中国テック投資、東南アジアで拡大 3つの領域に注目 HSBCリポート

HSBCシンガポール CEO トニー・クリップス(Tony Cripps)氏が東南アジアに広がる中国のテクノロジー投資についてリポートします。 ■アリババ、テンセント、JDドットコムが進出 中国の東南アジア向け投資の次の潮流としてテクノロジー分野が一段の存在感を示している。その影響は東南アジアの大手企業にとどまらないだろう。東南アジアの企業はどのような効果を享受するのか、そしてそのための準備は整っているのだろうか。 先に米国が発動した関税をきっかけに中国の投資が米国のシリコンバレーから離れつつあるため、東南アジアのテクノロジー企業がその恩恵を受ける可能性があるのは事実である。ただし、このような見方は東南アジア地域自体の投資先としての魅力を過小評価している。 ASEAN(東南アジア諸国連合)を構成する10ヵ国を対象とした2018年のテクノロジー関連の対内直接投資の総額は、シンガポールのベンチャーキャピタル、セント・ベンチャーズのまとめでは過去最高の110億米ドルに達し、17年の58億米ドルからほぼ倍増した。 この全体の金額の大部分を占めているのが、東南アジアへ進出しているアリババ、テンセント、JDドットコムといった中国のテクノロジー大手による投資である。 東南アジアの消費者や製造業のポテンシャルを考えれば、中国が東南アジア地域へのテクロノジー投資を拡大し始めたことは驚くべきことではない。 2017年と2018年が飛躍的進歩を遂げた2年間であったとすれば、中国の東南アジアへのテクノロジー投資の次のステップはどうなり、地域の企業にどう影響するだろうか。 結論から言うと、このような投資により地域企業が影響を受けるのは確実だ。そして、いくつかの分野が考えられる。 ■スタートアップ1300社以上が資金需要 注目すべきは東南アジアの中堅企業や新興テクノロジー企業に向かう中国からの投資である。 コンサルタント企業ベイン・アンド・カンパニーの調査では、東南アジア企業の1300社以上が2011年からこれまでに新規ビジネスの起業前の段階で初期投資を受け入れている。 これはつまり、需要に見合う投資案件のある東南アジア全域で、企業所有者がベンチャーキャピタル投資やプライベートエクイティ投資を積極的に利用しようとしている、ということだ。 中国はデジタル技術におけるベンチャーキャピタル投資の金額において世界上位3ヵ国の一角を占める。ASEANの新興企業はどちらかといえば過少評価され続けてきたため、これから投資が拡大していく可能性が極めて高い。 直近の事例として、シンガポールに拠点を置く小売業向けコンピューター・ビジョン・ソリューションの大手プロバイダーである新興企業のTRAXが、中国の大手プライベートエクイティ投資会社の博裕資本(Boyu Capital)が主導する投資ラウンドから1億2500万米ドルの資金を調達している。 ■次世代交通などのスマートシティ計画も もう一つの投資分野は東南アジアにおける都市化やスマートシティ構想に関するものになるだろう。 マッキンゼーの推計によれば、「ASEANスマートシティネットワーク」の次世代型交通サービスの社会実装となるスマートモビリティ市場は700億米ドル規模に達する可能性があり、構築環境を高度化するための事業機会も260億米ドルに達すると考えられている。 すでに500を超えるスマートシティ計画が進行する中で、世界で最も多くのスマートシティを有している中国はそれらの計画に貢献するための経験を着実に積んでいる。このような事例としては、マレーシアの首都クアラルンプールが2018年1月にアリババと契約を結び、アリババのクラウドサービス「シティブレイン(City Brain)」を交通管理や都市計画、事故対応に生かす計画を進めていることが挙げられる。 スマートシティに広がるソリューション事業の分野は多国籍企業に限定されるものではない。実際、都市ごとにある固有のニーズの多くは、その都市のことを深く理解している地元の企業だけが掘り起こすことができる。 ■製造業のサプライチェーン底上げ ASEAN地域のサプライチェーンのポテンシャルを思うと、3番目の投資分野は地域の製造業の生産能力を改善する取り組み、ということになるだろう。   中国は自らに代わり東南アジアが技術水準の比較的低い製造業の役割を積極的に担うことを期待してはいるが、東南アジアの技術力と生産能力が拡大しない限りサプライチェーンのシフトは考えにくい。 中国自動車メーカーの吉利汽車(Geely)がその端的な事例だ。吉利汽車は2018年、マレーシア子会社プロトンに技術移転することで大胆な生産コスト削減を発表した。 所得増加や、消費と生産のデジタル化が東南アジアを魅力的な投資先に変えた。しかし地理的に多様であることやビジネス環境が整っていないこと、さらに外国からの投資への法規制がしばしば難題となる。ブロードバンド通信のスピードと容量に問題があるのも確かだ。データや財貨、サービスをデジタルプラットフォーム上で交換し、売買できるようなASEANの統一政策も必要である。 このような課題はあるものの、中国企業は投資を拡大する姿勢にある。 投資を待ち望む地域企業や新興企業は、今後生じるであろう商業的な機会やテクノロジーが生み出す事業機会に敏感だが、事業パートナーや投資家としての中国テクノロジー企業やベンチャーキャピタルに対する理解はおそらくまだ十分ではないと考えられる。 ■デジタルの変革の波、待ったなし このような認識は変える必要がある。なぜなら、デジタルとテクノロジーの発展は急速かつ圧倒的であり、あらゆるセクターがテクノロジーに関係してくる中で、投資競争が激しくなってくるためだ。 投資を引き寄せるためには、企業の中にテクノロジー投資の分野や技術的な課題を積極的に見出せるような適切な環境や文化、考え方を事前に確立しておく必要がある。より具体的に言えば、柔軟でデジタルを重視する考え方を持ち、イノベーションを促進し、新しいアイデアを受け入れる姿勢が求められる。   また、投資家は一段と高い成長と実績を事業にもたらすパートナーであるという考え方も必要である。 技術進歩の最先端にある企業であれ、自社のテクノロジーの信頼性を高めようとしている企業であれ、多くの企業にとってこのような変革を戦略的あるいは文化的に進めていくことは一筋縄では行かず、必ず課題に直面するものである。しかし事業機会を捉えるためには今すぐに変革に着手する必要がある。なぜならば、歳月が人を待たないのと同じく、デジタルの変革も人を待たないからである。   本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元であるトニー・クリップス氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。

