不安のマネー、緩やかに着実に金へ 投機筋も個人投資家も

世界の株式相場が軟調となるなか、実物資産の裏付けのある金にはゆるやかに資金が逃避している。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心となる19年2月限物は3日ぶりに反発し、前日比10.4ドル高の1トロイオンス1251.8ドルで終えた。7日には1252.6ドルで終え、7月9日以来およそ5カ月ぶりの高値をつけていた。市場の一部では一段の上昇を見込む声がある。 「ブレグジットへの懸念などからさらに上昇余地を探る可能性がある」――あるコモディティアナリストは一段と金相場の上昇を睨む。投機筋はすでにやや上昇を睨んだ動きも見せている。 米商品先物取引委員会(CFTC)が14日発表した11日時点の建玉報告によると、COMEXで投機筋(非商業部門)による金先物の買い越し幅は6万499枚だった。前週に比べて1万1498枚増加し、7月10日時点(8万1434枚)以来の高水準となった。直近の週はロングも小幅に減少したものの、ショートが1万4917枚の大幅減となっていた。 ■NY金とCFTCの金先物買い越し幅の比較チャート 個人投資家も金相場の上昇を睨んだ動きをしているようだ。英ロンドンを拠点に個人向けの金オンライン取引を手掛けるブリオンボールトによると、11月に金価格が上昇するなかで個人投資家の保有量が増加していた。こうした現象は2017年1月以来という。 欧州を巡る不安、米中の対立を巡る不安など先行き不透明感は多い。リスク資産から現物資産の裏付けのある金に資金が一気に流入する可能性もありそうだ。(中山桂一)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

WTIが50ドル割れ、BEIも低水準に FOMCでハトは出るか

17日の米国市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物が一時49.09ドルまで下落。2017年9月以来、約1年3カ月ぶりの安値を付けた。供給過剰懸念や中国や欧州の経済指標悪化を受けた前週からのリスクオフの流れの継続が背景。ダウ平均も500ドルを超す下落となって終えている。 原油相場の下落を受け、市場の期待インフレを現す米ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も1.81%と17年9月以来の水準まで低下した。18~19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)におけるハト派化観測を後押しすることになりそうだ。 ■米BEIとWTIの比較チャート この日はブレント原油も安く、清算値は1.1%安の1バレル=59.61ドルだった。この結果、ブレント原油とWTIのスプレッドは9.73ドルとなっている。10月以降の下げ相場の過程で、ブレント原油とWTIのスプレッドは一時12ドルを超えたが、足元では9ドル台で縮小傾向にあった。しかし、米国内の原油生産量の増加が警戒されるほか、米株安を受けてリスク・オフの動きが強まるようだと、下げ相場の中でスプレッドの拡大を伴いながらWTIの下げがキツくなる恐れがありそう。(池谷信久、片平正ニ) ■ブレントとWTIのスプレッド(緑・左軸)の推移   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。また、QUICKデリバティブズコメントでは特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。

【朝イチ便利帳】18日 FOMC(~19日)、11月の米住宅着工件数、12月のESPフォーキャスト調査

18日は12月のESPフォーキャスト調査(日本経済研究センター)が発表される。 海外では、12月の独Ifo企業景況感指数が発表されるほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)が19日まで開催される。   【18日の予定】 国内 時刻 予定 10:30 20年物国債の入札(財務省) 13:30 小林同友会代表幹事の記者会見 15:00ごろ 12月のESPフォーキャスト調査(日本経済研究センター) その他 閣議   柿木鉄連会長の記者会見   東証ジャスダック上場=田中建設工業   東証マザーズ上場=テクノスデータサイエンスエンジニアリング 海外 時刻 予定 9:30 豪中銀が金融政策会合議事要旨を発表 18:00 12月の独Ifo企業景況感指数 22:30 11月の米住宅着工件数 その他 米連邦公開市場委員会(FOMC、19日まで) 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 9613 システム会社、業績拡大 NTTデータなど、省力化投資で 日経 +1.05% 12/17 6502 東芝、自社株を消却 発行済みの10.1% 日経 +0.59% 12/17 8697 日本取引所のCEO、日産自の報酬過少記載問題「事実関係次第で措置」 日経 +0.47% 12/17 4666 パーク24、10月期の純利益3%増 日経 +0.33% 12/17 7203 トヨタ、19年の世界販売2%増へ 最高更新、中国がけん引 日経 +0.16% 12/17 8058 三菱商、20年3月期から3年で株主配当8000億円 年200円視野 日経 -0.03% 12/17 7201 日産自、臨時株主総会を拒否 ルノーと対立 日経 -0.27% 12/17 8053 住友商、仏で洋上風力参入 5000億円規模 日経 -0.44% 12/17 6501 日立、英原発計画見直し 英への追加支援要請は難航必至 各紙 -0.95% 12/17 4502 ムーディーズ、武田を3段階格下げ 日経 -0.95% 12/17 5486 日立金、アルミホイール事業から撤退 日経 -0.99% 12/17 8267 イオン、インドネシア配車大手と食品宅配 日経 -1.06% 12/17 7211 三菱自、指名報酬委員会を設置決定 経営の透明性向上 日経 -1.19% 12/17

米中、明暗分かれた小売売上高 中国は15年半ぶり低水準

中国が14日発表した11月の小売売上高の伸びは前年同月比8.1%増で、2003年5月以来、15年半ぶりの低い伸びとなった。個人消費の減速懸念が高まり、グローバルな株安の一因になった。 一方、同14日発表の11月の米小売売上高は前月比0.2%増と市場予想(0.1%増)を上回った。前年同月比では4.2%のプラス。また、10月分は上方修正されており、足元の個人消費の底堅さが改めて確認された。 トランプ大統領はツイッターやテレビのインタビューで「我々の貿易戦争が原因だ」「私(が仕掛けた関税)が原因だ」などと“戦果”をアピールしている。 株価大幅安にも関わらず米長期金利は小幅な低下にとどまり、CMEフェドウォッチ・ツールにおける12月利上げ確率も70%台後半を維持している。(池谷信久) ■中国(赤)と米国(青)の11月の小売売上高  ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

