恐怖指数のVIXが20割れ 相場急変前の水準に

22日の米国市場で恐怖指数のVIXは6.49%安の18.72と続落し、3日ぶりに20の大台を割り込んで終えた。一時は18.07まで下げて10%近い下落率を記録。終値ベースで米株式相場が急変した2日以来の低水準となった。 25日線(19.12)も下回り、市場心理の不安感の高まりが一服したことを示す展開だった。 <CBOTボラティリティ指数> VIXの大幅安を受け、VIXのロング戦略に連動するiPath S&P500VIX短期ETNは1.21%安、レバレッジ型のProSharesウルトラVIX短期フューチャーETFは3.21%安となり、それぞれNYSE Arcaの売買高ランキングの上位で、商いを伴い軟調だった。 <iPath S&P500VIX短期ETN>   <ProSharesウルトラVIX短期フューチャーETF>    ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

米長期金利、上昇一服も低下は期待薄か

22日の米債市場で金利上昇は一服。前日に一時2.95%まで上昇した10年債利回りは2.90%近くまで低下する場面があった。今週の米金利上昇の背景には、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速観測のほか、中期ゾーンの入札(2年、5年、7年)への警戒感もあった。入札を終えたことで、需給面の不安はやわらぐかもしれない。 ただ、米BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率、債券市場が織り込む期待インフレ率)は高水準を維持している。 シティグループのエコノミック・サプライズ指数を見ても、発表される経済指標は上振れるケースが多い。2%台前半に向かうような金利低下は期待できない状況にある。   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

ビットコイン、1万ドル割れ SECがサイト運営者を提訴の情報

仮想通貨のビットコイン(BTC)が22日、節目の1万ドルを割り込んで大幅安。コインデスクによれば1BTC=9730.98ドルまで下げ、前日比で7%超の大幅安となった。   出所:coindesk ビットコインは先週15日に節目の1万ドル台を回復。最近は戻り歩調にあったことから、短期的な利食いが出やすい状況だった。 また一部通信社が22日に伝えた情報によると、ビットコインの取引サイトの運営者が、顧客のビットコイン約6000BTCがハッカーに盗まれたという事実を隠蔽するため、米司法当局に虚偽の供述を行っていたという。 「ビットファンダー・ドット・コム」と「ウィーエクスチェンジ・オーストラリア」を運営していたジョン・モントロール被告は偽証罪と司法妨害罪に問われているといい、米証券取引委員会(SEC)は証券取引法に違反したとしてモントロール被告をマンハッタンの連邦地裁に提訴したという。 ビットコインを巡る不祥事も売り材料視された。   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米長期金利、なぜ上がる④ 緩む需給 海外勢も米国債離れか