あの時だれが米テック株を売ったのか 大口投資家の動向、SEC開示でじき判明

昨年末にかけて売りが加速し、市場参加者の肝を冷やさせた米ハイテク株。あの下げを主導していたのは誰だったのか。ヒントは米証券取引委員会(SEC)が近く公表する保有有価証券報告書にあるかもしれないーー。 SECは、四半期ごとに機関投資家の保有有価証券報告書を公表している。2月半ばに2018年10 ~12月期の投資状況が明かされる予定だ。ちょうど米株式相場が調整局面に入っていた時期にあたる。 時価総額の大きなハイテク株を中心に値崩れが目立ち、クリスマスには下値を試したテック株ショック。象徴的だったのが半導体のエヌビディアだ。昨年10月初旬に300ドルの大台をうかがっていた株価が一転して下落。ほぼ右肩下がりを演じ、12月下旬には半値以下の120ドル台に沈んだ。 エヌビディアの売り手について疑心暗鬼のまま年明けを迎えた市場にひとつ答えがもたらされたのは2月上旬だった。ソフトバンクグループ(9984)が開示した18年10~12月期決算の開示資料で、「10兆円ファンド(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)」を通じて大量に保有していたエヌビディア株を全株売却したことが明らかになったのだ。 急落したエヌビディアの株価は大口保有者が抜けた穴を埋めきれないように、売り一巡後も戻りが弱い。需給面で大口投資家の動向はやはり無視できない。足元では米運用会社のTロウ・プライス・グループがテスラの保有株数を12月末までに半分程度に減らしていたことが明らかになった。年末にかけて下落基調となったテスラ株の戻りも、また鈍い。 これから保有状況が開示される著名投資家やファンドで、注目を集めるのは、バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイだろう。同氏が昨年9月末時点で最も強気だったアップルの18年10~12月期業績は、減収減益。同期間の株価も230ドル台から140ドル台に低下した。アップル株の急落に足を引っ張られるように「バフェット銘柄」は下落。この半年程度で8%下落し、S&P500種株価指数の3%下落を下回った。 このところバフェット銘柄(合成株価=グラフ青)はさえない ※合成株価は18年9月末時点のバークシャー保有銘柄の上位10銘柄(アップル、バンカメ、ウェルズ・ファーゴ、コカ・コーラなど) 大口投資家であるバフェット氏が仮にアップル株の投資比率を引き下げていた場合、先行きの利益成長を見限ったといえるかもしれない。バフェット氏が見切りをつけたならば、アップル株の戻りは鈍くなり、結果として米株式相場の上値を重くしかねない。日本の個人投資家などに与える心理的状況も気がかりだ。 加えて、バークシャーは以前から金融セクターの投資比率が4割と大きく、金利感応度が高めのポートフォリオになっていた。米連邦準備理事会(FRB)が足元で利上げ一時停止を示唆するなど「ハト派」の姿勢も見せ始めている。金利上昇が思うように進まないと判断するなら、ポートフォリオの中に金融株をとどめておく意味はあるのか。バフェット氏の金融株の扱いも関心を集めそうだ。 バークシャー・ハザウェイは異なる側面からも最近、話題だ。英フィナンシャル・タイムズ電子版は1月下旬、同社がリチウムイオン電池事業に乗り出すと報じた。この電池は電気自動車(EV)などに使用され、テスラに供給に関する交渉を始めているようだ。バークシャー・ハザウェイがテスラに投資していればサプライズだろう。 そのほかの投資家では、デービッド・テッパー氏が率いるアルパーサ・マネジメントにも注目したい。同ファンドの保有上位にはフェイスブックやアルファベット、アリババなど「FANGプラス指数」の採用銘柄が多いためだ。 また伝説のファンド、タイガー・ファンドを運用していたジュリアン・ロバートソン氏や、ローン・パイン・キャピタルも似たようにハイテク株への投資比率が高い。これらのファンドが一斉にハイテク株を手放したのか。それとも保有を維持しているのか。出てくる答えによって今後の投資シナリオが左右される可能性がある。(根岸てるみ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

