ドローン熱気うなるうなる 用途も関連銘柄もフライト範囲拡大中

物流や輸送から、警備や監視、災害対応、測量、撮影、農薬散布用まで形状や性能はいろいろ。小型無人機「ドローン」のデモ飛行や産業応用事例のプレゼンテーションには、どこも人だかり。取材で訪れた「第5回国際ドローン展」(17~19日、幕張メッセ)で、改めてドローンに対する注目度の高さを実感した。 ドローンは各種規制の影響で諸外国に比べて出遅れ感が否めないが、人手不足が深刻な農業や建設などの分野で着実に市場規模が拡大しているうえ、足元で規制緩和の動きが出ているのが追い風だ。さらに、2020年から本格的な商用化が始まる5G技術の普及で高精細の映像を送受信しやすくなるほか、ドローンが移動中の通信も安定するため、物流やインフラ点検など活躍の場が広がるとみられる。 関係者で混み合う国際ドローン展(千葉・幕張メッセ) インプレス総合研究所によると、2018年度の日本国内のドローンビジネスの市場規模は前年比85%増の931億円で、2019年度も前年比56%増の1450億円に拡大する見通し。2024年度には5073億円(2018年度比で約5.4倍)に達すると見込まれている。また、プライスウォーターハウスクーパースによれば、ドローンを使った商用サービスの潜在的な市場規模は世界で1270億ドル(約14兆円)に達するという。 国内ドローン市場が諸外国に比べて出遅れているのは、各種規制の影響だろう。ドローンの事故が相次ぎ社会問題化した2015年にドローン規制が施行された。規制には、道路交通法、電波法、各都道府県の条例などあるが、カギを握るのは航空法だ。航空法ではドローンに関して、日中に飛行させることや、イベントなど人の多く集まる場所での飛行禁止、危険物の輸送や物を落とすことなどを禁止している。 しかし、足元で徐々に規制緩和の動きが強まっている。18年に飛行制限が緩和され、無人地帯では人の目が届く範囲外でもドローンを飛ばせるようになり、人が遠隔地からタブレット端末で航路を指示して自動飛行するような使い方が可能になった。19年からはトンネルや橋などインフラの定期点検で目視確認の条件が緩和され、需要拡大が見込まれる。 ドローン関連ビジネスを手掛ける銘柄はいくつかある。空中写真測量専用ドローンのトプコン(7732)、ドローンによる三次元測量支援サービスのパスコ(9232)、航空測量のためのドローンパイロットスクールを運営するアジア航測(9233)、ドローン配送サービス開始予定の楽天(4755)などあるが、いずれも本業ではない。 そこで注目したいのがドローンビジネスを本業としている、産業用ドローン開発の自律制御システム研究所(ACSL、6232)だ。操縦者の介入が不要なドローンの自動制御技術が強みで、地下などGPSが使えない環境で飛ばせるドローンも商用化している。先行投資負担が重く赤字が続いているが、ドローン配送サービスを本格化させる楽天に機体を提供するなど注目度が高い。相場急落に見舞われた18年末にマザーズ市場に新規上場し、初値は公開価格を大きく下回ったが、その後はレオスキャピタルの大量取得などを背景に値を戻した。ドローン市場の拡大による恩恵は他銘柄より大きいため、中長期的に注目すると面白そうだ。(本吉亮) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

きてるきてる債務バブル IMFも警鐘、リスクオンは軽傷で済まない?

