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原油価格底打ちでアジア株反発 鍵握るFOMC

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はシンガポールの現地記者クリストファー タン シ(Christopher Tan, Si)氏がレポートします。   原油価格は反発、現状は40ドル程度で推移 原油安の最悪期は脱したという期待から、アジアの株式相場は先週、反発した。原油価格は1月に1バレル30米ドル以下に下落したが、その後回復し、この数週間は1バレル約40米ドルとなっている。 米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの一次産品・実物資産部門のグローバル統括、ジョディ・ガンズバーグ氏は、原油価格の底打ちを意味しているかもしれないと分析。ガンズバーグ氏はインタビューで、石油価格は底値から15%回復しており、下げ相場が去った明らかな兆候と指摘した。同時に、石油生産者は安定供給を続けると明言していることから、生産状況をより明確に認識できるようになった。米雇用者数も1月に24万人増え、労働市場の回復傾向を維持している。 DBS最高投資責任者「反騰はまもなく消失する可能性」…顧客への覚書で 各国の中央銀行も市場の不安定さを懸念し、市場センチメントを支えるような心強い発言を始めている。米連邦準備理事会(FRB)は今後数カ月間にさらなる利上げを行うかどうかを明らかにしない一方で、中国人民銀行(中央銀行)は、この12カ月で6回目の預金準備率の引き下げを行った。このような各国中央銀行による穏健派的な声明は投資家を元気づけ、それに支えられてMSCIアジア太平洋指数(日本を除く)は2月中旬以降に約8%上昇した。 しかし祝杯をあげるのはまだ早すぎるかもしれないと、DBS銀行傘下のDBSプライベート・バンクの最高投資責任者、リム・セイブーン氏は話した。同氏は、現在の反騰はアジア株式市場の長期的な下落傾向の中での反発にすぎないと考えている。「ゴルディロックスの完璧な状態(熱すぎず、冷たすぎない)が過ぎ去って久しい」と、同氏は顧客への覚書で警告した。 同氏は「今やゴルディロックスは去り、1)貿易不振、2)企業収益の低迷、3)世界的な景気後退の恐れという3匹のベアしかいない」と語り、「この反騰はまもなく消失する可能性があり、再び下げ相場が始まるだろう。長期的な投資ホライズンでは、根本的に強力な資産を持っていれば、時間は友達という道理に安らぎを求めることができる。たとえ良い株であっても、株価は循環するものだ」と付け加えた。 ベア相場継続か…FRBの動向に注目集まる CMCマーケッツのアナリスト、マーガレット・ヤン氏も同意し、大きな構図は今年の年初から変わっていないと言及した。「中国の貿易黒字は、市場予測の501.5億米ドルを下回る326億米ドルだった。輸出は予測の12.5%減に対して25.4%減となり、2009年5月以降で最大の下落幅を記録した」と同氏は話した。 しかし、下げ相場が再び始まるまで、この市場の反発はいつまで続くのだろうか?1つのヒントは、今週後半にFRBのFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催される時に分かるだろう。この場合、どの方向であっても主要な動きに市場が肯定的な反応を示すかどうか分からない。もしFRBが好調な労働市場を背景に利上げに踏み切れば、好機を捉えて市場はテーブルからより多くのお金を持ち去るだろう。もしFRBが市場は立ち直りつつあるが、金利の現状維持を決めたら、株式市場が高騰し続ける前に一息つく暇を与えてくれるだろう。【翻訳・編集:NNA】

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「消費不況と次の増税」第一生命経済研究所・熊野英生氏

語り手:第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生氏 (※本記事は2016年3月15日にQUICKで配信された記事です) 【景況判断】現状(3カ月前比):悪い、先行き(3カ月後):やや改善 GDP予測:16年度0.7% 17年度▲0.3% 【金 利】短期:横ばい TIBOR3カ月0.100%、長期:小幅上昇 10年物新発国債0.200% 【円 相 場】  115円/1ドル 【株 価】18,000円/日経平均 *GDP予測値は実質GDP成長率、前年比% *長短金利、円相場、株価は3カ月後(2016年6月末)の予測値 1.景気見通し:「当面は世界的な製造業不振に苦しむ」 世界的に製造業が不安定である。米国では、雇用統計は好調であるが、半面でISM製造業景況指数の悪化が目立つ。ドル高が製造業に不利に働いているとされる。同様の図式は、中国にも成り立つ。ドル高に引きずられて人民元高が進んだ。中国は、対ドルでの人民元の切り下げを2015年8月から行っているが、実効レートではまだ人民元高である。そのため、製造業PMIは低調である。中国経済も、サービスは好調であり、製造業の不振とはコントラストがある。  日本の製造業もまた、米国や中国の製造業の不振のあおりを受けるかたちで、2015年初から低迷している。2016年はリオ五輪という4年に1度のイベントがあるのに、その追い風は過去のような勢いが感じられない。日本の為替レートも、110円台前半まで円高傾向になっていて、それが収益面で製造業の下押しになっている。  日本の景気全般を見渡すと、今は悪化している製造業も、先の五輪効果がいくらかは表れてくるはずなので、年央(7~9月)くらいから持ち直しの動きが出てくると期待している。製造業の稼働率が高まれば、設備投資の需要に波及して、それが景気の底上げに寄与する。また、2017年4月の消費税の再増税が予定通りに行われれば、2016年冬には駆け込み需要が、多少なりとも消費全体の押し上げに寄与するだろう。消費税の再増税に向けた景気対策もきっと打たれるはずなので、2016年後半に景気が盛り返していく公算は低くないと予想している。 2.金融環境:「原油反転と米長期金利反転」 年初来の株価下落に影を落としてきたのが原油下落である。1バレル30ドル台では、米エネルギー産業が厳しい。これまで事業者の破綻懸念が警戒されたことが株価にも投影された格好であった。それもどうやら、現在、底入れしたようにみえる。2月上旬がボトムになって、1バレル40ドルに接近していく展開に変わってきた。  この動きは、原油のみならず、米・欧の長期金利や新興国通貨を反転上昇させる動きと同調している。最近は、ドイツの長期金利も底打ちして、欧州にも広がってきた。もともと原油下落はインフレ予想を弱めて、中央銀行に緩和圧力を働かせるが、そうした動きは今変わりつつある。ちょうど、3月10日にはECB(欧州中央銀行)の理事会が開催されて、追加緩和が行われたが、ここでECBはむしろ、先行きの緩和打ち止めをアナウンスした。理事会後の記者会見では、ドラギ総裁は「一段の金利引き下げが必要になるとは思わない」と述べたのである。  追加緩和の期待を一気にしぼませたことについて、深読みすれば、ドラギ総裁は、さらなる追加緩和予想を刺激しなくても、原油反転がデフレ予想の後退に向かわせると読んだのかもしれない。追加緩和の予想をあまりにかき立てると、自縄自縛に陥ることを警戒したという見方もできる。  もうひとつ、米金融政策にも、過度な原油下落が反転したことで、ゆっくりとした利上げを進める方針が好感された可能性がある。FRB(連邦準備理事会)は2015年12月に利上げに踏み切ったことで、市場に対して引き締め過ぎのリスクを意識させてきた。だから、原油下落に歯止めがかからない段階では、米長期金利を低下させてきた。その動きも2月上旬を大底にして上昇に転じてきている。原油下落を前向きな動きととって、株価上昇・長期金利上昇に向かってきたことは、相場の転換点として注目したい。 3.注目点:「消費不況と次の増税」  2017年4月に消費税率を10%にすることは、景気条項を外してあるので、必ず実行するとみるのが道理である。それなのに、消費税増税は再び延期されるという観測が根強い。首相が約束していることが、多くの人に信じられていないという事実は、経済政策運営への不信感が根深いとしか言いようがない。困ったものである。 一方で、首相が消費税を増税するのならば、消費の勢いを高めて、増税ができる経済環境をもっと熱心につくっておかなくてはいけない。増税延期の観測を打ち消すには、経済政策にもっとアクセルを踏むはずであり、そうなっていない点に問題が感じられる。政治日程から考えて、5月の伊勢志摩サミット、7月の参議院選挙、という2大行事が終わったところで、何らかの骨太の経済活性化策を打ち出すのではないかと目算を立てられる。夏から2017年度の予算編成の準備が始まって、予算に景気刺激策を盛り込むこともできる。  かつて、2015年10月の消費税率10%の引き上げが延期されたのは、2014年11月18日のことである。11カ月前がぎりぎりのタイミングということなのだろう。これを当てはめると、2017年4月から逆算して、2016年5月という計算になる。ちょうど、5月18日に1~3月の実質GDP一次速報が公表される。1~3月は、うるう年要因で多少は消費が前期比で増えることが予想される。伊勢志摩サミットが5月26・27日なので、首相にとってサミット前は増税の意思を改めて国際公約として表明するには、絶好の機会にみえる。  一方、「消費税を増税すべきだ」というべき論を脇に置いておいて、家計に増税を乗り切れる地力があるか。筆者は、そう問われると、正直に言って心許ない。2014年4月以降の実質民間最終消費は、平均▲0.1%とほぼ横ばいである。消費者物価・除く生鮮食品の前月比伸び率も、年率で平均0.1%と低調なままである。ひとつの背景は、家計の所得増加が鈍いことにある。所定内給与は、春闘の効果もあってプラスの伸びであるが、所定外給与と特別給与の伸び率が足を引っ張る。さらに、非正規社員の構成比が上がっていて、1人当たりの給与水準は増えにくい。  また、家計の中で、世帯主60歳以上の構成比が53.3%(総世帯)にまで増え、無職世帯(主に年金生活者)が38.6%を占めるようになっている。だから、賃上げの恩恵は乏しく、世帯数の伸び率も0.75%と時系列でみて段々と低い伸びになっている。目先、マクロの消費金額が増加する要因は見当たらない。  消費不況を克服するには、勤労者世帯の所得増加で全体を牽引するほかに手立てがなく、高齢世帯の雇用者報酬を増やすことで消費のパイを拡大することが突破口になると考えられる。所得形成力の弱い非正規雇用の拡大や、不安定な株価上昇を通じた資産効果には依存できないのが実情である。一方、アベノミクスは、雇用分野に「岩盤規制」があると指摘して、2013年以降、改革に取り組んできたはずであるが、雇用面での実績は今ひとつである。非正規雇用比率は上昇し続けている。改革の狙いどころが外れていないかどうかを再確認して、消費税増税に耐え得るような雇用拡大・所得上昇を実現することが、今、最優先すべき課題になっている。 <熊野英生氏略歴> 1967年7月山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒。90年4月日本銀行入行。2000年8月より、第一生命経済研究所入社。2011年4月より現職。著書「本当はどうなの?日本経済―俗説を覆す64の視点」(日本経済新聞出版社)、「籠城より野戦で挑む経済改革」(東洋経済新報社)など。専門は、金融政策、財政政策、金融市場。

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中国、全人代が示した安定政策 元相場維持、過剰供給など課題に