【朝イチ便利帳】30日 中国副首相が訪米し貿易協議 決算はキヤノン、JR各社、テスラ、ボーイングなど

30日は中国の劉鶴副首相が訪米(~31日)してUSTR代表らと貿易協議に臨むほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表される。そのほか、キヤノン(7751)、東日本旅客鉄道(9020)や米フェイスブック、マイクロソフトなどの決算発表が予定されている。   【30日の予定】 国内 時刻 予定 8:50 12月の商業動態統計速報(経産省) 10:00 全国財務局長会議 14:00 1月の消費動向調査(内閣府) その他 統計委員会(総務省)   12月期決算=ヒューリック、キヤノン   4〜12月期決算=三越伊勢丹、積水化、OLC、日立建機、オムロン、NEC、シャープ、TDK、アドテスト、スクリン、新生銀、三井住友トラ、岡三、丸三、東洋、東海東京、水戸、いちよし、沢田HD、丸八証券、藍沢、JR東日本、JR西日本、JR東海、ヤマトHD、東電HD 海外 時刻 予定 0:00 12月の米仮契約住宅販売指数(31日) 4:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表(31日) 4:30 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が会見(31日) 9:30 10〜12月期の豪消費者物価指数(CPI) 22:15 1月のオートマチックデータプロセッシング(ADP)全米雇用リポート その他 1月の独CPI速報値   中国の劉鶴副首相が訪米(31日まで) 米通商代表部(USTR)ライトハイザー代表らと貿易協議   10〜12月期決算=フェイスブック、マイクロソフト、テスラ、ボーイング、マクドナルド、ビザ、ペイパル、AT&T、アリババ集団 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 4592 サンバイオ、夜間市場で急落 治験結果に失望売り 日経 +4.55% 1/29 4549 栄研化、4〜12月純利益27%増 検査薬販売伸びる 日経 +2.86% 1/29 9531 東ガス、九州電などと千葉に計画の火力発電所 石炭断念、LNGに 日経 +2.41% 1/29 9508 +0.81% 1/29 9658 ビジ太田昭、11年ぶり営業最高益 今期16億円に 日経 +1.97% 1/29 9984 ソフトバンクG、20年度本社移転 ウィーワークがデザイン 日経 +1.53% 1/29 3098 ココカラF、4〜12月営業益1割減 季節品不振 日経 +1.51% 1/29 9202 ANA4〜12月、営業益6%減 原油高響く 比航空大手に出資も発表 日経 +1.27% 1/29 1333 マルハニチロ、ベイスターズのスポンサー復活 日経 +1.23% 1/29 8316 三井住友FG傘下の三井住友銀行、インドネシアで銀行統合 来月、出資銀と現法 日経 +0.67% 1/29 4063 信越化、4〜12月長期契約テコに最高益 ウエハー塩ビ改善 日経 -0.36% 1/29 7238 ブレーキ、金融支援要請 事業再生ADR、トヨタには出資打診 日経 -0.46% 1/29 7203 -0.19% 1/29 7242 KYB、住友精と防衛品で過大請求 日経 -0.50% 1/29 6355 -1.11% 1/29 9962 ミスミG、今期純利益8%減 日経 -1.08% 1/29 6770 アルプスアル、今期49%減益 車向け不振 日経 -1.30% 1/29 8601 大和、4〜12月32%減益 日経 -2.89% 1/29 6383 ダイフク、4〜12月営業益3割増 物流自動化が好調 日経 -2.96% 1/29 5191 住友理工、今期最終43%減益 中国の車生産縮小で 日経 -7.37% 1/29

