日銀の長短金利操作 「年内に調整」が5割近くに QUICK月次調査<債券>

日銀が現行の金融政策の修正に動くのではないか、との警戒感が市場で根強い。黒田東彦総裁がダボス会議で「粘り強く金融緩和を続ける必要性」を強調したにもかかわらず、市場では円高・ドル安が進んだ。市場は日銀の金融政策の方向性をどう見ているのか。1月の「QUICK月次調査<債券>」※では日銀の出口戦略について聞きました。調査期間は1月23~25日、回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者143人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 日銀のYCC調整「2018年後半」が39% 日銀は1月23日に開いた金融政策決定会合で、現行の大規模な金融緩和の維持を決めました。2%の物価目標の達成時期の見通しも「2019年度ごろ」のままで据え置きました。金融市場では、9日の国債買い入れオペ(公開市場操作)で、超長期ゾーンを対象とした国債の購入減額に踏み切ったため、日銀が近く緩和縮小に動くのではないかとの思惑が一部で浮上していました。 今後の日銀による金融緩和について、イールドカーブ・コントロール(YCC)の調整時期を聞いたところ、最も多かったのは「2018年後半」で39%、次いで「2019年」が27%でした。「2018年前半」も6%と、5割近くが年内にもYCCの見直しがあると予測しています。 一方、ETF(上場投資信託)買い入れ額の縮小時期を聞いたところ、最も多かったのは「2019年」で30%、次いで「2018年後半」が23%。「(買い入れ縮小時期は)こない」との回答も1割ありました。 市場参加者からは「世界景気の過熱と原油高が続き、インフレ加速により米長期金利の上昇基調が強まった場合は、円安が進み、YCCの調整(長期金利誘導目標の引き上げ)に動くと見る」、「春季労使交渉における賃上げ率が3%程度で着地した場合、政府はデフレ脱却宣言を行い、日銀も均衡イールドカーブの上昇を根拠に国債金利目標を少し引上げる可能性がある」といった声が聞かれました。 半面、「超長期オペの減額のみで強烈に円高になってしまっていることを考えると、そうそう出口を意識させるような行動を取りづらい。今の政策を続けていくことが一番可能性としては高い」という声をはじめ、黒田総裁が続投なら当面の政策スタンスに変化なしといった見方も少なくないようです。 国内債券に対する「ややアンダーウエート」が上昇 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは1カ月後が0.072%、3カ月後が0.086%、6カ月後が0.101%と、12月調査(0.055%、0.069%、0.090%)に比べていずれも上昇しました。今後6カ月程度で注目する債券価格の変動要因で最も多かったのは「短期金利/金融政策」が61%、次いで「海外金利」が20%でした。 資産運用担当者68人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が57%と5ポイント低下した一方、「ややアンダーウエート」が32%と8ポイント上昇しました。「ややオーバーウエート」(2%)は2ポイント、「かなりアンダーウエート」(9%)は1ポイント低下しました。

