ビットコインに1万ドルの壁 上昇を阻む「フェイクマネー」懸念

インターネット上の仮想通貨、ビットコインの上値が重くなってきた。空売り持ち高の解消などで一時は1ビットコイン=9000ドル台と約1年ぶりの高値を付けたが、追随する新たな買い手が増えたとの話はとんと聞こえてこない。足元ではしばしば急落を演じ、11日時点では8000ドル前後で推移している。投資家の新規参入を阻む要因の1つとみられているのが、ビットコインとともに主要コインの一角を占める「テザー」(USDT)を巡る懸念だ。 テザーを発行するテザー社は香港の大手交換所ビットフィネックスとの人的な結びつきが強い。その関係でテザーには中国マネーが流れ込みやすいとされてきた。かつては1ドル=1テザーの等価交換をうたっていたが「3月ごろに『1USDT=法定通貨、現金に相当するものまたは(仮想通貨など)その他の資産』と改められたらしい」(ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリスト)という。テザーの裏付けの一部にビットコインが用いられている公算は大きく、「ビットコインが4月から上昇基調をたどった背後に(ビットフィネックスなどの)価格操作的な買いが絡んでいた」との指摘は市場には多い。 ビットコインには3月のテザーの商品設計の変更前にも「価格操作」の疑惑が出ていた。テザーを受け取る側がそれをビットコインなどに換えるなか、相場への支援が必要だったからだ。米テキサス大学のジョン・グリフィン教授などが2018年6月の論文で「17年のビットコインバブルはテザー絡みの買いが一因となった」とまとめたのは記憶に新しい。不当なテザー発行がビットコインの価格操作につながったと米当局からも疑われた。形は変わってもテザーとビットコインの関係性は変わっていないと考えられている。 テザーの時価総額は約32億ドルある。テザー社の顧問弁護士は以前、「ドルでは7割程度しか裏付けがない」と認めていた。3月の設計変更でドル保有の基準は緩んだとはいえ、ビットコイン相場を支えなければならない状況には変わりはなさそうだ。もし価格安定に失敗すればテザーは「フェイクマネー」となり、仮想通貨市場の屋台骨を揺るがしかねない。 もう1つの問題は仮想通貨の業界全体にかかわることだが、銀行などの既存の決済システムになかなか受け入れられない点だ。仮想通貨はマネーロンダリング(資金洗浄)などの違法取引に使われるとの疑念がつきまとう。規制整備にかじを切った日本はまだしも、海外では口座開設や決済処理などを銀行に断られるケースが珍しくない。 ビットフィネックスも同様だ。スイスに本拠地を置く交換業者向け金融サービス提供会社、クリプトキャピタルに決済処理などで依存していた。ところが昨年夏~冬頃にかけて出金遅延が頻発したあげく、クリプトキャピタルに預けていた資産8億5000万ドル相当は事実上、引き出せなくなってしまった。その結果、ビットフィネックスは顧客の預かり資産のうちコントロールしやすいテザーで損失の穴埋めをしたとの疑惑が持ち上がっている。 ビットバンクの長谷川氏は「これだけ問題を起こしているにもかかわらず、テザーはいまも大量の中国マネーの受け皿になっているようだ」と指摘する。厳しい規制を受けている中国の個人などが手持ちのドルをいったんテザーに換え、ビットコインなどに振り向ける動きは根強いためだが、あくまでも局地現象にすぎない。 来年に採掘の報酬としてもらえるコインの量が半分になる「半減期」を控え、市場には「上昇相場に取り残される恐怖(FOMO=Fear Of Missing Out)も生じている」(米調査会社のファンドストラット)との声がある。だが、伝統的な金融・資本市場に比べると依然として課題が多いことを忘れてはならないだろう。 〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

荒ぶるビットコイン、投機マネーが翻弄 流動性の乏しさは不変

インターネット上の仮想通貨ビットコインの変動が再び大きくなってきた。ドル建て価格は4月初めの1ビットコイン=4000ドル台から今週に入って8300ドル台とわずか1カ月で倍になり、ここ数日は数百ドル単位での上下動が目立つ。仮想通貨市場の厚みや取引の自由度を示す「流動性」は法定通貨に遠く及ばない。一部の投機資金が手掛けるまとまった規模の売り買いに振り回されやすくなっている。 ビットコインの急伸局面では欧米ヘッジファンドなどの投機筋による空売り持ち高の解消がささやかれた。一連の動きは主要な投機戦略である「リスク・パリティ」に似ている。 リスク・パリティでは株や債券などの保有資産の持ち高をボラティリティー(変動率)の高さに応じて変えていく。ビットコインの空売りは厳密にいえば資産ではないが、ボラティリティーの強弱が持ち高形成や整理を促す点では同じだ。2019年に入ってコインの採掘者(マイナー)などからの「投げ売り」が収まって相場の反発色が増すにつれ、空売りファンド勢は17~18年初のような上昇方向への変動率の高まりを意識せざるを得なくなったようだ。 そんな中でトランプ米大統領が対中関税を強化する姿勢を示し、米国株の変動性指数(VIX)先物の売りに傾いていたファンドなどを動揺させた。小回りの利くヘッジファンドには仮想通貨を組み込んでいるところが少なくない。欧米主導の株安でリスクをとる余裕がなくなり、コインの買い戻しを促しやすかった面もある。 ドルを基軸とする法定通貨の取引は100万ドル(約1億1000万円)単位が基本だ。市場が厚い円やユーロの対ドル取引では、コンピューター経由の高頻度取引「HFT」が1000分の1~100万分の1秒単位で100万ドル規模の売買を繰り返す。一方、発行量が限られ流動性は上がりにくい仮想通貨は、ブームだった18年初にかけてでさえ機械取引の参入は厳しかった。 HFT全盛の先進国通貨の取引では一日で少なくとも数兆ドル(数百兆円)のお金が行き来するとみられている。これに対し、情報サイトのコインマーケットキャップなどによると仮想通貨の日々の売買高は1000億ドル台まで膨張してきたが、算出に用いられる交換業者のデータには「水増し」疑惑がつきまとう。売買増が投機の持ち高整理主導なら市場参加者の裾野は広がっていないことにもなる。 足元では「安全資産としてのビットコイン」「分散投資の対象としての仮想通貨」といった声も出ている。今後、法定通貨と同様に先物やスワップ市場の整備が進み、機関投資家や企業の利便性が高まる可能性が意識されている。だが巨額の資金をコンスタントに受け入れ続けられるほどの流動性はすぐには望めない。価格変動リスクも大きい。その点は心しておくべきだろう。 【日経QUICKニュース(NQN ) 編集委員 今 晶】

