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どう見る金融庁の森改革①カブコム・齋藤社長「より大衆向けの金融政策に」

 金融庁が業界を大きく改革しようと動いている。就任2年目の森信親長官のもと、金融機関が顧客本位の運営をするように促し、公正な情報開示や私設取引所システム(PTS)の規制緩和にも動く。個人の金融資産を貯蓄から資産形成へと変えていく森改革を業界関係者はどう見ているのか。カブドットコム証券(8703)の斎藤正勝社長に聞いた。(QUICK端末で2016/12/09に配信された記事です) 「金融庁は相当な覚悟」 ――金融庁の足元での改革への動きをどう見ていますか。 「金融庁は相当な覚悟を持っているようだ。これまでの『貯蓄から投資』のフレーズを『貯蓄から資産形成』と変えた。既に資産を持っている人ではなく、これから資産を作ろうとする、より大衆向けの金融政策を考えているのだろう」 ――夜間の信用取引を私設取引所システム(PTS)で解禁する動きが出ています。 「個人投資家は2006年ごろまでは信用取引の利用は少なかったが、足元では1日の取引のうち4割がショート(空売り)の時もある。夜間で信用取引が可能になれば昼間に企業に勤める人たちも含めて株式の売買は活性化するだろう。FXの膨大な取引量を考えれば、株式でも夜間での信用取引の需要は大きい」 東証でも夜間の株式信用取引ができないと「違和感」 ――PTSの信用取引の解禁で東証との競争が激しくなるのでしょうか。 「PTSで夜間の信用取引ができる一方、東証で夜間取引ができない制度になるとすれば違和感が残る。東証でも夜間の現物株の信用取引も可能にして、希望する証券会社が夜間の取引に参加すれば良い。仮に東証の取引が時間延長されずPTSの夜間取引でも信用取引が可能となれば、個人投資家の間でも一気に人気がたかまるだろう。一方で昼間の取引で信用取引をPTSでも解放したとしても、個人にとってメリットは限られるのではないか」 ――東証の今後はどうなりますか。 「金融業界のグローバル化が一段と進めば『アジア時間』での取引を巡って、世界各国の取引所間で競争が激しくなる。現状でも日経平均先物の取引の需要の一部をシンガポールが獲得している。東証の競争相手は国内のPTSではなくシンガポールや上海、インドの取引所だ」 税金の仕組みを変える必要も ――金融庁は超高速取引(HFT)業者を登録制にする方針です。 「HFTを巡っては実体がよくわからない点が問題なのだろう。実際の売買でも、あたかも数千人が取引に参加しているような注文状況を演出しているようだ。当社の個人投資家からも『突然、注文が消えたりするので取引が怖い』といった声を聞く。このため『見える化』を進めるのは正しく、グレーな取引に対するけん制機能として働くことを期待している。ただ、全てのHFTが悪玉というわけではないと断っておきたい」 「良くも悪くもHFTの取引が減って流動性は小さくなるかもしれないが、『ストップ狩り』のような手法がなくなる可能性もある。金融庁の方針は市場に監視カメラを付けるようなものだ。事後チェックに過ぎない側面はあるものの、まずは現状を把握するのが大事だ」 ――金融事業者が社内で独自に売買注文を付け合わせる「ダークプール」の取引の存在感が増しています。 「ダークプールにおいて日経平均先物の売買が広がっている。現状でが東証やPTSよりもダークプールでの売買に対する規制が緩い。最もプロ向けであるダークプールの規制を厳しくする必要があるのではないか」 ――金融庁の改革で投資から資産形成の流れが強まるでしょうか。 「個人にとって投資がしやすい環境を作ろうとしているのは評価できる。また、投資から資産形成の流れを一段と進めるためには税金の仕組みを変える必要もある。キャピタルゲインとデリバティブの損益通算ができないのは世界でも日本だけだ。相続税でも株式より不動産が有利な現状を変えていくべきだ」 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

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トランプ勝利の予想が的中、運用成果も向上…フコクしんらい生命の林氏に聞く

 Brexitに米大統領選--。2016年は世界市場にとって驚きの連続だった。相場は深押しした場面もあったが、ひとまず年末に向け上げ基調を維持している。この荒波ともいえる展開にあって、重要イベントの結果を予見し運用成績を向上させている投資家の1人にフコクしんらい生命の取締役執行役員財務部長、林宏明氏がいる。なぜ予想外の結果を見通せたのか。運用状況も含めて話を聞いた。(※6日7:31にQUICKのオプショナルメニュー「QUICKデリバティブズコメント」に配信した記事と同じ内容です。) トランプ氏は資本主義に取り残された人の受け皿 --米大統領選が想定外の結果で終わりました 「トランプ氏の勝利は予想していた。驚きはなく必然だとも思っている。昨年にトランプ氏が立候補を表明した時点で確信は乏しかったが勝利を想定した。外部にも断言し始めたのは今年2月。共和党の予備選段階でジェブ・ブッシュ氏の撤退が決定打だった」 --予想を基にした運用状況はいかがですか 「円建ての国内債券を中心に運用し、昨年を上回る運用成果を上げることが出来ている。中長期的に円高方向の見通しを持っていることもあるが、トランプ大統領となれば、短期的には、米国を中心に金利が急上昇すると想定していたためだ。海外の投資をする前に日本にも投資妙味はまだある。例えば昨年は日本の超長期債を大量に買い込んだ。日本の潜在成長率、期待インフレ率、自然利子率のいずれもが0%だと見ているため、日銀のマイナス金利政策がなくとも、早晩、長期金利が0%近辺になるとのシナリオを数年前から持っていたからだ。これが現在も大きな利益を生み出している」 「米欧の債券相場はかなり不安定になるが、日本の場合は日銀の金融政策のアンカーが極めて強いため、せいぜい10年国債がややプラスになる程度だろう。そういう意味ではトランプ相場は追い風。通期でも運用益をしっかり出せる状況にある。日本には素晴らしい中小企業がたくさんあるし、インフラでも民間が関与することでより機能的で国民生活に資するものを造れる可能性が相当程度ある。今後、金融市場でそのような分野への投資が可能になる投資スキームが出てくることを期待している」 --そもそもトランプ勝利を予想した理由を教えてください  「グローバリゼーション、もしくは新自由主義の極まった世界になっていた。この世界的な政治の潮流を見極めることが重要だ。資本主義には放っておくと資本の効率をとことん追求する仕組みが内在する。資本を持っている人たちがより豊かになる仕組みでもある。そこで取り残された人たちが出てくるわけだが、これまでアメリカには受け皿がなかった。しかし今回、初めてアメリカ国民は受け皿を得ることができた。1つは民主党の候補指名をヒラリー・クリントンと争ったバーニー・サンダース氏。もう一方がトランプ氏だった」 「トランプ次期米大統領の誕生より、サンダース氏があそこまで善戦した方が驚きでありインパクトがあった。彼の登場により大統領選の本当の論点は『富の再配分』だったはずだ。米国の中で社会主義を標榜した候補者が支持を集めたことが象徴している。これがトランプvsクリントンの構図となり、女性蔑視などに論点がすり変わった。米国のエスタブリッシュメントにとってはトランプ勝利が結果的によかったのではないか。富裕層の資金を政府が再配分するといった可能性が低下したからだ」 「トランプ氏の当選を確信したのは、トランプ・サンダース現象とも言える潮流の中で、国民の不満の受け皿になると同時に、富裕層や法人の大減税や金融規制の撤廃を唱えるトランプ氏が実はエスタブリッシュメントや金融市場にとっても短期的にはかなり選好しやすい存在だったことである」 米国のTPP離脱は米のグローバル企業にとっても逆風 --トランプ氏の政策は依然として不透明です 「経済では財政が焦点。財政出動というのは富の再配分も意味する。進めるほど偏りが生まれ将来の選挙を左右する。リーマン・ショック後の政治は、この再配分が一段と複雑化した。これを敬遠し配分の必要がない中央銀行による金融緩和に軸足を大きく移した。今はこの揺り戻しが起きているが、財政による再配分を進めすぎても問題がある。トランプ次期米大統領がどこまでできるか未知数だ」 「もう一つは外交。個人的にはすでに第3次世界大戦的な様相を呈している側面もあると見ている。もちろん武力といったハードパワーによるものではなく表面上は各国とも友好的な外交関係を維持している。しかし、本来の戦争の目的である経済果実の奪い合いという面では、すでに徴税権や法的措置を使ったソフトパワーによりかなりの規模で始まっている。それを象徴するのが、米国が仏金融機関大手BNPパリバに課した89億ドル(約1兆円)もの罰金だった。一方、欧州ではグーグルなど米国のネット企業が独占禁止法で大規模に摘発される事例も出ている。この国際的対立軸の基本的構図は米国vs欧州であり、環太平洋経済連携協定(TPP)参加国vs欧中ロとなるかもしれない。各国の外交関係が錯綜しており、日本のようにどこの国とも極めて友好的な外交を展開している国もあるので単純な構図ではない。まだ、経済・金融でのパワーゲームの段階だろうが、そのパワーバランスの舵取りは極めて難しい局面に入っていることだけは間違いない」 「この状況でトランプ氏はTPPからの離脱を表明している。TPPはそもそも安全保障の色合いが濃い協定だ。共通のルールを守れない国や地域を排除する目的がある。基準をクリアできない国、たとえば中国やロシアなどだ。米国が離脱するなら、パワーバランスが一段と不安定化する。アップルやグーグルなど米のグローバル企業にとっても逆風になる」 「市場は金融規制の緩和を期待し銀行株を買っている。だが認識を間違っている。米国が緩和しても規制を強化している欧州は緩和する姿勢を示していない。欧州市場でビジネスをするには厳しい基準をクリアする必要がある。本当にグローバル金融機関の収益が改善するのか疑問がある」 「新政権で財務長官に就任するムニューチン氏は米経済が3~4%成長できるとした。しかし、米国は意図せざるインフレに直面するだろう。関税を高め自国内の生産比率を高めてもコストが膨らむ。それを補って余りある売上高の成長が可能なのか。ここにも問題がある。インフレの発生=金利上昇で学生ローンや自動車ローンでサブプライムの不良債権化が表面化するリスクもある。トランプ氏に託された期待が失望に変わる種がここにある」

