世界レベルに成長する中国の「大湾岸圏」 HSBCレポート

QUICKは「アジア特Q便」と題し、アジア各国・地域の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、HSBCグレーター・チャイナ統括 チーフ・エグゼクティブのヘレン・ウォン氏が中国の大湾岸圏についてレポートします。 中国は「広東・香港・マカオ大湾岸圏」として知られる同国南部に、世界的な競争力を備えた国際的水準の都市圏を構築するという地域統合計画を推し進めている。技術革新、金融、貿易に軸足を置くこうした地域は、グローバリゼーションの新たなリーダーとして浮上しつつある。 1970年代後半以来、長期にわたって広東省は中国の改革開放政策で先頭に立ってきた。広東省は再び、この経済の転換をリードしつつあるが、今回は世界の工場としての地位からサービスと技術革新のための非常にダイナミックな拠点(ハブ)への転換が目標とされている。広東省のサクセスストーリーで重要な役割を果たした要因の1つが、香港に近いという地理的条件であり、両地域は主に市場主導で共に成長してきた。 広東省、香港、マカオの経済の統合をさらに発展、深化させ、中国の経済発展と改革開放政策におけるこの地域の役割を拡大させるために、中国は「大湾岸圏」として知られる都市群の開発計画を策定した。 この画期的な構想は、自然の地理的条件に基づいて、広東省の珠江デルタ地域の9都市(広州、深セン、珠海、仏山、中山、東莞、恵州、江門、肇慶)に加えて、香港、マカオの2つの特別行政区を結びつけ、世界的な競争力を備えた経済圏を構築することを目的とするものである。 過去数十年間にわたって、大湾岸圏の都市はそれぞれ独自の優位性および経済構造を生み出してきた。この計画の狙いは、香港、マカオ、広東省で、確立された製造業のサプライチェーン、技術革新力、金融サービス、物流、洗練された消費市場などの分野の相補的な強みを結び付けることである。この計画の最終目標は経済の新たな成長拠点を生み出すことである。この成長拠点が、中国の経済発展を先導し続けるだけでなく、東京、サンフランシスコやニューヨークなどの世界の主要な湾岸地域に匹敵する規模に成長することが目標とされている。 この構想は非現実的なものではない。大湾岸圏の11都市は、人口、経済規模、その資源の観点から見て、1つの独立国家同様の繁栄を実現することが可能である。 大湾岸圏の人口を合計すると6795万人となり、世界最大の都市群である東京首都圏の人口4400万人を上回る 。その面積は約5万6000平方キロメートルとニューヨーク都市圏の面積に匹敵する。 中国で最も急速に成長している地域の1つである広東・香港・マカオ大湾岸圏の2016年のGDPは合計で1.4兆米ドルであった。2030年までにこの地域のGDPは4.6兆米ドルに達すると予想されており、その場合、東京、ニューヨーク、サンフランシスコの湾岸地域を上回り、経済規模が世界最大の湾岸圏になることになる。 大湾岸圏は経済規模が巨大であるだけでなく、国内のみならず国際的にみても明確な競争力を備えた多様な産業を多数抱えている。 世界的にみて成功している湾岸地域を調べてみると、いくつかの共通点が見いだされる。全ての地域に、活発な国際金融センター、発達したサービス産業、強固な物流網、複数の一流大学に加えて技術革新の拠点がある。この好例として、技術革新とハイテク分野で高く評価されているサンフランシスコ湾岸地域や、金融サービスで強みを持つニューヨーク都市圏を挙げることができる。 シリコンバレーがサンフランシスコ湾岸地域の中心部にあるのと同様に、深センには製造業の大きな集積があり、中国における技術革新の中心地となっている。