議長も議会も「リブラ」は好きじゃない? 世界27億人の仮想通貨に警戒の声

25日の米株式市場でフェイスブックが続落し、前日比1.95%安の188.84ドルで取引を終えた。株価は上昇基調にあり5月に付けた高値を視野に入れつつあるが、同社が中心となって開発を進めている仮想通貨(暗号資産)に対する、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言を嫌気した売りが優勢となった。 パウエル議長は同日、仮想通貨「リブラ(Libra)」に対して「規模を考えると、消費者保護の観点や規制の観点から(同通貨に対する要求として)私たちの期待は非常に高いものになるだろうと」との姿勢を示した。リブラがサービスを開始するまでに解決すべき課題の多さが改めて意識された格好だ。重要インフラを担うIT大手が信用不安やサイバー攻撃などに直面した場合の危険性には国際決済銀行(BIS)も警戒感を強めている。 また、18日に米下院金融委員会のマキシン・ウオーターズ委員長はリブラの「開発を停止することに合意するよう求める」との声明を発表している。仮想通貨に対する規制の枠組みが確立されていないことを危惧しているほか、27億人のユーザーを抱えるフェイスブックへの個人情報保護対策に懸念があり、規制当局や議会の精査が必要との見解が示されている。(川口究、大野弘貴) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

7月の50bp利下げに否定的 FRBのMr.ハト派の発言、思惑呼ぶ

25日にセントルイス地区連銀のブラード総裁がブルームバーグTVとのインタビューで「大きな行動を取る必要があるとは思っていない」と述べて50bpの利下げに否定的な見方を表明した。ブラード氏は18~19日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で唯一利下げを主張したハト派の人物だった。さらにこの日は、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がニューヨークで行われた講演で「金融緩和の必然性は高まっているが、個別のデータや短期的な心理の振幅に過剰反応しないようにも注意している」「FRBは短期的な政治圧力から保護されている」などと述べて早期の大幅利下げに否定的な見方を示した。 CMEグループのFedウォッチツールで7月FOMCでの50bp利下げの織り込み度は34.3%となり、前日(42.6%)から低下して3割台となった。 パウエル氏やブラード氏の発言を踏まえ、エバコアISIは25日付のリポートで「ブラード氏がFOMCを主導する形で発言したとは思えないが、6月に25bpの利下げを主張していた人物が7月の50bp利下げを後押しする準備ができていないという事実は、7月FOMCでの50bp利下げに対する思惑を冷却するに違いない」と指摘した。その上で同社の基本シナリオとしては「7月に50bpの利下げを行うのではなく、7月・9月に25bpずつの利下げを行うだろう」と指摘。さらに「ブラード氏の発言は、金融政策の判断が市場より遅れて緊急利下げとなりかねない『ビハインド・ザ・カーブ』ではなく、予防的に先んじて利下げに動く『アヘッド・オブ・ザ・カーブ』をFOMCが検討しているとみられる我々の判断を補強するものだ」とも指摘していた。 ■米債ボラティリティー(青)は高止まり(QUICK FactSet Workstationより) 米国債の先行きボラティリティを示すメリルリンチのMOVEインデックスは高止まりしている。25日には74.22となり、6月に入ってからは60を大幅に上回った状況が続いている。この日は50bpの利下げ観測が後退した割には、株安に加え、6月の米消費者信頼感指数が1年9カ月ぶりの水準に悪化したことを受けて債券が買われる展開だった。恐怖指数のVIXがやや上昇する一方、MOVEインデックスが高止まりしていることから米債市場発の激しい値動きが警戒されそうだ。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

「農業のファンダメンタルズ変わった」 農機株にマネー流入

24日の株式市場で農機具などを手がけるディーアが6日続伸し、日中取引の終値は前週末比2%高の166.88ドルだった。一時168.38ドルまで買われ、4月18日に付けた52週高値(169.99ドル)に接近する場面があった。米ジェフリーズが「農業のファンダメンタルズがついに変わった」として、目標株価を150ドルから190ドル、投資判断を「ホールド」から「バイ」にそれぞれ引き上げ、買い材料視された。 穀物の過剰供給と価格の下落による需給バランスの崩れがおさまり、向こう2~3年は家畜も含めた作物市況が改善すると分析。グローバルで農機具の買い替えやアップグレードが進むと指摘した。ディーア株は作物市況の改善を手がかりに、ここ1カ月で20%ほど上昇していた。同じく米農機大手のアグコも反発し、前日比2.36%高の76.51ドルで終えた。アグコの株価は20日までに10日続伸していた。ジェフリーズは24日付のリポートでアグコの投資判断を「ホールド」から「バイ」に、目標株価を70ドルから90ドルにそれぞれ引き上げた。 ■穀物相場は足元堅調(黄色が大豆、赤はトウモロコシ、青は小麦) この2ヵ月ほど、シカゴ市場では小麦や大豆、トウモロコシの先物価格の上昇が目立つ。日本の農機具大手のクボタ株も20日に年初来高値(1813円)をつけている。(大野弘貴、松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