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トランプ米大統領でリスクオン?リスクオフ? 来年のマーケット左右する要因に(12月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の12月調査を、12月12日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者75人が回答、調査期間は12月5~8日)。この間の為替レートは、対ドルが113円83銭~114円33銭。対ユーロが120円77銭~122円51銭でした。 トランプ氏の政策がマーケットを左右する要因に 米フェデラルファンド(FF)レートは、日本の無担保コール翌日物金利に該当するもので、米国の「政策金利」として知られています。同金利は2015年12月、それ以前の0~0.25%から0.25~0.50%に引き上げられ、現在に至っています。 2017年末、2018年末におけるFF金利の水準がどの程度になると予想するか聞いたところ、2017年末時点(ターゲットレンジの中央値)は単純平均で1.07%となりました。18年末時点は同1.47%でした。 今年最後となる12月13~14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利上げが確実視されていますが、これを前提に考えると16年末のFFレート(ターゲットレンジの中央値)は0.625%となり、17年は0.25%の利上げを2回程度実施するとみていることになります。同様に18年も2回程度の利上げを予想している計算になります。今後も緩やかではあるものの、米政策金利は上昇傾向をたどっていくと見ているマーケット関係者が多いのが分かります。 また、2017年の金融市場でリスクオン、リスクオフにつながるきっかけについて聞いたところ、リスクオンにつながりそうな材料としては、「トランプ米大統領」が66%で断トツのトップ。次いで「米金融政策」が8%、「中国景気」が7%となりました。 一方、リスクオフにつながりそうな材料については、「欧州の政治イベント(ブレクジット、各国選挙など)」が34%でトップ。次いで「トランプ米大統領」が31%、「中国景気」が15%となりました。 2017年の欧州の政治イベントについては、3月のオランダ総選挙、4月のフランス大統領選挙、6月のフランス国民議会選挙、8~10月にかけてのドイツ連邦議会選挙と目白押し。2016年6月の英国の欧州連合(EU)離脱に関連した国民投票や、12月の憲法改正に関連したイタリア国民投票で、既成政党が否定された点からも、EUおよびユーロという単一欧州体制に対する批判勢力が大きく力を延ばす結果になれば、為替市場においてユーロ売りが加速するなど、波乱要因になる恐れがあります。 また、トランプ次期米大統領については、リスクオンでもリスクオフでも、大きな材料になるとみられています。来年1月20日以降、トランプ氏が大統領に正式就任してから打ち出される政策次第で、マーケットが大きく揺れる可能性がありそうです。 ちなみに、トランプ次期米大統領が公約に掲げる経済・金融政策や通商政策は全体としてドル円相場にどのような影響を及ぼすか聞いたところ、「円安・ドル高要因」との回答が58%と、「円高・ドル安要因」(25%)を大きく上回っています。 3大ニュースのトップは「米大統領選挙トランプ氏当選」 2017年末にかけてのドル円相場の水準予想は、単純平均で1ドル=112.33円。円の最高値予想は104.71円、最安値予想は119.68円となりました。12月にかけてドル円は115円台を付けましたが、ここから先、120円、あるいは125円という円安水準を予想する声は少ないようです。 また、2016年の3大ニュースを聞いたところ、1位が「米大統領選挙トランプ氏当選」が94%を占めました。下馬評では、ヒラリー・クリントン氏の大統領当選を、ほとんど疑っていなかっただけに、マーケットに及ぼしたインパクトも非常に大きなものになっています。 次いで「英国EU離脱」が87%。これも、当初はEU残留派が多数と見られていたものの、いざ開票してみると、EU離脱派が多数を占めており、2016年における政治リスク浮上の嚆矢となりました。これによってユーロと英ポンドが大きく売り込まれたのも記憶に新しいところです。前述したように、2017年は欧州において政治の年になるだけに、投票の行方がマーケットにどのような影響を及ぼすのか、気になるところです。 そして3位は「日銀マイナス金利政策導入」でした。より金融緩和の方向性を打ち出し、株価や為替レートに強いインパクトを与えるつもりで導入したものの、結果は目論見とは逆に走り、トランプラリーが始まる2016年11月まで株安・円高が続きました。マイナス金利の効果については賛否両論ありますが、マイナス金利の効果は乏しかったとみている市場関係者は多いようです。 政治/外交の注目度上がる ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の1ドル=104円91銭に比べて大幅に円安・ドル高の113円39銭になりました。113円台になったのは9カ月ぶりのことです。ただ、6カ月後の5月末時点では112円68銭が予想されており、1カ月後の予想値に比べると円高・ドル安水準になっています。今はトランプラリーで円安・ドル高が進んでいますが、この勢いが続くのも今後の政策次第という不透明な部分があるからと考えられます。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「政治/外交」が前月比6ポイント上昇の29%となる一方、「当局の姿勢(介入含む)」が14ポイント低下の44%となりました。ドルについては「政治/外交」が7ポイント上昇の64%、欧州は「政治/外交」が29ポイント上昇の56%になる一方、「金利/金融政策」が12ポイント低下の38%、「物価動向」が11ポイント低下の0%になりました。ドルとユーロについては、政治が今後の動向を大きく左右することが分かる結果になっています。 市場参加者はドルに強気に ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前月の70%から44%へと急落する一方、「オーバーウエート」は20%から44%へと大幅に上昇しました。それだけマーケットについて強気になったということです。 また、為替ヘッジに対する当面のスタンスについては、「ヘッジ比率を上げる」が0%になったのに対し、「ヘッジ比率を下げる」が20%から33%に上昇しました。急激に円安が進んだため、市場参加者の心理が大きく変わったことが分かります。

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12月の株主優待銘柄はマックやアサヒなど、お馴染みの飲食関連が目白押し

  株主優待って? 株主優待は企業から株主へのプレゼントです。企業が自社のPRや個人株主の獲得を目的に実施している制度です。自社で商品やサービスを提供している場合はこれらを、そのほかは実利的なQUOカードやお米券といった商品券を贈呈するケースが多いようです。同制度を導入している上場企業数は過去最高の1339社と、全体の4割に迫る勢いです(11月25日時点)。プレゼントのため、優待にかかるコストは企業が負担し、一般に交際費として経理処理しています。     12月の優待銘柄を探る、3泊の韓国旅行も登場 3月に優待の権利を付与する企業が731社と最も多く、次いで9月の392社、12月の152社と続きます。12月は社数が多いため、各社の優待内容をいろいろ比較して選ぶ楽しみがありそうです。特にアサヒグループホールディングス(2502)やキリンホールディングス(2503)といった大手ビールメーカーのほか、山崎製パン(2212)、コカ・コーラウエスト(2579)、日本マクドナルドホールディングス(2702)など消費者に馴染み深い飲食関連が目立ちます。優待はいずれも自社製品のため、これらの商品や店舗をよく利用する人にはメリットがありそうです。   <12月の株主優待銘柄一覧表(最低購入金額の昇順)>   最近の優待制度の傾向として、長期保有の投資家には優待内容を手厚くするケースが増えています。例えばコカ・コーラウエストの場合、100株以上500株未満の保有で同社の商品に交換可能な45ポイントが付与されます。1ポイント=60円相当のため、2700円程度です。しかし3年以上保有している投資家には30ポイントが上乗せされ、75ポイント=4500円にアップします。長期保有の株主を増やして株価を安定させることが狙いといえます。 食品以外でニューフェースを挙げると、リチウムイオン電池の部材を扱うダブル・スコープ(6619)が11月上旬に株主優待制度の導入を発表しました。内容は抽選で5名(同伴者各1名の合計10名)を同社の韓国工場見学に招待するというもの。往復航空券や3泊4日の宿泊費用、移動の費用も同社が負担。1日を工場見学とし、他の日は自由行動のため、観光も十分楽しめそうです。ただ、権利を得られるのは1年以上継続して保有している株主に限られます。   実質利回りを活用し高利回り銘柄を発掘しよう まずは優待制度を実体験したい人の場合、投資金額を抑えるのも一つでしょう。10万円以下で購入できる銘柄は42銘柄ほどあります(11月25日時点)。ただ、投資金額が低い銘柄の中には業績が低迷して株価が下落しているケースも散見されるため、投資金額だけで判断するのではなく業績なども踏まえて総合的に判断すべきです。 例えば、楽天(4755)の最低投資金額は11万7150円(25日時点)と10万円を若干オーバーしますが、QUICKコンセンサスによると同社の16年12月期、17年12月期の連結決算はともに2ケタの増収・営業増益の見通しと好調です。 また、「実質利回り」という指標を用いて選別する方法も有効です。この指標は優待の内容を金額換算し、これに配当利回りを加算したものです。では実際に楽天の例を用いて計算してみましょう。同社の2016年の優待内容はまだ公表されていないため、前年の実績値を用います。下表を見ると、現金に換算が可能な項目は黄色の部分で合計8300円になります。QUICKコンセンサスによると1株あたりの予想配当金は4.83円、最低投資単位の100株購入すると483円のため、実質利回りは7.5%になります。11月25日時点の東証1部の予想配当利回り(加重平均)2.01%を大きく上回ります。   <実質利回りの計算式> (優待額8300円+年間予想配当額483円)/最低投資金額11万7150円×100=7.5%   <2015年12月に権利確定した楽天の優待内容>   12月の優待を受け取るには さて、ここからは優待銘柄を取引するうえでの技術的な注意点です。優待の権利を得るには期日があり、権利確定日に株主名簿に名前が記載されていなければなりません。記載されるには「権利付最終取引日」という、権利確定日を含む4営業日前までに希望銘柄を購入しておく必要があります。12月30日が権利確定日の場合は27日が権利付最終取引日です。加えて、先ほどの韓国の工場見学を贈呈するダブル・スコープなど、銘柄によっては1年間保有することを条件にしているタイプがあるほか、年に複数回、優待を実施する銘柄もあるため、各社のホームページなどで情報を確認してください。 優待を受けるには現物株を購入する必要があり、信用取引では得られません。ちなみに、 優待マニアの中には「つなぎ売り」という投資手法を利用し、株価の下落を抑えて優待のうまみだけを享受しようとする投資家もいます。この手法は同一銘柄の現物株の買いと信用の売り(一般信用)を寄り付き前に同株数、成り行きで発注するというものです。こうすることで同じ価格で約定させることができるため、株価が変動しても損益は発生しません。ただ、信用取引をする際は専用口座を開設する必要があるうえ、取引には手数料が発生します。   優待裏事情 株主優待がこれほど活発に実施されているのは、日本だけといわれています。諸外国では優待にコストをかけるならば、利益成長のための設備投資や、配当で還元した方が合理的との考えがあるためです。国内においても持ち株数や内容に応じて株主を平等に扱わなくてはならない「株主平等の原則」(会社法109条1項)の観点から優待制度に異論を唱える向きもあります。この原則を順守するならば「保有株数に比例した優待を得られるはずだが、現状は一定数に応じた対応がなされていない」との考え方があります。例えば100株超の保有で1000円分のQUOカードを贈呈する場合、保有株数が5倍の500株になればQUOカードも5000円になるはずですが、実際は500株超で3000円など一定数を基準にしている、という指摘です。こうした考えを踏まえ、上場企業の中にも優待制度より配当に重点を置いた海外方式に切り替えるケースもあります。       また、個人投資家にとっては嬉しいプレゼントですが、機関投資家にとっては少々異なるようです。投資信託協会の「投資信託等の運用に関する規則(2015年7月)」の第10条には株主優待物の取り扱いがルール化されています。これによると、運用会社は信託銀行と協議したうえで換金可能な商品券などは換金して信託財産に組み入れているとのことです。換金不可能な商品は一時保管後に廃棄、もしくは、さわかみ投信のように慈善団体に寄付するケースもあるようです。機関投資家の場合、優待よりも配当金で還元してほしい、というのが本音でしょう。 1月に優待の権利が確定する銘柄は32銘柄と12月より大幅に減少しますが、2月は138銘柄、3月は731銘柄に増加します。3月には新規公開株式(IPO)として10月に上場したJR九州の優待もあります。株主優待制度の是非については意見が分かれるところですが、企業がこの制度に注力しているのか、それとも配当での還元や利益成長を重視しているのか、株主に対する企業の姿勢が垣間見れるため、投資材料の一つとしても活用できそうです。   (編集:QUICK Money World)    