アボガドから電気自動車まで、存在感増す中国の消費者 HSBCリポート

HSBC中国の社長兼CEO(最高経営責任者)のデイヴィッド・リャオ氏が、存在感を増している中国の消費者についてリポートします。 ■新世代と消費の洗練 中国において消費者の味覚は急激に変化しています。7年前には中国のアボカドの輸入量は約30トンに過ぎず、中国の食卓に滅多に上がることのない、中米原産の果物で変わった食材でしかありませんでした。 しかし2017年になると、チリやメキシコ、ペルーから中国が輸入したアボカドの量は3万2200トンと、アボカド・トースト2億食分をまかなうのに十分な量に達しています。 中国のニューリッチの贅沢さや、スイスの高級時計からデザイナー・ハンドバッグ、スーパーヨットまであらゆるモノへの並外れた影響については近年多く語られてきています。しかし、中国は単に「クレイジー・リッチ!」(2018年公開の米国映画)の国ということだけではなく、富が都市中心部から地方の中核地域に波及するにつれ、インターネットに精通し聡明でより高学歴の新世代が中心となり、消費がさらに洗練され包括的になっていることはあまり認識されていません。 保護主義の高まりや貿易摩擦により世界中で企業にとっての不安が増すなか、今こそ国際的企業はこうした新しい消費者と商品需要をけん引するその潜在力に目を向けるときなのです。 中国がグローバル企業にとって重要なターゲット市場であることに疑問の余地はありません。公式推計によると、中国は2018年から2022年の5年間に8兆米ドル相当の商品を輸入するとみられていますが、これは1年当たり平均1兆6000億米ドルに上り、昨年のカナダまたは韓国のGDPにほぼ匹敵します。 ■中国、世界の商品が向かう市場に 訪日する中国人の数も増加し続け、中国人旅行客の数は他国を上回っています。経済産業省の平成29年度の「電子商取引に関する市場調査」によると、中国でクロスボーダー(国境を越えた)電子商取引を用いて日本の商品を購入した買い物客の40.4%が、過去の訪日時に買ったお気に入りの商品を再度購入したと答えています。 日本の企業から中国の消費者がクロスボーダー電子商取引を通じて購入した総額は前年の1兆366億円から25.2%増加して1兆2978億円に上りました。 HSBCの「ナビゲーター・レポート」によると、加工用の中間財および増加する中国の富裕層を満足させる最終財の双方の需要を反映し、2017年から2030年の間に中国の財貨輸入は平均で年間約8%増加すると予想しています。中国はすでに日本の第2位の輸出相手国です。2030年までに中国は米国に代わり日本の最大の輸出市場になると予想されています。 これは中国が輸出および国家主導型の投資にもとづいた成長から脱却しつつ、その14億人もの人々の消費を一層促進しているということです。「メイド・イン・チャイナ」商品が全世界の市場に向けて輸出されるという古いモデルは、逆に中国自体が他のどこかで作られた製品が向かう先になるというモデルにゆっくりと、しかし着実に移行しているのです。 このリバランスの兆しは、上海でまもなく開催される中国国際輸入博覧会(CIIE)にみられます。過去において中国で開催された展示会は中国企業の世界に向けた輸出に関するものばかりでしたが、それとは対照的に、このイベントは外国企業による中国市場での販売を目的としたものです。11月5~10日の6日間にわたり、数十万平方メートルもの展示スペースが国際的な出展者に提供され、食品から医薬品、家電、自動車などの製品が展示されます。 ■可処分所得、40年で100倍 中国政府が経済改革に着手し、外国投資家に国を開放して以来40年の間に拡大してきた購買力が企業を引き寄せています。2017年には都市部世帯の一人当たり可処分所得は3万6396元(5600米ドル)となり、1978年当時の100倍に達しました。また、農村部世帯の所得も増加しています。 こうした中国の消費者は単に豊かになってきただけではありません。マッキンゼーのレポートによると、中国の消費者はより健康志向で、環境に配慮しており、ブランドや購入する物の品質についてますます意識が高くなっています。 アボカドに象徴されるこのような中国の消費者の嗜好の変化に企業は気づき始めています。 2008年に撤退し、昨年中国に再参入したタコベル(Taco Bell)は、余計な脂を削減し、より健康的なアボカド・ブリトーを新たな中国の第1号店舗で販売しています。上海だけでも、現在では160店舗以上のレストランでスマッシュド・アボカドを載せたトーストが提供されています。これは、西洋のミレニアル世代の間で人気が出たことにより有名になったメニューです。 スターバックスは中国でコーヒー愛飲者が増加したことにより、同社の最大市場が米国から中国に代わるとみており、テスラも2025年までに世界の電気自動車販売台数の約半分を購入すると予想されている中国のドライバーをターゲットにしています。 さらに電子商取引の拡大もあり、消費の裾野が広がってきています。アリババやJDドットコムなどのプラットフォーム運営企業が、裕福な沿岸地域から内陸部の比較的小規模な都市や町まで世界中の商品を届けています。最近では、奥地の農村地域の消費者でも、村に拠点を置く貨物倉庫やオート三輪またはドローンを使ってブランド物の粉ミルクやオムツを赤ん坊のために購入することが可能です。 ■長期的に潜在力は大きく 確かに、中国のように巨大で複雑かつ急速に進展している市場に売り込むには困難が伴います。 経済が成熟するほど、所得はかつてほど急速に増えるものではありません。そして現在の貿易摩擦が企業や消費者心理に悪影響を及ぼすことは言うまでもありません。 そのうえ、外国企業は変化し続ける消費者の嗜好と、電子商取引とデジタル・ペイメント・ツールの目まぐるしい急速な発展に対応する必要があります。また、俊敏でハイテク化の進んだ現地企業との激化する競争にも備える必要があります。テスラの場合、「中国のテスラ」を目指してしのぎを削る数多くの現地の電気自動車企業と競合しており、コーヒー業界では北京に本拠を置くラッキン・コーヒーが設立から1年足らずのうちに何百店舗をも開店し、スターバックスを脅かしています。 しかし、こうしたことは14億人の消費者が全世界の輸出企業の対象となる、極めて大きな長期的潜在力を弱めるものでは決してありません。上海のカフェでブランチを楽しんでいるミレニアル世代から湖南省の村でオムツが届くのを待っている子育て世代に至るまで、中国の消費者はより一層裕福に、そして見識も豊かになっています。かつてないほど中国の消費者は企業にとって、最も重要なターゲット市場となっています。それが世界中の輸出企業が11月に上海に集う理由であり、国際的に収益を拡大したいすべての企業が、すぐに中国に参入すべき理由なのです。 本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元であるデイヴィッド・リャオ氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。