米税制改革で「小幅円安」70% 黒田総裁続投78% QUICK月次調査<外為>

今年も残すところ2週間。外国為替市場の担当者に聞いた「2017年の3大ニュース」は、1位が「北朝鮮リスク(ミサイル発射・緊迫化など)」、2位は「日経平均高値更新」、3位は「ビットコイン急騰」となりました。来年はどんな年になるでしょうか。12月の「QUICK月次調査<外為>」※では、2018年に向けての外国為替市場の注目材料や日銀総裁人事などについて、外国為替市場の担当者に聞きました。調査期間は12月11~14日、回答者数は72人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 米税制改革に独政権協議…為替への影響は? 米与党・共和党は15日に税制改革の最終法案を公表しました。懸案だった連邦法人税率は現行の35%から2018年に21%に下げることで決着し、週内にも両院で可決・成立する見通しとなっています。トランプ米大統領はかねてクリスマス前の成立を目指す意向を示し、法人減税は2018年を予定していました。改革案が成立した場合、円相場はどのようなトレンドになるかと聞いたところ、最も多かったのは「小幅に円安が進行する」で7割を占め、次いで「ほとんど反応しない」が19%でした。円高の予想は「小幅に円高が進行する」(7%)と「大幅に円高が進行する」(1%)を足しても1割に満たない結果となりました。 一方、ドイツでは13日、メルケル首相が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と第2党のドイツ社会民主党(SPD)の政権協議が始まりました。大連立で一致できるかが焦点ですが、政策の溝が深いため長期化も想定されており、交渉が決裂すれば再選挙突入のリスクもあります。交渉の行方について聞いたところ、最も多かったのはメルケル首相が目指す「大連立政権の樹立」で6割近くを占め、次いでシュルツSPD党首が選択肢のひとつとしている「閣外協力」で33%となりました。 また、2018年に向けて外国為替市場の材料として最も注目しているものは何ですかと聞いたところ、パウエル新体制となる「米連邦準備理事会(FRB)の金融政策」を半数が挙げました。次いで「米国の経済・通商政策」が16%、「ECBの金融政策」は12%、「日銀の金融政策」は10%でした。 市場関係者からは「来年以降の米利上げペースを模索するなか、2018年に投票権を持つ米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの発言が注目を集めよう」「FRB副議長などのポストはまだ空席のため、候補者の政策スタンスを巡る思惑で、短期的に相場が反応することも十分考えられる」といった指摘が聞かれました。 さらに「米国第一を標榜するトランプ政権は、対米貿易黒字国である日本の通貨がさらに減価することに難色を示し、口先介入を始める可能性がある」「欧州の景気の強さが一段と目立ち、ECBの量的緩和政策の終了と年末までに利上げ開始との思惑が高まると、ユーロ独歩高となる可能性がある」「トランプ・北朝鮮問題は2017年通年に渡り市場に影響を与えた要因であり、来年も引きずる」などの声もあがりました。 日銀の長期金利目標、来年変更の可能性は? 2018年4月の黒田東彦総裁の任期満了後、日銀執行部の新体制はどうなると予想しますか、と聞いたところ、総裁の後任は「黒田東彦・日銀総裁」の再任予想が78%で12月の債券調査と同じく圧倒的です。 副総裁も債券調査と同様に「雨宮正佳・日銀理事」が最多で66%、「中曽宏・日銀副総裁」は35%でした。次いで「伊藤隆敏・コロンビア大学教授」が25%、「本田悦朗・駐スイス大使」が21%となりました。 日銀は、2016年9月に長期金利をゼロ%程度に誘導する「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和」導入を決めましたが、物価上昇率目標の2%にはいまだ距離があります。では2018年末までに長期金利ターゲットを変更すると思いますかと聞いたところ、最も多かったのは「変更しない」で43%、次いで「明示せずに上昇を容認する」が35%でした。 12月の債券調査に比べても「変更しない」との予想が多い一方で「引き上げる」は減り、日銀が物価上昇目標に向けて粘り強い姿勢を続けるだろうとの見方が増えているようです。 市場関係者からは「基本的には、誰が総裁となっても基本的な政策の枠組みは変わらない」という見方が大勢ながら、株高や国内景気回復等を背景に、今後は日銀内で出口戦略への議論が強まるのではとの意見もあります。「日本とそれ以外の先進国とで金融政策の方向性が異なってきたが、それが世界経済や国際資金フローにどのような影響を及ぼすか注目したい」といった声も聞かれました。 12月末は1ドル=113円37銭 予想は円高方向にシフト 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは12月末の平均値で1ドル=113円37銭と、11月調査(114円01銭)から円高へシフトしました。3カ月後の2018年2月末には113円65銭、6カ月後の5月末には114円00銭との予想です。今後6カ月程度を想定した注目の変動要因は、円・ドル・ユーロすべて「金利/金融政策」で5割を超えています。 ファンドの運用担当者に外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、「ニュートラル」が78%から75%に低下した一方で、「オーバーウエート」が22%から25%に上昇しました。また、事業法人の業績予想の前提為替レートは平均値で1ドル=111円46銭と現在の水準(112円76銭~113円46銭)より円高に予想し、また対ユーロでは1ユーロ=124円70銭と現在の水準(133円15銭~133円65銭)より大幅に円高に予想しているため、為替差益が生じる可能性がありそうです。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