国際通貨基金(IMF)が先日公表した「国際金融安定性報告書」では、クレジット・サイクルに対する警鐘を鳴らした。第一章は「信用サイクルの成熟期における脆弱性」がテーマだ。 大多数の先進国では債務返済能力は向上しており、企業のバランスシートは、緩やかな景気後退や金融状況の徐々なタイト化には耐えうると見込まれる。しかしながら、総体としてみると債務も金融上のリスクテイクも拡大しており、信用力が低下した債務者も見られる」 レポート内には多くのデータが収容されている。その中でもクレジット・サイクルがどの局面にあるかを示した以下のチャートは興味深い。米国のクレジット・サイクルピークを迎えレポートでは既に後期に入っていると指摘している。 ■米国のクレジットサイクル ※IMFの「国際金融安定性報告書」より この局面を野村証券の松沢中氏は「株式はファンダメンタルズの比較的良好な市場(米中)や銘柄(ハイテクなど)が高騰し易く、そうでないところ(日欧、金融など)との較差が拡がって行く。典型的な信用拡張サイクル終盤の形になりそうだ。従来4~6月はいったん株価やクレジット市場の過熱感が収まり、7~9月からリスクラリー再開を見込んでいたが、4~6月もラリーが続いてしまい、その分終焉も早まる可能性が高い様に感じ始めている」(4月15日)としていた。 米国みずほ証券の石原哲夫氏は米企業の短期債務比率の上昇に着目する。「企業の資金繰りが悪化した可能性(デフォルトリスクの上昇)や金利費用以外にリストラ手段がなくなったサイン」と考えられるためだ。歴史的には現時点で依然として低水準にあるものの、2018年4~6月期を直近のボトムにして再び上昇基調に転じたという。加えて「短期債務の対GDP比率は、すでに長期平均を上回っている」。これらはIMFが懸念するクレジット・サイクルの後期入りを示唆していると言えるのだろう。 日本に目を転じても、超金融緩和にもかかわらず、国内のデフォルト率は上昇している。日本リスク・データ・バンクの集計によると18年6月から19年1月まで連続してデフォルト率が上昇した。1.15%は15年12月以来、およそ3年ぶりの高水準となる。 ※日本リスク・データ・バンクの「RDB企業デフォルト率」より 銀行株アナリストの間でも「邦銀の一般貸倒引当金水準はスルー・ザ・サイクルのリスクを反映しておらず、将来的に積み増しを迫られる可能性が高い」(SMBC日興証券の中村真一郎シニアアナリスト)との指摘も漏れ始めた。 日銀が17日に公表した「金融システムレポート」に対し市場では「これまでに以上に金融機関経営(特に地域金融機関)に対するダウンサイド・リスクに関する警戒感を強めている印象」(ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦氏)との見方が相次いだ。 レポートでは金融機関による不動産セクターへの融資に焦点を当て、過熱感としては約30年前の不動産バブル期以来だと分析してみせた。国内の不動産市況が大きく変調するようだと金融システムに動揺が広がりかねない。 国内外で信用リスクに対し警戒感がじわりと高まりそうなムードだ。ただ、実際の融資の現場の心理は改善している。国際信用ポートフォリオ・マネージャー協会(IACPM)が18日に、米・欧・アジアで金融機関の与信リスク担当者に3カ月ごとに実施する信用市場の動向調査を公表した。3月の調査では今後12カ月のデフォルト(債務不履行)見通し指数はマイナス50.0。前回(同72.3)から改善した。同指数はプラス100からマイナス100までの範囲で、低いほどデフォルトの発生が高まるとみる関係者が多いことを示す。 ■目先のデフォルトリスクは一服 さらにクレジットスプレッドの先行きについて示す指数も3四半期連続の改善となった。IACPMは「米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の姿勢を変更したことが大きく、リセッションへの不安感が後退した」としている。 FRBが金融引き締め政策を緩め短期的な投資心理の改善が続き、株価水準自体が切り上がっている。クレジット・サイクル拡大の終焉という「崖っぷち」を視野に入れてのリスクオン相場は危険なチキンレースのキナ臭さがする。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

