投信の共通KPI、顧客の6割が含み益 「見える化」課題も多く

QUICK資産運用研究所=西田玲子、石井輝尚 投資信託の販売会社が金融庁の求めに応じて公表した共通の成果指標(KPI)について、QUICK資産運用研究所が172社を対象に調べたところ、2019年3月末時点で含み益の顧客割合を各社で単純平均すると約6割だった。5割強だった18年3月末時点(136社平均)と比べてやや増加した。   ■品ぞろえや期間まちまち、難しい単純比較   昨年は金融庁が18年3月末のデータで銀行29行の数字をまとめて算出したところ、46%の顧客は保有投信の評価損益がマイナスとなり、「投信で個人の半数が損」をしたと話題になった。2回目の公表となった今回は含み益の顧客割合が増える一方で、共通KPIの課題も改めて浮き彫りになった。   この指標の公表は、投信の販売会社における顧客本位の取り組み状況を横並び比較可能な形で「見える化」するのが狙い。しかし、各社で品ぞろえなどに大きな差があり、さかのぼる期間がバラバラなこともあって、この指標だけで顧客思いの会社かどうかを単純に評価するのは難しい。   ■探しにくいデータ、前回数値なしの会社も   課題の1つは見つけにくさ。共通KPIが各社ホームページのどの部分に掲載されているか探しづらく、いつ公表したのかもわからないケースが少なくない。2回目の公表にもかかわらず、前回のデータを併記していない販売会社もある。ファンドラップでは最大手の一部などが今回もデータを公開していない。   前回も問題になったが、全売却された投信が集計対象に含まれないのは引き続き留意点だ。今回目立ったのは、含み益の顧客割合が前回比で大きく伸びたある販売会社のケース。同社によると、主因は販売した投信の運用成績が向上したからではなく、損失を抱えていた顧客が「損切り」に動いたからのようだ。   ■レオスは「ひふみ」人気が裏目に   個別に見ると、ゆうちょ銀行は76.0%の顧客が含み益だった。6月に高齢者への不適切な投信販売が発覚したが、運用損益がプラスの顧客割合では172社のうち17番目に高いという結果だった。   「ひふみ投信」(9C31108A)を直接販売する独立系のレオス・キャピタルワークスは、含み益の顧客が45.0%にとどまった。前回の91.0%を大幅に下回る。前回の結果を踏まえた金融庁のヒアリングでは、含み益の顧客割合が上位の独立系で「積み立て投資」の有効性が強調された。しかし、今回のレオスの場合は「ひふみ」の人気に火がついた17~18年に口座開設した顧客の割合が多いことが裏目に出て、長期積み立ての効果が表れる前に直近の運用成績の影響をより大きく受けた。   ■公表の積極性も販売会社選びの参考に   こうした事例を見ても、販売会社の「顧客本位」の本気度を共通KPIの運用損益別顧客比率だけではかるのは適切とは言えそうにない。各社が共通KPIと同時に独自で公表している指標なども含め、蓄積したデータを時系列で見ていくことが重要になりそうだ。   データのまとめ方や公表方法が的確で誠実かどうかや、金融庁に言われたから開示したという「やらされ感」が醸し出ていないかなどデータ公表の積極性も、個人投資家にとって販売会社選びの参考になりそうだ。   投信販売会社の共通KPI一覧はこちら

含み益の顧客、ゆうちょ銀76% 投信の共通KPI(159社・業態別一覧)