中国で最も高く評価され、最も独創性のある企業のうち、ファーウェイ(華為技術)とテンセント(騰訊控股)という2社の本拠が深センにある。アップルなどの海外のテクノロジー分野の巨人も深センに研究開発拠点を建設している。 香港は、深センの革新的な環境に対して、完全に補完的な役割を果たしている。香港は引き続き金融センターとしての役割を果たし、中国企業がグローバルな展開を始める場合の出発点として機能することになるとみられる。深センには中国本土における2つの証券取引所のうちの1つである深セン証券取引所があることもあり、香港と深センは活発な金融センター、そして証券取引所を持つニューヨークに類似している。例えば、中国のインターネット関連サービス分野の巨人であるテンセントは深センを本拠としているが、香港証券取引所に上場している。 一方、広州は先進的な製造業および最新のサービス業の拠点として発展しつつある。さらにマカオは、隣接する珠海市横琴とともに、国際的なレジャー産業の中心地となることを目指している。 これら中核都市に加えて他の珠江デルタ地域の都市の膨大な資源、面積、比較的安価な労働力という強みにより、大湾岸圏は国際的な協力および競争での優位性を大幅に高めて、技術革新、金融、物流、貿易面で世界的にみて重要な都市群として浮上することになるとみられる。 大湾岸圏の発展に伴い、その影響は地理的境界をはるかに越えて広がり、中国の「一帯一路」構想の進展にとって追い風となるとみられる。大湾岸圏は「シルクロード経済ベルト」(中央アジアから欧州へ)および「海上シルクロード」(東南アジア、大洋州からアフリカおよび中東へ)に沿った国々を結ぶ上で重要な役割を果たすことになるとみられる。 湾岸地区の発展には包括的な輸送ネットワークの構築が不可欠である。橋とトンネルから構成される東京湾アクアラインやサンフランシスコ・オークランド・ベイブリッジ、ゴールデン・ゲート・ブリッジは湾岸地域のインフラを象徴するほんの数例である。 大湾岸圏では近年輸送インフラが大幅に拡充され、地域統合の基盤となっている。広州、深セン、香港を結ぶ広深港高速鉄道は2018年第3四半期に開通する予定である。これにより香港から深センの国境までの列車移動の所要時間はわずか14分に短縮されることになる。香港、珠海、マカオを結ぶ港珠澳大橋によって、香港と珠海またはマカオ間の車移動の所要時間は4.5時間から約40分に短縮される。この橋によって、香港、マカオおよび珠海デルタ西部地区の経済発展が促進されるとみられる。 中国経済は、労働集約型で製造業が基盤となった経済から、中流階級の成長に支えられたサービス業・技術革新指向型の経済に移行しつつあるため、大湾岸圏は中国の新しい成長モデルへの転換を先導することになるとみられる。製造業、技術革新、物流関連の多くの分野で圧倒的な強みを持っていることとは別に、大湾岸圏は金融テクノロジー、再生可能エネルギー、バイオ医薬、ヘルスケア、医療機器、観光、ウェルス・マネジメントの分野でも成長する可能性がある。 適切な金融、物流、製造業および技術インフラが整備されていることは、大湾岸圏構想が成功するための条件の一部にすぎない。人、物、資本の地域内の自由な移動を確保するためには、関連する地域間の政策および規制を整備する必要がある。 大湾岸圏の発展は始まったばかりである。世界はこの胸を躍らせるような変化に細心の注意を払うべきである。なぜなら、この都市群は世界的な生産、技術革新の重要な拠点にとどまらず、世界の商業および経済成長の中心となる可能性があるからだ。

