金融庁の本気度示す「つみフェス2019」 遠藤長官は強歩大会の前に登壇

金融庁が20日午後に東京・赤坂のイベント会場で開いた「つみたてNISAフェスティバル(#つみフェス2019)」は、緑色の服や小物を身に着けた約250人の個人投資家が集まった。積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」の普及を通じて、国民の安定的な資産形成を推進する金融庁の肝いりイベントも今年で3回目。田中良生・内閣府副大臣や金融庁の遠藤俊英長官が登壇し、個人投資家との交流を深めた。 <参加者の内訳> (性別)男性:73%、女性:27% (年代別)20代:14%、30代:36%、40代:31%、50代:19% (投資経験)なし:8%、3年未満:35%、3年以上:54%、過去に投資していたが今はしていない:1% ■田中副大臣「まいた種が豊かに実ってほしい」 最初の挨拶に立ったのは田中副大臣。「グリーンはつみたてNISAの公式キャラクター『つみたてワニーサ』」の色であると同時に、春の芽生えを感じさせる」と語り、「私もつみたてNISAを始めたところだ。まいた種が芽吹いて将来、豊かに実ってほしい」とつみたてNISAを活用した資産形成の広がりに期待を寄せた。 続いて、投資教育家として著名なファイナンシャル・ヒーラー(ヒーラーは「癒し」の意味)の岡本和久氏が基調講話に立ち、お金は汚いものではなく「感謝のしるし」と諭した。具体的な投資先については世界全体の株式を対象にしたインデックス投資を勧めた。 背景として、ノーベル経済学賞受賞の学説であり、現時点での株式市場には利用可能なすべての新たな情報が直ちに織り込まれているため、株価の予測は不可能としてインデックス運用の合理性を説明する「効率的市場仮説」などの専門的理論を紹介した。 ■遠藤長官「顧客本位は収益追求とのバランスの問題」 参加者から事前に募った質問を5つにまとめ、「長官に聞いてみよ~!」として、ファイナンシャル・プランナーのカン・チュンド氏(しんようFPオフィス代表)が遠藤長官にするどく切り込んだ。 (質問1)「つみたてNISA」のメリットを教えてください! (質問2)金融機関は、顧客本位の業務運営を怠っていた? (質問3)投資が当たり前になるような土壌を作れば投資家が増える? (質問4)幼少期に必要な金融教育とはどんなもの? (質問5)つみたてNISAの今後の方向性を教えてください! 遠藤長官は質問に丁寧に答えながら、補足する形でつみたてNISAを取り巻く金融行政の考え方も示した。遠藤長官の発言要旨は以下の通り。 ・目の前の顧客の長期的な利益に沿う商品の販売を行うのが顧客本位の業務運営の本来の姿。金融機関が収益を追求するのも大事だが、収益目標にとらわれるあまり、高い手数料の商品の回転売買で収益を上げるのは顧客本位とは言えない。金融機関の収益追求と顧客本位のバランスが大事。 ・顧客(投資家)も市場の短期的な動きに合わせて売買する近視眼的傾向が強い。(価格が)急落してもそこで踏みとどまり長期保有するのは難しい。 ・金融機関の販売窓口が顧客の投資リテラシーを高める投資教育を行う前線にいる。短期売買を勧めるのではなく長期保有するメリットをアドバイスするのも投資教育。 ・外貨建て保険を保険部分と運用部分に分け、運用部分については運用内容や手数料、コストなどを一般の投資信託と比較できるよう分かりやすい情報開示が求められる。 ・投資教育は親子で学ぶのが効果的。子供が面白がるのを見て、親がつみたてNISAを始めた例もある。 ・給与の振込先が銀行に限定される必要はない。利用者の安全性を守りながら、金融を銀行、証券会社といった業態別から預金・決済・送金などの機能別に整理する方向性を考えている。 ・つみたてNISAの制度恒久化については、恒久化が国民的要請であり優先度が高いことを政治に納得してもらう必要があり、そのためには利用者拡大の実績づくりが不可欠。 金融行政の事務方トップである金融庁長官が一般投資家向けイベントに「生出演」するのは異例で、金融庁のつみたてNISA普及に向けた不退転の強い意志を感じさせた。遠藤長官は「つみフェス」の終了後に、約80kmの道のりを夜通し歩く「強歩」大会に参加するとのことで、強歩用のウォーキング・シューズも会場からの視線を浴びた。 ■著名ブロガーが投資クリニック、生きた投資教育へのつながり 「つみたて投資クリニック」と銘打ったコーナーでは、投資経験豊富な著名投資ブロガーの虫とり小僧氏、たぱぞう氏、吊られた男氏、NightWalker氏の4人が登壇。虫とり小僧氏が進行役になり、事前に寄せられた個人投資家からの質問を「カルテ」としてスクリーンに映し出し、診断結果を説明した。 (カルテNo.1)投資信託での資産形成は、何年続ければ良いのか、一般的にどれくらいの金額と時間をかけているのか。(30代、男性) (カルテNo.2)世にあふれる投資話が玉石混交状態で、自分が何をしたらよいか分からなかった。(30代、男性) (カルテNo.3)昨年のように、現時点での推薦図書を教えてほしい。(50代~、男性) (カルテNo.4)マイナスの時も淡々と続けていたらその後の回復で報われたのに・・・(涙)(50代~、女性) (カルテNo.5)仕事で時間が足りません。(50代~、男性) (カルテNo.6)投資している人=仕事に身が入らない奴のようにきめつけられないか不安。(40代、男性) (カルテNo.7)長期投資では、どのタイミングで引き出すべきなのか?(20代、女性) (カルテNo.8)積み立て後、老後の資産の取り崩し方。出口戦略について知りたい。(40代、男性) (カルテNo.9)国内株式、外国株式、外国債券などもバランスを見て保有すべきでしょうか。(40代、女性) (カルテNo.10)投資信託を買っているが、米国株、世界株どちらに比重をおいて投資していくべきか。(30代、男性) (カルテNo.11)税金が不安。(年代・性別、記載なし) (カルテNo.12)今は2万円くらいプラスになっているので、元本割れする前に、売って益を確定させたくなってしまいます。(30代、女性) (カルテNo.13)ファンドの目論見書に前年の実質コストを明記して、実質コストでファンドを比較出来るようになったらいいのに・・・(30代、男性) (カルテNo.14)同様のファンドで、より信託報酬が低いものが出た場合、それに切り替えた方が良いのか?(20代、男性) ブロガーの診断結果は「20年くらいは続ける」「忙しい人はインデックス投資がおススメ」「出口は気にしなくていい」「推薦本は昨年のランキング上位などでいい。1年でそれほど変わらない」「米国株、世界株のどちらか自分で続けられそうなほうを選ぶ」「利益2万円で売却は論外。ここで売却せずに続けられるかどうかが長期の複利効果を得るうえでの勝負の分かれ目」「新たな低コストに乗り換えるのはよっぽどの時。つみたてNISAはファンドの乗り換え(スイッチング)が不利。売却せずに新たな買い付けを低コストの方にするのでいい」などだった。 紹介されたカルテはつみたてNISAの意見交換会(つみップ)でも同じように繰り返される質問だ。個々人でライフスタイルが異なるので、画一的な正解があるとは限らない中、個人が自分自身でなんらかの答えを出せるところに持っていくというのが生きた投資教育の目標ということになるのかもしれない。 ■パネルディスカッションは新規参入3社の幹部が登壇 締めくくりのパネルディスカッションは「金融業界に迫りくるITの波」と題し、膨大な数にのぼるスマホ利用者に対して各種金融サービスを拡充しようとしている3社(LINE Financial、KDDIアセットマネジメント、ソフトバンク)の幹部らが登壇。新規参入の動きが資産形成を取り巻く環境をどう変えるのか探った。 操作性が優れたアプリなどを通じて、初心者が投資を始めるハードルはかなり下がりそうだが、それと同時に投資のリスクや長期・積み立て・分散投資の効用など、投資家の金融リテラシーを高めるための投資教育の重要性が図らずも浮き彫りになった。 ■「金融庁長官の登壇は本気度の証し」「投資は歯磨きのようなもの」の声 ブロガーを中心に参加者の感想を聞いた(カッコ内はハンドル名)。 「金融庁長官の登壇と話が素晴らしかった。ブロガーの登壇企画はちょっと真面目すぎたかなと反省。こうしたイベントも、投資と同じように相場環境が悪くなっても『続けて』いくことが大切だと思う」(虫とり小僧氏) 「金融庁長官の話は保険分野での大きな変動を予感させる。企業収益と顧客本位という一見、二律背反になりがちな点をどう両立させるかという金融機関の大きな命題には今後も注目したい。新規参入各社がトータルなサービスで顧客にあらゆる利便性を届けようとする熱意は伝わってきた」(たぱぞう氏) 「金融庁長官が登壇し、つみたてNISA普及に向けた強い発言をしていたのはすごい出来事で期待したい。一方、さらなる制度充実には実績が必要というのもその通りなので、参加者は家族友人にもつみたてNISAを広めてもらえると、登壇者の一人としてうれしい」(吊られた男氏) 「金融庁長官がかなり踏み込んだ発言をしていたのが印象的。ごく普通の人がこういったイベントに参加してきてくれているという印象も強い。一歩ずつ、普通の人につみたて投資が浸透してきていることを感じられて、うれしく思う」(NightWalker氏) 「初めて参加したが、学びがたくさんあり有意義な時間だった。普段ツイッターで連絡し合っている個人投資家と顔を合わせる機会にもなった。田中内閣府副大臣の言葉が印象的。日本全体の投資活性化のために、国だけでなく民間企業や個人ブロガーとも手を取り合っていく強い意志を感じた」(20代、FP投資家リーマンとさか氏) 「ツイッターのハッシュタグ『#つみフェス2019』は参加できなかった人にも情報を伝える上で画期的と感じた。ネット中継も検討してはどうか。つみたてNISA普及には一般著名人による『わたしのつみたて体験』といった体験談を共有する場があるといいかもしれない」(20代、なまずん氏) 「副大臣や金融庁長官ら硬派な方から、ブロガーという緩い人間まで『投資』というくくりでいろんな意見を聞くことができ、とても有用なイベントだった。会場に20代の同世代が少なく感じ寂しかった。もっと若年層が集まれる会になるといいなと思った」(20代、ミドノン氏) 「金融庁長官がざっくばらんに話していたのがよかった。制度やイベントへの想いが伝わり、金融庁の取り組みに期待したいと改めて思った。パネルディスカッションは識者の意見を聞くよりも参加者からの質問に答えて欲しかった。イベントのネット配信を検討してはどうか」(Taku(金融系SEの投資のつぶやき)氏) 「金融庁長官が自ら金融機関への苦言やNISA強化への意気込みを肉声で語ったのはかなりインパクトがあった。ただ特にNISA制度については、国民側にも、制度の意義を理解し制度を活用するリテラシーや実行力を持つように、責任を投げかける内容でもあった」(安房氏) 「非常に豪華な面々が登壇し、つみたてNISAで資産形成していくことを本気で推進させていきたいという金融庁の本気度が伝わってきた。ただ、初心者向けの制度説明がほとんどなかった。スライドを交えて、簡単でもきちんと触れておいたほうがいいのかなと感じた」(パーサモウニアス氏) 「今回初めて参加して、改めてインデックス投資はいいと思った。コストは低く抑えられるし、状況によっては数十年後には結構なプラスも期待できる(絶対にプラスになる保証はないが)。つみたてNISAは若い人たちの口座開設が多いというのは、いい兆候だと思う」(Kojiro Nitta氏) 「金融庁長官の登壇は待ち望んでいた。つみたてNISAへ取り組む意気込みなど本気度も改めて感じ取れた。恒久化はぜひ実現して欲しい。通信・IT業界の金融分野の参入はまさに変わろうとしている印象を受けた。まだ手探りの感じも受けたがニーズはあると思う」(Livamoz氏) 「登壇者もプログラムも多様でメリハリがあった。一番印象的だったのは、金融庁長官がつみたてNISAの使い勝手向上に言及した点。スイッチング導入や恒久化にはとても期待。一方で、一人ひとりの金融リテラシーの向上や長期投資へのコミットも大事と感じた」(ザリガニ氏) 「パネルディスカッションでは既存のサービスに関してだけでなく、投資の未来像にまで踏み込んだ話があってもよかったのではと思う。既存の枠組みにとらわれない金融口座のあり方とか、『量子コンピューターでこんな投資が可能になる!』といった話をして欲しかった」(毛流麦花氏) 「金融庁長官登壇が印象的。やはり金融庁トップが語る言葉は重みがあるし、期待が持てる。つみたてNISAだけでなくNISAの恒久化も実現して欲しい。フェスと称するのであれば、もう少し砕けた感じでお祭り色があってもいいのかなと思った」(Wakaba氏) 「参加者も多く、金融庁がつみたてNISA普及へ力を入れていることがよく分かった。つみたてNISAの恒久化などが検討されていることで今後への期待感も持てた。つみップのように、参加者との懇親会の場などがあれば一層良いと思う」(Sayasayan氏) 「田中副大臣や金融庁長官らの話から、国としてつみたてNISAを盛り上げていく意気込みをすごく感じた。進行時間が少しタイトでもう少し余裕を持って欲しかった。未経験者や初心者には難しい流れだったように感じた。もっと堅苦しい会かなと思ったが、意外と楽しめた」(ずずず氏) 「岡本氏の話は素直に義務教育から教えて欲しい内容。お金は『不浄なもの』という先入観があるが、実はそうではなくて、お金をどのように運用し使っていけば周りが豊かになれるのかを分かりやすく解説してくれた」(takachan氏) 「『投資は普段欠かさず行う歯磨きのようなもの。若い時にはしなくても困らないが、年齢を重ねた時に困る』という岡本氏の言葉が強く印象に残った。つみたてNISAで短期間に大きくもうけることは難しいだろうが、世界の経済の成長を信じコツコツ続けていくのが大事だと思う」(セロン氏) 「有名ブロガーによるちょっとゆるい雰囲気のコーナーは『数万円儲かった。儲かっているうちに売りたくなる』など初心者にありがちな相談に対して『ここが長く続けることができるか否かの分かれ道』と、とても共感できる実用的な回答(診断)を返すなど面白く楽しめた」(やすぎ氏) 「つみたてNISAの認知度はゆっくりと確実に上がっているとの印象を受けた。夫婦で参加も見かけた。投信運用会社の方も一般客席で最後まで残っていた。決して大口保有者ではない個人投資家の考えや要望をキャッチアップする姿勢に変化を感じうれしく思った」(go-en(文系おじさん)氏) ◇つみたてワニーサのツイッターはこちら ◇金融庁・つみップのサイトはこちら (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