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします(※本記事は2016年3月17日にQUICK端末で配信された記事です) 全人代、閉幕…当面は市場安定を優先か 中国政府は、全国人民代表大会(全人代、国会に相当) と全国政治協商会議(政協会、国政助言機関の会議) を開催し、16日に閉幕した。例年通り、今年の開催期間中も今後の政策の大きな方向性が浮かび上がった。中国は開催前に突如、銀行の預金準備率を0.5%引き下げ、景気下支えに向け財政支出は可能だと表明。経済改革と市場安定の板ばさみの中で後者を選択したようだ。今後も引き続き、景気対策や金融緩和が打ち出されることになるだろう。 中国政府が昨年8月に人民元の為替レート改革を行った後、元相場は次第に軟調となった。元安が輸出を支えるとの期待があったが、実際には元安は中国の輸出改善に寄与しなかった。今年2月の輸出は前年同月比で約2割減少し、さらには16カ月連続でマイナスとなった。 元安が新興国市場の通貨切り下げ競争を誘発し、通貨安の効果が相殺されてしまい、輸出が回復しなかった。元安が輸出改善につながらないと、元に対する市場の信用が一段と揺らぎ、中国国内の株式相場の下げ要因となった。このような事態となり、経済改革を遅らせてでも市場安定を優先しようとなったのだ。 市場の元安観測は後退 おりしも、中国の李克強首相が全人代と政協会の開催前にジェイコブ・ルー米財務長官と会見し、元に大きな下落圧力がないことを改めて強調。中国は景気支援に一層注力すると再度表明した。この発言は市場への安定維持に関する強いメッセージである。元の大幅切り下げに恐れず、安心して中国へ投資できるということを投資家に表明。中国の資金流出の圧力を和らげる効果がある。また、中国人民銀行(中央銀行)や商業銀行は元相場の安定維持に向けて市場介入を続けており、元安が持続するという市場の見方を変えようとしている。実際のところ、昨年半ばの元切り下げ後に中国政府が直面している最大の難題は、元安継続の観測が市場に広がり、中国の資金流出圧力が大きく働いたということである。このため、中国は安定維持に取り組むに当たって、まず元の為替レート安定を重視している。そして、足元では元の下落ピッチが減速しており、元安継続に対する市場の観測が後退しつつある。 中国政府は元相場を安定させ、資金の域外流出圧力を緩和させる以外にも、金融政策や財政政策でその他の対策を打ち出している。人民銀の周小川総裁は、金融政策を緩和方向に傾けることができると表明。預金準備率を連続して引き下げた後も引き続き引き下げる可能性があり、追加利下げも可能だとした。一方、中国の楼継偉・財政相は実体経済を支えるために中国の財政赤字をさらに拡大させる余地があると述べた。中国の重要な財政責任者3名が期せずして異口同音に経済の安定維持について言及したことから、中国は昨年に定めた経済構造改革に注力して供給側の改革を行うという大きな政策の方向性を既に微調整したのだということが分かる。もしくは、構造改革をひとまず棚上げして安定維持をより重要な位置に据えたと言えるかもしれない。 労働生産性低い企業は延命…政治的思惑が優先 中国政府は昨年、供給側の改革に本格的に取り組むと表明し、過剰生産能力の淘汰と在庫削減を行うとした。生産能力が過剰で生産効率が低い企業は銀行から融資を受けることが難しくなり、倒産の恐れがあった。しかし、この場合、必然的に大量の企業が淘汰されることで大量の労働者が失業する。中国政府は景気減速と株式相場の低迷に直面する中、現実を受け入れて政策の布陣を改め、安定維持を優先せざるをえなくなったのだ。このため、生産効率の低い企業はかろうじて生き延びる望みが出てきた。とは言え、企業の低生産効率は長きに渡る難題。効果的に解決されるのは一体いつになるのだろうか。

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「個人投資家の6~7割は負けている」!?主体別動向で見る個人投資家のスタイル

個人投資家は6~7割が負けている 株取引について、「クリック一つで○万円」「1日30分でも大丈夫」…このように「楽して儲ける」という趣旨の広告は少なくありません。そのようなイメージで相場の世界に入った方も少なくないと思います。しかし現に取引をした方の多くは、それが決して楽ではないとどこかの段階で思い知ったのではないでしょうか。結局、先述のクリック一つで~という触れ込みは、プロ野球選手の仕事を「1日4回棒を振るだけで○億円」と言っているようなもので、言葉のマジックに過ぎないのです。 野村證券が昨年10月に発表した「ノムラ個人投資家サーベイ」では、2015年7月31日から同年10月2日の期間における個人投資家1000人の投資動向調査において、通算で利益もしくは含み益となっている個人投資家は全体の9.3%、イーブンである±0が29.1%、損失もしくは含み損をとなっている層が61.6%となっています。 また、アメリカにおいても、個人投資家向け資産運用アプリ「Openfolio」のユーザー約60000人のうち、70%近くが2015年通算で損失となっているとCNN Money が報じました。*¹(ちなみに2015年のS&P指数の始値と終値は殆ど変らず) 指標は個人VS外国人(プロ)の構図を示す では個人投資家は全体としてどのような売買を行っているのでしょうか。ここで日本取引所グループが発表している「投資部門別売買状況」をみてみましょう。 点線は、日経平均株価の推移です。青い線が外国人、集計元の日本取引所の定義では外為法所定の市場参加者や、外国証券会社の在日支店を指します。すなわち、ほとんどが機関投資家やファンドなどのプロです。赤い線が個人です。  この図を見ると個人投資家は日本株を売り続け、おおむね外国人と反対の投資行動を取っていると見ることができます。つまり下がるときに買い、上がるときに売るスタイルです。リーマンショックのあった2008年付近の買いと、アベノミクスで日本株が上昇基調に入った2013年付近の売りが顕著です。  ではその時期の売買動向を拡大して見てみましょう。 個人VS外国人(プロ)…リーマンショック編  上の表で青色が個人、赤色が外国人です。下側の表の「証券自己取引」とは先物と現物の裁定取引など、証券会社のディーラーによる売買等を指します。ここから、以下の傾向が顕著であることが分かります。 ① 個人投資家と外国人投資家はほとんど逆の投資判断をしている ② 証券会社の自己取引も個人投資家と逆の投資判断をしている。  では上昇局面ではどうでしょうか。 個人VS外国人(プロ)…アベノミクス相場編   ここでもまさに芸術的ともいえるほど、個人と外国人・証券自己取引の注文が逆になっています。さらに、上昇局面では個人投資家は1万円あたりからの上昇局面でほぼ一貫して売り越しを続け、2万円台から1万8000円台に下げる局面になってやっと買い越しに転じています。 つぎに、個人投資家の投資スタイルをより詳しく検討するためにも信用評価損益率を見てみましょう。信用評価損益率とは、信用取引を行っている投資家がどれくらい含み損益を抱えているかをパーセンテージで表した指標です。含み損は最大マイナス40%近くまで持ち続けるにもかかわらず、含み益はすぐに利確する傾向があるようです。 上記動向と調査を合わせて考えてみると、個人投資家は、全体としては以下の特徴があると考えられます。 ① 下がりだすと買いを入れる(押し目買い)。上がりだすと売りを入れる。 ② 買値から少し上がったところで利確するか、いったん下げてから買値まで戻したところで売る。 ③ 下がり続けた場合は追加購入するか我慢し、我慢しきれなくなったら(マイナス2~4割)売る。上がり続けた場合は売り、我慢しきれなくなったら買う。 逆張りと順張り 投資主体別動向の統計を分析しましたが、要は、上記のグラフからプロは順張り、個人は逆張りという傾向がうかがえるということです。では順張りと逆張りはどのような差があるのでしょうか。  順張りとは相場が高くなると買う、あるいは、相場が安くなると売ることをいいます。メリットは、一方向に動く相場において利益を最大化させることができることです。トレンドは長く続けば、利殖の期間も長くなる点が特徴です。反面、トレンドの発生・転換を見極めなければ利益が絵に描いた餅になってしまいます。  逆張りは、相場が悪い時に買う、あるいは、相場が良い時に売ることをいいます。メリットは短期間で利益を得ることができるという点です。トレンドが崩壊するまでの期間は、そのトレンド期間の半分から3分の1程度であるといわれています。これは、資金が集中するまでに時間がかかるかわりに、換金するのは同じタイミングであることからです。そのため、大きな値幅を短期間でとることができるという妙味があるのです。  個人投資家で逆張りを好む傾向があるのは、「安く買って高く売る」という基礎を忠実に守ろうとしているからなのかもしれません。しかしながら、どこが転換点であるかをきちんと見分けなければ、トレンドが崩壊するまでに資金が尽きてしまいます。2016年の日経平均についてプロが出した予想が大発会で4割、1月半ばの時点で9割外れていた*²ことからも明らかなように、相場の天井と底を見極めることはできません。逆張りは安物買いの銭失いになる危険もあり、順張りよりも実は難易度が高いのです。 主体別動向を売買に応用? では、個人投資家の逆張り好きな傾向をどのように応用できるでしょうか。ここで、「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言を紹介します。これは金融市場において他人と逆の行動をとることによって大きな利益を得ることができるという趣旨の言葉です。  しかし”裏の道”に行っていたつもりが、ふたを開けてみると表の道を歩んでいたのでは本末転倒です。  例えば、日銀が追加緩和を発表し、日経平均株価が急騰した2014年10月31日付近の主体別動向を見てみると、個人は大幅に売り越しています。これは「普通に考えたら緩和で相場は上がるだろう。とはいえ、緩和発表後の短期間で大きく上昇したので素早く利益確定売りをしよう(ここから下げるだろう)」と考えた人が実は個人投資家の中では多数派だったのかもしれません。  また、リーマンショック直後の投資主体別動向の統計を見ると、相場では底をあてるのにこだわりすぎたのか、「落ちるナイフ」をつかみ、結局2番底で損切りになったような痕跡が見えます。一方のアベノミクス上昇相場では、長期に保有せず、短期間での利益確定売りを繰り返してしまったような動きが見えます。そのため、「リスクを取るが、利益は最小限で確定」という逆張り手法を用いているがために、個人投資家は総合して損失を被りやすくなってしまう、と考えることもできそうです。  そこで、これらの要素を逆手にとって、個人投資家がとりがちな行動の逆をすることが”裏の道”になるのかもしれません。具体的には以下の通りです。 ① 上がりだすと買いを入れる。下がりだすと売りを入れる。 ② 買値から少し下がったところで損切りするか、いったん下げてから買値まで戻したところで買う。 ③ 下がり続けた場合は追加購入せずすぐ売る。上がり続けた場合は買い、満足のいく利益が乗ったら利確する。  これが個人投資家にとっての”裏の道”です。上記の主体別動向をよく見てみると、奇しくもプロや海外投資家の順張り手法と似ています。  為替についても、QUICKMoneyWorldのツールの一つ、「ドル円ポジション」からもわかるように、棒グラフのピンク部分である外国人はドル円の売り越しに転じ、個人は買い越しを続けています。このような相場の中で、私たち個人投資家はどのようにして利益を得るべきでしょうか。戦略を練ってみましょう。   参考文献 *¹ Heather,L 2015/12/31.Nearly 70% of investors lost money in 2015:CNN Money *² Sarah McDonald,2016/1/21.猿も木から落ちる、年始急落読めずプロ9割外れ-日本株安値予想(邦題):Bloomberg    

