恐怖の男の贈り物と恐怖指数 クリスマスラリーは期待薄か

先週末の米国市場ではダウ平均株価をはじめとした主要3指数が大幅に下落、投資家の不安度を測る指標とされる恐怖指数(VIX)は9.62%高の23.23で大幅に3日続伸した。終値ベースで10月30日以来、1カ月半ぶりの高水準に達した。金利低下・ボラティリティー(変動率)の上昇を受けて、様々な資産価格の変動率に応じて資産配分を調整する「リスクパリティー」型ファンドの先物売りが警戒されそう。「株式市場で恐怖指数が上昇し、トランプの狂気が乗り移ったのでしょうか。クリスマスラリーは、今年は期待できないでしょうか」(個人投資家)との声が出ていた。 ■日米欧のVIX指数の年初来チャート 7日、ナバロ大統領補佐官が、設定した90日の期限内に通商協議で合意できなかった場合に中国製品への関税を引き上げると述べたと伝わった。「米中休戦」の期待が浮上してきたなかで、カナダが米国の要請に基づいて中国・華為技術(ファーウェイ)幹部を逮捕。中国が批判を強めていることも相場の重しだ。 共産党機関紙の人民日報は9日付で、幹部の罪が確定していないのに「手錠をかけ、足かせをつけた」と指摘。「過ちを正し、中国国民の権利侵害を直ちに止めなければ、重い代償を払うことになる」と強調したという。ファーウェイの孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の身柄が釈放されるかどうかが注目される。 ノムラセキュリティーズは7日付のリポートで、「この逮捕は、貿易や構造経済政策を超え、国家安全保障などの外交政策のイニシアティブを含む分野で米中の緊張が強まっていることを示している」としつつ、WSJが7日に、米当局が中国政府と関係があるハッカーに対して、間もなく刑事告発を行い、米中関係にさらなる負担をかける可能性があると報じていたことも紹介し、さらなる緊迫化にも警戒していた。 さらに、政権の要の一人ホワイトハウスのジョン・ケリー大統領首席補佐官が近く辞任する見通しとの報道も飛び出した。トランプ大統領が2020年の大統領選での再選を目指すべく人事刷新に動いているもようで、事実上の解任との見方ができる。ケリー氏は、民主的な政策決定プロセスを踏まないトランプ大統領との関係が悪化。トランプ氏の娘婿のジャレッド・クシュナー氏、長女のイバンカ・トランプ氏ら「ジャバンカ」とも関係を悪くしていたとされる。(片平正ニ)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米雇用市場に変調の兆し? 失業保険申請じわり増加

11月の米雇用統計は堅調な内容だったが、前向きなデータばかりではない。JPモルガンのエコノミスト、ダニエル・シルバー氏が最近、気にかけているのが週間の米新規失業保険申請件数だ。しばしば景気サイクルの変化の予兆として受け止められる。 申請件数は足元で23万件で推移している。9月には20万件台にまで低下していたが、その後は増加に転じた。4週間の平均も明確に増加しており「最近の上昇傾向は注目に値する」(シルバー氏)。 背景にはハリケーンや大規模な山火事、原油価格の大幅な下落などがあると考えられるという。「申請件数の増加は景気後退の局面入りが迫っていると示唆しているわけではないが、データとして無視はできない」(シルバー氏)。今後も増加基調を維持するのか。申請件数が1つの注目指標になりそうだ。(岩切清司)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。  

もたつくOPEC だぶつく原油 ふらつく米BEIは1年ぶり低水準

6日の原油先物相場は続落し、WTI期近物は前日比1.40ドル安の1バレル51.49ドルで終えた。この日開催された石油輸出国機構(OPEC)の総会では、来年の具体的な減産規模では合意されず、7日に開催するロシアなどOPEC非加盟の産油国との会合まで持ち越しとなったことで、先行き不透明感が強まった。 原油価格は物価への影響が大きい。市場が織り込む期待インフレ率である米BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)は1.90%と2017年12月以来の水準に低下した。(池谷信久) ■米BEIとWTI原油の比較チャート ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