堅調REIT、イールド狩りの「宴」の後の危うさも

トランプ米大統領が対中追加関税の税率を引き上げると表明して以降、日本株は調整色を強めてきた。予防線を張るかのように米連邦準備理事会(FRB)も緩和的な姿勢を示し始めた。円高も加わり外部環境が不透明感を強める中、堅調に推移してきた資産がある。不動産投資信託(REIT)だ。 世界的な金利低下にあって4~5月は上場投資信託(ETF)を通じたREITへの資金流入が加速した。一方で、ETF買いの加速は時価総額の小さい銘柄の投資口価格を実態以上に上昇させた側面も持ち合わせたとみられる。ファンダメンタルズに着目した投資判断が求められる局面が到来している。 ■「時価総額が小さめ・利回りは高め」に注目 米中貿易摩擦が激化した4月末以降の東証株価指数(TOPIX)は、先週末の終値時点で下落率が4%となった。一方で、東証REIT指数は、同期間で3%上昇するなど値動きは対照的だ。下落局面で東証REIT指数が堅調に推移する動きは、足元で定着しつつある。18年12月の世界的に株式市場が下落した局面でも、TOPIXの12月中の下落率が10.4%だった一方で、東証REIT指数の下落率は2.4%に留まった。 3月末までのREIT指数をけん引したのは海外投資家だった。東京証券取引所の投資部門別売買状況によると、18年10月から19年3月までの7カ月間で最大の買い越し主体であり、その額は約2770億円に及んだ。しかし、4月に入ると海外投資家は717億円の大幅売り越しに転じた。 この海外からの売りを吸収し始めたのは証券会社の自己売買部門だ。REITのETFを購入したマネーフローを反映するとされる。4月は438億円、5月も97億円を買い越した。6月に入ってからも「ETFを通じたREITへの買い入れは好調」(運用会社REIT担当者)との声も聞かれる。 マネーフローの変化はREITの銘柄間の値動きに影響を与えている。差異が目立つのが時価総額の水準。時価総額の大きい銘柄10社と小さい銘柄10社をバスケット化し、年初来の値動きを示したのが下のグラフだ。4月以降、両者のパフォーマンスに明確な差が現れ始めた。 ■買い手が変容、ETF経由でマネー流入 背景を探るにあたりETFを通じた資金流入は無視できない。東証REIT指数の構成比率は、浮動株ベースの時価総額荷重型だ。取引量が少なく時価総額の小さいREIT銘柄は、大量の注文による価格の変動(マーケットインパクト)を受けやすい。時価総額の小さい銘柄は相対的に高利回りの銘柄も多く、より高い金利を求めて物色された動きも価格の押し上げに寄与した可能性が高い。 しかし、順調に推移してきただけに割安感は薄れてきている。REITの割安・割高を判断する指標で、株式の株価純資産倍率(PBR)に相当するNAV倍率(株価/一口当たりの保有不動産の時価から有利子負債などを引いた値)の加重平均は足元で1.17倍程度まで上昇しており、02年以降の長期平均に接近している。「REITの割安感が薄れてきたことから、海外投資家の投資意欲は低下してきている」とみずほ証券の大畠陽介シニアアナリストは指摘する。 海外投資家とは対照的に、足元では金利が低下傾向にあることから、国内投資家の積極的な利回り追求の動きが継続すると考えられるようだ。大畠氏によると「REITを買い入れる流れは、大手地方銀行から信用金庫・信用組合へも広がって来ている。ただ、個別銘柄を分析するほどの陣容が整っていないためETFを通じて買いを入れている」という。 ■増税を控え、商業施設型には逆風? さらに大畠氏はREITの投資に際しては構造的要因と循環的要因に分けて考える必要があるとしている。堅調な推移が見込めるのは、テナント入れ替えによる賃料単価の上昇が見込める住宅型やオフィス型、物流型。オフィス市況が堅調であることと、物流はeコマースの進展から規模の拡大が期待できるようだ。 一方で、商業施設は相対的に厳しい。国内消費が低迷しつつあり、商業施設型REITのファンダメンタルズの改善が見込みにくい。また、ホテル型REITは景気変動の影響を真っ先に受けると指摘している。契約更新が最短1日であることから、賃料の影響を受けやすいようだ。 消去法的なREIT買い。目先の利回りに目を奪われがちだが、ETFを通じた「まとめ買い」が相場を押し上げているのは事実。東証REIT指数は20日に約3年2カ月ぶりの高値を付けた。 好調な相場の一方で、トレーダーの間でもじわりと慎重な見方が増えてきた。ファンダメンタルズ分析をおざなりにした結果、適正価格以上の値段がついたREITは調整局面に入った場面で容赦ない売りを浴びる可能性が残る。パッシブ運用は銘柄選別といったファンドマネジャー本来の業務を忌避するのに役立つツールだが、頼りすぎるとしっぺ返しを食らうことになりかねないのではないか。(大野弘貴) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

輝くゴールド、曇るドル 地政学リスクで「質」に逃避 

5年9ヵ月ぶり1400ドル台、ETFに最大の流入 「質への逃避」から、金が買われている。21日の米国市場で、ニューヨーク商品取引所の金先物は続伸し、期近の6月限の清算値は3.3ドル高の1トロイオンス=1396.2ドル、中心限月の8月限の清算値は3.2ドル高の1400.1ドルとなった。NY金先物が中心限月の清算値で1400ドルを超えるのは2013年9月3日以来、5年9カ月半ぶりだ。この日は金を投資対象とする上場投資信託(ETF)、SPDRゴールド・シェアーズに大規模な資金が流入。QUICK FactSet Workstationによれば15億4899万ドルに上った。2008年7月14日の14億2347万ドルを上回り、2004年の設定来の最高を記録した。 米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高止まりしているうえ、トランプ大統領がイランへの攻撃を一時承認した後に撤回したと20日にニューヨークタイムズ紙電子版が伝えたことで、中東の地政学リスクの高まりも意識された。 また米商務省が中国政府系のスパコン大手を安全保障などで懸念がある外国企業のリスト「エンティティー・リスト」に加えて事実上の禁輸措置を発動したのを受け、米中の貿易戦争懸念から株安が進み、ドルが売られる展開だった。21日のドル指数は大幅に3日続落し、0.55%安の96.09と3月21日以来、3カ月ぶりの安値圏まで下げた。金はドル建てのため、ドル安になると金が買われやすくなる逆相関の動きになる。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