米ハイイールド債ETFに売り殺到 米金利上昇で魅力薄れる

2日の米国市場で、米ハイイールド債を投資対象とするiシェアーズ・iBOXX $ ハイイールド社債ETF(HYG)から大規模な資金が流出した。QUICK FactSet Workstationによれば5億9076万㌦(約650億円)の資金流出となり、2017年6月22日(6億5872万㌦)以来、7カ月半ぶりの大きさだった。 HYGはハイイールド債ETFのなかで純資産が最大だ。この日の米国市場では前日比0.63%安の86.22㌦と続落し、一時は86.15㌦まで下げて2017年3月22日以来、約2年ぶりの安値圏に沈んだ。強い米雇用統計を受けて長期金利が上昇する中、ハイイールド債ETFの高金利の魅力が相対的に薄れて解約売りが殺到した。 iシェアーズ・iBOXX $ ハイイールド社債ETFの資金流出入 (QUICK FactSet Workstationより、単位・百万㌦) (QUICKデリバティブズコメント) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米長期金利が急上昇 日銀は臨時の「指し値オペ」に動くか

前週末の米市場は「強い賃金で債券はベアスティープ、株は暴落」となった。平均時給が前年比2.9%と賃金上昇の兆しを示したことで「年4回の利上げ」を織り込む動きが意識された。米10年債利回りは「2.75%」というこれまでの「利上げの最終地点」(FRBスタッフ予想)から上方に乖離したまま2.851%へ上昇、「3.0%」(年4回なら3.0%も妥当?)を覚悟する向きも現れたようだ。 一方、米30年債利回りは3.097%と「3.1%」目前で伸び悩み、「まだ年4回利上げは織り込みたくない」という雰囲気も残している。つまり、「米金利は上げきっていない」と評価されているようだ。 前週末の日銀による「指し値オペ&増額」の効果は絶大であった。債券先物オプションでは150円00銭プットと149円50銭プットの売買高がそれぞれ1000億円を上回り(1754億円、1199億円)、建玉は4283億円、2471億円へと膨らんだ。両オプションに絡むデルタ調整の買い(調達買い)が下値を底堅いものとすることが想像される。 一方、150円50銭コールの売買高も2163億円とそれ以上に膨らみ(建玉は3279億円)、「戻り売り」および「利益確定売り」が大量に待ち構えていることも明らかだ(すなわち「押し目買い」はあっても「上値追い」はない)。 本日5日は日銀の国債買い入れは「予告」されていない。しかし、欧米金利上昇という「外部要因」によって、長期金利をゼロ%程度に抑えるイールドカーブ・コントロールが脅かされるリスクが高まる現状では、臨時のオペへの思惑が浮上する。「こうなると毎日実施してもいいのでは」、「買わなければタダだし」(ストラテジスト)と”臨時の指し値オペ”を指摘する声もある。臨時なら10時10分の定刻でなくても、「取引開始前でもいつでも可能だ」とも。 長期金利は前週末2日に節目の0.1%に肉薄 本日の円債相場は、跛行(はこう)性の強い展開となりそうだ。オーバーナイト(海外)の金利上昇基調を受けて海外勢を中心とした債券先物売りが膨らみそうだ。5日移動平均(150円25銭)を跨ぐことで売りが売りを呼ぶ展開も想定し得る。他方、日銀の指し値オペへの期待から「10年債利回り0.100%および0.110%」の手前では国内勢の買いが見込まれる。10年349回債の需給逼迫(スクイーズ)が支えとなろう。 ただ、「20年債利回り0.60%」の押し目買いが積み上がっていることはリスク要因かもしれない。8日(木)に30年債入札を控え、米債のベアスティープをみたヘッジ売りが超長期債の「梯子」が外される可能性にも警戒したい。株安が加速するようだと、リスク許容度低下に伴う持高調整が「0.6%の20年債」の圧縮を急がせることにもなりかねない。 (QUICKデリバティブズコメント) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ダウ平均急落 どうなる米国株? 1987年の再来はあるか