証券営業の凄腕たち【Episode5】若手ならではの視点で企業経営者の懐に

「証券営業・私の戦略」、今回は三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鈴木理大さん。グループの銀行から紹介を受けた企業経営者を主に担当する入社6年目の営業マンだ。若手ならではの視点で顧客の要望をくみ取り、地方支店時代の2016年には英国の欧州連合(EU)離脱決定などによる大荒れ相場にも顧客の信頼を得て社長賞を受賞した。将来は「企業の経営アドバイスまでできる営業担当に」と高い目標を掲げる。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 鈴木理大氏 すずき・まさひろ  2014年慶大卒、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、和歌山支店配属。17年10月本店フィナンシャル・アドバイザリー部へ。入社以来、個人や未上場法人の営業を担当し、現職はフィナンシャル・アドバイザリー第一部の課長代理として、三菱UFJ銀行から紹介される顧客を担当。入社3年目で社長賞を2回受賞。27歳。横浜市出身   他社商品も含め顧客の資産全体に目配り ――2016年は6月に英国のEU離脱(ブレグジット)が決まり、11月には米大統領選でトランプ氏の勝利を受けて相場は大荒れでした。この年に入社3年目で社長賞を受賞するなど成績を残しました。 「ブレグジットのときは株価も急落し相場の見方も総悲観となりました。株式を購入してもらえないなかで、お客様とのコミュニケーションを密にとり潜在ニーズを引き出すよう心掛けました。株などが値下がりしてもリスク回避できるよう、金価格の上昇を見越して金鉱株なども提案しましたし、債券などリスクの少ない商品を勧めるようにしました」 ――相場環境が悪いときに低リスク商品を勧めるのは、他の営業担当者も同じだと思いますが、鈴木さんはどういったことを工夫したのでしょうか。 「自社から購入いただいた商品だけでなく、他社商品も含めお客様の資産全体を把握し、経営者の方に対しては本業のことまで考えたうえで提案ができるように心掛けていました。たとえばいま人手不足や物流コストの上昇で利益が出にくくなっているという悩みを抱えている経営者の方が多くなっています。人手不足はシステムの自動化で補いたいというニーズが高いため関連銘柄の商品を紹介し、物流費の上昇は燃料費高が一因なので、原油価格に連動する上場投資信託(ETF)を紹介するなど固定費を補えるような資産運用の方法を提案しました」 「お客様の話を聞いていると必ず本業の悩みが出てきます。そうした悩みに対応できるようにそれぞれの業界について分析したり、同業の上場会社の情報を提供したりするようにしていました。努力したことは相手に伝わり、事業の方向性についてご相談いただけるようになったこともあります。究極的には経営アドバイスまでできる営業担当者になるのが理想です。商品を売りつけるだけの営業では信頼を得られません」 ――若いということで、話を聞いてもらえないこともあるのでは。 「むしろ若い人がどういったことを考えているか、どういう視点でものを見ているかなどを知りたいと考えている経営者の方は多く、質問を受けることもよくあります。新卒採用に関してもいまの20代がどういう福利厚生を加えれば満足度が高まるか悩んでいるお客様もおられ、私は近い年代なので意見を求められることもあります。またビットコインなど若い人が手掛けることの多い投資商品について聞かれることもあり、そうした話題にも答えられるようにしています」 「銀行や資産運用会社などを持つ金融グループの一員として、金融業界の動向についての情報も提供するようにしています。どういった流れで銀行融資がされているのかなど、業界に身を置いていないとわからないこともありますし、お客様の関心の高いところでもあります。銀行の研修を受け知識を深めるなど、金融業界全体の総合的な視点を持った人材になりたいと考えています」 「5G」「自社株買い」……気になるテーマは徹底的に調べ尽くす ――現在は新設の部署で銀行から紹介された顧客を担当しています。 「グループの銀行とお付き合いのあるお客様になりますが、投資はこれまであまり手掛けたことがなく、漠然とした不安を持っている方が多いです。そういうときは株や債券、投信など主要な金融商品の全体感を説明したうえで、それぞれのニーズに応じた商品を提案し、リターンを具体的に伝えます。たとえば5年債に投資したら年2回これだけの金利収入があるなど、期中のキャッシュフローを含めた説明をするとわかってもらいやすいです」 ――最近の顧客ニーズに変化はありますか。 「低金利が続いているので、リスクを少し取ってみようという方がここ数年増えています。特に法人のお客様は本業で人件費や物流費など固定費が増え利益が圧迫されてきていることも多く、投資により資産を有効活用してカバーしようという考えが出てきています。最近では外債や日経平均株価連動債(日経リンク債)、他社株転換社債(EB債)などの需要が高まってきているように感じます」 ――情報収集や指数などを見る際に気をつけている点は。 「気になったことは自分が納得できるまでデータを深掘りして調べ尽くすようにしています。たとえば現在、投資分野として注目されている次世代通信規格『5G』などの通信インフラ投資は国家事業の一環だと思っており、総務省の公開情報やディスカッションペーパーも読み今後の成長性まで考えるようにしています」 「ソフトバンクグループが2月初めに自社株買いを発表して日経平均を押し上げたように、最近は個別要因が指数を動かしていることも多いと感じています。寄与度の高い銘柄の動きは特に確認するようにし一歩踏み込んで分析した上でお客様に伝えるようにしています。日経平均と東証株価指数(TOPIX)の動きの違いも注視しています。日経平均だけが上がっているときは先物を使った海外投資家の短期的な資金が入っている可能性が高いと考えられます。金や銅の指数や原油価格などコモディティーの動きは中国などの景況感の先行指数としてや、リスク度合いを測る上でも注視しています」 「証券営業担当者も銀行など金融業界全体の知見を持つべきだ」と高い理想を掲げる鈴木さんだが、もともとは金融業界には「全く興味がなかった」という。卒論のテーマは「アジア経済史」。歴史研究で培った文献を読み込む能力がいまの情報収集に生きているようだ。家庭では1歳の娘の父であり、同じグループの銀行に勤める妻とはお互いに仕事の話をするのが息抜きになるという。〔日経QUICKニュース(NQN) 神宮佳江〕 (随時掲載)