社外取締役、数と機能を見極めて議決権行使 アバディーン窪田氏

株主総会シーズンに入り、企業統治(コーポレート・ガバナンス)を巡る議論が活発化している。ガバナンス改革の重要性が高まる中、機関投資家は株主総会にどう対応するのか。ESG重視の長期投資を実践してきたアバディーン・スタンダード・インベストメンツの窪田慶太インベストメント・ディレクターはQUICKなどの取材に応じ、「企業は社外取締役の割合を高め、多様な視点からすべてのステークホルダーの利益に配慮した経営をすべき」などと話した。 ■企業経営、「1つの価値観」は最適解か 運用するファンドでの保有株の平均保有年数は6年におよび、年々長くなっている。長く投資できる銘柄については10年、20年と継続的に保有していきたい。そのためには長期的なダウンサイドリスクを減らすことが大切で、企業の経営戦略の根幹を担うESGの視点を運用に取り入れることは非常に重要だ。 ESGからみると、資源国でない日本の企業は「E(環境)」の点で優れているが、S(社会的責任)とG(ガバナンス)はほかの先進国に追い付いていない。こうした視点でのリスク開示の不十分さもあって、日本企業に投資する優先度が低いのだろう。エンゲージメントによって企業のガバナンスが改善し、透明性が増せば一段と海外マネーを呼び込める。すべてのステークホルダーにとってウィンウィンになるはずだ。 そのための1つの手段として、2018年から社外取締役の重要性と機能性に配慮した議決権行使をしている。最低でも2人以上の社外取締役、3分の1以上の構成などを求めている。この基準に合致していないすべての事例に反対するわけではないが、基本的な数値基準として守るよう働きかけている。弁護士、会計士、官僚出身など企業経営をあまり理解していない社外取締役が選任されている例もあり、きちんと機能しているかどうかも見極める。 日本企業は、生え抜きの社員が取締役に名を連ねる比率が海外と比べて高い。社外取締役の割合も低いため、1つの価値観をもとに経営している企業が多く存在する。決して悪いことではないが、ダイバーシティーを重視して多様な視点からすべてのステークホルダーの利益に配慮した最適な経営がなされるべきだ。レオパレスのように営業偏重のカルチャーでないかどうか、意思決定に「No」をいえる体制になっているかどうかなど、しっかりチェックしていくことが重要だ。 ■ダイバーシティーもダイリューション意識も未熟 ダイバーシティーを欠いた経営陣でもう1つリスクが高いのは、株式価値の希薄化だ。日本は希薄化に対する規制が未熟で、上場企業は基本的に青天井で新株を発行できる。新株を大量に発行し、エンゲージメントしているアクティビストの持ち分を希薄化して実権を握り続ける、ということもできる。社外取締役がいてガバナンスが機能している場合はリスクは小さいだろうが、制度上の抜け道として懸念する海外投資家は多い。 こうした観点から、議決権行使にあたって取締役再任の是非は定性的、定量的な判断をしている。たとえば、在職10年を超えると利益相反が起きたり、少数株主を向いた経営がされなくなったりする場合がある。10年以上の在籍がすべて悪いわけではない。実際に経営陣に会い、少数株主の利益保護の視点が確認できれば、そのときに判断する。会えなければ当然、反対することになる。取締役会への出席率も75%を基準としているが、各社の事情もあり、ケースごとの判断だ。反対した場合は理由を企業に伝える。 財務担当役員(CFO)の設置も積極的に働きかけている。日本企業は事業の取捨選別や強いビジネスへの集中投資といった、資本効率を改善させる財務戦略が欧米企業と比べ弱い。過当競争に陥った事業を抱える企業が多く、6割超の企業は5%未満の営業利益率にとどまる。資本効率を意識した経営へのプレッシャーがかかるよう、CFOの設置だけでなく、株式持ち合いの解消に向けた働きかけもしている。(聞き手は川口究) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

米中緊張も緩和方向 GSのバロメーター▬▭▭▭▭  取り残される日本株……

米中の貿易協議に関して、ゴールドマン・サックスは20日付のリポートで「貿易リスクで株式のバリュエーションがどれほど割り引かれるかを理解する上で、我々は貿易緊張バロメーターを開発した」と明らかにした。 同バロメーターによれば、全体的に金融市場がみている現在の貿易戦争によるストレスポイントは2018年後半や2019年初頭の水準を下回っているといい、「米中の双方がダメージを受けるという予測は20%程度だ」という。4月中旬には80%程度だったが、5月5日にトランプ大統領が中国に対して第4段の関税措置をかける方針を示したものの、今月18日にトランプ大統領と中国の習近平国家主席が電話で会談し、米中首脳会談の開催で合意する中で同バロメーターからは緊張緩和がうかがえるとのことだ。 その上でゴールドマンは中国A株のほか、香港取引所上場の中国本土株(H株)に関してオーバーウエイト(買い)の判断を維持した。中国の国内政策の柔軟性、抵抗しがたい投資家の選択性の優位などを踏まえてアップサイドの機会があるというわけだ。 20日の米国市場でS&P500指数は史上最高値を更新して堅調だったが、QUICK FactSet Workstationで日米中の主要株価指数を指数化したところ、最も強かったのは上海総合指数(19.78%高)だった。これにS&P500が続き、日経平均株価やTOPIXは10%以下の上昇率で米中の後塵を拝している。 東証が20日発表した10~14日の週の投資主体別売買動向(東証、名証2市場の合計)によると、海外投資家は現物株を6週連続で売り越した。売り越し金額は1992億円と、前の週(1143億円の売り越し)からやや増加した。出遅れ感の強い日本株をよそに、紛争当事国の中国株に海外勢の関心が高まっている。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

甦るあの夏の記憶 傘下ファンドの社債懸念で仏銀株が急落

20日のパリ市場でフランスの銀行ナティクシスの株価が大幅に下落した(11%以上)。傘下のH2Oアセットマネジメントが運用するファンドが保有する社債の一部に対して評価会社が「流動性と適切性」の懸念を表明したとFTが伝えている。 FRBによる緩和期待でバンクローンのETFなどが盛況となっているなかでの同銀行株の下落は際立ってしまう。2007年8月のパリバショックを連想する向きもあるのかもしれない。 ただ、仏系金融機関でも「気にしている人は社内にもいるが少数だ。先行きについてはウォッチしておいたほうが良いとは思うが」(ストラテジスト)ということのようだ。直ちにグローバルな金融市場へと警戒感が波及するということはなさそうとの見方だ。(丹下智博) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

6月優待 金券系 vs 商品系を徹底検証 利回りは?値動きは?