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製造業DI、3年ぶり低水準 3月日銀短観は悪化の度合い焦点?(3月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(3月1~15日調査分、上場企業420社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス5となり、前月調査から5ポイント悪化しました。これは2013年4月調査(プラス4)以来の低水準となります。非製造業DIは1ポイント悪化のプラス29となり、結果、金融を含む全産業DIはプラス19と、前月から2ポイントの悪化となりました。なお、将来の業況を示す「先行き」の業況判断DIは製造業が悪化し、3カ月先のDIがプラス6となりました。 製造業DI低迷、日銀短観の悪化を示唆? QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性も見られるため、市場関係者にも注目されています。 4月1日に3月の日銀短期経済観測調査(日銀短観)が発表されます。QUICK短観は、日銀短観の変化の方向性を先取りする傾向がみられるので、今回の結果は、3月の日銀短観を占う上で参考になります。 まず、日銀短観の大企業製造業の業況判断DIの推移をみてみましょう。2012年12月調査でマイナス12まで落ち込んだ後、徐々に回復傾向をたどり、2014年3月調査にはプラス17まで上昇しました。その後は一進一退ながら方向性としては弱含みとなり、直近の15年12月調査ではプラス12となっています。 ここから先、日銀短観が回復していくのか、それとも下降を続けていくのかを占う上で、今回のQUICK短観の数字が方向性を示してくれるのです。それでは、過去のQUICK短観の製造業DIを確認しましょう。2015年1月から直近までの数字は以下の通りです。 2015年1月 プラス13    8月 プラス29    2月 プラス16    9月 プラス21    3月 プラス18    10月 プラス14    4月 プラス21    11月 プラス16    5月 プラス24    12月 プラス17    6月 プラス19 2016年1月 プラス13    7月 プラス23    2月 プラス10 このように、2015年8月の29をピークに徐々に水準を切り下げ、今年に入ってからは下降トレンドが目立っています。ちなみに日銀短観と平仄(ひょうそく)を合わせるため、QUICK短観を3カ月平均値でみると、 2015年1~3月 プラス16    4~6月 プラス21    7~9月 プラス24    10~12月 プラス16 2016年1~3月 プラス9 四半期ベースでみても、QUICK短観は下落トレンド入りしているのが分かります。こうした点から、4月1日発表の3月の日銀短観で大企業製造業の業況判断DIは少なくとも上昇に転じる可能性は低く、横ばい、ないしは弱含んだ数字になる可能性が高いとみられます。 国内景気の先行き懸念を背景に政府・日銀は2017年4月に予定される消費増税の先送りを検討しているとの報道も出始めています。景気浮揚のための財政出動を期待する声も増えており、QUICK短観が示唆する通り日銀短観が弱い内容となれば、日銀による追加緩和とあわせ政府・日銀の政策対応に対する期待はいっそう高まることになりそうです。 円高進行を受け仕入価格は下落基調 生産・営業用設備の過不足を全産業ベースでみると、過剰から不足を差し引いたDIはマイナス2となり、やや不足の状況が続いています。ただ、不足感が強いのは非製造業と金融機関で、製造業とりわけ素材業種においては、生産・営業用設備の過剰感が強まっている点は気掛かりです。 また雇用人員の過不足については、全産業ベースでマイナス30となり、相変わらず人員不足が目立つ状態です。製造業は、人員不足ながらもDIのマイナスは1ケタに止まっていますが、非製造業はマイナス47、金融機関はマイナス83で、サービス業全般の人員不足が、DIの低下につながっています。 全製造業の販売価格および仕入価格については、販売価格DIがマイナス16で、継続的にマイナスが続いています。一方、2015年8月調査まで2ケタのプラスが続いていた仕入価格DIは2月調査でマイナスに転じ、3月調査はマイナス8となりました。円高の影響もあり、マイナス幅が拡大しつつあります。 マイナス金利の効果は特にみられず 3月の特別調査では、①日銀のマイナス金利政策の導入を受けた企業の資金需要動向、②2017年春の新卒採用の2点について聞きました。 まず、日銀のマイナス金利政策を受け、企業の事業運営資金について第一にどう考えるのかを聞いた設問では、「まずは手元資金で賄う」との回答が65%に達しました。「銀行からの借り入れを増やす」は14%にとどまり、「そもそも設備投資などの増額は期待できない」との回答は18%に上りました。 日銀がマイナス金利政策を導入した目的は、金融機関に企業への貸出を促すことにあります。金利が低下すれば、企業の資金需要が促進されると考えられていますが、今回のアンケート調査の結果を見る限りにおいては、企業は銀行など金融機関からの資金調達に対して慎重姿勢をみせていることが示されました。 経済の先行き見通しが改善されれば、マイナス金利もあいまって企業の資金需要も高まる可能性もありますが、目下、成長エンジンだった中国経済の成長率低下などもあり、マイナス金利導入による企業への貸出促進は、期待しにくい状況にあります。 2017年の売り手市場続く? 次に、2017年春の新卒採用(2017年4月入社)予定の社員数が2016年春に比べてどのようになるか聞いたところ、「増やす予定」は28%にとどまり、「ほぼ横ばいの予定」が約7割を占める結果となりました。 アベノミクス効果もあり、直近の新卒者採用は2012年をボトムにして、年々上昇傾向を辿り、「売り手市場」が続いています。国内景気のもたつきは先行きの採用動向にいずれ影響を与える可能性もありますが、「減らす予定」は4%にとどまり、引き続き売り手市場が続きそうです。

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トランプ氏人気が写し出す米国の現状

米国の大統領選挙では、トランプ氏の躍進が止まりません。いま、米国では何が起こっているのか。トレンドワードで過去に何度もキーワードとして登場しているトランプ氏。氏に関する議論を追いかけることで、探っていきたいと思います。 まず、前提知識として参考となるのは、以下の二つの記事でしょう。米国の現代政治史のおさらいにもなる記事ですが、要点のみを引用します。 ①ニューズウィーク日本版:「トランプ現象」を掘り下げると、根深い「むき出しのアメリカ」に突き当たる – モーリー・ロバートソン 点と線 この支持者たちは誰なのか?なぜ溜飲を下げているのか? 表面的な「トランプ現象」から、より地面の奥にあるレイヤーに向かって掘削していくと、あまり見たことのない地層に突き当たる。裸のアメリカと呼んでもいい。そのむき出しのアメリカを理解する上で鍵となる人物がいる。1968年の大統領選に独立系候補として出馬したアラバマ州知事、ジョージ・ウォレス氏だ。 (中略) さて、現在のアメリカはどうか?1960年代とは環境が一変している。学歴が低い白人男性の視点から現在の政治地図を見ると、あまりにハンデがうず高く積み上げられている。白人の人口が圧倒的多数ではなくなり、政治は非白人の有権者に媚びるようになった。男女平等で男性の特権が無化し、伝統的な「男らしさ」を軽々しく口にすればセクハラとみなされる。LGBTライツの考え方が浸透し、キリスト教的な価値観が都市部では風化していく。加えてユダヤ教、イスラム、ヒンドゥーなどの信仰にも配慮せねばならず、クリスマスのデコレーションを取りやめにするデパートも続出。肩身が狭い。  そこに経済的なダメージも追加される。グローバル経済の浸透により、雇用が中国をはじめとした新興国へと流出。かつての工業地帯は再起不能だ。中産階級が没落し、国内の格差が拡大する。グローバル経済の中では学歴の格差が前の世代よりも拡大する。  愛国心も打撃を受ける。アメリカの外交が複雑化したため「アメリカが一番」といった価値観が成り立たない。アメリカはもう世界の覇者ではなく、二流国へと滑り落ちていくようだ。経済的な立場が弱くなり、夢も見られず、自尊心が失墜した白人男性は最後にブチ切れる。そのブチ切れにトランプが正面から応えてくれる。「怒ってもいいんだ」と。 (中略) トランプの扇動はウォレスの手法を何段階も進化させたものだ。多様化とグローバリズムを嫌う白人男性たちの「本音」に言葉を与え、感動をもたらしている。 ②ウォール・ストリート・ジャーナル:米大統領選に向けた戦い、大きな影響残した1968年に酷似 68年は、ベトナム戦争や人種問題の緊張により、現在と同じような反体制の雰囲気が高まっていた。当時の公民権運動は、現在の移民政策のように社会を分裂させる問題だった。 (中略)  ポピュリスト候補は自党のみならず、相手の政党の大物を脅かした。国内で起きている変化に不満を持つ人間の怒りに訴え、さらにそれをかき立てた候補だ。候補者の主張は支持者からすればまごうことない真実であり、反対派からみれば単なるデマゴーグとしか思えないものだ。  このポピュリスト候補は68年がアラバマ州のジョージ・ウォレス知事(当時)であり、今回は不動産王のトランプ氏だ。2人は生い立ちや階級こそ異なるものの、指導者階級に無礼な(露骨と言う人もいそうだ)攻撃を行う点で共通している。ウォレス氏は、インテリやジャーナリストを「頭でっかち」と呼んだ。トランプ氏は、米国が「間抜け」で「弱虫」のリーダーらのせいで弱体化している、と批判する。  ウォレス氏は公民権運動による恐怖心と怒りを利用したが、トランプ氏はちょうど同じように不法移民による恐怖と怒りを利用している。ウォレス氏のスローガンは「アメリカのために立ち上がれ」だったが、トランプ氏のそれは「アメリカを再び偉大に」だ。 今回、トランプ氏を支持しているのは単純に「共和党」とは言えず、世界の経済・政治状況の変化のなかで自尊心が薄れている「白人男性」ではないか、ということです。彼らの指導者階級への不満と未来に向けた鬱屈感を拾い上げているのが、ポピュリスト候補としてのトランプ氏という格好です。 自動車産業都市として知られるデトロイトでも、雇用につながらない大企業の業績回復に対する憤り、その結果としてのトランプ氏支持という現象が起こっています。工場、すなわち雇用が海外へ流出していることがその背景にあります。 それでも不満の声が出る理由は、経営破綻を期に自動車大手が手掛けたコスト削減が大きい。GMは、07年に米新車市場規模で1600万台だった損益分岐点を1100万台にまで落とした。固定費を減らし利益率重視のスリムな体質にした結果、働き手をたくさん雇わなくても車を量産できるようになった。 雇用が増えない状況はデータ面でもはっきりしている。05年に90万人を超えていたデトロイト地域の労働力人口は10年には80万人を割り込んだ。13年以降は75万人前後での推移している。フォードがメキシコ工場の増産を検討したり、GMが中国工場製の車を米国に輸入しようとしたり、いまの自動車メーカーの成長戦略は地元雇用とはなかなか結びつかない。 (出典:自動車王国デトロイトに見る「トランプ推し」) 共和党のトランプ氏がラスベガスの集会場に現れました。開口一番「壁を築くぞ!誰が払うんだ?」と問いかけると「メキシコ!」と聴衆が応じて拍手。見渡したところではヒスパニック系ぽい人は見当たりません。USAコールが起きてます。(長野) pic.twitter.com/O0xm9vFXnY — 毎日新聞米大統領選挙 (@mainichi_us) 2016年2月23日 共和党もトランプ氏の躍進は、誤算だったのではないでしょうか。実際、在米30年のバンクアナリストという@TrinityNYC さんは、以下のように呟いてきました。 伝統的な意味で、アメリカで「右」「保守」というのは、ルビオみたいのを言うんですよ。トランプは、米国でいうところの「保守」ではないんです。保守の牙城ナショナルレビュー誌が、「トランプが保守?冗談じゃねーよ!!」と喚いてますよw  https://t.co/Hh2sDf5nWl — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年2月24日 ネバダ州で予備選3勝目を挙げたトランプ、侮辱的発言を向けたヒスパニック層からも強い支持を得て、勝利宣言で「私はあまり教育を受けてない人達(the poorly educated)が大好き」と発言。こんなこと言われても彼らは支持する。 https://t.co/4V0NEopgyA — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年2月24日 その通りです。議席数獲得目的でお茶会を許容し、いつしか乗っ取られた共和エスタブリッシュメント組という構図。一般有権者の間にはびこるエリート層への反感の強さを過少視してたために、反知性主義の権化のようなポピュリストのトランプも躍進。 https://t.co/vUR9YUMKTs — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年2月24日 そうですね、当初はみんなでジョークにしてましたからね。いまいちばん焦ってるのは、共和自身でしょう。クルーグマン先生の言葉を借りるなら、トランプの躍進はアメリカの醜い部分を堂々と表出させたわけだから。トランプは究極のポピュリスト。 https://t.co/BzFeUs26Kw — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年3月2日 と指摘しています。5つの州で予備選挙が行われた3月15日のあとにも、以下のように共和党の誤算について語っています。 「国境渡ってくるメキシコ人はレイピスト」と発言したトランプを、ハッキリと「そういう発言は共和党の精神に反する」と反論し叩かなかったのも共和党自身だ。あのころ、共和のオエライがトランプに電話して、「もすこし言葉づかい、気を付けてね」とヤンワリ注意しただけだった。 — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年3月16日 その後、どんどんエスカレートしてゆくトランプを、糾弾するどころか、「共和党から離れて独立されたら、票が割れて困りますんで、共和には絶対に残ってね!」とラブコールを送ったのだって、共和党自身だ。まさか最終戦でここまで票を伸ばすはずないとタカくくっていた。いまごろ慌てたって遅いわ。 — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年3月16日 トランプが「共和の顔」として最終候補になるはずないし、ヤツの人気とカネを取り込んでおけば、ゆくゆく共和党にはプラスに働くと皮算用してトランプを利用しようとしてたんだ。すべて自分で蒔いた種、飼い犬に手を噛まれるどころか、噛み殺されそうになっている。崩壊しようが、同情の余地もない。 — TrinityNYC (@TrinityNYC) 2016年3月16日 希望と多様性という価値観の元で大きな発展を実現してきたアメリカですが、その一方で肩身の狭くなった「保守的な白人男性」が存在してきました。彼らの不安はトランプ氏の支持として、今回噴出していると見ることができます。 まさにアメリカは「希望と多様性か、逃避と分断か。アメリカでは二つの相容れない世界観が競合している」のでしょう(ニューズウィーク日本版:「トランプ現象」を掘り下げると、根深い「むき出しのアメリカ」に突き当たる – モーリー・ロバートソン 点と線) 「トランプが過激」というより、日本や欧米のような先進国では「誰が国民で、誰が国民でないのか?」という政治的なテーマが浮上しているのが現状なのだと思う。 — 斉藤久典 (@saitohisanori) 2016年3月2日 トランプが問題なんじゃない、この先、誰がアメリカ大統領になろうとも、アメリカには潜在的にトランプを支持する層がいるということを、アメリカはもちろん世界が、今後の課題として向き合って行く必要があると思う。 — フィフィ (@FIFI_Egypt) 2016年3月2日 大げさに言ってしまうと、今回の選挙は「アメリカ」とは何か、「アメリカが国民として守るべきは誰か」を問う選挙になるかもしれません。結果しだいでは、日米関係や、経済情勢に大きな影響を与えるかもしれません。 トランプ氏については、こちらのレポートで、市場への影響を探っていますので、合わせてお読みください。

