三井住友DS「資産形成にアクティブ運用を」(投信の直販NAVI)

証券会社や銀行を通さず、運用会社が個人に直接販売する「直販投信」の存在感が高まっている。「投信の直販NAVI」では、運用各社の直販に対する思いや特長をまとめる。 今回は2015年4月に大手運用会社として初めてインターネット経由の直販に乗り出した三井住友DSアセットマネジメント。今年2月に目玉となるアクティブ(積極運用)型投信を投入するなど動きを活発化させている。直販を統括する伊木恒人常務執行役員に話を聞いた。 三井住友DSアセットマネジメント・伊木恒人常務執行役員 ■4年目で方針転換、「究極の1本」を追加 ――直販参入から4年経ちました。 「今年4月の(旧三井住友アセットマネジメントと旧大和住銀投信投資顧問の)合併に向けて直販の方針を見直し、得意とするアクティブ運用の日本株ファンドを新たな品ぞろえに加えた。当社は健全なリスクマネーの供給で社会に貢献したいという思いがあるからこそ、徹底したリサーチでしっかりした企業を選んで投資している。運用会社としての取り組みや役割を直販というチャネルを通じて伝えていきたい。直販ネットはアンテナショップのような位置づけだ」 「当社の経営理念には顧客のクオリティー・オブ・ライフ(QOL、生活の質)の向上が掲げられている。資産運用の目的は色々あると思うが、老後資金や生活防衛のためだけではなく、人生をより楽しむためのワクワクが広がるような資産形成を一緒に目指す運用会社でありたいと思っている」 ――新しく導入したファンドの特徴は。 「今年2月に直販専用で販売を始めた『アクティブ元年・日本株ファンド』(79311192)は、機関投資家向けの私募ファンドで実績のあるチームが運用する。彼らが手掛ける代表ファンドは2003年6月末から今年1月末までで基準価額がおよそ10倍になった、いわゆる『テンバガー』のファンド(図1)。これは同時期の配当込み東証株価指数(TOPIX)の4.4倍にあたる。『アクティブ元年・日本株ファンド』の運用は、チームのメンバーも投資哲学もこのファンドと同じ。中小型株に加えて大型株にも投資できるようにした」 「アクティブファンドは玉石混交と言われ、(指数の構成銘柄を機械的に売買する)パッシブ運用より成績が見劣りするものもあるが、このファンドは究極の1本。メンバー4人で年間2000件を超える企業面談を行い、国内の価値ある企業を探し出している。信託報酬も税込みで年1.0584%に抑え、『長期・分散・積み立て』を推奨する三井住友DS直販ネットにふさわしいアクティブファンドが提供できた。今のところ他のチャネルで販売する予定はない」 ■顧客は30~40代が6割、8割強が積み立て ――アクティブ以外の取り扱いファンドは。 「インデックス型(指数連動型)が3本、バランス型が4本。これらは他のチャネルでも販売している。この中には確定拠出年金(DC)専用だったファンドもある。直販を始めた当初は、コストの安いDC専用ファンドを公開販売するのは異例の取り組みだった」 ――直販を利用する顧客の属性は。 「現在の顧客は30~40代が6割を占め、男女比は7対3だ。投資未経験者は2割程度。全体の8割強が積み立てで買い付けしている。大々的に広告など出していないが、最近は地方在住の顧客も増えてきた」 ――今後、目指していく姿は。 「これまではファンドを買っていただくまでのプロモーションに偏りがちだったが、今後はアフターフォローに力を入れる。売って終わりじゃない、買っていただいてから始まる。直販は顧客と双方向のコミュニケーションがとれるし、情報発信もしやすい。デジタルならではの機動性を生かしながら、トライアンドエラーで色々なことを試しつつ顧客と長期的な信頼関係を築いていきたい」 「当社の願いは、顧客の資産形成の伴走者であること。そのためにも、ファンドマネージャーがどういった事業や分野に価値を感じ、どんな企業をリサーチして、どのように投資しているのか、いつでも顧客から見えるようにしている。『アクティブ元年・日本株ファンド』のファンドマネージャーは、いわばオープンキッチンのシェフだ。アクティブ運用だからこそ価値ある企業に投資し、一緒に成長していく実感を味わえる。豊かな生活につながる資産形成を広げていきたい」 <関連サイト> ◇三井住友DSアセットマネジメント (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

ラップ口座特集③ SMBC日興「外国籍投信を中心に運用」

個人投資家が証券会社や銀行などの金融機関に資産運用をお任せする「ラップ口座」――。「ラップ口座特集」では、各金融機関のラップ口座について、企画・運営の責任者に特徴を聞く。シリーズ3回目は「日興ファンドラップ一任型」を運営し販売するSMBC日興証券。投資顧問事業部長の佐々木知信氏に聞いた。 ■外国籍投信で細かく分散投資 当社のファンドラップの最大の特徴は外国籍投信を中心に運用することだ。海外のファンドを用いるメリットは、投資戦略の多様化とファンド入れ替えの機動性。また海外の何万本というファンドすべてが投資対象となるため、どのファンドを採用するかといった戦略の幅がひろがる。 投資対象は10資産と細かく分散投資している点も強みの1つ(図1)。日本債券は外国籍のファンドが少ないため国内籍のファンドを採用しているが、他の9資産は外国籍投信が占める。各資産の投資先は、ユニークな運用会社やファンドがそろう。例えば、5月に日本初の公募投信を募集した米運用大手ティー・ロウ・プライスが運用するファンドは前から組み入れている。 お客様がとれるリスクによって資産配分を9段階の基本モデルに分類している。昨年9月にリスクが低いモデルを1つ増やした。リスクは低く抑えつつも、「株式相場が上昇したときは少しでもいいから恩恵を受けたい」というお客様の声を反映した。 各基本モデルの資産配分の見直し(リバランス)は原則年1回程度行っている。加えて、お客様のポートフォリオのモニタリングは随時しており、必要に応じて適宜リバランスをしている。 ■生涯持ち切るという意思表示 昨年10月末に「相続時受取指定サービス」を導入した。日興ファンドラップ一任型においては、契約者に万一のことがあった場合、現金化したうえで相続いただくこととなるが、当サービスはファンドラップの解約金相当額を予め指定したご家族にお渡しできるサービスで、複数の相続人を指定することができる。 このサービスの契約は、生涯にわたりファンドラップを持ち切るという意思表示と考えられるため、投資目的や運用期間が長期にわたることが具体的かつ明確になり、目先の相場変動に左右されることなく資産運用を継続するきっかけになる。 実際にサービスを提供するまで2年ほどかかったが、お客様の感度は高く好評だ。「夫婦でファンドラップを契約してお互いに受取指定をした」、「子供から同サービスを利用したいと要望があった」などの声が届く。ファンドラップの契約者は70歳以上のお客様が多い。平均寿命と、自立した生活ができる「健康寿命」の差は開いており、ファンドラップをきっかけとして、お客様の生涯に渡る金融資産全体の相談につながっている。 ■人生に寄り添うサービスとして ファンドラップはお客様の人生に寄り添うサービスとして長きにわたって保有していただきたい。そのためにはパフォーマンスを上げることは言うまでもなく、お客様のご意向の変化にもお応えしながら、さらなるサービスの拡充にも力を入れていきたい。 (聞き手:QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