投信よりソフトバンク 2.6兆円IPOが吸い上げる個人の待機マネー

12月最大のイベント、19日のソフトバンク(9434)上場まで2週間を切った。週明け10日に仮条件が決まり、翌11日から申込み期間に入る。売り出しに伴う仮条件は下限と上限のない異例の形式。売り出し価格は1500円に決まる見通しだ。注目の大型IPO案件は、個人マネーの有力な受け皿である投信販売にも影響を及ぼしている。 ※QUICKが提供している特設サイト「ソフトバンク上場」 「11月の株式投信への資金流入鈍化はソフトバンク上場に伴う影響とみられる」――ニッセイ基礎研究所の前山裕亮研究員はこう指摘する。ニッセイ基礎研究所がまとめた11月の日本籍の追加型株式投信(ETF除く)では国内株式、海外株式に1000億円超の資金流入があった。とはいえ、10月はそれぞれ3000億円を超えており、11月は急激に資金流入が大幅に鈍ったことになる。 前山氏は「あくまで想像の域を出ないが」と前置きしたうえで「大手証券会社がソフトバンク株を奨めているのではないか」と指摘する。 確かに市場では「対面営業の現場ではMRFの待機資金の多い投資家にソフトバンク株を優先して営業している様子」(トレーダー)との声があり、投信販売の減少の一因になったというのは頷ける。 個人投資家への割り当てはほぼ終了しているとみられるが、今後を占うのは機関投資家の人気だ。ある国内投信のファンドマネージャーは事前に「機関投資家への割り当て比率も少なく、うちは申込みしないだろう」とも打ち明けていた。 国内機関投資家向け営業担当者は「成長性という観点からは確かに機関投資家が懸念している」と話す。一方で利回りの高さからは購入希望も多いとの声もあり、ひとまずは機関投資家の需要倍率の高さに注目が集まりそうだ。 ある市場関係者は「長い目で成長性を考えれば親会社のソフトバンクグループの方が投資妙味があるように思える」ともつぶやいていた。子会社にはパッシブファンドの組み入れ買い需要、高配当利回りファンドの買い需要など指摘する声もあるが、通信セクターでのリバランスも注視したい。年末最大のイベントから目を離せない。(中山桂一) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

Tariff Man、今日はOil Man 気になるOPEC総会と日本貿易への影響

6日に石油輸出国機構(OPEC)総会が開催される。産油量削減が協議される見込みだが、トランプ大統領は5日にツイッターで「石油輸出国機構(OPEC)が減産せず、生産量を維持することを願っている。世界は原油価格の上昇を見たくないし、望んでいない!」とつぶやいた。 ■トランプ氏のツイッターはこちら! OPEC総会を控えて減産しないよう口先介入を行った格好だが、この日はOPEC加盟国関係者から減産幅が決まっていないとのコメントが相次ぎ、WTI原油先物は54.44ドルの高値から午後には52.16ドルまで2ドル超下げる場面があった。 原油価格の下落によって輸入物価が低下すれば、交易条件(=輸出物価÷輸入物価)が改善する。原油輸入国である日本にとって、原油安はプラス材料とされる(原油高はマイナス材料となる)。確かに、原油価格が80ドルを上回った2011~14年にかけて貿易収支の赤字基調は鮮明だ。しかし、18年の貿易収支はまちまちであり、原油価格の影響は薄れているようにも見える。(片平正ニ、丹下智博) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米景気後退の兆し?ここにも 先行指標のダウ輸送株が急落 

