円安追い風にコンセンサスDI回復 非鉄金属・鉄鋼・電機など見通し改善(10月)

製造業中心に業績見通しが回復 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年10月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス18となり、前月(マイナス27)から9ポイント改善しました。製造業DIはマイナス25と前月(マイナス38)から13ポイントの大幅改善となり、全産業DIの改善を牽引する形となりました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを示しています。なおマイナス幅は大きいものの、10月は2016年1月以来の水準まで回復しました。 全産業DIの過去1年の推移をみると以下の通りになります。 10月・・・・・・ 3 11月・・・・・・▲3 12月・・・・・・▲3 1月・・・・・・▲3 2月・・・・・・▲20 3月・・・・・・▲30 4月・・・・・・▲30 5月・・・・・・▲33 6月・・・・・・▲36 7月・・・・・・▲34 8月・・・・・・▲27 9月・・・・・・▲27 10月・・・・・・▲18 8~9月とマイナス27で足踏み状態になりましたが、10月に入ってからマイナス18と急改善しました。最悪だった6月のマイナス36から順調に改善傾向をたどっていますが、この背景には為替の影響があると思われます。 5月には1ドル=111円台を付ける場面もあったドル円相場ですが、6月に節目の100円を割り込むまで円高が進んだ事から製造業を中心に業況が悪化しました。しかし、9月下旬以降は再び円安に転じ、10月下旬には105円台まで円安・ドル高が進行。製造業を中心に業績の先行きに明るい兆しがみえ始めたことがコンセンサスDIの数字にも現れたといえそうです。 非製造業DIの足下は脆弱 次に、DIを製造業、非製造業の別でみてみましょう。昨年以降の製造業のDIは、 10月・・・・・・▲12 11月・・・・・・▲18 12月・・・・・・▲15 1月・・・・・・▲11 2月・・・・・・▲35 3月・・・・・・▲48 4月・・・・・・▲47 5月・・・・・・▲47 6月・・・・・・▲48 7月・・・・・・▲49 8月・・・・・・▲45 9月・・・・・・▲38 10月・・・・・・▲25 これに対して非製造業は、以下の通りです。 10月・・・・・・・20 11月・・・・・・・15 12月・・・・・・・12 1月・・・・・・・8 2月・・・・・・▲3 3月・・・・・・・1 4月・・・・・・▲1 5月・・・・・・▲9 6月・・・・・・▲18 7月・・・・・・▲15 8月・・・・・・▲7 9月・・・・・・▲15 10月・・・・・・▲10 製造業DIはマイナスが続いていますが、7月のマイナス49を底に、10月はマイナス25まで改善しています。一方、非製造業も改善傾向をたどっていますが、消費者物価指数は相変わらず低迷しており、足下はやや脆弱と見た方が良さそうです。 「不動産」「電機」など13業種のDIが改善 業種別のDIをみると、16業種中、プラスは5業種になりました。先月はプラス業種が「情報・通信」のみだったことから考えると、先行きの業績に対する期待値が高まっている業種が増えていることが分かります。 前月からのDIの動きを業種別にみると、以下のようになります。 ①ゼロないしマイナスからプラスに転換   ⇒「食料品」「医薬品」「非鉄金属」「建設」「不動産」  ②マイナスからゼロに回復   ⇒「鉄鋼」  ③プラスからゼロに悪化   ⇒「情報・通信」  ④マイナスが縮小   ⇒「化学」「機械」「電機」「輸送用機器」「小売」「サービス」「銀行」  ⑤マイナスが悪化   ⇒「卸売」「その他金融」 業種別にみても、改善の兆しを示す業種が多くなっています。上記では、①・②・④が改善の兆しをみせている業種であると考えられますが、それを合わせると合計で13業種が改善しています。 業績の上向く力が弱い 銘柄数の内訳は、「強気」が57銘柄で、「変化なし」が184銘柄、「弱気」が123銘柄になりました。3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップすると、下記のようになります。 <上方修正率の大きい銘柄> 1位 グリー(3632)・・・・・・・52.34% 2位 セガサミーHD(6460)・・・37.78% 3位 三井化学(4183)・・・・・・31.81% 4位 東芝(6502)・・・・・・・・29.32% 5位 任天堂(7974)・・・・・・・28.38%  <下方修正の大きい銘柄> 1位 ベネッセHD(9783)・・・▲ 100% 2位 新光電気工業(6967)・・・▲95.89% 3位 日本写真印刷(7915)・・・▲72.71% 4位 リコー(7752)・・・・・・▲56.28% 5位 セブン&アイHD(3382)・▲55.59% 上方修正率のトップ5と、下方修正率のトップ5を比較すると、上方修正率は全般的にそれほど高くありませんが、下方修正率の数字は1位のベネッセHDのマイナス100%をはじめとして、非常にマイナス幅が大きくなっているのが分かります。この比較感で言うと、一部に業績堅調な銘柄は散見されるものの、業績が上向く力は弱いということが言えそうです。

非製造業DIの悪化目立つ 業種別DI、プラスは「情報・通信」のみ(9月)

全産業DIはマイナス27で変わらず 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年9月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス27となり、前月と同じでした。前月まで2カ月連続で改善し、業績モメンタムの悪化に歯止めがかかり始めたとの見方もできますが、企業を取り巻く環境には依然として不透明要因も多いため、先行き業績に対する慎重姿勢は続いているようです。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 全産業DIの過去1年の推移をみると以下の通りになります。 9月・・・・・・ 10 10月・・・・・・ 3 11月・・・・・・▲3 12月・・・・・・▲3 1月・・・・・・▲3 2月・・・・・・▲20 3月・・・・・・▲30 4月・・・・・・▲30 5月・・・・・・▲33 6月・・・・・・▲36 7月・・・・・・▲34 8月・・・・・・▲27 9月・・・・・・▲27 6月時点でマイナス36まで下がったコンセンサスDIが、8月時点ではマイナス27まで改善しました。ただ、9月調査分もマイナス27で変わらず、やや足踏み状態です。9月初旬は1ドル=103円台だったドル円相場が、9月下旬にかけて100円台まで円高・ドル安が進んだことにより、主力大型株を中心に業績の先行きに対する懸念が浮上しました。 非製造業DIが悪化 次に、DIを製造業、非製造業の別で見てみましょう。昨年以降の製造業DIは、 9月・・・・・・▲5 10月・・・・・・▲12 11月・・・・・・▲18 12月・・・・・・▲15 1月・・・・・・▲11 2月・・・・・・▲35 3月・・・・・・▲48 4月・・・・・・▲47 5月・・・・・・▲47 6月・・・・・・▲48 7月・・・・・・▲49 8月・・・・・・▲45 9月・・・・・・▲38 これに対して非製造業は、 9月・・・・・・・25 10月・・・・・・・20 11月・・・・・・・15 12月・・・・・・・12 1月・・・・・・・8 2月・・・・・・▲3 3月・・・・・・・1 4月・・・・・・▲1 5月・・・・・・▲9 6月・・・・・・▲18 7月・・・・・・▲15 8月・・・・・・▲7 9月・・・・・・▲15 製造業DIはマイナスが続いていますが、7月のマイナス49を底に、徐々にではありますが改善傾向を見せています。一方、非製造業DIは6月にマイナス18という最悪の水準を付けたのち、8月にはマイナス7まで改善しましたが、9月は再びマイナス15へと悪化しました。物価上昇の気配がなく、消費者物価指数の上昇率が低下するなか、サービス業を中心にして価格を上げられない状況が続いており、業績見通しの悪化につながっているとみられます。 業種別DI、プラスは「情報・通信」のみ 業種別DIを見ると、16業種中、プラスになっているのは「情報・通信」のみ。0が2業種で、残りの13業種はマイナスでした。前月からのDIの動きを業種別に見ると、以下のようになります。 プラス値が低下・・・・・・「情報・通信」 プラス値が0に・・・・・・「建設」 0のまま変わらず・・・・・「医薬品」 プラス値からマイナス値へ・「食料品」「不動産」 マイナス値が改善・・・・・「鉄鋼」「非鉄金属」「電機」「卸売」「小売」「その他金融」 マイナス値が変わらず・・・「輸送用機器」 マイナス値が悪化・・・・・「化学」「機械」「サービス」「銀行」 8月調査分では、それ以前の結果に比べて業種別の数字は改善傾向にありました。しかし、8月の業種別DIがプラスを維持していた業種は5業種でしたが、9月調査分では1業種に減少。マイナス値が改善した業種も7業種から6業種に減り、マイナス値が悪化した業種が2業種から4業種に増えました。全産業ベースのコンセンサスDIが足踏みしているのも、こうした業種別DIの悪化を見れば納得が行きます。 グリーが46%上方修正率でトップ、下方修正トップはベネッセ 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。銘柄数の内訳は「強気」が57銘柄で、「変化なし」が187銘柄、「弱気」が169銘柄になりました。 <上方修正率の大きい銘柄> 1位 グリー(3632)・・・・・・・・・・・46.45% 2位 パイオニア(6773)・・・・・・・・・44.18% 3位 セガサミーHD(6460)・・・・・・・41.87% 4位 ソフトバンクグループ(9502)・・・・30.45% 5位 四国電力(9507)・・・・・・・・・・29.01% <下方修正の大きい銘柄> 1位 ベネッセホールディングス(9783)・▲100% 2位 日本写真印刷(7915)・・・・・・・▲73.88% 3位 神戸製鋼所(5406)・・・・・・・・▲50.86% 4位 不二越(6474)・・・・・・・・・・▲42.90% 5位 商船三井(9104)・・・・・・・・・▲41.50%