金との組み合わせ投資は有効か? 相関係数で検証

投資資産としての「金」は、地政学リスクや金融不安が高まった時などに「安全資産」として買われやすい。独特の値動きが特徴で、複数の資産に分散投資するバランス型の投資信託に組み入れられるケースも多い。実際に組み合わせ投資が有効か検証してみた。 まず調べたのは、各資産で運用する国内公募追加型株式投信と金(円ベース)の相関関係(図表1)。相関係数はプラス1からマイナス1までの値をとり、プラス1に近づくほど似た値動き、マイナス1に近づくほど逆の値動き、ゼロに近づくほど値動きの関係がなかったことを示す。 過去15年間の平均的な値動きを使って比べたところ、どの資産も金との相関係数は低めだった。例えば、国内株式で運用する投信と金の相関係数は0.16。ゼロに近く、値動きの関係性がほとんどなかった。 次に国内株式と金を単独で運用した場合と、それぞれ1対1の割合で組み合わせて運用した場合をチャートにしたのが図表2。過去15年で国内株式は80%、金は236%値上がりし、組み合わせ投資のリターンはそれらを足して2で割った158%だった。 一方、チャートの形状を見ると、組み合わせ投資の値動きが国内株式や金よりもややなだらかなことが分かる。価格変動リスク(標準偏差・年率)を見ると、組み合わせ投資は13.08%。国内株式(17.85%)と金(16.50%)の平均(約17.18%)よりも4.1ポイント低くなった。つまり国内株式や金に単独で投資するよりも、組み合わせて投資したほうがリターンをある程度維持しつつ、リスクを抑えることができたと言える。 (QUICK資産運用研究所 笹倉友香子)

相関係数を使って分散投資 4月末の投信分類別一覧

複数の投資信託に分散投資する際、有効な組み合わせを探すのに便利なのが「相関係数」と呼ばれる統計指標だ。投資対象で区分した「新QUICK投信分類(大分類)」について、2019年4月末までの1年間の相関係数(日次データで算出)と10年間(月次データ)の相関係数をまとめた。 複数の投信に投資する場合、値動きの傾向が違うタイプを組み合わせると分散投資の効果が出やすい。例えば、投資家のリスク選好局面で買われやすい株式に投資するファンドと、逆に売られやすい債券に投資するファンド。この両方を持っていれば反対方向の値動きが打ち消しあって、全体のリスク(価格の振れ幅)を抑えることができる。 有効なファンドの組み合わせは「相関係数」を使うと探しやすい。相関係数は投資対象が異なる2つのファンドが似た値動きをするほどプラス1に近づき、逆の値動きをするほどマイナス1に近づく。ゼロなら値動きの関係がなかったことを示す。相関係数が低いファンド同士を組み合わせると、全体の価格変動リスクを低減しながらリターン向上を狙う分散投資効果が期待できる。 (QUICK資産運用研究所)

楽天証券、IFA経由で半年間に935億円流入 提携先は92社1000人超

楽天証券が手掛ける独立系金融アドバイザー(IFA)事業が順調に拡大している。提携するIFA法人は3月末時点で92社と半年間で10社増え、IFA法人に所属する外務員は約120人増の1092人にのぼる。同時点のIFA経由の預かり資産残高は3821億円となり、半年間の純資金流入額は935億円に達した。 ■カンファレンスで表彰 楽天証券が17日に都内で開いた「楽天証券IFAカンファレンス」は、同社と提携する200人近くのIFAが参加した。年2回開催しており、今回が20回目。同カンファレンスでは実績に基づきIFA法人と個人を表彰するのが恒例だ。 半年間の売り上げ(受取報酬)総額と預かり資産残高増加額の上位を対象とした「ベスト・パフォーマンス賞」「ベスト・アセットグロース賞」は、ともにアイ・パートナーズフィナンシャル、ファイナンシャルスタンダード、CSアセットの3社が法人部門の上位3位を占めた。内部管理体制に優れたIFA法人を表彰する「ベスト・コンプライアンス賞」は、GAIAが最優秀賞に輝いた。 各賞の法人部門の順位は下記の通り。 <ベスト・パフォーマンス賞> 第1位  アイ・パートナーズフィナンシャル 第2位  ファイナンシャルスタンダード 第3位  CSアセット <ベスト・アセットグロース賞> 第1位  ファイナンシャルスタンダード 第2位  アイ・パートナーズフィナンシャル 第3位  CSアセット <ベスト・コンプライアンス賞> 最優秀賞 GAIA 優秀賞  SHIPS 優秀賞  FPアソシエイツ&ファイナンシャルサービシズ ■人生100年時代、IFAの役割高まる 各賞で第1位(最優秀賞)の法人に受賞に至った背景を聞いたところ、アイ・パートナーズフィナンシャルが「所属IFA数が146人(19年3月末時点)と業界トップクラス」、ファイナンシャルスタンダードは「月5回程度の顧客セミナーや相場を語らないアドバイスの徹底」、GAIAは「兼務ではない専任のコンプライアンス担当者の配置」などを挙げていた。 金融庁は「高齢社会における金融サービスのあり方」について、具体的な原則策定や制度設計のとりまとめを進めており、証券会社や銀行など特定の金融機関に所属しないIFAが果たす役割についても議論にのぼっているようだ。「人生100年時代」を迎え、IFAの個人資産運用における役割が高まっている。楽天証券は昨年7月にIFAを養成するビジネススクールを開講するなど注力しており、個人の資産運用にも変化をもたらしそうだ。 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

ラップ口座特集② 大和「お金に色をつけていく」

個人投資家が証券会社や銀行などの金融機関に資産運用をお任せする「ラップ口座」――。「ラップ口座特集」では、各金融機関のラップ口座について、企画・運営の責任者に特徴を聞く。今回はファンドラップの新しいサービスを次々と生み出し、内容の充実を進める大和証券のラップ・ファンドビジネス部長、参与の間宮賢氏に話を聞いた。 ■お金が成長していくプロセスを提供 当社は3種類のファンドラップがある(図1)。契約金額に差はあるが、松竹梅のような金額によるすみ分けではない。お客様のニーズに合わせたものだ。ファンドラップは、お金が成長していくプロセスを提供するサービス。どういうお客様が何のために運用するのか。お金に、お客様のニーズに応じた「色」をつけていく。その色に合った商品を提供するために3種類のファンドラップを揃えている。 例えば、「ファンドラップオンライン」はお客様が自ら考えて決断した方針に基づき運用するための道具。インデックス(指数連動)型ファンドのみで運用し、費用 は一律で1%(年率・税抜き)だ。月々1万円から積み立て投資もできる。 「ファンドラッププレミアム」は、一人ひとり異なるニーズに応えられるよう、高いカスタマイズ機能を持たせた。例えば、投資対象を選べるようにしたり、リスク水準によって費用に差をつけたりしている。「ファンドラップ」もさらに利便性の高いものに刷新する予定だ。 ■運用の結果にこだわる 運用においても、利益という「色」をつけることにこだわっている。少しでも利益が出るようにファンド1つ1つを精査し、半年に1回は入れ替えをする。 2017年度はすべての対象資産(分類)でベンチマーク(運用指標)を上回ったが、昨年度はベンチマークに勝てない資産もあった。ファンドラップは費用がかかるので、各ファンドは最低でもベンチマークには勝たなければならない。運用の結果にこだわる姿勢は当社の特徴の1つだ。 ファンドの選定は、グループ会社である大和ファンド・コンサルティング がファンドの運用の安定性、継続性など個別ファンドを深堀りした調査する。大和証券側では、ファンド間の相性や関連性などから総合的に投資の判断をする。どのファンドを組み入れるか、両社の意見が対立することもあるが、最適な選択のために議論を重ねる。 ファンドを採用した後もかなり細かくモニタリングしている。運用がマイナスの時はなぜマイナスなのかを常に検証する。オルタナティブ運用(ヘッジファンドなど、株式や債券といった伝統的な資産とは異なる資産での運用)では、一定のリスク内でパフォーマンスは常に預金金利のプラス2~3%を目指している。 ■買ってもらっておわりでない。買ってもらってからがスタート ファンドラップを長く保有していただくためには、運用はもちろんのこと、資産を当社に預けてもらうための裏側(体制)をしっかりするべきだと考える。当社はファンドラップを保有するお客様へのフォローアップを徹底している。四半期ごとの現状報告に加え、年に1回は面談する。当たり前のことだが、買ってもらっておわりでない。買ってもらってからがスタートだ。 費用については、いくらが妥当な水準かは難しい。ただ、ファンドラップの投資ファンドは、国内外の選りすぐりの運用会社が運用しており、運用以外の管理やサポートにも手間をかけている。お客様が「なぜ損しているのに費用をとられるのか」という疑問を抱いた時にしっかりとした答えができる透明性のあるサービスであることが重要だ。 ■お金に対するニーズを満たす ファンドラップのオプションを強化している。サービスをデコレーションのように増やしていくだけでなく、最適なサービスを選べる機能を付加することが大事。一人ひとりのお金に対するニーズを満たし、お客様と深く関わることが理想だ。 ファンドラップの資産から一定金額を定期的に換金する「定期受取サービス」は多く利用されている。お客様があらかじめ指定した寄附先に寄附する「寄附サービス」もある。 「ファンドラッププレミアム」において相続対策をサポートする「相続時受取人指定サービス」 では、運用する人(被相続人)と資金を受け継ぐ人(相続人)、双方の意思を尊重する。被相続人に万が一のことがあった時は、ファンドラップの資金を現金化して相続人に渡す。相続人によってお金に対する考え方は違う。一度現金化することで、相続人に資金の状況を整理してもらう。 これらのオプション・サービスはすべて無料。お客様が使いたいと思ったサービスを自由に使っていただく。投資目的に応じて最大5つの運用口を持てるが、運用口は当社が初めて取り入れたサービス。これからもお客様のニーズに応じた新しいサービスを提供したい。 (聞き手:QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