中国版FANGの「BATJ」 本土市場への里帰り模索

米国の有力ハイテク企業の頭文字をつなげた「FANG」の中国版といえるのが「BATJ(バットジェイ)」だ。百度(バイドゥ)、アリババ集団、騰訊控股(テンセント)、京東集団(JDドットコム)という中国の代表的ネット企業4社の英語表記の頭文字をつなげて海外の投資家はこう呼ぶ。米国や香港に上場する「BATJ」が、中国本土の上海・深セン市場への上場を模索している。 中国メディアの財新などは「BATJ」を含む海外上場の8社が、預託証券を発行して上海あるいは深センに重複上場を検討していると報じた。残りの4社として候補に挙がっているのは旅行予約サイトの携程旅行網(シートリップ)、中国版ツイッターの微博(ウェイボ)、ポータルサイトの網易(ネットイース)、光学レンズの舜宇光学科技だ。 受け入れ側となる中国当局はネット企業の呼び込みに環境整備を進めている。今年後半にも中国預託証券(CDR)に関するガイドラインを設け、証券監督委員会(証監会)は年末にかけてCDR上場申請の受け付けを始めるとの観測が出ている。 「BATJ」は、大規模な資金調達が可能で国際的なブランド力向上のメリットもあることから、ニューヨークや香港に上場している。中国本土への上場は、審査期間が長いことも彼らが敬遠してきた一因だ。だが、中国では市場活性化に有力企業の誘致が課題になってきた。 この1年間、上海株式相場は横ばいだが米国や香港に上場するBATJは大幅に上昇している 上海の市場関係者は「ネット関連などニューエコノミー企業の誘致へ当局のムードが変わってきた」(東洋証券上海代表処の黄永錫代表)と期待を寄せる。今年に入ってからは、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下のハイテク企業、フォックスコン・インダストリアル・インターネット(FII)の上場の手続きが異例の速さで進んでいる。株式市場では、先端技術に関連する有力企業の上場審査を優先させる姿勢と受け止められている。 百度の李彦宏董事長兼最高経営責任者(CEO)は「本土市場への上場を夢見てきた」と表明した。審査期間の長さなどの障壁がなくなれば本土上場に前向きな企業は多いとみられ、今年中に香港への上場が見込まれる中国スマートフォン大手の小米(シャオミ)も、中国本土への重複上場をうかがっているとされる。 中国当局にとって、有力ネット企業の誘致は急速に広がるネットサービスに規制の網をかけやすくなるという狙いもあるかもしれない。とはいえ、高い成長性や知名度を誇るネット大手の上場が実現すれば株式市場の活性化につながるのは間違いなさそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN)香港=柘植康文】 ※NQNが配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます

米時価総額上位は「AAA」に ネットの巨人5社で東証1部の半分超

米市場で「企業の価値」のランキングに変化が出ている。QUICK FactSet Workstationによると、14日終値時点でアマゾン・ドット・コムの時価総額は7024億ドル(約74兆8000億円)だった。マイクロソフトの6992億ドルを上回り、米市場に上場する企業の中で3位に浮上した。 【米株式市場の時価総額上位】 アマゾンは年初から改めて業績面などの成長期待が強まり株高が加速。2日には上場来高値となる1498ドルまで上昇した。一方のマイクロソフトも似たような展開だったが、「成長」という面ではアマゾンの方が期待値が高い。投資指標にも明確に表れており、アマゾンの予想PER(株価収益率、12か月先利益予想ベース)は170倍を超えている一方でマイクロソフトは25倍程度だ。 【アマゾン(青)とマイクロソフト(緑)の過去1年間の株価推移】 (注)QUICK FactSet Workstationより作成。チャートは1年前の株価(終値)を100として指数化 時価総額ランキングではトップにアップル、続いてグーグルを傘下に持つアルファベット、そしてアマゾンとなり「AAA」の上位3社が占めるようになった。マイクロソフトの次となる5位にはフェイスブックが位置している。 さらに中国企業ながらもニューヨーク証券取引所(NYSE)に米預託証券(ADR)を上場させているアリババ集団が追う構図だ。これら5社の合計時価総額は3兆2949億ドル、およそ350兆円にもおよび東証一部の時価総額(638兆円)の半分を占める計算になる。 世界的な経済構造の変化を先導するこれらの企業にマネーが群がり続けるのか。注目を集めそうだ。 (QUICKデリバティブズコメント) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