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来年の日経平均2万円超え難しい? 製造業DIは横ばい(12月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している12月のQUICK短観(11月22~12月4日調査分、上場企業414社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス14と、前月調査と同じでした。非製造業DIも前回と同じプラス30となりましたが、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ1ポイント改善のプラス24となりました。 QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性もみられるため、市場関係者にも注目されています。日銀短観は四半期に1度の公表ですが、QUICK短観は毎月調査・公表されているため、企業の景況感を見るうえで、各月での動きを細かく読み取ることができます。 12月の日銀短観は上昇か? 製造業の業況判断DIは10~12月と3カ月連続同じ数字で足踏みとなりました。前述したようにQUICK短観は、3カ月に1度の頻度で行われている日銀短期経済観測調査(日銀短観)に先行した動きをみせる傾向があります。12月の数字が出たことによって、12月の日銀短観がどの程度の水準になるのかを予測しましょう。 製造業の業況判断DIは、10月、11月、12月とプラス14で推移しました。つまり3カ月間の平均値はプラス14です。ちなみにこれまでの3カ月平均は、次のようになります。 2014年10~12月・・・プラス21 2015年1~3月・・・プラス16 2015年4~6月・・・プラス21 2015年7~9月・・・プラス24 2015年10~12月・・・プラス16 2016年1~3月・・・プラス9 2016年4~6月・・・プラス8 2016年7~9月・・・プラス8 2016年10~12月・・・プラス14 今年は年初から低迷を続けた製造業DIでしたが、10~12月期は7~9月期のプラス8から6ポイント改善してきました。 これに対して、日銀短観の大企業・製造業の業況判断DIがどのように推移したのかというと、 2014年10~12月・・・プラス12 2015年1~3月・・・プラス12 2015年4~6月・・・プラス15 2015年7~9月・・・プラス12 2015年10~12月・・・プラス12 2016年1~3月・・・プラス6 2016年4~6月・・・プラス6 2016年7~9月・・・プラス6 2016年10~12月・・・???? こちらも2016年1~3月期以降はプラス6で低迷していましたが、QUICK短観の業況判断が改善したことを考えると、12月の日銀短観はある程度の上振れが見込めそうです。 円安による仕入価格の上昇を販売価格に転嫁できず 生産・営業用設備の現状について、全産業ベースの「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、前月に比べてやや不足感が後退。2ポイント改善してマイナス3となりました。 雇用人員について、「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、全産業ベースでマイナス32でした。こちらも前月に比べて不足感がやや解消されています。 販売価格と仕入価格の現状は、「上昇」から「下落」を差し引いた販売価格DIについては金融を除く全産業でマイナス6となり、前月に比べて2ポイントの上昇。対して仕入価格DIは、金融を除く全産業でプラス9になり、前月比で2ポイント上昇しました。 ただ、上昇と下落の比率をみると、販売価格は「上昇」が6ポイントで「下落」が12ポイント。仕入価格は「上昇」が14ポイントで「下落」が5ポイントです。仕入価格は円安の影響で上昇する一方、それを販売価格に上手く転嫁できない状況が伺われます。 トランプ新大統領の影響はまだ見えず 12月の特別調査では、①トランプ次期米大統領の誕生に伴う事業運営への影響②2017年の日経平均株価予想――の2点について回答を得ました。 米国の次期大統領にドナルド・トランプ氏が就任することになり、米国や世界の経済の先行きが読みづらくなっています。トランプ次期米大統領の誕生は貴社の事業運営にどのような影響を及ぼすと考えるかとの質問について、「良くも悪くも業績への影響はなさそう」が54%で最多となりました。一方、プラス・楽観的とみる回答者は26%と、マイナス・悲観的にみる回答者(21%)を若干上回りました。 トランプ氏はまだ大統領に就任していませんし、具体的な政策が出てくるのは、来年1月20日以降ですから現時点では、メディアなどを通じて流れてくる情報から読み解くしかありません。なので、正直なところ先行きはまだ読めないのが現実でしょう。 いずれにしても、米国の政治問題ですから、日本企業の事業運営にすぐに影響が生じる類のものではなさそうですが、トランプ氏が今後、打ち出してくると思われる、環太平洋経済連携協定(TPP)からの撤退をはじめとした保護主義的な政策が、日本の輸出企業を中心に何らかの影響を及ぼすことは考えられます。一方、所得税や法人税の減税措置によって米国国内景気が再び回復すれば、現地日本企業の業績も恩恵を受ける可能性もあります。 とはいえ、いずれも現時点では何とも言えないことではあるので、来年以降、トランプ氏が打ち出してくる政策と、その実現可能性については、注意を払ってみておく必要があるでしょう。 日経平均、来年も「1万5000~1万9000円」で推移? 次に、今年の日経平均はおよそ「1万5000円~1万9000円」の範囲で推移しましたが、2017年はどのように推移すると予想するか聞いた設問では、「今年の範囲にとどまる」が75%に達しました。「今年の高値圏である1万9000円を超えていく」は21%でした。 「今年の範囲にとどまる」という予想が多数を占めていますが、これは現時点において、先行きが分からないからでしょう。証券市場関係者からすれば、出来ることなら今年の安値を割り込むような状態にはなって欲しくない。かといって、今年の高値圏を超えて2万円台にチャレンジするほどファンダメンタルズは強くないし、外部要因も不透明という点で、消去法的に考えれば、今年の範囲にとどまるというのが妥当な回答ということです。

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香港ハンセン指数、年初来高値の更新が視野に 中国経済は「安定」を確認

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。 (※この記事は2016年10月28日にQUICK端末で配信した記事です。) 中国政府が発表した2016年第3四半期(7~9月期)の経済指標は景気が安定する中で前進していることを示す内容だった。政府の通年の成長目標は達成される見通しだ。1~9月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.7%増だった。 (出所:QUICK) 四半期別でも、第3四半期は6.7%増と、第1四半期(1~3月期)や第2四半期(4~6月期)と同じ成長率を維持し、市場の予想通りだった。産業別では、1~9月期における第1次産業の付加価値額が3.5%増、第2次産業の付加価値額が6.1%増、第3次産業の付加価値額が7.6%増だった。第3次産業の増加率が第1次産業、第2次産業を大きく上回り、GDP全体に占める割合が52.8%に達した。このことは中国経済の構造転換が続いていることを示唆する。   輸出は減少も、投資と消費が補う 輸出の勢いが引き続き弱く、投資と消費が中国の経済成長のけん引役を引き続き担った。中国税関総署が発表したデータによれば、今年1~9月期の中国の輸出は前年同期比1.6%減、輸入は同2.3%減だった。9月の輸出は前年同月比5.6%減と、市場予想の2.5%増よりも悪かった。輸入は2.2%増だったが、5.5%増の市場予想を下回る伸びだった。 ただ、幸いにも投資と消費の伸びがやや加速し、輸出減に伴うマイナス面の影響を補った。1~9月期の全国の固定資産投資は前年同期比8.2%増と、1~8月期から伸びが0.1ポイント加速した。インフラ建設の増加、そしてそれ以上に不動産市場の景気回復が寄与した。今年1~9月期の分譲物件の販売面積は10億5100万平方メートルだった。前年同期比26.9%増え、増加ピッチが1~8月期よりも1.4ポイント加速。また、同期の分譲物件の販売額は8兆200億人民元で増加率は41.3%と、1~8月期を2.6ポイント上回った。住宅販売の増加に伴い、全国の不動産開発投資額は前年同期比5.8%増え、1~8月期よりも0.4ポイント加速した。不動産物件の在庫調整も加速して、分譲物件の販売前面積は9月末時点で6億9600万平方メートルと、8月末時点から1258万平方メートル減少した。このうち、住宅物件の販売前面積は1177万平方メートル減少した。 一方、消費については、1~9月期の社会消費小売総額が前年同期比10.4%増の23兆8400億元だった。増加率は1~8月期を0.1ポイント上回った。電子商取引の伸びが引き続き急速で、1~9月期の全国のインターネット販売小売額が3兆4651億元と前年同期比26.1%増えた。このうち、実物商品のネット販売小売額は25.1%増の2兆7900億元で、社会消費小売総額の11.7%を占めた。 製造業は安定、工業企業の利益は改善 製造業は安定しており、1~9月期の全国の一定規模以上(年間の主要業務収入2000万元以上)の企業による工業生産が前年同期比6%増えた。増加ピッチは上半期(1~6月期)から横ばいだったが、工業の構造調整が引き続き進展し、ハイテク産業が10.6%増、設備産業が9.1%増と、全国の一定規模以上の企業の増加率をそれぞれ4.6ポイント、3.1ポイント上回った。工業部門の企業利益も改善し、1~8月期における全国の一定規模以上の工業企業の利益総額は前年同期比8.4%増の4兆500億元と、増加ピッチが上半期から2.2ポイント加速した。一方、9月の政府発表と中国メディアの財新がそれぞれ発表した製造業購買担当者景気指数(PMI)はいずれも、景気拡大を示す50以上の水準となり、製造業が引き続き緩やかに拡張していることが示された。 PPIプラスに転じ、生産に追い風 インフレに関しては、9月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比1.9%上昇した。上昇率が8月(1.3%)から拡大したものの、引き続き制御可能な範囲内だった。注目すべき点は、同月の卸売物価指数(PPI)が0.1%上昇し、2012年3月以来初めてプラスに転じたことである。このことは工業の生産に追い風となる。一方、雇用については、1~9月期の都市部(非農業地区)新規雇用者数が1068万人に達し、1四半期前倒しで通年予測目標(1000万人)を達成した。また、9月の31都市の失業率が2016年6月以来初めて5%を下回った。雇用の増加に伴って収入レベルも上昇し、1~9月期の全国1人当たり可処分所得は1万7735元と、名目ベースで前年同期比8.4%増加した。 10~12月期は減速も通年の目標は達成か、建材・インフラセクターに有利 今後の展望は、石炭業と鉄鋼業の生産能力の調整と不動産市場の過熱引き締めにより、中国景気が第4四半期(10~12月期)にやや減速し、成長率が1~9月期をわずかに下回る可能性がある。ただし、6.5~7%という成長率目標の範囲内に納まることはまず間違いない。こうした中国経済の安定は香港株に追い風となる。11月に中国深セン・香港間の株式相互取引制度「深港通」を始動する見通しでもあるため、香港株式市場のハンセン指数は今年第4四半期に再び年初来高値の2万4364に迫る見込みだ。 (出所:QUICK)  セクター別では、不動産市場における過熱引き締めの度合いが強まるとみられることから、銀行セクターや不動産関連セクターに引き続き重荷となるだろう。また、経済成長率の維持に向けてインフラ投資が加速する見通しであることが、建材とインフラ関連のセクターに有利となる。他方、人民元の為替レートについては、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が強まる中で米ドル高が進むとみられる。加えて中国の輸出の勢いが依然として弱く、元の為替レートに引き続き下げ圧力がかかる見通しだ。これに伴い、より多くの中国国内の資金が通貨安に伴うリスク回避のために香港株に流れ込む可能性があり、香港株が間接的に恩恵を受けることになるだろう。 本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元であるルイス・ウォン氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。