配当など6月末の権利確定日が接近している。12月期決算企業の中間期にあたるため、優待実施の企業も100社超と多めだ。「ザ・優待銘柄」の日本マクドナルドホールディングス(2702)、すかいらーくホールディングス(3197)や「いきなり!ステーキ」のペッパーフードサービス(3053)、ブロンコビリー(3091)など人気の外食関連の優待も多いほか、ホンダ(7267)は四半期末ごとに優待を実施。応募制だが6月末は工場見学やカレンダーなどが予定されており、個性派も顔をのぞかせる。 優待の魅力は配当に上乗せできる価値とともに、自分が気に入った店の食事券や商品を使う楽しみでもある。そこで今回は、個性は乏しくともお金での価値の換算がしやすいクオカードなど金券類の株主優待(=金券系)と、自社の商品やサービスを提供する(サービス内でのキャッシュバック含む)独自色の強い株主優待(=商品系)で比べた。なお、クオカードと自社サービス双方を同時実施している場合や地元商品、カタログギフトを提供している場合は比較対象から外している。 まず、配当と優待を金額算した場合の利回りで比較すると、上位10社の平均は金券系で4.1%。一方、商品系の平均は31.6%で圧倒的に商品系にお得感が強い。  例えば首位の藤田観光(9722)。仮に100株を保有していると、「ホテル椿山荘東京」や「箱根小湧園」など有名ホテルや旅館に割安に泊まれたり、レストランを利用できたりする株主優待券が10枚、提携企業のワシントンホテルの割引券も3枚もらえる。割引対象は室料のみだが、ホームページ掲載のモデルケースでみると、「箱根小湧園 天悠」の露天風呂付客室が1泊2食付きで通常価格7万1280円~(1室あたり2名利用)のところ、株主優待価格だと4万9680円~で、宿泊可能。プチ贅沢が楽しめそうだ。 気になったのは、熊本などで遊園地を展開するグリーンランドリゾート(9656)。5万円弱でグリーンランド遊園地の1600円の無料入園チケットが2枚もらえるのは、九州で小さい子どもを抱える著者には魅力的だが、乗り物などには別途料金がかかる。1万株以上の保有で株主とその家族を含め6人の入園や乗り物が無料(半年間)になるうえVIPルームも使える「VIPフリーパス」がもらえるが、そのために400~500万円を投じると考えると悩ましい……。ちなみに、かのオリエンタルランド(4661)は3月末の権利確定では100株から優待権利が得られるが、1枚の1デーパスポート(大人7400円)をもらうのに足元の株価水準だと130万円強が必要な計算だ。 では値動きはどうか。権利確定に向けて上昇が目立った上位10社を指数化して、昨年の権利確定日(6月26日)をはさんだ値動きを指数化して比較した(18年5月29日=5月の権利落ち日、7月26日=7月の権利付き最終売買日)。 ■商品系銘柄のほうが権利落ち後の株価の下げがやや大きい 金券系は8.2ポイント上昇し、確定後は4.1ポイント下落。一方、商品系は7.3ポイント上昇、6.7ポイント下落で、商品系のほうが権利落ち後の反動が大きく出やすかった印象だ。下の評の騰落率上位20社の平均をみても同じような傾向だ。 銘柄間の差も大きいので個別で見ると、例えばブロンコBは8%の上昇に対し、22%強の下落。マクドナルドも5%の上昇に対し、9%の下落、「築地銀だこ」のホットランド(3196)も3%の上昇に対し9%近い下落と、食事券がもらえる銘柄で権利落ちの影響が濃く出ている。商品系は、より権利獲得が目的化しやすい面が反映されているようだ。 では、今年の傾向はどうか。権利確定に向け5月末以降、上昇率上位20社をランキングした。うち、クオカードなどの金券系が7社(併用含む)、12社が商品や割引券、商品交換などのポイント制度が1社だった。上昇率上位20社の権利獲得のための最低購入金額は14万9060円と、6月末を権利獲得基準とする全企業の平均(18万2714円)を下回る。より少額なものが好まれる傾向で、配当と優待を合算した利回りも平均に比べ2ポイント強高めだ。今年は株価もさえない銘柄が多い中でキャピタルゲインが見込みにくい。優待だけでなく、配当利回りが高めな企業に着目している投資家も多そうだ。 企業にとっても一定の負担である優待。少しでも長期保有につなげようと、保有株数によって傾斜をつけるほか、優待の権利を獲得するまでに一定期間の保有を求める企業も増えつつある。例えば「ファン株主」作りで個人株主獲得のため優待を強化してきたカゴメ(2811)や6月に入って優待復活を発表した大塚家具(8186)は半年以上の継続保有が必要で、リンクアンドモチベーション(2170)や日本エスコン(8892)などは1年以上の継続保有を前提としている。日本たばこ産業(2914)も12月末から適用予定の新制度では1年以上の継続保有の株主を対象に、年1回の実施に移行する予定だ。 単元も1単元からではない場合もある。例えばクラレ(3405)やFCホールディングス(6542)は10単元以上の保有が対象になる。一方、ペッパーは18年12月末から優待を従来の3単元以上の保有から1単元に対象を広げ、幅広い株主の取り込みを狙う。制度の微調整が増えている点も注意しておきたい。(弓ちあき) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

そこまで来た米利下げ ここからの問題は「で、いつやるの」

18~19日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きが決まる一方、声明文や会合後の記者会見でハト派的な姿勢が示された。CMEグループのFedウォッチツールで7月FOMCでの25bp以上の利下げ織り込み度は100%となり、前日(86.4%)からさらに利下げを織り込む動きが強まった。25bpの利下げ織り込み度が67.7%と6割を維持する一方、50bpの利下げ織り込み度が32.3%と前日(17.9%)から増加して3割台に乗せた。 こうなると問題は、もはや、FEDは利下げに踏み切るのかではなく、いつ利下げするのか、さらに言えば7月なのか9月なのか、ということになる。各社の19日付リポートでも読み筋はいろいろだ。 FF金利先物市場などで早期利下げの織り込み度が高まる中、JPモルガンは従来は9月と12月と見込んでいた利下げ時期を7月、9月にそれぞれ前倒しした。その上で「これはバランスシート(B/S)の正常化の終了を早めることにもなる。50bp以上の利下げは我々の基本シナリオにはないが、労働市場の悪化などの証拠が出れば50bp以上の利下げの動機付けとなるだろう」と見込んだ。 ノムラ・セキュリティーズも「当社は今年7月、12月と年2回の利下げを予想するが、7月の利下げの後、8月にB/Sの流出を止めると見込んでいる」と指摘した。7月に利下げが行われた場合、FRBによるB/Sの正常化も修正を余儀なくされるとの見方が増えてきている。 またバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは「FRBは7月FOMCでの利下げを約束せずに、市場の予想を超えた厄介なメッセージを伝えた。これは9月から合計75bpの利下げを行うという我々の予想と大体一致する」と指摘。その上で「G20サミットや米サプライマネジメント協会(ISM)指数で悪い結果が出るなら、7月に利下げを行う可能性がある。今後2週間はFedが動くかどうかを見極める上で絶対に重要だ」とし、市場環境次第で7月30~31日のFOMCで利下げが行われる可能性があると見込んだ。 さらにUBSは7月にも50bpの利下げを行う可能性があると踏み込んだ。パウエルFRB議長の19日の記者会見で「一時点の経済指標だけで判断するのではなく、トレンドを重視する」と再強調していた点に注目したもよう。今後の経済の潜在成長率が足元の不確実性により予想を下回る可能性があり、インフレ見通しも下方修正される可能性があるとの見方を示している。(片平正二、大野弘貴) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

