決算発表にもAI速報 翌日の売買をお膳立て

1月下旬から3月期決算企業の2016年4~12月期の業績発表が相次いでいます。「決算が重要なのはわかるけど、翌日に株価が上がるのか下がるのかわからない」「『決算良かったけど、きょうの株価はどうなるの?』って聞かれたけど…」、QUICKのAI速報シリーズの株速報ではこんな悩みも解決します。 まず、2日の朝7時36分にQUICK端末に配信されたニュースの抜粋をご覧ください。 <AI速報>【決算スコア】フタバ、扶桑化学がポジティブ、カプコンやナガセはネガティブ(1日大引け後)  1日大引け後に発表された決算や業績予想修正を対象に、統計的に株価インパクトを数値化したスコア(決算スコア)を算出したところ、フタバ(7241)や扶桑化学(4368)、レオン自機(6272)の発表内容がプラス、カプコン(9697)やナガセ(9733)の発表内容がマイナスとなった。  決算スコアのプラスは過去の類似パターンから統計的に株価にポジティブ、マイナスは逆にネガティブな内容だったことを示す。以下、各発表内容の決算スコア(絶対値)が大きい順にまとめた。 <ポジティブ> 銘柄      発表   スコア    開示 7241  フタバ  3Q決算  +5.62     KBC6718 業績修正                                +5.16           KBC6719 4368   扶桑化学  3Q決算    +4.05          KBC3878                               配当予想  +2.14           KBC3883 6272   レオン自機   業績修正  +3.12          KBC0381 3662   エイチーム      業績修正  +3.03         KBB8754 7274   ショーワ     3Q決算      +1.54         KBB8690 7518 ネットワン         3Q決算      +1.42         KBB8573   決算スコアとは、企業が発表した決算や業績・配当予想修正が、どの程度株価にインパクトを及ぼすかを統計的に算出した参考指標です。ざっくりいうと、プラスであれば過去の類似パターンから統計的に翌日の株価は上がることが多い、逆にマイナスであれば、株価は下がることが多いということになります。 2日の株価をみてみましょう。 決算スコアがプラスだったフタバ、扶桑化学、レオン自機、エイチームは軒並み上昇しています。これらは業績や配当の上方修正で株価上昇が予想しやすいので、注目して欲しいのはネットワン。業績や配当の修正はありませんでしたが、2日の株価が上昇しています。決算スコアはプラスを示しており、取引開始前にAI速報では上昇を見通していたことになります。 時価総額が大きくない中小型株などでは、アナリストが業績見通しを出していない場合が多く、指標となるマーケットの予想を見出しにくいのが現状です。ただ、この決算スコアではほぼ全ての上場銘柄をカバーしており、売買の大きな手助けとなりそうです。   QUICK AI速報 上場企業の適時開示資料や株価情報を自然言語理解技術など最新のAI(人工知能)を使って瞬時に読み解き、自動解析ニュースとしてサービスしています。現在、「企業開示速報」と「株速報」の2種類をサービス中。「企業開示速報」は東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)と金融庁の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)の一部情報を自動解析の対象としています。 お問い合わせはこちら http://corporate.quick.co.jp/contact

LINE公式アカウント開設 マーケットのお天気は?

QUICKは1日、LINE(3938)の対話アプリ「LINE」の公式アカウントを開設した。LINEを通じて現在や過去の株価、企業の概要など金融情報サービスを提供する。その日の東京株式市場で相場が上がるか下がるかの予想も通知する。  2日の朝7時30分、LINEにはこんな通知が届いた。  2日の株式天気予報は「くもり」。1日の米ダウ工業株30種平均は小反発し、大阪取引所の夜間取引で日経平均先物3月物は1万9180円と、前日の清算値(1万9190円)を10円ほど下回った。2日の日経平均株価は方向感を欠く展開が予想されることを九十九蘭ちゃんが視覚的に教えてくれた。 実際、2日の日経平均株価は1万9100円台で前日からほぼ横ばいで始まった。  QUICKのLINE公式アカウントでは人気アプリ「IRroid恋の有効フロンティア」の九十九蘭ちゃんと対話できる。「トヨタの株価は?」と入力すると株価や配当利回りを返答する。 企業概要やランキングも!!     ユニクロは?売買代金は?  2日の大引け後にファーストリテイリング(9983)は国内ユニクロ売上高を発表する。九十九蘭ちゃんに「ユニクロの会社は?」と話しかけると、ユニクロの運営会社がファーストリテイリングだと教えてくれる。 取引時間中には各種ランキングも回答する(株価は20分遅れ)。 例えば、「売買代金」といれると、その日の「売買代金トップ10」を回答する。 値上がり率、値下がり率、売買代金、売買代金急増などで回答が可能だ。 公式アカウントは対話アプリLINE内で「@quick_irroid」で検索。  詳細:http://corporate.quick.co.jp/news?post=2284    

台湾イノテラ完全子会社化の米マイクロン、台湾投資を拡大へ 中国進出は明言避ける

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。 (※この記事は2016年12月26日にQUICK端末で配信した記事です。) 米半導体大手マイクロン・テクノロジーが台湾DRAM大手の華亜科技(イノテラ・メモリーズ)を完全子会社化 米半導体大手マイクロン・テクノロジーは今月6日、台湾DRAM大手の華亜科技(イノテラ・メモリーズ)の完全子会社化を正式に完了した。マイクロンのマーク・ダーカン最高経営責任者(CEO)は完全子会社化完了後の12日に開催した祝賀会で、台湾への投資拡大を決定したと宣言した。台湾投資にはイノテラ工場の第2期拡張工事や台湾における初の3次元(3D)DRAMパッケージング・テスト工場の建設が含まれ、DRAMとNAND型フラッシュメモリーを結合するマルチチップパッケージ(MCP)をアジアへ供給する重要拠点にすることを明らかにした。 工場の用地確保に台湾政府が全面協力 マイクロンは台湾の桃園市政府に今後の拡張用地確保に向けた新たな土地提供を打診したと伝わっている。この件について、既に蔡英文総統の強い支持を得ており、蔡総統が鄭文燦・桃園市長に全面的に協力させることを承認したという。 また、タッチパネルメーカーの達鴻先進科技が中部科学工業園区(中科)に有する工場をマイクロン台湾支社が買収する計画もある。主にシリコン貫通電極(TSV)技術を用いた3D・DRAMのパッケージング・テスト工場の建設用地にする予定で、関連の用地購入計画について交渉が進行中だ。 一方、マイクロンは、半導体の後工程(組み立て)大手である米アムコアテクノロジーの台湾エリア総経理を務めた梁明成をマイクロンの台湾における3番目の総経理に迎え入れた。梁氏は主にメモリーの後工程とパッケージング・テストの業務を担当する。 ダーカンCEOは、イノテラのマイクロングループへの正式加入を取り仕切るために台湾を訪問した際、イノテラのグループ入りがマイクロンにとって重要な節目になると強調した。さらに、台湾での投資を継続し、台湾の従業員を優遇すると述べた。 また、ダーカンCEOは、台湾への投資拡大で中科を優先させることを率直に認めた。もっとも、関連の投資の詳細は明らかにしなかった。DRAM市場は現在、韓国のサムスン電子、SKハイニックス、マイクロンのビックスリーによる寡占状態にある。収益を安定して得られる現在の局面を大規模な増産で打破するようなことは各社いずれも望んでおらず、マイクロンもこうした局面を良しとするのだという姿勢が浮き彫りとなった。  (出所:DRAMeXchange、2016年第一四半期のデータより) 他方、中国本土がマイクロンの投資誘致に向けて強く働きかけている件について、ダーカンCEOは、中国本土は巨大な市場を持つ国だとした上で、特に今後、同国が「メイド・イン・チャイナ(中国製造)」を目標として強化する中、メモリーも重点発展産業のひとつとなるとの見方を示した。こうした中で、マイクロンとしても中国の様々な業界との商談を希望することは言うまでもないと指摘した。 同時に、ダーカンCEOは、台湾におけるマイクロンと化学最大手である台湾塑膠工業(台湾プラスチック)グループの企業によるイノテラの合弁設立はとても良い提携モデルだとし、こうした提携モデルを中国本土でも活用することは合理的であると強調した。 もっとも、マイクロンは現在、DRAM分野で日本の広島、台湾の中科と華亜科技園区に生産能力を有する。ダーカンCEOは、中科には今後の拡張計画を続行可能な土地もあり、台湾政府の支持も得ていると指摘。さらに、マイクロンが現時点で世界市場のシェアで重要な地位を占めており、ここ数年間の市況も安定しつつあるとの分析を示した。 中国本土での工場展開も検討している 一方、中国本土について、ダーカンCEOは、同国が製品の供給源の不足に対する懸念から現地供給を直接サポートできる生産能力の確保を望んでいると思われると分析。そのために他のDRAM大手メーカーとの提携獲得に積極的に取り組んでいると指摘した。ただし、マイクロンには同国に工場を建設して生産能力を拡大する切迫した必要性はないと述べた。 反面、NAND型フラッシュメモリーについては、景気と価格の変動が依然として大きく、今後、イノテラモデル(合弁と技術ライセンス提供)を活用して中国本土企業と提携する可能性は比較的高いと指摘した。 とはいえ、中国本土企業との提携合意の有無について、ダーカンCEOは詳しい情報を明らかにしなかった。市場の状況や各方面の条件次第だと強調し、現時点で具体的な計画はないと述べるにとどめた。   本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元である李臥龍氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。  