平成・危機の目撃者➍ F・ギレスピーが見た欧州債務問題(2013)

大手銀の技術者流出、そこからアルゴが広がった 平成時代の後半を彩ったコンピューター・プログラム取引「アルゴリズム」。アルゴが急速に広がった背景に、ギリシャの財政問題に端を発する危機に揺れた欧州大手銀からの技術者流出があったことはあまり知られていない。米JPモルガンや米ゴールドマン・サックスなどでアルゴに携わったフィリップ・ギレスピー氏は「欧州銀に集まっていたアルゴ専門家がヘッジファンドなどに移っていなければアルゴ取引はここまで普及しなかっただろう」と話す。 フィリップ・ギレスピー氏 ジョージア工科大学経営工学部を卒業し、コンサルタント業務を経験した後の2006年にリーマン・ブラザーズ入社。株部門の電子取引チームに属した。破綻前にリーマンを離れ、カリフォルニア大学で金融工学の修士号を取得しバークレイズ銀行東京支店の為替ディーラーとして市場に戻る。JPモルガンやゴールドマン・サックスを経て、18年2月より電子取引を主体とした暗号資産の流動性提供会社であるB2C2日本法人の代表取締役 ◆日進月歩の技術、慢性的にエンジニア不足 アルゴリズム取引の一種で、目にもとまらぬ速さで売り買いを繰り返す高頻度取引「HFT」は2010年代に入ると頭角を現し、13年(平成25)年ごろには外国為替を中心に進化が速まった。劇的といっていい。 13年前後といえば、ギリシャの債務隠しをきっかけとした危機のあおりで欧州銀の経営不安が拡大。ドイツ銀が不動産の関連商品を販売していた米国で、リスク管理の不備に絡む大型の訴訟案件を抱えるなどスキャンダルも相次いだ。その余波で報酬カットや人員整理などのリストラを余儀なくされた欧州銀から、マーケットに精通した多くのエンジニア(技術者)が流出した。 アルゴはとにもかくにもエンジニア次第だ。現在の仮想通貨(暗号資産)業界が技術者不足に悩んでいるように、技術が日進月歩であるためにその数は慢性的に足りない。しかも為替や株のアルゴには高度な金融知識が求められる。ギリシャ発の危機はそれらの問題点の解決に寄与してくれたわけだ。 HFTは円とユーロの対ドル取引など厚みがある市場で常にオファー(売り)とビッド(買い)双方の注文を示し、基本的にはリスクをとらずに小さな差益を積みあげていくモデルだ。市場に流動性を供給するマーケット・メーカーに似た役割を果たす。他のHFTとの激しい競争に勝ち、利益を出し続けるには技術的なアドバンテージを保ち続けなければならない。 ◆市場拡大で飽和、次は暗号資産へ 山口県で生まれた後、9歳で米国に渡り、小学校から大学まで米国で過ごした。卒業後は経営工学の知識を生かしてコンサルタントとして働いていたが2006年、リーマン・ブラザーズから株のトレーダーにならないかと誘いを受けたのをきっかけにマーケットでのキャリアをスタートさせた。アルゴ取引に出会ったのもそのころだ。 投資銀行には「プロップデスク」と呼ばれる自己売買部門がある。リーマンも同様で、そこでまずは海運コンテナの運賃動向に絡めてどの国のどの資産を取引するのがベストかというプログラムの構築にかかわった。 リーマンが破綻する少し前に入ったカリフォルニア大学バークレー校のハース・スクール・オブ・ビジネスでは大手ヘッジファンドのプロジェクトマネジャーなどそうそうたる面々が講師だった。そこでアルゴのおもしろさにはまり、どっぷりと漬かっていく。ビッドとオファーのさや(スプレッド)を取りに行くマーケット・メイク型アルゴは当時としては新しかった。 以降は英バークレイズ銀の外為ディーラーとしてアルゴを手掛け、JPモルガンを経て15年にゴールドマンに移った。実力主義のゴールドマンは居心地が良かった。だが、ヘッジファンドや他のフィンテック会社に技術的ノウハウが行き渡るにつれて先行きを不安視するようになった。そんな中で元同僚に誘われ、コンピューター時代の落とし子となる暗号資産の市場に転じた。技術者の流入が市場を広げ、飽和していく構図はアルゴと変わりない。 ◆「デジタルゴールド」化の可能性も 17年後半~18年初めのビットコインやビットコイン以外の「オルトコイン」の価格急騰は確かにバブルだった。流動性の低さや手数料の上昇など課題だらけで、金融資産としての人気もすっかり下火だ。それでも限られた自分のお金を守る手段の1つとして依然として魅力的だと考える。 ビットコインはリーマン・ショックの余韻さめやらぬ中で生まれた。銀行預金よりも多額の紙幣や電子マネーが当の銀行によって作り出される状況に対し、「非中央集権」の理念を掲げて登場した。ソブリンリスク(政府の信認リスク)が高まったときの常道は「無国籍通貨の金を買う」。ただデジタル化社会では、ビットコインなどが「デジタルゴールド」のポジションを得てもおかしくはないだろう。 足元では様々な国でポピュリズム(大衆迎合主義)が台頭している。例えばトルコのように経済基盤が脆弱で金利も高く、企業が外貨で資金繰りをしていた国では今後、政府の資本規制や外為リスクが上昇する過程で「自分の資産は自分で守る」との心構えが重要になる。トルコに限らず政治経済、通貨システムなどに難題を抱える国や地域で国境のない暗号資産を求める動きが出るのは自然の流れだ。 日本は株や為替を軸にした金融都市としては近年、シンガポールや香港に後れを取っている。一方、暗号資産の分野では逆転のチャンスがあるのではないか。その「根源的価値」がマクロ経済とどう結びつくのかについてこれから吟味し周知させながら東京を金融センターとして復活させるのが夢だ。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)尾崎也弥 =随時掲載