QUICK資産運用研究所 投資信託を販売する金融機関が昨年から自主的に公表を始めた共通の成果指標(KPI)。金融庁が定めた基準で2回目となる2019年3月末時点のデータがほぼ出そろった。QUICK資産運用研究所が調べた159社について、業態別で一覧にまとめた。データを公開した投信の販売会社は前回の117社(18年3月末時点、金融庁に19年3月末までに報告した金融事業者)を上回った。 19年3月末時点で運用損益がプラス(含み益)の顧客割合が前年と比較できるのは115社。このうち前年比で割合が増えたのは86社(横ばいを含む)、減ったのは29社だった。 含み益の顧客割合は19年3月末時点の平均(159社)が61.2%と、前年の55.0%(115社平均)を約6ポイント上回った。 159社のうち、含み益の顧客割合が最も高かったのはセゾン投信の97.8%。前年より12.9ポイント上昇した。同社の顧客は投信の平均保有期間が12.04年と比較的長い。 一方、含み益の顧客割合が前年比で最も大きく下がったのは、レオス・キャピタルワークスの45.0%。前年の91.0%から46.0ポイント低下した。レオスは17~18年に口座開設した顧客が全体の7割を占めており、最近の運用成績の影響を大きく受けた。 6月に高齢者への不適切な投信販売が発覚したゆうちょ銀行は、76.0%の顧客が含み益だった。 ファンドラップの共通KPIを公表したのは15社。前年と比較できる13社のうち、ほぼ半分の6社は含み益の顧客割合が減少した。最大手の野村證券はファンドラップの共通KPIを公表していない。   ※QUICK資産運用研究所調べ(2019年7月上旬までに各社ホームページで確認できた主な販売会社が対象)、▲は減少。業態・種類ごとに含み益の顧客割合が高い順にランキング。含み益の顧客割合は各社が公表資料に掲載した数値または運用損益別の区分がプラスの割合の単純合算、小数点第2位を含めてランキング。18年3月末時点は原則として前回公表データ(前回分が大きく修正された場合や、今回初めて公表した販売会社のうち2年分を同時公表した場合は今回発表分を採用)。  

レオス、含み益の顧客割合は45% 投信の共通KPI(92社一覧)

金融庁の求めに応じて、投資信託を販売する金融機関が昨年から自主的に公表を始めた共通の成果指標(KPI)。2回目となる2019年3月末時点のデータを公表する金融機関が増えてきた。QUICK資産運用研究所が調べた92社を一覧にまとめた。 19年3月末で運用損益がプラス(含み益)の顧客割合はセゾン投信が97.8%。前年より12.9ポイント上昇した。一方、レオス・キャピタルワークスは45.0%と、前年の91.0%と比べ46.0ポイント下がった。レオスは発表資料で「2017年および2018年に口座開設した顧客が全体の7割を占めている。投資期間が短いと基準価額の短期的な変動の影響を受けやすく、当該期間の顧客において運用損益率がマイナスとなる方が多くなり、結果として全体の運用損益率が下がった」などとしている。 2019年3月末で運用損益がプラス(含み益)の顧客割合が判明した92社のうち、18年3月末時点と比較できるのは66社。この中で含み益の顧客割合が増えたのは49社だった。 (QUICK資産運用研究所)  