【朝イチ便利帳】17日 企業の物価見通し、10月のユーロ圏貿易収支

17日は企業の物価見通し、11月の首都圏・近畿圏のマンション市場動向などが発表される予定。IPO関連ではグッドライフカンパニー(2970)、ツクイスタッフ(7045)が新規上場する。 海外では10月のユーロ圏貿易収支、12月のニューヨーク連銀製造業景況指数などが発表される予定だ。   【17日の予定】 国内 時刻 予定 8:00 12月のQUICK月次調査<外為> 8:50 企業の物価見通し(日銀、12月短観分)   国際決済銀行(BIS)国際資金取引統計および国際与信統計の日本分集計結果(2018年9月末)(日銀) 13:00 11月の首都圏近畿圏のマンション市場動向(不動産経済研究所) 15:30 中西経団連会長の記者会見   清田日本取引所CEOの記者会見 その他 ジャスダック上場=グッドライフカンパニー、ツクイスタッフ 海外 時刻 予定 0:00 12月の全米住宅建設業協会(NAHB)住宅市場指数(18日) 6:00 10月の対米証券投資(18日) 19:00 10月のユーロ圏貿易収支   11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値 22:30 12月のニューヨーク連銀製造業景況指数 その他 南アフリカ市場が休場 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 2678 アスクル、6〜11月期純利益91%減 配送費膨らむ 日経 -0.10% 12/14 7011 三菱重系、英国の洋上風力を受注 日経 -0.11% 12/14 9022 JR東海、新幹線70本を高速化 東京—新大阪間 日経 -0.17% 12/14 7201 仏ルノー、日産自に株主総会開催を要求 役員選定で影響維持狙う 日経電子版 -0.48% 12/14 7201 日産自きょう取締役会、後任会長選出見送りへ 日経 -0.48% 12/14 7211 三菱自、ダイムラーと提携 次世代車開発、日産自ルノーに合流 日経 -0.48% 12/14 7201 -1.75% 12/14 8001 伊藤忠が次世代電池、米スタートアップに出資 日経 -0.84% 12/14 7013 IHI、イタリア建設買収検討 橋梁で海外進出 日経 -0.85% 12/14 6501 日立の英原発事業、電力各社と出資交渉難航 日経 -0.94% 12/14 5411 下水道整備、東南ア活況 JFE系JFEエンジ、ベトナムで受注 日経 -1.23% 12/14 3938 LINE、韓国セキュリティー会社を買収 個人情報保護を強化 日経 -1.63% 12/14 1803 清水建、木材由来プラで島根に研究施設 日経 -2.68% 12/14 7545 西松屋チェ今期単独税引き益30%減 増益予想一転 日経 -2.81% 12/14 4587 ペプドリ、来期単独営業益5割増 日経 -3.98% 12/14  

上場間際ソフトバンクの強みと課題 香港の投資ファンドこうみる 

19日に迫ったソフトバンクグループ(SBG、9984)の国内通信子会社ソフトバンク(SB、9434)の新規上場は国内投資家だけでなく、日本株に投資する海外勢からも注目度が高い。SBの事業価値や親会社の株価への影響をどうみているのか。香港の投資ファンドで日本企業を含む銘柄調査を担当する専門家に聞いた。 「携帯市場の競争激化に不安」 ◎豊盛金融集団(馮宏遠アナリスト) ――SBの企業価値をどう評価していますか。 「日本の携帯通信市場は競争が激化する見通しで、投資対象として魅力的ではない。市場が既に飽和しつつあるところに、来年秋には楽天が新たに参入する。さらに日本政府も通信料金の大幅な引き下げを求めている。先行きは明らかに通信料が低下しそうだ」 「配当性向の高さは日本の個人投資家をある程度引きつけそうだが、将来的に通信料収入が減少しても維持できるのか疑問が残る」 ――親会社SBGの株式にはどのような影響がありますか。 「今回の上場は親会社のSBGにとっては前向きな材料だ。上場による資金調達で国内通信の価値を顕在化しつつ、設備投資負担の重い通信事業を自律的な形に切り離せる。ただ、我々は親会社のSBGの事業環境にも慎重で、現在は株式を保有していない」 ――上場を評価しながら、SBGの先行きに慎重な理由は。 「今後のSBGの中心となる『ビジョン・ファンド』の投資先は主にテクノロジーやスタートアップ企業だ。こうした業界は投資尺度からみて既にかなり割高な企業が多いうえ、現在のように世界景気が減速し始めている状況では投資の回収に時間を要するだろう」 「(SBGの)負債の大きさも先行きに慎重な理由だ。少なくとも2019年後半までは米利上げが継続するとみられるなか、負債の多い企業は投資家から敬遠されやすい」 「ファンドの中核がサウジアラビアからの資金であることも懸念材料だ。サウジは記者殺害事件で外交的な問題を抱えるのに加えて、足元の原油価格の下落もあり、長期的に安定して資金を供給し続けられるのか不安がある」 ――日本株全体の先行きの見方を教えてください。 「今後1~2年の日本株は、米国などと比べて相対的に堅調だとみている。ただ足元は世界景気が後退局面に近づきつつあり、世界の株式相場はそれほど割安ではない。日本株も目先が買い場とはみていない」 「業界別では化粧品や食品に対して強気だ。景気が減速しても食事や日用品、パーソナルケアで質の高さを求める傾向は続くだろう。訪日旅行客の増加で、日本の化粧品や食品のブランド力が中国市場で高まっていることも評価できる」 「5Gでグループの優位性」 ◎易方資本(王華CIO、関博文シニアアナリスト) ――SBGに対する投資スタンスを教えてください。 王氏「SBGは米アルファベット(グーグル)と並んで長期保有している銘柄だ。次世代通信規格『5G』の時代になればグループとしての優位性が大きい。通信速度が飛躍的に高まる5Gでは、位置情報など利用者データを活用したサービスが広がる。英半導体設計のARMのほか、ヒト型ロボットの『ペッパー』などを有しており、通信事業からの膨大なデータをうまく活用しやすい立場だ。あらゆるモノがネットにつながる『IoT』で独自のエコシステム(生態系)を築く存在になり得る」 ――子会社SBの上場がSBG株に与える影響は。 関氏「SBGは通信会社からAI(人工知能)やロボットなど、純粋なテクノロジー企業の側面が強まる。日本国内での通信料金の引き下げ圧力や、5G関連の設備投資が負担になる通信事業の分離は投資家にとって好ましい。一方、こうした理由から新規上場するSBの株式に対しては慎重だ」 ――5Gで提携するファーウェイの孟晩舟・副会長がカナダで逮捕されました。 王氏「SBだけでなく、通信業界全体にとって基地局などでファーウェイの製品を使わないことにより設備投資の負担が増す可能性がある。北欧のノキアやエリクソン、日本のNEC、富士通といったあたりが設備の代替メーカーになりそうだが、一般にファーウェイ製品より価格は高いだろう」 ――ソフトバンク・ビジョン・ファンドの資金の出し手であるサウジアラビアは記者殺害事件で外交的に孤立し、投資家からも不安視する声があります。 王氏「サウジアラビアの問題は確かにSBGにとって懸念材料だ。この問題の今後の展開を予想するのは難しい。ただ、現段階では上記のような優位性があるSBGの株式を売却するほど深刻だとは捉えていない」 ――SBG以外で将来性を評価している日本企業はありますか。 王氏「ソニー(6758)と村田製作所(6981)に投資している。ソニーはスマートフォン向け画像センサーや仮想現実(VR)端末『プレイステーションVR』が先行きの収益に寄与するとみている。村田製は積層セラミックコンデンサー(MLCC)の自動車向け需要の増加がテーマだ」 (聞き手はNQN香港=柘植康文、易方資本は書面でのインタビュー)