今度は「クアドリガ」の波紋 ビットコイン交換所への不信さらに

カナダの仮想通貨交換所クアドリガCXの最高経営責任者(CEO)死去を受けた混乱の波紋が静かに広がっている。昨年は日本のコインチェックから約580億円分の仮想通貨が流出し、交換所のガバナンス(管理体制)のずさんさが浮き彫りになった。今回は経営トップの死に伴って通貨喪失のリスクが高まったもので、ガバナンスの深刻さでは昨年以上ともいえる。市場の信認回復は再び遠のいた。 ■「秘密鍵」も葬られた クアドリガはバンクーバーに拠点を置く大手交換所の1つ。話は創業者であるコットンCEOが昨年12月、30歳の若さで急逝したところから始まる。コットン氏は仮想通貨を1人で管理していたらしく、同氏の死により、インターネットから遮断された電子財布「コールドウォレット」を開くためのパスワード「秘密鍵」がわからなくなってしまった。そのため、顧客の預けた資産(日本円で150億円超相当)が引き出し不能に陥った。 京大大学院の岩下直行教授によるとコールドウォレットが開けなくなるのを防ぐには通常、秘密鍵やコンピューターのIPアドレスを印字した「ペーパーウォレット」を作り、頑丈な金庫で保管するなどしてリスクを避ける。ウォレット作成に用いたパソコンは壊す。日本の大手交換所でも同じ対応をとっていると見られる。だが海外では大手でも経営メンバーと機密管理者が極めて少なく、コインチェックの教訓から規制が厳しくなった日本に比べるとガバナンスは緩い。クアドリガのような事態がいつまた起きてもおかしくない状況になっている。 ■非中央集権の思想がアダに ほとんどの仮想通貨の仕組みは非中央集権の思想で成り立っている。投資家は本来は自己責任で保有通貨を管理すべきだが、時間的な制約などでそうもいかないために交換所に預けっぱなしにする構図が生じていた。規制だけで交換所のリスクを排除できないとすれば、投資家はいったいどうすればよいのだろうか。 アルトデザインの藤瀬秀平チーフアナリストは「DEXのような中央管理者のいない交換所を選ぶか、完全な自己責任でウォレットのソフトウエアを管理しなければならない」と指摘する。自己責任でするウォレットの管理は時間も手間もコストもかかり、取引初心者にはハードルが高い。 ビットコインのドル建て価格は足元では1ビットコイン=3300~3400ドル台と、2017年9月以来の安値圏でさえない動きを続けている。クアドリガでの資産凍結や喪失はビットコインなどの需給を一時的には引き締めるが、交換所不信から新規の投資家が参加しなくなれば次に訪れるのは下落基調の再開だろう。 仮想通貨の交換所は本来、銀行のような役割を果たすはずだが「今のところは何もかもがお粗末」(京大大学院の岩下教授)だ。市場は17年12月のピークから大幅に縮んだとはいえ、いまでも技術革新への期待から世界中に保有者がいる。そうした投資家に見切りを付けられないように改革を進められるのか。クアドリガを巡る混乱で情勢はだいぶ厳しくなってきた。 【日経QUICKニュース(NQN ) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

右肩下がりビットコイン「さらに15%下落も」 クリプタクトが分析リポート

ビットコインが下値を切り下げている。仮想通貨の情報サイト、QUICK CRYPTO LABによると、日本時間27日午前11時10分時点の円建て価格は前日比1万1760円(2.75%)安の41万6048円で推移している。 bitFlyerベースで価格を比較すると2017年9月下旬以来、約1年2カ月ぶりの低水準。ちょうど1年前には一時、200万円を突破するなどバブルの様相を呈していたが、年明けから調整局面に入った。さらに11月からは一段安の展開となっている。 背景には様々な要因が考えられる。仮想通貨そのものが盗難されるなど仮想通貨交換業者のセキュリティーに対する不信感のほか、ビットコインの分裂騒動も逆風になった。仮想通貨関連のツール開発・資産管理を手掛けるクリプタクト(東京・千代田)は直近のレポートで「ビットコインの価格はさらに15%近いダウンサイド(36万円)があり得る」と指摘した。 ■2013年12月~17年1月の価格と変動率 ■現在(17年12月~18年11月)の価格と変動率 (いずれもクリプタクト調べ) 同社が今回の分析で利用したのがビットコインの変動率だ。「今回の市場低迷期において2018年11月24日には、2017年12月16日の高値価格と比べて80%下落した。これは前回の低迷期の82%と比較してほぼ同じ水準まですでに下落した計算。前回の底値を意識するなら2%ほどの下落の可能性がある。すなわち現在の価格からみるとおよそ15%の下落、価格にして36万円近辺まで下値余地があることを示唆している」と見る。 一方で「底入れのタイミングも近い」という。「ボラティリティの動きが前回の低迷期と似ていることから、現在起きているボラティリティの上昇は、株式市場でいうところの、いわゆるセリング・クライマックスに近いかもしれない。その場合はボラティリティの落ち着きと共に底値からの反転が生じる」との見方も示した。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ビットコインの変動率が低下、トルコリラ並みに