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「マイナス金利」はまだまだ話題…足元では「スティグリッツ教授」への関心浮上

  トレンドワードは、Twitterやブログから金融市場に関連する話題(トピック)を探して、ランキング形式で表示するツールです。たいていのトピックは数日でランキングから消えていますが、今年の2月、ほぼ毎日上位にランクインしているトピックがありました。それは「マイナス金利」です。   マイナス金利についておさらい   2016年1月29日の日銀金融政策決定会合で「黒田総裁」を含む、複数の委員が賛成(賛成5反対4)したことで、「マイナス金利」の導入が決定されました。その結果を受けて、当日の「ドル円」相場は、発表前には、118円台後半だったものが、一時は121円台を付け、その後119円台前半まで下落するなど大荒れの相場となりました。   さらに、一般的には、「マイナス金利」導入により、日米の金利差が拡大するため、円安方向に動きやすいのですが、新興国を中心とした景気減速懸念から、好調と言われていた米国経済についても悪化懸念が台頭し始めたことで、米国債の金利も低下し、投機筋の円買いも相まって、急激に円高が進みました。その結果、2月24日、衆院の財務金融委員会で日銀の「黒田総裁」は金融政策について「今後とも量・質の面での追加緩和も選択肢」と円高をけん制する発言を行っています。    そして、「マイナス金利」導入は、当然ながら、外国為替市場だけでなく、債券市場へ影響を与え、日本10年物国債の利回りは、マイナスの水準まで低下しました。国債の利回りがマイナスになるということは、満期まで保有して得られる利子と元本よりも高い価格で、当該債券を投資家が買っているということなります。   何故、損をするはずの債券を投資家は買っているのでしょうか。 理由は、「マイナス金利」と量的金融緩和によるものです。日銀の言う「マイナス金利」とは、日銀当座預金の一部に0.1%のマイナス金利を適用するというもののため、銀行を中心とした機関投資家は、「マイナス金利」が適用される部分の資金を債券などに向かわせました。加えて、量的金融緩和政策により、日銀が国債の買入れを行うため、国債の利回りがマイナスになっている状況下でも買いやすい環境になっています。    さらに、「マイナス金利」の影響は、金融市場だけでなく、個人の預金やローンにも波及しています。日銀による「マイナス金利」発表以降、市場での運用が困難になった、メガバンクなど多くの金融機関で、普通預金金利や定期預金金利が限りなくゼロに近い水準まで引き下げられました。一方で、住宅ローンなどのローン金利は引き下げの方向にあります。    このように、1月下旬に決定された「マイナス金利」ですが、金融市場や、預金金利、ローン金利など、徐々に影響範囲が広がっていったため、twitterやブログで話題となり続けていると言えます。   話題のキーワードから市場の関心がどこにあるのかを把握   ちなみに本日もマイナス金利が話題ですが、前日に日銀の金融政策会合の結果発表があったこと、黒田東彦日銀総裁が16日に国会答弁をしたこともあって、議論が続いているようです。国会で総裁は「マイナス金利が-0.5%まで下がるどうかについて  「理論的な可能性はそういった余地ある」と発言したと報じられています。   twitterやブログで話題となり続けているということは、市場の関心がそこにあると言えます。そして、今、市場が何に注目しているのかを把握することは、未来の相場を予測する上で、重要なファクターになります。例えば、少し前の話になりますが、ギリシャの債務問題が表面化した際に、その支援策がまとまるか、ユーロ圏から離脱するか否かなどの報道をきっかけに、相場が大きく変動しました。   このように、その時期における重要なキーワードを把握し、その動向がどのようになるのかを想定することは非常に重要です。トレンドワードを利用すれば、今現在、市場の関心がどこにあるのか一目でわかりますので、有効活用できるのではないでしょうか。   足元は「スティグリッツ教授」に関心 ちなみに本日16日は「マイナス金利」よりも上位に、「スティグリッツ」という単語が話題のワードとして登場しています。スティグリッツ氏は、ノーベル経済学賞の受賞者であるジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授のこと。日本政府は16日午前、世界経済について有識者と意見交換する「国際金融経済分析会合」を初めて開き、講師として同氏を招きました。スティグリッツ教授は、世界経済は難局にあり「2016年はより弱くなるだろう」との見解を示し、「現在のタイミングでは消費税を引き上げる時期ではない」とも述べ、来年4月の消費税率10%への引き上げを見送るよう提言したと報じられています。   市場の関心は、徐々にマイナス金利など金融政策よりも、消費税や財政政策に向かいつつあると考えられそうです。

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台湾・鴻海、シャープ買収は世紀の賭け? 郭会長が描く統合メリット

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。※本記事は2016年3月11日にQUICK端末で配信した記事です。 偶発債務発覚もホンハイの買収観測は根強く 鴻海精密工業(ホンハイ・プレシジョン・インダストリー、コード@2317/TW)によるシャープ(6753)への資本参加が、最終的な契約調印の段階に来ている。シャープは約3500億円の偶発債務を提示し、このため鴻海は急きょ契約調印を先送りした。しかし、市場はこれを鴻海がキーテクノロジーを取得する上での大きな前進と受け止めており、さらにシャープに間もなく期限が到来する債務を解決するための緊急資金が必要なことから、双方は最終的に買収契約に合意するとみている。  最近の日本からの報道ですでに明らかになっているように、鴻海は傘下の液晶パネル事業とシャープの液晶パネル部門を、シャープと郭台銘・鴻海会長の合弁事業である第10世代パネル工場(SDP)に統合しようとしている。統合の詳細は説明されていないが、外部の推測によると、主に鴻海傘下の群創光電(イノラックス、コード@3481/TW)、シャープの液晶パネル部門、SDPの3社を1つにしようとしているもようだ。  業界の推測によると、鴻海はシャープが持つ液晶パネルの技術力を統合するに際して、「アクティブマトリクス式有機EL(AMOLED)」の開発に焦点を当てている。これによって、将来のアップル(コード@AAPL/U)のiPhoneへの採用という潜在的なビジネスチャンスを確保しようとしているのだ。早ければ2019年にAMOLED製品の量産が始まる見込みだ。合併の情報は今のところ鴻海グループが認めるところとはなっていない。しかし、鴻海がもしシャープを手に入れることができれば、戴正呉・鴻海グループ副総裁が、郭台銘会長を支える役割を演じ、シャープの再建という重大な責任を負うことになると予測されている。 モバイル端末テクノロジーを渇望 各方面からは、鴻海がシャープの株式65.86%を買収するということは、世紀の賭けだと考えられている。しかし、緻密な計算と計画で知られ、おとなしくしているようなタイプではない郭台銘会長だけに、もし背後に膨大なビジネスチャンスと顧客の需要がなければ、これまで4年間もかけてシャープへの資本参加を求め続けることはないはずだ。  台湾の業界関係者の分析によると、もし今回の買収を郭台銘会長の「絶妙な一手」とするなら、それはシャープの最も鍵となる液晶パネル技術、鴻海の部品、中国の巨大な製造体制、アメリカのトップブランドであるアップルからの支持という四つの要因を結び付けることに着目した点だ。これにより、シャープを短期内に改造し、シャープが抱える膨大な負債よりも長期的利益を大きくし、なおかつ鴻海グループとシャープの製造資源の統合を実現するに違いない。  なぜシャープを、無理をしてでも獲得したいのか。それは、スマート型モバイル端末装置のキーテクノロジーを取得するだめだ。その応用範囲は、近年急速に成長しているスマートフォン、ノートパソコン、タブレットPCのほか、さらに自動車、家電などまで、大・中・小型のすべてのディスプレーを含んでいる。 シャープの技術でサムスンに対抗 シャープは2015年において、世界のLTPSの生産能力の約18%を持っており、世界で3位以内にある。シャープはまた、世界最大のIGZOの生産能力を持っている。これは、スマートフォンとタブレットPCの新世代のOLEDパネルに応用できる。鴻海グループ傘下の各子会社によるタッチパネル・コントロール、貼り合わせ、モジュールを統合し、巨大な生産能力を組み合わせることで、新世代の小型パネルの生産方式の力を十分に発揮させ、最高の経済価値を生み出すことができる。 シャープはまた、現時点において各種の規格のOLEDパネルを供給できる数少ないパネルメーカーだ。この製品は、すでにアップルから次世代のパネルに列挙されており、鴻海が継続的に受注を守るためのキーパーツとなっている。鴻海は、シャープへの資本参加後もシャープの技術を外に漏らさないと約束しているが、アップルに対してはすでに関連部品の統合を完了したと表明している。大型受注を確保したあと、さらに大型パネルで中国の膨大な市場需要を掌握して、サムスン(コード@005930/KO)と対抗していくためだ。