業績モメンタム悪化に歯止め? 食料品DIなどプラス拡大、化学・銀行はマイナス縮小(8月)

全産業DIはマイナス27に改善 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年8月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス27となりました。前月から7ポイント改善しました。同DIの改善は2カ月連続となります。絶対値をみると依然として企業全体の業績見通しは厳しいと言わざるをえませんが、米景気の拡大や政府・日銀の経済対策への期待といった下支え要因を背景に業績モメンタムの悪化に歯止めがかかり始めた可能性もありそうです。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 全産業DIの過去1年の推移をみると以下の通りになります。8月・・・・・・ 169月・・・・・・ 1010月・・・・・・ 311月・・・・・・▲312月・・・・・・▲31月・・・・・・▲32月・・・・・・▲203月・・・・・・▲304月・・・・・・▲305月・・・・・・▲336月・・・・・・▲367月・・・・・・▲348月・・・・・・▲27 8月は前月に比べて7ポイント改善しました。もちろんマイナス27ポイントですから、水準そのものは決して良いとはいえませんが、今年3~7月までマイナス値が30ポイント以上だったことを考えると、若干、悲観ムードが緩んできた感はあります。 業種別DI、10業種が改善 食料品などプラス拡大 化学・銀行はマイナス縮小 業種別のDIをみると、前月からDIが改善したのは16業種中10業種となりました。詳細は以下の通りです。↑プラス拡大・・・・「食料品」「建設」「情報通信」↑マイナス縮小・・・「化学」「鉄鋼」「輸送用機器」「卸売」「小売」「サービス」「銀行」―マイナスが横ばい・「非鉄金属」「機械」↓プラス縮小・・・・「医薬品」「不動産」↓マイナス拡大・・・「電機」「その他金融」 7月は「プラス拡大」セクターはありませんでしたが、8月は3業種でプラス拡大がみられ、かつマイナス拡大のセクターは、7月の5業種に対して8月は2業種に減少。マイナス縮小となったセクターは、7月の5業種に対して8月は7業種に増えました。マイナス縮小セクターでは、化学がマイナス56からマイナス11へと改善したほか、銀行はマイナス38からマイナス20となりました。多くの業種において、業績の先行きに対する見方がやや良くなってきたと考えられます。 次に、DIを製造業、非製造業の別でみてみましょう。昨年以降の製造業DIは、8月・・・・・・ 109月・・・・・・▲510月・・・・・・▲1211月・・・・・・▲1812月・・・・・・▲151月・・・・・・▲112月・・・・・・▲353月・・・・・・▲484月・・・・・・▲475月・・・・・・▲476月・・・・・・▲487月・・・・・・▲498月・・・・・・▲45 これに対して非製造業DIは、8月・・・・・・ 179月・・・・・・ 2510月・・・・・・ 2011月・・・・・・ 1512月・・・・・・ 121月・・・・・・ 82月・・・・・・▲33月・・・・・・ 14月・・・・・・▲15月・・・・・・▲96月・・・・・・▲187月・・・・・・▲158月・・・・・・▲7 製造業、非製造業ともに、DIのマイナス値が縮小しました。両DIともプラス転換ではないため、まだ予断を許さない状況であることに変わりはありません。しかし、DIのマイナス縮小は、少なくとも企業業績予想が最悪期を脱したことを伺わせます。 日経平均株価も8月3日には1万6083円まで下落していましたが、8月末には1万6887円まで回復してきました。ドル円相場が一時の1ドル=100円割れの水準から103円前後まで戻したことも、株価にとっては好材料になっています。 ただ、6月の日銀短観で明らかになった各業種の想定レートによると、自動車は109円13銭、電機は112円34銭などとなっていました。そのため、103円前後の為替レートは、特に輸出製造業にとっては厳しい水準にあると言わざるを得ません。 また、7月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合でマイナス0.5%と、6月のマイナス0.4%よりも悪化。食料・エネルギーを除く総合も6月の0.5%に対して7月は0.3%と、伸び率が鈍化しました。生産効率を上げにくい非製造業の場合、物価の下落は業績の悪化につながりやすいだけに、物価の上昇率低下は業績にとってネガティブ要因になります。 東芝の上方修正目立つが… 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。銘柄数の内訳は「強気」が48銘柄で、「変化なし」が129銘柄、「弱気」が131銘柄になりました。 <上方修正率の大きい銘柄>1位 東芝(6502)・・・・・・・・・・52.42%2位 ソフトバンクグループ(9984)・・42.58%3位 セガサミーHD(6460)・・・・・29.56%4位 中部電力(9502)・・・・・・・・28.74%5位 三井化学(4183)・・・・・・・・24.29% <下方修正の大きい銘柄、▲は減少>1位 日本写真印刷(7915)・・・・・▲76.15%2位 神戸製鋼所(5406)・・・・・・▲55.43%3位 SUMCO(3346)・・・・・・▲54.90%4位 不二越(6474)・・・・・・・・▲43.01%5位 四国電力(9507)・・・・・・・▲42.35% 2016年3月期に、連結ベースで4600億円の最終赤字を計上した東芝ですが、国内外で1万4450人にも達する人員削減を含む大幅なリストラ策により、16年4~6月期決算は改善しました。株価も一時は200円を割り込んでいましたが、徐々に回復し、320円前後で推移しています。ただ、リストラによって事業部門の売却も行っており、リストラ効果が終息した後の業績改善には不透明な部分があるのも事実です。

コンセンサスDI、マイナス幅が縮小 食料品DIはプラス転換(7月)