金融庁、投信運用力「KPI」に関連した委託調査結果を公表

金融庁は3日、同庁のサイトに「資産運用業者の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)に関する調査」と題した委託調査結果を公表した。調査・データ分析はQUICK資産運用研究所が請け負った。 今回の委託調査内容は下記の2つ。 (1)個人投資家が購入する国内公募の追加型株式投資信託を運用する資産運用業者(以下、運用会社)ごとの運用力の指標化 (2)アクティブ(積極運用)型の投信における運用コストと運用パフォーマンスの相関関係の定量分析 ■投信会社の運用力を5年シャープレシオなどの平均で比較 運用会社の運用力を示すKPIは、全ての運用会社について、過去20年間に遡って、比較可能な2種類の数値を計算した。一部の運用会社が自主的にシャープレシオなどを指標化していた事例を参考にした。 具体的には、国内籍の公募追加型株式投資信託を対象に、1999~2018年の各年末を基準日とした過去5年間のシャープレシオと累積リターンを計測。主な投資対象で区分したQUICK分類(16分類)ごとに、各運用会社の平均値を算出した。 純資産総額が大きい主な分類について、18年末時点の5年平均シャープレシオの高さで1位の運用会社(略称)は下記の通り。  国内株式       :レオス  先進国株式      :アライアンス  先進国債券(投資適格) :朝日ライフ  先進国債券(非投資適格):フィデリティ  海外REIT     :三井住友TAM ■アクティブファンドの運用コストとパフォーマンスは概ね逆相関 アクティブ型の国内公募追加型株式投信の「運用コストと運用パフォーマンスの相関関係」について分類別に分析した。運用パフォーマンスは2018年末時点の5年シャープレシオを採用。英FCA(Financial Conduct Authority)が17年6月に開示したAsset Management Market Study Final ReportのAnnex4に準じた統計的な定量分析手法を用いた。 その結果、バラツキはあるものの、多くの分類において運用コストと運用パフォーマンスの間に、統計的に有意な逆相関(マイナスの相関)が認められた。 ■比較可能で見える化した運用会社KPIの検討 金融庁は18年9月に「変革期における金融サービスの向上にむけて~金融行政のこれまでの実践と今後の方針~(平成30事務年度)」を公表した。その中で、主要政策の一つとして、運用会社の顧客本位の業務運営の確立・定着に向けて、運用会社が、自社の運用力を示す「自主的なKPI」を公表することを促すとともに、その設定状況を踏まえて、共通KPIのあり方について検討を進めていくこととしていた。 家計の安定的な資産形成を実現していくには、資産運用業界全体の運用力の底上げがカギとなる。各社が切磋琢磨しながら運用成績を競い合っていくのを促すのには、運用会社の運用力をできるだけわかりやすい比較可能な指標で「見える化」することが効果的だ。今回の調査・分析内容は、どういった指標が適当かを含め、今後検討を進めていく上での参考データになる可能性がある。 (QUICK資産運用研究所) 金融庁の公表資料はこちら 金融庁・平成30事務年度「変革期における金融サービスの向上にむけて」はこちら FCA「Asset Management Market Study Final Report」はこちら

投信の共通KPI 含み益の顧客割合、セゾンが97%(56社一覧)

金融庁の求めに応じて、投資信託を販売する金融機関が昨年から自主的に公表を始めた共通の成果指標(KPI)。2回目となる2019年3月末時点のデータを公表する金融機関が増えている。一覧にまとめた。 参考記事:「投信で含み益」の投資家が増加 共通KPI、2年目検証(6/21) 19年3月末で運用損益がプラス(含み益)の顧客割合が明らかになった56社のうち、18年3月末時点と比較できるのは33社。この中で含み益の顧客割合が増えたのは23社だった。 (QUICK資産運用研究所)

「投信で含み益」の投資家が増加 共通KPI、2年目検証

投資信託を保有している投資家の何割が利益を上げているのか。昨年と比べその割合は増加したようだ。 投信を販売する金融機関が金融庁の求めに応じ、昨年から自主的に公表を始めた共通の成果指標(KPI)。2回目となる2019年3月末時点のデータを公表する金融機関がちらほら出てきた。今回初めて公表する金融機関もあり、一部は昨年と今年の2年分を同時に公表した。 共通KPIの公表が確認できた金融機関22社を対象に、QUICK資産運用研究所が運用損益別の顧客割合についてまとめたところ、19年3月末時点で運用損益がプラス(含み益)の顧客割合が前年度を上回った金融機関が多かった。例えば野村証券は顧客の80%が含み益で、前年同月の77%から小幅に増えた。楽天証券とマネックス証券でも増加した。 含み益の顧客割合はその時々の相場環境に大きく左右されるほか、金融機関がどんな投信を積極的に販売したかや、積み立て投資の利用状況などによっても差が出る。 金融機関22社で利益が出ている顧客割合を一覧にまとめてみると、トップはセゾン投信の97.8%だった。前年度の84.9%から増え、顧客のほとんどが含み益となった。同社が運用・販売する「セゾン資産形成の達人ファンド」(96312073)は、2007年3月からの設定来リターンが104.65%(19年5月末時点)にのぼる。 2位は今回初めて公表したありがとう投信の94.8%。野村証券の80.0%が続いた。 22社のうち2年分を公表したのは16社。この中で11社は含み益の顧客割合が前回と比べて増加した。 (QUICK資産運用研究所 西田玲子、石井輝尚)