4日の米株式市場で景気の先行指標とされる「ダウ輸送株平均」が急落した。前日比の下落率は4%を超え、ダウ工業株30種平均の3%を上回った。 米景気の減速懸念や、モルガン・スタンレーが4日付で物流のUPSとフェデックスの目標株価を引き下げたことも響いた。モルガンは両社とアマゾン・ドット・コムの航空輸送の競争が激しくなるとみており、UPSの目標株価を92ドルから87ドル、フェデックスを240ドルから230ドルにそれぞれ引き下げた。UPS株は7%超下落し、フェデックスの下落率は6%を超えた。 一方で、そのアマゾンも大幅安となった。下落率は6%近くに達した。米財務省が郵便公社の改革に関するタスクフォースの報告書を発表したのが警戒された。業績が厳しい郵便公社の経営を改善しようと価格の上限を撤廃し、納税者の負担を減らしつつ、必要不可欠な郵便サービスの改革を図る内容。トランプ大統領はこれまで「郵便公社がアマゾンの配達坊やになっている」などと指摘し、アマゾンが郵便公社と有利な配送料金を契約しているのではないかと批判していた経緯がある。(根岸てるみ、片平正二) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。  

ダウ800㌦安の引き金引いた1枚のチャート 逆イールドは後退の前兆

4日の米市場でダウ工業株30種平均は大幅反落した。下げ幅は799㌦に達し終値は2万5027㌦07セントとなった。この日の米株売りの引き金を引いた1つのチャートがある。米3年物および2年物と、5年物国債利回りとの逆転現象だ。 ■期間が長めの国債利回りが短めの国債の利回りを下回る「逆イールド」現象(QUICK FactSet Workstationより) 今年は2月と10月に米金利上昇によりボラティリティが急騰した場面があった。当時も株安となったが、今回は様相が違う。金利は低下しながらも「逆イールド」の発生が引き金になった。米金利がグローバルマーケットの大きな変動要因であることを改めて示した1日となった。 そもそも金利低下局面における逆イールドは「景気後退の前兆」と言われている。ただ、因果関係としては、「長短金利差が逆転するから景気が後退する」訳ではなく、「景気に悪影響を及ぼすほど、中央銀行が金融引き締めを行う」から金利差が逆転する点には注意が必要だ。 新債券王の異名をとるダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)は4日に米メディアに対して、米債券市場で逆イールドが進んでいることについて「経済が弱体化することを示すシグナルだと思う」と述べた。イールドカーブが全体的にフラット化していることについては「米連邦準備理事会(FRB)の利上げを自制させることを示している」とも指摘した。 CMEグループの「Fedウォッチツール」によれば、この日の2019年の利上げ織り込み度は大きく変化しなかったが、米債市場で逆イールドが進んだことを警戒する声が強まっている。ただ、直近ではパウエルFRB議長が11月28日の講演で、政策金利は「中立水準をわずかに下回る」との認識を示した。政策金利が景気をふかしも冷やしもしない中立金利を超える利上げを行わない限り、景気への影響は限定的だろう。 18~19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)における金利見通し(ドットチャート)が、従来の「中立超え」から切り下がるか注目される。(池谷信久、片平正二、岩切清司)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米長短金利差いよいよ15bp、11年5ヵ月ぶり低水準

3日の米国市場で10年物国債の利回りは2.972%と前週末比0.02ポイント低下した。目立ったのは取引終了にかけての金利低下だ。「プログラム取引が入っているとみられ、引けにかけてのショート・ポジションを手仕舞う動きが金利低下を加速させているようだ」(ストラテジスト)と指摘された。この結果、米10年金利と2年金利(2.819%、0.037%上昇)のスプレッドは15bpと、2007年7月以来、11年5カ月ぶりの水準まで縮小した。 ちなみに、3日のCMEフェドウォッチツールによると、2019年12月のFOMCまでの利上げ確率で最も大きいのは2回の38.7%。1回が25.9%、0回が3.8%で、2回以下の合計は67.5%となっている。2018年12月の利上げはほぼコンセンサスであり、2019年は1回しか利上げがない可能性が7割近くまで高まっている。(池谷信久、丹下智博) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米テック時価総額ダンゴ3強だ ①アップル②アマゾン③マイクロソフト