インターネット上の仮想通貨の変動率(ボラティリティー)がここにきて安定している。ビットコインのボラティリティーは期間によっては法定通貨のトルコリラ並みの水準まで下がった。価格の急変動をもたらした投機資金の大部分は既に退散。仮想通貨市場が脚光を浴びる前から取引をしてきたグループが細々と売り買いを繰り返している程度で前途は多難だが、値動きの荒さを嫌う機関投資家からみると参入障壁が下がるというポジティブな要素もある。   30日のビットコインのドル建て価格は1ビットコイン=6300ドル前後で膠着している。9月までは1日で1000ドル超上下することも少なくなかったが、10月は大きくても300ドル程度の変動にほぼ収まっている。   仮想通貨市場の調査などを手掛けるアルトデザインによると、過去の値動きから算出するヒストリカル・ボラティリティー(HV)は直近1カ月で26%前後と、トルコリラの21%台に比べると5%程度高い水準にとどまっている。直近3カ月のベースでは43%前後と、「トルコショック」を挟んだトルコリラの48%台よりも低い。   コインチェック問題に揺れた1~2月のビットコインのHVは120~130%台だった。現在はその5分の1程度しかない。イーサリアムやリップルなど安全性が高いとされる代表的なオルトコインの変動率も軒並み下がっている。   足元では仮想通貨「テザー」を巡る混乱が続いているほか、カナダの交換所が突然取引を止めるなど相変わらずトラブルは多い。それでも現在市場に参加しているベテランの仮想通貨トレーダーや通貨の採掘者(マイナー)は「市場健全化に向けて避けては通れない道で、想定の範囲内」とほぼ反応しなかった。   波乱材料に対する抵抗力の強さは長期投資にとってはプラスだ。国際通貨研究所の志波和幸主任研究員は「価格がある程度安定していなければ投資家層は広げられない。このまま相場が落ち着けば規制整備に向けた追い風になるだろう」と話す。仮想通貨全体の売買高はピークだった今年1月から大幅に減少しているが、志波氏は「身の丈にあった市場規模は、健全性を高めるために大切なプロセスの1つ」とみる。   主に仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)で生み出されるオルトコインの増加にも一服感が出ている。セキュリティー面で劣るオルトは悪意を持ったハッカーの標的になるなど市場を混乱させてきたが、投資家の視線が厳しくなり、10月はICOによる資金調達額は前年同月割れになるもようだ。   国が旗振り役となってICOの規制を進める機運も高まっている。さらに各国の金融当局者が集まる金融活動作業部会(FATF)は、来年6月までに仮想通貨取引などに関する最初の国際ルール策定に向けて動いているようだ。同じ時期に開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国日本が主導権を取るかもしれない。市場では「外国為替証拠金(FX)取引がレバレッジ規制などで通った道を仮想通貨もようやくたどれる」との期待が出てきた。   【日経QUICKニュース(NQN ) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

仮想通貨カストディー業務、フィデリティが参入

フィデリティ・インベストメンツが15日、仮想通貨への投資支援を目的にフィデリティ・デジタル・アセット・サービシズLLCを立ち上げた。ヘッジファンドや機関投資家に仮想通貨のカストディー(資産の管理・保管)サービスを提供するという。フィデリティは7兆2000億ドル以上の顧客資産を持つ世界最大の金融サービス・プロバイダ。 フィデリティ・インベストメンツのアビゲール・ジョンソン会長兼CEO(最高経営責任者)は15日の声明文で「我々の目標はビットコインなどのデジタルネイティブ資産を投資家が利用しやすくなる事です。この新しいアセット・クラスを顧客が理解し、使いやすくなるための方法を長期的に投資・実験し続けていきます」との見解を示した。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

新種乱立、止まらぬ「オルト離れ」 Zaif問題で心理悪化に拍車

仮想通貨市場でビットコイン以外の「オルトコイン」の需給悪化が続いている。ICO(イニシャル・コイン・オファリング)と呼ばれる仮想通貨技術を使った資金調達に伴うオルトの乱立でただでさえ需給が緩みやすくなっているところに、相次ぐハッキングによる不正流出問題で投資家離れが進んだ。そんな中で20日、国内で仮想通貨の不正流出が発覚。相場の先安観が改めて強まった。 仮想通貨交換会社のテックビューロ(大阪市)は日本時間の20日2時15分ごろ、運営する「Zaif(ザイフ)」に外部からの不正アクセスがあり、管理していたビットコイン、モナコイン、ビットコインキャッシュが流出したと発表した。 ザイフでの被害額は現時点で約67億円相当とみられ、1月にコインチェックで起きた仮想通貨ネム流出時の約580億円と比べると規模は小さいが、投資家は敏感に反応し多くの通貨が売り込まれた。 ビットコインなど市場規模の大きい通貨に打診的な買いが入り、ビットコインは下落前の水準である1ビットコイン=6300~6400ドル台のレンジに戻っている。半面、小規模オルトコインの下げはきつい。情報サイトのコインマーケットキャップを見ると、オルトには週間の下落率10%超えのコインがごろごろしている。 「国内外で頻発する不正流出を受け、交換会社はとりわけオルトコインの取り扱いに慎重にならざるを得なくなった」。そう危機感を抱く市場関係者は多い。 海外では悪意を持ったマイナー(採掘者)がマイナーの少ないオルトコインを狙ってブロックチェーン(分散型台帳)を書き換えてコインを盗み出した事例が増えている。セキュリティー面で脆弱なコインには上場廃止になったものも現れた。 日本国内での仮想通貨交換業には金融庁への登録が必要でコインチェック事件後は事実上、登録停止となっていた。最近になって登録再開の可能性も噂されていたが今回の問題を受け、「金融庁による交換所の登録再開は先送りされかねない」とアルトデザインの藤瀬秀平チーフアナリストは危惧する。 取り扱う交換所が増えなければオルトコインの流通市場の裾野拡大は見込めない。仮想通貨の時価総額全体に占めるオルトの比率は5月以降は下がるばかりで、その裏返しでビットコインの比率が上昇。足元では55~58%程度と昨年12月以来の水準まで高まっている。 ICOが盛んなロシアやスイス、エストニアなどでは現在も新たなオルトコインがどんどん立ち上がっている。その種類は2000近くまで膨れあがった。 アルトデザインの藤瀬氏によると、仮想通貨の市場全体の時価総額はピークだった年初比で4分の1だが、コイン増加により、1通貨あたりの時価総額は6分の1まで減っている。オルトコインの大部分がほとんど取引されていない状況のようだ。投資家の「オルト離れ」が止まる兆しはみえない。 【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

