やっぱり強いドルが一番 トランプ大統領「リブラ、信頼性ない」

QUICKコメントチーム=片平正二  写真=Chesnot/Getty Images、イラスト=たださやか トランプ大統領は11日にツイッターで「私はビットコインやその他の暗号通貨のファンではない。お金ではない。その価値は非常に揮発性と薄い空気に基づいている。規制されていない暗号資産は、麻薬取引やその他の違法な行為を含む違法行為を促進する。フェイスブックの仮想通貨の『リブラ(Libra)」』はほとんど信頼性を持っていない。フェイスブックが銀行になりたいのなら、彼らは他の銀行と同様、銀行の規制がかけられる必要がある」とつぶやいた。 ★トランプ氏のツイッター さらに「米国には唯一の現実の通貨がある。それはかつてないほど強い。それはアメリカドルと呼ばれている!」とツイートを連発し、仮想通貨よりも基軸通貨のドルの信頼性をアピールしていた。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ビットコインに1万ドルの壁 上昇を阻む「フェイクマネー」懸念

インターネット上の仮想通貨、ビットコインの上値が重くなってきた。空売り持ち高の解消などで一時は1ビットコイン=9000ドル台と約1年ぶりの高値を付けたが、追随する新たな買い手が増えたとの話はとんと聞こえてこない。足元ではしばしば急落を演じ、11日時点では8000ドル前後で推移している。投資家の新規参入を阻む要因の1つとみられているのが、ビットコインとともに主要コインの一角を占める「テザー」(USDT)を巡る懸念だ。 テザーを発行するテザー社は香港の大手交換所ビットフィネックスとの人的な結びつきが強い。その関係でテザーには中国マネーが流れ込みやすいとされてきた。かつては1ドル=1テザーの等価交換をうたっていたが「3月ごろに『1USDT=法定通貨、現金に相当するものまたは(仮想通貨など)その他の資産』と改められたらしい」(ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリスト)という。テザーの裏付けの一部にビットコインが用いられている公算は大きく、「ビットコインが4月から上昇基調をたどった背後に(ビットフィネックスなどの)価格操作的な買いが絡んでいた」との指摘は市場には多い。 ビットコインには3月のテザーの商品設計の変更前にも「価格操作」の疑惑が出ていた。テザーを受け取る側がそれをビットコインなどに換えるなか、相場への支援が必要だったからだ。米テキサス大学のジョン・グリフィン教授などが2018年6月の論文で「17年のビットコインバブルはテザー絡みの買いが一因となった」とまとめたのは記憶に新しい。不当なテザー発行がビットコインの価格操作につながったと米当局からも疑われた。形は変わってもテザーとビットコインの関係性は変わっていないと考えられている。 テザーの時価総額は約32億ドルある。テザー社の顧問弁護士は以前、「ドルでは7割程度しか裏付けがない」と認めていた。3月の設計変更でドル保有の基準は緩んだとはいえ、ビットコイン相場を支えなければならない状況には変わりはなさそうだ。もし価格安定に失敗すればテザーは「フェイクマネー」となり、仮想通貨市場の屋台骨を揺るがしかねない。 もう1つの問題は仮想通貨の業界全体にかかわることだが、銀行などの既存の決済システムになかなか受け入れられない点だ。仮想通貨はマネーロンダリング(資金洗浄)などの違法取引に使われるとの疑念がつきまとう。規制整備にかじを切った日本はまだしも、海外では口座開設や決済処理などを銀行に断られるケースが珍しくない。 ビットフィネックスも同様だ。スイスに本拠地を置く交換業者向け金融サービス提供会社、クリプトキャピタルに決済処理などで依存していた。ところが昨年夏~冬頃にかけて出金遅延が頻発したあげく、クリプトキャピタルに預けていた資産8億5000万ドル相当は事実上、引き出せなくなってしまった。その結果、ビットフィネックスは顧客の預かり資産のうちコントロールしやすいテザーで損失の穴埋めをしたとの疑惑が持ち上がっている。 ビットバンクの長谷川氏は「これだけ問題を起こしているにもかかわらず、テザーはいまも大量の中国マネーの受け皿になっているようだ」と指摘する。厳しい規制を受けている中国の個人などが手持ちのドルをいったんテザーに換え、ビットコインなどに振り向ける動きは根強いためだが、あくまでも局地現象にすぎない。 来年に採掘の報酬としてもらえるコインの量が半分になる「半減期」を控え、市場には「上昇相場に取り残される恐怖(FOMO=Fear Of Missing Out)も生じている」(米調査会社のファンドストラット)との声がある。だが、伝統的な金融・資本市場に比べると依然として課題が多いことを忘れてはならないだろう。 〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

平成・危機の目撃者⓮ 大西知生が見た外為指標不正の真実(2013)