アナリストの本質は企業価値を見極めること by 鈴木行生氏(シリーズ:ベテランに聞く)

アナリストは自分の担当セクターのみに安住していてはならない。アクティブファンドが勝てないとされる今こそ、アナリストの存在価値が試されている――。日本ベル投資研究所の鈴木行生・代表取締役主席アナリストは野村総合研究所の出身。野村ホールディングス取締役や日本証券アナリスト協会会長などを歴任し、自ら設立した調査会社で今も現役アナリストとして企業調査に関わり続ける。「セルサイドのアナリストの充実こそが、企業と投資家の間の対話に不可欠だ」との信念を持つ。【聞き手は日経QUICKニュース(NQN)=張間正義、井口耕佑】 鈴木行生(すずき・ゆきお)氏 1975年に野村総合研究所入社。自動車や重工メーカーなどのアナリストを務める。97年野村証券取締役金融研究所長、05年野村ホールディングス取締役。07年日本証券アナリスト協会会長。10年に日本ベル投資研究所を設立。同社のアナリストとして中・小型株の分析を行う傍ら、複数の企業の社外取締役を務める ■社長と同じ目線で企業を見る 私のアナリストとしてのキャリアは75年に野村総研に入社してから、自動車部品メーカーやエレキ関連の企業担当として始まった。といっても、デンソーなどの大きなメーカーは自動車業界担当のベテランが担当しており、駆け出しだった私は小型のメーカーが主な相手だった。 生まれて初めて書いたアナリストリポートは、今でもはっきりと記憶に残っている。自動車のヘッドライトなどの部品を作る国内の照明メーカー3社の、業績や経営体質を比較したものだった。ここまではっきり覚えているのは、このリポートを3社それぞれの役員会で発表したからだ。自分が書くリポートは、他でもない企業の社長に読まれる。緊張感とともに、自分の意見を重んじてくれていることに身の引き締まる思いもあった。 このことから学んだのは、アナリストは社長と同じ目線で企業をみなければならないということだ。自分と対等の人間が書いたものでなければ、彼らも信頼してくれないだろう。 ■インデックス化の流れの中でこそ存在意義 アナリストの仕事は、その名の通り「アナライズ(分析)」することだ。この分析とは、複数の同業を比べる「比較」と、将来の財務状況や業績を見通す「予想」とに分類される。当事者から一歩離れたところから比較、予想ができるのはセルサイドのセクターアナリストだけだ。 今はアクティブファンドが勝てない時代、インデックス投資がもてはやされる時代になってきている。アナリストもバイサイドの引き合いが強まっているが、だからといってセルサイドのアナリストの必要性がなくなったわけではない。 バイサイドアナリストは自分のポジションを持っている以上、ファンドマネジャーに近い存在だ。自分の保有銘柄で自己完結してしまいがちで、本当に投資家・経営者に有益な分析ができない恐れがある。多くの企業を客観的に比較できるセルサイドアナリストの存在意義は、今でも高まっていると考える。 ■目標株価と利益予想に終始しない 今のアナリストは、リポート内で企業の目標株価を100円上げるか下げるかに全神経を使っているように見える。私が若い頃はみんな経常利益を当てるのに必死だった。これらには一定の意味はあるが、アナリストの本質は企業価値を見極めることにあるということを忘れてはいけない。 今は短いスパンで内容の軽いリポートを書くことが重視されているようだ。それはそういったリポートの方が読まれ、結果的にその証券会社にアナリスト料が入ってくるからだが、これではアナリストは深みのある分析ができない。 証券会社がリポートの仕組みを改められれば一番良いが、アナリスト一人ひとりにもできることはある。それは「ちゃんと書いたら皆が読む」というのを意識することだ。今は日々、大量のリポートが発行されているから、リポート一枚一枚の価値が下がって読まれなくなってしまう。1つのリポートに時間をかけ、深みのある内容を加えることができれば、そのリポートは業界で必読のものになるだろう。 ■セクター「領空侵犯」のすすめ 例えば楽天は、電子商取引に始まり金融を手がけ、今や通信にも乗り出そうとしている。ソフトバンクも投資会社の枠に収まらず人工知能(AI)を次代の成長の軸に位置づけている。今や1つの企業が1つのセグメント内のみで事業を展開する例はまれだ。 翻って、アナリストの世界ではまだまだ自分の領域からは出ないしきたりが横行しているように感じる。私が若い頃も他業種について調べるのは「領空侵犯」としてご法度だった。ただ、1つのセクターのみに特化し、他業界のことを何も知らないアナリストの意見は、これからの市場では重用されなくなるだろう。 異なる業種の間で企業を比べる、ある種ファンドマネジャーのような目が求められる。といっても1人で3~4業界をカバーするのは至難の業。今後はチームを組んで企業調査を行うのも手かもしれない。いわばアナリストも「インデックス化」の時代だ。異なる業界のアナリスト同士が協調し、業界全体の底上げを図るべきだと考える。 (随時掲載)