今日の相場を先取り!! QUICKのAI速報がすごい便利

QUICKが提供するAI速報シリーズの「株速報」では、毎営業日の8時10分にその日の朝刊に取り上げられた主な銘柄の寄り付き前の板状況をお届けします。 1月31日の株式市場では、NECが大きく値を下げています。30日の取引終了後に今期業績見通しを大幅に下方修正したことが材料となっています。31日の8時10分でQUICK株速報で配信されたニュースをみると、「<AI速報>【材料発生】NECの寄り前気配は5.22%安、ソニーは4.04%安」とNECが大きく下げることが取引開始前からいち早くわかります。もちろん、板状況なので、実際の取引でその値段が付くかどうかはわかりませんが、その日の個別銘柄の動向をいち早くつかむ手掛かりになります。 ※31日のQUICK端末で、8時10分に配信されたニュースの抜粋 <AI速報>【材料発生】NECの寄り前気配は5.22%安、ソニーは4.04%安 31日の寄り付き前の株式市場では、「今期連結純利益74%減の200億円に 従来予想を300億円下回る」と伝わったNEC(6701)に売り注文が先行している。8時10分時点の気配仲値は基準値に比べ5.22%低い。「ソニー、映画事業で減損1121億円 エムスリー株は一部売却」と伝わったソニー(6758)は同4.04%基準値を下回っている。  以下、日経QUICKニュース社が新聞紙面などからピックアップした材料発生銘柄について、寄り付き前の板状況をまとめた。 銘柄  寄り前気配 基準値比 活況度 NEC    299.5    -16.5   [100] (6701)         -5.22% 「今期連結純利益74%減の200億円に 従来予想を300億円下回る」(日経)  動きそうな銘柄もいち早くわかる!! 新聞に取り上げられていないマイナーな銘柄でも、板状況から株価が動意付く予兆を検知し、開示情報が出ていれば、お伝えします。31日は、ジャスダック上場のケイブが大きく値を上げていますが、株速報では、8時23分に「<AI速報>【寄り前注文】予想値上がり上位:ケイブ、東邦化、リアルコムなど」と伝えています。 ※31日のQUICK端末で、8時23分に配信されたニュースの抜粋 <AI速報>【寄り前注文】予想値上がり上位:ケイブ、東邦化、リアルコムなど 31日の株式市場で、寄り付き前の注文状況を集計したところ、8時20分時点でケイブ(3760)や東邦化(4409)、リアルコム(3856)に大きく買いが先行している。以下、東証上場銘柄を対象に、寄り付き前の気配仲値を基準値と比べ、かい離率の高い銘柄を抽出、予想値上がり率ランキングを作成した。 銘柄  寄り前気配  基準値比 ケイブ            1604.5             +22.76% (3760)          [1,307] 1/30 「適時開示:ガンホー・ガマニア社とのライセンス契約締結に関するお知らせ」  東邦化      328                  +21.48% (4409)          [270] リアルコム          1,015.5                +17.12% (3856)          [867] 1/27 「第三者増資(単独) 払込日」 「適時開示:第三者割当増資の払込完了に関するお知らせ」  場中も投資家の強い見方!! 新高値、空売り規制などをお知らせ 取引が始まってからも株速報は、売買の心強い手助けになります。場開始1時間後の10時過ぎには、新高値・新安値銘柄、空売り規制の対象となった銘柄、寄り付きより株価が大きく上げた・下げた銘柄の情報を配信します。配信も10時過ぎだけでなく、11時過ぎ、13時過ぎ、14時過ぎ、と個別銘柄の動きを見逃しません。 ※31日のQUICK端末で、10時過ぎに配信されたニュースのヘッドラインの抜粋 <AI速報>【新高値】メガチップス、富士電機など更新(10時:87銘柄) <AI速報>【新安値】コーセーアールイ、ウ゛ィレッジVなど更新(10時:9銘柄) <AI速報>【空売り規制】NECやサムスンG株など発動(14銘柄:10時) <AI速報>【寄付後上昇率】コスモス電や博展、BBTなど <AI速報>【新安値】コーセーアールイ、ウ゛ィレッジVなど更新(10時:9銘柄)   QUICK AI速報 上場企業の適時開示資料や株価情報を自然言語理解技術など最新のAI(人工知能)を使って瞬時に読み解き、自動解析ニュースとしてサービスしています。現在、「企業開示速報」と「株速報」の2種類をサービス中。「企業開示速報」は東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)と金融庁の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)の一部情報を自動解析の対象としています。 お問い合わせはこちら http://corporate.quick.co.jp/contact  

米国株、ダウ初の2万ドル トランプ大統領も「グレート!」

米ダウ平均、1896年の算出開始から初の2万ドル (表は直近の節目1万9000ドルを上回った2016年11月22日から2017年1月位25日(42営業日)のダウ平均採用銘柄の株価上昇率ランキング)   25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸した。前日比155ドル80セント(0.8%)高の2万0068ドル51セントで終え、1896年の指数算出開始から初めて2万ドルの大台に乗せた。トランプ政権が掲げている大規模な減税やインフラ投資により米経済の成長期待が高まった。トランプ氏は20日に米大統領に就任、今後は具体的な政策の実行能力が問われる。 「グレート!」。25日に米ダウ平均が初めて2万ドルに到達すると、トランプ氏はツイッターでつぶやいた。昨年11月の米大統領選でトランプ氏が勝利して以降、米株式市場では株高が続いていた。足元で発表されている好調な米企業の2016年10~12月期の決算も追い風になった。 1000ドルの節目超えは過去2番目の早さ 米ダウ平均は米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが1896年に算出を開始した。今回の米株高の上昇スピードは異例の早さだ。25日に2万ドル超えを達成した米ダウ平均は1000ドルごとの節目を抜いた記録が64日間と過去2番目の早さだった。最短記録は1999年3月29日に1万ドルを到達してから同年5月3日に1万1000ドルを突破した35日間だ。 米大統領選前には多くの市場関係者が「トランプ氏が当選すれば先行きの不透明感から米株安になる」と見ていた。2015年末時点では金融機関の「びっくり予想」でトランプ氏の勝利が上げられていたほどだ。想定外のトランプ氏の勝利、さらには米株高が続いて米ダウ平均は2万ドルを突破した。 米国から見た日本株は2000年以降で最高水準  かつてない米株高につれて日本株も上昇している。26日午前の東京株式市場で日経平均株価は前日比276円(1.4%高)まで上昇する場面があった。外国為替市場で円相場は前日の大引け時点より円高方向に進行した一方での日本株の上昇には投資家心理の改善が見てとれる。 実は、米国から見た日本株は記録的な高水準だ。ドルベースでみた日経平均は26日に一時、170.28ドルまで上げた。取引時間中としては2015年6月24日(169.13ドル)を上回り、QUICKの日足ベースのデータで確認できる2000年6月以降で最高水準に達した。外国人投資家から見れば日本株の魅力も高まっていきそうだ。 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】 (QUICK NewsLine)

小売進化の最前線…「歯医者さん」よりも多いコンビニ業界をおさらい

地域に根差したサービスステーション…「歯医者さん」よりも多い コンビニエンスストアは全国に5.5万店舗(10月時点)もあり、成熟産業と思われがちです。しかし実は着々とパワーアップを続けています。例えば、コンビニに設置してあるATMでの取引は今や当たり前ですが、銀行に行かずに現金の引き出しや振り込みができることは当時、画期的でした。さらにサービスの内容は宅配便の発送、公共料金の支払い、ネット通販で発注した商品の受け取りと、とどまるところを知りません。 最近では行政との連携も加速し、公共的な役割も大きくなっています。マイナンバーカードを利用すれば住民票の写しや印鑑登録証明書を店舗によっては土日祝日、早朝から深夜まで取得できます。ローソンについては一部店舗ではあるものの、医薬品の販売や店舗での「出前検診」などを実施しました。 業態は異なりますが、総数からコンビニとの比較対象によく挙がる歯科医院はどうでしょうか。診療所の数こそ約6.9万医院(9月時点)とコンビニを上回りますが、提供するサービスの種類は比になりません。コンビニは銀行や役所、病院などを結ぶ地域に根差したサービスステーションといえます。     セブン一人勝ち状態 経済産業省の調べによると、コンビニの年間売上高は2009年に百貨店を上回り、15年には初の10兆円の大台を突破するなど拡大傾向です。市場規模はスーパーには及びませんが、小売業全体の7%を占有しています。 16年2月時点の業界トップはセブン―イレブンで一人勝ち状態が続いています。店舗数は1万8572店とローソンの1.5倍程度ですが、2016年2月期の国内全店舗の売上高は4兆2910億円とローソンの1.8倍です。競合他社より平均客単価が高く、1店舗あたりの日々の販売額が多いことがプラス寄与しています。 セブン―イレブンが消費者に選ばれる理由は、欲しい商品がいつでも必ず手に入る環境を意図的に生み出しているからでしょう。各店舗は商機を逃さないよう積極的に商品を発注します。一般にコンビニの場合、お弁当やパンなど日持ちしない食品を数多く扱っているため、廃棄ロスを最小限に抑えたいフランチャイズチェーン(FC)のオーナーは大量発注に及び腰になりがちです。しかし、セブン―イレブンは廃棄損失分の15%を本部が負担する制度があり、これが大胆な発注を生み出す一因となっています。他社もこの制度の導入に追随しています。 直近ではファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが経営統合。ユニーグループの傘下にあったコンビニ「サークルK」と「サンクス」を順次ファミリーマートのブランドに一本化する方針です。これにともない、ファミリーマートの店舗数は1万8140店舗に拡大し、業界4位から2位に浮上。首位のセブン―イレブンの1万9166店舗に肉薄する勢いです(16年11月末時点)。        コンビニから人がいなくなる? コンビニ業界では現在、金融業への参入が相次いでいます。ローソンは銀行業に参入するための準備会社を設立しました。利便性を高めて消費者を囲い込みたいのでしょう。流通業としてはセブン&アイ・ホールディングスのセブン銀行、イオングループのイオン銀行に続き3社目になります。銀行業だけでなく保険など幅広く金融ビジネスを手掛けています。小売業と金融業の垣根がなくなり、1カ所でいろいろなサービスを受けられるワンストップサービス化が進んでいます。 コンビニのワンストップサービスはさらなる発展を遂げようとしています。12月7日付けの日本経済新聞によると、米アマゾン・ドット・コムがコンビニ市場に参入するそうです(動画あり https://www.amazon.com/b?node=16008589011)。その名も「Amazon Go」。スマートフォンでの電子清算を活用した会計不要の店舗らしいです。2017年早々には展開するとのことです。日本でもアマゾンタイプの店舗が登場するかもしれません。実際、ローソンはパナソニック(6752)と提携し、無人レジを来年度から導入するそうです。イノベーションを続けるコンビニ業界は今後も要注目でしょう。  