2015年12月16日、米連邦準備理事会(FRB)は政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を年0~0.25%から0.25~0.50%に引き上げ、リーマン・ショックを受け導入した実質的なゼロ金利政策を7年ぶりに解除した。 中国の景気減速懸念や原油安、英国のEU離脱問題(Brexit)により、その後の追加利上げは2016年12月のFOMCまで先送りされたが、その際、同時に発表した政策見通しは2017年中に3回の利上げを示唆する内容だった。 FRBの想定通り、2017年は3回の利上げを実施。その間、政策金利の影響を受けやすい短期金利は上昇したものの、長期金利は上がらずに、ほぼ横ばいで推移した。これは「☆米金利はなぜ上がるのか②」で述べた「期待インフレ率の低さ」が根底にあるが、米国債市場の需給に支えられていた面も大きい。 ※米国の長短金利(10年、2年)と政策金利(QUICK FactSet Workstationより) FRBは2008年の金融危機に対応して、政策金利の引き下げとともに、米国債などを大量に買い上げる量的緩和を開始した。量的緩和策は第3弾まで行われ、2014年10月末の終了までに、FRBの保有資産(バランスシート)は4兆5千億ドルまで膨らんだ。 量的緩和は債券の需給を引き締め金利低下圧力になるとともに、市場に大量の流動性を供給する効果がある。量的緩和を終了した後も、この効果が減らない様、満期を迎えた債券を同額再投資することで、資産規模を維持してきた。 ※FRBのバランスシート(QUICK FactSet Workstationより)   ECBは2014年6月にマイナス金利政策、2015年1月には量的緩和の導入を決定した。ドイツの短中期の金利はマイナス圏に沈み、2016年には10年金利もマイナスに転じる場面があった。低金利で行き場を失った資金は、相対的に金利が高い米国へ向かった。  日本でも日銀の大規模な金融緩和策を受け、投資家は米債投資を拡大させた。日米欧の大規模金融緩和がグローバルな低金利と過剰流動性を生み、米長期金利の上昇を抑える一因になった。 ※米金利(10年)と独金利(10年、5年、2年、QUICK FactSet Workstationより) 2016年12月、ECBは量的金融緩和の規模縮小を決定(2017年4月開始)。2017年10月にもさらなる縮小を決めた(2018年1月開始)。FRBも2017年9月のFOMCでバランスシートの縮小を決定した(10月開始)。 欧米中銀が流動性の回収に動き出したことで、グローバルな債券市場の需給は緩みやすくなる。また、日欧の金利が上昇すれば、米債にシフトしていた資金は逆流し始める。2018年に入り、米金利の上昇は加速した。 通常、米金利上昇はドル高要因となるが、2018年以降の両者の関係は逆転した。ドル安の背景には、トランプ政権の「ドル安政策」や「米国のインフレ加速」に対する警戒感があるとみられるが、海外の投資家が米債を売却していることも影響していると言われている。米債を売った資金が自国通貨に向かったとすれば、両者の動きにつじつまが合う。 米国債の多くは日本や中国をはじめとした、海外勢が保有している。ドル安が続けば保有する債券の価値は下がる。米債投資が減り、米金利は一段と上昇する可能性もある。 ※米10年金利とドル円相場 (QUICK FactSet Workstationより)   トランプ政権は、ほぼ完全雇用のなかで大型減税やインフラ投資を進めている。これは財政赤字拡大とともに、景気過熱によるインフレ圧力をもたらす。需給悪化とインフレ懸念が強まれば、長期金利は急騰しかねない。 好景気のなかでのインフレに対し、中央銀行が適切な金融引き締めを行えば、イールドカーブはベアフラット化(金利が上昇しながら利回り曲線は平たん化)し、長期金利の上昇幅は小さくなる。過度な長期金利の上昇観測が収まれば、投資家も安心して債券を買うことができ、米金利の上昇には一服感が出よう。 今後の長期金利動向は、やはりパウエル新議長率いるFRBの舵取り次第とも言える。 (終わり) ▼関連記事 米長期金利、なぜ上がる① 30年の低下局面に幕引き、大転換期に突入も 米長期金利、なぜ上がる② 原油と賃金にインフレの芽 米長期金利、なぜ上がる③ パウエル新FRB議長の手腕読めず ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

FOMC議事要旨、市場どうみる 「タカ派シグナル」「年4回の利上げ示唆」

米連邦準備理事会(FRB)は21日午後2時(日本時間22日午前4時)、1月30~31日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。FOMC後の声明に「さらなる」という文言を加え、利上げペースの加速を示唆していたが、議事要旨では「上向きの緩やかな利上げの軌道が適切になる可能性が高まった」との見方で一致していたことが明らかになった。米ゴールドマン・サックスなどのエコノミストは21日付のリポートで次のように分析している。 ▽ゴールドマン・サックス 「3月のFOMCでの利上げ確率を従来見通しと同じ95%で据え置く」 「さらなる(further)という言葉が使われ、強い成長見通しが示されたが、FF(フェデラルファンド)金利をさらに引き上げる軌道のオッズを高めるものではない」 ▽モルガン・スタンレー 「目先の経済見通しが強含んだことで利上げの軌道を緩やかに引き上げることが適切にみているとしたことが1月開催のFOMC声明文で『さらなる』を追加した理由だ」 「物価上昇の確証が欲しいとというFOMC参加者がいるが、少数派だ」 ▽バークレイズ 「12月から国内総生産(GDP)の見通しを多くのFOMC参加者が上方修正した」 「完全雇用で2020年までトレンドを上回る経済成長が続くとの予想が、『さらなる』利上げは適切だとみている理由だ」 ▽UBS 「3月のFOMCでは予想中央値で2018年に4回の利上げが示されるだろう」 「市場は3月の利上げを92%織り込んでいるが、金融政策の正常化と世界経済の成長が安定していく見方の通りなら、米国のイールドカーブのフラット化は続きそうだ」 ▽JPモルガン 「1月開催のFOMCの声明文で『さらなる』との文言が追加された。議事要旨の発表で、『さらなる』の文言の追加はタカ派シグナルということが確認された」 「FOMC参加者の経済見通しは2017年12月開催のFOMCの時よりも明るくなった」 「1月開催のFOMC議事要旨では多くのFOMC参加者が短期的な経済見通しを12月から上方修正したことが示唆された」 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