3日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸した。米中間の貿易戦争が一時的に小康状態になるとの見方から安心感が広がった。時価総額が世界最大のアップルは3.49%上昇し、指数の押し上げに寄与した。 ただ、上昇率はアマゾン・ドット・コムが4.86%と大きく、米メディアによると一時は時価総額でアップルを上回って首位に立つ場面もあった。QUICK FactSet Workstationによると終値ベースの時価総額はアップルが8770億㌦なのに対し、アマゾンは8666億㌦。3番手はマイクロソフトの8604億㌦と、文字通りの団子状態。時価総額トップの座を3社が競う三つ巴の状況になった。(岩切清司) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

原油相場、波乱の11月 リーマン・ショック以来の下げ、月間▲22%

11月30日の米国市場で原油先物が反落し、WTI期近の1月限は1.01%安の50.93ドルで終えた。WTIは月間で22.01%安となり、2カ月連続で大幅続落。月間の下落率は、月間の下落率は、リーマン・ブラザーズが2008年9月に経営破綻し、金融市場が大荒れとなったリーマン・ショックのさなかの同年10月(32.62%安)以来、10年1カ月ぶりの大きさとなった。12月6日の石油輸出国機構(OPEC)総会で協調減産が見込まれているが、需給改善を期待する買いは限定的で波乱の11月相場となった。 米商品先物取引委員会(CFTC)が公表している投機ポジションで、WTI原油先物のネットロングは9週連続で減少し、11月27日時点で34万8121枚のネットロングとなった。2017年7月3日以来、1年4カ月ぶりの低水準となり、WTI原油先物が1年1カ月ぶりの安値水準にある中、投機ポジションの解消が続いている。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ソフトバンク仮条件、超異例「一本勝負」の成算は

ソフトバンクG(9984)の通信子会社ソフトバンク(9434)は30日、新規株式公開(IPO)に伴う売り出しの仮条件が想定価格と同じ1500円に決まったと発表した。通常、仮条件は下限と上限のレンジで示すが、「レンジのない仮条件は極めて異例」(国内投信)だ。主幹事証券によると「仮条件がレンジを付けない一本値となるのは1997年にブックビルディング方式が導入されてから初めて」という。 ソフトバンクはQUICKデリバティブズコメントの取材に対し、「価格変動リスクやマーケットの状況等を勘案して仮条件は1500円が妥当だと総合的に判断した」と説明した。 訂正有価証券届出書によると、仮条件を決めるにあたり、機関投資家への聞き取りで主に3つの「評価」を得たとしている。①高い株主還元と成長投資の両立が可能なキャッシュ・フロー創出力、②ブランド戦略やソフトバンクGの投資先との協業による新規事業の展開というユニークな成長戦略、そして③業界の競争環境、法規制の改正等よって業績が変動する可能性--だ。③は、いうまでもなく、政治主導で携帯料金の引き下げが議論されていることを強く意識したものとみられる。 株式市場では「個人投資家向けの販売が大方めどがついているという証左」(国内投信)との指摘が出ていた。一方、「もともと機関投資家向けの売り出し株数が少なく、応募しても割り当てられない機関投資家が多いのではないか」(市場関係者)との声もある。 売り出し額は約2.6兆円になる計算で、日本企業のIPOでは1987年のNTT(2.3兆円)を上回り、過去最大になる。週明け12月3日からのブックビルディングを経て、10日に売出価格を正式に決め、19日に東証1部に上場する。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米中貿易戦争で漁夫の利を得るのはどこか