アリババ、5億人のデータを「リアル」活用 商取引の転換目指す【アジア特Q便】

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏が中国インターネット通販最大手、アリババ集団の動きをレポートします。   2016年開催のアリババ集団のフォーラム「雲棲大会」で、馬雲会長は初めて「ニューリテール(新小売り)」というコンセプトを打ち出した。その戦略の一つが、オフライン企業への投資や買収を通じてオンラインとオフラインの業務を結合するというものだ。百貨店業態がアリババによる従来のリテール改造の最初の試験場となる。アリババは14年3月に香港株式市場に上場していた中国百貨店大手の 銀泰商業に53億7000万香港ドルを出資し、同社の2番目の大株主となった。さらに17年5月には同社の株式を非公開化した。 「生活選集(ハウスセレクション)」はアリババと銀泰商業が提携する新たな小売りプロジェクトだ。生活選集は16年12月、銀泰商業の浙江省杭州市の武林店内に1号店を開設した。面積約1200平方メートルの店内に並ぶ商品はいずれも、アリババ傘下の通販サイト「天猫(Tモール)」の良質な「淘(タオ)ブランド」。ホームテキスタイルや食器・調理具、家具、児童用品、ペット関連のほか、撮影といったクロスオーバーなサービスを含めた6つの商品群をそろえている。 ハイパーマーケットとショッピングモール内スーパーは、アリババによる従来のリテール改造の2つ目の試験場となる。アリババは17年11月、約224億香港ドルを投じて高キン零售(サンアート・リテール)の株式36.16%を直接的、間接的に取得すると発表した。サンアートは中国最大規模のハイパーマーケット運営企業で、「欧尚(オーシャン)」「大潤発(RTマート)」という2大ブランドで全国29省・市・自治区にハイパーマーケット446店を展開している。16年度の売上高は1000億人民元を超え、長年に渡り中国小売業界でトップシェアを維持している。 その後、アリババはサンアートに対して同社発行済み株式すべてをまとめて買収すると提案した。しかし、結果はサンアートの発行済み株式の約0.0032%の30万3600株を取得したにとどまった。このため、サンアートは引き続き香港株式市場で上場を維持している。 サンアートの非公開化に失敗したものの、アリババはわずか1カ月でアリババ経済圏の5億人を超える消費者や数百万社に上る販売業者、クラウドプラットフォーム、ビッグデータのリソースが、大潤発のサプライチェーンの店舗ネットワークにダイナミックに融合しつつあることを明らかにした。ネットスーパー「天猫スーパー」 の100万点を超える精選された商品が大潤発の20都市にある店舗167軒に導入されたと発表した。 調査研究機関のリポートによると、日用消費財(FMCG)分野の約1割の消費者がサンアート(欧尚+大潤発)の消費者であると同時に、淘宝(タオバオ)系列(天猫+淘宝)の消費者でもある。このため、両社の提携は相乗効果を生み、新たな市場の獲得が可能だという。両社は今後さらに、かつてない消費体験を消費者に提供するべく、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった新たな技術を提供していくとみられている。 一方、アリババ集団は引き続き、ニューリテールの事業組織の変更を進めていく。同社はこのほどクラウドリテール事業部と天猫、淘宝とを全面的に合併させると発表した。天猫のニューリテールプラットフォーム事業部がアリババ集団のクラウドのインフラ設備やデジタル化能力、ビッグデータのリソースを統合することになる。 アリババはクラウドリテール事業部のニューリテール業務とデジタル業務の全面的な融合で、オンライン・オフライン一貫のより完備されたサポートを世界のブランドに提供し、商取引(コマース)全体の大転換をけん引すると表明した。同時に世界のブランドとともに、最先端のニューリテール業態を通じ、より高い消費者ニーズを満たしていくとも述べている。 ※アジア特Q便は、QUICK端末で先行してご覧いただけます。 本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元であるルイス・ウォン氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。

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