香港株、来年はハンセン指数2万6500台まで上昇か 中国経済の回復で

 QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。 (※この記事は2016年12月19日にQUICK端末で配信した記事です。)  2016年も残りわずかとなったことで、香港株と中国人民元建てA株のパフォーマンスを総括したい。今年年初から12月13日大引けの時点で、香港株式市場のハンセン指数は2.4%上昇した。可もなく不可もなし、といったところだ。一方、同期間にハンセンH株(中国本土企業株)指数は0.6%の上昇で、ハンセン指数を下回るパフォーマンスだった。これは中国の人民元建てA株の影響を大きく受けたためである。  (出所:QUICK) 中国経済は回復している  中国株式市場の上海総合指数は年初から12月13日大引けまでに10.9%下落した。もっとも、2017年は中国A株のパフォーマンスが今年を上回るだろう。主な要因は中国経済が回復の様相を呈することで、企業収益の増加が加速するとみられるためである。中国国家統計局が発表したデータによれば、今年1~11月の固定資産投資は前年同期比8.3%増だった。このうち、低迷が続いていた民間投資が同3.1%増と、1~10月から0.2ポイント伸びが拡大し、投資全体の61.5%を占めた。産業別では、第1次産業が21.9%増、第2次産業が3.3%増、第3次産業が11.3%増だった。第3次産業のうち、インフラ投資が18.9%増、ハイテク産業投資が15.9%増で、いずれも固定資産投資全体の伸びを上回った。  一方、過熱する不動産市場に対する中国政府による引き締め強化により、1~11月の全国の分譲物件の販売面積は前年同期比24.3%増と、増加率が1~10月から2.5ポイント縮小した。販売額の増加率は37.5%増と、3.7ポイント減速。もっとも、不動産開発投資は6.5%増と、1~10月からわずか0.1ポイントの減速にとどまった。不動産開発企業による土地購入面積は4.3%減で、減少幅が1~10月から1.2ポイント縮小した。土地の成約額は21.4%増加し、1~10月から増加率が4.7ポイント拡大した。これらは不動産開発企業が引き続き積極的に土地の保有を増やしていることを示唆する。全国の分譲物件の売り出し面積は11月末時点で6億9000万平方メートルで、10月末時から427万平方メートル減少した。9カ月連続で減少し、引き続き在庫調整が進んでいることが示された。   一方、11月の社会消費品小売総額は前年同月比10.8%増だった。増加率は10月と比べ0.8ポイント拡大。市場予想は10.2%増だった。1~11月の累計では前年同期比10.4%増で、1~10月から0.1ポイント拡大。また、全国のインターネット販売小売額が26.2%増と1~10月から0.5ポイント加速し、中国の全体的な消費が引き続き安定していることが示された。一方、11月の全国の一定規模以上(年間の主要業務収入2000万元以上)の企業による工業生産は前年同月比6.2%増で、伸びは10月から0.1ポイント加速した。ハイテク産業が10.6%増、設備製造業が10.5%増と、全体を上回るピッチで伸び、工業セクターの産業構造が引き続き高度化していることが示された。対外貿易では、11月の輸出入総額が前年同月比8.9%増だった。このうち、輸出額が5.9%増と、3.4%減だった10月から顕著に回復した。輸入額は13%増で、増加率が10月から9.8ポイント拡大した。  他方、11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.3%上昇した。上昇幅が10月から0.2ポイント拡大し、インフレ傾向の強まりを示した。1~11月のCPIは前年同期比2%上昇し、中国政府が設定した3%のインフレ目標にはまだ遠い。11月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比3.3%上昇と、上昇幅が10月から2.1ポイント拡大した。また、1~11月では前年同期比2%減と、減少幅が1~10月から0.5ポイント縮小。工業セクターでデフレが徐々に後退し、企業の収益改善につながりつつあることが示された。1~10月の全国の工業セクターにおける一定規模以上の企業の利益は前年同期比8.6%増と、増加率が1~9月から0.2ポイント拡大した。また、工業企業(一定規模以上)の主要営業収入100人民元当たりのコストは85.85元と、前年同期から0.17元低下した。主要業務利益率は5.71%と、前年同期から0.25ポイント上昇した。さらに、工業企業(一定規模以上)の負債比率は10月末時で56.1%と、前年同月から0.7ポイント低下。完成品在庫は前年同月比0.3%減となり、連続7カ月減少した。 PMIは4カ月連続で景気拡大期を示す  今後の展望に関しては、中国の製造業の見通しは引き続き良好だ。11月の中国政府発表の製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.7と、4カ月連続で景気拡大期を示した。一方、同月の財新中国製造業PMIは10月から0.3ポイント低下して50.9。もっとも、2014年7月以来の高い水準は維持しており、5カ月連続で景気拡大期を示している。  全体的に見て、データはいずれも中国経済の回復を示唆している。(各データの)増加ピッチが全般に加速傾向にあり、それにより企業収益が改善しつつある。一方、中国政府が不動産市場に対する過熱引き締めを実施することで、不動産市場から株式市場への資金の流入が促進される見通しで、このことは株式市場に有利となるだろう。また、第19回中国共産党全国代表大会(略称は19大)が来年秋に開催される予定で、多くの改革措置が打ち出される見通しであることから、このことも株式市場にとってプラスとなるもようだ。 上海総合指数は2割超の上昇余地がある   バリュエーションの改善が進み投資家のリスク選好が強まるとの予測から、筆者個人としては、上海総合指数の目標値を3880に設定する。この予測目標が実現する場合、上海総合指数に2割超の上昇余地があることになる。一方、ハンセン指数については目標値を2万6500、ハンセンH株指数は1万1800に設定する。それぞれ足元の水準から2割前後の上昇余地があることになる。  (出所:QUICK)  本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元であるルイス・ウォン氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。 

どう見る金融庁の森改革②フィデリティ・三瓶氏「情報開示の新規制で海外から信頼」

金融庁の森信親長官の改革の中でも企業が関心を寄せているのが情報開示の新ルールだ。企業がアナリストなど特定の人に未公表の情報を提供した場合、他の投資家にも情報が伝わる「フェア・ディスクロージャー・ルール」の策定が進んでいる。新ルールはいったいどんなものなのか。金融審議会で策定中のルールのたたき台などを提出しているフィデリティ投信の三瓶裕喜・調査部長に聞いた。(QUICK端末で2016/12/09に配信された記事です)   明らかに異質だった日本の慣行 ――新ルールの策定が急ピッチで進んでいます 「2014年4月に金融商品取引法改正され、インサイダー取引について会社関係者による重要事実の伝達に規制が導入された。その後、証券会社のアナリストが企業の未公表情報を入手し顧客に伝達した件で金融庁が業務改善命令を出した事件が起きた。企業からは情報開示についてのルールを求める声が多く出ていた」 ――「フェア・ディスクロージャー・ルール」とはいったいどんなものでしょうか。 「上場企業が株価に影響するような未公表の情報をアナリストなどに提供した場合、ホームページなどで速やかに情報開示を促すルールだ。欧米にはすでに存在する仕組みでこれまで日本になかったのが問題だった」 「決算情報を証券業界の関係者などに事前に伝えるようなかつての日本の慣行は世界から見て明らかに異質だ。日本企業が海外投資家に信頼して投資をしてもらうためにも新ルールは必要だろう」 「証券会社のアナリストも取材に及び腰」 ――新ルールにより企業が委縮して情報開示に消極的になるのではないでしょうか。 「金商法の改正などで現場は混乱しており、証券会社のアナリストも取材に及び腰になってしまっている。何が良くて何が問題なのかを示す必要がある。新ルールは『未公表の確定的な情報』で投資判断に重要な影響を及ぼすものを対象とし、基本的には決算情報が該当する。インサイダー取引規制は軽微基準があるため、決算情報でも規制の対象外になりかねない」 「新ルールのもとでいくつもの事例を重ねていき、投資家と企業がより良い情報開示の仕組みを作っていけば良い。企業が過度に消極的にならないようにするため、現時点では課徴金などは考えられていない。経営者が決算の情報を事前に話してしまった場合、企業は速やかに情報を開示すればよい。また、情報を受け取った人も、重要だと判断した場合は企業に情報開示を促す必要がある」 企業は「確定した情報は社内でとどめず、素早く開示するのが重要」 ――企業側からは詳細なガイドラインが欲しいとの声があります 「細かいルールを作ると制度が画一化、形骸化してしまう恐れがある。新ルールは原則を指し示すものにとどまるのではないか」 ――企業は情報開示とどう向き合うべきでしょうか。 「確定した情報は社内でとどめず、素早く開示するのが重要だ。企業の規模が大きいほど重要な情報を知る人が増えて、どこかに漏れる可能性が高まる。海外のグローバル企業でも数字が固まり次第に決算を発表、詳細な説明をその後にするなど情報管理に気を使っている」 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

どう見る金融庁の森改革①カブコム・齋藤社長「より大衆向けの金融政策に」

 金融庁が業界を大きく改革しようと動いている。就任2年目の森信親長官のもと、金融機関が顧客本位の運営をするように促し、公正な情報開示や私設取引所システム(PTS)の規制緩和にも動く。個人の金融資産を貯蓄から資産形成へと変えていく森改革を業界関係者はどう見ているのか。カブドットコム証券(8703)の斎藤正勝社長に聞いた。(QUICK端末で2016/12/09に配信された記事です) 「金融庁は相当な覚悟」 ――金融庁の足元での改革への動きをどう見ていますか。 「金融庁は相当な覚悟を持っているようだ。これまでの『貯蓄から投資』のフレーズを『貯蓄から資産形成』と変えた。既に資産を持っている人ではなく、これから資産を作ろうとする、より大衆向けの金融政策を考えているのだろう」 ――夜間の信用取引を私設取引所システム(PTS)で解禁する動きが出ています。 「個人投資家は2006年ごろまでは信用取引の利用は少なかったが、足元では1日の取引のうち4割がショート(空売り)の時もある。夜間で信用取引が可能になれば昼間に企業に勤める人たちも含めて株式の売買は活性化するだろう。FXの膨大な取引量を考えれば、株式でも夜間での信用取引の需要は大きい」 東証でも夜間の株式信用取引ができないと「違和感」 ――PTSの信用取引の解禁で東証との競争が激しくなるのでしょうか。 「PTSで夜間の信用取引ができる一方、東証で夜間取引ができない制度になるとすれば違和感が残る。東証でも夜間の現物株の信用取引も可能にして、希望する証券会社が夜間の取引に参加すれば良い。仮に東証の取引が時間延長されずPTSの夜間取引でも信用取引が可能となれば、個人投資家の間でも一気に人気がたかまるだろう。一方で昼間の取引で信用取引をPTSでも解放したとしても、個人にとってメリットは限られるのではないか」 ――東証の今後はどうなりますか。 「金融業界のグローバル化が一段と進めば『アジア時間』での取引を巡って、世界各国の取引所間で競争が激しくなる。現状でも日経平均先物の取引の需要の一部をシンガポールが獲得している。東証の競争相手は国内のPTSではなくシンガポールや上海、インドの取引所だ」 税金の仕組みを変える必要も ――金融庁は超高速取引(HFT)業者を登録制にする方針です。 「HFTを巡っては実体がよくわからない点が問題なのだろう。実際の売買でも、あたかも数千人が取引に参加しているような注文状況を演出しているようだ。当社の個人投資家からも『突然、注文が消えたりするので取引が怖い』といった声を聞く。このため『見える化』を進めるのは正しく、グレーな取引に対するけん制機能として働くことを期待している。ただ、全てのHFTが悪玉というわけではないと断っておきたい」 「良くも悪くもHFTの取引が減って流動性は小さくなるかもしれないが、『ストップ狩り』のような手法がなくなる可能性もある。金融庁の方針は市場に監視カメラを付けるようなものだ。事後チェックに過ぎない側面はあるものの、まずは現状を把握するのが大事だ」 ――金融事業者が社内で独自に売買注文を付け合わせる「ダークプール」の取引の存在感が増しています。 「ダークプールにおいて日経平均先物の売買が広がっている。現状でが東証やPTSよりもダークプールでの売買に対する規制が緩い。最もプロ向けであるダークプールの規制を厳しくする必要があるのではないか」 ――金融庁の改革で投資から資産形成の流れが強まるでしょうか。 「個人にとって投資がしやすい環境を作ろうとしているのは評価できる。また、投資から資産形成の流れを一段と進めるためには税金の仕組みを変える必要もある。キャピタルゲインとデリバティブの損益通算ができないのは世界でも日本だけだ。相続税でも株式より不動産が有利な現状を変えていくべきだ」 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