ラップ口座特集① 野村「ファンドラップは『商品』ではなく『サービス』」

個人投資家が証券会社や銀行などの金融機関に資産運用をお任せする「ラップ口座」――。大事な資産の運用を託された金融機関は顧客に運用の目的や運用期間などを聞き、目標とするリターンやどの程度リスクがとれるかを診断。それらに基づき、顧客に代わって投資信託で資産運用をする。 ラップ口座は金融機関や契約するコースによって運用の仕方や費用などに差がある。契約には最低でも数百万円が必要な商品が多く、敷居が高いと感じる人も少なくない。「ラップ口座特集」では、各金融機関のラップ口座について、企画・運営の責任者に特徴を聞く。 第1回は国内でラップ口座での預かり資産額が最大規模の野村証券。同社でラップビジネスを主幹する投資顧問事業部の能見哲理部長に話を聞いた。 ■「商品」ではなく「サービス」 当社が提供するラップ口座は大きく分けて2つ。「野村ファンドラップ」(以下、ファンドラップ)と「野村SMA(エグゼクティブ・ラップ)」(以下、SMA)だ。(図1 ) 最も重要なのは、ラップ口座が「商品」ではなく「サービス」である点。スポーツに例えると、株式や投信などの金融商品は「ゴルフのドライバーショット」で、ラップ口座は「カーリング」に似ている。前者は飛距離というパフォーマンスを追求するが、後者は円にどれだけ正確にストーン(石)を置けるかで勝敗が決まる。 ラップ口座はお客様が許容できるリスクの範囲内で、期待するリターンにより近づけることが求められる。期待リターンから大きく上回るでもなく、ましてや大きく下げてはならない。このプロセスが円に向かってストーンを正確に投げていくカーリングに例えると分かりやすい。 カーリングではストーンを円の中心に置くためにチームで何度も話し合う姿が見られるが、ラップ口座でも同じ。お客様の資金がどういう性格なのか、どう使いたいのかを常に話し合い共有する。運用期間や許容できるリスクに変化はないかなど様々な要素を考慮した上で期待リターンの実現に向かって、長い時間をかけてサポートしていく。そういう意味で、「商品」ではなく「サービス」といえる。 ファンドラップのコストが高いとの指摘も一部あるが、コストに見合ったきめ細かい「サービス」を提供していると思う。 ■目標の資産配分比率を管理 ラップ口座の特徴として、2つのリバランス機能がある。3ヵ月毎に行う「定期リバランス」とマーケットの変動に応じて適宜行う「上下限リバランス」だ。ファンドラップは2つのリバランス機能があり、SMAは「上下限リバランス」のみ。リバランスとは、お客様の目標の資産配分が価格変動によりずれてしまった場合に、元の配分比率に戻すことを指す。 リバランス機能の効果について、リターンは投資を開始したタイミングによって結果がまちまちである。しかし、リスクは「定期リバランス」する方が確実にコントロールできることが実証されている。 「上下限リバランス」は、お客様の目標の資産配分比率においてあらかじめ上限と下限の値を決めて、その範囲を超えた時に目標の資産配分比率に戻す売買を行うしくみ。 図2のように国内株式の比率が上限に触れた際は、売買で国内株式の配分比率を下げる。一方で、配分比率が下限まで行った時は売買で国内株式の配分比率を高める。例えば、リーマンショックのような暴落の際は株式の配分比率が急激に下がるので、それを目標の配分比率に戻す。これは、ナンピン買いのような効果があり、ファンドラップのパフォーマンスには大きな影響を与える。個人投資家の多くは株価が急落した場合、積極的に株式を下値で購入する事は難しいが、上下限リバランスはこれをカバーできる機能と言える。 ■運用資産、そのまま相続人に ラップ口座を保有するお客様はまとまった資金のある退職世代や高齢者が多い。当社では、人生100年時代に向けたサービスの充実を図っている。その対応策として、ラップ口座では「定時定額払戻し」のオプションがある。毎月か隔月(奇数月)の払い戻し頻度を選択し1回あたりの払い戻し金額を設定して、運用資金を取り崩していくサービスで2018年3月から導入した。 「目的別口座」も人気があるオプションの1つだ。お客様自身の生活費、孫の教育費、趣味のための資金といった使い道に応じて最大8口座まで契約が可能。各口座に「目的」を上限20文字まで登録でき、定期運用報告書の表紙に記載するサービスもある。 さらに、「遺言代用信託」を設定したうえでラップ口座(SMAのみ)での資産運用ができる。当初の契約者(第一受益者)が死亡した際、ラップ口座の運用資産は遺産分割協議の対象外となり、あらかじめ定めた相続人(第二受益者)に引き継ぐことができるサービス。3カ月ごとの定期運用報告書は第一受益者と第二受益者の双方が確認でき、追加の手数料はかからない。 また、野村の投資一任情報誌「ラップ-アイ」を2017年10月より年1回程度発行している。お客様アンケートに寄せられた声をもとにサービス内容の改良に努めている。お客様のリスク水準を5段階から7段階に細分化したり、少額の契約者でも為替ヘッジの有無を選べるようにしたりした。今後もお客様の意向に沿った提案と運用を徹底していく。 (聞き手:QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

ひふみプラス、4月に100億円超の資金流出 設定後で最大に

独立系運用会社レオス・キャピタルワークスが運用する「ひふみプラス」(9C311125)は、4月の資金流出超過額(推計値)が約118億円になった。3月の約7億円から流出額が大幅に拡大し、2012年5月の設定来で最大規模に膨らんだ。 年初から基準価額が回復傾向にあり、10連休を控えたタイミングで解約の動きが優勢になったことが背景にある。同ファンドは主に国内の株式で運用する国内公募追加型株式投信(ETFを除く)のうち、3月までの1年間の資金流入額ランキングでトップだった。 また、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの「netWIN ゴールドマン・サックス・インターネット戦略ファンドBコース(為替ヘッジなし) 」(ネットウィンB、3531299B)も4月は約87億円の資金流出超(推計値)。流出超に転じたのは2016年11月(約0.4億円の流出超)以来2年5カ月ぶりとなる。 ネットウィンBは1999年に設定され、運用実績が20年におよぶ長寿ファンド。流出超過額は設定後で最大だった2000年6月(約116億円)に次ぐ大きさとなった。好成績を背景に昨年の半ばごろから人気が再燃し、今年3月まで1年間の資金流入額が国内公募追加型株式投信(ETFを除く)の中で4番目に多かった。10連休前に利益確定目的の解約が出たとみられる。 (QUICK資産運用研究所)          