コモンズ投信、顧客の97.7%が含み益 独立系は高水準

セゾン投信とレオス・キャピタルワークス、コモンズ投信の独立系運用会社3社は、9月末までに「共通KPI」を相次いで発表した。各社が直接販売した投資信託の評価損益が3月末時点でプラスだった顧客の割合はいずれも高水準だった。 「共通KPI」は金融機関がどれだけ顧客本位で投信を販売しているかを「見える化」するための指標で、金融庁が投信の販売会社に自主的な公表を求めている。運用損益別の顧客比率は、投信の販売会社における比較可能な「共通KPI」として3つある成果指標のうちの1つ。 含み益だった顧客の比率はセゾン投信が84.9%、レオス・キャピタルワークスが91%、コモンズ投信が97.7%だった。金融庁が銀行29行を対象に実施した調査では含み益が55%程度だったが、独立系運用会社はこれを大きく上回った。ネット証券の4社合算(SBI証券と楽天証券、マネックス証券、カブドットコム証券)の63.8%よりも高かった。 独立系の直販ファンドは運用成績が比較的良好なことに加え、積み立て投資の利用が多いこともあって、含み益の顧客比率が高かったとみられる。共通KPIの対象は3月末時点で顧客が保有している投信に限られ、それまでに売却して利益を確保したり損失が出たりした場合は含まれない。 コモンズ投信の発表資料によると、同社で毎月定額を購入する「つみたてプラン」の利用者は3月末時点で全体の79%にのぼる。直販の年代別口座比率では、6人に1人(16%)が20歳未満。同社では子どもの教育費などを計画的に積み立てる「こどもトラスト(未成年口座)」サービスを提供している。 また、セゾン投信が発表した「口座開設年別損益状況分布」によると、保有期間が長いほど評価損益がプラスの顧客比率が高い傾向がある。2010~12年に口座を開設した顧客はすべて含み益だった。 (QUICK資産運用研究所)