日はまた昇る? Tロウ・プライス運用トップ「いまの日本株は安すぎ」

日本株を運用する海外マネーはいまの株式市場をどう見ているのか。日本株ファンドの設定来、多くの期間でベンチマークを上回るパフォーマンスを出し続けるティー・ロウ・プライスのポートフォリオ・マネジャー、アーシバルド・シガネール氏はQUICKなどの取材に応じ「いまの日本株は安すぎる。東証株価指数(TOPIX)でみて、2019年末は1800を超えるだろう」などと指摘した。 アーシバルド・シガネール氏 ティー・ロウ・プライス・ジャパン専務取締役日本株式運用部長、ポートフォリオ・マネジャー。パリ政治学院を卒業(財務会計学専攻)。BNPパリバ証券のクレジットアナリスト、投資銀行部門のM&A担当ヴァイス・プレジデントなどを経て2007年にリサーチ・アナリストとして入社。通信、運輸、公益、メディア、消費財セクターの株式調査を担当を経て13年12月から現職 ■ロングオンリーで3000億円、顧客の半数が欧州 日本株特化型ロングオンリーファンドで3000億円ほどの資金を運用している。5年前と比べて5倍に増えた。うち6割強は投資信託、残り3割強が年金など。顧客の半数は欧州マネーで、彼らは「日本が変わる」という自信を持って日本株に投資している。ファンドは中長期運用で、一度保有すると3~5年は保有する。ターンオーバー(売買回転率)は3割以下だ。名刺アプリを手がける「Sansan(サンサン)」に投資するなど、対象は上場企業に限らない(編注:Sansanは19日に上場)。内需株と外は需株をバランスよく組み入れることで、景気変動の影響を受けにくいポートフォリオを構築している。 大型株から中小型株まで幅広い銘柄に投資するため(1)「構造的な成長」が期待できる、(2)生まれ変わっていく期待がある、のいずれかで絞り込んでいる。(1)でいえば労働市場の変化で需要が増す自動化関連、雇用のタイト化でニーズが高まる福利厚生関連など。(2)であれば、20年前と比べてまったく別の会社に変わった日立(6501)などが当てはまるだろう。  長期的にみると、日本株市場は欧州と比べて健全な成長が続いている。構成銘柄のトータルリターンを分解すると「MSCIジャパン」は大部分が1株あたり利益(EPS)の成長で説明できる。一方で「MSCI EU」は多くを配当に頼っている。欧州と比べ、個別株の成長力を吟味して投資する「ストック・ピック」のチャンスが非常に多いといえる。 ■企業統治の改善が加速、スタートアップも増加 日本企業は企業統治(ガバナンス)の改善が進んでいる。以前からこのテーマに注目していたが、最近になって加速している。株主総会に向けて提案の数も増え、社内で賛否を議論するケースが増えている。社外取締役の割合が増え、資本効率もかなり改善してきた。自社株買いのペースは18年を上回り、新記録になりそうだ。これまでは景気が悪化した途端に配当金を減らしたり、自社株買いを中止したりしていたが、いまは利益成長が減速する中で自社株買いが増えており、変化を感じる。 たとえば、保守的な企業だった三菱地所(8802)が株主の声を聞いて初めて自社株買いに踏み切ったのは、かなりポジティブだった。ここ2~3年、経営陣との議論は建設的なものに変わってきている。ただ、すべての企業が変わっているわけではない。変わる企業と変わらない企業のギャップが広がっているからこそ、アクティブマネージャーの活躍の場が広がっている。 もう1つの追い風は、スタートアップ企業の増加だ。米国の主力企業は、30年前と比べて様変わりした。日本は30年前と似た企業がいまも主力企業として位置づけられているが、最近になってベンチャーキャピタルなどによる新興企業へのファンディングの規模が増えてきている。将来、大手企業の顔ぶれが変わるかもしれない。 ■リスク織り込み年後半に期待、TOPIXで1800超が妥当 確かに、日本株市場を取り巻くリスクは19年に入り増えている。日本企業のEPSとグローバルでみた鉱工業生産との相関性は、新興国やほかの先進国などと比べて高い。米中貿易問題を理由に海外勢が日本株に弱気なのは当然だろう。10月には消費増税も控える。消費者物価指数(CPI)が小幅なプラス圏にとどまる中、デフレに逆戻りする可能性もあり、注意が必要だ。 ただ、株式市場はこうしたリスクの多くを織り込んでいる。株価収益率(PER)は12~13倍と先進国の中でも低い。リーマン・ショック後の平均(14倍)と比べても「安すぎ」だ。米中貿易問題がこれ以上悪化しなければ、年後半のパフォーマンスは期待できる。東証株価指数(TOPIX)でみて1800ちょっとがフェアバリューではないか。貿易問題によるダウンサイドリスクがあったとしても、リスク・リワードでみて決して悪くない。株式相場は下がることもあるが、3~5年保有を続ければ、高いリターンが得られるとみている。 (Tロウ・プライス調べ) 運用ファンドの主な銘柄(対TOPIX、3月末時点) ●オーバーウエート上位10社 ・GMOPG(3769) ・三浦工業(6005) ・ソフトバンクG(9984) ・ソラスト(6197) ・大王紙(3880) ・中外薬(4519) ・スズキ(7269) ・ZOZO(3092) ・SMS(2175) ・NTT(9432) ●アンダーウエート上位10社 ・トヨタ(7203) ・三菱UFJ(8306) ・ソニー(6758) ・三井住友(8316) ・ホンダ(7267) ・みずほFG(8411) ・三菱商事(8058) ・花王(4452) ・KDDI(9433) ・東京海上(8766) (聞き手は松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