5G和解の連鎖高 クアルコム↔インテル↔SOX↔アップル部品供給企業

17日の米株式市場で、主な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が前日比1.6%高の1557と史上最高値を更新した。アップルとの知的財産紛争の和解を受け目標株価の引き上げが相次いだクアルコムや、次世代通信規格「5G」モデムからの撤退を発表したインテルがけん引した。 クアルコムは前日比12%高の79.08ドルと大幅続伸で終えた。16日午後に明らかになったアップルとの知財紛争の和解を受けて、アナリストの目標株価の引き上げが相次いだことが好感された。JPモルガンは年末の目標株価を88ドル、バークレイズは100ドルとした。 インテルも大幅続伸し、3.26%高の58.56ドルで終えた。一時は上昇率が5%を超え、2018年6月以来、10カ月ぶりの高値水準を回復した。16日の大引け後、5Gの多機能携帯電話(スマートフォン)向けモデムの事業を終了すると発表したことをうけ、事業の「選択と集中」を評価する買いが入った。 インテルは5Gネットワークのインフラ事業への投資は続けるとしたが、スマホ分野で2020年の発売を当初予定していた5Gの通信半導体を発売する予定はないことを表明した。クアルコムがアップルと和解し半導体供給を再開することで合意したことを受けてのスピード判断だった。 アップルとクアルコムの和解は株式市場に一定の安心感を与えている。UBSは18日付のレポートで「アップルへの部品供給会社にとっては朗報」と指摘した。アップルが5Gに対応する半導体の供給をクアルコムから受けることで、2020年後半にアップルが5G対応のアイフォーン(iPhone)の発売が可能になるとUBSは想定した。スマホの供給量に対する懸念も後退したとの認識を示した。そのうえでアジアのハイテク部品メーカーでは最も選好する銘柄に台湾積電(TSMC)を挙げた。日本企業ではTDK(6762)や日立(6501)もリストに加えていた。(根岸てるみ、片平正ニ、岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ご意見番フィンク氏の予言「米株にメルトアップリスク」 経済成長に強気

ウォール街のご意見番として知られる、ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)が16日に米経済専門チャンネルのCNBCに出演し、「我々は株式市場にメルトダウン(崩壊)ではなく、メルトアップ(急騰)するリスクがあると思っている」との見解を示した。その上で「多くの人が、私たちは利上げの時代に入ると思っていたが、実際はそうではなかった。人々は債券の投資に駆け込んだが、まだ株式市場ではそれを見ていない」とも発言。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを一時休止する中で債券高が進む一方、株式市場では投資家が買い遅れた状態にあるとみて米株に強気の見方を示した格好だ。 ブラックロックがこの日に発表した2019年1~3月期(1Q)決算では、売上高にあたる営業収益や1株当たり利益(EPS)は前年同期から減って減収減益となったが、運用資産は6兆ドルを超えて株価は3%高で堅調に終えた。 先週12日のJPモルガン・チェースの決算発表では、ジェイミー・ダイモンCEOが資料の中で「いくつかの世界的な地政学の不確実性があるにも関わらず、米国経済は成長を続けている」との見解を示した。米金融大手のトップが相次いで口にする「イケイケ発言」だが、市場はどこまで乗っかっていくのだろうか。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

最高値に迫る米株、恐怖指数が半年ぶり低水準 VIX先物はショート拡大

12日の米国市場で恐怖指数のVIXが3日続落し、7.75%安の12.01で終えた。一時は11.95まで下げて2018年10月5日以来、6カ月ぶりの低水準を付けた。 S&P500指数が2018年10月4日以来、半年ぶりに2900台を回復して終え、昨年9月に記録した史上最高値(2930.75)にあと0.8%に迫る中でVIXの低下基調が続いた。 ■恐怖指数のVIX(青)とS&P500指数(赤) 米商品先物取引委員会(CFTC)が12日に公表したVIX先物の投機ポジションは16万4383枚のネットショートとなり、2週連続でショートが拡大した。ショート規模としては2017年10月17日以来、1年6カ月ぶりの高水準となる。VIXの低下基調が続く一方で高水準のVIXショートが溜まっていることから、VIXの急騰局面では巻き戻しが警戒されそうだ。(片平正ニ)     ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