ネット証券で残高上位の投信、運用効率が高い傾向 共通KPIで比較

ネット証券大手のSBI証券と楽天証券、マネックス証券、カブドットコム証券の4社は、投資信託の販売が顧客本位に運営されているかどうかを「見える化」して評価するための3つの共通KPI(成果指標)を8月下旬に発表した。金融庁は投信を販売する金融機関に自主的な開示を求めており、銀行や証券などの発表も相次いでいる。QUICK資産運用研究所では、ネット証券4社の合算分や各社の運用損益別顧客比率などの比較をまとめた(図表A)。 ■投信で含み益の顧客比率、ネット証券が銀行を上回る 3月末時点で保有する投信の評価損益(含み損益)がプラスだった顧客数の割合は、4社合算で63.8%だった。金融庁が銀行29行を対象に実施した同時点の調査はプラスが55%程度だったが、ネット証券ではこれを10ポイント近く上回った。 ネット証券で含み益の顧客比率が銀行より高かったのは、購入手数料がかからないノーロードの投信を多く取り扱っているのが一因とみられる。積み立て投資を利用する顧客が相対的に多く、損失が広がりにくいことも寄与した可能性がある。 ■SBI証券は償還・全売却分を含め公表 金融庁が金融機関に自主的な公表を求めている共通KPIの調査対象は、3月末時点で顧客が保有している投信に限られ、それまでに償還・全売却して利益を確保したり損失が出たりした場合は含まれない。このため全体像を把握しにくいとの指摘がある。 SBI証券は、共通KPIの調査対象(3月末時点の顧客保有分の評価損益)に加え、過去に償還・全売却された分の実現損益を含むトータルの運用損益を公表した。評価損益がプラスの顧客数は全体の64.7%だったのに対し、償還・全売却分を含むトータルではプラスが71.1%にのぼった。 同じデータを8月末に公表した三菱UFJ銀行でも、運用損益がプラスだった顧客の割合は、償還・全売却分を含むトータルが共通KPIの評価損益を上回った。 ■楽天証券はファンドラップのデータも公表 楽天証券が公表したファンドラップ(楽ラップ)の顧客を対象にした評価損益はプラスが全体の53.9%と、同社の顧客が保有する投信全体の62.9%を下回った(図表B) 。損益区分別にみると、マイナス10%からプラス10%未満に集中した。 顧客が金融機関に運用を一任するファンドラップは、投資対象資産が異なる複数のファンドに分散投資するため、大きく損失が出たり利益が出たりしなかったとみられる。三菱UFJ信託銀行やみずほ証券のファンドラップも、同じ損益区分に顧客比率が集中した。 ■ネット証券の残高上位ファンド、運用効率が高い傾向 ネット証券4社は共通KPIのうち、残高上位20銘柄のコスト・リターン(5年年率)とリスク・リターン(同)の分布もそれぞれ公表した。4社の残高加重平均値と、QUICK資産運用研究所が試算した市場全体の残高上位20銘柄のデータを比較したのが図表Cだ。 これを見ると、ネット証券で預かり資産(残高)が大きい投信は、市場全体の残高上位銘柄よりコスト対比のリターン(=リターン÷コスト)が高いことが分かる。リスク1単位あたりのリターン(=リターン÷リスク)も市場全体を上回り、運用効率も相対的に高い傾向にある。この2つの指標については、対象が設定後5年以上のファンドに限られるため、金融機関によっては直近の売れ筋ファンドが含まれないケースがある。 (QUICK資産運用研究所)

SBI証券、投信で顧客の7割超が利益 全売却分含め公表

ネット証券大手のSBI証券と楽天証券、マネックス証券、カブドットコム証券の4社は28日、投資信託の販売が顧客本位に運営されているかどうかを「見える化」して評価するための「共通KPI」(成果指標、3月末時点)をそれぞれ発表した。このうちSBI証券は、金融庁が金融機関に対して自主的な公表を求めている共通KPIだけでなく、独自の指標も公開した。 SBI証券は3月末時点で顧客が保有する投信の評価損益に加え、3月末までに償還・全売却された分の実現損益を含むトータルの運用損益を公表した。また、楽天証券はロボアドバイザーの「楽ラップ(ファンドラップ)」の運用損益を公表した。 4社は共通KPIのうち3月末時点の運用損益別顧客比率(4社合算分)を共同で発表した。4社で保有する投信の評価損益がプラスだった顧客数は全体の63.8%だった。対象は3月末時点で顧客が保有している投信に限られ、それまでに全売却して利益を確保したり損失が出たりした場合は含まれない。 SBI証券の共通KPIを見ると、3月末時点で投信を保有する顧客の64.7%で運用損益がプラスだった。独自に公表した過去の償還・全売却分を含むトータルの運用損益(評価損益と実現損益の合計)は71.1%の顧客がプラスとなり、共通KPIベースを上回った。 金融庁が金融機関に公表を求めている共通KPIは、調査時点で投信を保有している顧客だけが対象。過去に投信をすべて売却するなどして損益を出した顧客の分が含まれないため、全体像を正確に把握しにくいとの指摘があった。 楽天証券の共通KPIは、3月末時点で投信を保有する顧客で運用損益がプラスだったのは62.9%。独自に公表した「楽ラップ」に絞った運用損益はプラスが53.9%だった。 マネックス証券の共通KPIを見ると、運用損益がプラスの顧客は64.2%、カブドットコム証券は62.0%だった。 ◇SBI証券の発表資料はこちら ◇楽天証券の発表資料はこちら ◇マネックス証券の発表資料はこちら ◇カブドットコム証券の発表資料はこちら ◇ネット証券4社の発表資料(楽天証券のサイト)はこちら (QUICK資産運用研究所)