投信ブロガーが選んだ10大ニュースは? 金融庁が年内最後の「つみップ」

金融庁が21日夜に開いた「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)は、クリスマスと3連休の前にもかかわらず、約50人の個人投資家が集まった。つみップは積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の普及を目的に開いている個人との意見交換会で、今回が今年最後の開催。参加者は識者や著名投信ブロガーの話に熱心に耳を傾け、日頃から抱いている疑問や悩みをぶつけた。 ■「コツコツ投資」継続は力なり 最初の講義では、ファイナンシャル・プランナーのカン・チュンド氏(しんようFPオフィス代表)が「下がっても儲かる!?つみたて投資の摩訶不思議」と題して、積み立て投資の効用を説いた。毎月1万円ずつ10年間にわたって投資(投資元本120万円)した場合について、4つの価格(投資信託の基準価額)変動パターンを例をあげ、開始から10年後に価格が下がっていても利益を得られることがある理由を示した。 積み立て投資は継続的に一定額を購入するため、価格下落局面では平均購入単価が下がり、購入口数が増える。カン氏は「量(購入口数)×現在の価格」がものをいうのがコツコツ投資の特徴と強調した。 ■投信ブロガーが気になる10大ニュース 続いて、金融庁サイトで「教えて虫とり先生」の連載が始まった投信ブロガーの虫とり小僧さんが、自身が選んだ10大ニュース(順不同)について、ユーモアを交えながら語った。10番目に少額投資非課税制度(NISA)の恒久化が見送られたことを取り上げ、金融庁職員に改めて要望を訴えた。 【2018年投信ブロガー的気になる10大ニュース】 1.つみたてNISA始まる 2.個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)100万人 3.仮想通貨暴落 4.米リーマン・ショック10周年 5.カードで投信、ポイント還元 6.キャッシュレス化進む 7.教えて虫とり先生連載 8.投信の隠れコストに注目 9.投信販売会社共通KPI(成果指標)設定 10.NISA恒久化ならず ■下げ相場に関する質問なし 質疑応答では、経済評論家の山崎元氏、投信ブロガーの吊られた男さん、NightWalkerさんらが加わり、一つ一つ丁寧に答えた。この日は東京株式市場で日経平均株価が2万円割れ寸前まで下げる場面があるなど足元で世界的に株価が下落基調を強めているが、相場に関する質問が出なかったのは、つみたてNISAのイベントならではを映した。 【参加者からの主な質問】 ・コツコツ投資のリターンを上げる効果には開始月も関係しているのではないか ・投資していた投信が繰り上げ償還された場合はどう対処したらいいのか ・どういうタイミングで換金するのがいいか ・お勧めの資産配分比率があったら教えてほしい ・つみたてNISAの年非課税枠が12(カ月)で割り切れない額(40万円)に決まったのはなぜか ・ジュニアNISAの非課税期間(5年)が延長となる可能性はあるのか ・隠れコストはインデックス投信の運用成績にどう影響するのか ■「来年からつみたてNISAを始める」の声 懇親会には初心者も積極的に参加した。「一般NISAとつみたてNISAの違いを知りたくて参加。質疑内容はレベルが高かった」(40代女性会社員)、「今回は2回目の参加。来年からつみたてNISAを始めるつもり」(30代女性会社員)との声が聞かれた。 一方、50代後半のベテラン投資家で福岡から参加した男性自営業者は「初参加してみて、金融庁の本気度が分かった。女性参加者の『何かを吸収しよう、すぐに行動しよう』という意識の高さにも驚いた。東京との情報格差は大きな課題で、地方でも『つみップ』が浸透する工夫が必要だ」と指摘していた。 ■投信ブロガー「PV公開が待ち遠しい」 個人投資家として参加していた投信ブロガーに感想を聞いた。 毛流麦花(モールバッカ)さん「金融庁から紹介のあった『つみたてNISAプロモーションビデオ(PV)』の公開が待ち遠しい。現役女子高生が出演することで、若者の間で投資文化が芽生えていくきっかけになるのを期待したい」 安房さん「金融庁の中島淳一・総括審議官からの冒頭説明にあったように税制改正で、海外赴任者の取り扱いといった個人投資家の直面する課題が『つみたてNISAフェスティバル』での要望をきっかけに解決に至ったのは興味深い」 もことんさん「いつもと違う趣向で、参加リピーターの自分にも十分楽しめた」 やすぎさん「質疑応答では思い切って質問したが、丁寧な回答は大いに参考になった」 ■共通KPIが裏付けるコツコツ投資の効用 つみたてNISAの開設口座数は9月末時点の90万口座近くに達し、制度開始1年で100万口座の大台超えが確実視されている。買い付け額は累計で約576億円に過ぎないが、「続ける」のが特徴のコツコツ投資は解約されにくい傾向があるため、じわじわと積み上がっていく公算が大きい。 投信の販売会社による顧客本位の業務運営を客観評価する共通の成果指標(共通KPI)を見ると、長期・積み立てを推奨している独立系運用会社(投信の直接販売会社)の顧客で含み益の比率が高かった。コツコツ投資の効用が裏付けられた形とあって、つみたてNISAの存在感が投信市場で増しそうだ。 金融庁「つみップ」サイトはこちら (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