「スチールマゲドン2021」 市況悪化警戒、USスチール売られる 

11日の米国株式市場で米鉄鋼大手のUSスチールが6日続落した。日中取引の終値は3%安の16.69ドルだった。一時16.57ドルまで下げ、52週安値を更新した。バンクオブアメリカ・メリルリンチは同日のリポートで投資判断を「バイ」から「アンダーパフォーム」、目標株価を31ドルから18ドルにそれぞれ引き下げたもようだ。「スチールマゲドン」と呼ぶ、2021年ごろに見込まれる市況の大幅な悪化が業績の下押し要因になると分析したようだ。 「スチールマゲドン」は言うまでもなく、スチール(鉄鋼)とアルマゲドン(最終戦争)を組み合わせた造語。米国鉄鋼市場の供給過剰の期間と業界への影響と定義されるという。 バンカメ・メリルによれば、①市況悪化を受けた設備のアイドリング状態からのリスタート、②供給能力の追加、③新規の生産能力拡大という、3つの波を通じて供給が現在と比べ20%以上増えるという。現状は①の段階で、②は2020年から21年にかけて到来すると分析している。2022年にはニューコアやスチール・ダイナミクスなどによる新規のミニミル(規模が小さい電炉)稼働が見込まれ、③の波が訪れるという。米国のみならず、世界の業界に波及する可能性もある。(松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

リフト安値更新 乗り換え必至?競合ウーバーにIPO観測

10日の米国市場で配車大手のリフトが大幅に3日続落し、10.85%安の60.12ドルで終えた。一時は59.75ドルまで下げて60ドルの節目を割り込み、3月29日に新規株式公開(IPO)を果たしたばかりだが、上場来安値を更新して軟調な展開だった。 IPOを予定している配車大手のウーバーに関して、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙電子版が10日、「ウーバーはIPOで、予想を下回る1000億ドルのバリュエーションを狙っている」と報道。売り出し価格を48~55ドルで検討しているいい、従来は上場時の時価総額が1200億ドルになるとみられたが、900億~1000億ドル程度にとどまる見込みだという。5月のIPOを前に、早ければ11日にもIPOを申請するといい、ウーバーの大型IPOを前に需給悪化懸念や配車大手のバリュエーションの低評価を警戒する売りが膨らんだ。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