4月の投信、ピクテが資金流入額首位 残高増加額トップは日興AM

国内公募の追加型株式投資信託(ETFを除く)について、運用会社別の4月の月末純資産総額(残高)と残高増加額、資金流入額をそれぞれ集計したところ、ピクテ投信投資顧問が資金流入額の首位だった。「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(42311052)に資金が集まった。月末残高は野村アセットマネジメント、残高増加額は日興アセットマネジメントがトップとなった。 (注)QUICK資産運用研究所調べ。対象はETFを除く国内設定の公募追加型株式投信(単位型は含まない)。資金流入額はファンドの設定額から解約額を差し引いた値で概算推計値、償還ファンドは集計対象外。▲はマイナスで減少または流出。運用増加額は純資産増加額から資金流入額を引いた値で、運用のみによる増加額を意味する(概算値)。残高増加額=資金流入額+運用増加額。分配金支払総額(概算値)は資金流出額には含まれず、分配しなかった場合に比べ、運用増加額が分配金支払総額分だけ減る。億円未満は切り捨て。 (QUICK資産運用研究所)

コモンズ投信、伊井社長「投資もモノからコトへ」(投信の直販NAVI)

投資信託の選び方や買い付け方法が多様化している。金融機関の窓口でじっくり相談しながら選ぶ人もいれば、インターネットでサクッと買う人もいる。運用会社から直接購入するのも手段の1つ。投信を直販している運用会社は投資理念や顧客との接点づくりなどに特色があり、それに共感したいわばファンのような顧客を引き付けている。 「投信の直販NAVI」では、ファンドを顧客に直接販売する運用各社の思いや特長を掘り下げていく。初回を飾るのは、2007年に設立された「コモンズ投信」。09年1月に公募投信「コモンズ30ファンド」(9N311091)の直販を始め、2年後に銀行や証券会社といった金融機関を通じた取り扱いも開始した。 現在直販しているのは、「コモンズ30ファンド」と「ザ・2020ビジョン」(9N31113C)の2本。静岡銀行などを通じて販売している「コモンズ30+しずぎんファンド」(9N31114C)を含めると、同社が運用する公募投信は3本で、純資産総額(残高)は合計198億円(3月末時点)。私募投信を含めた運用資産残高合計は303億円(同時点)。 昨年に発表した運用損益別の顧客比率(18年3月末時点)では、顧客の約98%が含み益だった。金融庁のまとめによると、コモンズ投信は昨年末までに同比率を公表した96金融機関の中で含み益の顧客割合がダントツに高かった。創業メンバーの1人で代表取締役社長を務める伊井哲朗氏に話を聞いた。 コモンズ投信・伊井哲朗社長 ■日本に長期投資の文化を ――コモンズ投信の根っこにある思いは。 「『自分たちが買いたくなるような商品を作りたい』と集まったのが創設時のメンバーです。目指したのは、本格的な長期投資のファンドでした」 「企業の経営者は何十年も先のことを考えて経営をしています。四半期などの足元だけ見ているわけではありません。一方で、日本には長期投資の文化がない。経営者と同じ時間軸で将来のビジネスを考え、後押ししていく投資家がいなかったわけです。それなら長期投資のファンドを作ろうということで、生まれたのがこのファンドです。著名な尊敬する経営者の方々もそろって賛同してくれました」 ――個人向けにした狙いは。 「国内の機関投資家は、それほど長期の投資ができません。運用成績を四半期ごとに開示するため短期的な成績を重視する傾向があり、投信自体もテーマ型のファンドが主流でやはり短期的な成果の追求になっています。経営者と同じ長期の時間軸で資金を出せる投資家として、行き着いたのが個人の資産形成のための資金です。欧米では確定拠出年金(DC)の仕組みが定着し、個人による長期投資の文化が根付いています」 「創業当時は個人が投信で長期投資する風潮や現役世代が活用しやすい税制優遇などがなく、気軽に資産形成できる環境がなかった。お客さまの長期的な資産形成を目指して投信を取り扱ってくれる販売会社もなかったので、それなら自分たちで資金を集めよう、日本に長期投資・積み立て投資の文化を作っていこうと思い立ちました」 ■「生産者の顔が見える」直販 ――直販の魅力は何ですか。 「生産者(=運用者)の顔が見えて、思いが伝わりやすい点です。農家で野菜を育てた人から直接買うのと同じです。スーパーに並んだものを買うよりも、生産者から少し土がついたくらいの野菜を手渡しされるほうが、安心しておいしく食べられるでしょう」 「ただ、いい投信を買うだけではお金は増えません。いかに長く保有し続けるかが大事です。生産者の顔が見えず、中身がよくわからないファンドは、価格が下がった時に持ちこたえられない。直販なら中身が見えやすく、生産者の思いが直接伝わりやすいので、長く続けられると思います」 ――長期保有のために工夫していることは。 「ひとつはディスクローズ(情報公開)です。セミナーなどで顔を合わせて話をしたり、月次レポートをメッセージ性のある内容にしたりといった工夫をしています。投資先の企業経営者が参加するセミナーもあるので、投資家と経営者がお互いの声を聴ける貴重な機会にもなっています」 ■寄付を通じた社会貢献活動も ――そのほかに顧客満足度を高める取り組みは。 「どの業界でも、消費者の心をつかむために『モノ』から『コト』へサービスを変化させています。ところが、金融業界では、いまだに『モノ』に関する議論ばかり。本来、投資を通じていろんな気づきや学びがあるはずです。単に『もうかればいい』というわけではなくなってきている。投資という行為そのものが『コト』消費と認識されれば、長く投資を続けるきっかけになると考え、様々な活動をしています」 「2010年から始めた『こどもトラスト』は、お子様の名義でファンドに投資できるサービスです。夏休みや春休みなどには、親子で参加できるお金の教室や寄付の教室などを開催し、社会にお金がどう回っているのかを学びます。親子でお金や投資に向き合うことで、投資を続けようという気持ちも強くなります」 「また、直販を始めた当初から続けている活動のひとつが寄付です。直販の売り上げの1%程度を非営利団体などの社会起業家や障がい者スポーツの団体に寄付するプログラムで、実際にその活動の場にファンドの保有者の方々と足を運ぶことがあります。最初のころは寄付することに対してネガティブな声もありましたが、今では女性やシニア世代を中心に関心が高いです。投資を通じて社会貢献しているという気持ちが長期投資につながるのではないでしょうか」 ■約8割が積み立て利用、ほとんどが含み益 ――直販の顧客属性は。 「直販口座を年代別に分けると、6人に1人が未成年。割合として多いのは40、50代の働く世代で、最近は人生100年時代とさかんに言われるようになったせいか、60歳以降のシニア層の新規申し込みも目立ちます。僕は、親族にも積み立ては一生やり続けるものですと言っています」 ――他の直販会社と比べても含み益の顧客割合が高いです(図1)。 「注目してほしいのは、含み益が10%以上の顧客比率が多いことです。この好成績の秘密は、長期保有と積み立て投資にあります。投資期間が長いほど含み益の顧客割合は多くなっています。また、直販の顧客は79%が積み立て投資をしていて、それがこのような成果につながったと考えています」 <関連サイト> ◇コモンズ投信 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

投信から資金流出 10連休前に手じまい売り

改元に伴う4月27日~5月6日の10連休を控え、投資信託市場からの資金流出が加速している。4月の国内公募追加型株式投信(ETFを除く)の資金動向は、3週目まで(19日時点)のQUICK推計ベースで5000億円を超す資金流出超となった。このまま月末を迎えると3カ月連続の資金流出超で、「トランプ相場」後の利益確定売りなどで資金が流出した2016年12月(6347億円)以来の多さとなる(図表1)。 連休前の駆け込みで、手じまい売りや利益確定目的の解約が膨らんだ。特に株式で運用するタイプの投信から資金流出が目立ち、流出額上位10本はすべて株式関連だった(図表2)。 最も多く資金が流出したのは、日経平均株価に連動するインデックス型の「日経225ノーロードオープン」(47311988)。19日時点で約265億円の資金が流出した。2位は「ロボット・テクノロジー関連株ファンド -ロボテック-」(0431115C)。ほかにも上位10本にはロボットやAI(人工知能)、モビリティなどのテーマ型が目立った。 (QUICK資産運用研究所)  