全産業DIはマイナス34に改善 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年7月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス34となりました。前月から2ポイント改善しました。とはいえ、絶対値をみる限り、企業全体の業績見通しは厳しい状況であることに変わりはありません。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 7月28~29日に開催された日銀金融政策決定会合では、上場投資信託(ETF)の買い入れ額が従来の年間3.3兆円ペースから6兆円へと引き上げられたほかは、特に大きく変わったものはありませんでした。事前には、ヘリコプターマネーやマイナス金利の深堀り、現在年間80兆円の量的緩和を100兆円まで拡大するなど、さらなる金融緩和への期待感が高まっていましたが、市場関係者にとってはやや期待外れだったのでしょう。金融政策決定会合の内容が報道されると、ドル円は再び円高に向かいました。また、物価水準も相変わらずデフレ気味に推移しており、マクロ環境は企業にとって、相変わらず厳しい状況が続いています。 物価上昇率の低下で非製造業の見通し厳しい 業種別のDIをみると、16業種中プラスだったのは4業種でした。前月からのDIの動きを業種別にみると、以下のようになります。プラス値が横ばい・・・・・・・・「不動産」プラス値が低下・・・・・・・・・「医薬品」「建設」マイナス値からプラス値へ改善・・「食料品」マイナス値からゼロへ改善・・・・「情報・通信」ゼロで変わらず・・・・・・・・・「その他金融」マイナス値が改善・・・・・・・・「機械」「電機」「卸売」「サービス」「銀行」マイナス値が悪化・・・・・・・・「化学」「鉄鋼」「非鉄金属」「輸送用機器」「小売」 次に、DIを製造業、非製造業の別でみてみましょう。昨年以降の製造業DIは、7月・・・・・・68月・・・・・・109月・・・・・▲510月・・・・・▲1211月・・・・・▲1812月・・・・・▲151月・・・・・▲112月・・・・・▲353月・・・・・▲484月・・・・・▲475月・・・・・▲476月・・・・・▲487月・・・・・▲49となっています。 これに対して非製造業DIは、7月・・・・・・178月・・・・・・179月・・・・・・2510月・・・・・・2011月・・・・・・1512月・・・・・・121月・・・・・・82月・・・・・▲33月・・・・・・14月・・・・・▲15月・・・・・▲96月・・・・・▲187月・・・・・▲15となりました。 製造業に比べて非製造業の方がマイナス値は小さいものの、数値的には決して良いものではありません。物価水準の低下は、生産性の向上が難しいサービス業にとって、業績の悪化につながりやすいのが上記の数値にも表れています。 消費者物価指数は、食料およびエネルギーを除く総合でも、対前年同月比で4月・・・・・0.7%5月・・・・・0.6%6月・・・・・0.4%というように徐々に上昇率が低下しています。この数値が上向いていかない限り、サービスを中心とする非製造業の業績に対する期待感は厳しい状況が続きそうです。 ベネッセHDの下方修正率大きく 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。銘柄数の内訳は「強気」が65銘柄で、「変化なし」が100銘柄、「弱気」が184銘柄になりました。 <上方修正率の大きい銘柄>1位 東芝(6502)・・・・・・・・・・98.18%2位 コスモエネルギーHD(5021)・・66.75%3位 中部電力(9502)・・・・・・・・47.28%4位 昭和シェル石油(5002)・・・・・35.51%5位 レンゴー(3941)・・・・・・・・29.17% <下方修正の大きい銘柄、▲は減少>1位 ベネッセHD(9783)・・・・・▲98.94%2位 ジャパンディスプレイ(6740)・▲80.33%3位 新光電気工業(6967)・・・・・▲76.79%4位 パイオニア(6773)・・・・・・▲75.71%5位 千代田化工建設(6366)・・・・▲68.19%

業績期待指数の悪化止まらず サービス業中心に非製造業が低迷(6月)

株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年6月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス36となりました。前月から3ポイント悪化し、マイナスは8カ月連続。国内景気の先行き不透明感などを背景に、引き続き、企業は厳しい収益環境に置かれているようです。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 今はやや落ち着いていますが、6月23日に行われたイギリスのEU離脱をめぐる国民投票では離脱が多数となりました。瞬間、外国為替市場では円が買われ、一時は1ドル=100円を割り込む水準まで円高が進みました。一時期のマーケットの混乱が落ち着いたとはいえ、現在のドル円は1ドル=102円前後。輸出企業の採算レートが1ドル=103円ですから、現状でもすでに輸出企業にとっては採算割れの水準にあります。業績見通しについて弱気の見方が多いのは、円高に原因があると考えられます。 デフレ色が強まり非製造業のDIが悪化 今回の特徴は金融と製造業のDIが下げ渋りを見せたにもかかわらず。全体のDIの下落が止まらなかったことです。原因を探るためにも、DIを製造業、非製造業の別で見てみましょう。昨年7月以降の製造業のDIは、 7月・・・・・・6 8月・・・・・・10 9月・・・・・・▲5 10月・・・・・▲12 11月・・・・・▲18 12月・・・・・▲15 1月・・・・・・▲11 2月・・・・・・▲35 3月・・・・・・▲48 4月・・・・・・▲47 5月・・・・・・▲47 6月・・・・・・▲48 これに対して非製造業は、 7月・・・・・・17 8月・・・・・・17 9月・・・・・・25 10月・・・・・20 11月・・・・・15 12月・・・・・12 1月・・・・・・8 2月・・・・・・▲3 3月・・・・・・1 4月・・・・・・▲1 5月・・・・・・▲9 6月・・・・・・▲18 前述の通り、輸出企業の採算レートを割り込む円高が進んでいることで、製造業の業績見通しは改善の兆しは見えない状況です。加えて深刻なのが非製造業で、今回調査のDIは、前回調査のマイナス9を大きく下回るマイナス18でした。 人手を機械やコンピュータに置き換えて合理化を進めるのが困難なサービス業にとって、物価の下落は収益性の悪化に即、つながります。7月1日に発表された5月の消費者物価指数は、食料及びエネルギーを除く総合で0.6%。2014年の年平均が1.8%だったのと比較すると、デフレに近づいている考えられます。物価に上昇の兆しが見えてこない限り、非製造業のDI悪化は避けられないとの見方もあります。 実際に業種別のDIを見ると、16業種中、DIがプラスを維持しているのは「医薬品」、「建設」、「不動産」の3業種で、前月と変わらず。「鉄鋼」は2カ月連続でマイナス100でしたが、今回調査ではマイナス75に改善。「サービス」が前回調査のマイナス5からマイナス34へと大きく悪化しました。 業績見通しは弱気銘柄の数が増加 銘柄数の内訳は、「強気」が63銘柄で、「変化なし」が123銘柄、「弱気」が205銘柄になりました。前月に比べて、弱気銘柄が大幅に増えています。 予想純利益率の上方修正率(3カ月前比)の高かった上位5銘柄は以下の通りです。 東芝(6502)・・・・・・・・・・・・・・・・・201.25% 中部電力(9502)・・・・・・・・・・・・・・52.40% 昭和シェル石油(5002)・・・・・・・・・35.51% レンゴー(3941)・・・・・・・・・・・・・・・25.50% ペプチドリーム(4587)・・・・・・・・・・23.96% 一方、下方修正率ランキングの上位5銘柄は以下の通りです(▲は減少)。 ベネッセHD(9783)・・・・・・・・・・▲98.94% ジャパンディスプレイ(6740)・・・▲81.37% パイオニア(6773)・・・・・・・・・・・▲79.20% 四国電力(9507)・・・・・・・・・・・・▲67.77% 日本郵船(9101)・・・・・・・・・・・・▲63.32%

業績期待指数は一段と悪化 電機など下振れ、医薬品は大幅改善(5月)

全産業DIマイナス33に悪化 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年5月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス33となりました。前月から3ポイント悪化し、マイナスは6カ月連続。国内景気の先行き不透明感などを背景に、厳しい収益環境に置かれている現状が浮き彫りとなる結果となりました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 4月調査時点では2カ月連続のマイナス30で下げペースがやや足踏みとなり、今後の流れが注目されましたが、5月調査ではマイナス33と悪化しました。マイナス幅が拡大したことによって改めて足元の企業業績の悪さが浮き上がりました。 気になるのは、雇用がタイトな割に物価がデフレ気味であることです。4月の完全失業率は3.2%と極めて低水準ですが、4月の消費者物価指数(CPI)は「食品およびエネルギーを除く総合」でみても、前年同月比で0.7%の上昇でしかなく、総合もしくは生鮮食品を除く総合ではマイナス0.3%と、むしろデフレ色が徐々に濃くなっているのが分かります。 2017年4月に予定されていた消費税率の8%から10%への引き上げは、2年半先延ばしになる公算が大きくなっていますが、本来、政府・日銀の当初の目算では現時点でCPIは2%の上昇率に乗せているはずで、それが未達であることに、日本経済の現状の厳しさがうかがわれます。 機械・電機DIなどマイナス値拡大 医薬品は大幅改善 業種別DIをみると、16業種中、DIがプラスを維持しているのは「医薬品」「建設」「不動産」の3業種。医薬品は4月調査のDIが0でしたが今回、プラス64へと大幅に改善しました。また、「その他金融」は前月と変わらず0です。残りの業種はすべてDIがマイナスで、それぞれの動向は以下のようになります。 ・マイナス値が悪化 ⇒「機械」「電機」「輸送用機器」「情報・通信」「小売り」「銀行」 ・マイナス値が横ばい⇒「鉄鋼」 ・マイナス値が改善 ⇒「食料品」「化学」「非鉄金属」「卸売」「サービス」 世界経済や円相場の動向が業績に左右する機械や電機・輸送用機器といった輸出関連企業の業績下振れ懸念が高まっています。また、鉄鋼は、4月調査と同様に5月もマイナス100に張り付いており、状況の厳しさがうかがわれます。 非製造業DIのマイナス値が拡大 次にDIを製造業、非製造業の別でみてみましょう。昨年5月以降の製造業DIは、 5月・・・・・・ 12 6月・・・・・・ 13 7月・・・・・・ 6 8月・・・・・・ 10 9月・・・・・・▲5 10月・・・・・・▲12 11月・・・・・・▲18 12月・・・・・・▲15 1月・・・・・・▲11 2月・・・・・・▲35 3月・・・・・・▲48 4月・・・・・・▲47 5月・・・・・・▲47 これに対して非製造業は、 5月・・・・・・・15 6月・・・・・・・16 7月・・・・・・・17 8月・・・・・・・17 9月・・・・・・・25 10月・・・・・・・20 11月・・・・・・・15 12月・・・・・・・12 1月・・・・・・・8 2月・・・・・・▲3 3月・・・・・・・1 4月・・・・・・▲1 5月・・・・・・▲9となっています。 製造業は3月調査のマイナス48を大底に、4月、5月はマイナス47でやや下げ止まり感が出ています。急激に進んだ円高が一服し、1ドル=110円近辺で推移していることから、輸出業種を中心に、目先の安心感が浮上しているようです。 ただ、気になるのは非製造業のDIが急速に悪化したことです。やや下げ止まったとはいえ、製造業DIはこの1年でみても最低水準です。このまま製造業の景況感悪化が長引けば、その悪影響は非製造業にも波及する恐れがあります。製造業、非製造業ともにDIの悪化が続けば、デフレ警戒感はさらに強まり、個人消費の悪化、CPIの下落、企業収益の悪化など、日本の経済情勢は一段と厳しさを増す恐れがあります。 東芝が上方修正率トップに 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。上方修正率トップは東芝でした。東芝は会計不祥事に伴う経営危機を受けて大規模なリストラを進めてきました。経営資源の集中を進める中、主力である半導体事業に対する再評価の機運が高まったことが上振れ期待につながったようです。 予想純利益率の上方修正率(3カ月前比)の高かった上位5銘柄は以下の通りです。 銘柄名              修正率 東芝(6502)・・・・・・・・・・・247.61% 小野薬品工業(4528)・・・・・・・ 35.05% 中部電力(9502)・・・・・・・・・ 28.46% 鹿島(1812)・・・・・・・・・・・ 26.64% エーザイ(4523)・・・・・・・・・ 24.37% 一方、下方修正率ランキングの上位5銘柄は以下の通りです(▲は減少)。 銘柄名              修正率 ジャパンディスプレイ(6740)・・ ▲53.12% エイチ・アイ・エス(9603)・・・ ▲52.15% 東京ガス(9531)・・・・・・・・ ▲46.62% イオン(8267)・・・・・・・・・ ▲46.34% ソニー(6758)・・・・・・・・・ ▲46.08%