黒田日銀総裁の続投予想8割、副総裁は雨宮氏・伊藤氏か QUICK月次調査<債券> 

2018年は日米の中央銀行でトップが任期満了を迎えます。米連邦準備理事会(FRB)では2月にパウエル理事が議長に昇格する予定で、イエレン現議長が推進してきた緩やかな利上げ路線を継承するとの見方が優勢です。ただ、円相場や各国の株価に影響する18年中の利上げ回数や利上げの打ち止め時期などは不透明なままです。また18年4月が任期切れとなる日銀総裁人事はこれから調整が本格化するとみられます。12月4日公表の11月の「QUICK月次調査<債券>」※では、日銀総裁人事の行方や2018年の米追加利上げ、日銀の長期金利ターゲットなどについて聞きました。調査期間は11月28~30日、回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者142人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 来年の米利上げ予想「2回」が最多、時期は意見分かれる 米金融政策については、今後発表される雇用統計など主要な経済指標が予想を大幅に下回らない限り、12月12~13日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBは0.25%の利上げに踏み切るとの予想が大勢を占めています。一方、イエレンFRB議長は、2018年2月にパウエル次期議長が就任した時点で、理事ポストからも退任すると表明しており、ニューヨーク連銀のダドリー総裁も同年半ばに退任するため、FRB人事は大きく刷新され、パウエル体制への完全移行となります。それに伴う金融政策への影響が注目されています。 では、FRBは2018年に追加利上げを何回行うか、また何月に実施すると予想しますか、と聞いたところ、追加利上げ回数については「2回」が52%で最多となり、次に多かったのは「3回」で37%でした。時期(複数回答可)については「6月」が69%で最多でしたが、「3月」が58%、「12月」が56%、「9月」が50%と見方が割れました。 市場関係者からは、やはりパウエル次期議長はイエレン現議長の政策を踏襲するとの見方が強く、「緩やかな景気拡大に合わせた利上げを随時実施していくだろう」という声が大半を占めました。一方、「パウエル理事についてハト派的との見方が大勢だが、景気、賃金上昇率、インフレ率の上昇、上振れが続く状況の下、利上げペースは市場の想定を上回るものとなり、米金利は全般的な上昇をみせ、国内金利に対する上昇圧力をもたらそう」といった意見もありました。 また、FRBの追加利上げの終了時期はいつごろだと思いますか、と聞いたところ、最も多かったのが「2019年前半」で34%、次いで「2019年後半」が29%、「2018年中」が22%、「2020年以降」が15%で続きました。 欧州中央銀行(ECB)は11月26日の理事会で、2018年1月から毎月の資産買い入れ額を月600億ユーロから300億ユーロに減らしたうえで、2018年9月末まで量的金融緩和を延長すると決めました。では、その後、2018年内の政策はどうなると予想しますか、と聞いたところ、最も多かったのは「資産買い入れを減額して継続」で約7割を占めました。次いで「資産買い入れを停止」が27%、「マイナス金利を縮小する」が14%、「300億ユーロの買い入れを継続」が6%、「ゼロもしくはプラスに金利を引き上げる」が3%という結果でした。   黒田日銀総裁の続投予想が8割 日銀は、2016年9月から長期金利をゼロ%程度に誘導する「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和」を導入していますが、2%の物価上昇率目標にはいまだに距離があります。中曽副総裁は10月18日の講演で「必要であればイールド・カーブの形状についても調整を行っていく」と述べています。では、2018年末までに長期金利ターゲットを変更すると思いますか、と聞いたところ、最も多かったのは「明示せずに上昇を容認する」で38%、次いで「変更しない」が34%、「引き上げる」が26%と見方が分かれました。 また、2018年4月の黒田東彦総裁の任期満了後、日銀執行部の新体制はどうなると予想しますか、と聞いたところ、総裁の後任は「黒田東彦・日銀総裁」の再任が約8割を占めました。副総裁については「雨宮正佳・日銀理事」が66%と最も多く、次いで「伊藤隆敏・コロンビア大学教授」が34%、「中曽宏・日銀副総裁」が32%と続きましたが、「予想できない」といった声もありました。 市場関係者は「YCC微調整などの思惑が浮上している」ものの、「アベノミクス道半ばでの執行部交代による市場の混乱を避ける意味でも、再任の可能性が高い」と、安倍政権の長期安定化から黒田総裁続投の公算が大きいと見ています。「日銀体制も金融政策も大幅な変更はない」「国内長期金利は低水準で推移する」というのが大方の見方のようです。一方で「黒田総裁の年齢等を鑑みれば5年の任期を満了することは考えづらい」との指摘もありました。  債券価格変動要因、「短期金利/金融政策」の注目度が6割占める 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り低下を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.049%、3カ月後が0.066%、6カ月後が0.085%と、10月調査(0.066%、0.075%、0.090%)に比べていずれも低下しました。今後6カ月程度で注目する債券価格変動要因で最も多かったのは「短期金利/金融政策」が62%、次いで「海外金利」が20%でした。  資産運用担当者67人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が前回より6ポイント上昇の60%となった一方、「ややアンダーウエート」が33%で6ポイント低下しました。

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