ピクテの「グロイン」初の残高首位 6513億円、「USハイ」抜く

国内公募の追加型株式投資信託(ETFを除く)で、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(42311052)が純資産総額(残高)ランキングの首位になった。22日時点の残高は6513億円。QUICK資産運用研究所が月末時点のデータをさかのぼって調べたところ、「グロイン」が首位になるのは初めて。 「グロイン」の年初来の資金流入額は、22日時点の推計値で738億円程度。国内公募の追加型株式投信(ETFを除く)の中で最も多い。今月10日の決算で1万口あたりの分配金を前月より10円安い40円に引き下げたが、その後も日次ベースで資金流入が続いている。 一方、2位に後退したのは「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」(32315984)で、22日時点の残高は6480億円だった。「USハイ」は今年に入っておよそ200億円の資金が流出。基準価額は上昇基調にあるものの、月次ベースでは2017年10月から1年半にわたって資金流出が続いている。 (QUICK資産運用研究所)

金融庁の本気度示す「つみフェス2019」 遠藤長官は強歩大会の前に登壇

金融庁が20日午後に東京・赤坂のイベント会場で開いた「つみたてNISAフェスティバル(#つみフェス2019)」は、緑色の服や小物を身に着けた約250人の個人投資家が集まった。積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」の普及を通じて、国民の安定的な資産形成を推進する金融庁の肝いりイベントも今年で3回目。田中良生・内閣府副大臣や金融庁の遠藤俊英長官が登壇し、個人投資家との交流を深めた。 <参加者の内訳> (性別)男性:73%、女性:27% (年代別)20代:14%、30代:36%、40代:31%、50代:19% (投資経験)なし:8%、3年未満:35%、3年以上:54%、過去に投資していたが今はしていない:1% ■田中副大臣「まいた種が豊かに実ってほしい」 最初の挨拶に立ったのは田中副大臣。「グリーンはつみたてNISAの公式キャラクター『つみたてワニーサ』」の色であると同時に、春の芽生えを感じさせる」と語り、「私もつみたてNISAを始めたところだ。まいた種が芽吹いて将来、豊かに実ってほしい」とつみたてNISAを活用した資産形成の広がりに期待を寄せた。 続いて、投資教育家として著名なファイナンシャル・ヒーラー(ヒーラーは「癒し」の意味)の岡本和久氏が基調講話に立ち、お金は汚いものではなく「感謝のしるし」と諭した。具体的な投資先については世界全体の株式を対象にしたインデックス投資を勧めた。 背景として、ノーベル経済学賞受賞の学説であり、現時点での株式市場には利用可能なすべての新たな情報が直ちに織り込まれているため、株価の予測は不可能としてインデックス運用の合理性を説明する「効率的市場仮説」などの専門的理論を紹介した。 ■遠藤長官「顧客本位は収益追求とのバランスの問題」 参加者から事前に募った質問を5つにまとめ、「長官に聞いてみよ~!」として、ファイナンシャル・プランナーのカン・チュンド氏(しんようFPオフィス代表)が遠藤長官にするどく切り込んだ。 (質問1)「つみたてNISA」のメリットを教えてください! (質問2)金融機関は、顧客本位の業務運営を怠っていた? (質問3)投資が当たり前になるような土壌を作れば投資家が増える? (質問4)幼少期に必要な金融教育とはどんなもの? (質問5)つみたてNISAの今後の方向性を教えてください! 遠藤長官は質問に丁寧に答えながら、補足する形でつみたてNISAを取り巻く金融行政の考え方も示した。遠藤長官の発言要旨は以下の通り。 ・目の前の顧客の長期的な利益に沿う商品の販売を行うのが顧客本位の業務運営の本来の姿。金融機関が収益を追求するのも大事だが、収益目標にとらわれるあまり、高い手数料の商品の回転売買で収益を上げるのは顧客本位とは言えない。金融機関の収益追求と顧客本位のバランスが大事。 ・顧客(投資家)も市場の短期的な動きに合わせて売買する近視眼的傾向が強い。(価格が)急落してもそこで踏みとどまり長期保有するのは難しい。 ・金融機関の販売窓口が顧客の投資リテラシーを高める投資教育を行う前線にいる。短期売買を勧めるのではなく長期保有するメリットをアドバイスするのも投資教育。 ・外貨建て保険を保険部分と運用部分に分け、運用部分については運用内容や手数料、コストなどを一般の投資信託と比較できるよう分かりやすい情報開示が求められる。 ・投資教育は親子で学ぶのが効果的。子供が面白がるのを見て、親がつみたてNISAを始めた例もある。 ・給与の振込先が銀行に限定される必要はない。利用者の安全性を守りながら、金融を銀行、証券会社といった業態別から預金・決済・送金などの機能別に整理する方向性を考えている。 ・つみたてNISAの制度恒久化については、恒久化が国民的要請であり優先度が高いことを政治に納得してもらう必要があり、そのためには利用者拡大の実績づくりが不可欠。 金融行政の事務方トップである金融庁長官が一般投資家向けイベントに「生出演」するのは異例で、金融庁のつみたてNISA普及に向けた不退転の強い意志を感じさせた。遠藤長官は「つみフェス」の終了後に、約80kmの道のりを夜通し歩く「強歩」大会に参加するとのことで、強歩用のウォーキング・シューズも会場からの視線を浴びた。 ■著名ブロガーが投資クリニック、生きた投資教育へのつながり 「つみたて投資クリニック」と銘打ったコーナーでは、投資経験豊富な著名投資ブロガーの虫とり小僧氏、たぱぞう氏、吊られた男氏、NightWalker氏の4人が登壇。虫とり小僧氏が進行役になり、事前に寄せられた個人投資家からの質問を「カルテ」としてスクリーンに映し出し、診断結果を説明した。 (カルテNo.1)投資信託での資産形成は、何年続ければ良いのか、一般的にどれくらいの金額と時間をかけているのか。(30代、男性) (カルテNo.2)世にあふれる投資話が玉石混交状態で、自分が何をしたらよいか分からなかった。(30代、男性) (カルテNo.3)昨年のように、現時点での推薦図書を教えてほしい。(50代~、男性) (カルテNo.4)マイナスの時も淡々と続けていたらその後の回復で報われたのに・・・(涙)(50代~、女性) (カルテNo.5)仕事で時間が足りません。(50代~、男性) (カルテNo.6)投資している人=仕事に身が入らない奴のようにきめつけられないか不安。(40代、男性) (カルテNo.7)長期投資では、どのタイミングで引き出すべきなのか?(20代、女性) (カルテNo.8)積み立て後、老後の資産の取り崩し方。出口戦略について知りたい。(40代、男性) (カルテNo.9)国内株式、外国株式、外国債券などもバランスを見て保有すべきでしょうか。(40代、女性) (カルテNo.10)投資信託を買っているが、米国株、世界株どちらに比重をおいて投資していくべきか。(30代、男性) (カルテNo.11)税金が不安。(年代・性別、記載なし) (カルテNo.12)今は2万円くらいプラスになっているので、元本割れする前に、売って益を確定させたくなってしまいます。(30代、女性) (カルテNo.13)ファンドの目論見書に前年の実質コストを明記して、実質コストでファンドを比較出来るようになったらいいのに・・・(30代、男性) (カルテNo.14)同様のファンドで、より信託報酬が低いものが出た場合、それに切り替えた方が良いのか?(20代、男性) ブロガーの診断結果は「20年くらいは続ける」「忙しい人はインデックス投資がおススメ」「出口は気にしなくていい」「推薦本は昨年のランキング上位などでいい。1年でそれほど変わらない」「米国株、世界株のどちらか自分で続けられそうなほうを選ぶ」「利益2万円で売却は論外。