仮想通貨に「客観的な指標の必要性」 研究会報告、QUICKがBC4社の平均算出

昨年から今年前半にかけ急騰・急落を演じた仮想通貨。価格の正当性などいくつかの問題が浮上した中、個人や企業から仮想通貨に係る価格水準や市場動向を把握するためのベンチマークに対するニーズが出ている。これを受けQUICKが主催する「仮想通貨ベンチマーク研究会」は3月~6月にかけて仮想通貨交換業者や金融商品、会計、法律の専門家などと議論を重ね、8月に報告書をまとめた。 最も基本的なニーズは、法定通貨と仮想通貨の交換レート。代表的なビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)については、リップルのような一部の仮想通貨を除いて「日本円との交換レートよりもビットコイン、テザーおよび米国ドルとの交換レートに対してベンチマークに係るニーズがあると考えられる」という。 そのうえで「アルトコイン以外にも資金調達目的のICOトークンや資金調達目的以外のユーティリティトークンなど幅広い多様な仮想通貨・トークンが多数発行されていくことが見込まれる」とした。金融取引用のベンチマークについては「取引可能性」や「価格操作耐性」といったより高度な頑健性が必要との認識でも一致した。 QUICKではビットコインの円建て価格でbitFlyer、BTCBOX、QUOINE、Zaifの4社平均を算出している。 ※QUICK CRYPTO LABのトップページ (QUICK News Line)

超難産ビットコインETF 早期承認に壁、相場回復も遠く

インターネット上の仮想通貨ビットコインが上場投資信託(ETF)を巡る動きに揺れている。米国でのETF承認に対する期待からコイン価格は回復傾向にあったが、早期の承認実現は難しいとの慎重論が徐々に増え、相場の調整を促している。 情報サイトのコインデスクによるとビットコインのドル建て価格は日本時間25日に一時1ビットコイン=8470ドル程度と、5月下旬以来の高値を付けた後に失速。27日朝方には7850ドル程度と、ピーク比で約600ドル下げた。 下落のきっかけは、米著名投資家のウィンクルボス兄弟が上場承認を求めていたビットコインETF「ウィンクルボス・ビットコイン・トラスト」について米証券取引委員会(SEC)が再び不承認を決めたと公表したことだ。兄弟の申請は昨年3月に一度却下され、請願書が改めて出されていたが、SECはこれも拒否した。SECは声明で、仮想通貨の詐欺や価格操作などの不正行為を防ぎ、投資家を保護する機能が取引所に十分備わっていないとの懸念を示している。 ビットコインETFの承認はウィンクルボス兄弟のほか、複数の団体が承認獲得を目指している。とりわけ市場関係者が注目するのは、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が申請し米資産運用会社が手掛けるビットコインETFだ。 CBOEのETF承認を巡る議論の結論が出るのは早くて8月10日。話し合いが長引けば9月に延長される。一方、金融当局の国際機関である金融活動作業部会(FATF)は仮想通貨に関する国際基準の明確化を、次回20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれる10月までに求めているもようだ。 国際通貨研究所の志波和幸主任研究員は「将来的なETF市場の拡大は期待できるものの、ルールが明確に決まるまでは簡単には承認は下りないだろう」と指摘する。ETFが先に承認されてしまうと、国際基準の重要性が薄れてしまいかねない。「判断は来年3月あたりまで持ち越されるのではないか」(アルトデザインの葵聡恵シニアアナリスト)との声も出ている。 ETFは通常、複数の銘柄をパッケージ化している。ただビットコインETFに含まれるのはビットコインだけで、イーサリアムなどのオルトコインに分散投資ができるわけではなさそうだが、ビットコインに絞ることで、交換所ごとに価格が違う「一物多価」や仮想通貨を保管する電子財布であるウォレットのハッキングリスクなどの問題点を克服できると考えられている。「CBOEなど信用力の高い取引所に上場すれば機関投資家や個人が安心してビットコインに投資するのが可能になる」(アルトデザインの葵氏)。 ビットコインは、物価上昇率が年内にも100万パーセントに達する見込みのベネズエラなど自国通貨への信頼が著しく低い国では逃避先としての「実需」が見込める。投機取引が相場の行方を左右しているほとんどの先進国でも、ETFで市場に厚みが出れば、投資対象としての可能性は広がる。そのためにはFATFなどによる厳格なルール整備が不可欠で「規制当局の仮想通貨を巡る議論は米国のみならず、世界各地でこれまで以上に活発になる」(セレントの柳川英一郎シニアアナリスト)と見られている。前途はまだ多難だ。 【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ビットコイン4ヵ月ぶり安値 「テザー」問題に懸念再燃