昇格アノマリー 次の本命は「働く人に、便利さを」でお馴染みのW社

東証1部への昇格を発表すると株価は上昇する。こんな「昇格アノマリー」がある。1部に昇格して東証株価指数(TOPIX)に組み入れられれば、指数に連動して運用する機関投資家などからの資金流入が見込め、知名度も増すからだ。 17日に東京証券取引所は、2部上場のシステム開発企業、アイル(3854)を7月2日付で1部に指定すると発表。アイル株は夜間の私設取引システム(PTS)で18日基準価格に比べて6%高となり、18日午前の取引でも底堅く推移した。 6月は4銘柄の昇格が既に発表されており、株価は平均で9%上昇した。上昇率が最も大きかったのは歯車や減速機を製造する日本ギア工業(6356)で発表翌日に約15%上げた。1部昇格は予想外だったようで、同社が5月上旬に発表した業績上方修正よりも鞍替えの方が株価へのインパクトが大きかった。居酒屋チェーンを展開する串カツ田中(3547)は発表直後に9%上げた。 ちなみに、ジャスダックから2部への昇格を発表したハウスコム(3275)の株価は、前日比変わらずと無反応だった。1部上場でなければ株式市場では材料視されないのが実情だ。 ■QUICKの特設サイトでは「昇格候補」などを紹介 QUICKでは昇格が期待される銘柄をピックアップして特設サイト(ユーザー専用)で公表しており、14日時点の候補は67銘柄あった。さらに、この中から3期連続増益、会社計画で今期2桁増益見通しの銘柄をピックアップしたところ、8銘柄が該当。作業服販売大手のワークマン(7564)は時価総額がこの中で最も大きいほか、業績も堅調で本命といえそうだ。 1部昇格に必要な要件の一つとして時価総額がある。2部やマザーズから1部への指定替えの場合は40億円以上、直接1部へ上場する場合やジャスダックからの変更の際は250億円とされる。そのほか、株主数(2200人以上)にも基準があるため、株主優待制度の導入や拡充で個人投資家の獲得に動いている銘柄などは1部昇格を狙っているといえる。また、時間外取引の立会外分売で大株主が株式を売り出すケースが増えている。このため、QUICKでは立会外分売の実施銘柄を対象に候補銘柄をリストアップしている。 一方で、1部上場銘柄が増えすぎて市場のガバナンスが効きにくくなっているなどの指摘もある。市場の区分を見直す議論が始まっており、時価総額の基準などが目安になるとの見方が出ている。(根岸てるみ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

米国債の保有を減らした中国、英国経由で米国債を買い込んだのは……

米財務省が17日に発表した4月の対米証券投資(TIC)統計によると中国の米国債保有額が1兆1130億ドルとなって前月(1兆1205億ドル)から75億ドル減ったことが分かった。減少は2カ月連続で、2017年5月(1兆1022億ドル)以来、約2年ぶりの低水準に減ったことになる。 米中の貿易戦争懸念が高まる中、市場では中国が米国債を売却することで非関税分野での報復措置を取るのでは無いかとの懸念が根強い。米国債を一気に売却すれば中国が保有する膨大な米国債が損失を被るため、実現は難しいとみられるものの、トランプ大統領が5月5日に中国に対して追加関税措置をツイッターで発表して貿易戦争懸念がエスカレートする前に先立って中国が保有額を減らしていた現状は警戒されそうだ。 ただ、JPモルガンの17日付のリポートによれば、この月は英国が176億ドルと大きく買い越したのが目を引いたという。この月の米国債買越額(169億ドル)のほとんどを英国が占めたといい、ロンドン経由で他の国の米国債購入が持ち込まれた可能性があるとのこと。中国の保有額が表面上減っているものの、実際はそれほど中国が米国債を売却していない可能性がある。(片平正二)   ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

低金利下、アジア債券に投資妙味 マニュライフのアジア債券部門トップ

経済成長力の鈍化と大規模な金融緩和を背景に、先進国を中心に国債利回りの低下圧力がかかっている。イールドハンティングの動きが一段と加速しそうな中、いま投資家の関心を集めているのがアジアのクレジット市場だ。マニュライフ・アセット・マネジメントのアジア債券部門で最高投資責任者(CIO)を務めるアンドレ・ピダーソン氏はQUICKのインタビューに応じ「ファンダメンタルズ、需給の両面でほかの新興国債券と比べて投資妙味が大きく、世界のマネーが向かっている」などとコメントした。主な一問一答は以下のとおり。 アンドレ・ピダーソン氏 マニュライフ・アセット・マネジメントのアジア債券担当の最高投資責任者(日本除く)としてアジア債券戦略を統括。シニア・マネージング・ディレクター。DBSアセット・マネジメント、F&Cマネジメントなどの債券担当ポートフォリオ・マネージャーを務め、2008年よりマニュライフ・アセット・マネジメント ――アジアでクレジット市場の拡大が続いている。 「アジアの米ドル建て債券市場で、債券の発行体は企業(全体の65%)、政府機関(22%)、国(13%)の3つにわけられ、発行額は年初から1290億ドルに達している。2017年や18年と同じペースで、市場規模は20年までの間に1兆ドルに達するだろう。発行の6割は中国企業。海外投資のための資金調達や調達先の多様化を目的に債券を発行している」 ――なぜアジア債券の魅力が高いと考えているのか。 「米利上げや米中貿易問題などで18年は逆風が吹いたが、ファンダメンタルズは堅調だ。安定した経済成長による高い収益力に加え、欧米企業と比べ負債も相対的に少なく健全なバランスシートを持つ企業が多い。それにもかかわらず、同程度の格付けの米国債券と比べて投資適格債は平均で0.75%程度の高い利回り、ハイイールド債では、直近で1%程度の高い利回り(19年4月末)が得られる『アジア・プレミアム』がある。流動性の低さや情報開示の少なさなどがあるのだろう」 ■アジア企業の負債は相対的に少ないが……(マニュライフ・アセット・マネジメント調べ) ■利回り面では「アジア・プレミアム」も 「経済成長が続いているだけに、ほかの新興国・地域と比べてデフォルトが少ないのも大きな魅力だ。ハイイールド債でみた場合、アジア企業のデフォルト率は19年で2.5%程度にとどまると見込んでいる。ラテンアメリカの企業は3.0%だ。特に、債務削減(デレバレッジ)の流れの中で18年にデフォルト率が上昇した中国が19年は一転して金融緩和に舵を切っていることが大きい」 「アジアの投資家層が拡大している点も重要だ。2018年3月末時点の米ドル建てアジア社債は、投資家の8割がアジア勢だった。一方で欧米投資家は減少傾向が続いている。金融市場の混乱を受けて域外にマネーが流出するリスクは以前と比べ低くなっており、これまでよりも値動きなどが安定しやすくなっている」 ――米中貿易問題の影響はないのか。 「もちろん18年のように下落するリスクはある。だが、アジアは中国がすべてではない。インドやインドネシアは国内経済が堅調で、貿易摩擦の影響は小さい。米格付け会社のスタンダード&プアーズは強い経済成長と財政政策を理由に、5月末にインドネシアの格付けをBBBに1段階引き上げた。高い経済成長を維持するベトナムも中国から撤退する工場の移転先となる等の恩恵を受けている」 ――銘柄選別にESGを活用していると聞いた。 「弊社ではESG専門のリサーチチームを抱えており、クレジットアナリストと一緒に企業分析をしている。さまざまな項目についてESGの観点から評価し、社内格付けに反映させている。コーポレートガバナンスのリスクは、アジア企業を投資対象とする際に特に重要だ。財務情報が十分開示されているかだけでなく、経営者の経歴や安定株主の有無、少数株主や債権者の利益が毀損されないかなど、さまざまなリスクを分析する。これまで、ESGの観点で『不適格』となった約30の発行体への投資を見送った」 ――実際、運用するファンドに資金は流入しているか。 「もちろんだ。先進国債券の利回り低下を受けて、相対的に利回りの高いアジア債券が投資資金の受け皿になっている。主要な債券指数に中国の債券が組み入れられたほか、ポートフォリオ分散のニーズもあるのだろう。投資家は成長著しいアジア市場でアルファを獲得するため、実績のある運用会社を探している」 「日本からの資金流入が拡大している点は新しい傾向だ。機関投資家、個人投資家問わず、アジア債券への関心が高まっているようだ。中国やインドネシアなどの調査が広く行き届いていない非効率な市場で、リスクを抑えながら安定的なリターンを追及したいという需要から、現地に根ざした調査体制を有する弊社の運用戦略への関心が高まっている」(聞き手は松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