2日に9年ぶりの値幅を伴って急落した米株式相場。目立った調整を経ずに右肩上がりを演じてきただけに、久しぶりの大幅安は投資家の肝を冷やした。今後の相場展開はどうなるのか。改めて投資環境を整理するいい機会でもある。 ゴールドマン・サックスの株式ストラテジスト、デビッド・コスティン氏は毎週末、レポートを公表する。2日付のタイトルは「One month into 2018, considering the risks to our S&P 500 year-end target of 2850」だった。 メールの前文では一言、「予想PER(株価収益率)は足元で18倍だが、金利上昇が今後のPER上昇を妨げると予想する」と指摘していた。しかし、添付されたレポートの内容は必ずしも悲観論ではなかった。 コスティン氏の下には最近になって投資家からブラックマンデーのあった1987年と今年が似ているのではないか、といった質問が寄せられるようになったという。1月のスタートダッシュとボラティリティの上昇が当時と重なるようだが、同氏の見解は必ずしも一致しない。 楽観視する材料をまとめると以下になる。 ・EPS(1株利益)予想が急激に切り上がっている ・米景気の拡大 ・企業の自社株買い 特にEPS予想の上昇は目覚ましいものがある。背景には実行段階へと入った米税制改革における法人税減税の影響だ。下記のチャートが示すように、米議会で法案が可決されてから、アナリストたちが一斉に業績見通しへ反映させ始めた。 ※アナリストのEPS予想は急速に切り上がった(ゴールドマン・サックスのレポートより)   シティグループも先週、2018年のEPSの伸び率を12%から17%へ引き上げた。米国が牽引する格好でグローバルで見たEPSの伸び率も11%から14%へ改定している。新興国株への業績期待も強いなど、世界株は全般的に良好なファンダメンタルズが支え役となっている。 では先週末の急落の背景には何が考えられるのだろうか。引き金はやはり米長期金利の上昇だろう。1月の雇用統計が示した賃金の大きな伸び率を受け、米10年物国債利回りは2.8%を大きく上回った。少なくとも昨年11月まで日本の信用取引に近い証拠金取債務(マージン・デット)は拡大していた。低金利下で調達コストが抑えられた投資環境に慣れていたマネーがたじろいだ可能性は捨てきれない。 ※NYSEが公表するマージン・デットの推移とS&P500(QUICK FactSet Workstationより) ポジションも大きく偏っていた。ゴールドマンが集計した先物の建玉状況では今年だけで買いポジションが400億ドル(約4兆4000億円)も増加していたという。持ち高のトリミングはいつ起きてもおかしくはなかった。 兆候は2月1日に現れていたようで、JPモルガンによると1日だけで米株式の上場投資信託(ETF)から34億ドル(約3700億円)の資金が流出したという。 ※先物のロング・ポジションは歴史的水準に膨れていた(ゴールドマン・サックスのレポートより) 米ダウ工業株30種平均が665ドルも下げれば冷や汗も流れるが、水準そのものはすでに速いペースで切り上がってきた。1万ドル台の600ドル安とはインパクトが違う。ひとまずユーフォリアに浸っていた米株式市場が目を覚ますにはいいきっかけになったと言えそうだ。ただ、米長期金利の動向次第ではマネーの収縮が始まるリスクもある。 (QUICKデリバティブズコメント) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。  