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トランプリスクからトランプラリーへ急展開 日本株に強気8割に(12月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の12月調査を12月5日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者159人が回答、調査期間は11月29~12月1日)。調査期間中の日経平均株価は1万8258円82銭~1万8746円28銭の範囲内で推移しました。 前回調査が行われた最終日の11月2日から今回調査最終日の12月1日までの日経平均と東証マザーズ指数は、次のようになりました。                11月2日     12月1日 日経平均株価・・・・・・・1万7134円68銭 ⇒1万8513円12銭 東証マザーズ指数・・・・・892.65ポイント ⇒919.98ポイント 日経平均は8.04%の上昇率でしたが、東証マザーズ指数の上昇率は3.06%にとどまりました。この間の上昇はトランプ氏の米大統領就任が決定し、トランプ・リスクから一転してトランプ・ラリーともいうべき相場展開になるなかで、為替市場でドル円が上昇。輸出関連企業の業績回復期待が高まり、主力大型株を中心に買いが入ったことで、中小型株はやや物色の圏外におかれる展開になりました。 トランプ減税による成長期待大きい 今回のアンケート調査では、トランプ氏が大統領になった際の経済やマーケットへの影響について聞きました。 まず、トランプ氏は減税と財政支出拡大によって米国の経済成長率を高めると言っていますが、今後の成長率をどう見るかについては、「一時的な成長率の押し上げにとどまる」という回答が全体の69%を占めました。次いで「成長率は持続的に高まる」が21%で、いずれにしても成長率が高まるとみる回答者が90%を占めています。対してネガティブな見方としては、「効果がない」が3%、「金利上昇で成長率が低下する」が3%、「そもそもそうした政策は実行できない」は1%にとどまっています。 トランプ氏が掲げている税制改革は、所得税率を現在の7段階から3段階に簡素化するとともに、最高税率を39.6%から25%に引き下げる、日本の相続税に該当する遺産税を廃止する、法人税の最高税率を35%から15%に引き下げ、米企業の海外留保利益に対しては税率10%にする、などを打ち出しています。 減税は、景気を刺激する効果をもたらしますが、その一方で国の税収は減り、その状況で財政を積極化すれば、財政赤字が増える恐れも生じてきます。その状態で、トランプ氏が言う積極財政を打ち出せるのかどうか、注目されます。 次に、保護主義政策についてですが、その世界経済に及ぼす影響については、見方が大きく分かれています。「先進国を含め米国との貿易が大きい国に打撃となる」が25%、「保護主義的な政策は実行できない」が21%、「米国を含めて、世界経済全体に打撃となる」が20%、「打撃はメキシコや中国など一部の新興国にとどまる」が20%です。 保護主義的な政策は実現できないか、もし実現したとしても影響は一部にとどまるとする、どちらかといえば楽観的な見方が41%、日本への影響を含めてネガティブな見方が45%となっていることから、正直、マーケット関係者の間でも日本経済への影響がどうなるのかは、まだ見切れていないというところのようです。 日本株に対しては8割が強気に トランプ氏の大統領就任後の政策で、上記の質問以外で株式市場に大きな影響を及ぼすと思われる要因としては、「金融規制の緩和」が43%、「米国の孤立主義による世界的な安全保障の不安定化」が17%、「財政赤字の拡大」が17%となりました。 今後1年間の株価動向について、地域別に予測してもらった結果は、米国が「一段と上昇」、「緩やかに上昇」を合わせて73%、「下落」が10%で、圧倒的に上昇が続くとみる向きが多数を占めています。 欧州は「横ばい」が44%で最も高く、「一段と上昇」、「緩やかに上昇」は合わせて40%。「下落」が16%を占めており、どちらかといえばやや弱気です。 新興国は見方が分かれ、「横ばい」と「下落」がそれぞれ34%、「緩やかに上昇」が31%でした。こちらも見方が分かれていますが、やや弱気です。 そして日本は、「緩やかに上昇」が55%で過半数。「一段と上昇」と合わせると80%が強気の見方をしています。 外国人投資家動向は株価にとってポジティブ 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万8614円となり、前回調査の1万7425円に比べて大きく上方にシフトしました。1カ月後の日経平均株価予想が1万8000円台に乗せたのは11カ月ぶりのことです。 円安の進行によって、企業が慎重にみていた2017年3月期決算に対する期待感が一転して高まってきています。今年に入ってから急激に円高が進み、業績に対して悲観的な見方が広まってきましたが、トランプ氏の大統領就任が決定した後、大きく円安が進んだことによって、輸出企業を中心に、業績が改善するとみられています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「為替動向」が若干上昇する一方、「景気・企業業績」は低下。為替動向の指数は11月調査の58.7から71.6へと大きく上昇しており、株価にとってはポジティブ要因と受け止められています。 また、同じく6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞くと、11月調査に対して大きな変動はみられませんでした。ただ、指数では「外国人」が59.5から71.4へと大きく上昇しており、その動向が株価にとってポジティブ要因であることが伺えます。 資産運用担当者の今後の組入はやや慎重 資産運用担当者60人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ややアンダーウエート」、「かなりアンダーウエート」、「ニュートラル」が低下する一方、「かなりオーバーウエート」、「ややオーバーウエート」が上昇し、若干強気になったことが分かりました。 ただ、当面のスタンスについて聞くと、「現状を維持する」が大半を占めていますが、11月調査に比べると数値は低下。一方、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」、「かなり引き下げる」が上昇しており、見方が分かれました。この1カ月間の株価の上昇ピッチが急だったこともあり、市場関係者の間では若干の警戒感も浮上してきているようです。

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日本版ブラックフライデーは浸透するか?新たな株価材料として注目

 ブラックフライデー、ネット通販が好調な出だし 11月中旬に発売された「ハリー・ポッターと呪いの子 第一部 第二部」の売れ行きが好調なようです。毎週火曜日に公表している八重洲ブックセンター本店の集計によると、3週連続でフィクション部門の売り上げトップでした。同シリーズはあらゆる世代に人気が高いため、クリスマスプレゼントとして考えている人もいるのではないでしょうか。 ■八重洲ブックセンター本店の週間ベストセラーランキング(11月20~26日) 【フィクション部門】 【ノンフィクション部門】   クリスマスをビッグイベントとして楽しみにしている人も多いと思いますが、実は株式市場にとっても重要行事の一つにです。特に消費大国の米国はその年のクリスマス商戦の行方が国内総生産(GDP)を左右するため、世界的に注目されています。 米国のクリスマス商戦は、祝日である11月第4木曜日の感謝祭の翌日に幕開けします。小売店で一斉に値引きが始まり、セール初日の金曜日は店舗の収支が黒字になるほど活況なため、「ブラックフライデー(黒字の金曜日)」と呼ばれています。日本経済新聞などによると、今年の米クリスマス商戦の出だしは平均支出額こそ前年同期を下回ったものの、ネット通販の売上高が34.5億ドル(約3880億円)と1日の売り上げとしては過去最高を記録したそうです。なお、全米小売業協会(NRF)は11~12月の小売売上高を前年同期比3.6%増の6558億ドル(約67兆円、自動車・ガソリン・外食を除く)と予想。この水準は米国の実質GDPの約4%に相当する規模です。 そして米国に次ぐ経済大国である中国の消費動向にも注視したいところです。同国では11月11日の光棍節(こうこんせつ)に中国のネット通販各社が大規模なセールをする「独身の日」を開催。中国最大手のアリババ集団の売上高は、この日1日だけで約1.9兆円と過去最高を記録しました。現在はクリスマス商戦に突入しています。   政府も検討、日本版ブラックフライデーは受け入れられるか 日本では小売大手のイオン(8267)が米国のブラックフライデーにちなんだセールを11月25日から3日間実施しました。イオングループで総合スーパー(GMS)を展開するイオンリテールの広報は、「セールは好調だった。売上は前年の同じ期間と比較して2割増となった」といいます。目玉商品のほか、気温の急激な低下を受けてダウンコートや羽毛布団などの防寒用品の販売が伸びたそうです。 政府も米国のこのイベントに関心を寄せています。経団連と連携し、2017年2月から毎月最終週の金曜日に「プレミアムフライデー」と称した消費喚起策を検討しています。経団連に属する企業にはイベント当日、午後3時ぐらいに早期退社することを呼びかけるそうです。こうした試みの背景には、政府が掲げる「名目GDP600兆円」や「働き方改革」をなんとしてでも達成したいとの意向があります。消費の活性化には所得アップが欠かせませんが、政策の後押しに加え、クリスマスやハロウィーンなど海外イベントを好む日本では、ブラックフライデーも浸透するかもしれません。 小売業の株価が堅調な月は意外にも… クリスマス商戦は小売りやメーカーなどが主に影響を受けます(下表参考)。稼ぎ時となるため、月次や四半期の売上高に株式市場の注目が集まります。 では、冬場は小売業の株価が上がりやすいのでしょうか?2006年12月~2016年11月までの東証業種別株価指数の「小売業」と、日本株全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)の月間騰落率を比較してみたところ、小売業がTOPIXを上回った回数は120回中、ほぼの半分の59回でした。さらにこれを月別に分析してみると、6月が8回と最も多くなりました。クリスマス商戦時期の11月と12月はともに5回でした。投資タイミングを考える際、こうした過去のデータも参考にしてみてください。 <クリスマス商戦関連銘柄> <小売業の月間騰落率がTOPIXを上回った回数は?> ※東証規模別株価指数の小売業とTOPIXの2006年12月~16年11月までの120カ月間の月間騰落率をそれぞれ比較   (編集:QUICK Money World)

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円安進行が本格寄与、全産業DIでプラス圏浮上が視野に(11月)

前月に比べて大幅な改善示す 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年11月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス1となり、前月(マイナス17)から17ポイント改善しました。特に製造業DIは2カ月連続で改善。マイナス3と前月(マイナス25)から22ポイントの大幅改善となり、全体の業績見通しの押し上げに寄与しました。全体の業績見通しは悪化の一途を辿っていたトンネルから脱する兆しがみえてきたと言えそうです。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。マイナス値は脱していないものの、ここ2カ月で大きく改善し、11月は2015年10月以来の水準まで回復しました。 全産業DIの過去の推移をみると以下の通りになります。 10月・・・・・・ 3 11月・・・・・・▲3 12月・・・・・・▲3 1月・・・・・・▲3 2月・・・・・・▲20 3月・・・・・・▲30 4月・・・・・・▲30 5月・・・・・・▲33 6月・・・・・・▲36 7月・・・・・・▲34 8月・・・・・・▲27 9月・・・・・・▲27 10月・・・・・・▲18 11月・・・・・・▲1 今年2月には2桁のマイナスに突入し、最も悪化した6月のマイナス36から改善傾向をたどると、11月はマイナス1まで急回復しました。この背景には、6月に節目の1ドル=100円を割り込むほど進んだ円高が9月下旬以降、一転して円安・ドル高に転じたことが貢献したとみられます。 円安はその後も一段と進み、11月末には114円台に突入したことから輸出関連企業を中心に増額修正期待が高まり、これがコンセンサスDIの大幅改善につながりました。 例えば、トヨタ自動車は、今年に入ってからの円高・ドル安局面で、業績見通しの前提となる想定為替レートを100円まで円高方向に見直していましたが、これが114円になれば為替要因だけで大幅な増益要因になります。ちなみにトヨタの場合、1円の円安で年間400億円の営業益の上振れ見込まれますから、14円幅の円安だと5600億円の営業増益要因になります。 来年3月に向けての為替レートがどうなるか次第ですが、いずれにしても現時点のコンセンサスの改善にこの円安がポジティブ要因に作用しているのは事実です。 製造業、非製造業ともに改善傾向 業種別のDIをみると、16業種中、プラスは8業種になり、前月の5業種から3業種改善しています。前月からのDIの動きを業種別に見ると、以下のようになります。 ↑プラスが拡大・・・・・・・・・・・・「食料品」「医薬品」「建設」「情報通信」  ↑マイナスからプラスに転換・・・・・・「機械」「卸売」「サービス」  →プラスで横ばい・・・・・・・・・・・「不動産」  ↑マイナスからゼロに回復・・・・・・・「銀行」「その他金融」  ↑マイナスが縮小・・・・・・・・・・・「電機」「輸送用機器」  →マイナスで横ばい・・・・・・・・・・「化学」  ↓プラスないしゼロからマイナスに悪化・「鉄鋼」「非鉄金属」  ↓マイナスが拡大・・・・・・・・・・・「小売」 業種別にみても、改善の兆しを示す業種が多くなっています。「プラスが拡大」から「マイナスが縮小」までを改善の兆しをみせている業種であると考えると、合計で12業種が改善していると言えそうです。特にマイナスからプラスに転換したセクターでは、機械はマイナス45からプラス11へ、卸売はマイナス22からプラス30へとは大幅な改善がみられました。 次に、DIを製造業、非製造業の別でみてみましょう。 過去一年間の製造業のDIは、 11月・・・・・・▲18 12月・・・・・・▲15 1月・・・・・・▲11 2月・・・・・・▲35 3月・・・・・・▲48 4月・・・・・・▲47 5月・・・・・・▲47 6月・・・・・・▲48 7月・・・・・・▲49 8月・・・・・・▲45 9月・・・・・・▲38 10月・・・・・・▲25 11月・・・・・・▲3 これに対して非製造業DIは、 11月・・・・・・・15 12月・・・・・・・12 1月・・・・・・・8 2月・・・・・・▲3 3月・・・・・・・1 4月・・・・・・▲1 5月・・・・・・▲9 6月・・・・・・▲18 7月・・・・・・▲15 8月・・・・・・▲7 9月・・・・・・▲15 10月・・・・・・▲10 11月・・・・・・・1 製造業、非製造業ともに改善傾向を示しており、とりわけ製造業が10月のマイナス25から、11月はマイナス3まで大幅に改善しています。これは前述したように、11月以降、急速に進んだ円安による影響が大きいと思われます。株式市場でも円安・ドル高を織り込んで株価が上昇しています。 ただ、円安・ドル高によって業績改善が見込まれる主力大型株中心の物色になっています。さらに、現在進行している円安・ドル高は、トランプ・ラリーの影響によるものが大きいだけに、今後の反転リスクには注意を払った方がよいかもしれません。期待先行のマーケットは、行き過ぎる恐れがあります。 厳しい製鉄会社の経営環境 銘柄数の内訳は、「強気」が90銘柄で、「変化なし」が177銘柄、「弱気」が95銘柄になりました。3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップすると、下記のようになります。 <上方修正率の大きい銘柄> 1位 SUMCO(3436)・・・・・・・・・50.50% 2位 任天堂(7974)・・・・・・・・ 48.84% 3位 セガサミーHD(6460)・・・・・ 48.41% 4位 グリー(3632)・・・・・・・・ 43.60% 5位 スズキ(7269)・・・・・・・・ 32.88%  <下方修正の大きい銘柄> 1位 神戸製鋼所(5406)・・・・・ ▲88.14% 2位 IHI(7013)・・・・・・・・・▲87.12% 3位 JFEホールディングス(5411)・▲70.40% 4位 川崎重工業(7012)・・・・・ ▲51.72% 5位 カシオ計算機(6952)・・・・ ▲43.31% 3カ月前比で、純利益の下方修正率が最も大きかったのは神戸製鋼所でした。また、3位にはJFEホールディングスが入っており、製鉄会社の苦戦が目立ちます。今後、円安・ドル高が進めば、それによる業績押し上げは期待できるものの、中国の過剰生産による価格下落が響いており、その需給が改善しない限り、当面、製鉄会社にとっては厳しい経営環境が続きそうです。

