の米雇用統計に向かいそうです。 これらの状況を総合的に考えると、米雇用統計がよほど強い内容とならない限りは、ドル円相場は中長期的に円高方向に進む可能性が高いかもしれません。ドル円ポジションでCME日本円通貨先物のポジションを見ていただくとわかりますが、今年になってからドル売り、円買い方向となっています。直近もドル売り、円買いの持ち高が増加しています。投機筋は円高方向に進む可能性が高いと考えていることが分かります。   過去3年間のデータを見ても、買い越しが続いていたものが2016年を境に売り越しに転じているため、相場の転換点と考えられます。だとすれば、中長期的な円高トレンドの到来となる可能性も警戒しておいた方がよさそうです。   編集:QUICK Money World

インドネシア、タクシー会社がドライバー流出に直面 政府、配車アプリを後押し

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。(※本記事は2016年3月23日にQUICK端末で配信された記事です) 成長中の配車サービスアプリにタクシー事業従事者は抗議 インドネシアの通信・情報技術省は15日、配車サービスアプリの国内での営業を禁止しないことに同意したと発表した。今回の発表は、政府が成長中の配車サービスを容認する方向に態度を切り替えたターニングポイントとなったが、インドネシアのタクシー運営大手ブルーバード・グループ(コード@BIRD/JK)やエクスプレス・トランシンド・ウタマ(コード@TAXI/JK)のような従来のタクシー事業者に対し、圧力が強まることになるだろう。  ジャカルタのタクシー運転手らは14日朝、米サンフランシスコに本社があるウーバーとマレーシアのグラブタクシーという2つの人気のある配車サービスアプリの禁止を政府に要求する大規模な抗議を行った。インドネシア運輸省はそれに応じ、そうしたアプリは未認可の一般車が公共交通を提供することを可能とするもので、これは現行の道路交通法では違法と主張し、通信・情報技術省に対してそうしたアプリを禁止するよう正式に要請した。  配車アプリの事業者側は、個々の運転手のサービス提供には協力していないとして、道路交通法違反を否定している。代わりに事業者側は、道路交通法で認められている地場のレンタカー会社と提携した。グラブ・インドネシアのリツキ・クラマディブラタ社長は「グラブはドライバーと乗客を結ぶ技術企業だ。グラブは輸送サービスの提供者ではないし、いかなる車両も保有していない」と述べた。 タクシー業界は明暗分かれる…ブルーバードは増益 ルディアンタラ通信・情報技術相は、グラブの姿勢に同意したようで、同省はグラブの営業継続を認めるだろうと述べた。同相は「これは配車サービスアプリを禁止する・禁止しないという話ではない。テクノロジーは中立なものだ。根本的な問題は、その事業と政府、顧客すべてがウィンウィンの関係となる解決法をもたらすように、いかにわれわれが輸送事業を再編するかだ」と述べた。  同相はまた、ジョコ・ウィドド大統領は原則的に輸送事業におけるオンライン・イノベーションに賛成の立場で、その成長を支援し、強化するよう、既存の規制の見直しを各大臣に要請したと語った。これは昨年12月にジョコ大統領が、バイク版配車サービスのゴージェックを禁止する運輸省の決定を覆した事を考えれば、驚くに値しない。 ウーバーや競合相手のグラブは、簡単な依頼・支払システム、比較的安価な乗車料、平均以上のサービスにより、インドネシアの利用者の間で支持を獲得している。エクスプレス・トランシンド・ウタマは、それらのアプリがもたらした競争激化の犠牲となり、昨年1~9月の利益は90%近く落ち込んだ。一方で競合するブルーバードは同じ運命を逃れ、営業台数の多さがもたらした収入により16%の増益を記録した。   米ウーバーへの人材流出も しかしタクシー事業者は、自社のドライバーが辞めてウーバーやグラブに移り、自社の拡大能力を損なっている状況に直面している。エクスプレスのドライバー、カヒョノさん(50)は、同社との契約が7月に切れた後、ウーバーかグラブに登録することを考えているという。「今は稼ぐのが大変。ウーバーが上陸してから、1日当たり売上の30~40%を失っている。今運転しているこのタクシーの車両代を完済したら、ウーバーに移ると思う」とカヒョノさんは話した。  セセップさん(46)はブルーバードで13年間運転した後、半年前にウーバーへ移った。「ここの方が収入も良いことから、ウーバーで運転したい。私のタクシー乗り場の運転手たちも数百人単位でウーバーへ移っている」と話した。 ブルーバード広報部門のトップ、テグン・ウィジャヤント氏はこの件についてコメントを控えた。 【翻訳・編集:NNA】

アノマリーでは堅調予想の4月相場、今年は政治日程も注目

2016年初から大きく下落していた日経平均も2月12日の安値1万4952円で底を入れたとの見方が強くなってきました。以前の記事で過去のアノマリーから3月の相場を分析した際、3月相場が落ち着きを見せる可能性を示唆しました。ほぼアノマリーに近い展開になってきています。 同様に、4月以降の相場もアノマリーで大胆に探って見せみましょう。 4月は強い相場でも弱い相場でも上げ特異月 マーケットカレンダーでは月次、日次で過去の騰落率が3つの期間で確認できます。データがとれる全期間、1990年以降の27年間、2008年以降の9年間の3つのデータです。全期間のアノマリーも、1990年以降のバブル崩壊後で「失われた20年」というベアマーケットを含むアノマリーも、2008年以降というリーマンショック後のブルマーケットが中心のアノマリーも検討することが容易にできます。 マーケットカレンダーを見ると明らかですが、どの期間においても11月と12月と4月が「上げの特異月」であることが確認できます。データが取れる全期間でみると、4月の勝率は12月に次ぐ2位、バブル崩壊後では3位、リーマンショック後では同率2位です。つまり上げ相場でも下げ相場でも4月は強い月なのです。 今年も、アノマリー的には日経平均が4~5月に年初来高値をつけてくる展開が期待できます。2016年の日経平均の高値は今のところ1月4日の1万8951円です。4~5月に、年初来高値の1万9000円以上を目指すなら、4月は1万8000円を上回る展開が充分に考えられるのではないでしょうか。   (出典:マーケットカレンダーより作成)   4月のアノマリーを日次でみると、面白いことが見つかります。4月は日次では上げの確率が70%を超えるような「上げの特異日」がありません。たとえば1月4日の大発会は上げる確率が70%と上げの特異日です。2月は25日、3月は4、15、18の3日間が70%以上上げる特異日ですが、4月は1日もありません。逆に「下げの特異日」が非常に少ないのが特徴です。4月は勝率が50%を下回る日が3日だけ。3月は9日間もあります。 このアノマリーから想定されるのは、3月はボラティリティが高い相場で下値が切り上がっていくのに対し、4月は着実に上げていく月だということです。 では4月以降の実際の政治・経済のイベントあわせて見てみましょう。 政治日程でも4月〜5月は重要な月 報じられている政治日程を確認すると、平成28年度予算案原案(政府案)は、3月1日の衆議院本会議において可決されました。3月中に参議院での可決をもって成立する見通しです。次の大きな焦点は、5月末の伊勢志摩サミットになります。そして7月の参院選へとつながります。常識的には、安倍政権が補正予算などの景気対策、新・3本の矢などの成長政策を打ち出す期間は、4月から5月しかないでしょう。 景気対策は、4月1日の日銀短観で景況感を見てからの可能性が強そうです。5月18日の、2016年第1四半期(1~3月期)の国内GDP発表後などもタイミングとしては重要です。 金融政策では、4月27日〜28日の日銀政策決定会合での追加緩和の期待が高まります。 (出典:日本経済新聞)   ニューマネー、政治日程、3月決算発表が4月高を演出 4月が高いのは、金融機関が新年度で買いから入るためだとか、年金運用資金のニューマネーの新年度の最初の配分が4~5月にあるためだとか言われています。 もちろん、予算が成立後の政策による株価サポートも出やすい月だというのも大きな理由のひとつでしょう。 また、4月中旬から3月期通期決算の発表が相次ぐ事も要因だとみられています。日本の企業は3月決算期が大半です。個別企業の株価予想のベースとなり、日経平均のPERの算定のベースともなるのは、今期予想のEPSです。今期予想のEPSは決算発表日をまたいで次の期に入れ替わります。決算発表ラッシュとなる4月中旬から5月にかけて企業業績が増益ならEPSは自然に切り上がってくるわけです。 ただ、円高で2016年度の企業業績予想が減益にでもなることでもあれば、4月中旬から5月にかけて企業の予想EPSは切り下がり、日経平均のPERが上がって市場が割高になってしまうこともあり得ることは警戒しておく必要があるでしょう。 ゴールデンウィーク中は下げない ゴールデンウィーク中は、ポジションをしぼるのが常識です。念のために、ゴールデンウィークの谷間の日のアノマリーを見ておきましょう。 4月29日 天皇誕生日の休日 4月30日 騰落確率 54% 5月1日 同63% 5月2日 同67% 5月3日 昭和の日(旧憲法記念日)休日 5月4日 同75% 5月5日 こどもの日の休日   過去のアノマリーでは、連休の谷間はしっかりしている日が多いことがわかります。もちろん今年は市場のボラティリティも高いため、同じようにしっかりとは断言できません。あくまでアノマリーとして、今後の指針の参考としてください。 編集:QUICK Money World