爆速5G、バブルも幕開け 米キーサイトなど関連銘柄が爆騰中

米韓の通信大手が「商用化で世界1番乗りはこちら」とつばぜり合いを演じ、関連銘柄の株価チャートは強烈な上昇カーブを描く。これまで何度も見てきたような光景だ。次世代の高速通信規格「5G」時代の幕開けとともに、5Gバブルがやってきた。 キーサイト、利益成長は初期段階 5G関連の米キーサイト・テクノロジーズの株高に弾みがついたのは昨年末から。これまで期待先行で上昇してきたが、米国で5Gの商用サービスが開始されたことで5Gに対する現実味が増した。いよいよ業績に効いてくる。そんな見方が投資家の間で広がった。   4月に入ると株価は連日で52週(過去1年)高値を更新し、3日に一時上場以来初の90ドルの大台に乗せた。スタイフェルのアナリストが利益成長の初期段階にあるとして、目標株価を87ドルから100ドルに引き上げたことがトリガーだった。米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズが携帯通信向け5Gのサービスを3日から開始したことも背景にある。   キーサイト・テクノロジーズの上場来の株価             キーサイトは世界最大規模の電子計測機器メーカー。ネットワークの接続状況を調べる計測機器に強みを持ち、半導体や自動車メーカーなどに製品・サービスを提供している。売上高は4000億円超と、競合とされるアンリツ(6754)の860億円の約5倍(売上高は5G以外も含む)。市場が拡大した際の恩恵も大きそうだ。 急ピッチで上昇する株価に慎重な見方も 3日には野村インスティネットが5G関連銘柄の一角である半導体の米ザイリンクスのカバレッジを新規で「ニュートラル」で開始し、株式市場で話題になった。ファブレスの半導体メーカーで必要な設備投資が少ないため、向こう数年間も営業利益率で25%以上を維持できるとの見方を示した。ただ、目標株価は115ドルと、足元の127ドルは買われ過ぎとの見方だ。リポートでは「5G への移行とAI(人工知能)普及の恩恵を受けやすい立ち位置にある。しかしPER(株価収益率)は19年3月期の予想基準で37 倍と高く、これらの好材料は既に織り込み済みといえよう」と指摘したようだ。   確かに株価は昨年12月24日の安値から急ピッチで上昇してきた。S&P500種株価指数の2割程度の上昇に対して、ザイリンクスとキーサイト・テクノロジーズは約6割上昇した。無線通信機器の米ユビキティ・ネットワークスは7割の上昇と気を吐いた。キーサイト・テクノロジーズに対してアナリストは総じて強気だったが、足元の株価の過熱感もあってか、4月に入ってから慎重な投資スタンスもでてきている。   5G関連株はほぼ同じペースで上昇   黒:ユビキティ・ネットワークス、赤:ザイリンク、緑:キーサイト・テクノロジーズ、青:S&P500種株価指数         QUICK資産運用研究所によると、ETFを除いた国内公募追加型株式投資信託で2018年度に最も資金が流入したのは世界の5G関連株などに投資する「次世代通信関連 世界株式戦略ファンド<愛称:THE 5G>」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)だった。18年4月~19年3月の間に2189億円(設定額から解約額を差し引いたもの)が流入した。   同ファンドはキーサイトやザイリンクスにも投資しているため、国内個人投資家マネーが株価を押し上げた面もあった。   そうはいっても5Gへの移行がスタートしたばかりで市場の拡大は続く見通しだ。富士キメラ総研によると、世界の5G対応基地局の市場規模は2023 年に4兆1880億円、5G対応エッジ機器は26兆1400億円と予想する(18年6月時点)。5Gの背景には米中の覇権争いがある。株価の一段高には、業績の裏打ちに加えてイニシアチブを握れるか否かも重要になる。   日本でも改めて5G関連への関心が強まっている。いちよし経済研究所は3日付で「世界的な5G関連投資で盛り上がる日本のハイテク企業」と題するレポートを公表。アンリツ(6754)、santec(6777)、メガチップス(6875)などを挙げた。「関連投資の拡大により好影響を受ける光関連部品部材などの分野は幅広いと考えられる」と期待を寄せる。(根岸てるみ)   ◆5Gとは◆ 大容量のデータの送受信を可能にする通信規格で、現行の4Gに比べて最大で約100倍の通信速度が実現できる。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や、自動運転などの分野での活用が見込まれている。5G関連には、計測機器や通信機器、半導体、基地局、サイバーセキュリティーなどの分野がある。ちなみに、基地局ではスウェーデン・エリクソン、中国・華為技術(ファーウェイ)、フィンランド・ノキアの3大通信機器が優位とされる   ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

米リフトはエレベーター相場 上場2日目11%安、早くも公開価格割れ

1日の米国市場で配車大手リフトが急落。前週末比11.9%安の69.01ドルで取引を終えた。 3月29日の上場初日は公開価格(72ドル)を大きく上回る88.6ドルまで上昇したが、業績面での不透明感などが意識され失速。上場2日目となったこの日は利益確定売りに押され、公開価格を割り込み見切り売りが加速したようだ。取引時間中には安値67.78ドルをつけた。 リフト上場では公開価格を決める際の仮条件が62~68ドルから70~72ドルに引き上げられ、最終的にその上限で決まった。人気があったからといえばそれまでだが、上場時の値決めの妥当性を巡る議論につながる可能性もある。 これを受けて2日の東京市場では楽天(4755)が大幅続落し、心理的な節目の1000円を割り込んだ。筆頭株主の米リフトの株価下落で含み益拡大に対する期待感が急速にしぼんだようだ。(本吉亮) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