つみップ女子部、講師2人も女性 つみたてNISAやiDeCoを解説

金融庁が2日夜に開いた「つみたてNISA Meetup(通称:つみップ)女子部」は、約30人の女性が参加した。つみップは積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)に関する個人投資家との意見交換会で、対象を女性に限定した「女子部」は昨年11月、今年2月に続く3回目。今回は講師の2人も女性で、つみたてNISAをはじめ税制優遇を受けられる制度の活用法を中心に解説した。 ■女性講師2人が登壇、iDeCoも解説 まずは金融庁が夏休みに「こども霞が関見学デー」として開いた「小学生のためのハッピー・マネー教室」(講師:岡本和久氏)の様子をまとめた動画教材を紹介。続いて、つみたてNISA制度の背景やポイントを説明し、「長期投資・積み立て投資・分散投資・手数料・分配金・税金」の6つをすべて押さえた利便性の高い制度である点を強調した。 最初に登壇したのは独立系ファイナンシャルプランナーの岩城みずほ氏。「人生100年時代。一生お金に困らないために、今からできること!」と題し、資産全体を外国株式・国内株式・預金などに分け、それらを課税口座・個人型確定拠出年金(iDeCo)や企業型確定拠出年金(企業型DC)・つみたてNISAにどう振り分けるかといった組み合わせで考えるのがいいと説いた。 続いてDC制度に詳しい大江加代氏が登壇。「老後資産を作るiDeCoについて~投資デビューはつみたてNISAかiDeCoで~」をテーマに、iDeCoの制度説明を中心に解説した。iDeCoとつみたてNISAは両方とも、資産形成に有効な3拍子(積み立て投資・運用益非課税・低コスト運用)が揃った制度であり、iDeCoでの金融機関や商品選び、サポート体制の比較検討には「NPO 401K教育協会」の「iDeCoナビ」が役立つとした。 参加者はメモを取りながら、時折うなずいて聞き入るなど、真剣な面持ちが印象的だった。講師2人が話し終わると自然と拍手が起こった。とかく縦割り行政が指摘される中で、厚生労働省の所管であるiDeCoの解説も併せて金融庁内で聞けたのは参加者にとって新鮮な驚きのようだった。 ■識者やブロガーを質問攻め、「内容の濃い時間」の声 意見交換会のハイライトは質疑応答の時間だ。講師の2人や経済評論家・山崎元氏らの識者、著名投信ブロガーの虫とり小僧さん、水瀬ケンイチさん、吊られた男さんの3人を質問攻めにした。参加者からの質問要旨は以下の通り。 ・どの金融機関でつみたてNISAを始めたらいいのか悩んでいる。選び方のポイントを教えて欲しい。  ・つみたてNISAは20年たったら、その都度取り崩す必要があるのか。  ・話を聞いてiDeCoを始めたいと感じた。企業型DCに加入しているが、自分で掛け金を上乗せする「マッチング拠出」はできないので不利に思う。このあたりの制度上の仕組みを知りたい。  ・15本の投信をつみたてNISAで購入しているが、本数が多いと複利効果が薄れると聞いたが本当か。本数を絞る必要はあるか。  ・DCの加入期間が65歳までに延びそうだと聞いているが、70歳までの延長もあるのか。  ・障害で働けなくなった時、iDeCoでは制度上どう対応しているのか。  ・iDeCoを始めて1年くらい経つ。運用コストが格安の別の投信が購入できるようになったが、スイッチングした方がいいのか。  ・手数料の低下はそもそもどのような企業努力の結果で生じているのか。  ・「国民年金基金」は長生きするとお得感のある制度だと思うが、iDeCoと違ってあまり薦められない。それはなぜか。  ・読んで役に立つ雑誌、記事やWebサイトを教えて欲しい。 当日のプログラムにiDeCoに関する説明が入っているとは事前に知らされていなかったにもかかわらず、iDeCo関連の質問が目立った。ブロガーからも「iDeCoへの注目度の高いのが分かった」との声があがっていた。 別のブロガーは「初心者が多いと聞いていた割には、資産形成に熱心な様子がうかがえた」「内容の濃い時間だった」と話し、参加者として来場した女性ブロガーのWakabaさんは「いつもより参加人数が少なかったのは勿体ないくらいの豪華ゲストが勢ぞろいし、充実したひと時だった」と感想を述べた。 ■懇親会で情報交換、「明日にも口座開設」の参加者も 15本の投信を積み立て投資している30歳代の会社員はスマホの注文画面を見せながら「ネット銀行からネット証券に自動口座振り替えするたびに、購入ファンドごとに毎日ポイントがつく」と話し、「年40万円の非課税枠をフルに使い、1本100円くらいで毎日15本積み立てると毎月900ポイントほど貯まっていく。ポイントも積み立てに回す。高齢の家族の面倒を見るなど自分の将来を考えて資産運用している」と解説してくれた。 懇親会ではメモをとりながらブロガーに質問する姿もあった。その一人で親戚に誘われて参加したという開業医の妻は「しっかり資産形成しなくては。明日にでもネット証券でつみたてNISAの口座を開く」と目を輝かせた。 「外貨建て保険を契約したばかりだが解約して、つみたてNISAを始める」という積極行動派がいたほか、「預金を含めた金融資産全体のリスク管理の大切さが分かった」「つみたてNISA、iDeCoと聞いてもどう始めるのか悩んでいた。質疑の内容も初心者にも終始分かりやすく、どの金融機関で始めるか、どんな投信を買ったらいいかイメージがわいた」という感想も出ていた。 懇親会に参加したブロガーのFP-Misakiさんは「懇親会まで残った人はある程度積極的。『つみップのことはツイッターで知った。金融庁の説明会なら安心だから行ってみよう』という感じで参加した方が多かった印象」と話す。有益な情報交換の場である懇親会にもっと多くの人が参加するには「途中に短い休憩タイムを作るなど周りの参加者と話せる雰囲気を作ると、懇親会にも行ってみようかなという気になる人が増えるかもしれない」という。 懇親会の締めの挨拶に立った山崎氏が十八番の口笛伴奏で合唱の音頭をとった。曲は1997年に大ヒットし今年芸能界を引退した安室奈美恵さんの「CAN YOU CELEBRATE?」。「女性」と「20年」にひっかけた選曲のようだ。歌詞のサビを「20年という投資なんて知らなかったよね」に置き換えた歌声が金融庁の会議室の中に響き渡った。 <参考サイト> ◯金融庁「つみップ」サイトはこちら  ◯「小学生のためのハッピー・マネー教室」動画はこちら  ◯iDeCoナビ(個人型確定拠出年金ナビ)はこちら (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