買い戻しによって相場は復調気味だが、グローバルの投資家心理は中期的に冷え込む一方のようだ。 28日付でステート・ストリートが公表した11月の投資家信頼感指数は前月から1.7ポイント悪化し82.7となった。悪化は4ヵ月連続となり、指数自体は2012年12月以来およそ6年ぶりの低水準に沈んだ。 同指数は100が中立なだけに「投資家はリスクアセットのポジション調整を強烈に進めている最中」(調査を担当するケネス・フルート氏)と解釈できるようだ。低下を始めた5月以降、本格化したのがまさに米中貿易戦争だった。トランプ政権は4月ごろにリストの作成にとりかかり、6月には制裁第一弾を決定。7月上旬に発動した。さらに追加措置を断続的に決定するなどエスカレートするばかりだ。何らかの歯止めがかかるまで投資家としても身動きが取れない。 ただ、地域別の投資家信頼感指数では違った景色が見える。悪化が目立ったのは北米。むしろ「アジア太平洋地域の指数が改善したのは驚き」(フルート氏)と言える。 アジア地域の投資家心理がそれほど悪化していない理由はどこにあるのだろうか。1つのヒントになりそうなのが、野村証券が28日付で公表した「アジアにおいて『漁夫の利』を得る可能性のある経済(詳細版)」と題するレポートか。ざっくり言えば「米中貿易摩擦はマイナスばかりではない」とのシナリオの証明を試みたものだ。 レポートでは野村独自の「野村輸入代替指数(NISI)を考案」。5つの項目について指標化したものを加重平均し、どのアジア諸国のどのセクターが米中による輸入先変更の恩恵を受けやすいかを指標化したものだという。詳細はレポート本文を確認いただきたいが、分析では「恩恵を最も受けやすいのはマレーシアで、2位以下に大差をつけている。2位以下は、日本、パキスタン、タイ、フィリピンと続く。逆に恩恵を最も受けにくいのはバングラデシュ、インド、韓国である。詳細にみていくと、ASEAN諸国の多くが米国による対中関税の恩恵を、パキスタン、日本、マレーシアが中国による対米関税の恩恵を、それぞれ受けやすいことが分かった」としている。 このあたりにアジア地域の投資家のセンチメントが相対的にしっかりしている要因の1つがあるかもしれない。不透明感のみならず強弱感も交錯するグローバル市場。方向感を見極めるにはまだ時間がかかる。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

戻ってくるのか▲10兆円 海外勢の日本株売り越し、今後は需給下支え要因に

2018年も残すところあと1カ月程度。VIXショック、米中の貿易摩擦、EUを巡る不安、外部環境要因の不安が多かった18年。海外投資家は先物を中心に日本株を売ってきた。地域別の海外投資家の売買動向も合わせてみると、ヘッジファンドなど短期勢の売りが強かったとみられるが、先行きの需給面では支えになるとの見方もある。 「海外投資家の先物フローが日本株の最大の変動要因に」―ゴールドマン・サックス証券は22日付のリポートでこう指摘した。日本の株式市場では海外投資家の存在は無視できない。とはいえ、これまで日本株に対して影響が大きかったのは現物株の動きで反対売買を伴う先物の累計フローが大きく膨らむことは少なかった。 東京証券取引所、大阪取引所がそれぞれ発表する投資部門別売買動向を集計すると海外投資家は現物株を4兆1920億円売り越し、先物を6兆5000億円超売り越した。ゴールドマンのレポートでは現物株フローの少なさは「日本株への興味の少なさの反映」と指摘。先物フローの偏重さを鑑み、今後は買い戻しが期待できると考えると「過去の日本株の下落局面に比べて需給面では支援的」とも分析した。 現物株の地域別売買動向でみると今年はアジアからの売りが強いという傾向もみられる。東京証券取引所が11月20日に発表した海外投資家地域別株券売買状況を集計すると、2018年は10月までの累計で北米が1375億円の買い越し、欧州地域が2兆8867億円の売り越し、アジアが1兆5293億円の売り越しとなっている。欧州は裁定要因で膨らむとされるため、先物の売買動向と同様の動きになりやすい点を考慮すれば、アジア株の売りの多さが目を引く。 ■海外投資家地域別株券売買状況(単位億円) 東海東京調査センターの鈴木誠一チーフエクイティマーケットアナリストは「アジアからの売りはヘッジファンドによる比率が高いのではないか」とみる。近年、日本株ヘッジファンドの多くがシンガポールに拠点を移し、実際の売買は香港経由でしているケースが多いためという。 ヘッジファンドの多くは成績が悪いとされる。ヘッジファンドリサーチ社が公表するグローバル・ヘッジファンド指数は26日時点で1209.86と17年末に比べ5%低い点が物語る。 東海東京調査センターの鈴木氏は「運用成績の悪化とともに解約が出ていた可能性があり、日本株の押し下げ要因になっていた」と分析する。決算期末を控える中で45日前までに顧客が解約請求をする「45日ルール」で売りが出やすい状況が終わり、今後は売り圧力が弱まるとみる。 市場では「確かに11月にはヘッジファンドの解約売りとの話は多かった」(国内証券)との声がある。需給の重荷が無くなる一方、買い手としては日銀のETFや企業による自社株買いが意識される。売り越してきた海外勢が買い戻すきっかけがあれば、想定外の上昇につながる可能性がある点は頭の片隅には入れても良いだろう。(中山桂一) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