円、日銀指し値オペ後も底堅さ 拭えない緩和縮小の思惑

2日の東京外国為替市場で円相場は底堅さが目立った。日銀が2日、固定利回り方式で国債を無制限に買い入れる指し値オペ(公開市場操作)を実施し、金利を抑える姿勢をはっきり示したが、外為市場では「好調な世界経済と欧米国債の利回り上昇がいずれ日本の量的緩和縮小を促す」との観測が消えなかったようだ。 日銀が10時10分に指し値オペを通知すると、過去の経験則に基づいて動くコンピューター経由の「アルゴリズム投資家」は早速円売りで反応した。だが、国内外ともに追随する動きは限られ、日経平均株価が下げ幅を広げたこともあって円は1ドル=109円台前半まで持ち直す場面もみられた。 2日の指し値オペは新発10年物国債349回債を0.110%で無制限に買うというもので、オペ通知前の市場実勢である0.095%よりも高く(価格は安く)、オペ参加者が応じられる水準ではなかった。実際に応札はなし。オペの実務を担う日銀の金融市場局は日経QUICKニュース社の取材に対し「長期金利がこのところ大きく上昇していることを踏まえ、10年物国債金利の操作目標をゼロ%程度とする『金融市場調節方針』をしっかりと実現するよう実施した」と説明したが、外為市場は額面通りには受け止めていない。 みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「円売り・ドル買いはコンピュータープログラムの条件反射にとどまる」と冷ややかに話す。米長期金利には日本時間2日午前の時間外取引でも上昇圧力がかかっており、確かに「空砲」指し値オペの効果が続くかは微妙だ。大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストも「日銀の金融緩和策が今後も持続されるとの確信が持てないうちは円売り・ドル買いは進みにくいのではないか」とみている。 そんな中、市場は日本時間の今晩に明らかになる1月の米雇用統計に目を向けている。三菱東京UFJ銀行の内田稔チーフアナリストは「1月の米雇用統計では、賃金の伸び率が好景気を映して高水準となり、市場予想を上回る可能性が十分にある」と指摘する。原油高を受けて全般にインフレ圧力が高まっていることも影響し、米国の利上げペースが速まるとの観測につながりかねない情勢だ。米金利にはさらなる上昇圧力がかかるかもしれない。 ユーロ圏では相変わらず、量的緩和政策の早期縮小観測からドイツ国債などの利回りが高くなっている。国際分散運用を手掛ける投資家は債券比率を一定に保つため、欧米債券安が進めば機械的に日本国債にも売りを出す。日銀はどこまで本気で金利を抑える構えを見せられるのか。外為市場は引き続き注視している。 【日経QUICKニュース(NQN) 荒木望】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

データで振り返る「平井時代」のソニー

ソニー(6758)は2日午後、4月1日付で吉田憲一郎CFO兼副社長が社長兼CEOに昇格し、平井一夫社長兼CEOが会長に就任するトップ人事を発表した。  平井社長は、ソニーコンピュータエンタテインメント(SCE)の社長兼グループCEO、会長を歴任し、2012年4月に、ハワード・ストリンガー氏の後任としてソニーの代表執行役社長に就任した。パソコン事業やテレビ事業が業績の足かせとなり最終赤字が続く時代に、第1次中期計画(2012-14年度)に構造改革を実施。大胆なコスト削減やテレビ事業の分社化に取り組んだ。    第2次中期計画(2015-17年度)では高収益企業への変革を推進。有料会員が支える収益の柱であるゲームのほか、高水準な半導体、映画などメディアなどを支えに収益が復調。06年に撤退したロボット事業へ再参入を決めたことも記憶に新しい。第2次中期経営計画で掲げた18年3月期に営業利益5000億円以上を「有言実行」した格好となった。  CEOの就任後には1兆円を割り込んだ時価総額も今では7兆円を視野に水準まで回復。社長交代を発表した2日の株価は前日比1.85%高の5485円となり市場から一定の評価を受けたと言えそう。さらに取引終了後には2018年3月期の業績見通しを上方修正。純利益を3800億円から4800億円に引き上げ、「平井時代」として最高水準になる見込みだ。平井氏はソニー復活の道筋をつけ新社長へとバトンを渡す。 【ソニーの時価総額】 (QUICKエクイティコメント) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