投資ビギナー×つみップ 「お薦めの1本は?」

金融庁が12日夜に投資初心者を対象に開いた「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)には約40人の個人投資家が集まった。積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の普及を目的に2017年4月から始めた個人との意見交換会で、投資経験3年未満に対象を絞った「つみップ Rookies」の開催は今年1月以来の2回目。参加者からは「つみたてNISAを始めるにあたり、お薦めの1本は」といった直球の質問も飛び出した。 ■インターンの学生も参加、「ハッピー・マネー教室」紹介 今回のつみップは一般参加者に混じって、金融庁のインターンシップ(就業体験)に参加している大学生十数人も飛び入り。インターンでの「家計の『貯蓄から資産形成へ』の流れを後押しするため、若年層の投資への関心を高めるには、どのような方策が考えられるか」というテーマの討論をまとめたプレゼンテーションを控え、投資初心者の生の声に触れる貴重な機会になったようだ。 冒頭で金融庁が8月に小学生を対象に開いた「小学生のためのハッピー・マネー教室」(講師:岡本和久氏)の様子を動画で紹介した。「お金は感謝のしるし」「お金はあくまで幸せになる一つの方法」「お金を増やすにはどうしたらよいか」といった内容の講義は、一般公開されるようだ。 ■質問は多岐に、識者やブロガーが丁寧に回答 金融庁のつみップ担当職員がつみたてNISA誕生の背景や内容、長期・分散・積み立て投資の効用、対象商品や資産形成にあたって重要となるポイントなどを説明した後、参加者からの質問を受け付けた。多岐にわたる質問に対しては、金融庁職員に加え、経済評論家の山崎元氏らの識者と、著名投信ブロガーの虫とり小僧さん、吊られた男さん、水瀬ケンイチさん、NightWalkerさんが丁寧に答えた。 【参加者からの質問(要旨)】 ・説明資料中の金融資産「ゼロ」世帯の定義 ・子供への投資教育に対する取り組みの現状 ・初心者から中級者にステップアップするにはどうしたらいいか ・今後、子供の教育費がかさむ中、生活防衛資金とリスク資産に振り向ける資金のバランスをどう考えるのが適当か ・投資の勉強に役立つお薦め本を教えてください ・「ウォール街のランダム・ウォーカー」に書かれている間違いとは何のことか ・税制改正要望として挙がっている「海外転勤などでNISA口座保有者が一時出国時にもNISA口座を継続利用可とする」件の実現度 ・まとまった資金がある場合、一括投資した方がいいのか、それとも時間分散して投資すべきか ・つみたてNISA対象商品にアクティブ運用型のファンドが含まれている意味合い ・妻の父が新興国債券で運用する毎月分配型ファンドを保有している。ファンドに関するネガティブな話を良く聞くので、解約を薦めたいがどう説得したらいいか ・債券のみで運用するファンドはつみたてNISAで対象外となっている。株式との分散投資効果を考慮して、債券型のファンドを一般口座で購入した方がいいか ・家族も一緒につみたてNISAを行う時、投資商品は同じものに揃えるべきか ・投資する前に、どれくらいの知識が必要か ・これからつみたてNISAを始めるにあたり、お薦めの1本はどれか ■先進国株式や全世界株式インデックスファンドがお薦め 【識者やブロガーからの回答(抜粋)】 ・本を読むのはいいが当たり外れがある。水瀬氏のブログで紹介されている本がお薦め ・投資のお薦め本を一冊に絞るとすると「ウォール街のランダム・ウォーカー(日本経済新聞出版社)」を薦めるが、一部、間違いもある。それは本の400ページあたりに出てくる「投資の保有期間が長くなるとリスクが低減する」という記述でこれは金融理論上、誤り。 ・4月に開催された「つみたてNISAフェスティバル2018」で「はじめての投資! おススメの一冊 ベスト10」が発表されている。それも参考になる。 ・本を一冊読んでから投資をスタートする方が長続きする。その一方で、本を読むのは大切だが、投資を始めてから勉強する方が実践的との意見も。 ・つみたてNISAの投資手法であるコツコツ投資(ドルコスト平均法)は「気休めに過ぎない」という考えが示された一方で、コツコツ投資の方が心理的な面で有効という意見も少なくなかった。ブロガーからは母親がリーマン・ショック前に一括投資の高値づかみをして、元本回復に数年かかった実例も紹介された。 ・お薦めの1本については、先進国株式インデックスファンドを挙げた人が多く、続いて全世界株式のインデックスファンドが2名、日本株と8資産均等型のバランス型インデックスファンドも挙がった。具体名としては三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」とニッセイアセットマネジメントおよび楽天投信投資顧問のファンドが推された。 ■専門用語の説明集があるとより初心者向き 参加者には今年からつみたてNISAを始めたばかりという20~30代が目立った。「色々な角度からの意見がよかった。自分の今の投資内容に問題がないのを再確認できた。若い自分と同世代の投資家に出会えたのは心強く、老後のことを真剣に考えてみようと思った」といった声が出ていた。 また「バッサリ考えを述べる山崎氏に加え、優しく寄り添う感じで話すブロガーの方々などいろんな意見を聞くことができ勉強になった」(30代男性会社員)、「自分も初めはインデックスファンドとアクティブファンドの違いが分からなかった。関連する専門用語の説明集が資料に付いていると『初心者向け』にはより効果的ではないか」(20代女性会社員)といった感想も聞かれた。 ブロガーからは「説明をより分かりやすく工夫するべきだった気がする。例えば、債券の話にしても金利と債券価格の関係が分からないと理解が難しかったのではないか」「質問をその場で考えるのは人によっては難しい。少し間を置いて考えをまとめる時間などがあってもいいのではないか」「フレッシュな顔ぶればかりで、RookiesにはつみたてNISA普及の原点を感じる」という感想が漏れた。 初心者と言っても若者とは限らず、ベテラン投資家の50代後半の男性会社員が同世代の妻を連れて参加。「老後は妻や社会人になった子供と一緒に資産運用したいので、妻にもつみたてNISAのことを知ってもらいたい」と話していた。 つみたてNISAの投資家層は年齢を問わず徐々に広がりつつある。   ▽つみップのサイトはこちら (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

金融庁、新体制初の「つみップ」 運用5社の生の声に質問続々

金融庁が27日夜、同庁発足以来の大規模な組織改正後としては初めてとなる「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)を開いた。つみップは積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の普及を目的に2017年4月から始めた個人との意見交換会。終了後の懇親会ではつみたてNISAの推進を統括する新旧幹部が引き継ぎを兼ねて挨拶に立ち、貯蓄から資産形成への流れを促す政策の推進に向けた変わらぬ姿勢を強調した。 ■参加者は男女が半々、20~30歳代で半分 今回の参加者は約40人で、男女の比率はほぼ半々。年代別は20~30歳代で全体のほぼ半分を占め、投資経験は3年未満と経験なしが半数に達した。懇親会では20~40歳代の働く女性が目立った。 つみップは運用会社5社(大和証券投資信託委託、ニッセイアセットマネジメント、三菱UFJ国際投信、楽天投信投資顧問、バンガード・インベストメンツ・ジャパン)の幹部がつみたてNISAへの取り組みを説明し、参加者から質問を受ける形で進行。登壇する運用会社の調整に当たってはブロガーの要望も参考にしたようだ。ゲストには著名投信ブロガーの虫とり小僧さん、水瀬ケンイチさん、NightWalkerさんの3氏に加え、経済評論家の山崎元氏らを迎えた。 金融庁職員が冒頭で「なぜ、つみたてNISAなのか」「制度の意義と個人にとってのメリット」などを資料に沿って説明。つみたてNISA対象の投資信託が7月20日時点で155本と、当初から50本ほど増えたことも紹介した。 ■つみたてNISAも投信も知らない層が6割 運用会社各社の説明を以下にまとめた。 (大和証券投資信託委託) ・同社のファンドマネジャー25名に「つみたてNISA」で投資するとしたら、というアンケート結果を紹介。アクティブ型よりもインデックス型を選ぶ人が多く、国内株式型よりも海外株式型を多く選好しているなどの特徴があった。 (ニッセイアセットマネジメント) ・6月29日に<購入・換金手数料なし>の「なしなし」シリーズで4回目となる信託報酬の引き下げを実施。5月末時点のシリーズの純資産総額は合計1404億円と増大している。 (三菱UFJ国際投信) ・毎月実施している「つみたてNISA」1万人認知度調査の7月版を紹介。6月時点の認知度は上がっておらず、前月より低い26.6%。特に地方での認知度がやや低い傾向。つみたてNISAはもちろんのこと、投資信託も知らない層がまだ約6割もいる。 ・男女比率では女性の認知度が男性よりも低く、男性は年代間の認知度格差が小さいのに対し、女性は20代が低く、年齢が上がるとともに認知度アップの傾向。ただし、女性の認知度は07年9月時点の調査開始時より上昇中。 ・各社の代表的なノーロード・インデックスファンドの純資産総額の合計は6月末時点で1兆円突破が間近。資金流入額はNISAが始まった14年に年間で1400億円まで急拡大。18年は半年で既に1800億円集め、これまでの年間で最大を記録した15年の約1700億円を上回っている。 (楽天投信投資顧問とバンガード・インベストメンツ・ジャパン) ・米国株指数連動のインデックスファンドとしてS&P500連動型の組成も検討したが、低コストを追求するうえで、指数使用料のハードルが高く断念し、バンガード社の米国株ETFに投資する仕組みを採用した。 ■参加者から質問続々も時間切れで打ち切り 参加者およびブロガーからの質問を以下にまとめた。 ・低コスト化による薄利の極みの状況下で、販売会社からは何か言われないのか。 ・投資家が損しても売り急がないよう、運用会社としてはどのようにアドバイスするか。 ・注目している他社のファンド名を具体的に教えてください。 ・低コストで費用があまりかけられない中、どのようにマーケティングしているのか。 ・金融資産「ゼロ」世帯の金融資産には普通預金の他、年金も含まないという理解で正しいか。 ・2014年以降ノーロード・インデックスファンドへの資金流入額が急増したという説明を受けたが、その一方で、日銀が資金循環統計を見直した結果、家計の投信保有残高が増えていないことが判明した。金融庁はこの状況をどう捉えているか。 ・低コスト化が進む中、直販への進出を検討している会社は手を挙げて教えてください。 ・繰り上げ償還される可能性はあるか。 ・資産配分(アセット・アロケーション)に関するアドバイスやツールを金融庁が個人に提供する可能性について。 ■参加者からは「運用会社の生の声はやはり違う」の声 質問は時間切れで打ち切りとなるまで続いた。参加者から時間があれば「例えば、ドイツ、インド、スウェーデンの各1カ国の株式集中型など、インデックスファンドの投資対象地域が今後増える可能性はあるのか」「日本株インデックスファンドの信託報酬の方が先進国株型よりも高止まりしているのはなぜか」といった質問をしたかったといった声が出ていた。参加者からの感想を以下にまとめた。 ・制度説明の時間を削ってでも、質疑応答の時間をもっと長く取った方がよかった。 ・運用会社の生の声を聞けるのは貴重な体験。ネットで調べるとのはやはり違う。 ・運用会社が低コスト化に色々苦心しているのがよく分かった。 ・他社の注目ファンドは『株式型』など抽象的ではない具体的なファンド名を聞きたかった。 ・損をした時の対処など自分のやり方が間違っていないのを再確認できてよかった。 ・自分のように50歳代の主婦でも投資を始められる。成人した息子のつみたてNISAの商品選びについて家族で話し合うのにも、いいきっかけになった。 ・楽しかったが、正直なところ理解できなかった説明内容も多い。全面的に初心者向けのつみップを期待したい。 ・インド株指数が認定されれば、低コストのインド株連動型ファンドの設定を前向きに検討するという運用会社の話をじかに聞けた。 ・女性と若い人の参加が多いのは「つみたてNISA」の趣旨に合ったとてもよい状況。  (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