「Y+Z」は「J」にあらず「C」より優勢 人口推計からみる米株の底力

米中摩擦に中東情勢の緊張など目先の不透明材料に目を奪われがちだが、相場が動かないなら少し引いてロングビューに視線を送ってもいいかもしれない。よくもわるくも様々な要因の中心に位置するのは米国だ。その米国の将来像を考えるにあたって、モルガン・スタンレーが最近公表した「Y+Z世代は米国経済にどのような影響を及ぼすのか」が参考になる。 Y世代とは1980年代から2000年前後に生まれた「ミレニアル世代」とも言われる。文化論的な分析はひとまず脇に置き、人口動態の角度では19年には7300万人に達したといわれる。また「ジェネレーションZ」は1990年代後半以降に生まれた世代を指す。全米人口のほぼ20%を占め34年には国内で人口が最も多い世代層となり、最終的に7800万人でピークを打つという。 ■ベビーブーマーに匹敵するボリューム モルガンが改めてこの世代に注目したのは様々な長期試算が若年層世代を正確に反映していないと考えたためだ。第二次世界大戦後の米経済はベビーブーマー世代がけん引してきたが、いよいよ「引退」が視野に入ってきた。米国の「衰え」を指摘する材料の1つと言えるが、Y+Zで考えればベビーブーマーに匹敵する存在になるという。 レポートではY+Z世代が市場に与える長期的な影響は以下が想定されるとしている。 米ドル:相対的な人口動態トレンドは中期的に米ドルにとって逆風となるが、2024年以降は追い風となり、長期的には強気材料となる。 米国株式:GDP成長と労働生産性への潜在的影響は、世界の他の国々の株式に比べ米国株式にはプラスと考えられる。Y+Z世代による経済成長の追い風により、弊社は長期的な強気見通しに対する確信を強めている。 米国金利:米国労働力の伸び率が向こう数十年間高まることで、その他の条件が同じと仮定すれば、米国実質金利へのさらなる下方圧力は防げることになり、米国金利が日本の金利軌道に倣って低下するとは考えにくい。 ■2027年に人口減に転じるとの試算 1つの結論としては「米は日本化しない」ということになる。この日本化を恐れているのが、貿易戦争の相手国である中国。2010年代半ばに生産人口がピークに達し、既に減少基調へと転じた。一人っ子政策が影響しているというのが大勢の見方だ。中国政府は同政策を廃止しているものの、出生数が劇的に増加へ転じたといった話は伝わっていない。政府系シンクタンクの最新の試算では2027年にも人口そのものが減少に転じるとしている。 人口減は中長期的に経済力の低下につながることは明らか。政策当局としては1人あたりの生産性の向上も重要政策に組み込まざるを得ない。この文脈で中国政府が掲げる「中国製造2025」を確認すると、10大重点産業の1つにロボット産業を組み込んだ意味も見えてくる。中国製造2025は米国に食って掛かるような政策だが、人口減をロボットで補うという守りの要素もあるのだ。 米中が争う覇権はやはり数十年先までの方向性を左右すると言える。人口動態の側面でも分があるあるのはやはり米国と言えそう。このあたりも株式を保有するなら米国株、といったインセンティブにつながっているのかもしれない。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ロス長官、昨年末の利上げにダメ出し 「利下げ催促相場」加速も

11日に米国のロス商務長官が米通信社とのインタビューで「FRBの直近の利上げは時期尚早だった公算が大きい。再考する必要があると考えている」と述べた。 この発言について、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は「事実上の12月利上げ撤回要請発言である」と指摘する。 12日発表された5月の米消費者物価は伸びが鈍化した。米国の債券市場における長期金利およびインフレ期待(BEI)の動きにハードデータがついてきているという印象だ。FRBの状況判断よりも債券市場の方が正しかったとなれば、債券市場は一段と利下げ催促を加速することとなりそうだ。(丹下智博) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