原油価格底打ちでアジア株反発 鍵握るFOMC

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はシンガポールの現地記者クリストファー タン シ(Christopher Tan, Si)氏がレポートします。   原油価格は反発、現状は40ドル程度で推移 原油安の最悪期は脱したという期待から、アジアの株式相場は先週、反発した。原油価格は1月に1バレル30米ドル以下に下落したが、その後回復し、この数週間は1バレル約40米ドルとなっている。 米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの一次産品・実物資産部門のグローバル統括、ジョディ・ガンズバーグ氏は、原油価格の底打ちを意味しているかもしれないと分析。ガンズバーグ氏はインタビューで、石油価格は底値から15%回復しており、下げ相場が去った明らかな兆候と指摘した。同時に、石油生産者は安定供給を続けると明言していることから、生産状況をより明確に認識できるようになった。米雇用者数も1月に24万人増え、労働市場の回復傾向を維持している。 DBS最高投資責任者「反騰はまもなく消失する可能性」…顧客への覚書で 各国の中央銀行も市場の不安定さを懸念し、市場センチメントを支えるような心強い発言を始めている。米連邦準備理事会(FRB)は今後数カ月間にさらなる利上げを行うかどうかを明らかにしない一方で、中国人民銀行(中央銀行)は、この12カ月で6回目の預金準備率の引き下げを行った。このような各国中央銀行による穏健派的な声明は投資家を元気づけ、それに支えられてMSCIアジア太平洋指数(日本を除く)は2月中旬以降に約8%上昇した。 しかし祝杯をあげるのはまだ早すぎるかもしれないと、DBS銀行傘下のDBSプライベート・バンクの最高投資責任者、リム・セイブーン氏は話した。同氏は、現在の反騰はアジア株式市場の長期的な下落傾向の中での反発にすぎないと考えている。「ゴルディロックスの完璧な状態(熱すぎず、冷たすぎない)が過ぎ去って久しい」と、同氏は顧客への覚書で警告した。 同氏は「今やゴルディロックスは去り、1)貿易不振、2)企業収益の低迷、3)世界的な景気後退の恐れという3匹のベアしかいない」と語り、「この反騰はまもなく消失する可能性があり、再び下げ相場が始まるだろう。長期的な投資ホライズンでは、根本的に強力な資産を持っていれば、時間は友達という道理に安らぎを求めることができる。たとえ良い株であっても、株価は循環するものだ」と付け加えた。 ベア相場継続か…FRBの動向に注目集まる CMCマーケッツのアナリスト、マーガレット・ヤン氏も同意し、大きな構図は今年の年初から変わっていないと言及した。「中国の貿易黒字は、市場予測の501.5億米ドルを下回る326億米ドルだった。輸出は予測の12.5%減に対して25.4%減となり、2009年5月以降で最大の下落幅を記録した」と同氏は話した。 しかし、下げ相場が再び始まるまで、この市場の反発はいつまで続くのだろうか?1つのヒントは、今週後半にFRBのFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催される時に分かるだろう。この場合、どの方向であっても主要な動きに市場が肯定的な反応を示すかどうか分からない。もしFRBが好調な労働市場を背景に利上げに踏み切れば、好機を捉えて市場はテーブルからより多くのお金を持ち去るだろう。もしFRBが市場は立ち直りつつあるが、金利の現状維持を決めたら、株式市場が高騰し続ける前に一息つく暇を与えてくれるだろう。【翻訳・編集:NNA】