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米大統領選は円高要因…市場は「クリントン候補勝利」を予想

・米大統領選挙に関する大手金融機関の見通しまとめはこちら ・選挙結果や相場影響についての為替市場関係者アンケートはこちら ・開票結果の更新ページはこちら、またtwitterでも随時つぶやきます   外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の3月調査を、3月14日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者75人が回答、調査期間は3月7~10日)。この間の為替レートは、対ドルが112円47銭~113円71銭。対ユーロが123円54銭~124円73銭でした。 今回の調査では、海の向こうで話題となっている米大統領選挙について調査しました。大国である米国のトップの変化は、経済にももちろん影響を与えるイベントです。 為替市場関係者は「ヒラリー・クリントン候補の勝利」を予想 米国大統領選の候補者選びにおける最大の山場は、スーパーチューズデーです。通常、2月下旬から3月上旬の火曜日に予備選挙のうち、多くの州がここに開催日が集中することから、大統領候補者選びの大勢を決めると言われています。今回の大統領選挙においては、3月1日がその日でした。 結果は、民主党は当初の予想通り、ヒラリー・クリントン前国務長官。対して共和党は、不動産王のドナルド・トランプ氏が、それぞれ圧勝しました。 今後、共和党は7月18~21日にかけて、民主党は7月25日~28日にかけて、それぞれ全国大会が開かれ、そこで指名候補者が選出されます。過去において、スーパーチューズデーを制した候補者が、全国党大会の使命候補者に選ばれる可能性が高いため、2016年の大統領選挙は、民主党がクリントン候補、共和党がドナルド・トランプ候補になることも、十分に考えられます。 今回11月に行われる米大統領選挙において、どの候補者が勝利するかをアンケートしたところ、トップはクリントン候補で、圧倒の85%。次いで、意外なほどの善戦をしているトランプ候補が12%、マルコ・ルビオ候補の名前も挙がりましたが、共和党候補者という点では、トランプ候補に一歩も、二歩もリードを許している状況です。 どちらが勝っても円高要因、トランプ氏勝利の場合は要注意 恐らく、マーケット関係者の間で最も気になるのは、クリントン候補にしても、トランプ候補にしても、大統領になった時、マーケットにどのような影響が生じるのか、ということでしょう。 ドル円については、結論から言ってしまうと、どちらの候補が勝っても「円高要因」という見通しになっています。 とはいえ、両候補はやや度合いが異なります。仮にクリントン候補が大統領になった場合、「やや円高要因」という回答が49%を占めてトップ。次いで「中立要因」が33%を占めました。 問題はトランプ候補が大統領になった場合で、「強い円高要因」と見る回答比が49%、「やや円高要因」が36%となりました。これは、トランプ候補の為替政策に対する発言によるものでしょう。「日本の度重なる円安誘導のせいで、友達は高いキャタピラーではなく、コマツのトラクターを購入している」という発言をしていることは、多分にドル安政策を推し進めてくる可能性が高いという連想につながります。日本にとっては、クリントン候補の方が、経済面で望ましいということになるのでしょうか。   米国の利上げは年内あと1~2回 次に、日米の金融政策についても、その見通しを聞きました。 2016年の米金融政策については、「利上げ4回以上」を予想する向きは無くなり、「利上げ1回」が最も多い42%を占めました。次いで「利上げ2回」が39%、「据え置き」が12%で、それ以上に積極的な利上げを行うという答えは見られません。 前述したように、今年は大統領選挙の年なので、FRBとしても、ここから大きく利上げしにくい状況にあります。中国経済の成長率ダウンによる世界経済の先行き不透明感が強まっていることを考えれば、ここからさらに利上げのピッチを上げることはないというのが、妥当な見方でしょう。 また、日銀の金融政策については、まさに本日(3月14日)から開催される金融政策決定会合で金融緩和が発表される可能性は大幅に後退し、4月に先送りの見通しが高まっています。デフレ経済からの脱却を目指して行われてきたアベノミクスと、度重なる量的金融緩和は、なかなか効果を見せず、今後、もう一段の金融緩和が実施されるのは必至。金融緩和のタイミングは4月が43%を占めています。また、その際の手法としては、「マイナス金利拡大」が73%で圧倒的に多く、次いで「質的緩和拡大」が51%、「量的緩和拡大」が49%を占めました。 ドルは鈍い戻りを予想、欧州通貨へは弱気 金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、3月末の平均値で113円60銭となり、前回調査の116円04銭に比べて円高方向にシフトしました。 今後のドルの戻りは弱く、3か月後の5月末予想値は114円35銭、6か月後の8月末予想値も114円23銭に止まっています。また3月末の予想値について、最大値が118円、最小値が109円となっていますが、企業の想定為替レートが118円であることからすれば、仮に最大ドル高になったとしても想定為替レートと同じであり、そこまでドル高が進まない限り、3月の企業決算は為替差損によって厳しい状況になることが伺えます。 ドル円の注目度で大きく上昇したのは「政治/外交」の11%で、前月比9%増。大統領選挙の行方が注目され始めたからと考えられます。また、「金利/金融政策」は前月比で11%低下したものの、水準としてはまだ59%の注目度を誇っており、他の要素に比べて圧倒的に注目されています。 また、向こう6か月間で、各通貨が対円でどのような動きをするのかについての指数(DI=プラスは円安方向、マイナスは円高方向)、米ドルは1月の18から徐々に上昇し、3月は28になりました。対して、DIが大きく低下しているのがユーロで、2月のマイナス16からマイナス53に低下。対円で大きく売られると見る向きが増えています。 また、運用中ファンドの外貨建て資産組入状況については当面、「アンダーウエート」とする回答比が、前回調査の0%から、今回調査では11%まで上昇しているのが目立ちました。ドルDIがゆるやかにドル高方向を示していることを反映した動きでしょうか。また、為替ヘッジについて当面のスタンスを聞くと、「ヘッジ比率を上げる」が低下する一方、「現在のヘッジ比率を維持」が上昇しており、当面は様子見ムードが強まっています。   <米大統領選挙に関連した記事の一覧はこちら> 米大統領選でクリントン候補が失速…市場の見方を関連銘柄から探る 2016年11月04日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=11538) クリントンVSトランプ…関連銘柄で見えた勝敗 16年10月28日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=11477) 米大統領選後のドル円相場、トランプリスク後退で大きな変化なし?(為替10月調査) 16年10月17日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=11438) 米大統領選、誰が勝つ?統計学が与える予想 16年4月28日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=197) トランプ氏人気が写し出す米国の現状 16年3月17日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=167) 米大統領選は円高要因…市場は「クリントン候補勝利」を予想(為替3月調査) 16年3月14日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=166) 盛り上がる米国大統領選挙、関連アノマリーで見通す今年の金融市場 16年3月8日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=159)

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投資家が知っておくべき「原油価格に振り回されない銘柄選び」の方法

2016年3月現在、相変わらず日経平均株価は原油価格の変動と、それに伴う為替の上下で激しく揺れ動いています。日によっては日経平均価格が500円以上動くという変動率の高い局面が続いています。今回は、中~長期的に安定した運用をしたい方のために、原油価格に影響しない銘柄選定術を探りたいと思います。 図:2016年3月10日時点での原油ETF(1671)の価格チャート   選定術1:業種選び 原油に影響されない銘柄選びですので、まず第一に業種分類(セグメント)の選定がスタートラインです。 原油価格が業績に大きな影響を与える業種としては「エネルギー(販売含む)」「科学」「石油精製」「製造(油性製品が関わる物)」「繊維(紙)」が当てはまります。 出展:経済産業省「原油価格上昇がわが国産業への影響に関する調査結果について(H16)」 データは少し古いですが、原油が必要な業種というのは画期的な新素材が開発されたような業界でない限り大きく様変わりしていないでしょうし、仮に開発されていたとしても原油依存が0%になっているということはほぼありえませんので、こちらのデータを参照していただければと思います。基本的に、「原油に依存している業種は避ける」ということが重要です。 その一方、上記のデータにある「鉄鋼」「電気機械」「アルミ」「セメント」などの業種は、原油の影響が低いとされているのですが、注意が必要です。なぜなら、原油価格の下落で資源国の経済が影響を受けた場合、おおむねこういった素材や電機・機械の有力な輸出先として資源国があるため、間接的に業績に悪影響を与える必要があります。また、原油価格が下落しているということは、原油の需要を左右する新興国の経済が変調している可能性が高いため、新興国経済の恩恵を受けている素材系業種も悪影響を受ける可能性があります。 原油価格が直接影響を与える業種、原油価格を左右する新興国・資源国向け輸出が多い業種などは、注意した方がよいということです。 選定術2:割安度と安全性から検索 では次に実際の銘柄選定です。ツール『QUICK株サーチ』を使い、銘柄を分析してみましょう。今回の銘柄選定で重視するのは「割安度」と「収益性」、「安全性」のスコアです。優先順位としては「安全性」(=自己資本比率)、つまり財務の健全性の方が上ですが、長期保有前提の場合は安全度があっても高値つかみをしては意味がないですし、逆に割安でも安全性が低ければ上場廃止や減資といったリスクに晒されるため不適格です。以下のようなスコアは理想形の一つであると考えられます。       これは初期ツール画面の「形から探す」で選定したものですが、手順としては以下です。 ①:まず最優先の「安全性」と「割安度」を8以上に設定 ②:「収益性」を5以上に設定 ③:「規模」を3以上6以下に設定 ④:「成長」に関してはあまり重視しない   スコア数値選択理由 では順番に、スコア数値の選定根拠について解説します。 ①:「安全性」と「割安感」 これは前述した通り、「長期的に保有するの前提」というところの必須条件です。 ②:収益性を5~以上 たとえば、いま安全性や割安感があっても、儲かっていない企業(収益性が低い企業)というのは、経済状況の変化を受けて売上が減ると、利益が急速に悪化する可能性があります。つまり財務状況が悪化する可能性をはらんでいます。 また、足元で収益が悪化している企業というのは為替や原油価格の影響を大きく受けている可能性が高いため、避けるべきです。もちろん、収益性の良い企業でも、その理由が原油価格の影響を受けていないか、ということもチェックする必要があります。要は、原油価格の変化とは関係なく、収益力のある企業を探そう、ということです。 ここでは、必要最低限(会社の運営経費)をまわせる程度に儲かっていれば問題はないので7以上というような高い水準を求めるのではなく、あくまで平均的な数値として5以上というのを選んでいます(もちろん高ければ高いに越したことはないのですが)。 ③:規模を3以上6以下に設定 これも②と同じで「今後の運転資金コスト」に関する設定です。 当然、事業規模が多ければそれに伴う運転コストや社員の数などは多いパターンがほとんどですよね? ですので、あまりにも大きすぎる企業というのは収益が悪化しだした場合、雪崩のようにファンダメンタルが崩れるリスクを内包しています。企業の大きさ=安定度、ではないので注意が必要です。 とはいえ、規模が小さすぎてもそれはそれで安定性が不安なので、小さすぎず、大きすぎずの3以上6以下という数値を選定しています。 ④:成長に関してはあまり重視しない これは「安全性」と「割安感」をベースにしているためです。 上記の条件を満たしている企業の場合、成長性があれば株価が上がりますし、成長性がなく(=事業として成熟している)安定性が高ければ自社株買いや配当といった形で株主に還元をする会社がほとんどです。 ですので、どちらにとっても保有者にとってはプラスということで、あまり重視をしていません。以上です。   こういった暴落局面は、中長期的に割安銘柄を探すチャンスですので、皆さんもぜひトライしてみてください!   編集:QUICK Money World    