業績期待指数、3年4カ月ぶり低水準 鉄鋼・輸送用機器など見通し悪化(4月)

全産業DIマイナス30、3年4カ月ぶり低水準 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年4月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス30となりました。前月と同じだったものの厳しい収益環境にあるのは変わらず、2012年12月(マイナス32)以来の低水準となりました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 4月の日銀金融政策決定会合では、事前に噂されていた、もう一段の金融緩和は行われず、市場では「ネガティブサプライズ」となりました。当面、マイナス金利の浸透度合いを見極めるという日銀のスタンスが明確になったことから、ドル円は一時1ドル=106円台まで円高・ドル安が進み、かつ日経平均株価も急落しました。各種経済指標を見ても、個人消費関連は停滞感が強く、企業の生産・出荷は一進一退が続いています。景気の先行き不透明感に加え、円が急伸したことから、企業業績の悪化懸念が強まっています。 鉄鋼や輸送用機器DIが悪化 プラス維持は建設・不動産のみ 業種別DIをみると、16業種中、かろうじてプラスを維持しているのは「建設」と「不動産」の2業種のみ。とはいえ、DI値は建設が低下、不動産は変わらずで、さえない状態です。またDI値が0の業種は「医薬品」と「その他金融」の2業種で、医薬品は3月のマイナス15から0へ改善。一方、その他金融は25から0へ悪化しました。 残りの業種はすべてDIがマイナスで、それぞれの動向は以下のようになります。 ・マイナス値が悪化 ⇒「食料品」「化学」「鉄鋼」「非鉄金属」「輸送用機器」「卸売り」 ・マイナス値が横ばい⇒「情報・通信」 ・マイナス値が改善 ⇒「機械」「電機」「小売り」「サービス」「銀行」 鉄鋼や非鉄金属、輸送用機器など海外経済の減速や円高進行が業績面での重荷になりやすい業種の見通し悪化が顕著となっています。 内閣府が発表した「平成27年度企業行動アンケート」によると、上場製造業の採算レートは1ドル=102円30銭となっており、現在の水準であれば採算割れにはなりません。しかし、4月1日に発表された日銀短観によると、大企業・製造業の2016年度の想定為替レートは1ドル=117円46銭。106円前後という水準が続けば、業績の下方修正が相次ぐ恐れがあります。 イオンの見通し悪化が目立つ 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。業績の下方修正率が最も大きいイオンは、アナリストの業績予想で「弱気」の見方が「強気」を上回っています。 予想純利益率の上方修正率(3カ月前比)の高かった上位5銘柄は以下の通りです。 銘柄名              修正率TDK(6762)・・・・・・・・・・64.45%小野薬品工業(4528)・・・・・・・60.97%日本板硝子(5202)・・・・・・・・59.82%鹿島(1812)・・・・・・・・・・・32.30%中部電力(9502)・・・・・・・・・31.49% 一方、下方修正率ランキングの上位5銘柄は以下の通りです(▲は減少)。 銘柄名              修正率イオン(8267)・・・・・・・・・▲65.16%ジャパンディスプレイ(6740)・・▲48.41%新光電気工業(6967)・・・・・・▲47.58%ファーストリテイリング(9983)・▲46.68%三井金属(5706)・・・・・・・・▲44.31%

業績期待指数5カ月連続マイナス 銀行DIは加速度的に悪化(3月)

この2カ月でコンセンサスDIが急速に悪化 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年3月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス30と5カ月連続のマイナスとなりました。2月末時点に比べ10ポイントの悪化となり、前月に続いて2012年12月(マイナス32)以来の低水準となりました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 企業業績に対する懸念の高まりは株価にも表れており、日経平均株価は3月末にかけて3日続落。さらに、名実ともに新年度相場入りした4月1日は、日銀企業短期経済観測調査(3月、日銀短観)が市場予想以上に悪化したことが投資家心理を冷やし、同日の日経平均は594円安と急落し、今年4番目の下げ幅を記録しました。ドル円相場は1ドル=112円台と、主要企業の想定為替レートに比べて円高に振れていることも輸出企業を中心に業績の先行き懸念を高める要因となっています。 製造業DIは2012年11月以来の低水準に 製造業の先行きに対する厳しい味方は、DIにも明確に表れています。製造業DIは、昨年秋口以降マイナス幅を広げてきましたが、ここ2カ月で悪化度合いが加速し、3月はマイナス48と2012年11月(マイナス50)以来の低水準となりました。 これに対して非製造業DIは2月、1年4カ月ぶりとなるマイナスに転じましたが、3月はプラス1とかろうじてプラス圏に浮上しました。日銀がマイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入し、今後の追加緩和観測もくすぶる中でこうした政策が追い風になると期待される不動産など一部内需関連の業績期待がで高まったことが一因です。 銀行DIが大幅悪化 プラス幅拡大は不動産のみ 業種別コンセンサスDIをみると、2月に比べてDIのプラス幅が拡大したのは「不動産」のみにとどまりました。マイナス幅が縮小したのは「機械」、「卸売」の2業種でした。一方、プラス幅が縮小したのは「建設」と「その他金融」の2業種で、プラスからマイナスに転じたのは「食料品」、「情報・通信」の2業種。マイナス幅が拡大したのは「化学」、「医薬品」、「鉄鋼」、「非鉄金属」、「電機」、「輸送用機器」、「小売」、「銀行」の8業種となりました。 マイナス幅が拡大した業種のうち、銀行は2月のマイナス15からマイナス79へと大幅にマイナス幅を広げました。これは世界的な金融危機の余波で不良債権処理や減損損失の計上などにより大手銀行が軒並み大幅な最終赤字(2009年3月期)に転落した時期と重なる、2009年5月(マイナス89)以来の低水準です。 今回のDI悪化は日銀によるマイナス金利の導入により、業績懸念が一段と強まったからです。10年物金利までマイナスになり、20年、30年という超長期金利まで低下傾向をたどるなか、イールドカーブのフラット化が進み、銀行は収益を挙げにくい状態になっています。 市況悪化で海運の業績期待が後退 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。 TDKはスマートフォン(スマホ)向け電池が好調であることに加え、合弁会社設立に伴う一時益である約1500億円の計上が、業績の押し上げ要因になりました。一方、川崎汽船は原油安によって燃料安というメリットはあったものの、バルチック海運指数の低迷ぶりからも分かるように全体的に海運市況が悪化しており、業績見通しが不透明になっています。こうした海運業の業績低迷は、世界的な景気の低迷による影響ともいえるでしょう。 予想純利益率の上方修正率(3カ月前比)の高かった上位5銘柄は以下の通りです。 銘柄名            修正率TDK(6762)・・・・・・・・・57.62%鹿島建設(1812)・・・・・・・・30.20%中部電力(9502)・・・・・・・・28.39%ニコン(7731)・・・・・・・・・28.35%小野薬品工業(4528)・・・・・・28.22% 一方、下方修正率ランキングの上位5銘柄は以下の通りです(▲は減少)。 銘柄名            修正率川崎汽船(9107)・・・・・・・▲72.13%東芝(6502)・・・・・・・・・▲50.51%ジャパンディスプレイ(6740)・▲49.48%三井金属鉱業(5706)・・・・・▲47.38%イビデン(4062)・・・・・・・▲43.52%