「消費不況と次の増税」第一生命経済研究所・熊野英生氏

語り手:第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生氏 (※本記事は2016年3月15日にQUICKで配信された記事です) 【景況判断】現状(3カ月前比):悪い、先行き(3カ月後):やや改善 GDP予測:16年度0.7% 17年度▲0.3% 【金 利】短期:横ばい TIBOR3カ月0.100%、長期:小幅上昇 10年物新発国債0.200% 【円 相 場】  115円/1ドル 【株 価】18,000円/日経平均 *GDP予測値は実質GDP成長率、前年比% *長短金利、円相場、株価は3カ月後(2016年6月末)の予測値 1.景気見通し:「当面は世界的な製造業不振に苦しむ」 世界的に製造業が不安定である。米国では、雇用統計は好調であるが、半面でISM製造業景況指数の悪化が目立つ。ドル高が製造業に不利に働いているとされる。同様の図式は、中国にも成り立つ。ドル高に引きずられて人民元高が進んだ。中国は、対ドルでの人民元の切り下げを2015年8月から行っているが、実効レートではまだ人民元高である。そのため、製造業PMIは低調である。中国経済も、サービスは好調であり、製造業の不振とはコントラストがある。  日本の製造業もまた、米国や中国の製造業の不振のあおりを受けるかたちで、2015年初から低迷している。2016年はリオ五輪という4年に1度のイベントがあるのに、その追い風は過去のような勢いが感じられない。日本の為替レートも、110円台前半まで円高傾向になっていて、それが収益面で製造業の下押しになっている。  日本の景気全般を見渡すと、今は悪化している製造業も、先の五輪効果がいくらかは表れてくるはずなので、年央(7~9月)くらいから持ち直しの動きが出てくると期待している。製造業の稼働率が高まれば、設備投資の需要に波及して、それが景気の底上げに寄与する。また、2017年4月の消費税の再増税が予定通りに行われれば、2016年冬には駆け込み需要が、多少なりとも消費全体の押し上げに寄与するだろう。消費税の再増税に向けた景気対策もきっと打たれるはずなので、2016年後半に景気が盛り返していく公算は低くないと予想している。 2.金融環境:「原油反転と米長期金利反転」 年初来の株価下落に影を落としてきたのが原油下落である。1バレル30ドル台では、米エネルギー産業が厳しい。これまで事業者の破綻懸念が警戒されたことが株価にも投影された格好であった。それもどうやら、現在、底入れしたようにみえる。2月上旬がボトムになって、1バレル40ドルに接近していく展開に変わってきた。  この動きは、原油のみならず、米・欧の長期金利や新興国通貨を反転上昇させる動きと同調している。最近は、ドイツの長期金利も底打ちして、欧州にも広がってきた。もともと原油下落はインフレ予想を弱めて、中央銀行に緩和圧力を働かせるが、そうした動きは今変わりつつある。ちょうど、3月10日にはECB(欧州中央銀行)の理事会が開催されて、追加緩和が行われたが、ここでECBはむしろ、先行きの緩和打ち止めをアナウンスした。理事会後の記者会見では、ドラギ総裁は「一段の金利引き下げが必要になるとは思わない」と述べたのである。  追加緩和の期待を一気にしぼませたことについて、深読みすれば、ドラギ総裁は、さらなる追加緩和予想を刺激しなくても、原油反転がデフレ予想の後退に向かわせると読んだのかもしれない。追加緩和の予想をあまりにかき立てると、自縄自縛に陥ることを警戒したという見方もできる。  もうひとつ、米金融政策にも、過度な原油下落が反転したことで、ゆっくりとした利上げを進める方針が好感された可能性がある。FRB(連邦準備理事会)は2015年12月に利上げに踏み切ったことで、市場に対して引き締め過ぎのリスクを意識させてきた。だから、原油下落に歯止めがかからない段階では、米長期金利を低下させてきた。その動きも2月上旬を大底にして上昇に転じてきている。原油下落を前向きな動きととって、株価上昇・長期金利上昇に向かってきたことは、相場の転換点として注目したい。 3.注目点:「消費不況と次の増税」  2017年4月に消費税率を10%にすることは、景気条項を外してあるので、必ず実行するとみるのが道理である。それなのに、消費税増税は再び延期されるという観測が根強い。首相が約束していることが、多くの人に信じられていないという事実は、経済政策運営への不信感が根深いとしか言いようがない。困ったものである。 一方で、首相が消費税を増税するのならば、消費の勢いを高めて、増税ができる経済環境をもっと熱心につくっておかなくてはいけない。増税延期の観測を打ち消すには、経済政策にもっとアクセルを踏むはずであり、そうなっていない点に問題が感じられる。政治日程から考えて、5月の伊勢志摩サミット、7月の参議院選挙、という2大行事が終わったところで、何らかの骨太の経済活性化策を打ち出すのではないかと目算を立てられる。夏から2017年度の予算編成の準備が始まって、予算に景気刺激策を盛り込むこともできる。  かつて、2015年10月の消費税率10%の引き上げが延期されたのは、2014年11月18日のことである。11カ月前がぎりぎりのタイミングということなのだろう。これを当てはめると、2017年4月から逆算して、2016年5月という計算になる。ちょうど、5月18日に1~3月の実質GDP一次速報が公表される。1~3月は、うるう年要因で多少は消費が前期比で増えることが予想される。伊勢志摩サミットが5月26・27日なので、首相にとってサミット前は増税の意思を改めて国際公約として表明するには、絶好の機会にみえる。  一方、「消費税を増税すべきだ」というべき論を脇に置いておいて、家計に増税を乗り切れる地力があるか。筆者は、そう問われると、正直に言って心許ない。2014年4月以降の実質民間最終消費は、平均▲0.1%とほぼ横ばいである。消費者物価・除く生鮮食品の前月比伸び率も、年率で平均0.1%と低調なままである。ひとつの背景は、家計の所得増加が鈍いことにある。所定内給与は、春闘の効果もあってプラスの伸びであるが、所定外給与と特別給与の伸び率が足を引っ張る。さらに、非正規社員の構成比が上がっていて、1人当たりの給与水準は増えにくい。  また、家計の中で、世帯主60歳以上の構成比が53.3%(総世帯)にまで増え、無職世帯(主に年金生活者)が38.6%を占めるようになっている。だから、賃上げの恩恵は乏しく、世帯数の伸び率も0.75%と時系列でみて段々と低い伸びになっている。目先、マクロの消費金額が増加する要因は見当たらない。  消費不況を克服するには、勤労者世帯の所得増加で全体を牽引するほかに手立てがなく、高齢世帯の雇用者報酬を増やすことで消費のパイを拡大することが突破口になると考えられる。所得形成力の弱い非正規雇用の拡大や、不安定な株価上昇を通じた資産効果には依存できないのが実情である。一方、アベノミクスは、雇用分野に「岩盤規制」があると指摘して、2013年以降、改革に取り組んできたはずであるが、雇用面での実績は今ひとつである。非正規雇用比率は上昇し続けている。改革の狙いどころが外れていないかどうかを再確認して、消費税増税に耐え得るような雇用拡大・所得上昇を実現することが、今、最優先すべき課題になっている。 <熊野英生氏略歴> 1967年7月山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒。90年4月日本銀行入行。2000年8月より、第一生命経済研究所入社。2011年4月より現職。著書「本当はどうなの?日本経済―俗説を覆す64の視点」(日本経済新聞出版社)、「籠城より野戦で挑む経済改革」(東洋経済新報社)など。専門は、金融政策、財政政策、金融市場。