「米利上げ、あと4回」の見方しぼむ 議長発言、2年物金利が低下

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が28日の講演で、今の政策金利は「中立水準をわずかに下回る」との認識を示したことで、マーケットでは米利上げが近く終了するとの観測が広がった。 FOMCのドットチャートでは2018年に1回、2019年に3回の利上げが示唆されているが、28日のCMEフェドウォッチツールによると、2019年12月までに合計4回以上利上げする確率は9%程度と、27日の12%から低下。ひと月前の18%から半減している。 債券市場では金融政策の影響を受けやすい2年債利回りが低下し、米長短金利スプレッドは拡大した。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

メアリー、ドナルドに叱られる 補助金削減「脅し」でGM反落

27日の米国市場でゼネラル・モーターズ(GM)が反落した。前日比2.54%安の36.69ドルで終えた。トランプ米大統領がGMの補助金削減を検討しているとツイートし、取引終盤にかけて下げ幅を広げた。 トランプ大統領は27日、「オハイオ、ミシガン、メリーランド各州の工場の閉鎖について、GMとメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)に非常に失望した」とツイートした。このほか「米国がGMを救済したことへの感謝がこれだ」と不満をぶちまけ、「我々は現在、GMへのあらゆる補助金の削減を検討している」とした。前日にGMが北米5工場の生産停止や全世界で15%の人員を削減するリストラ策を発表して株価は上昇していたが、この日はトランプ大統領による経営への圧力への警戒感も強まった。 GMは27日に声明文を発表し、「GMは2009年以来、米国で220億ドル以上の投資をしている点から明らかなように米国での強力な製造業の維持に努めてきた」と説明。声明文では長期的な成功に向けて自社の体制を整えて米国内雇用を維持、拡大するとも示した。(中山桂一) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。  