業績期待指数、3年2カ月ぶり水準に急低下 非製造業はマイナス転落(2月)

全産業ベースのDIが急落 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年2月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス20と4カ月連続のマイナスとなりました。 2015年11月から16年1月まで3カ月連続でマイナス3が続いていましたが、ここにきて一気にマイナス幅が拡大し、2012年12月(マイナス32)以来3年2カ月ぶりの低水準となりました。 DIの急速な悪化はそれだけ、業績見通しを下方修正するアナリストが増えていることを示しています。2月に入り一時1ドル=110円台まで一気に進んだ円高が輸出関連企業を中心にした業績の先行き不安につながっています。また、米アップルの「iPhone(アイフォーン)6」の販売不振を受けて電子部品関連の業績見通しも下方修正が相次ぎました。 銘柄数の内訳は「強気」が60銘柄と前月比30銘柄減、「変化なし」が184銘柄で変わらず、「弱気」も100銘柄で変わらずになりました。変化なし、弱気は前月と変わりませんでしたが、強気が30銘柄も減るあたり、企業業績は徐々に厳しさを増しつつあるようです。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 非製造業DIは1年4カ月ぶりマイナス転落 製造業DIはマイナス35と1月(マイナス11)から24ポイント悪化、水準としては2012年12月(マイナス46)以来の低水準となりました。 現在の為替レートは1ドル=112~113円程度。2月に付けた110円台からはいくぶん円安方向にはありますが、国内主力企業の想定為替レートが115~118円程度であることを考えると想定よりも円高水準であることは変わらず、この水準が続くと輸出関連企業にとっては業績悪化懸念につながります。世界経済の減速懸念など1~3月期は厳しい事業環境にあるとみられ、今後、業績のもう一段の下方修正を強いられる企業も出てくる可能性は高そうです。 一方、非製造業DIはマイナス3と2014年10月(マイナス10)以来、1年4カ月ぶりにマイナスに転じました。内需関連には円高や原油安などが仕入れコストの減少につながり業績に追い風になる企業もあるとの見方も成り立ちますが、最近は円安進行によるインバウンド(訪日外国人)の増加に伴う業績への恩恵を享受していた企業も少なくありません。国内の個人消費に力強さがみられないなか、インバウンド需要にも陰りがみえてくるようだと非製造業の見通しも厳しさが増してくる恐れもあります。 輸送用機器や化学の見通しが急速に悪化 業種別コンセンサスDIを見ると、1月調査に比べてDIのプラス幅が拡大したのは「食料品」「建設」「その他金融」の3業種のみでした。これに対して、「機械」や「電機」は1月調査から一段とマイナス幅が拡大。「化学」や「輸送用機器」などは1月調査のプラスからマイナスに転じ、それぞれマイナス33、マイナス58となりました。いずれも円高の影響を大きく受けたものと思われます。このほか、「医薬品」「小売」も1月調査のプラスから2月はマイナスに転じました。 電力会社の上方修正相次ぐ 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。 ユニーグループHDは下方修正率のトップとなりました。GMS(総合スーパー)の利益率悪化などが業績の足を引っ張っる構図となっています。一方、それとは逆に電力会社の上方修正が目立っていますが、これは原油やLNG(液化天然ガス)の輸入価格が大幅に低下したことによって、収益の改善期待が急速に進んでいることが要因のようです。 予想純利益率の上方修正率(3カ月前比)の高かった上位5銘柄は以下の通りです。 銘柄名           修正率中部電力(9502)・・・・・・・32.66%ニコン(7731)・・・・・・・・30.45%東北電力(9506)・・・・・・・28.76%東京電力(9501)・・・・・・・24.16%小野薬品工業(4528)・・・・・21.42% 一方、下方修正率ランキングの上位5銘柄は以下の通りです(▲は減少)。 銘柄名           修正率ユニーグループHD(8270)・▲99.58%川崎汽船(9107)・・・・・・▲83.06%東芝(6502)・・・・・・・・▲67.17%日本板硝子(5202)・・・・・▲52.55%住友金属鉱山(5713)・・・・▲43.90%

業績期待指数3カ月連続マイナス 非製造業の見通し悪化、銀行はマイナスに(1月)

業績期待指数3カ月連続マイナス 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年1月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス3と3カ月連続のマイナスとなりました。3カ月連続のマイナスは2014年5~7月(3カ月連続マイナス)以来、1年半ぶりです。 1月のDIは11~12月に続き同じマイナス3でしたが、DIのマイナスはアナリストによる業績見通しが下方修正優勢に転じたことを表し、株式市場の業績期待が弱まっていることを意味します。今回の特徴は12月に続き、製造業DIのマイナス幅がやや改善する一方、非製造業DIのプラス幅が縮小した点です。これまでDI全体を下支えしてきた非製造業セクターに対する先行き警戒感は一段と広がってきているようです。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 製造業DIは5カ月連続マイナス 非製造業の業績鈍化見通し続く 製造業と非製造業を比較すると、依然として製造業のDIが厳しくなっています。1月の製造業DIはマイナス11と12月から4ポイント改善したものの、5カ月連続のマイナスとなりました。今後の注目点としては、2016年3月期もそうですが、やはり来期以降の業績見通しでしょう。中国景気の減速や円相場の先行き見通しの不透明感など懸念要因は尽きません。ただ、日銀が1月の金融政策決定会合でマイナス金利の導入を発表しました。今後、1ドル=125円、130円というように、大きく円安が進むかどうかはまだ分かりませんが、市場関係者の間では円高進行に対する懸念はかなり後退したとの見方が出ているようです。今後は中国など海外経済の行方をより注視する必要が出てきそうです。 一方、気になるのが非製造業の行方です。DIは昨年9月のプラス25をピークに低下傾向をたどっており、1月はプラス8と昨年2月以来の水準まで低下しました。中国経済の成長率鈍化、景気の先行き不透明感、さらには習近平政権による中国国外における爆買い禁止令の影響で、中国からのインバウンド需要が後退するのではないかとの見方が、非製造業DIの低下につながる一因になったと考えられます。 DIプラス業種が減少 銀行はマイナスに転じる DIを業種別に見ると、16業種中、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回り、DIがプラスになっている業種は8業種と12月(9業種)から減少しました。一方、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回り、DIがマイナスになっている業種は7業種、上方修正銘柄と下方修正銘柄が同一でDIが0になっている業種が1業種でした。 さらに中身を細かくみると、プラス幅が拡大した業種は食料品や輸送用機器、情報・通信の3業種にとどまり、化学や不動産など5業種はプラス幅が縮小。非鉄金属や卸売はマイナス幅が拡大し、銀行はプラスからマイナスに転じました。銀行については、日銀のマイナス金利導入により、国債利回りの低下が銀行の収益を圧迫するとの懸念が広がっています。銀行は機関投資家のみならず個人投資家の多くが手掛ける人気セクター。業績懸念が広がると相場全体の値動きにも影響を及ぼす可能性が高いとみられ、今後の業績動向を注視する必要がありそうです。 スマホ向け部品の成長期待低迷でミスミが大幅下方修正 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。ミツミ電機は、主力のスマートフォン(スマホ)向け部品の成長期待剥落によって業績見通しが大きく弱気に傾きました。一方、小野薬品工業は、新規がん治療薬「オプシーボ」の販売好調が続き、前月に続いて業績見通しは大幅な上方修正となっています。 予想純利益率の上方修正率(3カ月前比)の高かった上位5銘柄は以下の通りです。 銘柄名           修正率小野薬(4528)・・・・・・・98.90%戸田建(1860)・・・・・・・49.72%ヤマダ電(9831)・・・・・・38.64%鹿島(1812)・・・・・・・・25.19%大林組(1802)・・・・・・・24.25% 一方、下方修正率ランキングの上位5銘柄は以下の通りです(▲は減少)。 銘柄名           修正率ミツミ(6767)・・・・・・▲56.02%セガサミーHD(6460)・・▲48.67%川崎船(9107)・・・・・・▲46.09%住友鉱(5713)・・・・・・▲37.48%日ケミコン(6997)・・・・▲36.45%