中国、全人代が示した安定政策 元相場維持、過剰供給など課題に

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします(※本記事は2016年3月17日にQUICK端末で配信された記事です) 全人代、閉幕…当面は市場安定を優先か 中国政府は、全国人民代表大会(全人代、国会に相当) と全国政治協商会議(政協会、国政助言機関の会議) を開催し、16日に閉幕した。例年通り、今年の開催期間中も今後の政策の大きな方向性が浮かび上がった。中国は開催前に突如、銀行の預金準備率を0.5%引き下げ、景気下支えに向け財政支出は可能だと表明。経済改革と市場安定の板ばさみの中で後者を選択したようだ。今後も引き続き、景気対策や金融緩和が打ち出されることになるだろう。 中国政府が昨年8月に人民元の為替レート改革を行った後、元相場は次第に軟調となった。元安が輸出を支えるとの期待があったが、実際には元安は中国の輸出改善に寄与しなかった。今年2月の輸出は前年同月比で約2割減少し、さらには16カ月連続でマイナスとなった。 元安が新興国市場の通貨切り下げ競争を誘発し、通貨安の効果が相殺されてしまい、輸出が回復しなかった。元安が輸出改善につながらないと、元に対する市場の信用が一段と揺らぎ、中国国内の株式相場の下げ要因となった。このような事態となり、経済改革を遅らせてでも市場安定を優先しようとなったのだ。 市場の元安観測は後退 おりしも、中国の李克強首相が全人代と政協会の開催前にジェイコブ・ルー米財務長官と会見し、元に大きな下落圧力がないことを改めて強調。中国は景気支援に一層注力すると再度表明した。この発言は市場への安定維持に関する強いメッセージである。元の大幅切り下げに恐れず、安心して中国へ投資できるということを投資家に表明。中国の資金流出の圧力を和らげる効果がある。また、中国人民銀行(中央銀行)や商業銀行は元相場の安定維持に向けて市場介入を続けており、元安が持続するという市場の見方を変えようとしている。実際のところ、昨年半ばの元切り下げ後に中国政府が直面している最大の難題は、元安継続の観測が市場に広がり、中国の資金流出圧力が大きく働いたということである。このため、中国は安定維持に取り組むに当たって、まず元の為替レート安定を重視している。そして、足元では元の下落ピッチが減速しており、元安継続に対する市場の観測が後退しつつある。 中国政府は元相場を安定させ、資金の域外流出圧力を緩和させる以外にも、金融政策や財政政策でその他の対策を打ち出している。人民銀の周小川総裁は、金融政策を緩和方向に傾けることができると表明。預金準備率を連続して引き下げた後も引き続き引き下げる可能性があり、追加利下げも可能だとした。一方、中国の楼継偉・財政相は実体経済を支えるために中国の財政赤字をさらに拡大させる余地があると述べた。中国の重要な財政責任者3名が期せずして異口同音に経済の安定維持について言及したことから、中国は昨年に定めた経済構造改革に注力して供給側の改革を行うという大きな政策の方向性を既に微調整したのだということが分かる。もしくは、構造改革をひとまず棚上げして安定維持をより重要な位置に据えたと言えるかもしれない。 労働生産性低い企業は延命…政治的思惑が優先 中国政府は昨年、供給側の改革に本格的に取り組むと表明し、過剰生産能力の淘汰と在庫削減を行うとした。生産能力が過剰で生産効率が低い企業は銀行から融資を受けることが難しくなり、倒産の恐れがあった。しかし、この場合、必然的に大量の企業が淘汰されることで大量の労働者が失業する。中国政府は景気減速と株式相場の低迷に直面する中、現実を受け入れて政策の布陣を改め、安定維持を優先せざるをえなくなったのだ。このため、生産効率の低い企業はかろうじて生き延びる望みが出てきた。とは言え、企業の低生産効率は長きに渡る難題。効果的に解決されるのは一体いつになるのだろうか。

「個人投資家の6~7割は負けている」!?主体別動向で見る個人投資家のスタイル

個人投資家は6~7割が負けている 株取引について、「クリック一つで○万円」「1日30分でも大丈夫」…このように「楽して儲ける」という趣旨の広告は少なくありません。そのようなイメージで相場の世界に入った方も少なくないと思います。しかし現に取引をした方の多くは、それが決して楽ではないとどこかの段階で思い知ったのではないでしょうか。結局、先述のクリック一つで~という触れ込みは、プロ野球選手の仕事を「1日4回棒を振るだけで○億円」と言っているようなもので、言葉のマジックに過ぎないのです。 野村證券が昨年10月に発表した「ノムラ個人投資家サーベイ」では、2015年7月31日から同年10月2日の期間における個人投資家1000人の投資動向調査において、通算で利益もしくは含み益となっている個人投資家は全体の9.3%、イーブンである±0が29.1%、損失もしくは含み損をとなっている層が61.6%となっています。 また、アメリカにおいても、個人投資家向け資産運用アプリ「Openfolio」のユーザー約60000人のうち、70%近くが2015年通算で損失となっているとCNN Money が報じました。*¹(ちなみに2015年のS&P指数の始値と終値は殆ど変らず) 指標は個人VS外国人(プロ)の構図を示す では個人投資家は全体としてどのような売買を行っているのでしょうか。ここで日本取引所グループが発表している「投資部門別売買状況」をみてみましょう。 点線は、日経平均株価の推移です。青い線が外国人、集計元の日本取引所の定義では外為法所定の市場参加者や、外国証券会社の在日支店を指します。すなわち、ほとんどが機関投資家やファンドなどのプロです。赤い線が個人です。  この図を見ると個人投資家は日本株を売り続け、おおむね外国人と反対の投資行動を取っていると見ることができます。つまり下がるときに買い、上がるときに売るスタイルです。リーマンショックのあった2008年付近の買いと、アベノミクスで日本株が上昇基調に入った2013年付近の売りが顕著です。  