仮想通貨ビットコインの下落が止まらない。日本時間14日未明、ドル建て価格が1ビットコイン=6100ドル程度と2月6日以来、約4カ月ぶりの安値圏に沈んだ。今週に入ってビットコインの価格操作を疑わせるニュースが相次ぎ、投資家はすっかり疑心暗鬼に陥っている。 情報サイトのコインデスクによると、ビットコインが安値を付けたのは日本時間14日の1時30分ごろ。1週間前の直近高値である7700ドル程度からの下げ幅は1600ドル程度に達した。米テキサス大学のジョン・グリフィン教授のチームが13日に発表した論文で、オルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)のひとつであるテザー(USDT)がビットコインの価格操作に使われたと指摘し、売りのきっかけになったとの見方が多い。   ※コインデスクより   USDTを通じたコイン価格操作のうわさはだいぶ前から流れていた。米商品先物取引委員会(CFTC)は昨年12月の時点で既に状況を把握し、発行会社のテザー社と香港の仮想通貨交換所ビットフィネックスに召喚状を送っていたという。その後しばらく情勢は膠着していたが前週8日、CFTCはビットコイン先物の価格操作に関しても疑いを提起したと伝わった。ヘッジファンドなどの機関投資家は浮き足だち、先物を中心に現物にも売りを進めた。 テザーは米ドルとの等価交換をうたう。厳しい規制を受けている中国マネーなどがドルをテザーにいったん換え、ビットコインなどを取引する際の有力なツールになってきた。ただ市場はすべてのテザーがドルに裏付けされているのか常に疑ってきた。もしドルの裏付けがない不当な発行により、ビットコインなどへの資金流入につながったとすれば当局も見逃すわけにはいかないだろう。 あるUSDT監視サイトによると3月に3億ドル相当のUSDT発行が示されている。テキサス大が今年3月ごろまでのデータに基づいてまとめた今回の論文でも、大量のUSDTを保有するとされるビットフィネックスなどの香港系マネーがUSDT経由でビットコインを買い、昨年以降のビットコイン高を演出したと指摘する。ビットフィネックスとテザー社の経営陣が共通していることも関係者の疑念を助長している。 相場の下値メドはどのあたりだろうか。カギを握りそうなのは新興国の投資家だ。米国の利上げや欧州中央銀行(ECB)の金融政策の正常化により、新興国からの資金流出と通貨安が引き続き警戒される。アルトデザインの藤瀬秀平チーフアナリストは「新興国から先進国への資金移動が今後も進めば、かつてジンバブエやベネズエラで起きたように、資産防衛を目的とした仮想通貨の買いが強まっておかしくない」と予想する。 仮想通貨のデリバティブ(派生商品)取引のプラットフォームを提供するレッジャーXではここ3日間、6月29日を期日とし7000~9000ドルを権利行使価格とするビットコインのコール(買う権利)の取引が活発になっている。足元の6000ドル台からやや値を戻し、7000ドルを下限とするレンジで落ち着きどころを探る展開に移りそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN ) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

賢人も大富豪もビットコインに厳しい見方 関連銘柄の米DPWが7%安

7日の米国市場でパソコン用電源などを手掛け、仮想通貨関連として知られるDPWホールディングスが大幅続落し、7.10%安の0.8639ドルで終えた。仮想通貨のビットコイン(BTC)が1万ドルの節目突破に失敗して大幅安となったことで関連銘柄の一角が軟調だった。コインデスクによれば、ビットコインは1BTC=9188.66ドルまで下げ、前日比で4%超下げた。 米経済専門チャンネルのCNBCによれば、この日に著名投資家らがビットコインに厳しい見方を示したことが売り材料になったという。投資会社バークシャー・ハザウェイを率いるウォーレン・バフェット氏は7日にCNBCのスクウォーク・ボックスに出演し、ビットコインに関して「何も作り出していない資産だ」と厳しい見方を披露した。バフェット氏は従来からビットコインに対して批判的な見解を持っていることで知られるが、この日はマイクロソフトの創業者でビリオネアとしても知られるビル・ゲイツ氏が同じくCNBCに出演し、「ばかげた理論に基づく投資だ。私は簡単な方法があるのなら空売りしたい」と述べたことも警戒されたという。(片平正ニ) DPWホールディングスの2018年1月からの日足チャート QUICK Qr1多機能チャートより   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

帰ってくるかビットコイン投資家 納税の季節終了、米国は250億ドルの需給改善

インターネット上の仮想通貨ビットコインやビットコイン以外の「オルトコイン」の一角がここにきて持ち直している。17日に米国の確定申告の期限を迎え、納税目的で法定通貨に交換するための売りが一巡したためだ。国内の個人投資家を中心に買い意欲が回復し、相場はいくぶん上がりやすくなってきた。 情報サイトのコインデスクによるとビットコインのドル建て価格は前週末以降に上げ幅を広げ、足元では1ビットコイン=8000ドルを挟む水準で推移している。6000ドル台で低迷していた12日ごろまでと比べて1000ドル超値を戻した。 米内国歳入庁(IRS)は仮想通貨の売買益などを課税対象とし、17日までの確定申告を求めている。市場関係者の試算によると米国の家計が納めるべき税額は250億ドル程度、日本円にして2兆円を優に超えるもようだ。納税を控えた仮想通貨の保有者がビットコイン売り・法定通貨買いに動きやすくなるとの見方から、「ヘッジファンドなどの投機筋も現物や先物の売りに傾いた」(アルトデザインの藤瀬秀平チーフアナリスト)。その流れが申告期限を間近に控えた前週末以降に逆回転し始めたわけだ。それに伴い、円建てのビットコインにも底入れ感が出ている。 情報サイトのコインマーケットキャップによるとビットコインの売買高は前週末13日に直近24時間ベースで100億ドル程度と、30億ドル台に沈んでいた前週はじめに比べるとかなり回復した。市場でどの程度自由に売買可能な状況かを示す「流動性」の低下にも一定の歯止めがかかったと受け取れる。 日本国内でも確定申告の季節は既に終わり、個人投資家はだいぶ身軽になっている。FXコインの大西知生社長は「米国の納税期間が終わるのを買いの好機とみなしている個人は多く、今後の相場上昇を後押ししていく」と話す。 仮想通貨の取引プラットフォームを提供するレッジャーXでは14日、2019年12月27日を期日とした2万5000ドルを権利行使価格とするビットコインのコール(買う権利)のオプション取引がまとまった規模で成立していた。以前ほどの熱気はないとしても、中長期的な先高観が復活しているようだ。 日本のコインチェック問題はマネックスグループ(8698)による買収でひとまず幕を閉じようとしている。今後は市場整備に伴い、1~2月のゴタゴタで仮想通貨から離れていた個人が帰ってくるのではないか。市場ではそんな声も聞かれるようになってきた。 【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥】   ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ビットコインが7000ドル割れ FBIが技術サポートを装った詐欺を警告