学生投資連合×金融庁 「つみップ」参戦、質問攻めに

サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で日本が初戦を迎えた19日夜、多くの人が応援のために街に繰り出し始めた時間帯に、金融庁の会議室にカジュアルな服装の若者が集まった。金融庁が積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)普及の一環で開いている個人投資家向け意見交換会「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)に参加するためだ。 参加者は主に首都圏の大学の投資サークルで活動している約50人。理念に「学生と金融をつなげ、学生の金融リテラシーを高める」を掲げて、全国の投資サークルの取りまとめ役である「学生投資連合USIC(Union Students Investment Clubs)」が所属メンバーに声をかける形で実現した。 参加申込者の内訳は大学1~2年生が約7割で、3年生が約2割、残りが4年生と大学院生だった。ゲストとして、投信ブロガー「虫とり小僧」さんらも加わった。 ■「さあ、皆さんはどう思いますか?」に率直な質問が次々と 冒頭で金融庁の「つみップ」担当者が「つみたてNISA」を制度化した背景や個人にとってのメリットなどを解説。参加者が大学生ということで、金融庁の生い立ちや役割などの概略も説明した。 担当者からの「さあ、皆さんはどう思いますか?」という問いかけをきっかけに、大学生が次々と手を挙げ、率直な疑問や質問をぶつけた。 【大学生の疑問・質問】 ・成人年齢の引き下げが決まったので、親の同意無しに投資できる年齢も下がると想定される中で、学校での早い段階の投資教育が重要になると思うがどう考えるか。 ・投資信託の販売手数料が(欧米などと比べて)高止まりしているのはそもそもなぜか。 ・楽天ポイントで投資できるようだが、現状を知りたい。ポイント投資によって個人の金融資産を構成する現預金と株式・投信の割合はどう変わるのか。 ・手数料が高いというラップ口座についてどう考えているか。 ・つみたてNISAで長期に儲かる確率が高いのは分かったが、損するリスクはないのか。     ■多くは仮想通貨に関心、女性は「長期志向」との声も 投資サークルに入っていることもあり、多くは短期の個別株投資や仮想通貨への関心が高いものの、つみたてNISAへの関心はまだ低いようだった。つみたてNISAは成人にならないと始められないのを知らない学生も多かった。大学生が毎月一定額を投資するのは難しい事情もある。虫とり小僧さんは「話しかけてくる学生のほとんどが仮想通貨のことを聞いてきた」と話していた。  参加者はつみたてNISAに関心があったからというよりは、「一度、金融庁に来てみたかった。懇親会でゲストの方々と話をしてみたかった」という動機も多かったようだ。「金融庁のビルは格式が高く立派。入るのに少しドキドキ緊張したが、みんなと一緒なので大丈夫だった」という声が聞かれた。  投資サークルとは別に参加した女子大学生は「リスクをとっても起業(スタートアップ)にはとても関心があるが、投資で短期に儲けようとは思わない。つみたてNISAにも興味がある。女性の方が長期志向だからかもしれない」と話していた。  今回集まったのは既に株式や仮想通貨投資の経験があるか、または関心がある大学生だ。今後は「投資は怖い」と思うような若年層に資産形成をどう根付かせていくのかも課題になる。 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