米リフト上場 公開価格アップ、初値はジャンプ 成長期待どこまで

3月29日の米国市場で配車大手のリフトが新規株式公開(IPO)を果たした。初値は公開価格(72ドル)と比べて21.16%高の87.24ドルと堅調に決まり、一時は88.60ドルまで上昇して公開価格比で23%超の大幅高となった。その後は引けにかけて伸び悩み、公開価格比8.73%高の78.29ドルでIPO初日の取引を終えて時価総額は223億ドルとなった。 ■リフトのIPO当日の株価の推移(QUICK FactSet Workstationより) リフトは米国の配車サービスで昨年末時点で39%のシェアを持つとされ、シェア首位で今後IPOを控えているウーバーテクノロジーと比べてその成長性が評価されている。IPOに先立ち、ZEPHIRINグループは28日付のリポートで投機的リスクがあるとしながら投資判断を買い、目標株価97ドルと強気の見方を示していた。QUICK FactSet Workstationによれば30日時点でアナリストの目標株価の平均値は77.50ドルとなっており、29日終値を1%ほど下回っている。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

食品値上げの4月、空前のサバ缶ブームで注目は

きょうから4月。新しい制度や新会社の発足、社名変更などに加え、株式市場で注目されるのが食品・飲料を中心とした相次ぐ値上げだ。中でも、サバ缶は健康志向の高まりを背景に需要が高まっている。日本水産(1332)の株価も高値圏にある。   ■日水の日足チャート   サバ缶は青魚に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が健康に良いとして、ここ1~2年で需要が急増している。日水は「スルッとふたSABA さば水煮」などを4月1日から値上げに踏み切る。昨年8月以来からわずか8カ月での値上げは、それだけ需要が強い証左だろう。みずほ証券では、3月27日付のレポートで、日水は20年3月期に増益が見込まれるほか、EPA原薬と養殖のポテンシャルに注目と指摘。投資評価「買い」を継続し、目標株価を従来の1020円から1130円に引き上げている。   サバ缶関連銘柄では、マルハニチロ(1333)なども堅調だ。(本吉亮)   ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

年末の日経平均予想、下方修正じわり増加 米英の政治や業績は……

4月1日、2019年度の日本株相場が幕開けする。この日は新元号発表で祝賀ムードに包まれそうだが、その後は統一地方選や夏の参院選の行方、消費増税などにより消費が落ち込む懸念と不安要素が多い。なによりも先が読めないのが米英の政治リスク。このため、年末の日経平均株価の見通しを下方修正する弱気派がじわり増えている。 年末の日経平均の水準を昨年末時点から1000円引き下げ、2万1500円としたのはJPモルガン証券。米中貿易交渉や、英国の欧州連合(EU)離脱は当初の予定が先延ばしされ、政治リスクがなかなか拭えない。こうしたなか、4月末からの決算発表で、日本企業は2020年3月期業績で慎重な見通しを出してくるかもしれない。ここで弱い数字が相次いだ場合、高値を追うのは難しいと指摘、年末に向けて失速するとのシナリオだ。 一方、SMBC日興証券は年末に向けて騰勢を強めると読む。19年3月期は期を追うごとに業績が悪化したため、逆に来期は年後半にかけてハードルが低くなるとの見立てだ。中国経済が年後半に回復に転じることも業績の押し上げ要因としている。 今年はイレギュラーの10連休の影響も読み切れない。連休前にポジション調整の売りが膨らむ可能性がある。一方でレジャー関連銘柄などは注目されそうだ。例えば、オンラインで現地ツアーを予約できるサービスを提供するベルトラ(7048、マザーズ)は3月25日に高値を更新、エイチ・アイエス(9603)は1日に4520円と高値を付けるなど物色の手が既に伸びているようだ。(根岸てるみ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