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落着き見せる日本株…マイナス金利の影響、好悪を見極めよう

波乱の2月相場、3月は落着きを見せ始めたが… 日経平均株価が一時1万5000円を割り込んだ2月の波乱相場が終わり、3月は落着きを取り戻しつつあります。特に3月2日、日経平均が前日比661円高で取引を負えたことに回復の兆しを見て取る声があります。 3月に入ると米景気に対する懸念が薄れ、株価下落の要因のひとつである円高ドル安進行が落着きを見せ始めたからです。日経平均の大幅高の前日3月1日、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した2月の製造業景況感指数が市場予想を上回り、米景気の不透明感が後退しました。 QUICKスコアで見る銀行株の割安さをどう見るか この急落局面で割安となった株を探そうとしている投資家もいらっしゃると思います。QUICK株サーチを見ていると、「お買い得感のある株」として三菱UFJ(8306)、三井住友FG(8316)などの銀行株が出てきます。 国内最大のメガバンク、三菱UFJについて詳しくみてみましょう。 まず「割安度」のスコアが10と高く、さらにプロのアナリストの投資判断の平均値である「QUICKレーティング」は+1.64と強気ゾーンとなっています。三菱UFJも含め、銀行系の株価が割安となっているのは、2016年2月半ばから日銀が導入したマイナス金利の影響とされています。金利の低下が利ざやの縮小につながると考えられているからです。   2月中旬に500円台を割った三菱UFJ株は現在、530円台まで値を戻しています。スコアの「為替」が10と、為替の影響が大きいので、今後も円安が進むにつれて、下位の流れが続く可能性もあります。しかし注意しておきたいのは、株価の変動率を示す「リスク」のスコアが10と高い、つまり株価が大きく動きやすい株だということです。今回の銀行株の戻りは、必ずしも、マイナス金利が銀行に与える影響の懸念が和らいだものとは言えません。あくまでも、円相場の下落と日本株全体が底上げされたことによるものとみるべでしょう。短期的な上昇として注意する視点も重要です。   割安度の高さも、「株価がどれほど乱高下するか分からないので手を出しにくい」ということの現れと考えることもできます。 株価の戻りは続くのか?マイナス金利の相場に与えるプラス面 株価の値上がりは今後も続くのでしょうか。日本の銀行株については、マイナス金利の影響に対する懸念が払拭されないうちは短期的な株価上昇であるかもしれない、という可能性を指摘しました。では、日本株全体においてはどうでしょうか。 まず、続々と発表されている米国の経済統計ですが、堅調な内容なものが多く、米国経済に対する懸念は2月ごろよりも、かなり楽観的になっていると思われます。米国株上昇の追い風があれば、日本株全体も当分は上昇するものと見込まれます。 また、日本株上昇の根拠は欧米の株価上昇だけではありません。3月が決算期の日本企業の間で、4月から5月にかけて、自社株買いの動きが広まるものとみられています。マイナス金利の恩恵で資金調達金利が低下した上場企業が、低利で調達した資金を使い、自社株買いを進めるのでは、との分析も多く出ているためです。米国への過度の不安の後退と、自社株買い期待で、日経平均もひとまず回復の動きに転じるのではないでしょうか。   編集:QUICK Money World

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音楽業界に春到来、注目を集めるワケとは?

音楽業界といえば「CDが売れない」「若者の音楽離れ」など、ネガティブで将来性が無いと思っている人が多いでしょう。ところが、ここ近年は右肩上がりで売上を伸ばしており、密かに注目を集めています。音楽業界に何が起こっているのか、その将来ついて各種データを紐解きながら解説します。 「CD」から「ライブ」へ 「CDが売れない」というのは間違いありません。CDの売上は年々減少傾向にあり、2001年頃と比べると現在は半分以下にまで落ち込みました。音楽ダウンロード件数は緩やかに増加していますが、CDの落ち込みをカバーするほどには至っていません。音楽コンテンツ自体が売上を落としていると言えます。 CDが売れない一方で、フェスやコンサートなどのライブ市場が急成長を遂げています。下記グラフの通りライブ市場の売上は年々増加しており、2013年にはCD市場を追い抜きました。「音楽=CDを買う」時代は過去のものとなり、代わって「音楽=ライブを体験する」時代が到来したことを意味します。 この動向は業界全体の売上にも大きな影響を与えています。例として、音楽プロダクション大手のエイベックスとアミューズの売上推移を見てみましょう。 2社ともに2011年頃から右肩上がりで売上を伸ばしています。それに伴い売上全体に対するライブ事業の割合も大きく増加しているのが分かります。収益の柱をライブ事業にシフトした事で売上を伸ばすことが出来たといえます。 この2社の直近5年の株価推移を見てみましょう。ともに足元の株価は軟調ですが、アミューズは底堅く、エイベックスは伸び悩みという動きが見えます。 アミューズは、ライブ事業を含むアーティストマネジメント事業が2015年3月期に増収増益、さらに同事業の好調を受けて昨年10月に2016年3月期の業績予想を上方修正していることが支えとなっています。一方、エイベックスのマネジメント/ライブ事業は大型会場でのライブ公演数が減ったことから今期は減益を予想しています。 エイベックスの株価の伸び悩みの背景には、一部タイトルの発売延期による業績圧迫や映像事業の先行き懸念の影響もありますが、2社の株価チャートには、ライブ事業への期待感が表れていると捉えることもできそうです。 2016年、EDMがやって来る 成長著しいライブ市場ですが、その勢いは止まるところを知りません。音楽業界は流行に左右されやすいため断言はできませんが、2016年に関しても全体の見通しは明るいと言えます。その理由は、日本でのEDMブームがライブ人気を更に加速させると予想されるからです。 EDMとは「Electronic Dance Music」の略で、欧米で大流行している音楽ジャンルです。簡単に言えばシンセサイザーなどの電子音を駆使したダンスミュージックの事で、1970、80年代に流行したディスコやテクノミュージックなどをルーツに持ちます。電子音のダンスミュージックと聞くとユーロビートやトランスなどを思い浮かべる人も多いかと思いますが、電子音のみで構成されたそれらジャンルとは異なり、カントリーやロック、ヒップホップなどの音色や要素を積極的に取り入れた全く新しい音楽ジャンルです。 2006年頃から音楽ジャンルとして定着したのち流行が加速し、ロックやR&Bなどを押しのけ一気にメジャーなジャンルへと駆け上がりました。その成長スピードは著しく、2011年頃に40億ドルだった市場規模は、いまや70億ドルまで増加しています。 日本での知名度はまだまだのEDMですが、今年は本格的にライブ市場を賑わすとして期待されています。世界三大EDMフェスの一つである「EDC」が日本で初開催するためです。「EDC」は全世界で100万人を動員するモンスター級のフェスで、花火やレーザーなどを駆使する派手な演出で人気を集めています。日本で開催となれば国内外問わず相当なEDMファンが押し寄せることが見込まれます。また、開催2年目で4万人から9万人と動員倍増に成功した「ULTLA JAPAN」も3年連続での開催が決定しています。これらEDMフェスがライブ市場のさらなる拡大を後押しすることでしょう。 (※2016年7月25日追記:2016年のEDC日本開催は見送りとなりました)   EDMは栄光への架け橋? 黒船として期待されているEDMですが、将来に渡り日本で定着するかは未知数です。なぜならば、シーンをけん引する日本人DJが不在だからです。EDMの根幹はクラブミュージックであり、フロア全体をコントロールするDJの存在が不可欠です。欧米でのEDMブームは相次ぐカリスマDJの登場により達成しましたが、日本には未だブームの先駆けとなるようなDJが存在しません。EDMフェスでは海外から人気DJが多数来日して盛り上げますが、日本の音楽文化に根付くためには日本人DJの台頭が絶対条件となるでしょう。 結論として、音楽は「買うモノ」から「体験するモノ」にシフトしたことで、冬の時代を乗り越えた音楽業界に春の兆しが訪れています。しかし、今後も成長を維持するためには、業界の更なる頑張りが不可欠です。 最後に、音楽業界に関連する銘柄をいくつか紹介します。まずはライブ音響設営の大手ヒビノ、sekai no owari やONE OK ROCKなど若手ミュージシャンを多く抱えるアミューズ、日本のダンスミュージック界の大御所エイベックス、EDCの主催でありDJ育成を表明しているGMOインターネットです。これら銘柄については、音楽業界の動向をいち早くチェックすることが必須でしょう。 編集:QUICK Money World

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盛り上がる米国大統領選挙、関連アノマリーで見通す今年の金融市場