長期金利、上昇の公算 日銀「指し値オペ」の可能性

1日の米国市場で米10年債利回りは2.788%と2.75%の節目を上回った。30年債も3%台に乗せている。1日に0.095%まで上昇した日本の10年物国債利回りは2日、0.1%台に上昇する公算が大きい。0.1%ないしは0.11%が日銀の誘導目標の上限とされており、日銀が何らかの手を打ってくるか注目される。   2日の国債買い入れオペは「5年超10年以下」(前回4,100億円)「10年超25年以下」(同1,900億円)「25年超」(同800億円)が予定されている。買い入れ額が前回と同じなら、市場で「日銀が金利上昇を容認した」と受け止められ、金利上昇が加速する可能性が高い。このため「オペ増額」か「指値オペ」を実施せざるを得ないとみられている。 オペの増額は相応に効くだろう。しかし、金利上昇を抑えられなかった場合は2017年2月3日のように指値オペの追加を迫られ、必要以上のコストを払うことになる。 仮に金利上昇を抑制できたとしても、ここで増額してしまうと「減額」が難しくなる。オペ増額が「金利上昇抑制」であれば、オペ減額は「金利上昇容認」と受け取られる可能性があるためだ。実際、1月9日のオペ減額では、海外勢を中心にそのように解釈され、マーケットに影響が出た。   指値オペは無制限に買い入れることから、金利上昇を抑制する効果は絶大だ。ただ、メッセージ性が「強すぎる」というデメリットもある。2日に実施するとすれば、指値のレートは3回連続で「0.11%」となる可能性が高い。このレートが「誘導目標の上限」であるとの見方が定着するためだ。少し前までマーケットで話題になっていた10年物国債利回りの変動幅を広げる「微修正」は、長短金利操作(イールドカーブコントロール)のターゲットである「ゼロ%程度」の修正に近い実質的な政策変更という位置づけになりかねず、かなり丁寧な説明が必要になろう。本日のオペに関し日銀は難しい舵取りを迫られる。   日銀の通常のオペは10時10分に通知される。指値オペは10時10分と14時が原則。ただ、状況によっていつでも通知は可能だ。先手を打って、10時10分よりも前に動く可能性もある。   多くの債券市場関係者には周知のこと。意外と売られずに始まる可能性もある。ただ、最近は日銀オペに他市場が過剰反応するケースが見られる。日銀のアクションが期待外れであれば、株安・円高。積極的に動けば、株高・円安に振れやすい。長期金利は、オペで上昇を抑制されても低下幅は、他市場の動向次第となろう。 (QUICKデリバティブズコメント)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米フェイスブック決算 「偽ニュース対策」懸念を吹き飛ばしたのは……

変わりゆく米フェイスブック。1月31日の2017年10~12月期決算の発表直後に大幅安となった株価は、決算説明会の最中に上昇に転じた。矢継ぎ早の「偽ニュース」対策が広告収入に与える影響への警戒感は、広告単価上昇を受けて後退した。出遅れた株価の巻き返しへ、きっかけをつかんだかもしれない。 フェイスブックに費やした時間「5000万時間減少」 従来は数行と簡素なマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が決算発表資料に寄せたコメントの長さが、偽ニュース対策に腐心する苦境を映している。「17年は強い年だったが厳しい年でもあった」と振り返り、「18年はただ楽しいだけでなく人々の幸福や社会にとってフェイスブックが良いものになるようにしていく」との決意を改めて表明した。 10~12月期は偽ニュース対策として、口コミで話題になるのを狙った「バイラル動画」の表示を減らした。ザッカーバーグ氏は「この変更でフェイスブックに費やされる時間は1日当たり5000万時間減った」と説明した。1月にコンテンツの表示を企業やメディアより、友人、家族の投稿の表示を増やすと発表するなど偽ニュース対策を相次いで打ち出していたため、広告収入に悪影響を与えるとの警戒感が売りを誘った。 高まる広告単価の上昇率 「広告単価は前年同期比で43%増えた」。一時は通常取引の終値から5%あまり下落した株価が持ち直したきっかけは、決算説明会でデビッド・ウェーナー最高財務責任者(CFO)が発した一言だった。1~3月期に14%だった単価の伸び率は7~9月期に35%まで拡大し、さらに伸び率が加速した。 投稿を表示する「ニュースフィード」に挿入する広告の数が利用者が不快に感じない限界に近づいたフェイスブックには、広告収入の鈍化懸念がつきまとっていた。広告の表示頻度の伸びは1~3月期の32%から7~9月期に10%まで鈍化。10~12月期は4%まで縮小したが、単価の伸びで補う構図が鮮明になり市場で安心感が広がった。 売上高は過去最高に ネット広告の需要拡大と広告単価の上昇で10~12月期の売上高は47%増の129億7200万ドルと過去最高を更新した。月間利用者数(MAU)が21億2900万人、毎日利用する人(DAU)が14億100万人とそれぞれ14%程度伸びた。「インドやインドネシア、ブラジルで利用者が増えた」(ウェーナーCFO)という。 米税制改革による一時費用が22億ドル超の押し下げ要因になり、純利益は2割の伸びにとどまったが、収益力の高まりは鮮明だ。売上高営業利益率は56.7%と前年同期から4.8ポイント改善した。偽ニュース対策などで従業員数は47%増えたものの、売上高の伸びがコスト増を上回り研究開発費の増加を抑制したのも奏功した。 株価の戻り、メッセンジャーなどの収益化が鍵 7~9月期決算を発表した昨年11月1日以降のフェイスブックの株価はさえなかった。31日終値で4%高と、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグル(アルファベット)の「FANG」で唯一、S&P500種株価指数の上昇率(9%)を下回った。偽ニュース対策に多額の資金を投じると表明し、収益率が悪化するとの警戒感が上値を抑えてきた。 18年の設備投資額は140億~150億ドルと17年(67億ドル)の倍以上に膨らむ見通しを示した。ただ事前に表明していただけに株価への影響は目立たなかった。単価上昇で強気に傾いた投資家心理を支えるには、広告を増やしている写真・動画共有アプリ「インスタグラム」やMAUが13億人に達した対話アプリ「メッセンジャー」の収益化が鍵を握る。変化を迫られるフェイスブックを支える収益源に育てば、株価は戻りを試す展開が続きそうだ。 【NQNニューヨーク=滝口朋史】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