執拗な牽制球でも4度目利上げの決定打に 米新規失業保険が歴史的な低水準 

13日に米労働省が発表した8日までの週の新規失業保険申請件数は20万6000件と市場予想(22万7500件)を下回り、前週の23万3000件から大幅に減少した。これは、約49年ぶりの低水準となった9月15日までの週に迫る数字だ。18~19日開催のFOMCにおける利上げの決定打となる可能性がある。 一方、9月利上げの際には「20年中の打ち止め」も示唆されていた。失業保険申請件数の減少は限界的な水準まで来ており、もはや、さらなる労働需給のひっ迫は想定し難いところにまで達している。12月FOMCでも利上げ決定と同時に、先行きについてはハト派的な示唆があるというマーケットの見方が強化されそうだ。 トランプ大統領は13日にFOXニュースのインタビューで、米連邦準備理事会(FRB)に対して「さらに利上げを行うつもりはないだろう」と述べて19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に追加利上げをけん制していた。CMEグループのFedウォッチツールによれば12月FOMCでの25bp利上げの織り込み度は80.1%となり、前日(77.5%)から上昇。特にトランプ氏の発言を警戒する様子はみられず、強いイニシャルクレームを受けて利上げ織り込み度は8割台を回復した。ゴールドマンは「改善は地理的に地方にも広がっており、ペンシルベニア、カリフォルニア、テキサス、ジョージア、イリノイ、ニューヨーク、オレゴン州と広範にわたった。11月のレイオフ活動の活発化が逆転(リバーサル)している可能性がある」と好評価していた。 トランプ大統領は11月末にワシントンポスト(WP)紙のインタビューでパウエル氏をFRB議長に選んだことについて「全く満足していない」と批判していた経緯がある。足元でFRB幹部からハト派的な発言が相次いだが、トランプ氏のけん制発言が相次いだとはいえ、さすがに12月FOMCで利上げを見送ることは無さそう。19日のFOMCを控え、市場は来年の利上げ回数を示唆するドットチャートや中立金利を示すロンガーラン、そして利上げペースを鈍らせるかのような声明文の変化があるのか注目している状況だ。(丹下智博、片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

【朝イチ便利帳】14日 日銀短観、メジャーSQ 中国小売売上高、米製造業PMI

14日は、12月の日銀企業短期経済観測調査(短観)が発表される。 株式市場では、株価指数先物・オプション12月物の特別清算指数(SQ)算出日を迎える。 海外では、12月の米製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)などが発表される予定だ。 【14日の予定】 国内 時刻 予定 8:50 12月の日銀企業短期経済観測調査(短観) 10:20 3カ月物国庫短期証券の入札(財務省) 13:30 10月の鉱工業生産指数確報(経産省) その他 閣議   株価指数先物オプション12月物の特別清算指数(SQ)算出 海外 時刻 予定 0:00 10月の米企業在庫(15日) 11:00 11月の中国工業生産高   11月の中国小売売上高   1〜11月の中国固定資産投資   1〜11月の中国不動産開発投資 19:30 ロシア中銀が政策金利を発表 22:30 11月の米小売売上高 23:15 11月の米鉱工業生産設備稼働率 23:45 12月の米製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値、IHSマークイット調べ) 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 7272 ヤマハ発、シンガポール配車大手グラブに170億円出資 日経 +4.66% 12/13 6551 ツナグS、EBITDA4倍めざす 24年9月期 日経 +3.95% 12/13 7201 仏ルノー、ゴーンCEO当面留任 日産自は会長選び延期も 各紙 +1.36% 12/13 4091 大陽日酸、米で水素製造 独社事業、470億円で買収 日経 +0.99% 12/13 8058 三菱商が炭素繊維再生に参入 英社に出資 日経 +0.95% 12/13 9432 NTT傘下のNTT東、7000人自然減へ 従業員の2割 日経 +0.36% 12/13 6740 Jディスプレ、中国企業と再建支援交渉 年度内決着めざす 日経 0.00% 12/13 9142 JR九州、4〜9月期の純利益最高 書類偽造問題で発表延期 日経 0.00% 12/13 2695 くら、前期の純利益5%増 海外好調で最高更新 日経 -0.15% 12/13 6178 日本郵政、米アフラックに3000億円出資 実質筆頭株主に 日経 -0.76% 12/13 9984 ソフトバンク通信子会社、既存基地局も中国製排除 北欧2社に切り替え 日経 -1.29% 12/13 3549 クスリアオキ、6〜11月期の純利益20%増 日経 -3.86% 12/13  