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トランプノミクスで米経済は加速? 保護主義警戒、円安持続は未知数(11月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の11月調査を11月28日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者141人が回答、調査期間は11月21~24日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがプラス0.020~プラス0.030%で推移しました。 長期金利の指標となる10年債利回りがようやくマイナス圏からプラスへと転じました。過去1カ月の金利推移は以下の通りとなりました。           10月25日  11月25日  3カ月債・・・・・▲0.349%⇒▲0.295%  1年債・・・・・▲0.295%⇒▲0.212%  5年債・・・・・▲0.199%⇒▲0.085%  10年債・・・・・▲0.064%⇒ 0.030%  15年債・・・・・・0.113%⇒ 0.210%  20年債・・・・・・0.372%⇒ 0.470%  30年債・・・・・・0.491%⇒ 0.597% 各期間において金利水準は上方シフトしたことがわかります。現状、11月30日に日銀が公表する予定の当面の長期国債買入れ方針で、買入額が減額されるかどうかに関心が集まっており、その警戒感で長期国債にはやや売り圧力が強まっています。 トランプノミクスで米経済はさらに加速? 今回の月次調査では、トランプ氏が米大統領に就任した後の米経済への影響について質問しました。 まず、トランプ氏の経済・通商・外交政策の効果とその影響について予想してもらいました。それによると、経済成長率は加速(58%)し、インフレ率も加速(77%)する半面、財政赤字は拡大(91%)し、貿易赤字は変わらず(42%)が、それぞれ最多となりました。 金融政策については影響なし(51%)で、タカ派にもハト派にも傾斜しないというイメージで受け止められていることが分かります。 その結果、米国の金融市場は2017年3月末に向けて、米国10年国債利回りは上昇(64%)、米ダウ平均株価は上昇(51%)、原油価格は横ばい(56%)との見方が多数を占めています。 トランプ氏が国内雇用を最優先に積極財政と減税政策を打ち出してくるとなれば、長期金利は上昇し、企業業績の上振れ期待から株価も上昇する可能性は高まるでしょう。すでにダウ工業株30種平均はトランプ氏の大統領就任が決定してから連日上昇しており、過去最高値を更新。節目の2万ドルも視野に入れようとしています。 日本は株高・円安・10年金利横ばいの予想 日本の金融市場はどうなるでしょうか。2017年3月末に向けての予想については、10年国債利回りが横ばい(63%)、20年国債利回りが上昇(52%)、日経平均株価は上昇(57%)、円・ドル相場は円安(50%)に向かうとみられています。 この1カ月で上昇してきた国内長期金利ですが、利回りが上昇すれば国債への買い意欲が湧き出てくるため、急激に上昇することはない、というのがマーケット関係者のコンセンサスになっています。 また、トランプ氏の大統領就任が決定した後、日経平均も上昇。円・ドル相場は1ドル=100円割れの円高になるどころか、逆に1ドル=113円台を付けるところまで円安・ドル高が進みました。こうした流れを反映した結果になっていますが、トランプ氏は基本的に保護主義的な政策を取ってくる可能性が高く、円安がどこまで続くのかは未知数です。 当面のスタンスは様子見ムード 新発10年国債の金利見通しは、10月調査分に比べて上方にシフトしました。10月調査分では、1カ月後、3カ月後、6カ月後の見通しがそれぞれマイナスでしたが、11月調査分ではいずれもプラス圏に転じています。 トランプ次期米大統領の政策を背景にして、米長期金利の上昇や株高・円安が進んだことから、日本の長期国債も上値の重い展開になりやすく、長期金利が押し上げ圧力は従来に比べ高まる可能性があると、多くのマーケット関係者はみているようです。 今後、6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因としては、「海外金利」が10月調査分の11%から43%に急上昇。対して「短期金利/金融政策」が69%から42%へと低下しました。ちなみに海外金利の指数は31.9ですから、下落要因として注目されていることになります。 今後6カ月程度を想定して注目される投資主体については、10月調査分と大きな違いはなく、都銀・信託銀行、地方銀行、生損保、外国人が微増。政府・日銀のオペレーションが下落しました。 国債組み入れ比率、「アンダーウエート」比率やや高まる また、ディーリング部門を除く資産運用担当者66人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、10月調査分に比べて「ややオーバーウエート」、「ややアンダーウエート」が上昇。対して「かなりオーバーウエート」、「ニュートラル」、「かなりアンダーウエート」が低下。全体としては「アンダーウエート」の比率が高まる結果となっています。 また国内債券の組み入れ比率について、当面のスタンスとしては、「かなり引き上げる」の回答比が0%になり、「やや引き下げる」が低下、「やや引き上げる」と「かなり引き下げる」が上昇するというように、回答にバラツキがみられています。 デュレーションについて、現在が通常の基準に比べてどのようになっているのかについては、10月調査分に比べて「やや長い」、「かなり短い」が低下。「やや短い」が大きく上昇しています。この点では、長期金利の上昇に対する警戒感が強まったと考えられます。 当面のデュレーションについては、「現状を維持する」が76%で大勢を占めました。ポジションをいずれか一方に大きく傾けにくく、様子見ムードが強まりそうです。

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起業と資産運用、あなたはどっち派?…老後資金「3000万円」の稼ぎ方

  長者番付でトランプ大統領の順位は…意外と低い? 米経済誌フォーブスが10月に発表した2016年の米国の長者番付※1によると、最もリッチな人は23年連続でマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏でした。同氏の資産総額は810億㌦(約8.2兆円)というから驚きです。ケタが違いすぎて実感が湧かないかもしれませんが、トヨタ自動車(7203)の2016年3月期の連結純利益が2.3兆円ですから、この3倍強を個人で保有していることになります。 ※1株式や不動産、ヨット、飛行機、宝飾品、芸術品、ブドウ園、車のコレクションなどを含む総資産 2位はアマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベソス氏、3位は著名投資家のウォーレン・バフェット氏とメディアでもお馴染みの面々が並びました。そのほか、フェイスブックを創業したマーク・ザッカーバーグ氏が4位、ニューヨーク前市長のマイケル・ブルームバーグ氏が6位にランクイン。 トップ10外ですが、米次期大統領のドナルド・トランプ氏が156位に顔をみせました。保有不動産価格が下落したため、残念ながら順位は前年の121位からダウンしました。   日本のトップは大企業の創業者  一方、日本のトップ3はファーストリテイリング(9983)の柳井正会長兼社長が1.8兆円で首位、次いでソフトバンクグループ(9984)の孫正義社長で1.6兆円、3位はサントリーホールディングスの佐治信忠会長で1.3兆円と、昨年から変動はありませんでした。日米のリッチマンの多くは創業者であり、巨額の財をなすには起業してイノベーションを生み出す手法が正攻法といえそうです。   ※ファーストリテイリングのフォトライブラリーから引用   しかし、日本国内の起業に対する意識は年々低くなっています。中小企業庁の調べによると、2014年の開業率※2は前年比0.1ポイント増加の4.9%でした。開業率は1988年の7.4%をピークに減少傾向です。10%以上の欧米諸国と比較しても低水準です。参考として、2016年10月末時点の新規株式公開(IPO)社数は64社と、こちらも前年同月の70社を下回る水準でした。 ※2 開業率=当該年度に雇用関係が新規成立した事業所数/前年度末の事業所数×100で算出       億万長者でなくとも「3000万円」は必要な老後 では、多くの人はどの程度の資金で日々の生活を送っているのでしょうか。厚生労働省の調べでは、2014年の1世帯当たりの平均年収は541万円でした。1000万円の大台を突破したのは全体の1割強、2000万円以上はわずか1%にとどまりました。こうしたデータをみると億万長者への道はかなり険しいため、誰しも必要になる「老後の資金」は計画的に確保しなければならないでしょう。そこで、政府が公表しているデータなどから前提条件を設定し、まずは老後の必要資金を試算してみました。   これから60歳を迎える人の多くは、同年で定年退職して無職になった場合、年金が支払われる65歳までの5年間は貯蓄を取り崩さなくてはならず、1654万円が必要になります(①参照)。65歳からは年金を軸に収入が21万円ほどありますが、月間の支出額が27万円なので毎月6万円の赤字が生じます(高齢・無職夫婦の月間平均収入額を参照)。男性の平均寿命が80歳ですから、寿命までの15年間は1121万円の赤字を埋め合わせなくてはなりません(②参照)。 これらを合算すると、老後の必要資金額は2776万円になります(③参照)。 退職金の2000万円を全額活用できれば残り776万円を工面することで老後の生活を送れそうです。しかし、これは一つの目安で個人差が生じます。退職金で住宅ローンの完済を検討してる人や、賃貸住宅に住んでいる人なら住居費はさらにかさむでしょう(高齢・無職夫婦の月間平均支出を参照)。思わぬ病気のリスクもありますし、長生きはいいことですが平均寿命を上回ればその分、生活費の負担が増えます。   ①年金受給までの必要資金 1カ月の生活費27万5706円×12カ月×5年=1654万2360円   ②平均寿命80歳までの必要資金 月間の赤字6万円×12カ月×平均寿命までの15年=1121万8680円   ③老後の必要資金 年金受給までの必要資金1654万2360円+年金受給後の不足分1121万8680円=2776万1040円         サラリーマンが老後資金を用意する方法 億万長者はごく限られた人しかなれない・・・。 残る有効手段は資産運用といえそうです。 では老後の必要資金2776万円のうち2000万円を退職金でカバーすると仮定し、残り776万円を資産運用で得るにはどの程度の期間および利回りで運用すればいいのかシミュレーションしてみましょう。元手が100万円で運用期間を10年とした場合、毎年約23%上昇する金融商品に投資し続けなければなりません。銀行に1年間100万円を預けても金利はわずか0.001%(10円)ということを踏まえると、年利23%は高いハードルといえそうです。 しかし、運用期間を40年に延長すると年利は5%台に低下するため、現実味を帯びるのではないでしょうか。運用期間の長期化に連動して年利が低下する理由は、複利効果を考慮しているためです。長期間、つまり若い時期から投資した方が複利効果をより享受できます。 ちなみに、東証1部に上場する1972銘柄を対象に年初から11月18日までの騰落率を調べたところ、5%超上昇した銘柄は547銘柄でした。なかには株価が2倍、3倍に上昇した銘柄もありました。永続的に上昇し続ける金融資産はありませんが、若い世代なら投資資金を小分けにして「時間分散」することでリスクを低減させることも可能でしょう。   【元手100万円を776万円にアップさせるための運用期間と年利】   【元手300万円を776万円にアップさせるための運用期間と年利】   東証1部上場銘柄の年初来上昇率ランキング-トップ50 *2015年末の終値と2016年11月18日の終値で算出   目標金額や運用期間、年利が決まったら、次はリスクと投資資産の選別です。下図の「主な金融資産のリスクとリターン」を見てください。例えば、過去10年間の日本債券はリスク※3は1.8%と図表の8資産の中で最も小さかったものの、リターンは約29%上昇と最も大きくなりました。僅かなリスクで効率よくリターンを上げられたといえます。 一方、新興国株はリスクが26%、これに対してリターンが小幅マイナスと大きなリスクを取ってもこれに見合うリターンを得られませんでした。この図表はあくまで過去のデータを基に算出した結果でリスクがもっと大きくなる場合もあります。ただ、リスクを極力抑えたいなら日本債券、ある程度リスクを覚悟してリターンを得たいなら株式やREITでしょう。投資資産を選ぶ際の一つの目安として参考にしてみてください。   ※3:リスクは2016年10月末までの過去10年間の月間騰落率を基に算出した標準偏差の年率換算値。リターンは10月末までの10年騰落率。各資産のリスクとリターンの算出には以下の各指数をそれぞれ使用。日本株「TOPIX」、国内中小型株「日経ジャスダック平均株価」、国内REIT「東証REIT指数」、日本債券「NOMURA-BPI(総合)」、海外株「MSCI KOKUSAI INDEX (WORLD除く 日本) 円ベース」、新興国株「MSCI EM (EMERGING MARKETS)・ 円ベース」、世界債券「Citi World Government Bond Index(除く日本)・円ベース」、「S&P先進国REIT指数(除く日本)配当込・円ベース」   (編集:QUICK Money World)