業績期待指数は2カ月連続マイナス…非製造業の先行き見通しに警戒(2015年12月)

業績期待指数2カ月連続マイナス 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2015年12月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス3と2カ月連続のマイナスとなりました。2カ月連続のマイナスは2014年5~7月(3カ月連続マイナス)以来、約1年半ぶりです。 12月のDIは11月と同じマイナス3でしたが、DIのマイナスはアナリストによる業績見通しが下方修正優勢に転じたことを表し、株式市場の業績期待が弱まりつつあることを意味します。今回の特徴は製造業DIのマイナス幅がやや改善する一方、非製造業DIのプラス幅が縮小した点です。全体のDIは変わらずでしたが、これまでDI全体を下支えしてきた非製造業セクターに対する先行き警戒感が示唆されたともいえる状況です。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 非製造業の業績期待の悪化が顕著に 全産業ベースのDIは2カ月連続のマイナスとなりましたが、今後の注目点としては、マイナス幅がさらに拡大するのか、それとも底を打って徐々にプラスに転じていけるかどうかでしょう。 12月は製造業DIがマイナス15と4カ月連続のマイナスとなりましたが、11月(マイナス18)からマイナス幅が縮小しました。一方、非製造業DIはプラス12となったものの、3カ月連続でDIは悪化しました。 全体のDIが底堅さを示すには製造業の業績懸念に底入れ感が広がると同時に非製造業の業績期待が続く必要がありますが、現状、景気にとってプラスの材料はさほど多くありません。2016年3月期は過去最高益を更新する見通しの企業が多いのは事実ですが、投資家の関心はすでに来期(2017年3月期)に向かいつつあります。 これ以上の米ドル高・円安は見込めるのか、そもそも米国景気は盤石なのか、原油価格急落による新興国・資源国景気の影響はどうなのか、という外部要因とともに、国内の個人消費は上向くのか、デフレからの完全脱却は可能なのか、といった国内要因にも目を向けていく必要があります。 現状、いずれの要因についても、追い風が吹いているとは言えない部分が多く、2016年の景気は踊り場を迎える可能性も意識されます。それが企業業績に反映されるリスクもそろそろ想定しておく必要がありそうです。 機械や電機への業績懸念続く 建設、小売、不動産は明るい見通し DIを業種別に見ると、16業種中、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回り、DIがプラスになっている業種は9業種。一方、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回り、DIがマイナスになっている業種は6業種、変わらずが1業種でした。 中身を細かく見ると、機械や電機のDIはマイナス幅が拡大し、製造業DIの重荷になりました。半面、鉄鋼や非鉄金属はマイナス幅が縮小したことで、製造業全体のDIの改善につながりました。 非製造業では情報・通信がプラスとなったものの4カ月ぶりに悪化、卸売はマイナス幅が拡大しました。一方、建設、小売、不動産などはいずれもプラス幅が拡大。政府・日銀の政策期待などを背景にこうした明るい業種の業績期待が継続するかが先行きの全体業績を占う上で重要なカギの一つになりそうです。 小野薬に業績期待、板硝子は下方修正懸念 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。3カ月前比で純利益の上方修正率が最も大きかったのは、小野薬品工業でした。免疫を利用した新規がん治療薬である「オプシーボ」の販売が好調で、業績が大幅に上方修正されました。一方、下方修正率が最も大きかったのが日本板硝子。スマートフォン液晶に使用する薄板ガラスの価格競争激化が業績低迷への警戒感につながったようです。 予想純利益率の上方修正率(3カ月前比)の高かった上位5銘柄は以下の通りです。 銘柄名             修正率 小野薬(4528)      101.27% 戸田健(1860)       54.92% ヤマダ電(9831)      43.09% トヨタ紡織(3116)      37.27% 大林組(1802)       28.74% 一方、下方修正率ランキングの上位5銘柄は以下の通りです(▲は減少)。 銘柄名              修正率 板硝子(5202)      ▲50.96% アドバンテ(6857)    ▲49.38% セガサミーHD(6460)  ▲49.03% 川崎船(9107)      ▲46.82% ミツミ(6767)       ▲45.23%

業績期待指数は3カ月連続悪化でマイナス転落..素材産業への懸念強い

業績期待指数は3カ月連続の悪化、ついにマイナスに転じる 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(11月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス3と、前月に比べて6ポイント悪化しました。DIの悪化は3か月連続で、マイナスに転じるのは2014年10月以来、約1年ぶりです。 DIがマイナス幅に転じたことは、アナリストによる業績見通しが下方修正優勢に転じたことを表します。それだけ、株式市場の業績期待が弱まりつつあることを意味しています。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 「過去最高益水準」の企業業績に物足りなさを感じる市場 今年6月のプラス17をピークにして、徐々に低下傾向をたどってきたQUICKコンセンサスDIが、ついにマイナスになりました。 確かに10月の日本の完全失業率は3.1%で、20年ぶりの低水準になりましたが、7~9月の国内総生産は2期連続のマイナスとなり、国内消費の改善も力強さに欠ける状況です。また、視点をグローバルに向けると、米国経済は堅調ですが、新興国経済の成長率が中国を中心に急減速しており、それが企業業績の足かせになっています。 メディアで報じられている通り、今期通期の企業業績は過去最高益水準にありますが、アナリストの業績予想が下方修正優勢ということは、市場の期待が高すぎたと考えられそうです。来期以降の企業業績についても弱気の見方が広まっており、今後の株価に及ぼす影響が懸念されます。 製造業のDIは前月のマイナス12からマイナス18へ悪化し、2013年1月以来の水準に落ち込んでいます。9月以降、製造業の業績期待が大きく後退しているのが分かります。市場では外需への不安から「鉄鋼」(マイナス43→マイナス100)や「機械」(マイナス24→マイナス34)といった世界景気に敏感な業種がマイナス幅を広げたほか、「化学」がプラス幅を縮めました(プラス33→プラス8)。鉄鋼の急激な悪化は、中国をはじめとする新興国経済のスローダウンが、業績に響いているものと思われます。 DI全体を下支えしてきた非製造業もプラス20からプラス15に悪化しました。 資源関連銘柄の業績下方修正懸念強まる 3か月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。3か月前比で純利益の下方修正率が最も大きかったのは、不正会計問題が発覚した東芝でした。神戸製鋼をはじめ、出光興産、JXホールディングス、三井金属など、鉄・非鉄および資源関連の業績下方修正が顕著という結果になりました。 まず、予想純利益率の上方修正率(3か月前比)の高かった上位5銘柄です。 銘柄名 修正率 大林組(1802) 49.85% トヨタ紡織(3116) 41.20% アダストリア(2685) 39.86% 鹿島建設(1812) 35.48% ヤマダ電機(9831) 34.45% 一方、下方修正率ランキングの上位5社は、次のようになりました。(▲は減少) 銘柄名 修正率 東芝(6502) ▲78.09% 出光興産(5019) ▲68.33% 神戸製鋼(5406) ▲64.44% JXホールディングス(5020) ▲63.25% 三井金属(5706) ▲60.61%