トランプ勝利の予想が的中、運用成果も向上…フコクしんらい生命の林氏に聞く

 Brexitに米大統領選--。2016年は世界市場にとって驚きの連続だった。相場は深押しした場面もあったが、ひとまず年末に向け上げ基調を維持している。この荒波ともいえる展開にあって、重要イベントの結果を予見し運用成績を向上させている投資家の1人にフコクしんらい生命の取締役執行役員財務部長、林宏明氏がいる。なぜ予想外の結果を見通せたのか。運用状況も含めて話を聞いた。(※6日7:31にQUICKのオプショナルメニュー「QUICKデリバティブズコメント」に配信した記事と同じ内容です。) トランプ氏は資本主義に取り残された人の受け皿 --米大統領選が想定外の結果で終わりました 「トランプ氏の勝利は予想していた。驚きはなく必然だとも思っている。昨年にトランプ氏が立候補を表明した時点で確信は乏しかったが勝利を想定した。外部にも断言し始めたのは今年2月。共和党の予備選段階でジェブ・ブッシュ氏の撤退が決定打だった」 --予想を基にした運用状況はいかがですか 「円建ての国内債券を中心に運用し、昨年を上回る運用成果を上げることが出来ている。中長期的に円高方向の見通しを持っていることもあるが、トランプ大統領となれば、短期的には、米国を中心に金利が急上昇すると想定していたためだ。海外の投資をする前に日本にも投資妙味はまだある。例えば昨年は日本の超長期債を大量に買い込んだ。日本の潜在成長率、期待インフレ率、自然利子率のいずれもが0%だと見ているため、日銀のマイナス金利政策がなくとも、早晩、長期金利が0%近辺になるとのシナリオを数年前から持っていたからだ。これが現在も大きな利益を生み出している」 「米欧の債券相場はかなり不安定になるが、日本の場合は日銀の金融政策のアンカーが極めて強いため、せいぜい10年国債がややプラスになる程度だろう。そういう意味ではトランプ相場は追い風。通期でも運用益をしっかり出せる状況にある。日本には素晴らしい中小企業がたくさんあるし、インフラでも民間が関与することでより機能的で国民生活に資するものを造れる可能性が相当程度ある。今後、金融市場でそのような分野への投資が可能になる投資スキームが出てくることを期待している」 --そもそもトランプ勝利を予想した理由を教えてください  「グローバリゼーション、もしくは新自由主義の極まった世界になっていた。この世界的な政治の潮流を見極めることが重要だ。資本主義には放っておくと資本の効率をとことん追求する仕組みが内在する。資本を持っている人たちがより豊かになる仕組みでもある。そこで取り残された人たちが出てくるわけだが、これまでアメリカには受け皿がなかった。しかし今回、初めてアメリカ国民は受け皿を得ることができた。1つは民主党の候補指名をヒラリー・クリントンと争ったバーニー・サンダース氏。もう一方がトランプ氏だった」 「トランプ次期米大統領の誕生より、サンダース氏があそこまで善戦した方が驚きでありインパクトがあった。彼の登場により大統領選の本当の論点は『富の再配分』だったはずだ。米国の中で社会主義を標榜した候補者が支持を集めたことが象徴している。これがトランプvsクリントンの構図となり、女性蔑視などに論点がすり変わった。米国のエスタブリッシュメントにとってはトランプ勝利が結果的によかったのではないか。富裕層の資金を政府が再配分するといった可能性が低下したからだ」 「トランプ氏の当選を確信したのは、トランプ・サンダース現象とも言える潮流の中で、国民の不満の受け皿になると同時に、富裕層や法人の大減税や金融規制の撤廃を唱えるトランプ氏が実はエスタブリッシュメントや金融市場にとっても短期的にはかなり選好しやすい存在だったことである」 米国のTPP離脱は米のグローバル企業にとっても逆風 --トランプ氏の政策は依然として不透明です 「経済では財政が焦点。財政出動というのは富の再配分も意味する。進めるほど偏りが生まれ将来の選挙を左右する。リーマン・ショック後の政治は、この再配分が一段と複雑化した。これを敬遠し配分の必要がない中央銀行による金融緩和に軸足を大きく移した。今はこの揺り戻しが起きているが、財政による再配分を進めすぎても問題がある。トランプ次期米大統領がどこまでできるか未知数だ」 「もう一つは外交。個人的にはすでに第3次世界大戦的な様相を呈している側面もあると見ている。もちろん武力といったハードパワーによるものではなく表面上は各国とも友好的な外交関係を維持している。しかし、本来の戦争の目的である経済果実の奪い合いという面では、すでに徴税権や法的措置を使ったソフトパワーによりかなりの規模で始まっている。それを象徴するのが、米国が仏金融機関大手BNPパリバに課した89億ドル(約1兆円)もの罰金だった。一方、欧州ではグーグルなど米国のネット企業が独占禁止法で大規模に摘発される事例も出ている。この国際的対立軸の基本的構図は米国vs欧州であり、環太平洋経済連携協定(TPP)参加国vs欧中ロとなるかもしれない。各国の外交関係が錯綜しており、日本のようにどこの国とも極めて友好的な外交を展開している国もあるので単純な構図ではない。まだ、経済・金融でのパワーゲームの段階だろうが、そのパワーバランスの舵取りは極めて難しい局面に入っていることだけは間違いない」 「この状況でトランプ氏はTPPからの離脱を表明している。TPPはそもそも安全保障の色合いが濃い協定だ。共通のルールを守れない国や地域を排除する目的がある。基準をクリアできない国、たとえば中国やロシアなどだ。米国が離脱するなら、パワーバランスが一段と不安定化する。アップルやグーグルなど米のグローバル企業にとっても逆風になる」 「市場は金融規制の緩和を期待し銀行株を買っている。だが認識を間違っている。米国が緩和しても規制を強化している欧州は緩和する姿勢を示していない。欧州市場でビジネスをするには厳しい基準をクリアする必要がある。本当にグローバル金融機関の収益が改善するのか疑問がある」 「新政権で財務長官に就任するムニューチン氏は米経済が3~4%成長できるとした。しかし、米国は意図せざるインフレに直面するだろう。関税を高め自国内の生産比率を高めてもコストが膨らむ。それを補って余りある売上高の成長が可能なのか。ここにも問題がある。インフレの発生=金利上昇で学生ローンや自動車ローンでサブプライムの不良債権化が表面化するリスクもある。トランプ氏に託された期待が失望に変わる種がここにある」