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プロの株式ポートフォリオは情報の宝庫…下げ相場で勝つ運用の参考に

相場格言の中に「当たり屋につけ」という教訓があります。相場にはなぜか必ず利益を上げる「当たり屋」という人がいて、このような人に便乗して売買することも一策という意味です。現に米国の著名投資家のウォーレン・バフェット氏やジョージ・ソロス氏が投資している銘柄がよく話題に上ります。他人の真似ばかりはお薦めできませんが、投資のプロのポートフォリオを見て学ぶことは多そうです。そこで今回は好成績を収めた日本株ファンドを紹介します。 2016年度上期(4~9月)の日本株相場は軟調でした。日経平均株価は3月末の1万6758円から、9月末には1万6449円(1.84%)に小幅下落。イギリスの欧州連合(EU)離脱や1ドル=100円を割り込む円高が嫌気されました。 下げ相場でも勝つアクティブファンド 同じ期間、日本株に投資する828ファンドのうち半分強の452ファンドが日経平均を上回る成績を収めましたが、運用成績がプラスだったファンドは全体の2割にあたる160ファンドにとどまりました。 最も好成績を収めたのはJPモルガンの「JPMジャパン・テクノロジー・ファンド」で24.99%上昇。日経平均を大きく上回りました。同ファンドは電気機器や半導体、電子部品など国内テクノロジー関連企業を対象に運用チームが企業取材を重ね、銘柄を選別するファンドです。ただ、テクノロジー関連株全体が好調だったわけではなく、全般に冴えない展開でした。東証業種別株価指数の電機は3.38%、情報・通信は2.04%のそれぞれ上昇にとどまったうえ、精密機器は8.12%の下落でした。 【日本株ファンドの16年度上期騰落率ランキング】 <上位10ファンド>   <下位10ファンド> ※対象は主に日本株に投資する追加型株式投信の828ファンドでETF除く。データは9月末時点。騰落率は分配金再投資ベースの基準価格で算出。上期騰落率は4~9月、▲はマイナス 加えて、「JPMジャパン・テクノロジー・ファンド」は中小型株ファンドではありませんが、足元でJASDAQや東証マザーズへの投資比率が4割程度と新興市場に積極投資していました。今年3月に新規上場したユー・エム・シー・エレクトロニクス(6615)もポートフォリオの上位に名を連ねていました(8月末時点)。ところが上期の日経ジャスダック平均株価は2.08%上昇したものの、東証マザーズ指数は7.11%下落。東証規模別指数をみても中小型株に買いが先行したというわけではありません。 これらの結果踏まえると、同ファンドが好成績を収めた要因は個別銘柄の選別による効果だったといえます。       勝ち組ファンドの投資銘柄をチェック そこで「JPMジャパン・テクノロジー・ファンド」の組み入れ上位10銘柄の上期の騰落率を調べたところ、9銘柄が上昇。なかでも半導体製造装置のタツモ(6266)が3.18倍、ウエハー・ガラス基板搬送機最大手のローツェ(6323)が2.95倍、内外テック(3374)が2.04倍と急上昇して運用成績を押し上げました。投資銘柄は、各ファンドの運用レポートの中に記載されています。 なお、タツモは6月初旬に中国の大手液晶ディスプレーメーカーから大口注文を受けたと発表すると買いが優勢となり、その後も業績の上方修正および配当金の引き上げなどを好感して上昇基調となりました。ローツェは独立系運用会社のスパークス・アセット・マネジメントが同社株を運用していることが日本経済新聞の朝刊で報じられたことを機に個人投資家などの買いが集まったようです。   ▼「JPMジャパン・テクノロジー・ファンド」の組み入れ上位10銘柄の騰落率 ※上期騰落率は2016年4~9月の騰落率、▲はマイナス。組み入れ銘柄は8月末時点 好成績ファンドの運用を参考に ファンドの上期騰落率ランキングの2位、5位、7位も中小型株に投資するタイプでした。ただ、こららのファンドの投資銘柄はほぼ重複しておらず、各ファンドともに「個性」が表れました。ちなみに、「スパークス・プレミアム・日本超小型株式ファンド」を運用しているスパークス・アセット・マネジメントの阿部修平社長は著名投資家のジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを務めたことでも有名です。 投資のプロが運用するポートフォリオは情報の宝庫です。眺めるだけでも新たな投資アイデアが湧いてくるかもしれませんし、自らの投資の戒めにもなるかもしれません。日本株については毎月公表している証券会社や機関投資家など、株式担当者を対象とした市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」も有効活用してみてください。   ▼「J-Stockアクティブ・オープン」の組み入れ上位10銘柄の騰落率   ▼「スパークス・プレミアム・日本超小型株式ファンド」の組み入れ上位10銘柄の騰落率   ▼「大和住銀日本小型株ファンド」の組み入れ上位10銘柄の騰落率 ※上期騰落率は2016年4~9月、▲はマイナス   (編集:QUICK Money World)

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空の産業革命「ドローン宅配便」の現状を分析…関連銘柄も調査