タカ派のFOMC議事要旨 市場は乱高下 米長期金利、2.95%台に上昇 

米連邦準備理事会(FRB)は21日午後2時(日本時間22日午前4時)、1月30~31日に開いた前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。議事要旨によると、多くの委員が「昨年12月に示した景気見通しを引き上げた」と指摘。「上向きの緩やかな利上げ軌道が適切になる可能性が高まった」として、利上げペースが加速する可能性があるとの見方で一致した。 公表後、米国市場では議事要旨の内容が「タカ派」的と受け止められ、米長期金利が急上昇。米10年債利回りは2014年1月以来となる2.95%台に上昇した。 ダウ工業株30種平均は続落し、166.97ドル(0.66%)安の24797.78ドルで終えた。一時は25267.399ドルまで上昇して前日比で303ドル高と堅調だったが、米東部時間14時に発表されたFOMC議事要旨を受け、日中高値から470ドルほど下げてこの日の安値圏で終えた。 下落寄与度トップはホームデポで25ドルほどの押し下げ要因となった。値下がり銘柄数は26で、ほぼ全面安だった。 外国為替市場ではドル買いにつながり、ドルインデックスは90台に乗せて推移している。   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

FOMC声明「さらなる」の意図は? 議事要旨、22日朝公表

米連邦準備理事会(FRB)は21日午後2時(日本時間22日午前4時)、1月30~31日に開いた前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表する。FRBは前回のFOMCで追加利上げを見送ったが、声明で「さらなる利上げが正当化される」と指摘。「さらなる=Further」という表現を「利上げ」の前に盛り込んだ。 2月に入ってからの相場急変を受け、金融・資本市場はFRBの今後の利上げスタンスを見極めようと、声明に「さらなる」を追加した意図に関心を寄せている。声明は伸び悩んでいた物価についても「今年は上向く」と従来より強めの見方を示した。その背景でどのような議論が行われたかも市場の注目点だ。 「Minutes=ミニッツ」と呼ばれる議事要旨では、「大方のメンバーの意見では…」といった表現でFRBの正副議長・理事や、地区連銀総裁から選ばれたFOMC参加者の経済・物価見通しや、金融政策スタンスが明らかになる。 市場では、前回のFOMCがイエレン前議長による最後の会合だったことから、パウエル新議長の就任を控えて「大胆な議論はできなかったのではないか」との見方が出ている。一方で、恐怖指数と呼ばれるVIXが足元で再び「不安領域」の20台まで上昇して市場のボラティリティーが高まっていることから、「ミニッツに市場がどう反応するか予測が難しい」(国内証券)と警戒する声も聞かれた。 米CMEグループのFEDウオッチによると、市場が予測する次回3月のFOMCでの利上げ確率は83.1%と、「3月利上げ」はほぼ織り込み済みだ。3月を含めて、2018年の米利上げは「2.8回」というのが政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の先物の動きからみた市場の現時点でのコンセンサスだ。 議事要旨が市場予想を上回る「年4回の利上げ」うかがわせるような内容だった場合、相場が揺れる可能性もある。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