ここで売却せずに続けられるかどうかが長期の複利効果を得るうえでの勝負の分かれ目」「新たな低コストに乗り換えるのはよっぽどの時。つみたてNISAはファンドの乗り換え(スイッチング)が不利。売却せずに新たな買い付けを低コストの方にするのでいい」などだった。 紹介されたカルテはつみたてNISAの意見交換会(つみップ)でも同じように繰り返される質問だ。個々人でライフスタイルが異なるので、画一的な正解があるとは限らない中、個人が自分自身でなんらかの答えを出せるところに持っていくというのが生きた投資教育の目標ということになるのかもしれない。 ■パネルディスカッションは新規参入3社の幹部が登壇 締めくくりのパネルディスカッションは「金融業界に迫りくるITの波」と題し、膨大な数にのぼるスマホ利用者に対して各種金融サービスを拡充しようとしている3社(LINE Financial、KDDIアセットマネジメント、ソフトバンク)の幹部らが登壇。新規参入の動きが資産形成を取り巻く環境をどう変えるのか探った。 操作性が優れたアプリなどを通じて、初心者が投資を始めるハードルはかなり下がりそうだが、それと同時に投資のリスクや長期・積み立て・分散投資の効用など、投資家の金融リテラシーを高めるための投資教育の重要性が図らずも浮き彫りになった。 ■「金融庁長官の登壇は本気度の証し」「投資は歯磨きのようなもの」の声 ブロガーを中心に参加者の感想を聞いた(カッコ内はハンドル名)。 「金融庁長官の登壇と話が素晴らしかった。ブロガーの登壇企画はちょっと真面目すぎたかなと反省。こうしたイベントも、投資と同じように相場環境が悪くなっても『続けて』いくことが大切だと思う」(虫とり小僧氏) 「金融庁長官の話は保険分野での大きな変動を予感させる。企業収益と顧客本位という一見、二律背反になりがちな点をどう両立させるかという金融機関の大きな命題には今後も注目したい。新規参入各社がトータルなサービスで顧客にあらゆる利便性を届けようとする熱意は伝わってきた」(たぱぞう氏) 「金融庁長官が登壇し、つみたてNISA普及に向けた強い発言をしていたのはすごい出来事で期待したい。一方、さらなる制度充実には実績が必要というのもその通りなので、参加者は家族友人にもつみたてNISAを広めてもらえると、登壇者の一人としてうれしい」(吊られた男氏) 「金融庁長官がかなり踏み込んだ発言をしていたのが印象的。ごく普通の人がこういったイベントに参加してきてくれているという印象も強い。一歩ずつ、普通の人につみたて投資が浸透してきていることを感じられて、うれしく思う」(NightWalker氏) 「初めて参加したが、学びがたくさんあり有意義な時間だった。普段ツイッターで連絡し合っている個人投資家と顔を合わせる機会にもなった。田中内閣府副大臣の言葉が印象的。日本全体の投資活性化のために、国だけでなく民間企業や個人ブロガーとも手を取り合っていく強い意志を感じた」(20代、FP投資家リーマンとさか氏) 「ツイッターのハッシュタグ『#つみフェス2019』は参加できなかった人にも情報を伝える上で画期的と感じた。ネット中継も検討してはどうか。つみたてNISA普及には一般著名人による『わたしのつみたて体験』といった体験談を共有する場があるといいかもしれない」(20代、なまずん氏) 「副大臣や金融庁長官ら硬派な方から、ブロガーという緩い人間まで『投資』というくくりでいろんな意見を聞くことができ、とても有用なイベントだった。会場に20代の同世代が少なく感じ寂しかった。もっと若年層が集まれる会になるといいなと思った」(20代、ミドノン氏) 「金融庁長官がざっくばらんに話していたのがよかった。制度やイベントへの想いが伝わり、金融庁の取り組みに期待したいと改めて思った。パネルディスカッションは識者の意見を聞くよりも参加者からの質問に答えて欲しかった。イベントのネット配信を検討してはどうか」(Taku(金融系SEの投資のつぶやき)氏) 「金融庁長官が自ら金融機関への苦言やNISA強化への意気込みを肉声で語ったのはかなりインパクトがあった。ただ特にNISA制度については、国民側にも、制度の意義を理解し制度を活用するリテラシーや実行力を持つように、責任を投げかける内容でもあった」(安房氏) 「非常に豪華な面々が登壇し、つみたてNISAで資産形成していくことを本気で推進させていきたいという金融庁の本気度が伝わってきた。ただ、初心者向けの制度説明がほとんどなかった。スライドを交えて、簡単でもきちんと触れておいたほうがいいのかなと感じた」(パーサモウニアス氏) 「今回初めて参加して、改めてインデックス投資はいいと思った。コストは低く抑えられるし、状況によっては数十年後には結構なプラスも期待できる(絶対にプラスになる保証はないが)。つみたてNISAは若い人たちの口座開設が多いというのは、いい兆候だと思う」(Kojiro Nitta氏) 「金融庁長官の登壇は待ち望んでいた。つみたてNISAへ取り組む意気込みなど本気度も改めて感じ取れた。恒久化はぜひ実現して欲しい。通信・IT業界の金融分野の参入はまさに変わろうとしている印象を受けた。まだ手探りの感じも受けたがニーズはあると思う」(Livamoz氏) 「登壇者もプログラムも多様でメリハリがあった。一番印象的だったのは、金融庁長官がつみたてNISAの使い勝手向上に言及した点。スイッチング導入や恒久化にはとても期待。一方で、一人ひとりの金融リテラシーの向上や長期投資へのコミットも大事と感じた」(ザリガニ氏) 「パネルディスカッションでは既存のサービスに関してだけでなく、投資の未来像にまで踏み込んだ話があってもよかったのではと思う。既存の枠組みにとらわれない金融口座のあり方とか、『量子コンピューターでこんな投資が可能になる!』といった話をして欲しかった」(毛流麦花氏) 「金融庁長官登壇が印象的。やはり金融庁トップが語る言葉は重みがあるし、期待が持てる。つみたてNISAだけでなくNISAの恒久化も実現して欲しい。フェスと称するのであれば、もう少し砕けた感じでお祭り色があってもいいのかなと思った」(Wakaba氏) 「参加者も多く、金融庁がつみたてNISA普及へ力を入れていることがよく分かった。つみたてNISAの恒久化などが検討されていることで今後への期待感も持てた。つみップのように、参加者との懇親会の場などがあれば一層良いと思う」(Sayasayan氏) 「田中副大臣や金融庁長官らの話から、国としてつみたてNISAを盛り上げていく意気込みをすごく感じた。進行時間が少しタイトでもう少し余裕を持って欲しかった。未経験者や初心者には難しい流れだったように感じた。もっと堅苦しい会かなと思ったが、意外と楽しめた」(ずずず氏) 「岡本氏の話は素直に義務教育から教えて欲しい内容。お金は『不浄なもの』という先入観があるが、実はそうではなくて、お金をどのように運用し使っていけば周りが豊かになれるのかを分かりやすく解説してくれた」(takachan氏) 「『投資は普段欠かさず行う歯磨きのようなもの。若い時にはしなくても困らないが、年齢を重ねた時に困る』という岡本氏の言葉が強く印象に残った。つみたてNISAで短期間に大きくもうけることは難しいだろうが、世界の経済の成長を信じコツコツ続けていくのが大事だと思う」(セロン氏) 「有名ブロガーによるちょっとゆるい雰囲気のコーナーは『数万円儲かった。儲かっているうちに売りたくなる』など初心者にありがちな相談に対して『ここが長く続けることができるか否かの分かれ道』と、とても共感できる実用的な回答(診断)を返すなど面白く楽しめた」(やすぎ氏) 「つみたてNISAの認知度はゆっくりと確実に上がっているとの印象を受けた。夫婦で参加も見かけた。投信運用会社の方も一般客席で最後まで残っていた。決して大口保有者ではない個人投資家の考えや要望をキャッチアップする姿勢に変化を感じうれしく思った」(go-en(文系おじさん)氏) ◇つみたてワニーサのツイッターはこちら ◇金融庁・つみップのサイトはこちら (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