投信で含み益、顧客の6割超で ネット証券4社

ネット証券大手のSBI証券と楽天証券、マネックス証券、カブドットコム証券の4社は28日、63.8%の顧客は保有する投資信託の評価損益がプラス(4社合算、2018年3月末時点)だったと共同で発表した。金融庁が銀行29行を対象に実施した同時点の調査ではプラスが55%程度だったが、ネット証券では含み益が出ている顧客の割合がこれより10ポイント近く高かった。 対象は3月末時点で顧客が保有している投信に限られ、それまでに全売却して利益を確保したり損失が出たりした場合は含まれない。ネット証券で評価損益がプラスの顧客が比較的多いのは、購入手数料がかからないノーロードの投信を多く取り扱っているためとみられる。積み立て投資を利用する顧客が相対的に多く、抱える損失が広がりにくいことも寄与した可能性がある。 投信を保有する顧客の損益は、金融機関がどれだけ顧客本位で取り組んでいるかを「見える化」するための「共通KPI」(成果指標)の一つ。金融庁が6月末に3つの成果指標を公表し、投信を販売する金融機関に対して自主的な公表を求めた。運用損益別の顧客比率のほかに、残高上位20銘柄のコスト・リターン(5年年率)の分布と、リスク・リターン(同)の分布がある。   ◇ネット証券4社の発表資料(楽天証券のサイト) ◇SBI証券 ◇楽天証券 ◇マネックス証券 ◇カブドットコム証券 (QUICK資産運用研究所)