米長期金利、なぜ上がる③ パウエル新FRB議長の手腕読めず

トランプ米大統領は、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン前議長について「素晴らしい仕事をした」と功績を讃えていた。しかし、最終的にパウエル新議長を指名したのは、その距離の近さだったとされる。 就任直後、相場急変に見舞われたパウエル新議長の最大の課題は、金融・資本市場の安定を保ちながら、金融政策の正常化を進めることだ。そこで市場が注目するのが、今秋に中間選挙が控えるトランプ政権との距離感。米長期金利上昇、VIX急騰、株価下落のなかでもパウエル議長が「政策金利、バランスシートの両方で緩やかな正常化を進める過程にある」(2月13日)と、非常時の金融政策からの出口戦略を淡々と継続する姿勢を示したことを市場はひとまず”好感”したようにみえる。 ただ、ほぼ完全雇用のなかでトランプ政権が大規模な減税に踏み切ったことで、市場には米経済の過熱懸念もくすぶり始めた。パウエル議長がトランプ政権に配慮し、実体経済や株価の過熱をある程度容認した場合、インフレ(物価上昇)圧力が長期金利の上昇要因になる。 一方、経済・物価見通しの上振れに対応して、FRBが利上げペースを加速するかもしれないとの観測も、足元では長期金利の上昇要因に働く。 歴史を振り返ってみよう。1987年8月11日、グリーンスパンFRB議長の就任が上院で承認された。2006年1月31日までの18年5ヶ月間にわたり「マエストロ」(指揮者)として巧みに市場金利を誘導した。ただ、就任2ヶ月で直面した「ブラックマンデー」(1987年10月19日の世界的株価大暴落:1日で▲22%)を「FRBは流動性を提供する準備ができている」との短い声明で乗り切ったことで、グリーンスパン議長の金融政策は「株価重視」に傾斜したとされる。 また、共和党員でもあった同議長は共和党政権下での国策に全面協力したとも批判される。ブッシュ(父)大統領就任後のイラクのクウェート侵攻(1990年8月)頃には「利下げを急ぎ過ぎている」と非難され、2003年のブッシュ(Jr)大統領が始めたイラク戦争時には「必要以上に金融緩和を継続している」との批判を受け、”後方支援”と評された。 こうした金融緩和の行き過ぎが、2007年のサブプライム危機、2008年のリーマン・ショックの遠因になったとして、後に金融政策の功罪が問われることとなった。 米長期金利と政策金利、物価(QUICK FactSet Workstationより) 「 FRBは2015年12月の利上げ以降、正常化の過程にある 」 2008年のリーマン・ショックによる金融市場のマヒ状態と、実体経済の急速な収縮に対応したのはバーナンキ議長だ。政策金利(FFレート)の引き下げ余地が事実上なくなった2008年末からFRBは「大規模な資産買い入れ」を実施した。この政策に着手する2008年末までの段階で、日銀が実施した「量的緩和」(QE:Quantitative Easing、2001~2006年)政策をつぶさに検証し「マネタリーベースの増加そのものは、ゼロ金利のもとではマネーサプライの増加にはつながらず、効果はなかった」と結論付けていた。 FRBとしては、マネタリーベースの増加を目標とする「量的緩和」では決してないという意味で、世間での通称のように「QE:Quantitative Easing」とは決して呼称せず、今日に至るまで一貫して、自らは「大規模な資産買い入れ」(LSAP:Large Scale Asset Purchases)と称してきた。2014年10月で新たな資産買い入れは「停止」され、2015年12月の政策金利(FFレート)の引き上げ誘導実施以降、現在は「金融政策運営を最終的には危機前と同様の状態に戻そう」とする”正常化”の過程に入っている。 こうした短期金利の引き上げ誘導が一定程度進展したところで、①買い入れた資産の満期到来分の再投資を見送る(=「満期落ち」)という方法で、資産規模の縮小が開始される。