「ドローン宅配便」をご存知ですか?ドローン宅配便とは、小型の無人飛行機(ドローン)を用いた商品宅配サービスです。近年、実現に向けた動きが迅速に進められ、すでにアマゾン・ドット・コムやウォルマート・ストアーズ、グーグルなどといった世界の巨大企業がこの分野に参入することを決めています。「空の産業革命」といわれるほど、その可能性が期待されているドローン。今後、日本でドローン宅配便は実現するでしょうか?まずはドローン宅配が実現することがどのようなメリットをもたらすかを見ていきましょう。   ドローン宅配の「威力」…配送コストが8分の1に!? ドローン宅配を実現することでの主に3つの観点からメリットがあります。 まず一つ目は「コスト削減」が出来ることです。物流業界では昨今、「ラスト・ワン・マイル問題」という課題があります。これは倉庫から顧客の自宅までトラックで宅配するのに多大なコストがかかってしまっているということです。EC(電子商取引)市場の成長とともに、宅配貨物取扱個数は右肩上がりで成長しているので、この問題は深刻な状況です。同時にトラック運転手が需要に追いつかず、人手不足に陥っています。   (経済産業省「電子商取引に関する市場調査」 国土交通省「運輸経済月例」より作成)   ここにドローンが入ることによって大幅なコストカットが見込まれており、アマゾンのデータでは、荷物の重さ5ポンド、輸送距離10マイルの条件下で、陸送で最も早い「Amazon Prime Now」では輸送に約8ドル、配送完了まで1~2時間かかるのに対し、ドローンを用いた宅配「Amazon Drone」では約1ドル、30分での配送が出来るとされています。低コストで早く配達できることになります。これで人手不足も解消され、人件費の削減も可能になります。(出典:千葉市ドローン宅配等分科会) 2つ目のメリットは「スピードアップ」です。前述のアマゾンの例にも関連しますが、ドローン空輸は車の渋滞に巻き込まれることは一切ありません。また、医薬品など緊急性の高い荷物(医薬品など)を素早く届けることができます。つまり、既存の配送システムよりも効率的かつスピーディーに荷物を配送できます。 3つ目は「インフラの強化」です。高齢者や障害者、幼児を抱える親など外出困難な人に直接マンションまで届けたり、山間部や離島で暮らす孤立地域の人々への配達も少ないコストですばやく届けることが可能です。また、これは災害などで孤立した地域に対しても同様のことが言えます。   実現に向け千葉市を国家戦略特区に指定 ドローン宅配が実現するメリットについて述べましたが、次に日本における取り組みを紹介します。 2015年12月、内閣府は国家戦略特区に千葉市を指定し、ドローンを用いた宅配をできるようにすると発表しました。国家戦略特区とは、第二次安倍政権が進める新しい経済特別区域構想のことで、規制緩和によって国内外からの民間投資の誘導や雇用の創出、消費の拡大などで経済成長を目指すものとされており、地域に絞って大幅に従来の強固な規制を緩和します。これはアベノミクスの第三の矢「民間投資を喚起する成長戦略」の中核を担っています。 では、ドローン宅配便を実現するための千葉市の計画を見ていきましょう。千葉市は実用化実験の場として幕張新都心地区を提案しており、ここは東京湾に近接していることや、臨海部に物流倉庫が点在していること、超高層マンションが整備されている、またはその予定であること、電線が地中に埋められていることなどドローン宅配を行う上で好都合の立地です。東京湾臨海部の物流倉庫からドローンにより、海上(約10㎞)や花見川(1級河川)の上空を飛行し新都心内の集積所まで運び、住宅地区のマンション各戸まで運んだり、地区内の店舗から日常生活品を配達したりする予定です。また、テレビ電話等を通じた遠隔での診療及び服薬指導を行い、地区内の薬局からドローンによる医薬品の配達を目指しています。 (出典:千葉市ドローン宅配等分科会) 千葉市のほかに、秋田県仙北市では市内に広がる国有林野を活用したドローン実証実験を行うため、「近未来技術特区」に指定され、速さや正確さを競う国際大会「ドローンインパクトチャレンジ アジアカップ2016」を開催しています。 (出典:仙北市ホームページ) 民間企業の取り組みを見ると、楽天は今年5月からドローンを活用した一般消費者向けの配送サービス「そら楽」を開始し、その第一弾として、ゴルフ場のコース内でプレイヤーまでドローンがゴルフ用品や軽食を届けるサービスを提供しています。楽天は今後EC事業においてもドローンを活用することを視野に入れており、技術とオペレーションノウハウを蓄積し、さらなる革新的なドローンサービスの展開を目指しているとしています。 (出典:楽天ホームページ)   まだまだ残るドローン宅配の課題 新技術が生み出されたとき、必ずといっていいほど解決しなければならない課題が付きまといます。 一つ目は安全性の問題です。ドローンは天候がよく、障害物のないところでは問題なく飛行することが可能ですが、ひとたび環境が悪化するとそうとはいきません。また、ドローンが着陸する近隣住民への危険も少なくありません。人や車、ビルや樹木などを正しく認識し、避けて飛行する技術が求められています。 二つ目は規制の問題です。ドローンは航空法により、夜間の屋外での飛行と目視外飛行が原則禁止されていることです。ドローン宅配を行うためには、基本的に目視外飛行は必須であり、さらに夜間飛行も十分にあり得ます。また、民法においては「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と定められています。ドローンは個人宅の上空を飛行することになってしまうので、これらについて規制緩和されなければ、ドローン宅配の実現は難しくなります。 三つ目はプライバシーの問題です。最近のドローンには空撮用になどカメラが搭載されているものが一般的になってきています。ドローン宅配はマンションの各ベランダに輸送することが想定されているため、受取者の部屋のみならず、近隣住民の部屋を撮影することは技術上可能となってしまいます。ドローン宅配に見せかけた盗撮などに悪用されてしまう危険性をはらんでいます。   ドローン宅配関連15銘柄 「空の産業革命」といわれるドローンビジネスの可能性についてお分かりいただけたでしょうか。ドローン宅配が実現すれば、都市部に低コストで素早く宅配できるのみならず、普段は配送が難しい山間部や離島にまでサービスを展開することが可能になります。実現までには法整備や空輸技術などまだまだ課題は多いのが現状ではありますが、国家戦略特区での実証実験などの取り組みが進み、ドローンの技術向上、安全性向上が実現されれば、人々の暮らしを大いに豊かにしてくれるでしょう。 最後にドローン宅配関連銘柄を見ていきましょう。関連銘柄は他にも多数ありますが、代表的な15銘柄を紹介します。 銘柄名 証券コード 取り組み事例 ALSOK 2331 ドローンの警備サービスへの活用はもとより、メガソーラー発電施設を空撮し、ソーラーパネルに異常がないか点検するサービスを提供する。 菊池製作所 3444 千葉大学発ベンチャー自立制御システム研究所と共同でドローンを量産する。 オプティム 3694 世界初となるドローン対応ビッグデータ解析プラットフォーム「Skysight」を展開。また、農作物の害虫駆除を行うため、紫外線ライトを搭載した農業用ドローンを開発。 アイサンテクノロジー 4667 株式会社プロドローンと共同で、高精度な3次元地図計測を目的とした3次元空間情報取得向け自立型ドローンを開発。 楽天 4755 一般消費者向け配送サービス「そら楽」を開始。千葉市で実証実験を行う。 ウェザーニューズ 4825 エアロセンス株式会社と低層域の気象観測ネットワークを構築。同社の気象観測センサーを搭載したドローンを用いる。 NEC 6701 千葉大学発ベンチャー自立制御システム研究所の販売代理店。また、ドローンの運航管制システム開発を進める。 ソニー 6758 子会社と株式会社ZMPは共同で、ドローンが空撮した画像をクラウドに転送し、データ解析を手掛ける「エアロセンス株式会社」を設立。ZMPは、2016年12月19日東証マザーズ市場に上場予定。 デンソー 6902 ヒロボー株式会社の協力を得て、道路の橋などの社会インフラの点検に使用する産業用ドローンを開発。 ヤマハ発動機 7272 同社が開発した農業散布用小型ドローンが、米連邦航空局から飛行認可を得る。今後、大規模農家に幅広く利用されることが予想される。 イオン 8267 千葉市が計画するドローン宅配事業の実証実験に参画。 東京海上HD 8766 2015年7月より、産業用無人ヘリコプター(ドローン)総合保険を販売開始。 ヤマトHD 9064 千葉市が計画するドローン宅配事業の実証実験に参画。2020年の事業化を目指す。 NTTドコモ 9437 新潟市で自立制御システム研究所やエアロセンス株式会社などと共同でドローンを活用した「水稲プロジェクト」と「海岸保安林プロジェクト」に参画。 セコム 9735 2015年12月より、上空からの警備サービス「セコムドローン」を開始。民間防犯用としては世界初の取り組み。   (編集:QUICK Money World)

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ビッグデータと資産運用、ゴールドマンAM諏訪部氏に聞く

米ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの諏訪部貴嗣氏が来日した機会に、ビッグデータ革命と資産運用業界への影響について聞いた。諏訪部氏は、ニューヨーク本社で計量投資戦略グループのリード・ポートフォリオ・マネージャーとアクティブ・エクイティ・リサーチの共同責任者を務めている。   資産運用でビッグデータの活用が本格化している。米ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの計量投資戦略グループの諏訪部貴嗣マネージング・ディレクターは「ビッグデータによる資産運用は実用化されており、すでに競争が始まっている」と話す。分析の対象は企業の決算情報やアナリストの業績予想など数値データだけでなく、文章や経営者の声色、交流サイト(SNS)などに広がっている。 データを分析して資産運用に活かす手法は株式市場ではクオンツ分析として古くから知られている。足元でインターネットの普及によるデータの爆発的増加、人工知能(AI)など技術革新、データ処理能力の飛躍的向上により「ビックデータを駆使して高い運用能力を発揮できるようになった」(諏訪部氏)という。 ビックデータの活用による資産運用は未来の話ではなく、すでに現実のものだ。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントがビックデータを活用して投資するファンドは過去7年間との比較でMSCIなどインデックス(指数)を上回る成果を出しているという。 ビックデータを活用する資産運用の世界では財務数値以外の情報の利用が始まっている。決算会見では記者からの質問に答える経営者の声のトーンを解析して神経質になっているかどうかを調べる。アナリストのリポートからは文章が強気になっているか弱気になっているかを分析して、投資判断が変化する兆候を嗅ぎ取る。衛星写真からは小売店の駐車場の混雑具合を調べて売上高の推測に使う。 ビックデータの資産運用は従来のモデルを改良、蓄積していくため「先行者利益が大きい」(諏訪部氏)。機械対人間の論争においては、機械は長期の未来予測が難しいと指摘されることが多い。諏訪部氏は機械が10年先の未来を想定するのは困難と認めながらも資産運用については「近未来について5分5分よりはマシな程度の予測で十分に実用化する意味がある」と指摘する。 11月9日に行われた米大統領選では共和党候補のトランプ氏が勝利した。諏訪部氏は機械が予想しにくい結果だったと話す一方、「確率が低い事態が起きた時に何が起きるかを機械で分析した結果を人が利用することでリスクをコントロールできる」と話した。   諏訪部貴嗣氏の略歴 計量投資戦略グループのリード・ポートフォリオ・マネージャー及びアクティブ・エクイティ・リサーチの共同責任者を務める。2004年にゴールドマン・サックス証券グローバル投資調査部のジャパン・ポートフォリオ・ストラテジー・グループのメンバーとして入社。2009年7月にゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントにシニア・エクイティ・リサーチャーとして異動。 2012年にマネージング・ディレクターに就任。ゴールドマン・サックス証券に入社する以前は、野村総合研究所および野村證券金融経済研究所に勤務。日本ファイナンス学会とMPTフォーラムが共同発行する「現代ファイナンス」誌の編集者であり、かつては日本証券アナリスト協会試験委員を務めた。1995年に東京工業大学理学部を卒業、2011年に総合研究大学院大学博士課程を修了。   (取材:QUICKコンテンツ編集グループ・片野哲也)

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トランプ次期大統領の誕生、海外のプロはどう見る?

  米国大統領選挙でトランプ氏が勝利して以降、円安が大きく進み、日本株も堅調に推移しています。結果が判明した当日の日本市場では円高・株安となりましたが、翌日以降の海外市場では逆の動きとなり、この流れが現在も続いている状態です。 実際、海外の金融市場のプロはどう見ているのか。QUICKの有料コメントサービス「QUICKデリバティブズコメント」から一部抜粋して、紹介します。   欧州でも政治リスク、長期金利の上昇後押し <ING銀行 シニア金利ストラテジスト マーティン・ファンフリート氏(アムステルダム在勤)> 欧州市場でも国債利回りの上昇が目立つようになってきた。投資家が欧州の国債を手放そうとしている状況では、欧州の金融市場の成り立ちを改めて確認しておく必要がある。日米と違い、欧州経済通貨同盟(EMU)は財政に関する組織がない。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和策(QE)を通じた持続的、永続的な国債購入に依存するにも限度がある。  そのうえで欧州債券市場でも政治リスクが意識されるのは、フランス極右政党の国民戦線(FN)やイタリアのポピュリスト政党である「五つ星運動」などの党勢が増しているためだ。これらの政党はEMUから「国」を奪い返したいと考えている。特にイタリアといった対GDPで債務比率の高い国で、財政赤字の拡大を伴う支出を増やし景気を刺激する経済政策へ舵を切る懸念が強まっている。  これらが下地にあった中で米大統領選でドナルド・トランプ氏が予想外の勝利をおさめ、欧州国債売りに拍車がかかった。だが、「トランプ次期大統領」を材料にしたリフレーション・トレードもいずれは落ち着く。14日の米市場で2.30%まで上昇した米10年物国債利回りはいずれ2.00%を割り込むと想定している。  イタリアで12月4日に憲法改正の是非を問う国民投票を控える。ECBは同月に来年3月に期限を迎えるQEの延長を決めるだろう。独10年物国債利回りも年末までに0.25%以下に低下するのではないか。  米連邦準備理事会(FRB)の12月利上げは既定路線になりつつある。その次の利上げ時期は2017年上半期、4~6月期になるだろう。ただ、米景気が緩やかに拡大し金融市場も良好な地合いを維持することが前提で、これには疑問も抱いている。 FRBは来年3月にも3回目の利上げが可能 <ドイツ銀行ウェルス・マネジメント アジア太平洋最高投資責任者(CIO) トゥアン・フイン氏> 今年12月に米連邦準備理事会(FRB)が2度目の利上げをすると予想している。2017年については2回以上の利上げを見込んでいる。経済指標とドナルド・トランプ次期大統領とその新政府が打ち出す政策によっては、17年3月にも3度目の利上げに踏み切ることも可能だろう。  最近の米労働関連の指標は製造業セクターのセンチメント改善の中で持ち直してきた。インフレ率も過去数か月で強含み始めている。トランプ新政権による財政拡張が予想インフレ率を一段と高めれば、FRBの利上げ回数は(市場の想定よりも)多くなるのではないか。 米大統領選以降、外国為替市場でドル相場が上昇基調を強めている。仮に円相場に一段と売り圧力が強まれば、日本株の上昇が潜在的な運用成績の向上につながると見ている。だが、円安は長くは続かないだろう。日本のインフレ率はまだ低水準。7~9月期の国内総生産(GDP)は予想を上回る伸びを示したが、先行きについては輸出に不透明感が漂ったままだ。日銀は政策目標の達成に向けて追加の金融政策を決定する必要に迫られる。 日本株の持ち高に関する評価は「ニュートラル(中立)」を維持しているが、今後の状況を見守っている最中だ。   (取材:QUICKデリバティブズコメント) (編集:QUICK Money World)