12月の株主優待銘柄はマックやアサヒなど、お馴染みの飲食関連が目白押し

  株主優待って? 株主優待は企業から株主へのプレゼントです。企業が自社のPRや個人株主の獲得を目的に実施している制度です。自社で商品やサービスを提供している場合はこれらを、そのほかは実利的なQUOカードやお米券といった商品券を贈呈するケースが多いようです。同制度を導入している上場企業数は過去最高の1339社と、全体の4割に迫る勢いです(11月25日時点)。プレゼントのため、優待にかかるコストは企業が負担し、一般に交際費として経理処理しています。     12月の優待銘柄を探る、3泊の韓国旅行も登場 3月に優待の権利を付与する企業が731社と最も多く、次いで9月の392社、12月の152社と続きます。12月は社数が多いため、各社の優待内容をいろいろ比較して選ぶ楽しみがありそうです。特にアサヒグループホールディングス(2502)やキリンホールディングス(2503)といった大手ビールメーカーのほか、山崎製パン(2212)、コカ・コーラウエスト(2579)、日本マクドナルドホールディングス(2702)など消費者に馴染み深い飲食関連が目立ちます。優待はいずれも自社製品のため、これらの商品や店舗をよく利用する人にはメリットがありそうです。   <12月の株主優待銘柄一覧表(最低購入金額の昇順)>   最近の優待制度の傾向として、長期保有の投資家には優待内容を手厚くするケースが増えています。例えばコカ・コーラウエストの場合、100株以上500株未満の保有で同社の商品に交換可能な45ポイントが付与されます。1ポイント=60円相当のため、2700円程度です。しかし3年以上保有している投資家には30ポイントが上乗せされ、75ポイント=4500円にアップします。長期保有の株主を増やして株価を安定させることが狙いといえます。 食品以外でニューフェースを挙げると、リチウムイオン電池の部材を扱うダブル・スコープ(6619)が11月上旬に株主優待制度の導入を発表しました。内容は抽選で5名(同伴者各1名の合計10名)を同社の韓国工場見学に招待するというもの。往復航空券や3泊4日の宿泊費用、移動の費用も同社が負担。1日を工場見学とし、他の日は自由行動のため、観光も十分楽しめそうです。ただ、権利を得られるのは1年以上継続して保有している株主に限られます。   実質利回りを活用し高利回り銘柄を発掘しよう まずは優待制度を実体験したい人の場合、投資金額を抑えるのも一つでしょう。10万円以下で購入できる銘柄は42銘柄ほどあります(11月25日時点)。ただ、投資金額が低い銘柄の中には業績が低迷して株価が下落しているケースも散見されるため、投資金額だけで判断するのではなく業績なども踏まえて総合的に判断すべきです。 例えば、楽天(4755)の最低投資金額は11万7150円(25日時点)と10万円を若干オーバーしますが、QUICKコンセンサスによると同社の16年12月期、17年12月期の連結決算はともに2ケタの増収・営業増益の見通しと好調です。 また、「実質利回り」という指標を用いて選別する方法も有効です。この指標は優待の内容を金額換算し、これに配当利回りを加算したものです。では実際に楽天の例を用いて計算してみましょう。同社の2016年の優待内容はまだ公表されていないため、前年の実績値を用います。下表を見ると、現金に換算が可能な項目は黄色の部分で合計8300円になります。QUICKコンセンサスによると1株あたりの予想配当金は4.83円、最低投資単位の100株購入すると483円のため、実質利回りは7.5%になります。11月25日時点の東証1部の予想配当利回り(加重平均)2.01%を大きく上回ります。   <実質利回りの計算式> (優待額8300円+年間予想配当額483円)/最低投資金額11万7150円×100=7.5%   <2015年12月に権利確定した楽天の優待内容>   12月の優待を受け取るには さて、ここからは優待銘柄を取引するうえでの技術的な注意点です。優待の権利を得るには期日があり、権利確定日に株主名簿に名前が記載されていなければなりません。記載されるには「権利付最終取引日」という、権利確定日を含む4営業日前までに希望銘柄を購入しておく必要があります。12月30日が権利確定日の場合は27日が権利付最終取引日です。加えて、先ほどの韓国の工場見学を贈呈するダブル・スコープなど、銘柄によっては1年間保有することを条件にしているタイプがあるほか、年に複数回、優待を実施する銘柄もあるため、各社のホームページなどで情報を確認してください。 優待を受けるには現物株を購入する必要があり、信用取引では得られません。ちなみに、 優待マニアの中には「つなぎ売り」という投資手法を利用し、株価の下落を抑えて優待のうまみだけを享受しようとする投資家もいます。この手法は同一銘柄の現物株の買いと信用の売り(一般信用)を寄り付き前に同株数、成り行きで発注するというものです。こうすることで同じ価格で約定させることができるため、株価が変動しても損益は発生しません。ただ、信用取引をする際は専用口座を開設する必要があるうえ、取引には手数料が発生します。   優待裏事情 株主優待がこれほど活発に実施されているのは、日本だけといわれています。諸外国では優待にコストをかけるならば、利益成長のための設備投資や、配当で還元した方が合理的との考えがあるためです。国内においても持ち株数や内容に応じて株主を平等に扱わなくてはならない「株主平等の原則」(会社法109条1項)の観点から優待制度に異論を唱える向きもあります。この原則を順守するならば「保有株数に比例した優待を得られるはずだが、現状は一定数に応じた対応がなされていない」との考え方があります。例えば100株超の保有で1000円分のQUOカードを贈呈する場合、保有株数が5倍の500株になればQUOカードも5000円になるはずですが、実際は500株超で3000円など一定数を基準にしている、という指摘です。こうした考えを踏まえ、上場企業の中にも優待制度より配当に重点を置いた海外方式に切り替えるケースもあります。       また、個人投資家にとっては嬉しいプレゼントですが、機関投資家にとっては少々異なるようです。投資信託協会の「投資信託等の運用に関する規則(2015年7月)」の第10条には株主優待物の取り扱いがルール化されています。これによると、運用会社は信託銀行と協議したうえで換金可能な商品券などは換金して信託財産に組み入れているとのことです。換金不可能な商品は一時保管後に廃棄、もしくは、さわかみ投信のように慈善団体に寄付するケースもあるようです。機関投資家の場合、優待よりも配当金で還元してほしい、というのが本音でしょう。 1月に優待の権利が確定する銘柄は32銘柄と12月より大幅に減少しますが、2月は138銘柄、3月は731銘柄に増加します。3月には新規公開株式(IPO)として10月に上場したJR九州の優待もあります。株主優待制度の是非については意見が分かれるところですが、企業がこの制度に注力しているのか、それとも配当での還元や利益成長を重視しているのか、株主に対する企業の姿勢が垣間見れるため、投資材料の一つとしても活用できそうです。   (編集:QUICK Money World)    

香港ハンセン指数、年初来高値の更新が視野に 中国経済は「安定」を確認

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。 (※この記事は2016年10月28日にQUICK端末で配信した記事です。) 中国政府が発表した2016年第3四半期(7~9月期)の経済指標は景気が安定する中で前進していることを示す内容だった。政府の通年の成長目標は達成される見通しだ。1~9月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.7%増だった。 (出所:QUICK) 四半期別でも、第3四半期は6.7%増と、第1四半期(1~3月期)や第2四半期(4~6月期)と同じ成長率を維持し、市場の予想通りだった。産業別では、1~9月期における第1次産業の付加価値額が3.5%増、第2次産業の付加価値額が6.1%増、第3次産業の付加価値額が7.6%増だった。第3次産業の増加率が第1次産業、第2次産業を大きく上回り、GDP全体に占める割合が52.8%に達した。このことは中国経済の構造転換が続いていることを示唆する。   輸出は減少も、投資と消費が補う 輸出の勢いが引き続き弱く、投資と消費が中国の経済成長のけん引役を引き続き担った。中国税関総署が発表したデータによれば、今年1~9月期の中国の輸出は前年同期比1.6%減、輸入は同2.3%減だった。9月の輸出は前年同月比5.6%減と、市場予想の2.5%増よりも悪かった。輸入は2.2%増だったが、5.5%増の市場予想を下回る伸びだった。 ただ、幸いにも投資と消費の伸びがやや加速し、輸出減に伴うマイナス面の影響を補った。1~9月期の全国の固定資産投資は前年同期比8.2%増と、1~8月期から伸びが0.1ポイント加速した。インフラ建設の増加、そしてそれ以上に不動産市場の景気回復が寄与した。今年1~9月期の分譲物件の販売面積は10億5100万平方メートルだった。前年同期比26.9%増え、増加ピッチが1~8月期よりも1.4ポイント加速。また、同期の分譲物件の販売額は8兆200億人民元で増加率は41.3%と、1~8月期を2.6ポイント上回った。住宅販売の増加に伴い、全国の不動産開発投資額は前年同期比5.8%増え、1~8月期よりも0.4ポイント加速した。不動産物件の在庫調整も加速して、分譲物件の販売前面積は9月末時点で6億9600万平方メートルと、8月末時点から1258万平方メートル減少した。このうち、住宅物件の販売前面積は1177万平方メートル減少した。 一方、消費については、1~9月期の社会消費小売総額が前年同期比10.4%増の23兆8400億元だった。増加率は1~8月期を0.1ポイント上回った。電子商取引の伸びが引き続き急速で、1~9月期の全国のインターネット販売小売額が3兆4651億元と前年同期比26.1%増えた。このうち、実物商品のネット販売小売額は25.1%増の2兆7900億元で、社会消費小売総額の11.7%を占めた。 製造業は安定、工業企業の利益は改善 製造業は安定しており、1~9月期の全国の一定規模以上(年間の主要業務収入2000万元以上)の企業による工業生産が前年同期比6%増えた。増加ピッチは上半期(1~6月期)から横ばいだったが、工業の構造調整が引き続き進展し、ハイテク産業が10.6%増、設備産業が9.1%増と、全国の一定規模以上の企業の増加率をそれぞれ4.6ポイント、3.1ポイント上回った。工業部門の企業利益も改善し、1~8月期における全国の一定規模以上の工業企業の利益総額は前年同期比8.4%増の4兆500億元と、増加ピッチが上半期から2.2ポイント加速した。一方、9月の政府発表と中国メディアの財新がそれぞれ発表した製造業購買担当者景気指数(PMI)はいずれも、景気拡大を示す50以上の水準となり、製造業が引き続き緩やかに拡張していることが示された。 PPIプラスに転じ、生産に追い風 インフレに関しては、9月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比1.9%上昇した。上昇率が8月(1.3%)から拡大したものの、引き続き制御可能な範囲内だった。注目すべき点は、同月の卸売物価指数(PPI)が0.1%上昇し、2012年3月以来初めてプラスに転じたことである。このことは工業の生産に追い風となる。一方、雇用については、1~9月期の都市部(非農業地区)新規雇用者数が1068万人に達し、1四半期前倒しで通年予測目標(1000万人)を達成した。また、9月の31都市の失業率が2016年6月以来初めて5%を下回った。雇用の増加に伴って収入レベルも上昇し、1~9月期の全国1人当たり可処分所得は1万7735元と、名目ベースで前年同期比8.4%増加した。 10~12月期は減速も通年の目標は達成か、建材・インフラセクターに有利 今後の展望は、石炭業と鉄鋼業の生産能力の調整と不動産市場の過熱引き締めにより、中国景気が第4四半期(10~12月期)にやや減速し、成長率が1~9月期をわずかに下回る可能性がある。ただし、6.5~7%という成長率目標の範囲内に納まることはまず間違いない。こうした中国経済の安定は香港株に追い風となる。11月に中国深セン・香港間の株式相互取引制度「深港通」を始動する見通しでもあるため、香港株式市場のハンセン指数は今年第4四半期に再び年初来高値の2万4364に迫る見込みだ。 (出所:QUICK)  セクター別では、不動産市場における過熱引き締めの度合いが強まるとみられることから、銀行セクターや不動産関連セクターに引き続き重荷となるだろう。また、経済成長率の維持に向けてインフラ投資が加速する見通しであることが、建材とインフラ関連のセクターに有利となる。他方、人民元の為替レートについては、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が強まる中で米ドル高が進むとみられる。加えて中国の輸出の勢いが依然として弱く、元の為替レートに引き続き下げ圧力がかかる見通しだ。これに伴い、より多くの中国国内の資金が通貨安に伴うリスク回避のために香港株に流れ込む可能性があり、香港株が間接的に恩恵を受けることになるだろう。 本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元であるルイス・ウォン氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。