投信「半数の個人が損失」の驚き 金融庁の共通指標どう読み解く

「投信で損失、個人の半数」「銀行投信の個人客、半数が損失」--。金融庁が金融機関の投資信託販売における「顧客本位の業務運営」を客観的に評価できる共通の成果指標(KPI)を6月29日に発表したのにあわせて、発表資料の別紙に掲載されていた金融庁の集計・分析結果をメディアなどがこぞって取り上げた。SNS(交流サイト)などではヘッドラインがひとり歩きし、「投信=損失」「投信=危険」といった論調の書き込みも目立っている。もっとも共通KPIの定義をよく読むと、必ずしも実態を映しているとは言えない面がありそうだ。 ■運用損益別顧客比率、全部売却済みの銘柄は集計対象外 共通KPIの「投資信託・ファンドラップの運用損益別顧客比率」は一定の条件で各行が算出。金融庁は資料の別紙に主要銀行や地方銀行の計29行をとりまとめた結果を掲載した。その対象は、基準日(今回は2018年3月末)時点で①投資信託およびファンドラップを保有している顧客②対象顧客が保有している投信--などだ。 すなわち基準日時点で全部を売却してしまった銘柄が含まれないのがポイントだ。集計では46%の個人が損失を抱えているという結果になったが、「利益確定を目的に全部が売却された投信を加えれば、損失を出した投資家は共通KPIよりも少ない」(地方銀行)との指摘が出ている。 2012年末以降のアベノミクス相場で日本株高・円安が進んだのに加え、この間は海外株も堅調に推移しており、長期で投信を保有すれば利益が出やすい環境にあった。金融庁の集計・分析でも「顧客の投資信託の平均保有期間と各販売会社の運用損益率0以上の顧客割合」は、長期保有していると利益を得られやすい傾向を示した。 だから3月末で半数近くの個人が損失を抱えているとしたら、含み益のある投信を解約して別の投信に乗り換えさせることで購入時手数料を稼ぐ「回転売買」の影響を懸念すべきかもしれない。今年は3月にかけて世界的に株価が調整局面にあったから、短期保有の投信は損失が出やすい環境だった。 もちろんその逆もしかりだ。含み損が膨らむのに耐え切れずに売却した投信は集計に含まれていないから、実態以上に良く見えている可能性も否定できない。実際に「利益確定と損失限定の解約は同じぐらいだから、共通KPIは実態に近い」(別の地銀)との声も聞かれた。 ■共通KPIは販売会社を評価する「ものさし」 SNSでは「投信はギャンブル」「タンス預金が正しい」といった投信の商品性そのものを問う声があがっているが、今回の共通KPIはあくまでも販売状況の「見える化」で、販売会社の姿勢を評価する「ものさし」のひとつだ。積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」が象徴するように、金融庁は投信を個人の資産形成の中核商品と位置付けている。 QUICK資産運用研究所が17年12月に約5000人の20~60代の個人を対象に実施した「個人の資産形成に関する意識調査」では、「現在投資をしていない理由(複数回答あり)」の首位は「損をしそうだ(過去に損をした)から」が最多の36.7%だった。販売会社に「顧客本位の業務運営」を促すために設けた共通KPIだが、投信の悪いイメージにつながるようだと、貯蓄から資産形成への流れに水をさしかねない。 ◇金融庁の発表資料はこちら 【比較可能な共通KPI】 ①運用損益別顧客比率 投信(ファンドラップを含む)を保有している顧客について、基準日時点の保有投信の購入時以降の累積運用損益(手数料控除後)を算出し、運用損益別に顧客比率を示す。個々の顧客が保有している投信について、購入時以降どれくらいのリターンを得ているかがわかる。 ②投信預かり残高上位20銘柄のコスト・リターン ③投信預かり残高上位20銘柄のリスク・リターン 設定後5年以上の投信の預かり残高上位20銘柄について、銘柄毎および預かり残高加重平均のコストとリターンの関係、リスクとリターンの関係を示す。中長期的に販売会社がどのようなリターン実績を持つ商品を顧客に多く提供してきたかを確認できる。 (QUICK資産運用研究所 伊藤和之)

投信販社の評価に共通3指標 金融庁、コストや収益を「見える化」

金融庁は29日、金融機関の投資信託販売における「顧客本位の業務運営」を客観的に評価できる共通の成果指標(KPI)を発表した。これまでは一部の販売会社が自主的に設定・公表してきたため、投資家が比較するのが難しかった。金融庁が長期的にリスクや手数料に見合ったリターンがどの程度かなどを「見える化」した3つの指標を導入したことで、今後は共通KPIと自主的なKPIの両方を総合的に判断して販売会社を評価することができる。 共通KPIは以下の通り。金融庁は販売会社が毎年3月末を基準として年次更新で公表することを期待している。 【比較可能な共通KPI】  ①運用損益別顧客比率 投信(ファンドラップを含む)を保有している顧客について、基準日時点の保有投信の購入時以降の累積運用損益(手数料控除後)を算出し、運用損益別に顧客比率を示す。個々の顧客が保有している投信について、購入時以降どれくらいのリターンを得ているかがわかる。  ②投信預かり残高上位20銘柄のコスト・リターン  ③投信預かり残高上位20銘柄のリスク・リターン 設定後5年以上の投信の預かり残高上位20銘柄について、銘柄毎および預かり残高加重平均のコストとリターンの関係、リスクとリターンの関係を示す。中長期的に販売会社がどのようなリターン実績を持つ商品を顧客に多く提供してきたかを確認できる。 共通KPIによって、販売会社が高コストの投信ばかりを売っていないか、リスクに見合ったリターンが出ている投信を販売しているかなどがより鮮明となる。販売会社は従来以上に「顧客本位の業務運営」の実践が求められそうだ。 ◇金融庁の発表資料はこちら 投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIについて (QUICK資産運用研究所)

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