仮想通貨、グローバル規制の足音 米上院、2月6日に公聴会開催へ

米議会上院の銀行住宅都市委員会が2月6日、ビットコインなど仮想通貨について公聴会を開催することが明らかになった。米証券取引委員会(SEC)のジェイ・クレイトン委員長と、米商品先物取引委員会(CFTC)のクリストファー・ジャンカルロ委員長が証言する。仮想通貨を巡る詐欺や、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)への規制について、議員から質問が出る見通しだ。 SECは1月30日、6億ドルを調達したとされるICOを差し止めたばかり。昨年秋には中国や韓国がICO規制を打ち出している。3月19~20日にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、仮想通貨やICOへの規制が議論の対象となる可能性が高い。立法権限を持つ米上院での公聴会開催は、こうした仮想通貨を巡るグローバル規制の議論と連動した動きとみられる。 ダウ・ジョーンズ通信によると、SECのクレイトン委員長は昨年12月、ビットコインなどの仮想通貨市場に大量の資金が流れ込んでいることに注意を呼び掛け、規制が緩い同市場は個人投資家にとってリスクに満ちていると警鐘を鳴らした。SECは特に、ICOを厳しく取り締まっているという。 SECのクレイトン委員長は1月24日、ビットコイン先物を規制するCFTCのジャンカルロ委員長とともに米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿し、「SECは資源の大部分をICOに向けている」と強調していた。 (QUICKデリバティブズコメント) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※関連記事はこちら http://www.quick.co.jp/5/article/13435