またひとつダウの古株が消える? Uテクノロジーズが事業3分割、銘柄入替の観測

27日の米国市場でコングロマリットのユナイテッド・テクノロジーズが大幅続落し、4.14%安の122.68ドルで終えた。前日の大引け後、会社を3事業に分割すると発表したほか、2018年12月期通期の業績見通しを引き下げ、1株当たり利益(EPS)で従来見通しの7.20~7.30ドルを7.10~7.20ドルに引き下げた。会社分割の手続き中は自社株買いを止める方針を示したこともあって嫌気売りが優勢となり、この日のダウ工業株30種平均の下落寄与度トップで35ドルほどダウの上値抑制要因となった。 米マーケット・ウォッチによれば、ユナイテッド・テクノロジーズが事業分割で航空事業に集中することから、ダウの銘柄入替に対する思惑が出ているという。同じくダウ採用銘柄のダウデュポンも来年6月までに傘下事業の3分割を予定しており、2018年6月にゼネラル・エレクトリックに替わってドラッグストア大手のウォールグリーン・ブーツ・アライアンスが採用されて以来となる銘柄入替が起こる可能性があるという。 ■27日のダウ寄与度ランキング ユナイテッド・テクノロジーズは1933年8月にダウに採用された古参銘柄。当時はユナイテッド・エアクラフトの時代だった。しかし、ダウには既にボーイングという航空大手が存在するため、ユナイテッド・テクノロジーズが除外される恐れがあるとのこと。マーケット・ウォッチは採用候補として米検索大手グーグルの親会社であるアルファベットやアマゾン・ドットコムなどを上げていたが、ダウは単純平均のため値がさ株は株式分割を行う可能性があるのではないかとみていた。(片平正ニ)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

右肩下がりビットコイン「さらに15%下落も」 クリプタクトが分析リポート

ビットコインが下値を切り下げている。仮想通貨の情報サイト、QUICK CRYPTO LABによると、日本時間27日午前11時10分時点の円建て価格は前日比1万1760円(2.75%)安の41万6048円で推移している。 bitFlyerベースで価格を比較すると2017年9月下旬以来、約1年2カ月ぶりの低水準。ちょうど1年前には一時、200万円を突破するなどバブルの様相を呈していたが、年明けから調整局面に入った。さらに11月からは一段安の展開となっている。 背景には様々な要因が考えられる。仮想通貨そのものが盗難されるなど仮想通貨交換業者のセキュリティーに対する不信感のほか、ビットコインの分裂騒動も逆風になった。仮想通貨関連のツール開発・資産管理を手掛けるクリプタクト(東京・千代田)は直近のレポートで「ビットコインの価格はさらに15%近いダウンサイド(36万円)があり得る」と指摘した。 ■2013年12月~17年1月の価格と変動率 ■現在(17年12月~18年11月)の価格と変動率 (いずれもクリプタクト調べ) 同社が今回の分析で利用したのがビットコインの変動率だ。「今回の市場低迷期において2018年11月24日には、2017年12月16日の高値価格と比べて80%下落した。これは前回の低迷期の82%と比較してほぼ同じ水準まですでに下落した計算。前回の底値を意識するなら2%ほどの下落の可能性がある。すなわち現在の価格からみるとおよそ15%の下落、価格にして36万円近辺まで下値余地があることを示唆している」と見る。 一方で「底入れのタイミングも近い」という。「ボラティリティの動きが前回の低迷期と似ていることから、現在起きているボラティリティの上昇は、株式市場でいうところの、いわゆるセリング・クライマックスに近いかもしれない。その場合はボラティリティの落ち着きと共に底値からの反転が生じる」との見方も示した。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

なるか8年半ぶりの逆転劇 アップル時価総額に迫るマイクロソフト

26日の米株式市場でアップルが5営業日ぶりに反発し、前営業日比1.35%高の174.62ドルで引けた。直近までアイフォーン(iPhone)の販売不振や値下げ報道などを嫌気し売りこまれていたが、相場全体の地合いが改善し買いが入りやすかった。ただ、同じく反発したマイクロソフトの上昇率は3.29%に達した。 QUICK FactSet Workstationによると、アップルの時価総額は8286億ドルへの改善にとどまったのに対し、マイクロソフトは8172億ドルに増加し、両社の差は110億ドル強まで縮小した。このままマイクロソフトがアップルを追い抜けば、2010年5月下旬以来の再逆転となる。 後続組にはアマゾン・ドット・コムやグーグルの親会社にあたるアルファベットも控える。マイクロソフトを含めたこの3社はビジネス向けのクラウド事業などネット上のサービス事業が成長している点にある。「1強」が揺らぎ始めたアップルはiPhone失速をサービス事業で補い成長を持続できるのか。市場が瀬踏みを始めたようだ。(岩切清司)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

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