日本版ブラックフライデーは浸透するか?新たな株価材料として注目

 ブラックフライデー、ネット通販が好調な出だし 11月中旬に発売された「ハリー・ポッターと呪いの子 第一部 第二部」の売れ行きが好調なようです。毎週火曜日に公表している八重洲ブックセンター本店の集計によると、3週連続でフィクション部門の売り上げトップでした。同シリーズはあらゆる世代に人気が高いため、クリスマスプレゼントとして考えている人もいるのではないでしょうか。 ■八重洲ブックセンター本店の週間ベストセラーランキング(11月20~26日) 【フィクション部門】 【ノンフィクション部門】   クリスマスをビッグイベントとして楽しみにしている人も多いと思いますが、実は株式市場にとっても重要行事の一つにです。特に消費大国の米国はその年のクリスマス商戦の行方が国内総生産(GDP)を左右するため、世界的に注目されています。 米国のクリスマス商戦は、祝日である11月第4木曜日の感謝祭の翌日に幕開けします。小売店で一斉に値引きが始まり、セール初日の金曜日は店舗の収支が黒字になるほど活況なため、「ブラックフライデー(黒字の金曜日)」と呼ばれています。日本経済新聞などによると、今年の米クリスマス商戦の出だしは平均支出額こそ前年同期を下回ったものの、ネット通販の売上高が34.5億ドル(約3880億円)と1日の売り上げとしては過去最高を記録したそうです。なお、全米小売業協会(NRF)は11~12月の小売売上高を前年同期比3.6%増の6558億ドル(約67兆円、自動車・ガソリン・外食を除く)と予想。この水準は米国の実質GDPの約4%に相当する規模です。 そして米国に次ぐ経済大国である中国の消費動向にも注視したいところです。同国では11月11日の光棍節(こうこんせつ)に中国のネット通販各社が大規模なセールをする「独身の日」を開催。中国最大手のアリババ集団の売上高は、この日1日だけで約1.9兆円と過去最高を記録しました。現在はクリスマス商戦に突入しています。   政府も検討、日本版ブラックフライデーは受け入れられるか 日本では小売大手のイオン(8267)が米国のブラックフライデーにちなんだセールを11月25日から3日間実施しました。イオングループで総合スーパー(GMS)を展開するイオンリテールの広報は、「セールは好調だった。売上は前年の同じ期間と比較して2割増となった」といいます。目玉商品のほか、気温の急激な低下を受けてダウンコートや羽毛布団などの防寒用品の販売が伸びたそうです。 政府も米国のこのイベントに関心を寄せています。経団連と連携し、2017年2月から毎月最終週の金曜日に「プレミアムフライデー」と称した消費喚起策を検討しています。経団連に属する企業にはイベント当日、午後3時ぐらいに早期退社することを呼びかけるそうです。こうした試みの背景には、政府が掲げる「名目GDP600兆円」や「働き方改革」をなんとしてでも達成したいとの意向があります。消費の活性化には所得アップが欠かせませんが、政策の後押しに加え、クリスマスやハロウィーンなど海外イベントを好む日本では、ブラックフライデーも浸透するかもしれません。 小売業の株価が堅調な月は意外にも… クリスマス商戦は小売りやメーカーなどが主に影響を受けます(下表参考)。稼ぎ時となるため、月次や四半期の売上高に株式市場の注目が集まります。 では、冬場は小売業の株価が上がりやすいのでしょうか?2006年12月~2016年11月までの東証業種別株価指数の「小売業」と、日本株全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)の月間騰落率を比較してみたところ、小売業がTOPIXを上回った回数は120回中、ほぼの半分の59回でした。さらにこれを月別に分析してみると、6月が8回と最も多くなりました。クリスマス商戦時期の11月と12月はともに5回でした。投資タイミングを考える際、こうした過去のデータも参考にしてみてください。 <クリスマス商戦関連銘柄> <小売業の月間騰落率がTOPIXを上回った回数は?> ※東証規模別株価指数の小売業とTOPIXの2006年12月~16年11月までの120カ月間の月間騰落率をそれぞれ比較   (編集:QUICK Money World)

起業と資産運用、あなたはどっち派?…老後資金「3000万円」の稼ぎ方

  長者番付でトランプ大統領の順位は…意外と低い? 米経済誌フォーブスが10月に発表した2016年の米国の長者番付※1によると、最もリッチな人は23年連続でマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏でした。同氏の資産総額は810億㌦(約8.2兆円)というから驚きです。ケタが違いすぎて実感が湧かないかもしれませんが、トヨタ自動車(7203)の2016年3月期の連結純利益が2.3兆円ですから、この3倍強を個人で保有していることになります。 ※1株式や不動産、ヨット、飛行機、宝飾品、芸術品、ブドウ園、車のコレクションなどを含む総資産 2位はアマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベソス氏、3位は著名投資家のウォーレン・バフェット氏とメディアでもお馴染みの面々が並びました。そのほか、フェイスブックを創業したマーク・ザッカーバーグ氏が4位、ニューヨーク前市長のマイケル・ブルームバーグ氏が6位にランクイン。 トップ10外ですが、米次期大統領のドナルド・トランプ氏が156位に顔をみせました。保有不動産価格が下落したため、残念ながら順位は前年の121位からダウンしました。   日本のトップは大企業の創業者  一方、日本のトップ3はファーストリテイリング(9983)の柳井正会長兼社長が1.8兆円で首位、次いでソフトバンクグループ(9984)の孫正義社長で1.6兆円、3位はサントリーホールディングスの佐治信忠会長で1.3兆円と、昨年から変動はありませんでした。日米のリッチマンの多くは創業者であり、巨額の財をなすには起業してイノベーションを生み出す手法が正攻法といえそうです。   ※ファーストリテイリングのフォトライブラリーから引用   しかし、日本国内の起業に対する意識は年々低くなっています。中小企業庁の調べによると、2014年の開業率※2は前年比0.1ポイント増加の4.9%でした。開業率は1988年の7.4%をピークに減少傾向です。10%以上の欧米諸国と比較しても低水準です。参考として、2016年10月末時点の新規株式公開(IPO)社数は64社と、こちらも前年同月の70社を下回る水準でした。 ※2 開業率=当該年度に雇用関係が新規成立した事業所数/前年度末の事業所数×100で算出       億万長者でなくとも「3000万円」は必要な老後 では、多くの人はどの程度の資金で日々の生活を送っているのでしょうか。厚生労働省の調べでは、2014年の1世帯当たりの平均年収は541万円でした。1000万円の大台を突破したのは全体の1割強、2000万円以上はわずか1%にとどまりました。こうしたデータをみると億万長者への道はかなり険しいため、誰しも必要になる「老後の資金」は計画的に確保しなければならないでしょう。そこで、政府が公表しているデータなどから前提条件を設定し、まずは老後の必要資金を試算してみました。   これから60歳を迎える人の多くは、同年で定年退職して無職になった場合、年金が支払われる65歳までの5年間は貯蓄を取り崩さなくてはならず、1654万円が必要になります(①参照)。65歳からは年金を軸に収入が21万円ほどありますが、月間の支出額が27万円なので毎月6万円の赤字が生じます(高齢・無職夫婦の月間平均収入額を参照)。男性の平均寿命が80歳ですから、寿命までの15年間は1121万円の赤字を埋め合わせなくてはなりません(②参照)。 これらを合算すると、老後の必要資金額は2776万円になります(③参照)。 退職金の2000万円を全額活用できれば残り776万円を工面することで老後の生活を送れそうです。しかし、これは一つの目安で個人差が生じます。退職金で住宅ローンの完済を検討してる人や、賃貸住宅に住んでいる人なら住居費はさらにかさむでしょう(高齢・無職夫婦の月間平均支出を参照)。思わぬ病気のリスクもありますし、長生きはいいことですが平均寿命を上回ればその分、生活費の負担が増えます。   ①年金受給までの必要資金 1カ月の生活費27万5706円×12カ月×5年=1654万2360円   ②平均寿命80歳までの必要資金 月間の赤字6万円×12カ月×平均寿命までの15年=1121万8680円   ③老後の必要資金 年金受給までの必要資金1654万2360円+年金受給後の不足分1121万8680円=2776万1040円         サラリーマンが老後資金を用意する方法 億万長者はごく限られた人しかなれない・・・。 残る有効手段は資産運用といえそうです。 では老後の必要資金2776万円のうち2000万円を退職金でカバーすると仮定し、残り776万円を資産運用で得るにはどの程度の期間および利回りで運用すればいいのかシミュレーションしてみましょう。元手が100万円で運用期間を10年とした場合、毎年約23%上昇する金融商品に投資し続けなければなりません。銀行に1年間100万円を預けても金利はわずか0.001%(10円)ということを踏まえると、年利23%は高いハードルといえそうです。 しかし、運用期間を40年に延長すると年利は5%台に低下するため、現実味を帯びるのではないでしょうか。運用期間の長期化に連動して年利が低下する理由は、複利効果を考慮しているためです。長期間、つまり若い時期から投資した方が複利効果をより享受できます。 ちなみに、東証1部に上場する1972銘柄を対象に年初から11月18日までの騰落率を調べたところ、5%超上昇した銘柄は547銘柄でした。なかには株価が2倍、3倍に上昇した銘柄もありました。永続的に上昇し続ける金融資産はありませんが、若い世代なら投資資金を小分けにして「時間分散」することでリスクを低減させることも可能でしょう。   【元手100万円を776万円にアップさせるための運用期間と年利】   【元手300万円を776万円にアップさせるための運用期間と年利】   東証1部上場銘柄の年初来上昇率ランキング-トップ50 *2015年末の終値と2016年11月18日の終値で算出   目標金額や運用期間、年利が決まったら、次はリスクと投資資産の選別です。下図の「主な金融資産のリスクとリターン」を見てください。例えば、過去10年間の日本債券はリスク※3は1.8%と図表の8資産の中で最も小さかったものの、リターンは約29%上昇と最も大きくなりました。僅かなリスクで効率よくリターンを上げられたといえます。 一方、新興国株はリスクが26%、これに対してリターンが小幅マイナスと大きなリスクを取ってもこれに見合うリターンを得られませんでした。この図表はあくまで過去のデータを基に算出した結果でリスクがもっと大きくなる場合もあります。ただ、リスクを極力抑えたいなら日本債券、ある程度リスクを覚悟してリターンを得たいなら株式やREITでしょう。投資資産を選ぶ際の一つの目安として参考にしてみてください。   ※3:リスクは2016年10月末までの過去10年間の月間騰落率を基に算出した標準偏差の年率換算値。リターンは10月末までの10年騰落率。各資産のリスクとリターンの算出には以下の各指数をそれぞれ使用。日本株「TOPIX」、国内中小型株「日経ジャスダック平均株価」、国内REIT「東証REIT指数」、日本債券「NOMURA-BPI(総合)」、海外株「MSCI KOKUSAI INDEX (WORLD除く 日本) 円ベース」、新興国株「MSCI EM (EMERGING MARKETS)・ 円ベース」、世界債券「Citi World Government Bond Index(除く日本)・円ベース」、「S&P先進国REIT指数(除く日本)配当込・円ベース」   (編集:QUICK Money World)