タカ派シグナル? FOMC声明、こう読む

 米連邦準備理事会(FRB)は1月30~31日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.25~1.50%で据え置くと決めた。 声明は物価について「前年同月比での物価上昇率は今年は高まっていくとみられる、中期的には2%近辺で安定するだろう」との見解を表明。前回12月の「物価上昇率は若干2%を短期的に下回るとみられる」から、ややインフレに対して強気の見方に修正した。今回の結果に対する市場関係者の見方をまとめた。  ゴールドマン、「3月利上げの可能性を85→90%に引き上げ」 FOMC声明を受け、ゴールドマン・サックスは31日付のリポートで「12月の声明より、大部分でアップビートな文言に変更された。3月のFOMCでの利上げ確率を従来の85%から90%に引き上げる」と指摘した。 バンカメ、「声明でタカ派シグナル、インフレ見通しに決定的な変更点」 バンクオブアメリカ・メリルリンチは31日付のレポートで「FRBは声明でタカ派的なシグナルを発した」と指摘。「FRBはインフレ率は上昇し、中期的には目標である2%程度で安定的に推移することを想定している」とし、「インフレ率は2%をやや下回る水準で推移を続けると表現した12月の声明を考えると、決定的な変更となった」との見方を示した。 UBS、「FEDがインフレに対して少し強固になったと自信」 UBSは31日付のリポートで「FED内部で議論が進化しているだろうが、事実として変更があった。この変更が意味するところは、FEDがインフレ率の上昇が少し強固になってきたと自信を持っていることを現している」と指摘した。 JPモルガン、「『さらなる』段階的な利上げに変更、利上げ期待を織り込ませに」 JPモルガンは31日付のレポートで「声明には興味深い変更点が数点あった」と指摘した。 「最も興味深いのはフォワードガイダンスの文言の変更だった」とし、「従来は『段階的な』金融政策の変更と『段階的な』利上げとしたが、1月FOMCでは『更なる』との文言が追加された」という。 「FRBは利上げ期待を市場に織り込ませる意図があるのではないかと当社は解釈する」との見方を示した。 「インフレ見通しではFRBは従来、『2%をやや下回る状況が続いている』としたが、1月は『2018年は上昇する』と表記した」という。「1月FOMCの声明は想定よりもややタカ派的だった」とした。 (QUICKデリバティブズコメント) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。  

オムロン株急落、増益率低下で年初来の上げ帳消し

31日の東京株式市場でオムロン(6645)が大幅に下落した。30日に発表した2017年4~12月期連結決算(米国会計基準)で、10~12月期の営業利益率の低下が明らかとなり、売りが出た。株価を大きく左右する制御機器事業では今後、先行投資による利益圧迫が見込まれる。2018年3月期の業績見通しも据え置いた。上方修正期待が強い銘柄だっただけに、投資家の間で失望を誘った。 一時は前日比8.6%安の6610円まで売られ、年初来の上昇を帳消しにした。2017年10~12月期の連結業績は営業利益が前年同期比6%増の210億円だった。7~9月期は同29%増の207億円で、増益率は鈍化した。売上高に対する営業利益率は9.8%と、前年同期の10.1%や前四半期の10.0%から悪化した。 同社主力の制御機器事業(IAB)はアジアの活発な工場自動化の需要を取り込み、好調に伸びているものの、将来のさらなる成長には先行投資が不可欠だ。このため研究開発費は増えている。 市場では「IABを中心とした先行投資負担増による利益率への悪影響を確認した」(モルガン・スタンレーMUFG証券の担当アナリスト)との見方があった。会社は通期の営業利益目標を850億円に据え置いたが、そこから1~3月期の営業利益予想を逆算すると206億円となり、営業利益率は9.2%とさらに悪化する。 株価は昨年末の6720円を一時下回った。みずほ証券の田中健士シニアアナリストは30日付の投資家向けリポートで「過去、株価と相関が高かったIABの業績モメンタムは鈍化が見込まれ、株価は徐々にアウトパフォームするのが難しくなる」との見方を示した。 株価は過去5年、IABの営業利益の増減に連動する傾向がある。15年3月期のIABの営業利益は前の期比41%増え、14年度の株価上昇率は27%と伸びた。一方、16年3月期の営業利益は12%減で、15年度の株価は38%下落した。 会社は今回の決算発表で「今後も積極的に投資を実施していく」(同社広報部)方針を示している。中長期的な成長期待はなお強いが、株価はいったん調整局面を迎えた可能性がある。 【日経QUICKニュース(NQN ) 楠千弘】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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