新コラム【 Art Market Review 】 草間彌生のエッチング、予想価格を上回る落札額

アート市場の動向は投資マネーの動きや熱気の度合いを表すバロメーターのひとつ。主に富裕層による購入が多い美術品の相場は、株式相場の動きと一定の連動性があり、海外ではアート投資はインフレヘッジの手段としても定着している。日本の美術品の市場規模は2400億円程度とされ、7兆円近くある世界全体の中では大きくない。ただ、本格的な高齢化社会に入り相続に伴って美術品が出やすくなるなどで、サラリーマンにも手が届く価格帯の作品が数多く取引されるようになってきた。国内で定期的にオークションを開催しているのは4社。知名度が高く、オークションのベンチマークとなっている作家の作品を通じてアート市場の今を読み解いていく。 初回は、現代アートにおいて不動の人気を博している草間彌生さん。4月20~21日の2日間にわたって開催されたSBIアートオークションで取引された草間さんの作品の動向についてリポートする。 SBIアートオークション Modern and Contemporary Art 出品数481点、うち落札数417点 落札率=86.7%  落札総額=6億4739万8250円  (4月20~21日 東京・代官山のヒルサイドフォーラム) 草間さんの作品には、いわゆる1点物と呼ばれるキャンバスや彫刻、素描などのオリジナル作品、そして版画のように同一モチーフで複数エディション(部数)制作されるマルチプル作品がある。オリジナルは、その希少性からいち早く価格が高騰したが、100部程度のエディションがあるマルチプルの版画作品も、オリジナルの後を追うように価格が高騰した。 版画作品の中では、カラフルな色彩のシルクスクリーンやリトグラフの技法を使った作品の価格が上昇する一方で、色彩がモノトーンに近い地味目なエッチング作品の価格は上昇から取り残されていた。しかし近年は上昇の影響がエッチング作品にまで及んできている。 今回出品された草間さんの版画作品30点のうち4点がそのエッチング作品で、その中の3点が落札予想価格の上限を超えて落札された。つまり、市場の予想を超えて高値の落札結果となったわけだ。なかでも1994年制作の「Polka Dots」は落札予想価格の下限50万円、上限80万円に対して、落札価格がおよそ107万円となった。2014年からの草間さんのエッチング作品の値動きを見ると、17年から上昇が顕著になっている。 草間さんの作品はキャンバスや素描・彫刻などのオリジナル作品、シルク印刷の版画作品も同じように右肩上がりの相場動向であるが、これまで比較的購入しやすかったエッチング作品も高根の花となりつつある。草間さんは16年に文化勲章を受章。昨年、国立新美術館で開いた大規模個展では期間3カ月で約52万人を動員した。東京都の名誉都民にも選ばれ常に注目を浴びる存在だ。昨年から始まったとみられるエッチング作品相場の上げ基調がどこまで続いていくのか注目される。(月1回配信します) ※アート・コンサルティング・ファーム提供  ⇒リポート全文はこちら SBIアートオークションの次回開催は7月14日     

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