金融庁、資産運用業の高度化に注力 アナリスト協会がセミナー

「自分の親戚、知人にも勧められると思う商品の販売に徹して欲しい」。日本証券アナリスト協会が16日に都内で開いたセミナーの基調講演に登壇した金融庁総合政策局の井藤英樹審議官(監督局担当)は、資産運用業の高度化へ向けた取り組みの重要性を強調し、顧客本位の業務運営の推進を促した。 ■金融庁長官が「思いを込めて資料作成」、審議官が代読 毎年恒例の同セミナーは2年前の基調講演で金融庁の森信親長官(当時)が資産運用業界の問題点を指摘し、業界関係者に大きな反響を巻き起こしたことで知られる。今回のテーマは「デジタル化時代の新たな資産運用ビジネス」で、180人近い業界関係者が集まった。 「日本の資産運用業界への期待」と題した基調講演は、金融庁の遠藤俊英長官が公務の都合で登壇できなくなり、井藤審議官が代理を務めた。遠藤長官が作成した64ページにのぼる分厚い資料が配布され、井藤審議官が「デジタライゼーションの加速的な進展への対応」など金融行政の重点施策について、ポイントを絞って説明した。 講演資料中の「2019年1月30日 主要行等との意見交換会における金融庁長官メッセージ(抜粋)」という部分に話が及ぶと、長官のメッセージを一字一句そのまま読み上げ、資産運用業の高度化へ向けた取り組みの重要性を強調した。 セミナー終了後のレセプション(懇親会)には遠藤長官も駆けつけ、乾杯の音頭を取った。遠藤長官は「思いを込めて講演資料を作成した」と語り、金融のデジタル化や資産運用業の高度化に注力していく考えを示した。 ■米運用大手がアクティブ運用の実績を力説 セミナーでは、アクティブ運用に強み持つ米運用大手のティー・ロウ・プライス グローバル・インベストメント・マネジメント・サービシズのアジア・パシフィック地域統括責任者であるニコラス・S.トゥルーマン氏が登壇。「アクティブ運用会社としての進化と歩み」と題して講演した。 自社の米国株アクティブ運用に関して過去20年間で10年リターンを毎月測ったところ、そのうちの約9割がベンチマークに対する超過収益(アルファ)を上げたと力説。運用の目標年に向けて資産配分を変えていく「ターゲット・デート型」のアクティブ運用は好成績を背景に運用資産規模が拡大し、同社は米大手3社の一角を占めているという。今後は運用のデジタル化を進め、アルファを効率的に生み出していくとした。 ■レオスの藤野氏「投資は素敵な経済活動」 日本のアクティブ運用者を代表して、レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長も「これからの投資信託の役割とは――投資文化の普及のために――」をテーマに講演。冒頭から「投資信託はおまけに過ぎず、消費者が欲しいのは投資によって得られる『快適な生活』。将来得られる安心感やリターンが売り物であって、投資信託そのものではない」との持論を展開し、聴衆を引き込んだ。 日本人の手元に眠り、40兆円あまりあるとされるタンス預金。このお金が資産運用に回りだすと、資産運用業界は成長産業になると指摘。タンス預金を保有している個人に「投資は素敵な経済活動」とその魅力を理解してもらうのがカギだと結んだ。 パネルディスカッションは、投信評価会社モーニングスターの朝倉智也社長、一般社団法人国際資産運用センター推進機構の有友圭一代表理事、ウェルスナビ(東京・渋谷)の柴山和久社長の3人が登壇。モデレーターをPwCあらた有限責任監査法人の清水毅氏が務め、「デジタル化時代の新たな資産運用ビジネス」について活発な議論を交わした。 (QUICK資産運用研究所 望月瑞希、高瀬浩)

三菱UFJ国際、指標を「配当込み指数」に統一 ブロガーの強い要望に対応

三菱UFJ国際投信は国内外の株式やREIT(不動産投資信託)などを投資対象とする非上場のインデックス型投資信託のベンチマーク(指標)を配当金を含む指数(配当込み指数)に統一する。投信ブロガーからの強い要望に応えた施策を、同社が注力している投信ブロガーとの対話集会「ブロガー・ミーティング」を開催した18日に発表するという心憎い演出も見せた。 投信ブロガーの質問に答える三菱UFJ国際投信の代田秀雄常務執行役員 ■海外株式・REITは「ネット配当込み指数」に 変更対象は株式・REITなどの指数への連動を目指す非上場の投信で、合成インデックスに連動するバランス型も含む。組み入れ銘柄の配当金から運用経費を控除した額を決算日にすべて分配するという制度上の制約がある上場投信(ETF)は対象外となる。 また海外株式や海外REITの指数で既に「配当込み指数」を使っているが、「グロス(課税前)配当込み指数」だった場合は「ネット(課税後)配当込み指数」に変更する。海外株式・REITはその国で源泉徴収課税されるため、グロス配当込み指数と比較すると税金分だけ投信のパフォーマンスが劣後してしまうことにも対応する。 変更対象となる投信を取り扱う240社あまりの販売会社に説明し、了承を得た。7月と10月の2回にわたって変更する。 例えば、配当金を含まない「日経平均株価」に連動する投信の指標は、配当金を含む「日経平均トータルリターン・インデックス」に変わる。日経平均株価は構成銘柄の配当金を含まずに算出する指数であるため、実際の運用では組み入れ銘柄の配当金が基準価額の上振れ要因となる。一方で「日経平均トータルリターン・インデックス」は配当金を含めて算出する指数だから、配当金で生じる指数と基準価額の差が解消。指数に完全に連動した運用をした場合、運用や管理にかかるコストの分だけ基準価額がマイナス乖離することになる。 ■指標変更の影響は 指標の変更は様々な影響を与えそうだ。今後の注目点は以下の通り。 ・ETFは制度面から配当込み指数を指標にすることができないため、ETFと非上場投信の違いがより明確になる。 ・海外株式型と海外REIT型はネット配当込み指数に変更することで、投信と指数の連動がよりわかりやすくなる。 ・アクティブ(積極運用)型は配当金を含まない「配当除く指数」を指標とする投信も目立つが、配当込み指数への変更を促すきっかけとなる可能性がある。 ・インデックス型投信が分配金を支払うと、基準価額が分配金の分だけ下がる。配当込み指数との連動性を保つため、分配しないという流れが定着する可能性がある。 ■ブロガーとの対話、質疑応答は時間オーバー 18日のブロガー・ミーティングでは冒頭で指標の変更などを説明するにとどめ、ブロガーとの質疑応答に多くの時間が割かれた。全体で90分間の予定を軽くオーバーするまで、参加者からの質問が途切れなかった。主な質疑応答は以下の通り。 ・信託報酬のうち販売会社の取り分は投信ごとに決まっているため、販売会社の判断で信託報酬を下げることはできない。販売会社が自由に変えられるのは販売手数料。 ・運用報告書に開示されている売買委託手数料には証券会社と相対売買(バスケット取引)する際のコストは含まれない。このコストは約定価格に上乗せされる。バスケット取引はインデックス運用で多用されているため、運用報告書には「隠れコスト」のすべてが開示されるとは限らない。運用報告書に開示されたデータだけで実質コストの大小を比較すると、ミスリーディングになることが少なくない。 ・「eMAXIS Slim」の個々のファンドの純資産残高が500億円以上になると、その部分については信託報酬が下がる設計になっている。信託報酬の数値が具体的にどう変わったかについての公表方法を前向きに検討する。 ・ブロガーの記事内容を日々チェックし、同社と関連性の高い内容について報告をしてくる社員がいる。 ・今回の指数変更はマザーファンドベースとなるため、関連するベビーファンド(一般投資家が投資する投信)はすべて変更の対象になる。 ・同社が始めた直接販売サービスの「mattoco(マットコ)」は、顧客が多数の投信の中から「外れ投信」をつかまないようラインアップを絞った。顧客の属性だけでなく、投資行動に関する分析データも収集し、将来的に顧客それぞれへの適切な投資アドバイスを可能するようなことも目的にしている。アクティブ型の「これぞ、日本株」(0331218B)という国内株式型投信を投入したが、「ひふみ投信」(9C31108A)のレオス・キャピタルワークスを凌ぐことを当面の目標に置いている。 ■「eMAXIS Slim」の新たなファンも 参加者は「ホットな話題で、質疑応答が充実していた」「配当込み指数への変更はプレスリリースだけでは知りえない色々なことが分かった」などと満足げに感想を述べてくれた。 「mattocoはネット証券との違いや利用メリットがまだ乏しいように感じるが、改善要望は受けとめてくれたので、今後に期待する」「自分では買わないと思うが、日本株アクティブ運用力を向上する心意気は十分伝わってきた」といった声もあった。 女性ブロガーのインタビュー記事を読んだのをきっかけに、ブロガー・ミーティングの開催情報をツイッターで知ったという40代の女性は「まだ初心者なので、ミーティングの内容は高度で難しかったが楽しめた。『eMAXIS Slim』は購入してみようと思う」と話していた。ブロガー・ミーティングで、新たなファンが一人増えたようだ。 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