ではその時期の売買動向を拡大して見てみましょう。 個人VS外国人(プロ)…リーマンショック編  上の表で青色が個人、赤色が外国人です。下側の表の「証券自己取引」とは先物と現物の裁定取引など、証券会社のディーラーによる売買等を指します。ここから、以下の傾向が顕著であることが分かります。 ① 個人投資家と外国人投資家はほとんど逆の投資判断をしている ② 証券会社の自己取引も個人投資家と逆の投資判断をしている。  では上昇局面ではどうでしょうか。 個人VS外国人(プロ)…アベノミクス相場編   ここでもまさに芸術的ともいえるほど、個人と外国人・証券自己取引の注文が逆になっています。さらに、上昇局面では個人投資家は1万円あたりからの上昇局面でほぼ一貫して売り越しを続け、2万円台から1万8000円台に下げる局面になってやっと買い越しに転じています。 つぎに、個人投資家の投資スタイルをより詳しく検討するためにも信用評価損益率を見てみましょう。信用評価損益率とは、信用取引を行っている投資家がどれくらい含み損益を抱えているかをパーセンテージで表した指標です。含み損は最大マイナス40%近くまで持ち続けるにもかかわらず、含み益はすぐに利確する傾向があるようです。 上記動向と調査を合わせて考えてみると、個人投資家は、全体としては以下の特徴があると考えられます。 ① 下がりだすと買いを入れる(押し目買い)。上がりだすと売りを入れる。 ② 買値から少し上がったところで利確するか、いったん下げてから買値まで戻したところで売る。 ③ 下がり続けた場合は追加購入するか我慢し、我慢しきれなくなったら(マイナス2~4割)売る。上がり続けた場合は売り、我慢しきれなくなったら買う。 逆張りと順張り 投資主体別動向の統計を分析しましたが、要は、上記のグラフからプロは順張り、個人は逆張りという傾向がうかがえるということです。では順張りと逆張りはどのような差があるのでしょうか。  順張りとは相場が高くなると買う、あるいは、相場が安くなると売ることをいいます。メリットは、一方向に動く相場において利益を最大化させることができることです。トレンドは長く続けば、利殖の期間も長くなる点が特徴です。反面、トレンドの発生・転換を見極めなければ利益が絵に描いた餅になってしまいます。  逆張りは、相場が悪い時に買う、あるいは、相場が良い時に売ることをいいます。メリットは短期間で利益を得ることができるという点です。トレンドが崩壊するまでの期間は、そのトレンド期間の半分から3分の1程度であるといわれています。これは、資金が集中するまでに時間がかかるかわりに、換金するのは同じタイミングであることからです。そのため、大きな値幅を短期間でとることができるという妙味があるのです。  個人投資家で逆張りを好む傾向があるのは、「安く買って高く売る」という基礎を忠実に守ろうとしているからなのかもしれません。しかしながら、どこが転換点であるかをきちんと見分けなければ、トレンドが崩壊するまでに資金が尽きてしまいます。2016年の日経平均についてプロが出した予想が大発会で4割、1月半ばの時点で9割外れていた*²ことからも明らかなように、相場の天井と底を見極めることはできません。逆張りは安物買いの銭失いになる危険もあり、順張りよりも実は難易度が高いのです。 主体別動向を売買に応用? では、個人投資家の逆張り好きな傾向をどのように応用できるでしょうか。ここで、「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言を紹介します。これは金融市場において他人と逆の行動をとることによって大きな利益を得ることができるという趣旨の言葉です。  しかし”裏の道”に行っていたつもりが、ふたを開けてみると表の道を歩んでいたのでは本末転倒です。  例えば、日銀が追加緩和を発表し、日経平均株価が急騰した2014年10月31日付近の主体別動向を見てみると、個人は大幅に売り越しています。これは「普通に考えたら緩和で相場は上がるだろう。とはいえ、緩和発表後の短期間で大きく上昇したので素早く利益確定売りをしよう(ここから下げるだろう)」と考えた人が実は個人投資家の中では多数派だったのかもしれません。  また、リーマンショック直後の投資主体別動向の統計を見ると、相場では底をあてるのにこだわりすぎたのか、「落ちるナイフ」をつかみ、結局2番底で損切りになったような痕跡が見えます。一方のアベノミクス上昇相場では、長期に保有せず、短期間での利益確定売りを繰り返してしまったような動きが見えます。そのため、「リスクを取るが、利益は最小限で確定」という逆張り手法を用いているがために、個人投資家は総合して損失を被りやすくなってしまう、と考えることもできそうです。  そこで、これらの要素を逆手にとって、個人投資家がとりがちな行動の逆をすることが”裏の道”になるのかもしれません。具体的には以下の通りです。 ① 上がりだすと買いを入れる。下がりだすと売りを入れる。 ② 買値から少し下がったところで損切りするか、いったん下げてから買値まで戻したところで買う。 ③ 下がり続けた場合は追加購入せずすぐ売る。上がり続けた場合は買い、満足のいく利益が乗ったら利確する。  これが個人投資家にとっての”裏の道”です。上記の主体別動向をよく見てみると、奇しくもプロや海外投資家の順張り手法と似ています。  為替についても、QUICKMoneyWorldのツールの一つ、「ドル円ポジション」からもわかるように、棒グラフのピンク部分である外国人はドル円の売り越しに転じ、個人は買い越しを続けています。このような相場の中で、私たち個人投資家はどのようにして利益を得るべきでしょうか。戦略を練ってみましょう。   参考文献 *¹ Heather,L 2015/12/31.Nearly 70% of investors lost money in 2015:CNN Money *² Sarah McDonald,2016/1/21.猿も木から落ちる、年始急落読めずプロ9割外れ-日本株安値予想(邦題):Bloomberg    