2016年は米国大統領選挙の年。現在、11月の選挙に向けて候補者指名争いが繰り広げられています。予備選と党員集会が集中するヤマ場の「スーパーチューズデー」の結果が出揃い、ほぼ事前予想の通り、共和党のトランプ氏と民主党のクリントン氏の一騎討ちとなる可能性が高まってきました。 米国の経済動向と政治動向は、日本株のみならず、世界の金融市場を大きく左右する大事なイベントですので、大統領選挙のアノマリーを検討しておきましょう。 スーパーチューズデーの結果と今後の日程 スーパーチューズデーでは、共和党ではドナルド・トランプ氏が7州で勝利を収めテッド・クルーズ氏の3州を圧倒しました。民主党では、ヒラリー・クリントン氏が7州で勝利、バーニー・サンダース氏の4州を押さえました。今後、6月までアメリカ各州で州選挙が行われます。そして、7月に民主党はフィラデルフィアで、共和党はクリーブランドで党大会を開いて、正式な候補者が指名されます。大統領選挙日は11月8日です。党大会後、大統領選挙日までは米国は大統領選一色になります。 大統領選挙の年はドルが強い さて「大統領選挙の年とその翌年はドルが強い」「中間選挙の年とその翌年はドルが弱い」というアノマリーがあります。1981年以降で検証すると、大統領選挙は8回あり、円高3回、円安5回でした。選挙の翌年は円高2回、円安6回。一方、中間選挙は9回あり、円高6回、円安3回。翌年は円高7回、円安2回でした。確かに「大統領選挙の年とその翌年」のドル高円安、「中間選挙の年とその翌年」のドル安円高のアノマリーはあるようです。 特に、前回の大統領選の2012年は、11年末の歴史的な円高の70円台から12年末には86円台まで円は反転して売られた印象深い年でしたので、市場関係者の間では、その記憶が強いのだと思います。   米大統領選挙の前年は株高 株価にも「米大統領選の前年は株高」というアノマリーがあります。現職の大統領が支持率対策として、景気対策などで株高を演出するからだと言われています。グラフは、1984年以降の大統領選挙の4年のサイクルを年ごとに分け、S&P500種株価指数の週次の動きを平均化したものです。 大統領選前年の株価は、中間選挙の年や大統領選挙の年と比較すると明らかに高くなっており、アノマリー通りの動きになっています。大統領選翌年の株価も堅調に推移しています。 一方、大統領選挙の年は、リーマンショックのあった2008年が含まれていることもあり、大きく上昇するような動きは見えません。 大統領が任期満了で交代の年は株が下げる 今回のオバマ大統領がそうですが、2期の任期を終えると3期目を勤めることは出来ません。この大統領の任期が終了し、大統領が替わらなくてはならない年だけに絞って比較してみると、面白いアノマリーが浮かんできます。 1928年以降の、任期満了で大統領が替わらねばならない年のS&P500種株価指数はマイナス4.0%のパフォーマンスとの調査があります。すべての大統領選挙の年の平均がプラス7.0%、大統領選挙の年以外の年の平均が7.5%ですから、明らかに大統領が任期終了の年のパフォーマンスは悪くなっています。(出典:MarketWatch) 株価対策をする必要がなくなり、支持率をあげるための政策を打つ必要がなくなるからなのでしょうか?まさに「アノマリー」という感じがします。 民主党政権の方が株は上がる また、77年以降の大統領在任中のS&P500種株価指数の騰落率を見ると、民主党政権下では平均プラス11.9%、共和党政権下では平均プラス4.3%と、民主党政権の方が株価は堅調だとする調査もあります。(出典:モーニングスター) 直近8回の大統領選挙の年の株価推移を見ると、民主党が勝利する年は、リーマンショックのあった2008年という異常事態を除いてみれば、安定的な株価推移になっていると言えそうです。共和党勝利の年はITバブルが崩れた2000年を除くと、年後半に堅調となる展開が多いです。 過去のアノマリーから見ると、民主党のクリントン氏が次期大統領になった場合の方が、中長期的に株価に好材料と言えるかもしれません。   編集:QUICK Money World

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インドネシア、成長率の改善続くか 金融緩和や景気刺激策に期待感

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのヘルミー・クリスタント(Helmy Kristanto)氏がレポートします。※本記事は2016年3月2日にQUICK端末で配信した記事です。 2015年第4四半期の国内総生産(GDP)成長率が予想を上回ったことを受け、同国資本市場への海外からの資金流入が回復し、ジャカルタ総合指数(JCI)と通貨ルピアを押し上げている。1月は資金流出純額が2兆3000億ルピアだったのに対して、2月は株式市場への資金流入額が4兆1000億ルピアに達した。当社はインドネシア中央銀行が景気回復に向けて一層の緩和政策を打ち出し、政策金利(BIレート)をさらに25ベーシスポイント引き下げて6.75%に設定すると予測している。 【上昇基調】 2015年第4四半期のGDP成長率が予想を上回ったことに加え、1月にインフラ関連分野への政府支出が順調に伸びたことで、株式市場が上昇基調に乗る下地が整った。1月の資金流出傾向から一転し、2月は資金流入が続いた。  今後についても、①インドネシア中銀の金融緩和政策、②ルピア上昇などを背景にした企業の2015年第4四半期業績の改善見込み、③政府によるさらなる景気刺激策の導入、④政府のインフラ支出の拡大――などが主なプラス要因となり、短期的に資金流入傾向が続く見込みだ。  ただ、金融監督庁(OJK)が銀行の預貸金利ざやに4%の上限を設ける方針を示していることから、政府の介入リスクに対する懸念が再燃する可能性がある。OJKの方針は、インドネシアの銀行部門全体を債務過剰に陥らせる危険性がある。 【景気刺激策を受けた海外直接投資(FDI)の拡大】 インドネシア政府は、国内の事業環境改善に注力する姿勢を維持している。この姿勢は、最新の景気刺激策に盛り込まれたさまざまな政策にも表れている。第10弾となる今回の刺激策では、主に国内外からの投資拡大に焦点を絞ると同時に、零細・中小企業や協同組合の保護策を強化した。第10弾の目玉の一つが、投資規制分野(ネガティブリスト)への外資による出資上限を引き上げたことだ。当社はネガティブリストの改定について、インドネシアの経済成長を促進するために不可欠とされる海外投資を加速させることが狙いだと考えている。 【政策金利はさらに引き下げられる見通し】 インドネシア中銀は2月18日に開かれた月例会合で、政策金利(BIレート)を25ベーシスポイント引き下げ7%にすると決定した。当社は燃料価格の下落や国内需要の鈍化を背景に2016年にインフレ率が低下する見通しであることから、今後さらに利下げが実施されると見込んでいる。インフレ圧力が弱まれば、中銀にとって金融緩和に向けた余地が生まれるだろう。当社は、本年中にBIレートがさらに25ベーシスポイント引き下げられ、6.75%に設定される可能性があると考えている。 【1月の業種別ばらつき】 1月の各業種の指標を見てみると、一部の業種では引き続き需要が2桁減を記録していることから、依然として需要状況にばらつきがあることが分かる。当社はかねてから需要の回復が明白になるのは今年後半になってからとの見解を示している。セメント販売量は1月に前年同月比4.4%増の510万トンに達した一方、自動車需要は軟調で、1月の四輪車の販売台数は9.5%減の3万9600台にとどまった。二輪車も同様で、1月の販売台数は15.3%減の28万7800台だった。一方、国営建設3社の受注残高は合わせて2兆5100億ルピアと、前年同月に比べ52%増を記録した。 【翻訳・編集:NNA】

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マイナス金利「株価にプラス」過半数 投資マネーは不動産・REITへ(3月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の3月調査を、3月7日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者160人が回答、調査機関は3月1~3日)。 日経平均株価は1月29日に日銀がマイナス金利の導入を発表した直後から下げ、2月12日に終値ベースで1万5000円割れ。その後は徐々に戻り基調となり、3月4日には終値ベースで1万7000円台を回復しました。 ただ、企業業績の先行きに対する不安感は完全に払しょくされない状態にあります。ドル円相場は現在、1ドル=113円台で推移していますが、このままの水準が3月末まで続けば、主力企業の2016年3月期決算は下振れが相次ぐ恐れがあります。 マイナス金利は「業績・株価にポジティブ」 希望的観測の側面も? マイナス金利が企業業績や株価に及ぼす影響は、どちらかというとポジティブに受け止められているようです。今回はマイナス金利が企業業績や株価に及ぼす影響を株式市場関係者に聞いてみました。 金融を除く企業の業績に、どのような影響があるのかについては、全体では「プラスの影響」が42%となり、「マイナスの影響」(17%)を上回りました。「影響しない」が42%に上り、この解釈は微妙なところですが、少なくともマイナスの影響が小さい点ではややポジティブな材料と受け止めても良いでしょう。 また、1年先を見通した場合の株価への影響については、「プラスの影響」が51%となりました。次に「影響しない」が29%。「マイナスの影響」は20%にとどまり、こちらは明確にプラスの影響が強いという見方が出ました。 ただ、回答の詳細をみると、いずれの設問についても運用会社といった「バイサイド」に比べて証券会社などの「セルサイド」の方が「プラスの影響」との回答が高い傾向がありました。多少なりとも希望的観測が含まれている可能性があることには、留意しておく必要がありそうです。 マイナス金利拡大の効果には疑問符も 一方、マイナス金利の幅を拡大していく方向性について、株式市場関係者はやや否定的な見方が多いようです。「早期に拡大した方がよい」は少数で全体の3%にとどまりました。「状況に応じて拡大した方がよい」が36%と比率では最多となりましたが、「これ以上の拡大は望ましくない」が35%、「マイナス金利自体を止めるべき」が22%を占めるなど、過半数はマイナス金利について効果を含め慎重な見方を示していることが分かります。 マイナス金利の導入は、手元に現金を置かず、早期のうちに投資などに回せというメッセージが含まれていますが、企業の設備投資意欲は後退しており、マイナス金利が導入されて即、企業が設備投資拡大に動くかというと、今のところは何とも言えない状態です。「マイナス金利の国の通貨は売られる」との経験則から円安が進み、輸出関連企業を中心に業績が回復すれば、株価にとってポジティブな材料になりますが、その円安もなかなか進まない状態です。これらの点から考えて、マイナス金利の導入が即、企業業績や株価にとってプラスになるかはなお予断を許さない状況といえます。また、効果がみられないからといって、すぐさまマイナス金利拡大を進めることには否定的な見方が多いことを示しています。 マイナス金利で「不動産・リート」への投資拡大か マイナス金利の導入によって、投資家の資金がどこに向かうのかについては、「不動産・リート」の回答が最も高く42%に達しました。次いで「外国債券」が21%、「国内株式」が13%で続きました。 マイナス金利導入で債券投資への魅力が徐々に低下するとみられるなか、利回り面で投資妙味が高い金融商品には投資資金が向かう可能性が高くなることを示唆しています。一方、投資マネーが一定の金融商品に集中すれば過熱感が高まることも避けられないため、相場動向を見極めながら今後は慎重な投資行動が求められる局面も訪れるでしょう。 為替が当面の注目材料 日経平均株価の見通しは、2月調査分に比べて、1カ月後、3カ月後、6カ月後のいずれも下方にシフトしました。3月末の予想は1万7103円と2月調査(1万7722円)から引き下げられ、3カ月、6カ月後は前回の1万8000円台から1万7500円前後となりました。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「為替動向」が2月調査の16%から今回は26%へと上昇しました。株価に及ぼす影響度を計る指数をみると、2月調査の52.5から43.1と分岐点の50を下回り、為替が株価にとってネガティブな材料になっているのが分かります。前述したように、現在の為替レートの水準が3月末まで続くと、為替差損によって企業業績が下振れする懸念があり、株式市場関係者は業績や株価にもこうした悪影響の織り込みを進めている可能性があります。 国内機関投資家の慎重姿勢強まる また、資産運用担当者69人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、全体の指数は2月調査の59.0から52.4へと低下しました。項目別では「かなりオーバーウエート」が2月調査の11%から4%へと低下。一方で「ややアンダーウエート」と「かなりアンダーウエート」が上昇しました。 また、当面のスタンスとしては、「現状を維持する」が2月調査の70%から75%に上昇。「やや引き下げる」が2月調査の11%から8%へと低下し、「かなり引き下げる」が2月調査の2%から0%へと低下しました。ただ、「かなり引き上げる」と「やや引き上げる」は変わらずで、資産運用担当者の株式組入に対するスタンスは、まだ慎重ムードが強い状態です。 なお、業種別の投資スタンスで、「オーバーウエートとアンダーウエート」のバランスをみると、2月調査に比べてオーバーウエートの比率が上昇したのが「素材」「建設・不動産」「通信」で、逆にアンダーウエートの比率が高まったのが、「公益」「金融」でした。一方、「鉄鋼・機械」は、2月調査のアンダーウエートからニュートラルになり、「自動車」「電機・精密」「消費」は、オーバーウエートからニュートラルになっています。