「株式市場のプロ」の予想はどこまで当たるのか 元ストラテジスト岩澤教授、QUICK月次調査で分析

元野村証券チーフ・ストラテジストで現在は名古屋商科大学ビジネススクール教授の岩澤誠一郎氏は、このほど都内で開かれた行動経済学会の大会で「プロ市場参加者の予想のバイアスと市場価格」と題した研究成果を発表した。QUICKが毎月発表する月次調査<株式>のデータを使い、証券会社などのセルサイドと資金を運用するバイサイドの株価予想を比較。投資マインドの変化や予測の正確性などを局面ごとに分析した。過去20年超にわたり、セルサイドがバイサイドよりも「より悲観的で、より予想が間違っている」タイミングが株式相場のボトムだったことを証明した。 ※岩澤教授の研究リポートの詳細はこちら セルサイドの方がバイサイドの予想より楽観的な傾向があると話す岩澤教授。正確性はだいたい同じという QUICKの月次調査では、証券会社や投信、信託銀行などに所属する市場関係者200人を対象に毎月、向こう6カ月の日経平均株価の予想などを聞き取っている。岩澤教授は1994年4月~2018年2月までのデータをもとにセルサイド、バイサイドそれぞれの予想リターンを算出し、実現リターンと比較。実現リターンから予想リターンを差し引いた値を「予想の誤差(絶対値を利用)」と定め、以下のように分類した。 【予想リターン】 セルサイド>バイサイド セルサイドの投資マインドがより楽観的 セルサイド<バイサイド セルサイドの投資マインドがより悲観的 【予想の誤差(絶対値)】 セルサイド>バイサイド セルサイドの予想がより不正確 セルサイド<バイサイド セルサイドの予想がより正確 この4つを組み合わせて日経平均株価のチャートにそれぞれ落とし込み、4つのグラフを作成した。セルサイドがバイサイドよりも「悲観的で予測がより不正確」だった局面は過去に9例あり、いずれも上昇局面に入る前の大底圏だった。「いつも強気なセルサイドが『もう株はダメだ』と悲観的になり相場の先行きを下方向で見たときがボトム」と判断できるという。 ※セルサイドがバイサイドに比べ「悲観的で予想がより不正確」だったタイミング(網掛け)と日経平均株価 セルサイドがバイサイドよりも「楽観的で予想がより正確」だったのは89例。いずれも、相場が上昇局面に入るタイミングだ。「上げ相場の初期にセルサイドが強気なら、傾聴に値する」という。一方、セルサイドの意見が当てにならないのは下げ相場だ。セルサイドがバイサイドよりも「楽観的で予想がより不正確」だった146例のほとんどは、下落局面だ。セルサイドは弱気相場でも強気バイアスがかかりやすいが、過去のデータを振り返ると「たいてい間違っている」との結果になった。 証券会社の一部では、6カ月後の日経平均株価の見通しを2万4000円前後と、足元から10%程度切り上がるイメージを描いているもよう。10日発表の11月の月次調査によると、バイサイドも含めた市場参加者は6カ月後に2万3034円になると予想している。研究成果の通りになるのか、今回は違うのか。6カ月後の株価水準に注目だ。(松下隆介) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ファーウェイ問題、ガチョウもダウン 幹部逮捕と釈放がカナダ社の株価翻弄

12日の米株式市場で高級ダウンジャケットを製造・販売するカナダグース・ホールディングスが6営業日ぶりに反発した。終値は前日比3.15ドル(5.7%)高の58.41ドルだった。 カナダで逮捕されていた中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の幹部が保釈されたことが好感された。この幹部の逮捕を機に中国でカナダグース製品の不買運動が起き、カナダグース株は5日間で20%超下落していた。アナリストの目標株価は平均で69.97ドル(13日時点、14社)と、売られ過ぎとの見方だ。12日はカナダのトロント市場でもカナダグース株は5%超上昇した。 ファーウェイ問題では、アップル製品の不買運動も一部で起きているようで米中の対立が消費者の間にも広がっている。(根岸てるみ) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

【朝イチ便利帳】13日 レオスの公開価格決定 ECB理事会 EU首脳会議 

13日は11月のオフィス空室率などが発表される予定のほか、5年物国債の入札が行われる。IPO関連ではFUJIジャパン(1449*J)、オーウエル(7670*J)が新規上場するほか、EduLab(4427*J)、リンク(4428*J)、ポート(7047*J)、ベルトラ(7048*J)、レオス・キャピタルワークス(7330*J)の公募・売り出し(公開)価格が決定する。 海外では欧州中央銀行(ECB)理事会の結果、11月の米輸出入物価指数などが発表される予定だ。   【13日の予定】 国内 時刻 予定 8:50 対外対内証券売買契約(週間、財務省) 10:30 5年物国債の入札(財務省) 11:00 11月のオフィス空室率(国交省) 15:00 11月の投信概況   全銀協会長の記者会見 その他 東証2部上場=オーウエル   札証アンビシャス上場=FUJIジャパン 海外 時刻 予定 17:30 スイス中銀が政策金利を発表 20:00 トルコ中銀が金融政策決定会合の結果発表 21:45 欧州中央銀行(ECB)理事会の結果発表 22:30 ドラギECB総裁の定例記者会見   11月の米輸出入物価指数   米新規失業保険申請件数(週間) その他 フィリピン中銀が政策金利を発表   欧州連合(EU)首脳会議(〜14日) 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 6752 パナソニック、家電定額利用 視聴データなど収集 日経 +3.18% 12/12 6501 日立、送配電8000億円買収 スイスABBの部門 日経 +3.12% 12/12 9843 ニトリHD、営業益1割増 3〜11月、生活雑貨や家具好調 日経 +2.23% 12/12 2593 伊藤園、初の海外一貫生産 緑茶ブーム、豪にティーバッグ工場 産経 +1.79% 12/12 9007 小田急、最適移動手段検索アプリ 日経 +1.57% 12/12 7011 三菱重のボーイング機生産、MRJ製造と統合検討 宮永社長 各紙 +1.36% 12/12 2001 日本粉、アジアで唐揚げ粉増産 日経 +1.28% 12/12 9681 東京ドーム、18%減益 2〜10月最終、不動産収入が減少 日経 0.00% 12/12  