トランプ氏人気が写し出す米国の現状

米国の大統領選挙では、トランプ氏の躍進が止まりません。いま、米国では何が起こっているのか。トレンドワードで過去に何度もキーワードとして登場しているトランプ氏。氏に関する議論を追いかけることで、探っていきたいと思います。 まず、前提知識として参考となるのは、以下の二つの記事でしょう。米国の現代政治史のおさらいにもなる記事ですが、要点のみを引用します。 ①ニューズウィーク日本版:「トランプ現象」を掘り下げると、根深い「むき出しのアメリカ」に突き当たる – モーリー・ロバートソン 点と線 この支持者たちは誰なのか?なぜ溜飲を下げているのか? 表面的な「トランプ現象」から、より地面の奥にあるレイヤーに向かって掘削していくと、あまり見たことのない地層に突き当たる。裸のアメリカと呼んでもいい。そのむき出しのアメリカを理解する上で鍵となる人物がいる。1968年の大統領選に独立系候補として出馬したアラバマ州知事、ジョージ・ウォレス氏だ。 (中略) さて、現在のアメリカはどうか?1960年代とは環境が一変している。学歴が低い白人男性の視点から現在の政治地図を見ると、あまりにハンデがうず高く積み上げられている。白人の人口が圧倒的多数ではなくなり、政治は非白人の有権者に媚びるようになった。男女平等で男性の特権が無化し、伝統的な「男らしさ」を軽々しく口にすればセクハラとみなされる。LGBTライツの考え方が浸透し、キリスト教的な価値観が都市部では風化していく。加えてユダヤ教、イスラム、ヒンドゥーなどの信仰にも配慮せねばならず、クリスマスのデコレーションを取りやめにするデパートも続出。肩身が狭い。  そこに経済的なダメージも追加される。グローバル経済の浸透により、雇用が中国をはじめとした新興国へと流出。かつての工業地帯は再起不能だ。中産階級が没落し、国内の格差が拡大する。グローバル経済の中では学歴の格差が前の世代よりも拡大する。  愛国心も打撃を受ける。アメリカの外交が複雑化したため「アメリカが一番」といった価値観が成り立たない。アメリカはもう世界の覇者ではなく、二流国へと滑り落ちていくようだ。経済的な立場が弱くなり、夢も見られず、自尊心が失墜した白人男性は最後にブチ切れる。そのブチ切れにトランプが正面から応えてくれる。「怒ってもいいんだ」と。 (中略) トランプの扇動はウォレスの手法を何段階も進化させたものだ。多様化とグローバリズムを嫌う白人男性たちの「本音」に言葉を与え、感動をもたらしている。 ②ウォール・ストリート・ジャーナル:米大統領選に向けた戦い、大きな影響残した1968年に酷似 68年は、ベトナム戦争や人種問題の緊張により、現在と同じような反体制の雰囲気が高まっていた。当時の公民権運動は、現在の移民政策のように社会を分裂させる問題だった。 (中略)  ポピュリスト候補は自党のみならず、相手の政党の大物を脅かした。国内で起きている変化に不満を持つ人間の怒りに訴え、さらにそれをかき立てた候補だ。候補者の主張は支持者からすればまごうことない真実であり、反対派からみれば単なるデマゴーグとしか思えないものだ。  このポピュリスト候補は68年がアラバマ州のジョージ・ウォレス知事(当時)であり、今回は不動産王のトランプ氏だ。2人は生い立ちや階級こそ異なるものの、指導者階級に無礼な(露骨と言う人もいそうだ)攻撃を行う点で共通している。ウォレス氏は、インテリやジャーナリストを「頭でっかち」と呼んだ。トランプ氏は、米国が「間抜け」で「弱虫」のリーダーらのせいで弱体化している、と批判する。  ウォレス氏は公民権運動による恐怖心と怒りを利用したが、トランプ氏はちょうど同じように不法移民による恐怖と怒りを利用している。ウォレス氏のスローガンは「アメリカのために立ち上がれ」だったが、トランプ氏のそれは「アメリカを再び偉大に」だ。 今回、トランプ氏を支持しているのは単純に「共和党」とは言えず、世界の経済・政治状況の変化のなかで自尊心が薄れている「白人男性」ではないか、ということです。彼らの指導者階級への不満と未来に向けた鬱屈感を拾い上げているのが、ポピュリスト候補としてのトランプ氏という格好です。 自動車産業都市として知られるデトロイトでも、雇用につながらない大企業の業績回復に対する憤り、その結果としてのトランプ氏支持という現象が起こっています。工場、すなわち雇用が海外へ流出していることがその背景にあります。 それでも不満の声が出る理由は、経営破綻を期に自動車大手が手掛けたコスト削減が大きい。GMは、07年に米新車市場規模で1600万台だった損益分岐点を1100万台にまで落とした。固定費を減らし利益率重視のスリムな体質にした結果、働き手をたくさん雇わなくても車を量産できるようになった。 雇用が増えない状況はデータ面でもはっきりしている。05年に90万人を超えていたデトロイト地域の労働力人口は10年には80万人を割り込んだ。13年以降は75万人前後での推移している。フォードがメキシコ工場の増産を検討したり、GMが中国工場製の車を米国に輸入しようとしたり、いまの自動車メーカーの成長戦略は地元雇用とはなかなか結びつかない。 (出典:自動車王国デトロイトに見る「トランプ推し」) 共和党のトランプ氏がラスベガスの集会場に現れました。開口一番「壁を築くぞ!誰が払うんだ?」と問いかけると「メキシコ!」と聴衆が応じて拍手。見渡したところではヒスパニック系ぽい人は見当たりません。USAコールが起きてます。(長野) pic.twitter.com/O0xm9vFXnY — 毎日新聞米大統領選挙 (@mainichi_us) 2016年2月23日 共和党もトランプ氏の躍進は、誤算だったのではないでしょうか。実際、在米30年のバンクアナリストという@TrinityNYC さんは、以下のように呟いてきました。 伝統的な意味で、アメリカで「右」「保守」というのは、ルビオみたいのを言うんですよ。トランプは、米国でいうところの「保守」ではないんです。保守の牙城ナショナルレビュー誌が、「トランプが保守?冗談じゃねーよ!!」と喚いてますよw  https://t.co/Hh2sDf5nWl — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年2月24日 ネバダ州で予備選3勝目を挙げたトランプ、侮辱的発言を向けたヒスパニック層からも強い支持を得て、勝利宣言で「私はあまり教育を受けてない人達(the poorly educated)が大好き」と発言。こんなこと言われても彼らは支持する。 https://t.co/4V0NEopgyA — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年2月24日 その通りです。議席数獲得目的でお茶会を許容し、いつしか乗っ取られた共和エスタブリッシュメント組という構図。一般有権者の間にはびこるエリート層への反感の強さを過少視してたために、反知性主義の権化のようなポピュリストのトランプも躍進。 https://t.co/vUR9YUMKTs — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年2月24日 そうですね、当初はみんなでジョークにしてましたからね。いまいちばん焦ってるのは、共和自身でしょう。クルーグマン先生の言葉を借りるなら、トランプの躍進はアメリカの醜い部分を堂々と表出させたわけだから。トランプは究極のポピュリスト。 https://t.co/BzFeUs26Kw — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年3月2日 と指摘しています。5つの州で予備選挙が行われた3月15日のあとにも、以下のように共和党の誤算について語っています。 「国境渡ってくるメキシコ人はレイピスト」と発言したトランプを、ハッキリと「そういう発言は共和党の精神に反する」と反論し叩かなかったのも共和党自身だ。あのころ、共和のオエライがトランプに電話して、「もすこし言葉づかい、気を付けてね」とヤンワリ注意しただけだった。 — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年3月16日 その後、どんどんエスカレートしてゆくトランプを、糾弾するどころか、「共和党から離れて独立されたら、票が割れて困りますんで、共和には絶対に残ってね!」とラブコールを送ったのだって、共和党自身だ。まさか最終戦でここまで票を伸ばすはずないとタカくくっていた。いまごろ慌てたって遅いわ。 — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年3月16日 トランプが「共和の顔」として最終候補になるはずないし、ヤツの人気とカネを取り込んでおけば、ゆくゆく共和党にはプラスに働くと皮算用してトランプを利用しようとしてたんだ。すべて自分で蒔いた種、飼い犬に手を噛まれるどころか、噛み殺されそうになっている。崩壊しようが、同情の余地もない。 — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年3月16日 希望と多様性という価値観の元で大きな発展を実現してきたアメリカですが、その一方で肩身の狭くなった「保守的な白人男性」が存在してきました。彼らの不安はトランプ氏の支持として、今回噴出していると見ることができます。 まさにアメリカは「希望と多様性か、逃避と分断か。アメリカでは二つの相容れない世界観が競合している」のでしょう(ニューズウィーク日本版:「トランプ現象」を掘り下げると、根深い「むき出しのアメリカ」に突き当たる – モーリー・ロバートソン 点と線) 「トランプが過激」というより、日本や欧米のような先進国では「誰が国民で、誰が国民でないのか?」という政治的なテーマが浮上しているのが現状なのだと思う。 — 斉藤久典 (@saitohisanori) 2016年3月2日 トランプが問題なんじゃない、この先、誰がアメリカ大統領になろうとも、アメリカには潜在的にトランプを支持する層がいるということを、アメリカはもちろん世界が、今後の課題として向き合って行く必要があると思う。 — フィフィ (@FIFI_Egypt) 2016年3月2日 大げさに言ってしまうと、今回の選挙は「アメリカ」とは何か、「アメリカが国民として守るべきは誰か」を問う選挙になるかもしれません。結果しだいでは、日米関係や、経済情勢に大きな影響を与えるかもしれません。 トランプ氏については、こちらのレポートで、市場への影響を探っていますので、合わせてお読みください。