「将来のある一定時点からの”満期落ち”によって、5年程度をかけて約2.5兆ドル規模の資産・負債を縮小する」という正常化戦略を示したディスカッション・ペーパーが2013年1月に公表されている。NY連銀の調査では「約4年程度の期間で2兆ドル規模で”満期落ち”によって資産規模が縮小されるとの見方が市場参加者に共有される」と示されている。 また、2014年10月の新規資産買い入れ停止後のSOMA(System Open Market Account:Fedの金融政策オペレーションを担当するNY連銀のシステム公開市場勘定)の資産のデュレーション短期化も公開されており、同短期化オペレーションが一定条件のもとでは「FFレートを0.25%ずつ2回引き上げるのに相当する引き締め効果がある」と示されている。 LSAP1(第1次) :2008/12/5 – 2010/3/31 GSEエージェンシー債 1720億ドル MBS(住宅ローン担保証券) 12500億ドル 財務省証券(米国債) 3000億ドル LSAP2(第2次) :2010/11/12 – 2011/6/30 財務省証券(米国債) 6000億ドル 満期拡張プログラム :2011/10/3 – 2012/12/30 (オペレーション・ツイスト) 財務省証券(短期債を売却し、長期債を買い入れ) +▲6670億ドル LSAP3(第3次) :2012/9/14 – 2014/10/31 MBS(住宅ローン担保証券) 8230億ドル 財務省証券(米国債) 7900億ドル ※米政策金利の推移(セントルイス連銀のデータサイト「FRED」より) 「 FRBの金融政策の推移 」(1982年以降) 【ポール・ボルカー】1979.8-1987.8 インフレファイター。石油危機に果敢に立ち向かい「ボルカー・ショック」と呼ばれる金融引き締めでインフレ率の引き下げに成功、その後の長期的な米景気拡大に貢献したと賞賛される。 【グリーンスパン】1987.8.11-2006.1.31 就任早々のブラックナンデーを「流動性供給」でみごとに乗り切り、「株価重視」ではじまり、「根拠なき熱狂」という警鐘と「Measured Pace」での利上げで市場を巧みに導いた。 【バーナンキ】2006.2.1-2014.1.31 グリーンスパン議長による超低金利政策から転換後の利上げ路線を引き継いで始まり、経済・金融情勢に翻弄された。リーマン・ショックに対応した積極的な金融緩和は真骨頂。任期終盤では米国債購入ペースの減速(テーパリング)に踏み切った。   ※内閣府の資料より 【イエレン】2014.2.4-2018.2.3 2016年9月のG20杭州・サミットにおける首脳宣言が当時を象徴している。「成長は期待よりも低く、下方リスクが存在している。・・・すべての政策手段─金融、財政及び構造改革─を個別に総合的に用いることを決意している」と、既に十分に緩和的となっている金融政策のみでは均衡ある成長にはつながらず、財政政策、金融政策、構造改革のシナジーが重要であると強調された。 「イエレン・ダッシュボード」なる9つの雇用関連指標を重要視するという姿勢(エビデンス重視)を示したものの、ハードデータがついて来なかった。 2014-10-29 長期国債、MBS購入を10月で終了することを決定。 【パウエル】 2018.2.5- 粛々と計画通りFRBのバランスシート調整を進め、米長期金利の上昇が容認される可能性。ただ、イエレン前議長の中盤より、あくまでハードデータ(エビデンス重視)が担保されるというスタンスに市場参加者は慣れてしまっており、予見可能な金融政策を重視することが期待される。もし、グリーンスパン流のフォワード・ルッキング(ビハインド・ザ・カーブを怖れる)を志向するようだとマーケットは不安定な動きとなってしまうかもしれない。 ▼関連記事 米長期金利、なぜ上がる① 30年の低下局面に幕引き、大転換期に突入も 米長期金利、なぜ上がる② 原油と賃金にインフレの芽 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