CEOもOECDもCONTAINERも 灯り始めた景気後退シグナル

2019年、米国経済ひいては世界経済は大丈夫なのか? 年越しを前にした世界の市場関係者の最大の関心は、これに尽きるに違いない。さまざまな指標がある中で景況感や先行性のある統計に変化の兆しが出ている点に注意が必要だ。 まずは米大手企業の経営者団体ビジネス・ラウンドテーブルがまとめた「CEO経済見通し指数」から。 2018年10~12月期に前期から4.9ポイント低下し104.4となった。今年の1~3月期にデータがさかのぼれる03年以降で最高となる118.6を記録してから3四半期連続の低下。公表資料の解説によれば、指数自体は高水準を維持し先行きに強気が続いているとしているが、通商摩擦が落とす影にも言及し楽観論だけで押し通せない経営者マインドが透けて見える。さらに中身を見ると、雇用は横ばいなものの設備投資と売上については指数が低下した。 ・ビジネス・ラウンドテーブルの「CEO経済見通し指数」はこちら 米企業の経営者よりも、グローバルの経済指標は徐々に世界経済の失速シグナルを灯し始めた。 コンテナ取扱量を指数化した「RWI/ISL コンテナ・スループット・インデックス」は10月にデータが取得可能な2007年以降で過去最高となる134.6を記録した。しかし、発表資料では8~9月が下方修正されたことで最新データ上振れやすかったと指摘している。 さらに「駆け込み需要の影響が考えられる。12月1日の米中首脳会談では米国による対中輸入2000億ドルに対する追加関税率の引き上げ見送りが合意された。しかし、トランプ大統領は直前まで追加関税率の引き上げを既定事項と述べており、税率引き上げを前提に企業が駆け込みに動いていた可能性が高い」(SMBC日興証券の丸山義正氏)という。 また10日に経済協力開発機構(OECD)が公表した10月の景気先行指数は前月から0.1ポイント低下し99.4となった。小数点以下第2位では11カ月連続の低下となった。さらに同指数にブラジルや中国、インド、インドネシア、ロシア、南アフリカを加えた指数では13カ月連続の低下となった。OECDも景況判断を「成長モメンタムが鈍化」としている。この指数は世界経済に対して6~9カ月ほどの先行性があるとされ「2019年前半にOECD地域が失速するリスクの高まりを意味する」(SMBC日興証券の丸山氏)との指摘がある。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ソフトバンクGが保有株売却の観測 エヌビディア下げる

11日の米国市場で画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディアが反落し、2.41%安の148.19ドルで終えた。一時は145ドルまで下げて下落率が4%を超えた。ブルームバーグがこの日、「ソフトバンクG(9984)がエヌビディア株が下落し続けているため、来年の早い時期にも保有株を売却する計画だ」と報じたことが嫌気された。ソフトバンクGは約30億ドルの利益を得る可能性があるが、売却を一部にとどめる可能性もあり、最終決定には至っていないという。 ソフトバンクGはソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)を通じてエヌビディアに5%未満の投資を行っていた。QUICK FactSet Workstationによれば、SVFのアドバイザリー会社である「SB Investment Advisers」(英国)はエヌビディア株を4.41%(2687万5000株、40億8100万ドル)保有しており、第4位の大株主となっている。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

【朝イチ便利帳】12日 機械受注統計(10月)、企業物価指数(11月) 米CPI(11月)

12日は10月の機械受注統計、11月の企業物価指数、10月の第3次産業活動指数などが発表される予定。IPO関連ではアルテリア・ネットワークス(4423)が新規上場するほか、Amazia(4424)、自律制御システム研究所(6232)、テノ.ホールディングス(7037)の公募・売り出し(公開)価格が決定する。 海外では10月のユーロ圏鉱工業生産、11月の米消費者物価指数(CPI)などが発表される予定だ。   【12日の予定】 国内 時刻 予定 8:50 10月の機械受注統計(内閣府)   11月の企業物価指数(日銀) 13:30 10月の第3次産業活動指数(経産省) その他 東証1部上場=アルテリアネットワークス 海外 時刻 予定 0:30 米エネルギー省の石油在庫統計(週間、13日) 4:00 11月の米財政収支(13日) 19:00 10月のユーロ圏鉱工業生産 22:30 11月の米消費者物価指数(CPI) その他 ブラジル中銀が政策金利を発表 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 9984 ソフトバンク、エヌビディア株を来年売却する計画 米ブルームバーグ通信 +2.44% 12/11 9603 HIS、13%増益 前期営業、高単価の海外旅行復調 日経 +1.74% 12/11 8840 大京、来月に上場廃止へ オリックスがTOB完了 日経 -0.03% 12/11 8591 -0.77% 12/11 7203 トヨタ、中国向けEV電池にパナソニック製採用 20年SUVに搭載 日刊工 -1.09% 12/11 6752 -3.26% 12/11 3955 イムラ封筒、2円増配 創業100周年記念 日経 -1.25% 12/11 5741 UACJ、車向け米合弁解消 日経 -1.98% 12/11 7272 ヤマハ発、乗用車参入を凍結 日経 -3.11% 12/11  