「マイナス金利」はまだまだ話題…足元では「スティグリッツ教授」への関心浮上

  トレンドワードは、Twitterやブログから金融市場に関連する話題(トピック)を探して、ランキング形式で表示するツールです。たいていのトピックは数日でランキングから消えていますが、今年の2月、ほぼ毎日上位にランクインしているトピックがありました。それは「マイナス金利」です。   マイナス金利についておさらい   2016年1月29日の日銀金融政策決定会合で「黒田総裁」を含む、複数の委員が賛成(賛成5反対4)したことで、「マイナス金利」の導入が決定されました。その結果を受けて、当日の「ドル円」相場は、発表前には、118円台後半だったものが、一時は121円台を付け、その後119円台前半まで下落するなど大荒れの相場となりました。   さらに、一般的には、「マイナス金利」導入により、日米の金利差が拡大するため、円安方向に動きやすいのですが、新興国を中心とした景気減速懸念から、好調と言われていた米国経済についても悪化懸念が台頭し始めたことで、米国債の金利も低下し、投機筋の円買いも相まって、急激に円高が進みました。その結果、2月24日、衆院の財務金融委員会で日銀の「黒田総裁」は金融政策について「今後とも量・質の面での追加緩和も選択肢」と円高をけん制する発言を行っています。    そして、「マイナス金利」導入は、当然ながら、外国為替市場だけでなく、債券市場へ影響を与え、日本10年物国債の利回りは、マイナスの水準まで低下しました。国債の利回りがマイナスになるということは、満期まで保有して得られる利子と元本よりも高い価格で、当該債券を投資家が買っているということなります。   何故、損をするはずの債券を投資家は買っているのでしょうか。 理由は、「マイナス金利」と量的金融緩和によるものです。日銀の言う「マイナス金利」とは、日銀当座預金の一部に0.1%のマイナス金利を適用するというもののため、銀行を中心とした機関投資家は、「マイナス金利」が適用される部分の資金を債券などに向かわせました。加えて、量的金融緩和政策により、日銀が国債の買入れを行うため、国債の利回りがマイナスになっている状況下でも買いやすい環境になっています。    さらに、「マイナス金利」の影響は、金融市場だけでなく、個人の預金やローンにも波及しています。日銀による「マイナス金利」発表以降、市場での運用が困難になった、メガバンクなど多くの金融機関で、普通預金金利や定期預金金利が限りなくゼロに近い水準まで引き下げられました。一方で、住宅ローンなどのローン金利は引き下げの方向にあります。    このように、1月下旬に決定された「マイナス金利」ですが、金融市場や、預金金利、ローン金利など、徐々に影響範囲が広がっていったため、twitterやブログで話題となり続けていると言えます。   話題のキーワードから市場の関心がどこにあるのかを把握   ちなみに本日もマイナス金利が話題ですが、前日に日銀の金融政策会合の結果発表があったこと、黒田東彦日銀総裁が16日に国会答弁をしたこともあって、議論が続いているようです。国会で総裁は「マイナス金利が-0.5%まで下がるどうかについて  「理論的な可能性はそういった余地ある」と発言したと報じられています。   twitterやブログで話題となり続けているということは、市場の関心がそこにあると言えます。そして、今、市場が何に注目しているのかを把握することは、未来の相場を予測する上で、重要なファクターになります。例えば、少し前の話になりますが、ギリシャの債務問題が表面化した際に、その支援策がまとまるか、ユーロ圏から離脱するか否かなどの報道をきっかけに、相場が大きく変動しました。   このように、その時期における重要なキーワードを把握し、その動向がどのようになるのかを想定することは非常に重要です。トレンドワードを利用すれば、今現在、市場の関心がどこにあるのか一目でわかりますので、有効活用できるのではないでしょうか。   足元は「スティグリッツ教授」に関心 ちなみに本日16日は「マイナス金利」よりも上位に、「スティグリッツ」という単語が話題のワードとして登場しています。スティグリッツ氏は、ノーベル経済学賞の受賞者であるジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授のこと。日本政府は16日午前、世界経済について有識者と意見交換する「国際金融経済分析会合」を初めて開き、講師として同氏を招きました。スティグリッツ教授は、世界経済は難局にあり「2016年はより弱くなるだろう」との見解を示し、「現在のタイミングでは消費税を引き上げる時期ではない」とも述べ、来年4月の消費税率10%への引き上げを見送るよう提言したと報じられています。   市場の関心は、徐々にマイナス金利など金融政策よりも、消費税や財政政策に向かいつつあると考えられそうです。

台湾・鴻海、シャープ買収は世紀の賭け? 郭会長が描く統合メリット

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。※本記事は2016年3月11日にQUICK端末で配信した記事です。 偶発債務発覚もホンハイの買収観測は根強く 鴻海精密工業(ホンハイ・プレシジョン・インダストリー、コード@2317/TW)によるシャープ(6753)への資本参加が、最終的な契約調印の段階に来ている。シャープは約3500億円の偶発債務を提示し、このため鴻海は急きょ契約調印を先送りした。しかし、市場はこれを鴻海がキーテクノロジーを取得する上での大きな前進と受け止めており、さらにシャープに間もなく期限が到来する債務を解決するための緊急資金が必要なことから、双方は最終的に買収契約に合意するとみている。  最近の日本からの報道ですでに明らかになっているように、鴻海は傘下の液晶パネル事業とシャープの液晶パネル部門を、シャープと郭台銘・鴻海会長の合弁事業である第10世代パネル工場(SDP)に統合しようとしている。統合の詳細は説明されていないが、外部の推測によると、主に鴻海傘下の群創光電(イノラックス、コード@3481/TW)、シャープの液晶パネル部門、SDPの3社を1つにしようとしているもようだ。  業界の推測によると、鴻海はシャープが持つ液晶パネルの技術力を統合するに際して、「アクティブマトリクス式有機EL(AMOLED)」の開発に焦点を当てている。これによって、将来のアップル(コード@AAPL/U)のiPhoneへの採用という潜在的なビジネスチャンスを確保しようとしているのだ。早ければ2019年にAMOLED製品の量産が始まる見込みだ。合併の情報は今のところ鴻海グループが認めるところとはなっていない。しかし、鴻海がもしシャープを手に入れることができれば、戴正呉・鴻海グループ副総裁が、郭台銘会長を支える役割を演じ、シャープの再建という重大な責任を負うことになると予測されている。 モバイル端末テクノロジーを渇望 各方面からは、鴻海がシャープの株式65.86%を買収するということは、世紀の賭けだと考えられている。しかし、緻密な計算と計画で知られ、おとなしくしているようなタイプではない郭台銘会長だけに、もし背後に膨大なビジネスチャンスと顧客の需要がなければ、これまで4年間もかけてシャープへの資本参加を求め続けることはないはずだ。  台湾の業界関係者の分析によると、もし今回の買収を郭台銘会長の「絶妙な一手」とするなら、それはシャープの最も鍵となる液晶パネル技術、鴻海の部品、中国の巨大な製造体制、アメリカのトップブランドであるアップルからの支持という四つの要因を結び付けることに着目した点だ。これにより、シャープを短期内に改造し、シャープが抱える膨大な負債よりも長期的利益を大きくし、なおかつ鴻海グループとシャープの製造資源の統合を実現するに違いない。  なぜシャープを、無理をしてでも獲得したいのか。それは、スマート型モバイル端末装置のキーテクノロジーを取得するだめだ。その応用範囲は、近年急速に成長しているスマートフォン、ノートパソコン、タブレットPCのほか、さらに自動車、家電などまで、大・中・小型のすべてのディスプレーを含んでいる。 シャープの技術でサムスンに対抗 シャープは2015年において、世界のLTPSの生産能力の約18%を持っており、世界で3位以内にある。シャープはまた、世界最大のIGZOの生産能力を持っている。これは、スマートフォンとタブレットPCの新世代のOLEDパネルに応用できる。鴻海グループ傘下の各子会社によるタッチパネル・コントロール、貼り合わせ、モジュールを統合し、巨大な生産能力を組み合わせることで、新世代の小型パネルの生産方式の力を十分に発揮させ、最高の経済価値を生み出すことができる。 シャープはまた、現時点において各種の規格のOLEDパネルを供給できる数少ないパネルメーカーだ。この製品は、すでにアップルから次世代のパネルに列挙されており、鴻海が継続的に受注を守るためのキーパーツとなっている。鴻海は、シャープへの資本参加後もシャープの技術を外に漏らさないと約束しているが、アップルに対してはすでに関連部品の統合を完了したと表明している。大型受注を確保したあと、さらに大型パネルで中国の膨大な市場需要を掌握して、サムスン(コード@005930/KO)と対抗していくためだ。