信用失墜の瀬戸際、取引ルール作りに奔走 巨大な外国為替市場では参加者の利害関係が極めて複雑だ。しかも相対取引が中心のため長年、明確なルールがないままの「なれ合い」体質がまん延していた。国際ルールが固まったのはつい最近の2017(平成29)年。きっかけは13年、10年代前半まで繰り返されてきた外為指標の不正が発覚したことだ。ルール作りに奔走し「Mr.FXJapan」と呼ばれた大西知生氏は「あそこで動かなければ外為市場は瀕死(ひんし)の状態に陥ったかもしれない」と振り返る。       大西知生氏 おおにし・ともお 1990年に慶大経済学部を卒業し東京銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。その後はチェース・マンハッタン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)やドイツ銀行グループで為替市場にかかわり、2017年12月まで東京外国為替市場委員会の副議長として国際ルールの整備にあたった。現在は仮想通貨(暗号資産)交換業への参入を目指すFXcoinの代表取締役社長 ◆なれ合い体質まん延、顧客無視のディーラーも 2010年代前半、金融・資本市場では2つの大きな不祥事が起きた。一つは世界の企業向け融資や、金利スワップなどのデリバティブ(金融派生商品)の基準となるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を巡る談合問題。12年、欧米大手銀の担当者が自らに利益になるようレートを決めていたことが発覚した。もう一つは13年に明らかになった為替指標の操作疑惑だ。欧米金融機関の一部の為替ディーラーが顧客から受けた注文に関する秘密情報を共有し、決済に絡む指標を操作しようとしていたとわかった。 疑惑発覚前の外為市場には取引規範として明文化されたルールがなかった。大手自動車メーカーがいくら売っている、機関投資家がいくら買っているといった情報があふれ、ディーラーたちが大手顧客の注文に便乗し売買をするといった顧客無視の動きがあった。いまでは禁止されている「見せ玉」などを駆使して収益をあげるのが良いディーラーとさえ思われていた。モラルの高いディーラーはなかなか利益を出せない不公平な状況も生じていた。 外為指標の不正はそうした不公平感や不満が吹き出す引き金にもなったほか、不祥事の責任が個人に対して追及されたために世界中のトレーダーは萎縮し、疑心暗鬼の連鎖によって日々の取引量は目に見えて細った。ルール作りは待ったなしだった。 ◆日本主導でガイドライン、バイサイドを説得 関係者が多岐にわたるとあって道のりは平たんではなかったが、日本がリーダーシップをとってどうにか合意にこぎ着けた。まず東京外国為替市場委員会は「外国為替ガイドライン」を作り、情報共有などについて具体例を挙げながらディーラーができること、できないことを「○」「×」形式で示した。例えば具体的な取引先名や、特定の水準にいくらの注文が控えるかなどは伝えてはならない。 東京を含む主要8カ国・地域の外為市場委員会の代表が東京に集まり2015年3月に開催された「外国為替市場グローバル会合」でこのガイドラインを公表すると、○×方式は分かりやすいと高く評価された。17年5月に国際決済銀行(BIS)が明らかにした「グローバル外為行動規範」でも同じ形式が採用になった。内容は日本に近い。外為業務の国際ルールをようやく一本化できた。 ガイドライン作成にあたってまずは国内の大手銀行、証券のマネジャーたちを集めて会合を開いた。すると「ガイドラインの通りに業務をするともうからなくなるからと反対」との声があがった。半面、自分の部下であるドイツ証券のスタッフには「ガイドラインよりもさらに厳しく律するぐらいにしてほしい」と指示した。顧客の一部は「ドイツ証券は情報をくれなくなった」と離れていった。 ガイドラインを作っても使ってくれる人がいなければ意味がない。大手製造業、商社、機関投資家などの「バイサイド」にも理解してもらわなければならなかった。東京外為市場委員会のメンバーはバイサイドと何度も議論した。 当初は「外為市場の改革というが、そもそもセルサイド(銀行や証券などのセールス部門)が悪いことをしたのが原因。その結果ルールを厳しくしたから情報提供などのサービスクオリティーが低下するのでは納得がいかない」と不満をぶつけてくるバイサイド幹部もいた。それでも市場の健全化はセルサイドだけでなくバイサイドも恩恵を受けるのだと粘り強く説明し、理解を得た。 一方、指標関連の不祥事をもたらしたヒューマン・リスク(人間のトレーダーを置くリスク)を完全に消し去るのは難しい。このところ急速に進んでいるコンピューター取引や人工知能(AI)の活用拡大はこと外為市場では避けられないだろう。感情をもたない機械取引はプログラムに沿って淡々と動くので、恣意的な不正はしない。記録も取りやすく顧客への説明責任を果たせる。 ◆今度は仮想通貨、実需拡大に期待 外為市場で自分ができることは一通りできたかなと思っていたところに仮想通貨と出会った。「外為市場のルール作りをした大西さんのような人が仮想通貨業界にもいたらいいのに」と周囲に乗せられる格好で転身を決めた。「仮想通貨は人々の生活を豊かにする」と確信した当時の思いは変わっていない。 17~18年初めのようなバブルが再び起こる可能性は低く、国際送金などにおける仮想通貨の利用を模索する企業は増えている。バブルを起こした投機取引の熱は冷めたが、決済などに絡む「実需」が拡大すれば、必要なインフラとして世間の認知度が増すだろう。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)尾崎也弥 =随時掲載

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