「あの時」と不気味な相似 荒波相場を乗り切るバフェット流

日米の株式相場では値幅の大きい不安定な動きが続く。センチメントを敏感にあらわすFAANG銘柄の先行きについて、ある市場参加者は警戒感を示している。ここ1年を振り返ると、過去に起きたショック前のNYSE TMT指数(米ハイテク、メディア、通信株などで構成)の軌跡をトレースしているかのように、よく似た動きが続いている。この投資家が指摘したのは2000年だが、08年のリーマン・ショック前もほぼ同じ。TMT指数はその後にいったん戻りを試し、半年後にはピーク時の半値以下になった。「バブル崩壊の予兆でないといいが…」と気を揉む。 ■NYSE TMT指数(青)とFAANG(赤) ※NYSE TMT指数のリーマン・ショック前高値(2007年10月31日)、FAANG銘柄の値動き(FANGプラス指数)のピーク(18年6月20日)をそれぞれ100として指数化し、NYSE TMT指数の日付に合わせた 「グロースがダメならバリューで」。こうした戦略もやや厳しい。野村証券のクオンツチームは7日付のリポートで「むしろバリュー株のパフォーマンスは悪化する局面」と分析する。クレジットの視点から見ると、バリュー株がアウトパフォームするのはクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)など信用スプレッドが拡大した後、急速に縮小するタイミングだという。 実際、S&P500種株価指数でバリュー株指数を割った値とCDSの代わりにグローバルハイイールド債のスプレッドで比べてみると、スプレッドが急速にタイトニングする場面でバリュー株指数が優位だ。ただ、いまはカネ余りの終焉が近づき、信用リスクがじわり拡大する局面。バリュー株の代表格である銀行株も米国債利回りの逆イールド懸念や国内長期金利の低下で売られやすい展開にある。   打つ手なしの相場かといえば、そうでもなさそうだ。米国の逆イールドは短い年限の債券どうしに過ぎず、景気悪化のシグナルの長短金利差はまだプラスだ。米中の覇権争いも、すぐには解決しようがないテーマ。日々の動きに一喜一憂したところで本質は何も変わらない。「米景気の減速を織り込むのはまだ早い。いまの下げが米景気のスローダウンを懸念した売りなら、買い場になる」と、あるストラテジストは話す。   ならば、どんな銘柄を買うべきか。QUICKラボが算出する日次のファクターリターン分析をみると、10日に株式相場を下支えしたのは「過去1週リターン」や「過去1カ月リターン」など、過去にパフォーマンスが良かった銘柄だ。たとえば、過去1カ月で株価が値上がりした銘柄を見ると小売り、飲食、鉄道など「守りの投資」が浮かび上がる。 「シストレの鉄人」、システムトレードの権威として知られるカウフマン・アナリティクスのマネージング・ディレクター、ペリー・カウフマン氏は、すでにハイテク株からマクドナルドやコカ・コーラ、医薬品などのディフェンシブ銘柄中心の運用に切り替えている。 もう1つのアイデアは「オマハの賢人」の知恵を拝借する運用だ。ウォーレン・バフェット氏は、高いブランド力などを持ち永続的に競争優位性を持つ銘柄に投資している。日本でバフェット氏が好みそうな銘柄はどれか。テーマ型投資を提供するネット証券の「Folio(フォリオ)」によると、筆記具のパイロットやソフトウエア提供のオービックなどが当てはまるという。   具体的な銘柄選定基準は、売上高当期利益率が10%超、自己資本比率50%超、高い市場シェア、ROEが直近および過去10年平均で10%超など。高いシェアを武器に安定して利益を稼ぎ続け、負債に依存せず、かつ利益の一定程度をきちんと株主に還元してきた銘柄といえる。こうした銘柄の多くは、年初来で12%安に沈むTOPIXを尻目に快走を続けており、直近の相場急落でも下げ幅は限られた。 ■市場平均より底堅い銘柄 ※単位%、▲マイナス。12月10日の終値と11月末、17年末の終値をそれぞれ比較し、TOPIXの騰落率を差し引いた。フォリオの投資テーマ「もしバフェットが日本株を買ったら」から抜粋 ヘッジファンドのチューダー・インベストメントを率いる ポール・チューダー・ジョーンズ氏は10日、CNBCのインタビューで「来年の株式相場には強気でもあり、弱気でもある」と述べた。ボラティリティが高止まりし、不安定な相場は当面続きそう。目先の大きな利益を求めず、乱高下の中で着実にリターンを稼ぐ銘柄を選び出す力が重要になってくる。(松下隆介) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