離脱混乱にも慌てない?英の投資家 金への投資細る、焦るEU勢は急増

英ロンドンを拠点に個人向けの金オンライン取引を手掛けるブリオンボールトのエイドリアン・アッシュリサーチ主任は28日、同社内の金投資動向として「英国の投資家からの金の資金流入が滞っている」とのコメントを寄せた。 エイドリアン氏は「3月の英国の新規顧客数は過去12カ月平均を11%下回る一方、ドイツは62.6%増、イタリアが34.5%増となりユーロ圏全体で18.6%増と大きく伸びた」と説明した。金への投資金額ベースでみると「英ポンドで11.7%減となる一方ユーロは6.2%増」と顧客動向に連動する。投資家動向の顕著な例としては大規模な資金流入頻度を挙げ、「10万ポンド以上の入金が過去3年平均から46.3%下回る一方、10万ユーロ以上の資金流入頻度が63.4%増となっている」という。 英国の欧州連合(EU)離脱に伴う先行き不透明感は根強い。とはいえ、金投資動向からは震源地の投資家が先行きを懸念する向きが乏しい一方で、景気減速懸念から欧州圏の個人投資家が先行き警戒感を強めている様子が浮かび上がる。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

日独、マイナス長期金利つばぜり合い ドラギ総裁「利上げ先送りも」

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は27日の講演で、物価が上がらない状況が続くなら、利上げ時期を再び先送りする考えを示した。これにより独10年債利回りが低下し、マイナス0.82%となった。27日の日本の10年債利回りマイナス0.70%を下回り、2016年10月以来、およそ2年半ぶりに日独の長期金利が逆転した。 相対的に魅力が高まったことで日本の長期金利にはさらに低下圧力がかかりそう。28日の東京市場で日本の10年金利はマイナス0.90%をつけた。(池谷信久) ■日独の10年国債利回りのチャート ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

過度な警戒は禁物か、逆イールドの本当の読み方

3カ月物の米財務省短期証券(TB)と10年物金利の逆イールドが発生し(グラフ左上)、市場では景気後退懸念が広がっている。しかし、長短金利差と景気後退の関連性で最も注目されている「2年-10年」の金利差は逆に拡大している(グラフ右上)。   左下のグラフで細かく見ると、3カ月TBの金利(水色)がほぼ変わらない中、10年金利(黄緑)が低下することで逆イールドが発生した。一方、右下のグラフにあるように、10年金利の低下幅以上に2年金利が低下したことで金利差が拡大した。     この動きを「長期金利は、将来の短期金利の期待値で決定される」という純粋期待仮説で読み解くと、①3カ月以内の政策金利の変更はない、②2年以内に利下げの可能性がある、③利下げ後は利上げの可能性がある、ということになる。   つまり、利下げ局面が続く「景気後退」を織り込んでいる訳ではないということだ。今後も様々な場面で「逆イールド」という言葉が出てくる可能性があるが、過度な警戒は禁物だろう。(池谷信久)   ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

逆イールドに怯える市場 イエレン氏「景気後退の前兆とは思わない」

イエレン前米連邦準備理事会(FRB)議長は25日にクレディ・スイスのアジア投資会議で、米国市場での長短金利の逆転について「利下げの必要性を示すかもしれないが、景気後退の前兆だとは思わない」と述べた。 22日の米国市場で米10年債利回りが3カ月物の米財務省証券(TB)の利回りを11年半ぶりに下回ったことで、マーケットでは景気後退が意識されている。 ただ、米BEI(債券市場が織り込む期待インフレ率、グラフ青)は19年の年初にボトムを打ってから上昇しており、景気後退によるデフレを警戒しているようには見えない。米長期金利が低下した背景には景気減速懸念もあるが、FRBの量的緩和や先進国の中で相対的に金利が高い米国に資金が集まりやすいといった需給要因も大きい。需給の引き締まりによって、債券の残存期間に応じて上乗せされるリスクプレミアムが縮小ないしはマイナスになっていると見られている。その様な状況で、20日のFOMCの結果が予想以上にハト派的だったことで、オーバーシュート気味に長期金利が低下した可能性もありそうだ。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