投資家が知っておくべき「原油価格に振り回されない銘柄選び」の方法

2016年3月現在、相変わらず日経平均株価は原油価格の変動と、それに伴う為替の上下で激しく揺れ動いています。日によっては日経平均価格が500円以上動くという変動率の高い局面が続いています。今回は、中~長期的に安定した運用をしたい方のために、原油価格に影響しない銘柄選定術を探りたいと思います。 図:2016年3月10日時点での原油ETF(1671)の価格チャート   選定術1:業種選び 原油に影響されない銘柄選びですので、まず第一に業種分類(セグメント)の選定がスタートラインです。 原油価格が業績に大きな影響を与える業種としては「エネルギー(販売含む)」「科学」「石油精製」「製造(油性製品が関わる物)」「繊維(紙)」が当てはまります。 出展:経済産業省「原油価格上昇がわが国産業への影響に関する調査結果について(H16)」 データは少し古いですが、原油が必要な業種というのは画期的な新素材が開発されたような業界でない限り大きく様変わりしていないでしょうし、仮に開発されていたとしても原油依存が0%になっているということはほぼありえませんので、こちらのデータを参照していただければと思います。基本的に、「原油に依存している業種は避ける」ということが重要です。 その一方、上記のデータにある「鉄鋼」「電気機械」「アルミ」「セメント」などの業種は、原油の影響が低いとされているのですが、注意が必要です。なぜなら、原油価格の下落で資源国の経済が影響を受けた場合、おおむねこういった素材や電機・機械の有力な輸出先として資源国があるため、間接的に業績に悪影響を与える必要があります。また、原油価格が下落しているということは、原油の需要を左右する新興国の経済が変調している可能性が高いため、新興国経済の恩恵を受けている素材系業種も悪影響を受ける可能性があります。 原油価格が直接影響を与える業種、原油価格を左右する新興国・資源国向け輸出が多い業種などは、注意した方がよいということです。 選定術2:割安度と安全性から検索 では次に実際の銘柄選定です。ツール『QUICK株サーチ』を使い、銘柄を分析してみましょう。今回の銘柄選定で重視するのは「割安度」と「収益性」、「安全性」のスコアです。優先順位としては「安全性」(=自己資本比率)、つまり財務の健全性の方が上ですが、長期保有前提の場合は安全度があっても高値つかみをしては意味がないですし、逆に割安でも安全性が低ければ上場廃止や減資といったリスクに晒されるため不適格です。以下のようなスコアは理想形の一つであると考えられます。       これは初期ツール画面の「形から探す」で選定したものですが、手順としては以下です。 ①:まず最優先の「安全性」と「割安度」を8以上に設定 ②:「収益性」を5以上に設定 ③:「規模」を3以上6以下に設定 ④:「成長」に関してはあまり重視しない   スコア数値選択理由 では順番に、スコア数値の選定根拠について解説します。 ①:「安全性」と「割安感」 これは前述した通り、「長期的に保有するの前提」というところの必須条件です。 ②:収益性を5~以上 たとえば、いま安全性や割安感があっても、儲かっていない企業(収益性が低い企業)というのは、経済状況の変化を受けて売上が減ると、利益が急速に悪化する可能性があります。つまり財務状況が悪化する可能性をはらんでいます。 また、足元で収益が悪化している企業というのは為替や原油価格の影響を大きく受けている可能性が高いため、避けるべきです。もちろん、収益性の良い企業でも、その理由が原油価格の影響を受けていないか、ということもチェックする必要があります。要は、原油価格の変化とは関係なく、収益力のある企業を探そう、ということです。 ここでは、必要最低限(会社の運営経費)をまわせる程度に儲かっていれば問題はないので7以上というような高い水準を求めるのではなく、あくまで平均的な数値として5以上というのを選んでいます(もちろん高ければ高いに越したことはないのですが)。 ③:規模を3以上6以下に設定 これも②と同じで「今後の運転資金コスト」に関する設定です。 当然、事業規模が多ければそれに伴う運転コストや社員の数などは多いパターンがほとんどですよね? ですので、あまりにも大きすぎる企業というのは収益が悪化しだした場合、雪崩のようにファンダメンタルが崩れるリスクを内包しています。企業の大きさ=安定度、ではないので注意が必要です。 とはいえ、規模が小さすぎてもそれはそれで安定性が不安なので、小さすぎず、大きすぎずの3以上6以下という数値を選定しています。 ④:成長に関してはあまり重視しない これは「安全性」と「割安感」をベースにしているためです。 上記の条件を満たしている企業の場合、成長性があれば株価が上がりますし、成長性がなく(=事業として成熟している)安定性が高ければ自社株買いや配当といった形で株主に還元をする会社がほとんどです。 ですので、どちらにとっても保有者にとってはプラスということで、あまり重視をしていません。以上です。   こういった暴落局面は、中長期的に割安銘柄を探すチャンスですので、皆さんもぜひトライしてみてください!   編集:QUICK Money World    

落着き見せる日本株…マイナス金利の影響、好悪を見極めよう

波乱の2月相場、3月は落着きを見せ始めたが… 日経平均株価が一時1万5000円を割り込んだ2月の波乱相場が終わり、3月は落着きを取り戻しつつあります。特に3月2日、日経平均が前日比661円高で取引を負えたことに回復の兆しを見て取る声があります。 3月に入ると米景気に対する懸念が薄れ、株価下落の要因のひとつである円高ドル安進行が落着きを見せ始めたからです。日経平均の大幅高の前日3月1日、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した2月の製造業景況感指数が市場予想を上回り、米景気の不透明感が後退しました。 QUICKスコアで見る銀行株の割安さをどう見るか この急落局面で割安となった株を探そうとしている投資家もいらっしゃると思います。QUICK株サーチを見ていると、「お買い得感のある株」として三菱UFJ(8306)、三井住友FG(8316)などの銀行株が出てきます。 国内最大のメガバンク、三菱UFJについて詳しくみてみましょう。 まず「割安度」のスコアが10と高く、さらにプロのアナリストの投資判断の平均値である「QUICKレーティング」は+1.64と強気ゾーンとなっています。三菱UFJも含め、銀行系の株価が割安となっているのは、2016年2月半ばから日銀が導入したマイナス金利の影響とされています。金利の低下が利ざやの縮小につながると考えられているからです。   2月中旬に500円台を割った三菱UFJ株は現在、530円台まで値を戻しています。スコアの「為替」が10と、為替の影響が大きいので、今後も円安が進むにつれて、下位の流れが続く可能性もあります。しかし注意しておきたいのは、株価の変動率を示す「リスク」のスコアが10と高い、つまり株価が大きく動きやすい株だということです。今回の銀行株の戻りは、必ずしも、マイナス金利が銀行に与える影響の懸念が和らいだものとは言えません。あくまでも、円相場の下落と日本株全体が底上げされたことによるものとみるべでしょう。短期的な上昇として注意する視点も重要です。   割安度の高さも、「株価がどれほど乱高下するか分からないので手を出しにくい」ということの現れと考えることもできます。 株価の戻りは続くのか?マイナス金利の相場に与えるプラス面 株価の値上がりは今後も続くのでしょうか。日本の銀行株については、マイナス金利の影響に対する懸念が払拭されないうちは短期的な株価上昇であるかもしれない、という可能性を指摘しました。では、日本株全体においてはどうでしょうか。 まず、続々と発表されている米国の経済統計ですが、堅調な内容なものが多く、米国経済に対する懸念は2月ごろよりも、かなり楽観的になっていると思われます。米国株上昇の追い風があれば、日本株全体も当分は上昇するものと見込まれます。 また、日本株上昇の根拠は欧米の株価上昇だけではありません。3月が決算期の日本企業の間で、4月から5月にかけて、自社株買いの動きが広まるものとみられています。マイナス金利の恩恵で資金調達金利が低下した上場企業が、低利で調達した資金を使い、自社株買いを進めるのでは、との分析も多く出ているためです。米国への過度の不安の後退と、自社株買い期待で、日経平均もひとまず回復の動きに転じるのではないでしょうか。   編集:QUICK Money World

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