米2年債利回り、10年ぶり高水準 長短金利差縮小

20日の米債券市場で2年物米国債利回りが上昇して2.20%を突破、2008年9月以来およそ10年ぶりの高水準に達した。この日は同年限で入札が実施された。中期ゾーンの入札も控え、需給への警戒がくすぶっている。 10年債利回りより2年債利回りの上昇幅が大きかったため、長短金利スプレッドは縮小。最近までの拡大基調に一服感が漂い始めた。短期金利が長期金利を上回る逆イールドへと向かうか関心を集めている。長短金利が逆転すると過去の経験則から景気後退が意識されやすい。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

レバレッジ型インバースETFの純資産が減少 下値メド達成で利食いか?

2月に入って株式相場が大荒れとなるなか、日経平均株価の値動きの反対方向に2倍動くレバレッジ型インバースETFの純資産が大きく減っている。 日経ダブ(1357)、225Dベア(1366)、日経ベア2(1360)、楽天Dベア(1459)の4つのETFの純資産額合計は、日経平均が4.72%安と急落した2月6日に2299億円まで増加したが、その後は減少傾向だ。19日時点で1657億円まで減り、今月のピークから8営業日で27%減少した。 【日経平均株価レバレッジ型インバースETFの純資産の推移】 日経平均が14日に21000円割れとなり、年初来安値を更新する過程でレバレッジ型インバースETFの基準価額が上昇したことから、下げ相場に備えてインバースETFを買っていた個人投資家らが利食いを入れた可能性が高そう。 ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「6日に日経平均が200日線近辺まで下げたことで個人投資家が利食いを入れたとみられる。その後、日経平均はさらに下げて14日に21000円を割り込んだが、当面の下値メドを付けたということでさらに利食いが出たのではないか」と指摘していた。 日経平均が今年最大の下げ率(4.72%安)を記録した2月6日、日経ダブは9.71%高となってヘッジ機能を果たしていた。 しかし昨年末を基準に年初来の騰落率をみると、19日時点で日経平均が2.70%下げたのに対して、インバース型レバレッジETFは概ね3.20~3.75%のプラスにとどまっていた。中期的には日経平均の2倍の下げに見合ったプラスリターンを得られていない状況である。 井出氏は「レバレッジ型ETFの特性として、上げ下げが繰り返される相場では純資産の調整による売買の影響で思ったような収益をあげられない恐れがある。最近はVIX指数のショート戦略のETFで大きな損失が出たこともあり、組成商品の特性をきちんと理解しなければならない」と注意喚起する。 個人投資家の逆張り戦略でインバース型のETFの純資産・口数は共に減少傾向だが、レバレッジ型ETFの特性を理解し、短期のヘッジ、日計りなどでうまく活用したい。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米長期金利、なぜ上がる② 原油と賃金にインフレの芽

金利は一般的に、当該期間の「実質経済成長率」と「インフレ率」で決まると言われている。将来の成長率やインフレ率は現時点では確定していないことから、両者の予想(期待)を反映したものが金利ということになる。予想は過去のデータの影響を受ける。経済指標や市況変動を受けて金利が動くのは、そのためだ。 2009年7月に始まった米国の景気拡大局面は、今年7月には10年目に入り、戦後最長となる「10年」が視野に入る。歴史的な好景気にもかかわらず、10年物米国債の利回りでみた米長期金利はリーマン・ショック前の水準には戻っていない。一因は物価(期待インフレ率)の伸び悩みにある。 米GDP成長率と米10年物国債利回り(QUICK FactSet Workstationで作成)   原油価格が物価に与える影響は大きく、期待インフレ率との連動性も高い。2011年から1バレル=100ドル前後で推移していたWTIは2014年後半から大幅に下落。BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率=債券市場が織り込む期待インフレ率)も低下した。 米BEI(期待インフレ率)とWIT(QUICK FactSet Workstationで作成) 賃金の上昇も物価を押し上げる大きな要素だ。賃金上昇はコストの増加によるサービスや商品価格の上昇だけでなく、所得の増加による需要の拡大をもたらす。需要が増えることで価格が上がり、更に賃金も上昇するという循環的な物価上昇につながる。 逆に賃金の上昇がなければ、持続的な物価上昇は起こりにくい。賃金上昇率の伸び悩みが、2017年までの金利上昇を抑える要因になっていた。 米賃金上昇率とCPI(QUICK FactSet Workstationで作成) しかし、原油価格は2017年後半から徐々に水準を切り上げ、WTIは60ドル台を回復。2018年2月2日に公表された1月の米雇用統計では賃金上昇率が2.9%と、2008年以来の水準に達した。インフレ観測の高まりから、米長期金利は急上昇し、14日には一時2.92%と2014年1月10日以来、ほぼ4年1カ月ぶりの高水準を付けた。 良好な経済状況のなか、トランプ政権は減税やインフラ投資など、よりインフレにつながる政策を進めようとしている。インフレが加速するようなら、金利は一段と上昇するだろう。一方、市場は米国の好景気を前提に動いており、その前提が崩れれば、これまでのトレンドが反転することもあり得る。いずれの方向に向かうかは、今後の米景気や物価動向次第だ(③に続く)。 ▼関連記事 米長期金利、なぜ上がる① 30年の低下局面に幕引き、大転換期に突入も   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

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