ピクテ「グロイン」分配金を40円に引き下げ 9年ぶり低水準

ピクテ投信投資顧問が運用する「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(42311052)が10日の決算で、1万口あたりの分配金を前月より10円安い40円に引き下げた。2010年4月の決算で50円に引き上げてからその水準を維持していたが、今回の減額で9年ぶりの低水準となった。 同ファンドは主に世界の高配当利回りの公益株式に投資する。3月末時点の1年リターン(分配金再投資ベース)はプラス15.47%。1年前に購入した場合に受け取った分配金がどれだけ運用益から支払われたかを表す分配金健全度は63.17%(100%に近いほど健全度が高い)だった。 「グロイン」の純資産総額(残高)は10日時点で6434億円と、国内公募の追加型投資信託(ETFを除く)で3番目に大きい。毎月分配型は分配金減額をきっかけに資金流出が続く大型ファンドが多いが、「グロイン」は2017年10月から1年半にわたり月次ベースで資金が流入している。 ピクテ投信投資顧問は、今回分配金を引き下げた理由を「分配金を引き下げることにより引き下げた分をファンドに維持し、信託財産の中長期的な成長と安定した収益分配のバランスのとれた運用を目指すため」とした。 ◇ピクテ投信投資顧問の発表資料 第169期(2019年4月)分配金に関するお知らせ (QUICK資産運用研究所)

投信「先進国株式」✕「国内REIT」でリスク抑制 3月末の相関係数

複数の投資信託に分散投資する際、有効な組み合わせを探すのに便利なのが「相関係数」と呼ばれる統計指標だ。投資対象で区分した「新QUICK投信分類(大分類)」について、2019年3月末までの1年間の相関係数(日次データで算出)と10年間(月次データ)の相関係数をまとめた。 複数の投信に投資する場合、値動きの傾向が違うタイプを組み合わせると分散投資の効果が出やすい。例えば、投資家のリスク選好局面で買われやすい株式に投資するファンドと、逆に売られやすい債券に投資するファンド。この両方を持っていれば反対方向の値動きが打ち消しあって、全体のリスク(価格の振れ幅)を抑えることができる。 有効なファンドの組み合わせは「相関係数」を使うと探しやすい。相関係数は投資対象が異なる2つのファンドが似た値動きをするほどプラス1に近づき、逆の値動きをするほどマイナス1に近づく。ゼロなら値動きの関係がなかったことを示す。相関係数が低いファンド同士を組み合わせると、全体の価格変動リスクを低減しながらリターン向上を狙う分散投資効果が期待できる。 【分類別相関係数(日次1年)】の表で「先進国株式型」を見ると、「グローバル株式(先進・新興複合)型」との相関係数は0.97と高い。一方、「国内REIT型」は0.25と相関が低い。「先進国株式型」と組み合わせて保有するなら、「グローバル株式(先進・新興複合)型」よりも「国内REIT型」のほうが分散投資効果が期待できる。 出所:QUICK資産運用研究所 ※▲はマイナス。分類は「QUICK投信分類(大分類)」を使用、対象は追加型株式投信(ETF、通貨選択型除く) (QUICK資産運用研究所)

「投資を自然なことに」おつりで投資のトラノコ バロック社長に聞く

日々の暮らしに投資は溶け込むか――。TORANOTEC(トラノテック、東京・港)が手がける投資サービス「トラノコ」の開始から2019年6月で2年を迎える。トラノコは買い物のおつり分を投資することで手軽に資産運用できるサービスだ。 「おつり」とは、事前に登録したクレジットカードや電子マネーでの買い物金額の端数のこと。利用者はおつりのうちどのくらい投資に回すかを決め、リスクの異なる3つの投資信託から投資先を1つ選ぶ。家計簿アプリを使えば現金決済のおつりも投資資金にできる。月額利用料が税込みで300円かかる一方、投信の運用報酬(信託報酬)は年率0.324%と低く抑えている。残高が小さいうちは利用料の比率が高いものの、残高が積み上がるにつれて相対的にコストが低くなっていく仕組みだ(図1)。 おつりによる少額積み立てということもあって、3つの投信の純資産総額(残高)合計は5億円程度にとどまるが、利用者は増えているという。 月額利用料の学割や他業種との連携など、目新しい取り組みが目立つトラノコ。投資の文化を日本に作っていきたいと熱い思いを秘めるトラノテック代表取締役社長のジャスティン・バロック氏に話を聞いた。 ――「おつりで投資」のきっかけは。 「日本の資産運用サービスは初めて利用する際のハードルが高く、初心者でも使えるサービスが少なかったように思います」 「日本の貯金の文化を、うまく投資に活用する仕組みがあれば投資の文化もできる。そのためには、少額からコツコツと投資ができるサービスの提供が必要だと考えました。加えて、日々の生活に投資が結びつき、自然なものとなるためにはどうしたらよいか。普段の消費活動で投資にアクセスできないかと考え、生まれたのがおつりでの投資です」 ――月額利用料という費用体系は独特です。 「サブスクリプション(定額制)は面白いサービスだと考えています。利用者から見て分かりやすいですし、積み立てを続けて投資残高が増えると、割合として利用料の負担は減っていきます」 「他社との提携のしやすさもメリットです。月額利用料の無料期間の延長や割引といった施策が簡単に実施できるため、パートナーの要望に柔軟に対応できます」(図2) ――投資関連サービスで「学割」は珍しいです。 「学生のうちは月額利用料を無料にすることで、投資に一歩踏み出すきっかけを与えたい。将来にわたって続けるためにも学生のうちはずっと無料にして、長期投資を実践しやすくしました。若いうちから資産運用の世界に触れることができれば、投資の文化は根付くと思います」 ――利用者の特徴は。 「若年層や投資未経験者の方が多く、年収や金融資産がそれほど多くないのが特徴です(図3)。一方で、投資経験が5年以上ある利用者が1割近くいらっしゃいます。投資経験が豊富な方にもサービスの価値を感じていただけていると思います。月額利用料は誰でも最初の3カ月間は無料ですが、この期間が終わっても9割以上の方がサービスの利用を続けています」 「初心者の方でも分かりやすく、面倒に感じないように投資先をまずは3ファンドにしぼりました。3つのファンドは投資配分だけでなく、為替ヘッジの割合を変えています。一番人気は最もリスクの高い、リターン重視のものです」 ――トラノコの未来は。 「『すべての人を投資家に』と掲げている通り、投資を簡単に、当たり前にしていきます。具体的にはトラノコの認知度を広げる活動を引き続き進めていくこと。さらに、提携する企業を通して利用者にサービスを提供する「BtоBtоC」のビジネスモデルを加速させます。銀行をはじめ、通信キャリアや小売り、インフラなど様々な分野の企業とパートナーシップを組んでいますが、今後も提携企業を拡大する予定です」 「アプリ内でポイントやマイルを現金に交換して、投資に回すサービスも展開しています。実際の投資にこだわっているので、ポイントやマイルのままではなく、必ず現金化してから投資します。金融庁の支援案件として採用された『リアルおつり投資』プロジェクトの実証実験も始まります。これは小銭を専用のATMに投入するだけで簡単に投資を行うことができるサービスです。投資が自然なことになるよう、様々な角度からアプローチを続けていきます」 (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ、イノベーション本部 吉田晃宗)

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