仮想通貨のビットコイン(BTC)が1日に7000ドルの節目を割り込み大幅安。コインデスクによれば、1BTC=6443.20ドルまで下げ、前日比で6%超の大幅安となった。2月上旬以来の安値圏に下げたことになる。ビットコインは円ベースでも軟調な動きだ。2日の8時半時点で1BTC=72万円台後半と、3月30日比で約1.7%下落して推移している。 情報サイトのコインテレグラフによれば、米連邦捜査局(FBI)のインターネット犯罪苦情センターが3月28日、仮想通貨業界など様々な業種で横行している技術サポートを装った詐欺について警告する公共広告を出したという。広告では、技術支援の提供をかたる犯罪者が政府職員のふりをして、技術サポート詐欺の損害を取り戻すと持ちかけているといい、仮想通貨取引所を通じて詐欺が行われていることが警戒されたもよう。 この日の仮想通貨市場ではイーサリアム、リップル、ビットコインキャッシュなどいわゆるオルトコインも軒並み大幅安となった。   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

イーサリアム急落、ピーク時の4分の1に 個人の焦りが下げ加速

インターネット上の仮想通貨市場に相変わらず活気がない。ここにきて下げが目立つのはビットコインに次ぐ市場規模を有するイーサリアムで、日本時間30日朝方に昨年11月以来の安値を付けた。国内外で相次いだ仮想通貨交換業者の不祥事以降、ヘッジファンドなどの大口投資家の需要は細った。含み損を抱えた個人投資家は焦りを募らせ、売りを急ぐ傾向にある。   イーサリアムのドル建て価格は一時1イーサリアム=370ドル程度と、1月中旬に付けたピークの1400ドル台の4分の1程度になった。ここ1週間で売り圧力が強まり、下落率は30%に達する。イーサリアムは取引記録だけでなく、いつ誰に送金したかなど詳細な契約内容を管理できるといったメリットが多く、昨年後半は仮想通貨技術を使った資金調達「ICO=イニシャル・コイン・オファリング」のニーズが高かった。   年初までは仮想通貨の相場は総じて右肩上がりだったため、ICOブームに乗ってイーサリアムを調達した多くの発行体はすぐには円やドルに換金せず、そのまま保有していたようだ。だが仮想通貨は2月以降、イーサリアムを含めたビットコイン以外の「オルトコイン」主導で総崩れになった。   ICOには発行の枠組みに不透明な部分もあり、投資家の視線は厳しくなっている。「発行体はイーサリアムを慌てて法定通貨に交換しているのではないか」(アルトデザインの藤瀬秀平チーフアナリスト)。しかもイーサリアムには一時、相性の良いスマートコントラクトと呼ばれる自動決済サービスの普及に期待して個人マネーがかなり流れ込んでいた。イーサリアムの売りがほかのオルトコインに波及する負の循環が生じやすい状況だ。   情報サイトのコインマーケットキャップによると、仮想通貨全体の時価総額は30日朝方に2600億ドル台と、ピークだった1月初旬の約8300億ドルの3分の1に減った。オプションや先物市場の動きから判断すると、イーサリアムに対する個人の売りとともに、ヘッジファンドによるビットコイン売りが続いていると受け取れる。   <円建てのビットコインも売られている> ビットコイン価格は日本時間30日午前に1ビットコイン=6700ドル程度まで下げ、6000ドルを割った2月6日以来の安値を付けた。仮想通貨の取引プラットフォームを提供するレッジャーXのデータによると、きょう期日を迎えるビットコインのプット(売る権利)のオプション料から算出した3月30日終値の予想中心値は6000~7000ドル台。足元の水準は「理論値」に近い水準となっている。   主要な投機資金が離れていった市場が態勢を立て直すのは容易ではない。現在もビットコインなどで含み益を有する投資家は、仮想通貨のブーム前からマイニング(採掘)を積極的に手掛けていた中国勢の一角に限られそうだ。   焦点の1つは決済サービスなどを通じた「実需」の拡大だが、高額の手数料など課題が多い。市場低迷がまだ続くことを覚悟すべきだろう。 【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕   ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ビットコイン、9000ドル割れ 「バイナンスに金融庁が警告方針」報道

仮想通貨のビットコインが22日、大幅に下落した。情報サイトのコインデスクによると、1ビットコイン=8495.10ドルまで下げ、節目の9000ドルを割り込んだ。前日比の下落率は4%を超えた。円建てのビットコインも下落した。 日本経済新聞電子版が22日、「金融庁は世界最大の仮想通貨交換業者とされ、香港に本社を置くバイナンスに改正資金決済法に基づく警告を出す方針だ」と報じ、金融当局による規制強化が警戒された。バイナンスは無登録のまま日本で営業しており、金融庁は投資家が損害を被る恐れがあると判断したという。 バイナンスに関しては3月7日に資金の引き出しを停止したことから、ハッキングされたのではないかと同社の運営体制に対する懸念が広がっていた経緯がある。金融庁は23日、バイナンスに改正資金決済法に基づく警告を出したと発表した。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ビットコインが6%安 ツイッターも広告規制準備か

仮想通貨のビットコイン(BTC)が18日に大幅安となった。情報サイトのコインデスクによると、1BTC=7335.57ドルまで下げ、前日比で6%超の下落率を記録した。2月上旬以来の安値水準まで下げたことになる。 英SKYニュースが同日、「ツイッターが仮想通貨の広告を規制する準備をしている」と報じたことが警戒された。 今後2週間以内に規制を導入するといい、仮想通貨による資金調達(ICO、イニシャル・コイン・オファリング)のほか、仮想通貨の業者については一部の例外を除いて広告を規制するという。 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)での仮想通貨の広告規制を巡っては、アルファベット傘下の米検索大手グーグルが14日に6月から実施すると発表。フェイスブックが1月に仮想通貨の広告を禁止すると発表したのに続き、ネット企業の大手から厳しい対応が相次いでいる。 【ビットコインとビットコインキャッシュの1カ月間の値動き】 ※QUICKではビットコインやビットコインキャッシュ、イーサリアムといった仮想通貨の円ベースの価格をナレッジ特設サイトで提供しています。ナレッジ特設サイトは、QUICKの情報端末でご覧いただけます。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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