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インドネシア、税収厳しく財政規律を堅持 投資環境改善の兆しも

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。 (※この記事は2016年11月7日にQUICK端末で配信した記事です。) インドネシア政府は税収の確保に苦戦 過去2年間、財政赤字が法定上限に達する危険性に直面したため、ジョコ・ウィドド政権は「経済回復のためにこれ以上財政拡大してはいけない」との決意を固めた。一次産品価格の低迷が家計、企業に打撃を与えており、政府は税収の確保に苦戦している。 インドネシア政府が2015年、赤字を法定上限である国内総生産(GDP)の3%に抑えることができたのは、土壇場で緊急性の低い政府支出を削減したためだ。今年は、積極的な支出削減に加え、比較的好調なタックス・アムネスティ(租税特赦)制度の運用を通じて100兆ルピアの税収の上振れが達成できれば、財政赤字はGDPの2.7%を超えない見通しだ。 (出所:QUICK) 政府は国債発行で388兆ルピア以上を調達 インドネシア政府は今年、これまでに国債発行を通じて388兆ルピア(300億米ドル)以上を調達した。これにより、金融機関の流動性が低下したことに加え、不良債権が膨らんでいることもあり、銀行はこれまで以上に融資を増やしにくい状況だ。 さらに悪いことに、インドネシアの国家予算は、2012年から基礎的財政収支が赤字の状態にある。GDPに占める基礎的財政収支の赤字額は、2012年(0.6%)から2015年(1.2%)に倍増した。負債を増やして調達した資金を、各地での道路や橋りょう、学校の建設ではなく、負債元本の支払いに充てていることになる。 このため、国会本会議で先週(10月26日)、赤字目標をGDPの2.4%に設定した2017年度予算案が成立したことに、多くの人が安堵感を示した。 バンク・ダナモン・インドネシア(コード@BDMN/JK)のエコノミスト、ウィスヌ・ワルダナ氏は、「今回の予算案には、『賄える範囲での支出』という考え方が示され、歳入次第という方針が堅持されている。必要な支出ありきで、歳入や調達資金を決めていたこれまでの予算案とは対照的だ」と述べている。 ワルダナ氏は、インドネシア政府が基礎的財政収支の赤字額目標をGDPの0.8%に縮小する方針を示すなど、来年度の予算に関して慎重になっていると指摘。「税収が目標を下回っている限り、重要性が低い支出を削減する方針は変わらない」と述べている。 インドネシアのスリ・ムルヤニ・インドラワティ財務相は、政府は今回の予算案では歳出のやりくりに注力したと説明。「政府は信頼感、安心感、信用を維持する必要がある。まず、我々が直面している経済の実情を予算案に反映させた」と述べた。 投資環境は改善しつつある 一方、投資環境の改善という明るい兆しもある。インドネシアは世界銀行の最新のビジネス環境レポートで順位を15ランク上げて91位となり、調査対象国の中で最大の伸びを示した。 世界銀行は、投資拡大と健全な財政政策が追い風になるとして、インドネシアの来年の経済成長率について今年の予想(5.1%)を上回る5.3%と予測している。 【翻訳・編集:NNA】  本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICK、翻訳・編集者であるNNAおよび情報提供元であるアディ・ビナルソ氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。    

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トランプは「大統領」を演じ切る? ドル円は「政治・外交」が左右の公算(11月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の11月調査を、11月14日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者69人が回答、調査期間は11月9~11日)。この間の為替レートは、対ドルが103円32銭~105円63銭。対ユーロが114円86銭~115円44銭でした。 トランプ米大統領で為替はどう動く? 世界が注目した米大統領選が終わりました。当初、民主党候補のヒラリー・クリントン氏優位と言われ、米国の名だたるメディアの世論調査でもそうなっていたのが、結果はそれを覆して、共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝利しました。トランプ氏は、来年1月20日に行われる大統領就任式をもって、正式に第45代米大統領になります。 その選挙を挟み、マーケットは大きく混乱しました。特に、選挙の開票時間とほぼ同時刻に開いていた日本のマーケットは、株価・為替ともに乱高下しました。日本時間の午前中、クリントン候補優位との見方から1ドル=105円台で推移していたドル円レートは、午後になり、トランプ候補の優位がはっきりするにつれて、一気に101円台まで円高に振れ、日経平均株価は一時、前日比で1000円超下げる場面も見られました。 ところが、開票日翌日のニューヨーク市場では、「トランプ勝利ならリスクオフ」という大方の予想を裏切り、ドル買い・株高の展開に。それを受けて、日本の株式市場でも翌10日は一気に株価が大統領選挙前の水準に戻り、ドル円は107円台をつけています。 マーケットの混乱(急変動)はいつまで続くのでしょうか。今回のアンケート調査で聞いたところ、「一時的」が58%でトップ。次いで「2~3カ月」が19%で、「半年」が12%となりました。 また、マーケット関係者が気になるのは、やはり企業決算が相次ぐ来年3月の状況でしょう。主なマーケットの来年3月末時点における「安値」水準の平均値は、以下のようになりました。 ・ドル円相場・・・・・99.68円  ・日経平均株価・・・・15789.29円  ・ダウ工業株30種平均・17408.93ドル  ・NY原油・・・・・・39.50ドル いずれも安値の目途だという点には注意してください。実際、トランプ次期米大統領がどのような政策を取ってくるのかについては、来年1月20日の大統領就任式を経てみないと分かりませんが、選挙期間中におけるトランプ氏の発言内容からすれば、保護主義的な政策を取ってくる可能性は高く、その点で言えば、ドル円は円高方向に振れやすいとみられています。 仮に1ドル=100円割れの円高水準になれば、輸出企業を中心にして日本企業の業績悪化が懸念されます。14日はリスクオンの流れから日経平均は1万7600円台で推移していますが、円高が進めば当然、株価にもネガティブな影響が生じ、マーケット関係者が予想する1万5789円の安値を意識せざるを得なくなるでしょう。 12月のFOMCでの利上げの可能性は高いが… 米国については12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが行われるかどうかが焦点です。トランプ次期大統領は選挙期間中、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が共和党員ではないというだけで更迭宣言を出しており、もしそれが予定通りに行われるならば、イエレン議長としては自分自身が議長の座から降りる前に、利上げしておきたいという意識が働く可能性があります。つまり12月のFOMCは、イエレン議長が利上げを決定する限られたチャンスの一つといえます。その思惑をマーケット関係者も感じているのか、12月利上げの可能性については、81%が「利上げする」と答えました。 一方、日銀本の金融政策については特に見るべきところもなく、来年3月末までの金融政策については、「追加金融緩和なし」が84%を占めています。 また、年末(2016年12月末)および年度末(2017年3月末)のドル円について、平均値は以下のようになりました。  ・年 末(2016年12月末)=104.84円  ・年度末(2017年3月末)=105.56円 トランプ候補は保護主義的な政策も目につきますが、財政支出拡大や大幅な減税措置などにも言及しており、もし、こうした経済政策がとられるならばドル高要因との声があります。来年1月の正式就任後の政策を見極める必要はありますが、ほんの数日で「トランプショック」から「トランプ期待」へと市場ムードを激変させたトランプ氏の言動に注目せざるを得ないでしょう。ある市場関係者は「今まではトランプを演じていた彼が今度は大統領を演じ切れるか。演じ切るなら米再評価・ドル高ムードは持続する」と予想しています。 ドル、円ともに政治・外交への注目大 ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の103円26銭に比べて円安方向にシフトし、1ドル=104円91銭になりました。さらに3カ月後は1ドル=105円11銭、6カ月後は1ドル=105円42銭というように、徐々に円安方向へと進むとの予測が大半を占めています。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「政治/外交」が前月比で11%上昇して23%になり、「金利/金融政策」は前月比19%低下して43%になりました。また、ドルについては「政治/外交」が前月比38%上昇の57%に。一方で「金利/金融政策」が前月比35%低下して32%となっています。日米ともに政治・外交が為替レートに及ぼす影響に対する関心が高まっています。 また、向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのように推移するのかについては、米ドルDIがプラス19に急落。ユーロはマイナス22で、弱含みの展開が予想されています。イタリアが憲法改正に関する国民投票を12月に行いますが、ここで憲法改正にノーが突き付けられると、レンツィ首相は辞任。欧州連合(EU)離脱を掲げる野党に政権が移れば、再び英国のEU離脱(=ブレクジット)の悪夢が蘇る恐れがあり、ユーロは弱いと判断されているようです。 為替の見通しは円高・円安で拮抗 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、10月に比べてアンダーウエートの比率が低下する一方、オーバーウエートが0%から20%に上昇していました。 また、為替ヘッジについて当面、どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ヘッジ比率を上げる」という回答が0%から10%に上昇するとともに「ヘッジ比率を下げる」という回答も14%から20%に上昇しました。為替レートの先行きについては、円高、円安両面の見方が拮抗しているようです。

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米利上げ「12月実施」予想8割、トランプショックの混乱「一時的」の声

QUICKが現在調査中の11月のQUICK月次調査<外為>を10日までに回収した回答で臨時集計した「速報版」によると、米連邦準備理事会(FRB)が12月に「追加利上げに踏み切る」と予想する外為関係者は79%に達し、「利上げを見送る」(21%)を上回った。外為関係者35人から回答を得た。 米大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝利したことを受け、9日のアジアの金融・株式市場こそ大きく混乱したが、その後の欧米市場や10日のアジア市場は落ち着きを取り戻した。市場では「トランプ氏も大統領就任に向けて現実寄りの路線に修正していくと思われ、大きな混乱は回避される」(証券会社)との声があった。 金融・株式市場の混乱は「一時的」との回答が66% こうした見方を反映してか、金融・株式市場の混乱はいつまで続くか聞いた設問では、「一時的」との回答が66%で最多だった。次に「2~3カ月」が17%で続いた。 【米大統領選後の金融・株式市場の混乱はいつまで続くか?】 一時的   ■■■■■■■■■■■■(66%) 2~3カ月 ■■■(17%) 半年    ■(6%) 1年    (0%) 2~3年  ■(6%) それ以上  (0%) その他   ■(6%)  ただ、回答者からは「トランプ大統領へのリスクヘッジはこれから吟味しながらということになるとみる。共和党の中で分裂した政策論争が話し合いによって収斂していくのか、分裂したままで議会と対立するのかはまだ織り込めない」との慎重な声も聞かれた。 来年3月までの下値メド…ドル円は1ドル=98.94円、日経平均は1万5605円  来年3月に向けての円相場の高値(対ドル)、日経平均株価、ダウ工業株30種平均、NY原油先物の安値をどう予想するかとの質問では、単純平均でそれぞれドル円相場が1ドル=98.94円、日経平均が1万5605円、ダウ平均が1万7185ドル、NY原油は1バレル39.43ドルとなった。  正式な調査結果は11月14日に公表する予定。

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