その買収防衛策 やめるか続けるか 株価で明暗、2019総会の注目点に

3月期決算企業の株主総会シーズンが近づいてきたので、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営とESG投資のテーマとして買収防衛策に注目してみた。 野村証券の調べによると2019年1~5月の間に過去最多ペースとなる54社が防衛策の廃止を決めた。一方で更新(もしくは継続)が89社、新規導入も2社あった。継続・更新や新規導入は、買収リスクにさらされる可能性が高いためか時価総額の小さな企業が多い傾向がある。一方で、3月期決算企業のうち、時価総額1000億円以上の企業でみてみると、13社が継続を決定したのに対して33社が廃止を決め、廃止が圧倒的に多数派だった。 また、それぞれのグループの時価総額上位10社を指数化して7日まで過去1カ月の値動きを比べてみた。わずかながら「廃止」銘柄が上回るパフォーマンスとなっている。 「廃止」組は、三菱地所、日本製鉄、大日本印刷、TOTO、京成電鉄、関西ペイント、凸版印刷、スタンレー電気、ハウス食品HD、日本テレビHD 「継続」組は、住友不動産、JFEHD、京王電鉄、キッコーマン、住友金属鉱山、東映、前田建設、ADEKA、フジテック、タカラトミー また同業種間でも値動きに差がみられる。過去1カ月の値動きを比べると、廃止を決めた三菱地所(8802)と継続を決めた住友不動産(8830)は前週末までで7ポイントの開きが出たほか、日本製鉄(5401)とJFEホールディングス(5411)、三菱マテリアル(5711)と住友金属鉱山(5713)も10ポイント以上の開きが出た。 すでに時価総額の大きい企業を中心に「流行遅れ」となっている買収防衛策。それだけに継続を選べば、悪い意味で目立ってしまいかねない。株価で報いることが難しくなれば投資家は株主還元の強化などの見返りを求める姿勢を強める可能性もある。 例えば住友不。政策保有目的で持つ株主の比率が高めといわれ、買収防衛策に否定的な見方が多いといわれる外国人持ち株比率は24.7%(19年3月時点)にとどまる。大手ディベロッパーの中でも4割を超える三菱地所(8802)や三井不動産(8801)に比べ低い。5月に発表した中期経営計画はオフィス賃貸の拡大で利益の着実な積み上げを目指すものの、2020年3月期は連結配当性向(予想)が11%弱にとどまる。 東証1部「不動産業」の時価総額上位5社(住友不を除く)の19年度の連結配当性向(予想)が30%となっている中で、中計発表時は住友不の還元姿勢に対し市場からは物足りないとの反応も少なくなかった。可決されてもその賛成比率には注目だ。対話の深化がますます求められる中で、株主総会での投資家たちの判断にも目配りしておきたい。(弓ちあき) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

防御も備えたグロース株はどこだ SDGsを買い始めたマネー

やや意気消沈の東京市場。強まる不透明感や買い材料不足の中で、ESG(環境・社会・ガバナンス)が目を引く。 これまでの明確なアルファ(投資収益)が見込めなかった環境とは状況が異なる。背景にあるのは、世界的なサステナブル投資への機運の高まりだ。長期投資を前提とする年金基金が積極的にESGや「持続可能な開発目標(SDGs)」の考えを導入している。グロース株でもESGなどで高い評価を得ることができれば、安定株主を確保することが可能だ。外部環境が悪化する場面においても、グロース(成長)とディフェンシブ(安定)の両輪を備える銘柄群が見え始めた。 MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数の構成268銘柄をESG格付け(2018年12月末時点)別にバスケット化し、昨年末を基準(100)にして指数の推移を示した。 ■AAA格はパフォーマンスも良好(AAAは9銘柄、AAは61銘柄、Aは116銘柄、BBBは64銘柄、BBは18銘柄) 5月末までで最もパフォーマンスがよかったポートフォリオはESG格付けトリプルAのバスケット。次いでダブルAで、日経平均株価が続いた。最も株価パフォーマンスが悪かったのはダブルBだった。トリプルAとダブルBのパフォーマンスには約13ポイントの乖離(かいり)が生じている。また、MSCIのESG格付けと株価推移には、順相関が確認できた。 高評価オムロンの取り組みは ESG格付けトリプルAは、FA(ファクトリーオートメーション)製品を手掛けるオムロン(6645)や次世代通信規格「5G」関連のイビデン(4062)を含む。5月に入り米中貿易摩擦が激化する中で売りが出たものの、相対的に見れば印象ほど株価は底割れしなかった。 ニュース報道を人工知能(AI)で分析し、ESG評価に活用する英アラベスク・アセット・マネジメントもオムロンに対して高いESG評価をしている。ESGスコア65.44は、日本企業566社のうち上位5%に入る。オムロンが幅広いリサーチ機関からESGに関して高い評価を受けている背景には、17年から始めたESG説明会が一役買っている可能性がある。決算説明会とは別の日程で開催し、今年の2月開催で2回目となった。   また、オムロンは主要ESGデータとして二酸化炭素(CO2)の排出量や女性管理職比率などの計数を過去5年にわたりホームページ上で公表している。ESGに対して企業側が積極的に情報開示する姿勢をマネーが評価している側面もありそうだ。 低格付けのダブルBには山崎製パン(2212)や高島屋(8233)が該当する。山崎パンはアラベスクのESG評価で47.87と下位30%に位置。一方の高島屋は持続可能な消費・サービスモデルの構築を目指し4月9日、「髙島屋グループ SDGs 原則」を新たに策定した。今後のESG評価の改善が企業価値の向上につながっていくのか。1つのサンプルとして注目してもいいかもしれない。 関連運用、世界で資産30兆ドル超 ESGの評価の違いが株価動向を左右する背景には、サステナブル投資への機運の高まりが考えられる。世界持続的投資連合(GSIA)によると、投資機関が運用するサステナビリティ資産残高は2018年に株式、債券、プライベート・エクイティなどを合わせて30.7兆ドルに達した。16年から約34%増加している。日本だけでみると4倍超、2兆ドル規模まで急拡大した。 また最近では企業側のSDGsへの取り組みも拡大している。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が1~2月に東証一部上場の604社から回答を得たアンケートによると、SDGsについて「取り組みを始めている」と回答した企業は44.7%と前年同時期の24%から大きく増加した。 年金などの大規模な資金運用をする投資家にとって長期運用は欠かせない視点だ。GPIFは、長期の投資リターンを追求するうえで「環境問題や社会問題の影響から逃れられない」とし、運用を受託する金融機関に対してESGを考慮した投資を求めている。ある運用担当者はESGについて、「今後、運用する上では無視できない」と指摘していた。 米中対立を受けて世界経済への見通しが混とんとしている。緩和マネーが行き場を模索する中、ESGやSDGsへの積極的な取り組みが、安定株主の確保につながる局面が到来していると言えそうだ。(大野弘貴) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

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