業績期待指数は2か月連続で悪化、製造業・非製造業ともに振るわず

業績期待指数は2か月連続で悪化 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(10月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス3と、前月に比べて7ポイント悪化しました。DIの悪化は2か月連続です。 DIのプラス幅が減少したことは、アナリストによる業績見通しの上方修正ペースが減速していることを表します。プラス幅は今年の最低水準になりました。それだけ、株式市場の業績期待が弱まりつつあることを意味しています。業績期待の鈍化を受けて、株式相場も様子見ムードが持続しそうです。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 製造業の業績懸念が強まる、非製造業への期待感も鈍化 DIを製造業、非製造業に分けて見てみましょう。 製造業のDIは前月のマイナス5からマイナス12に悪化しています。9月以降、製造業の業績期待が大きく後退しているのが分かります。ドル高が頭打ちになったこと、中国経済の不透明感が強まったことが、業績の上方修正が見込めなくなった原因でしょう。自動車メーカーを含む「輸送用機器」がマイナス4からマイナス7、「電機」がマイナス23からマイナス41と、主力の輸出企業が軒並み悪化しています。 これまでDI全体を下支えしてきた非製造業もプラス25からプラス20に悪化。非製造業のDIが悪化するのは9カ月ぶりです。 電力株の上方修正目立つ アナリストによる業績予想の平均値「QUICKコンセンサス」について、3か月前と比べた純利益の上方修正率が大きな銘柄のうち、上位5銘柄をピックアップしてみました。 銘柄名 修正率 アダストリア(2685) 69.83% ファンケル(4921) 54.99% 九州電力(9508) 46.54% 東京電力(9501) 33.10% トヨタ紡織(3116) 28.61% 一方、予想純利益率の下方修正率(3か月前比)ランキング上位5社は、次のようになりました。(▲は減少) 銘柄名 修正率 ニチイ学館(9792) ▲66.97% 日新製鋼(5413) ▲62.18% 神戸製鋼(5406) ▲59.26% UACJ(5741) ▲51.98% アドバンテスト(6857) ▲51.10% 引き続きアダストリアの上方修正率がトップ。同社は業績好調に加え、10月30日の引け後に発行済株式数の0.82%を上限とする自社株買いを発表しており、株価にとっては好材料になっています。また九州電力や東京電力などは、原油価格の下落が発電コストを抑制することから、業績にとってプラスに働きました。

業績期待指数、製造業がマイナス転落…昨年10月以来(9月調査)

市場の業績期待は減速…全産業DIはプラス幅が今年最低 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(9月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス10と、前月に比べて6ポイント悪化しました。 DIのプラス幅が減少したことは、アナリストによる業績見通しの上方修正ペースが減速していることを表します。プラス幅は今年の最低水準になりました。それだけ、株式市場の業績期待が弱まりつつあることを意味しています。業績への期待感の弱まりは、株式相場においても様子見ムードを強める材料となりそうです。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 製造業の落ち込み目立つ 注目すべきは製造業のDIがマイナス5(前月はプラス10)と、昨年10月以来のマイナスに転落したことです。証券会社のアナリストの業績予想が下方修正優勢になったことを示しています。製造業の業績に対する期待感が剥落しているのが分かります。 今年に入ってから製造業DIは徐々に落ち込んできましたが、特に9月は中国の株価低迷と景気懸念に加え、円安期待が後退し、輸出色の強い製造業の業績にとっては逆風の月となりました。 DIを業種別に見ると、「電機」「機械」「非鉄金属」「鉄鋼」と世界景気の影響を受けやすい業種がマイナス幅を拡大。プラス圏を維持していた「輸送用機器」もマイナス4に転落しました(前月はプラス27)。輸出型企業に対する風当たりは全体に強くなっています。 実際、ここ数日、中国関連とされていた機械・鉄鋼企業では、懸念材料が相次いでいます。日立建機(6305)は早期退職者の募集を始め、人員削減によってコスト構造の改革を推進すると発表しました。鉄鋼と建機を主力とする神戸製鋼所(5406)も2016年3月期の連結営業利益を下方修正し、一転して営業減益になる見込みだと発表しました。 一方、DIのプラス幅が拡大したのは、非製造業に分類される「建設」「情報・通信」「小売」の3業種のみです。非製造業全体のDIはプラス25と、前月に比べて8ポイント改善。全体を支える格好となっています。 鉄鋼関連が下方修正率上位に アナリストによる業績予想の平均値「QUICKコンセンサス」について、3か月前と比べた純利益の上方修正率が大きな銘柄のうち、上位5銘柄をピックアップしてみました。 銘柄名 修正率 アダストリア(2685) 112.77% アルパイン(6816) 88.93% 九州電力(9508) 36.92% 味の素(2802) 31.19% 三井化学(4183) 27.04% 一方、予想純利益率の下方修正率(3か月前比)ランキング上位5社は、次のようになりました。(▲は減少) 銘柄名 修正率 ニチイ学館(9792) ▲64.19% 日新製鋼(5413) ▲56.55% UACJ(5741) ▲49.18% JXホールディングス(5020) ▲38.64% 日本板硝子(5202) ▲37.41% アダストリアは業績好調。2016年2月期には増配も予定されています。アルパインは保有株式の売却による特別利益の計上が期待されていますが、中国向け輸出の落ち込みが業績に悪影響を及ぼす懸念が残っています。 一方、高齢社会で注目される介護ビジネスのニチイ学館は目下、人材不足の問題を抱えており、それが業績の圧迫につながっています。下方修正率の大きい銘柄上位は鉄鋼が多くを占めており、中国の景気低迷による鋼材価格の下落が影響していると思われます。

市場の業績期待指数、底堅さの裏に透ける「中国不安」(8月調査)

市場の業績期待は底堅い…全産業DIはプラス幅が微増 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(8月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス16と、前月に比べて1ポイント改善しました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 DIのプラス幅が増加したことは、アナリストによる業績見通しの上方修正ペースが加速していることを表します。 「機械」「鉄鋼」「卸売」などが悪化…中国懸念の影響か 製造業のDIがプラス6からプラス10に改善、金融もプラス60からプラス71に改善したことが、全体のDI改善に貢献しました。一方、非製造業はプラス17と前月から横ばいと、今年の改善基調が鈍っています。 製造業では「輸送用機器」が改善(プラス7⇒プラス27)しているほか、食料品や化学、医薬品の改善が目立ちました。一方「機械」がマイナス、つまり下方修正優勢に転じています(プラス43⇒マイナス5)。「鉄鋼」のマイナス幅も拡大(マイナス40⇒マイナス60)しました。 非製造業も「卸売」がマイナスに転じた(プラス10⇒マイナス11)ほか、不動産が伸び悩みました(プラス80⇒プラス45)。 8月後半の株式市場自体は波乱含みの展開となりましたが、コンセンサスDIの数値を見る限り、全体の企業業績期待は底堅く推移しています。とはいえ、業種によっては、中国経済への懸念が影を落としていると考えられます。 これから先を考えた場合、中国経済のスローダウンが気になるところです。中国政府としては、経済成長率7%を死守したいところですが、その可能性が徐々に低下している感があります。また、天津の爆発事件によって、中国でビジネス展開をしていた外国企業が、さらに中国ビジネスにコミットすることを敬遠する恐れもあり、その動向次第では、中国の経済成長率がさらに低下することも考えられます。 上方修正率の首位はアダストリア、下方修正率は資源系目立つ アナリストによる業績予想の平均値「QUICKコンセンサス」について、3か月前と比べた純利益の上方修正率が大きな銘柄のうち、上位5銘柄をピックアップしてみました。 銘柄名 修正率 アダストリア(2685) 87.45% 協和発酵キリン(4151) 28.31% 三井化学(4183) 27.68% 資生堂(4911) 24.50% 帝人(3401) 22.88% 一方、予想純利益率の下方修正率(3か月前比)ランキング上位5社は、次のようになりました。(▲は減少) 銘柄名 修正率 UACJ(5741) ▲50.81% LIXILグループ(5938) ▲39.65% 昭和シェル石油(5002) ▲33.01% 昭和電工(4004) ▲29.88% JXホールディングス(5020) ▲23.38% 純利益の上方修正率が最も大きかったのはアダストリア(2685)でした。同社はショッピングセンター内を軸にカジュアル衣料店を展開している会社で、2013年の商号変更前はポイントと名乗っていました。下方修正率トップのUACJ(5741)は古河スカイと住軽金が統合してできたアルミ圧延最大手です。 アダストリアは2014年2月決算で最終赤字になりましたが、2015年2月決算で黒字転換。2016年2月決算では黒字幅が大幅に拡大する見通しです。出店抑制、シンガポール店の完全撤退など、選択と集中を進めています。

電機の業績予想DIがマイナスに転落…全産業も悪化(7月調査)