強気シナリオで日経平均2万8500円 2019年をエクコメ・デリコメ執筆陣が斬る

QUICKのエクイティコメント、デリバティブズコメントチームは、このほど年末セミナー「どうなる2019年相場」を開催した。エクコメ・デリコメのライターによるパネルディスカッションでは19年のテーマに関して活発な議論が繰り広げられた。エクコメライター上田誠は講演で「政策期待で強気継続」と持論を展開した。 最重要テーマ&材料 何に注目? ■「新テーマ探し」 山口正仁(エクコメ) 20年、30年前にあれっ?と思ったことが実現している。自動車の自動運転、インバウンド消費による疑似輸出などが大きくなっている。人手不足でファクトリー・オートメーション(FA)や外国人労働者などがテーマになっている。今後はフィンテックの次の「決済」が化けるのではないか。多く使われるし、儲かる分野だ。 ■「米景気」 松下隆介(エクコメ) 米国の消費者信頼感指数がピークアウトしていたり、米国の利上げが進む中、米企業のマージン・スクウィーズが起こって利益を圧迫したりする。米株のモメンタムは鈍化していく。マイナス要因がある一方、プラス要因もたくさんある。例えばインフレギャップはそれほど拡大していない。銀行の貸出姿勢もなお緩和的だ。米経済はまだらもようというのが率直な印象で、注意深く見ていかないと行けない。私はみんな強気の時は下を見ています。逆張りです。 ■「トランプ大統領、アップル」 片平正二(デリコメ) この2年間でトランプさんの予測不可能なことがはっきりしている。民主的なプロセスを踏まずに政策を決定しており、相変わらず、夜はFOXニュースを見ながらツイッターをやっているようで不安定な状況は続く。アップルについては弱気のレポートが出ている通りで、iPhone売上高は2017年に過去最高だったが、販売台数ベースではiPhone7が出た2016年がピークだった。結局、サプライヤーが同じなため、アップルから革新的なものは出ないので成長鈍化が警戒される。テスラを買収するくらいのサプライズが欲しい。最近は華為技術(ファーウェイ・テクノロジー)が話題だ。米国としては創業者の会長さんが共産党員である会社にああいうことをした以上、本気なのだろう。トランプさんが2020年の大統領選に臨む以上、最も重要なのは北朝鮮。在任中に北朝鮮に核ミサイルでの攻撃を許した大統領とトランプさんが歴史に汚点を残さないためには、米朝交渉が重要だ。その関連で、中国には貿易で圧力をかけ続けるとみられる。 ■「海外勢の先物買い、日銀のETF買い」 中山桂一(デリコメ) 需給の話です。今年、海外勢は日本株を現物で4兆5000億円以上売っている。先物で6兆5000億円、合わせて11兆円以上売っている。先物でこれだけ売っているのは過去あまり例がない。取材をしていると、楽観的な方は先物はキッカケがあれば買い戻すだろうとおっしゃる。特に海外勢の先物売りが秋口から多く出ており、短期の売り、リスク・パリティの売りなども巻き戻された時には勢いが出るのではないか。あと日銀のETF買いだが、きょうはTOPIXの前引けの下落率が0.03%で買っていた。6兆円というメドがある中で、日銀が柔軟な姿勢を示している。日銀という確実な買い手が存在することは相場の支えになるのではないか。日銀のオペレーションが変わる可能性は、この1カ月間で見えている。TOPIXの下落率の大きさに関わらず、変わってくる可能性はあるだろう。前場のTOPIXがプラスで終えても買ってくるケースも、お忘れでしょうが過去にあった。海外の下げなどを踏まえて動くこともあるだろう。ただ6兆円のメドを5000億円とか、大きく逸脱することはないのではないか。 ■「米金利、日銀政策修正」 池谷信久(デリコメ) ベタなテーマを前に、今週、話題になった米国の長短金利差の逆転「逆イールド」について見解を述べたい。過去の経験則として、確かに米国では景気後退が起きていた。なんで逆イールドだと景気が後退するのか? これは米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を引き締めすぎたことが原因、景気が悪くなるほど引き締めたということ。それではなぜ、景気が悪くなるほど引き締めなければならないか? それは物価のため。物価が上昇している中では、FRBは利上げをやめるわけにはいかない。だから結果的に景気は後退した。それでは今はどうなっているか。いまの米国のCPI、PCEデフレーターといったFRBが見ている物価指標は約2%。インフレ目標としている2%に近く、ちょうどいいところ。ムリにFRBが引き締める必要性は全くない。株式市場も不安定で不透明感が出ている中、FRBとしては姿勢を変えてくるだろう。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でこれまでのタカ派スタンスをハト派的に変えてくる、たぶんやってくるだろう。そうなると政策金利の上昇を織り込んで上昇していた2年債利回りは低下し、イールドカーブは順イールドに戻ると思われる。そもそも逆イールドが進んだ大きな理由は、WTI原油価格の下落だ。10月に原油が急落して、それに合わせて長期金利が低下した。また11月16日にクラリダFRB副議長が「政策金利は中立金利に近づきつつある」と話して、28日にはパウエル議長が「政策金利は中立金利をわずかに下回る」と述べた。何を言いたいかというと、中立金利というのは景気に対して良くも悪くもない、金融の引き締め・緩和効果もない水準ということ。そこに近づいてますよと言うことは、そこを超えることはないと述べたわけで、これは明らかにハト派姿勢に変わった事を意味している。最近の金利低下、原油安の中、金利のマーケットから見ているとなぜ株が売られるのか不思議だ。 ■「クレジットリスクの顕在化、銀行再編」 丹下智博【デリコメ) 2019年のテーマにしてあるが、実はもう始まっている。米自動車大手ゼネラル・モーターズは2008年のリーマン・ショックの時に一度経営破綻したが、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で200bpsに近づいた時にもう一度破綻するのではないかと大騒ぎになった。株価も大幅安になった。最近ではドイツ銀行が話題になっている。以前から経営不安が取りざたされていたが、こちらもCDSが200bpsを超えてきており、株価も大きく下げている。ただCDSで200bpsというのは年間2%の保証料率で、倒産確率としてはかなり低いほう。リーマン・ショック時には2000~3000bpsを記録したし、ソブリン危機の時にギリシャは7800bpsまで急騰した。200bpsという絶対水準は小さいと言え、投資適格債からジャンク債に格下げされるリスクがマーケットには非常にインパクトをもたらす。株式市場は倒産を心配するかも知れないが、債券市場では格下げを心配している。ドイツ銀で何か起きた場合の金融システムへの影響、マーケット・インパクトとしては、以前から経営不安が噂されており、取引先も厳選されている状態とみられるため、さほどマーケットへの影響は出ないだろう。それより、ドイツ銀が厳しい状況にあるのは、グローバルに金利が低く、銀行の収益が上がりづらい状況にあるという問題が根底にある。ドイツ銀行に限らず、日本の銀行もそうだ。貸し出し先についても、GMのように大丈夫と思っていたとこらが危なくなるショックの方が大きいと思う。 ■「底上げされるボラティリティ」 岩切清司(デリコメ) 米VIXや日経平均VIのチャートを見ての通り、ボラの水準が底上げされている。高水準にある面積が大きくなっている。株式のボラティリティが上昇する、すなわち、株式がリスク性の高い資産であるということがポートフォリオ管理上のファクターとなってくる。例えばVIXが10%を割っていた時の株式のリスク量と、今のリスク量は全然異なる。同じ100億円を持っていても、持てる株式の量は今の方が少ない。ボラがゆっくり上がって底上げされてくると、株式に投資できるお金の量が減ってくることになる。VIXが瞬間的に20を超えたからという議論はどうでもよく、趨勢的にボラティリティがどうなっていくのかというのが来年、再来年の相場を見る上で重要になっていくのではないか。 ずばり相場の見通しは? 2019年の日経平均株価の予想レンジについては、2万8500円で最も高い水準を示した中山が「日経平均の1株当たり利益が現在1780円。QUICKで出している2期予想で来年の企業業績を4.5%増と見込んでいた。EPSで5%増益、PERで最大15倍を想定すれば、最大の強気シナリオで2万8400円くらいになる」と指摘。ただ「QUICKの2期予想で増益幅が若干低下しているので、企業業績は若干切り下がる可能性がある」とも述べ、企業業績の伸び悩みを警戒していた。 10年債利回りの予想レンジでゼロ%と最も強気な見通しを示した丹下は「債券市場はみんなが行ったら困る方向に進む、ペイン・トレードになるとみている。10年債利回りがマイナスになった場合、株式市場がどうなっているのか考えると恐ろしいのでレンジとしてはプラスにした」と述べた。 ※QUICKエクイティコメントとQUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。エクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。デリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

日銀ステルス砲、打って支えていよいよ年6兆円

日銀は10日、3営業日連続となる上場投資信託(ETF)の買い入れを実施した。通常のETFが703億円、毎営業日買い入れている12億円の「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF」12億円の合計715億円で、今年1月からの累計の買い入れ額は5兆9963億円。孤軍奮闘で日本株相場を支える「本石砲」が目安とする年6兆円がいよいよカウントダウンに入った。 国内証券のストラテジストは現状の日銀ETF買いを「ステルス量的緩和」とも評する。日銀は目標と定めている買い入れ枠を超える状況のなか、前場のTOPIXの下落率が小さくても積極的買い入れている。 この状況を前述のストラテジストは「投資家センチメント悪化によるリスクプレミアムの拡大を理由に『上下に変動しうるものとする』という7月に示した文言通りに行動している」と指摘する。 毎営業日に買い入れている新型ETFを考慮すると、すでに実質的に年6兆円の買い入れペースを超えた計算になる。今後もオーバーペースで買い入れを続けるか注目される。(中山桂一、片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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