プロの株式ポートフォリオは情報の宝庫…下げ相場で勝つ運用の参考に

相場格言の中に「当たり屋につけ」という教訓があります。相場にはなぜか必ず利益を上げる「当たり屋」という人がいて、このような人に便乗して売買することも一策という意味です。現に米国の著名投資家のウォーレン・バフェット氏やジョージ・ソロス氏が投資している銘柄がよく話題に上ります。他人の真似ばかりはお薦めできませんが、投資のプロのポートフォリオを見て学ぶことは多そうです。そこで今回は好成績を収めた日本株ファンドを紹介します。 2016年度上期(4~9月)の日本株相場は軟調でした。日経平均株価は3月末の1万6758円から、9月末には1万6449円(1.84%)に小幅下落。イギリスの欧州連合(EU)離脱や1ドル=100円を割り込む円高が嫌気されました。 下げ相場でも勝つアクティブファンド 同じ期間、日本株に投資する828ファンドのうち半分強の452ファンドが日経平均を上回る成績を収めましたが、運用成績がプラスだったファンドは全体の2割にあたる160ファンドにとどまりました。 最も好成績を収めたのはJPモルガンの「JPMジャパン・テクノロジー・ファンド」で24.99%上昇。日経平均を大きく上回りました。同ファンドは電気機器や半導体、電子部品など国内テクノロジー関連企業を対象に運用チームが企業取材を重ね、銘柄を選別するファンドです。ただ、テクノロジー関連株全体が好調だったわけではなく、全般に冴えない展開でした。東証業種別株価指数の電機は3.38%、情報・通信は2.04%のそれぞれ上昇にとどまったうえ、精密機器は8.12%の下落でした。 【日本株ファンドの16年度上期騰落率ランキング】 <上位10ファンド>   <下位10ファンド> ※対象は主に日本株に投資する追加型株式投信の828ファンドでETF除く。データは9月末時点。騰落率は分配金再投資ベースの基準価格で算出。上期騰落率は4~9月、▲はマイナス 加えて、「JPMジャパン・テクノロジー・ファンド」は中小型株ファンドではありませんが、足元でJASDAQや東証マザーズへの投資比率が4割程度と新興市場に積極投資していました。今年3月に新規上場したユー・エム・シー・エレクトロニクス(6615)もポートフォリオの上位に名を連ねていました(8月末時点)。ところが上期の日経ジャスダック平均株価は2.08%上昇したものの、東証マザーズ指数は7.11%下落。東証規模別指数をみても中小型株に買いが先行したというわけではありません。 これらの結果踏まえると、同ファンドが好成績を収めた要因は個別銘柄の選別による効果だったといえます。       勝ち組ファンドの投資銘柄をチェック そこで「JPMジャパン・テクノロジー・ファンド」の組み入れ上位10銘柄の上期の騰落率を調べたところ、9銘柄が上昇。なかでも半導体製造装置のタツモ(6266)が3.18倍、ウエハー・ガラス基板搬送機最大手のローツェ(6323)が2.95倍、内外テック(3374)が2.04倍と急上昇して運用成績を押し上げました。投資銘柄は、各ファンドの運用レポートの中に記載されています。 なお、タツモは6月初旬に中国の大手液晶ディスプレーメーカーから大口注文を受けたと発表すると買いが優勢となり、その後も業績の上方修正および配当金の引き上げなどを好感して上昇基調となりました。ローツェは独立系運用会社のスパークス・アセット・マネジメントが同社株を運用していることが日本経済新聞の朝刊で報じられたことを機に個人投資家などの買いが集まったようです。   ▼「JPMジャパン・テクノロジー・ファンド」の組み入れ上位10銘柄の騰落率 ※上期騰落率は2016年4~9月の騰落率、▲はマイナス。組み入れ銘柄は8月末時点 好成績ファンドの運用を参考に ファンドの上期騰落率ランキングの2位、5位、7位も中小型株に投資するタイプでした。ただ、こららのファンドの投資銘柄はほぼ重複しておらず、各ファンドともに「個性」が表れました。ちなみに、「スパークス・プレミアム・日本超小型株式ファンド」を運用しているスパークス・アセット・マネジメントの阿部修平社長は著名投資家のジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを務めたことでも有名です。 投資のプロが運用するポートフォリオは情報の宝庫です。眺めるだけでも新たな投資アイデアが湧いてくるかもしれませんし、自らの投資の戒めにもなるかもしれません。日本株については毎月公表している証券会社や機関投資家など、株式担当者を対象とした市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」も有効活用してみてください。   ▼「J-Stockアクティブ・オープン」の組み入れ上位10銘柄の騰落率   ▼「スパークス・プレミアム・日本超小型株式ファンド」の組み入れ上位10銘柄の騰落率   ▼「大和住銀日本小型株ファンド」の組み入れ上位10銘柄の騰落率 ※上期騰落率は2016年4~9月、▲はマイナス   (編集:QUICK Money World)

空の産業革命「ドローン宅配便」の現状を分析…関連銘柄も調査

「ドローン宅配便」をご存知ですか?ドローン宅配便とは、小型の無人飛行機(ドローン)を用いた商品宅配サービスです。近年、実現に向けた動きが迅速に進められ、すでにアマゾン・ドット・コムやウォルマート・ストアーズ、グーグルなどといった世界の巨大企業がこの分野に参入することを決めています。「空の産業革命」といわれるほど、その可能性が期待されているドローン。今後、日本でドローン宅配便は実現するでしょうか?まずはドローン宅配が実現することがどのようなメリットをもたらすかを見ていきましょう。   ドローン宅配の「威力」…配送コストが8分の1に!? ドローン宅配を実現することでの主に3つの観点からメリットがあります。 まず一つ目は「コスト削減」が出来ることです。物流業界では昨今、「ラスト・ワン・マイル問題」という課題があります。これは倉庫から顧客の自宅までトラックで宅配するのに多大なコストがかかってしまっているということです。EC(電子商取引)市場の成長とともに、宅配貨物取扱個数は右肩上がりで成長しているので、この問題は深刻な状況です。同時にトラック運転手が需要に追いつかず、人手不足に陥っています。   (経済産業省「電子商取引に関する市場調査」 国土交通省「運輸経済月例」より作成)   ここにドローンが入ることによって大幅なコストカットが見込まれており、アマゾンのデータでは、荷物の重さ5ポンド、輸送距離10マイルの条件下で、陸送で最も早い「Amazon Prime Now」では輸送に約8ドル、配送完了まで1~2時間かかるのに対し、ドローンを用いた宅配「Amazon Drone」では約1ドル、30分での配送が出来るとされています。低コストで早く配達できることになります。これで人手不足も解消され、人件費の削減も可能になります。(出典:千葉市ドローン宅配等分科会) 2つ目のメリットは「スピードアップ」です。前述のアマゾンの例にも関連しますが、ドローン空輸は車の渋滞に巻き込まれることは一切ありません。また、医薬品など緊急性の高い荷物(医薬品など)を素早く届けることができます。つまり、既存の配送システムよりも効率的かつスピーディーに荷物を配送できます。 3つ目は「インフラの強化」です。高齢者や障害者、幼児を抱える親など外出困難な人に直接マンションまで届けたり、山間部や離島で暮らす孤立地域の人々への配達も少ないコストですばやく届けることが可能です。また、これは災害などで孤立した地域に対しても同様のことが言えます。   実現に向け千葉市を国家戦略特区に指定 ドローン宅配が実現するメリットについて述べましたが、次に日本における取り組みを紹介します。 2015年12月、内閣府は国家戦略特区に千葉市を指定し、ドローンを用いた宅配をできるようにすると発表しました。国家戦略特区とは、第二次安倍政権が進める新しい経済特別区域構想のことで、規制緩和によって国内外からの民間投資の誘導や雇用の創出、消費の拡大などで経済成長を目指すものとされており、地域に絞って大幅に従来の強固な規制を緩和します。これはアベノミクスの第三の矢「民間投資を喚起する成長戦略」の中核を担っています。 では、ドローン宅配便を実現するための千葉市の計画を見ていきましょう。千葉市は実用化実験の場として幕張新都心地区を提案しており、ここは東京湾に近接していることや、臨海部に物流倉庫が点在していること、超高層マンションが整備されている、またはその予定であること、電線が地中に埋められていることなどドローン宅配を行う上で好都合の立地です。東京湾臨海部の物流倉庫からドローンにより、海上(約10㎞)や花見川(1級河川)の上空を飛行し新都心内の集積所まで運び、住宅地区のマンション各戸まで運んだり、地区内の店舗から日常生活品を配達したりする予定です。また、テレビ電話等を通じた遠隔での診療及び服薬指導を行い、地区内の薬局からドローンによる医薬品の配達を目指しています。 (出典:千葉市ドローン宅配等分科会) 千葉市のほかに、秋田県仙北市では市内に広がる国有林野を活用したドローン実証実験を行うため、「近未来技術特区」に指定され、速さや正確さを競う国際大会「ドローンインパクトチャレンジ アジアカップ2016」を開催しています。 (出典:仙北市ホームページ) 民間企業の取り組みを見ると、楽天は今年5月からドローンを活用した一般消費者向けの配送サービス「そら楽」を開始し、その第一弾として、ゴルフ場のコース内でプレイヤーまでドローンがゴルフ用品や軽食を届けるサービスを提供しています。楽天は今後EC事業においてもドローンを活用することを視野に入れており、技術とオペレーションノウハウを蓄積し、さらなる革新的なドローンサービスの展開を目指しているとしています。 (出典:楽天ホームページ)   まだまだ残るドローン宅配の課題 新技術が生み出されたとき、必ずといっていいほど解決しなければならない課題が付きまといます。 一つ目は安全性の問題です。ドローンは天候がよく、障害物のないところでは問題なく飛行することが可能ですが、ひとたび環境が悪化するとそうとはいきません。また、ドローンが着陸する近隣住民への危険も少なくありません。人や車、ビルや樹木などを正しく認識し、避けて飛行する技術が求められています。 二つ目は規制の問題です。ドローンは航空法により、夜間の屋外での飛行と目視外飛行が原則禁止されていることです。ドローン宅配を行うためには、基本的に目視外飛行は必須であり、さらに夜間飛行も十分にあり得ます。また、民法においては「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と定められています。ドローンは個人宅の上空を飛行することになってしまうので、これらについて規制緩和されなければ、ドローン宅配の実現は難しくなります。 三つ目はプライバシーの問題です。最近のドローンには空撮用になどカメラが搭載されているものが一般的になってきています。ドローン宅配はマンションの各ベランダに輸送することが想定されているため、受取者の部屋のみならず、近隣住民の部屋を撮影することは技術上可能となってしまいます。ドローン宅配に見せかけた盗撮などに悪用されてしまう危険性をはらんでいます。   ドローン宅配関連15銘柄 「空の産業革命」といわれるドローンビジネスの可能性についてお分かりいただけたでしょうか。ドローン宅配が実現すれば、都市部に低コストで素早く宅配できるのみならず、普段は配送が難しい山間部や離島にまでサービスを展開することが可能になります。実現までには法整備や空輸技術などまだまだ課題は多いのが現状ではありますが、国家戦略特区での実証実験などの取り組みが進み、ドローンの技術向上、安全性向上が実現されれば、人々の暮らしを大いに豊かにしてくれるでしょう。 最後にドローン宅配関連銘柄を見ていきましょう。関連銘柄は他にも多数ありますが、代表的な15銘柄を紹介します。 銘柄名 証券コード 取り組み事例 ALSOK 2331 ドローンの警備サービスへの活用はもとより、メガソーラー発電施設を空撮し、ソーラーパネルに異常がないか点検するサービスを提供する。 菊池製作所 3444 千葉大学発ベンチャー自立制御システム研究所と共同でドローンを量産する。 オプティム 3694 世界初となるドローン対応ビッグデータ解析プラットフォーム「Skysight」を展開。また、農作物の害虫駆除を行うため、紫外線ライトを搭載した農業用ドローンを開発。 アイサンテクノロジー 4667 株式会社プロドローンと共同で、高精度な3次元地図計測を目的とした3次元空間情報取得向け自立型ドローンを開発。 楽天 4755 一般消費者向け配送サービス「そら楽」を開始。千葉市で実証実験を行う。 ウェザーニューズ 4825 エアロセンス株式会社と低層域の気象観測ネットワークを構築。同社の気象観測センサーを搭載したドローンを用いる。 NEC 6701 千葉大学発ベンチャー自立制御システム研究所の販売代理店。また、ドローンの運航管制システム開発を進める。 ソニー 6758 子会社と株式会社ZMPは共同で、ドローンが空撮した画像をクラウドに転送し、データ解析を手掛ける「エアロセンス株式会社」を設立。ZMPは、2016年12月19日東証マザーズ市場に上場予定。 デンソー 6902 ヒロボー株式会社の協力を得て、道路の橋などの社会インフラの点検に使用する産業用ドローンを開発。 ヤマハ発動機 7272 同社が開発した農業散布用小型ドローンが、米連邦航空局から飛行認可を得る。今後、大規模農家に幅広く利用されることが予想される。 イオン 8267 千葉市が計画するドローン宅配事業の実証実験に参画。 東京海上HD 8766 2015年7月より、産業用無人ヘリコプター(ドローン)総合保険を販売開始。 ヤマトHD 9064 千葉市が計画するドローン宅配事業の実証実験に参画。2020年の事業化を目指す。 NTTドコモ 9437 新潟市で自立制御システム研究所やエアロセンス株式会社などと共同でドローンを活用した「水稲プロジェクト」と「海岸保安林プロジェクト」に参画。 セコム 9735 2015年12月より、上空からの警備サービス「セコムドローン」を開始。民間防犯用としては世界初の取り組み。   (編集:QUICK Money World)