全産業DIはプラス幅が縮小…業績期待がやや鈍る 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(7月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス15と、前月に比べて2ポイント悪化しました。4~6月の決算発表が本格化するなか、企業業績に対する市場の期待はやや減速しつつあります。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 DIのプラス幅が縮小したことは、アナリストによる業績見通しの上方修正ペースが減速していることを表します。 製造業が伸び悩む…「電機」はマイナスに転じる 製造業のDIがプラス13からプラス6に低下したことが、全体のDI低下に響きました。一方、非製造業は堅調。DIはこの半年間、改善を続け、7月末時点もプラス17と前月から1ポイント改善しています。 製造業では「輸送用機器」が改善(プラス5⇒プラス7)しているものの、「機械」(プラス61⇒プラス43)が伸び悩み、「電機」がマイナス、つまり下方修正優勢に転じています(プラス16⇒マイナス5)。 円安進行が一服したことから、輸出企業など円安メリットを享受する企業の業績再加速は期待薄となり、株価も一進一退が続いています。加えて、アベノミクスで強烈に経済を後押ししてきた安倍政権の支持率低下は、景気にとって決してプラスの影響は及ぼさないでしょう。 一方、改善が目立ったのは「化学」と「卸売」。「化学」はこれまでの原油安の恩恵を受けて一部製品の採算が改善しました。原油安による大手商社の業績悪化懸念から、昨年末以降、マイナス圏で推移してきた「卸売」は、ここにきてプラス圏に浮上しました。「小売」、「不動産」といった内需系業種も堅調を維持しています。 上方修正率2位にアダストリア、3位にキリンHDが登場 アナリストによる業績予想の平均値「QUICKコンセンサス」について、3か月前と比べた純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。 銘柄名 修正率 参天製薬(4536) 91.07% アダストリア(2685) 64.71% キリンHD(2503) 55.28% コスモ石油(5007) 47.27% 東燃ゼネラル石油(5012) 37.82% 逆に、予想純利益率の下方修正率(3か月前比)ランキング上位5社は、次のようになりました。(▲は減少) 銘柄名 修正率 ベネッセHD(9783) ▲80.51% ラウンドワン(4680) ▲79.85% ファンケル(4921) ▲60.25% ニチイ学館(9792) ▲48.63% LIXILグループ(5938) ▲46.52%

市場の業績期待、製造業・非製造業ともに微増(6月調査)

市場の業績改善期待は持続…全産業DIは2か月連続で改善 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(6月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス17と、前月に比べて1ポイント改善しました。4月末以降、2カ月連続で改善。企業業績に対する市場の期待は改善を続けていますが、勢いに減速感が見えてきました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 DIのプラス幅が拡大したことは、アナリストによる業績上方修正のペースが加速していることを表します。 製造業、非製造業ともに微増にとどまる 産業別でみると、製造業(プラス12→プラス13)、非製造業(プラス15→プラス16)ともに微増となりました。金融は、プラス57からプラス64に上昇しています。 業種別でみると、DIの改善が目立つのは「食料品」、「機械」、「銀行」で、「輸送用機器」は3か月ぶりにプラスに転じました。悪化が目立つのは「鉄鋼」です。また、「医薬品」や「卸売」は、マイナス幅を大きく縮小させています。 欧州経済の行方がカギ 2カ月連続でDIは改善の動きを見せたとはいえ、6月調査の改善幅はわずかなものにとどまりました。企業業績を見るうえで、欠かすことができないのは、やはり欧州情勢でしょう。ギリシャ情勢の混迷がユーロという通貨制度そのものに対する不信感を招く可能性もあり、市場もまだ手探りの状況です。 欧州情勢の混乱の先にあるのは、リスク回避通貨とみなされている円の買いです。アベノミクスの名の下、2年半に亘って異次元と言われた量的金融緩和が実施され、1ドル=76円台から一時は125円台まで円安が進み、それが製造業を中心にした業績回復につながってきました。リスク回避の円買いから再び円高が加速すれば、製造業の業績回復に頭打ち感が浮上します。 加えて、世界的な景気低迷は、日本の内需にも悪影響を及ぼします。特にここ数年、訪日外国人観光客が急増してインバウンド消費が拡大しました。欧州経済が混乱すれば欧州だけでなく、さらに中国など欧州経済と結び付きが深い新興国の経済にも悪影響を及ぼし、訪日観光客の減少を加速させることも考えられます。 当面、ギリシャ情勢と、それが欧州経済全般に及ぼす影響から、目が離せません。 参天製薬が上方修正率トップ 予想純利益率の上方修正率(3か月前比)ランキング上位5社は、次のようになりました。1位の参天製薬は、過去3期にわたって純利益が成長しています(2013年3月期が165億円、2014年3月期が171億円、2015年3月期が240億円)。 銘柄名 修正率 参天製薬(4536) 88.85% 出光興産(5019) 63.20% コスモ石油(5007) 46.00% マンダム(4917) 45.92% キリンHD(2503) 45.70% 逆に、予想純利益率の下方修正率(3か月前比)ランキング上位5社は、次のようになりました。(▲は減少) 銘柄名 修正率 ベネッセHD(9783) ▲80.50% 船井電機(6839) ▲69.10% パイオニア(6773) ▲68.35% ニチイ学館(9792) ▲52.62% 資生堂(4911) ▲47.38%

市場の業績期待が4か月ぶりに改善…製造業が持ち直す(5月調査)

業績上方修正ペースが再加速…全産業DIは4か月ぶりに改善 アナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(5月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス16と、前月に比べて5ポイント改善しました。今年2月以降は3か月連続でプラス幅が縮小していましたが、ようやく底を入れ、上昇に転じたようです。株式市場の企業業績に対する期待が持ち直し始めました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 DIのプラス幅が拡大したことは、アナリストによる業績上方修正のペースが加速していることを表します。 製造業と金融業が持ち直す、非製造業は引き続きしっかり 産業別でみると、非製造業が微増(プラス14→プラス15)にとどまったのに対し、製造業は前月調査分のプラス7からプラス12に上昇しました。また金融がプラス24からプラス57へ大幅上昇となり、全産業の数字を押し上げています。 製造業のコンセンサスDIが上昇したのは、5月中に進んだ円安の影響もありそうです。ドル/円は、5月1日に1ドル=119円台だったのが、5月下旬には一時、1ドル=124円台まで円安が加速しました。円安が進めば、輸出関連企業にとっては為替差益が見込め、それが業績を押し上げる要因になります。 業種別でみると、輸送用機器、食料品がマイナス幅を縮小させ、非鉄金属が大幅プラスに転じました。金融については、銀行もプラス幅を広げていますが、「その他金融」が大幅にプラス幅を拡大しました。一方、医薬品がマイナス幅を大きく拡大。鉄鋼が大幅マイナスに転じました。 今後の国内景気を見るうえで、さらなる円安の進行が個人消費に及ぼす影響は無視できないでしょう。今年の春闘では大手企業を中心にベースアップが行われましたが、今後、給料の引き上げが、円安にともなう国内物価の上昇に追い付けなければ、国内個人消費が落ち込む恐れがあります。 インバウンド需要は堅調ですが、国内個人消費の落ち込みを補えるとは、まだ言い切れません。2014年中の訪日外国人旅行者数は1300万人。2014年中の日本の個人消費は推計で293兆円とされる一方、2014年中の訪日外国人が、日本滞在中に使った旅行消費額は2兆305億円にとどまっています。もちろん、これらの数値は海外の景気動向に左右される面もあります。 ベネッセHDの先行きに厳しい視線 予想純利益の上方修正率(3カ月前比)ランキング上位5社は以下です。 銘柄名 修正率 出光興産(5019) 53.98% 任天堂(7974) 40.97% JDI(6740) 40.94% 長谷工(1808) 35.20% キリンHD(2503) 31.65% 4月調査分で上位5社に入っていた企業で、5月調査分でも修正率上位ランキングに5位までに入ったのはJDIのみです。また出光興産は原油価格の急落で、2015年3月期決算が赤字に転落。今期は原油価格が上昇しつつあることも踏まえて、大幅な業績改善が見込まれています。 一方、下方修正率ランキング上位5社は、次のようになりました。 銘柄名 修正率 ベネッセHD(9783) ▲80.65% 資生堂(4911) ▲45.49% 関西電(9503) ▲28.51% 武田(4502) ▲22.53% 国際石油開発帝石(1605) ▲21.85% 下方修正率トップとなったベネッセHDは、2015年3月期が最終赤字に転落しました。、2016年3月期に実施されるテコ入れ策などを受けた業績回復が期待されるところですが、市場は業績回復の先行きに厳しい見方をしているようです。

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