家族そろって「つみップ」 金融庁が都内で「ママ部」開催

金融庁が2日午後に都内で開いた「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)の「mama(ママ)部」は、家族連れを含む約30人の女性が参加した。今回は「経済に強いママを増やす会」と組み、新人ママ向けのイベントとして参加者を募った。 つみップは積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)に関する個人との意見交換会。昨年4月から開始し、これまで女性を対象とした「女子部」は3回、「mama部」は名古屋で1回開催していた。 ■家族連れで参加、立ったまま赤ちゃんをあやすママも 東京証券取引所の協力のもと、会場は東京証券会館(東京・中央)内のカフェと、東京開催では定番である金融庁の会議室を飛び出した。集まったママは、30代が4割弱、40代が4割強。ママに連れられた夫、赤ちゃんを含む子供十数人も参加した。家族で参加した投資経験8年の女性会社員は「夫につみたてNISAの良さを知ってほしい」と話していた。 泣きやまぬ赤ちゃんの声が場に溶け込んで自然と気にならないアットホームな雰囲気に包まれて進行。立ったまま赤ちゃんを抱っこし、あやしながら耳を傾けるママの姿も見られた。 川元氏(経済に強いママを増やす会) ■先輩ママから説得力あるアドバイス イベントの冒頭では、金融庁のつみップ担当職員が「今なぜ、つみたてNISAなのか」をテーマに制度の背景と狙いを説明。続いて、経済に強いママを増やす会を主宰する川元由喜子氏が「貯蓄と投資はどう違うの?」と題して講演した。 日本株ファンドの運用経験を持つ川元氏は「日本経済がデフレ期にあった過去の長い期間に、個人が現預金を保有したままだったのは間違った選択ではなかった。ただ、これから日本経済が長い目で見て成長するとみるならば、日本株市場全体に投資したほうが良い」と説いた。 また「株式投資は上がったり下がったりする紙切れを売買するイメージを持たれやすいが、ちゃんと実態が伴っている。会社の設備投資など経営活動に回り、会社の利益の増減が株式の価値に反映される」という点を企業のバランスシートの図と照らし合わせて解説した。 最後に、独立系ファイナンシャルプランナー(FP)の岩城みずほ氏は「誰でも始められる資産運用の方法」として「お金の人生設計」を「6つのステップ」に分けて考える方法を紹介した。投資商品や金融機関の決定は最後の最後で、まずは「人生設計の基本公式」を参考にするなどして、老後に必要となる毎月の積み立て額やリスク資産をいくら保有するかを決めるのが先と説明した。 岩城氏は老後の生活に備える以前の問題として、住宅ローンの支払いや教育費の工面の苦労があり、自身の体験からも「教育費は本当に大変。子供が進路を変更し当初の想定通りにはいかないことも」と早めの計画的な準備の大切さを強調した。 ■積極的な質疑応答が展開 少し遠慮ぎみに始まった質疑応答も、1人目が口火を切ると、積極的な質疑応答が展開された。概要は下記の通り。 岩城氏(ファイナンシャルプランナー) Q:「出口や20年後から先はどうしたらいいのか」 A:「いつ止めるかの出口をあまり考える必要はなく、淡々と積み立てていき、必要な時に必要な額を解約するのでいい。値下がりしていて解約したくなければ、現金から必要資金を充てるのでもいい。20年後も課税口座で積み立てを続けるのは可能」(岩城氏) 「『国民の資産形成になくてはならない制度』という声が高まれば、非課税期間の制約が撤廃され恒久化する可能性もある。英国がそうだった」(金融庁職員) Q:「ジュニアNISAの活用方法は」 A:「夫婦そろって『つみたてNISA』を満額活用することをまずは優先し、それでも余裕資金があれば『ジュニアNISA』を活用するという考え方でいいのでは。子供への投資教育を念頭に少額で『ジュニアNISA』を活用する使い道もある」(金融庁職員の個人的意見) 子供が成長した時に「長期・分散・積み立て投資」の成果を体感してもらうために、生きた投資教育の教材として「ジュニアNISA」を少額で使うというのは、子供思いのママの知恵かもしれない。子供2人と一緒に参加していた投資ブロガーの「アキウマレ」さんもそうした少額投資実践者の一人で、「3人の子それぞれの名義の『ジュニアNISA』で、毎月5千円ずつ積み立てしている」という。 ■夫からも質問の挙手 Q:「どのようなタイミングで投資内容を見直したらよいか」 A:「内外の株式・債券の4資産に分散投資するのが基本とされるが、国内債券型ファンドに関しては、今の金融緩和による低金利状態では運用コストを払ってまで投資する価値が乏しいのが一例」(岩城氏) A:「運用成績が良くないから見直すというのは間違いで、自分がとれるリスクを超えた時に資産配分を調整しリスクを抑えるのが正しい。最悪の場合、3割くらいは損することを覚悟し、2割くらいまで下がっても驚かず、慌てないのが大事。そこで売ってしまったら損が確定するが、長期には上昇し回復する可能性が高い」(金融庁職員の個人的見解) 「株価や投資信託の価格を毎日見る必要はない。値段を毎日チェックすると誤った判断につながりやすい」(川元氏) 質問の挙手は同行した夫からも上がった。 Q:「岩城氏のいう『お金の運用方法は誰でも同じ』には大いに共感する。低コスト化のおかげで運用コストの差が小さくなっている『つみたてNISA対象ファンド』の中で、最も効率的な運用をするにはどのような点に注目したらいいか」 A:「目論見書の運用方針や運用残高の伸びなどを自分でチェックして、自己責任で運用するのが大事」(岩城氏) ■つみたてNISA、7割が投信を初めて購入 金融庁職員によると、一般NISAの口座数は退職金などまとまった資金を持つ60歳以上の高齢層が半数以上。これに対して、つみたてNISAの口座開設者の85%が50歳代以下の現役世代でしかも、全体の約7割が初めて投信を購入したという。 投資初心者がつみたてNISAに向ける関心度合いは高い。つみップ参加者の投資経験もそれを裏付ける。今回の「mama部」は「投資経験なし」が全体の4割を占めた。5月に広島、福岡、姫路、大阪(女子部)で開催したつみップでは、「投資経験なし」が申し込み者のそれぞれ24%、12%、61%、34%だった。 「mama部」の参加者には「将来の教育費を工面」するうえでの「つみたてNISA」の活用が響いたようだ。2歳の子供を持つ女性は「教育費を準備するために学資保険に入っているので参考になった」という。別の女性は「一般NISAで投資しているが今年5年の非課税満期を迎える。高校生の子の学費はその収益を充てることになりそうだが、その後はどうするか思案中」と話していた。 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