ビッグデータと資産運用、ゴールドマンAM諏訪部氏に聞く

米ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの諏訪部貴嗣氏が来日した機会に、ビッグデータ革命と資産運用業界への影響について聞いた。諏訪部氏は、ニューヨーク本社で計量投資戦略グループのリード・ポートフォリオ・マネージャーとアクティブ・エクイティ・リサーチの共同責任者を務めている。   資産運用でビッグデータの活用が本格化している。米ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの計量投資戦略グループの諏訪部貴嗣マネージング・ディレクターは「ビッグデータによる資産運用は実用化されており、すでに競争が始まっている」と話す。分析の対象は企業の決算情報やアナリストの業績予想など数値データだけでなく、文章や経営者の声色、交流サイト(SNS)などに広がっている。 データを分析して資産運用に活かす手法は株式市場ではクオンツ分析として古くから知られている。足元でインターネットの普及によるデータの爆発的増加、人工知能(AI)など技術革新、データ処理能力の飛躍的向上により「ビックデータを駆使して高い運用能力を発揮できるようになった」(諏訪部氏)という。 ビックデータの活用による資産運用は未来の話ではなく、すでに現実のものだ。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントがビックデータを活用して投資するファンドは過去7年間との比較でMSCIなどインデックス(指数)を上回る成果を出しているという。 ビックデータを活用する資産運用の世界では財務数値以外の情報の利用が始まっている。決算会見では記者からの質問に答える経営者の声のトーンを解析して神経質になっているかどうかを調べる。アナリストのリポートからは文章が強気になっているか弱気になっているかを分析して、投資判断が変化する兆候を嗅ぎ取る。衛星写真からは小売店の駐車場の混雑具合を調べて売上高の推測に使う。 ビックデータの資産運用は従来のモデルを改良、蓄積していくため「先行者利益が大きい」(諏訪部氏)。機械対人間の論争においては、機械は長期の未来予測が難しいと指摘されることが多い。諏訪部氏は機械が10年先の未来を想定するのは困難と認めながらも資産運用については「近未来について5分5分よりはマシな程度の予測で十分に実用化する意味がある」と指摘する。 11月9日に行われた米大統領選では共和党候補のトランプ氏が勝利した。諏訪部氏は機械が予想しにくい結果だったと話す一方、「確率が低い事態が起きた時に何が起きるかを機械で分析した結果を人が利用することでリスクをコントロールできる」と話した。   諏訪部貴嗣氏の略歴 計量投資戦略グループのリード・ポートフォリオ・マネージャー及びアクティブ・エクイティ・リサーチの共同責任者を務める。2004年にゴールドマン・サックス証券グローバル投資調査部のジャパン・ポートフォリオ・ストラテジー・グループのメンバーとして入社。2009年7月にゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントにシニア・エクイティ・リサーチャーとして異動。 2012年にマネージング・ディレクターに就任。ゴールドマン・サックス証券に入社する以前は、野村総合研究所および野村證券金融経済研究所に勤務。日本ファイナンス学会とMPTフォーラムが共同発行する「現代ファイナンス」誌の編集者であり、かつては日本証券アナリスト協会試験委員を務めた。1995年に東京工業大学理学部を卒業、2011年に総合研究大学院大学博士課程を修了。   (取材:QUICKコンテンツ編集グループ・片野哲也)

トランプ次期大統領の誕生、海外のプロはどう見る?

  米国大統領選挙でトランプ氏が勝利して以降、円安が大きく進み、日本株も堅調に推移しています。結果が判明した当日の日本市場では円高・株安となりましたが、翌日以降の海外市場では逆の動きとなり、この流れが現在も続いている状態です。 実際、海外の金融市場のプロはどう見ているのか。QUICKの有料コメントサービス「QUICKデリバティブズコメント」から一部抜粋して、紹介します。   欧州でも政治リスク、長期金利の上昇後押し <ING銀行 シニア金利ストラテジスト マーティン・ファンフリート氏(アムステルダム在勤)> 欧州市場でも国債利回りの上昇が目立つようになってきた。投資家が欧州の国債を手放そうとしている状況では、欧州の金融市場の成り立ちを改めて確認しておく必要がある。日米と違い、欧州経済通貨同盟(EMU)は財政に関する組織がない。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和策(QE)を通じた持続的、永続的な国債購入に依存するにも限度がある。  そのうえで欧州債券市場でも政治リスクが意識されるのは、フランス極右政党の国民戦線(FN)やイタリアのポピュリスト政党である「五つ星運動」などの党勢が増しているためだ。これらの政党はEMUから「国」を奪い返したいと考えている。特にイタリアといった対GDPで債務比率の高い国で、財政赤字の拡大を伴う支出を増やし景気を刺激する経済政策へ舵を切る懸念が強まっている。  これらが下地にあった中で米大統領選でドナルド・トランプ氏が予想外の勝利をおさめ、欧州国債売りに拍車がかかった。だが、「トランプ次期大統領」を材料にしたリフレーション・トレードもいずれは落ち着く。14日の米市場で2.30%まで上昇した米10年物国債利回りはいずれ2.00%を割り込むと想定している。  イタリアで12月4日に憲法改正の是非を問う国民投票を控える。ECBは同月に来年3月に期限を迎えるQEの延長を決めるだろう。独10年物国債利回りも年末までに0.25%以下に低下するのではないか。  米連邦準備理事会(FRB)の12月利上げは既定路線になりつつある。その次の利上げ時期は2017年上半期、4~6月期になるだろう。ただ、米景気が緩やかに拡大し金融市場も良好な地合いを維持することが前提で、これには疑問も抱いている。 FRBは来年3月にも3回目の利上げが可能 <ドイツ銀行ウェルス・マネジメント アジア太平洋最高投資責任者(CIO) トゥアン・フイン氏> 今年12月に米連邦準備理事会(FRB)が2度目の利上げをすると予想している。2017年については2回以上の利上げを見込んでいる。経済指標とドナルド・トランプ次期大統領とその新政府が打ち出す政策によっては、17年3月にも3度目の利上げに踏み切ることも可能だろう。  最近の米労働関連の指標は製造業セクターのセンチメント改善の中で持ち直してきた。インフレ率も過去数か月で強含み始めている。トランプ新政権による財政拡張が予想インフレ率を一段と高めれば、FRBの利上げ回数は(市場の想定よりも)多くなるのではないか。 米大統領選以降、外国為替市場でドル相場が上昇基調を強めている。仮に円相場に一段と売り圧力が強まれば、日本株の上昇が潜在的な運用成績の向上につながると見ている。だが、円安は長くは続かないだろう。日本のインフレ率はまだ低水準。7~9月期の国内総生産(GDP)は予想を上回る伸びを示したが、先行きについては輸出に不透明感が漂ったままだ。日銀は政策目標の達成に向けて追加の金融政策を決定する必要に迫られる。 日本株の持ち高に関する評価は「ニュートラル(中立)」を維持しているが、今後の状況を見守っている最中だ。   (取材:QUICKデリバティブズコメント) (編集:QUICK Money World)

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