米・トルコきな臭さ再び リラ急落、ETFは10%安 ゴラン高原問題で

22日の米市場でトルコ株に連動する「iシェアーズMSCIトルコ」が急落した。前の日に比べ10.35%安の24.24ドルとなった。売買高は約3倍に膨らむなど売りが殺到した。背景には中東の地政学リスクがある。トランプ米大統領が21日にイスラエルによるゴラン高原における主権を認めると表明。これに対しトルコのエルドアン大統領が「地域を新たな危機の瀬戸際に追いやる」との見解を示した。米-トルコ間の緊張感の高まりが意識された。 外国為替市場ではトルコリラも急落し、対円で20円を割りこんだ。トルコ中銀は対応に追われ、22日に緊急で金融引き締め策を公表。市場全体に動揺が広まった。 (岩切清司) ■トルコリラの対円チャート ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

2年10年より深刻、誤ったシグナル……米の逆イールドに慌て始めた市場

22日の米国市場で「逆イールド」が発生、2007年以来約12年ぶりに米10年債利回りと3カ月物TB利回りが逆転した。この日に発表された3月の米製造業PMI指数が52.5と市場予想(53.5)を下回り1年9カ月ぶりの低水準となったことで米長期金利が低下した。 ■米10年物国債利回りが3カ月物金利を下回った 米株安のトリガーを引いた逆イールドに世界の市場関係者も警戒感を強めている。   「近い将来の景気後退は予測していない。しかし、利回り曲線の逆転は依然として長期的で変動的な遅れを伴う景気減速のシグナルであり、それ自体が自己実現的な『予言』になりかねないリスクを意識している」(オックスフォード・エコノミクス)   「今回の逆転現象は異例だ。通常は米金利で2年物を10年物が先行して下回るからだ。これはより大きな問題をはらんでいるのかもしれない。ゆえに間違ってはいけない。市場は今回のシグナルをよりシリアスに受け止める必要がある」(ラッセル・インベストメンツ)   「過去の利回り曲線の逆転が米国の景気後退に先行していることを考えると、これは明らかな懸念材料だ。しかし、考慮すべき点はいくつかある。第1に、利回り曲線は誤ったシグナルを与えることがあり、逆曲してから後退まで約15ヶ月ほど遅れる可能性もある。来年半ばまで米景気は後退しない可能性も残っている。また経験則で株式市場は後退局面の前の3~6ヶ月前にピークを迎えるため、足元で急速に株式離れを起こすのも早すぎる。第2に、様々な要因が米国の利回り曲線を平坦化している可能性がある。第3に他の指標を確認する限り米国の金融環境はタイトではない。実際のFRB(米連邦準備理事会)の政策金利「FF金利」は名目ベースでGDP成長率を大きく下回っている。これらを考慮する必要があるだろう」(AMPキャピタル)   また米FF金利先物は急騰し、2020年1月末期限の先物が0.25%の利下げを0.7回織り込む水準まで買い進まれた(金利は低下)。また、21年1月期限の先物は0.25%の利下げを2回織り込む水準になった。 金利低下はドイツや日本でも顕著だ。3月の独製造業PMIは44.7と好不況の境目とされる「50」を大幅に割り込み、12年8月以来6年7カ月ぶりの低水準へと落ち込んだ。独10年債利回りは16年10月以来のマイナスとなった。週明け25日の東京市場で、日本の10年国債利回りはマイナス0.1%に迫った。(岩切清司、丹下智博)   ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

人気記事ランキング

  1. 登録されている記事はございません。

アーカイブ

PAGE TOP