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香港市場、投資家のリスク回避進む 資金はディフェンシブ銘柄や金ETFに

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。※本記事は2016年2月29日にQUICK端末で配信した記事です。 2016年は大幅な下落からの出発 2016年に入り、世界の株式相場で下げ基調が続いている。香港株式市場の主要指数であるハンセン指数は2月12日に1万8279と、昨年末の終値(2万1914)比で16.6%安となる安値を付けた。足元では1万9300台を回復しているものの、年初からの下げ幅は12%近くに達している。一方、上海株式市場では上海総合指数が1月27日に2638の安値を付けて昨年末の終値(3539)比で25.5%下落した。 全体相場の下落に強みを見せる銘柄も 投資家たちのリスク許容度の低下に伴い、公益事業を手掛ける銘柄や不動産投資信託(REIT)、金価格に連動した上場投資信託(ETF)といったリスク回避の資産に資金が向かっている。公益事業銘柄では、長江基建集団(コード@1038/HK)、電能実業(パワー・アセッツ、コード@6/HK)、中電(コード@2/HK)がいずれも相場全体を上回るパフォーマンスで、年初からの上昇幅がそれぞれ10.0%、5.1%、4.0%に達している。  中でも、長江基建集団は英国や豪州、中国、カナダ、ニュージーランド、オランダで業務を展開。英国では電力事業(UK Power Networks 社とSea bank Power社)、水道事業(Northumbrian Water社)、ガス事業(Northern Gas Networks社とWales & West Utilities社)、鉄道事業(UK Rails社)、豪州ではガス事業(Australian Gas Networks社)や電力事業(SA Power Networks社とVictoria Power Networks社)など、中国では有料道路事業と建設資材事業、カナダでは電力事業(Canadian Power社)と駐車場運営事業(Park’N Fly社)、ニュージーランドでは電力事業(Wellington Electricity Lines 社)と廃棄物発電事業(Envirowaste Services 社)、オランダでは主に廃棄物発電事業(Dutch Enviro Energy 社)を手掛けている。長江基建集団が提示した電能実業との合併案は失敗に終わったが、同社の事業の安定性やディフェンシブ性から、株価パフォーマンスが良好だ。 REITや金ETFに資金流入 置富産業信託(コード@778/HK)も長江基建集団と同じく香港の大富豪である李嘉誠の傘下のREITだ。昨年末比ではプラスを維持しており、相場全体を上回るパフォーマンスとなっている。置富産業信託は香港域内の各地に小売関連物件を保有。保有資産には17カ所のマンションに付随するショッピングモールや商業物件があり、約318万平方フィートの小売店舗面積と2713台数分の駐車場を有している。保有物件の貸出面積のうち約60%がスーパーや飲食店、サービス業、教育関連など日常の必需品・サービスを取り扱う店舗に貸し出されているため、マクロ経済の周期的な変動に対して強いディフェンシブ性があるとされる。置富産業信託の2015年12月期の営業収益は前の期比13.7%増の18億8200万香港ドル、分配可能額が同13.3%増の8億8400万香港ドルだった。1口当たり分配金は0.4688香港ドルで、2月24日の終値7.96香港ドルに基づく利回りが5.9%だった。  リスク回避で金に資金が流れ込んでいることを受けて、香港証券市場で取引されているSPDR金ETF(コード@2840/HK)と価値黄金ETF(コード@3081/HK)が年初からそれぞれ16.6%、17.0%上昇した。SPDR金ETFは04年11月に組成され、ニューヨーク証券取引所やシンガポール証券取引所、メキシコ証券取引所へも上場している。一方、価値黄金ETFは10年10月に組成された、実物の金を取引所で売買するタイプの投資信託である。保有する金が香港空港管理局傘下の香港国際空港の貴金属倉庫に保管されており、他の地域の政治リスクの影響を受けにくい。価値黄金ETFは13年11月から2種類の通貨(香港ドルと人民元)で取引されており(人民元建てのコード:@83081/HK)、実物の金と交換できる。

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東南アジア地域の成長見通しに暗雲 実体経済に忍び寄る株価低迷

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はシンガポールの現地記者クリストファー タン シ(Christopher Tan, Si)氏がレポートします。※本記事は2016年2月24日にQUICK端末で配信した記事です。 世界経済の成長見通し引き下げ相次ぐ 眼力の鋭い投資家なら株式市場における動きが実体経済とは必ずしも連動していないことを知っているだろう。しかし、世界の株式相場が大きく調整していることを受け、各調査機関は世界経済の成長見通しを引き下げ始めており、今年は株価と経済の低迷に正の相関がみられそうだ。 世界の株式市場は、今年の年初より大波乱の展開となっており、特にアジアの株式相場の下落が最も深刻といえる。アジア地域の株価動向を示すMSCIアジア指数(日本除く)は、高まり続ける中国経済の先行きと原油供給に対する懸念に引きずられ、年初以降に約10%下落した。しかし、より心配なことは、市場の動揺が実体経済にも影響を及ぼし始めていることだ。複数の金融機関は、経済成長の鈍化を予測し始めている。 中国と深い関係にある国へ打撃 特に中国との関係が強い国々は、同国の成長鈍化と企業債務問題に対する不安から急激な生産活動の低迷に見舞われそうだとエコノミストらは予測する。中国との関係が強い国々には、インドネシアやマレーシア、タイなど東南アジア地域の主要国が含まれる。 アクサ・アセット・マネジメントは、今年の成長予測を2009年の世界金融危機以降で最低水準になると予測している。同社は、景気低迷を示すデータと厳しい景況感を踏まえ、2016年の世界国内総生産(GDP)成長率予測を従来の3.1%から2.7%に引き下げた。米国の景気後退や中国の深刻な不景気突入は現実的なリスクではないかもしれないが、世界で株式の売りを進める警告にはなる。 金融市場のプロは弱気 アクサ・アセット・マネジメントのファンドマネジャーは「ダウンサイド・リスクとしての景況感の悪化と、アップサイド・リスクとしての予想外の石油収入という世界のGDP成長に対するリスクは、今のところは何とか均衡を保っているようにみえるが、英国の欧州連合(EU)離脱(BREXIT=ブリクジット)や中国の政策変更、とりわけ欧州での銀行業界に対する再規制の好ましくない影響といったシステミックリスクにはより一層の注意が必要だ」と指摘した。 オランダ系金融ABNアムロ銀行も、経済成長予測の引き下げに同意し、今後の見通しについてより悲観的になってきているという。同社は「これは、現在も進んでいる景況感の悪化と市場の混乱、これまでの米ドル高によって引き起こされた不確実性の高まりを反映している。さらに、原油価格が生産業者と世界の製造業の重荷になり、貿易は低迷したままだ。最終的に米国の利益成長が鈍化し、雇用や投資判断にマイナスの影響を与える可能性がある」とみる。 英金融大手バークレイズは、今年のマレーシアの成長率が4.7%に鈍化すると予測している。これは、2016年の民間消費と民間投資がともに鈍化し、国内需要の低迷の影響を受けるとみているためだ。世界の地域ごとの成長見込みはますます統一性がなくなり、株式市場がすぐに強気な上げ相場に突入する可能性は低いとアナリストらは話した。 メイバンク・キムエン証券は、マレーシアにおける融資の増加が鈍化することを予測し、銀行など関連業界の格付けを「ニュートラル」とし、建設業界の格付けを「ネガティブ」とした。同社は「不動産需要は低迷し続けている。報告されている債務不履行の実態と競売にかけられる不動産件数の増加が厳しい状況を示している。売りに出された大量の不動産に需要が追い付くには時間がかかる」とみている。 【翻訳・編集:NNA】

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インドネシア、EC振興策を発表 100%外資参入の解禁へ

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。※本記事は2016年2月18日にQUICK端末で配信した記事です。   外資100%出資のEC参入を条件付きで許可…新しい試み インドネシアは、成長著しい電子商取引(EC)業界を支えるため、新たな振興策を導入する。政府は11日、財・サービスのオンライン取引の規制に関するロードマップを公表した。注目すべき点は、1,000億ルピア以上の投資であれば、外国企業のECへ100%出資による参入も認めたことだ。この動きは日本のソフトバンクが支援するECサイト運営大手「トコペディア」やインドネシアの複合企業リッポー・グループが出資するECサイト「マタハリモール・ドットコム」のような、既存の地場企業間の熾烈な競争をさらに激化させるだろう。 政府は時代の変化へ柔軟に対応 国内の業界団体であるインドネシア電子商取引協会(idEA)によると、バイクタクシー配車アプリを展開するGo-Jekのような新規事業の成長を支えるスマートフォンが国民に浸透することで、同国のデジタル産業は今年15億米ドルに倍増する見通しだ。インドネシアの通信・情報省の試算によると、ECプラットフォームを利用した取引は、2020年までに1300億米ドルに達するという。しかし既存の規制は、デジタル技術の急速な革新に対応するには、時代遅れのものとなってしまっている。ジョコ・ウィドド大統領は2009年にバイクタクシーは違法としたが、将来的な法改正で同サービスを許容するような方法を見つけ出すとし、政権にGo-Jekについて「見て見ぬふりをする」よう求めざるを得なかった。 財界要人も外資参入による競争激化を認容 ダルミン・ナスティオン調整相(経済)は、インターネット上での財・サービスの取引やデジタルデータ、送金に関する今後の全規制について、ECロードマップの中でガイドラインを設定すると説明した。政府と国内のデジタル産業の事業者が共同で作成したロードマップは、物流サービス、起業への融資、消費者保護、通信インフラ、ECビジネスに対する課税、人材育成、サイバー・セキュリティという7つの重要な課題に取り組んでいる。 ジョコ・ウィドド大統領は、ロードマップに法的拘束力を持たせるための大統領令を間もなく公布する予定だとダルミン調整相は話した。ECビジネスにおける外国人出資比率について、ダルミン調整相は「投資家は国内事業者とパートナーを組む必要はない」ことを意味すると話した。計画では、外国人投資家は(インドネシアの)国内事業を完全に支配下に置くことが可能となる。アマゾンやアリババといったEC分野の大企業はまだ、インドネシア国内に営業所を構えていない。 マタハリモール・ドットコムを傘下に持つ複合企業リッポー・グループのジョン・リアディ取締役は、EC業界への外資参入による競争激化を受け入れると話した。「我々は、ECに関する投資規制分野(ネガティブリスト)を解禁するという政府の計画を支持する」とジョン取締役はコメントした上で、インドネシアの物流システムを改善し、業界を支えるエンジニアをより多く育成するためにはより多くの投資が必要だと付け加えた。【翻訳・編集:NNA】

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