攻めのイベント「つみフェス2018」、ピンク色の会場に250人

21日午後の東京・赤坂のイベント会場は、ピンクの服や小物でコーディネートした人で溢れかえった。金融庁が個人投資家を対象に開いた「つみたてNISAフェスティバル(#つみフェス2018)」は、同庁の女性職員の発案で「something pink(何かピンクのモノ)」というドレスコードを事務局が呼びかけたからだ。 つみフェスは昨年9月に続き2回目の開催。国民の安定的な資産形成を目的に、今年から始まった積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」の普及を促進する目玉イベントだ。前回の200人よりも定員を増やしたにも関わらず、募集からわずか4日間で250人の枠が埋まるほどの人気を集めた。 参加登録者の内訳は251人のうち、3分の2が男性で、年代別では30~40代が4分の3を占めた。来場者の8割程度が「つみたてNISA」を既に始めたか、始める手続きをしたと答えていた。  受付の様子 <参加登録者の内訳> 【性別】 男性:164人(65%) 女性:87人(35%) 【年代】 20代:24人(10%) 30代:105人(42%) 40代:87人(35%) 50代:30人(12%) 60歳以上:5人(2%) 【投資経験年数】 なし:36人(14%) 過去あり:5人(2%) 3年未満:90人(36%) 3年以上:120人(48%) ピンクのドレスコードは「春」「新しいことにスタート」をイメージして、明るく優しい色を選んだようだ。金融庁は女性職員がスーツにピンクのスカーフを首に巻くスタイルで統一し、イベントに華を添えた。 ■つみフェスは攻めのイベント 内閣府の村井英樹大臣政務官(経済再生・金融庁担当)による「つみフェスは役所では珍しい”攻めのイベント”」という開会宣言でイベントはスタート。投資教育家として著名なファイナンシャル・ヒーラー(ヒーラーは「癒し」の意味)の岡本和久氏の基調講話が続いた。岡本氏は「100年人生のお金との付き合い方」と題し、「将来の自分は今の自分が支える」とお金の呪縛に捕らわれずに長期に投資する生き様を丁寧に説いた。 油布参事官もsomething pink 次のセッションでは、つみたてNISA対象商品の誕生秘話を金融庁の油布志行参事官が審議の様子を振り返り、「お金を貯めてから投資しようという考えは捨てた方がいい。つみたてNISAは投資をしながら貯めるという発想に変わってほしいという考えで制度設計した」と強調した。 「はじめての投資!おススメの一冊ベスト10」発表の場に移ると、それまでとは雰囲気ががらりと変わり、たくさんの笑いに包まれた。投信ブロガーの虫とり小僧さんが進行役を務め、投信ブロガーの吊られた男さん、米国株ブロガーのたぱぞうさんと一緒に本の特徴を紹介した。 1位は投信ブロガーの水瀬ケンイチさんの著書「お金は寝かせて増やしなさい」。自らの山あり谷ありの実体験がありのまま記されているのが多くの支持を集めたようだ。水瀬さんは「投資未経験者・初心者に向けて漫画も使いながら執筆したので、1位に選ばれてたいへん光栄。投資は継続が大切というメッセージが伝わればうれしい」とのコメントを寄せた。 ■「つみたてワニーサ」が公式キャラクターに つみたてNISAの目印となる「つみたてNISA公式キャラクター」が公表された。応募総数343通の中から3作品に絞って一般投票で選出し、投票総数4515票の過半数を獲得した「つみたてワニーサ」(「積み立てはNISA」と読ませる)が採用された。 つみたてワニーサ 製作者は「20数年デザイナーをやってきて初めて国の役に立てたかなと思う。投資がまさに癒しになるよう、とかく堅いイメージの投資をやわらかく、かわいらしく表現した」と述べた。アートディレクターで審査委員の大山よしたか氏は「キャラクターとしての完成度が高く、背中が階段になっており一歩一歩積み立てていくイメージが素晴らしいと思う」と講評した。 金融庁はツイッターの公式アカウント「つみたてワニーサ(@Wa_nisa_FSA)」を開設。つみたてNISAや資産形成に関する情報をゆるく発信していく。 締めくくりは「有識者によるパネルディスカッション」で、経済評論家の山崎元氏、金融庁の八幡道典政策監理官らが登壇。参加者からの質問に応じる格好で、「親族がぼったくり商品を買っている場合、悟らせるにはどうしたらよいか」などにざっくばらんに答えた。 ■つみフェスは「金融庁によるファン感謝デー」 「つみフェス」は官から民への「ファン感謝デー」という色彩を帯びた、ある意味格別な無料イベントだったが、概ね好評だったと言えそうだ。つみたてNISAを「続ける、続ける、そして続ける」のメッセージも伝わった。 見逃せないのは、「おススメの一冊ベスト10」にインデックス投資の古典的名著とされる「敗者のゲーム」や「ウォール街のランダムウォーカー」が入ってきた点だ。投資理論を学ぼうとする個人投資家の知的好奇心は確実に高まっている。 金融庁職員や登壇者ら <ブロガーを中心に参加者の声> ■攻めのイベントが垣間見えた 「今回初参加。期待を上回る内容。『攻めのイベント』が垣間見えた。とはいえ金融庁は一般個人に迎合するのではなく、官僚らしく踏み込んではいけない一線を守っている点にも好感が持てた」(節税サラリーマンさん) 「データを示しながら投資のやり方やエッセンスなどを体系的にまとめた本を読むことは有意義だと思う。投資経験者が自分で役立ったと思う本を初心者に薦めるなら外れも少ないはず。イベントのプログラムに緩急があって、初心者にも経験者にもある程度楽しめるものだったのではないか。勉強会的要素と利用者(ファン)感謝デー的な要素がほどよく噛み合っていたように感じる」(虫とり小僧さん) 「個人投資家からの質問を軸としたパネルディスカッション、おススメ書籍の投票など、金融庁が個人投資家に寄り添うメッセージが伝わったのではないか。金融機関のような利害関係がない金融庁の公平な立場からの投資に関する知識や情報の発信は重要」(安房さん) 「前回のつみフェスは、ブロガーさんと金融庁職員の手作り感があったが、今回は岡本氏の講話など品格があった。とかく話が運用成績や金融商品に偏りがちな中、お金は幸せになる手段という岡本氏の見解は新鮮味があった。初心者・経験者とも満足できたフェスだった。内容は詰め込みすぎ感があり、講話と有識者ディスカッションの2部構成でも良い」(富山県在住のファイナンシャルアドバイザーの佐渡玉希氏) 「豪華ゲストで充実し、あっという間に終了。参加してよかった。時間を気にしながら短時間で終えるのはもったいなく、2倍くらいの時間が欲しいくらい。岡本氏の基調講演は聞きごたえ十分だった。金融庁主催なので、投資初心者の女性も安心して足を運べ、投資をよりリアルに身近なものに感じられるまたとない機会」(Wakabaさん) 「岡本氏の話はほんの20分ほどだったが、非常に印象に残るいいお話。『お金持ち』ではなく『幸せ持ち』に。リタイア後は、あるお金の中で最大限に幸せを高めることが大事で3000万円も5000万円も必要ない、といった話は、アーリーリタイアした自分の実感から見ても、まさにその通りという共感を覚えた」(NightWalkerさん) ■投資経験者と初心者の両方が楽しめる内容 「昨年に比べてかなり初心者向けになったような印象。著名な投信ブロガーが登壇者として参加するなど、かつてないほど金融庁と個人投資家との距離感が縮まっているのを感じた。今回は前回よりも聞きやすく、単なる座学ではなく事前のアンケートや投票を通しての参加型のイベントになっていたのが良かった」(nantesさん) 「物事には流行と、いつの時代も変わらぬ不易があり、投資は時代によって移ろう面もあるが、今回の投票でランクインした本は古いものも新しいものも時代を超えて読まれるのだろう。本当に良い本が選ばれた。自分が投資を始めた20年前には投資は『いかがわしい』というイメージが強かったが、投資が日常を豊かにする経済活動と認識され始めているのには、一個人投資家として隔世の感がある。ブログを中心にこの流れをサポートしていきたい」(たぱぞうさん) 「投資の話が聞きたくて北海道から駆け付けた。投資というと『金儲け』のイメージが強いかもしれないが、投資も社会貢献のひとつという岡本氏の話が印象に残った。つみたてNISAを使って積立投資の良さに気づける人が増えるといいなと思う」(札幌市在住のなるたくさん) 「豪華な出演者たちの講演やパネルディスカッションが面白そうだったので参加。つみたてNISAや一般NISAに対する金融庁の方の思いや本音にふれることができ、たいへん勉強になった。全国から集まった投資家さんたちと会うことができ、楽しく過ごせた」(水瀬ケンイチさん) 「今後、会社の内外で勉強会を実施するときのネタを見つけたく参加。インデックス投資は手軽に始められるが『つまらない』と思う時もある。多くの方と交流できると、つみたて投資を続けるモチベーションになるし、暴落が起きても安心して続けられる。今回学んだことや『気づき』を踏まえて、勉強会資料をアップデートし勉強会を開催していきたい」(ツイッターで発信しているTaku<金融系SEの投資のつぶやき>さん) 「2月からつみたてNISAを始めたばかりで、長く続けるコツを知りたいと思って参加。大勢の参加者を見て、長期投資を志す同志がこれだけいるというのは大きな励み。あっという間の3時間。ネットや本での投資勉強にはない、リアルイベントの良さを体感でき、本当に楽しかった。岡本氏の『資産形成の目標額を決める必要はなく、できる範囲で節約して資産形成に回す。資産活用期は手元にあるお金で幸福感を最大化すれば良い』という話は目から鱗だった」(青井ノボルさん) 「昨年のつみフェスは制度開始に向けての制度紹介や個人からの税制改正要望などやや投資経験者向きの印象だったが、今回はつみたてNISA普及に視点を置き、公式キャラクター募集など投資経験者、初心者両方が楽しめる内容だった。金融庁職員は全国各地でのつみップ(意見交換会)開催にも力を入れており、普及への本気度を感じる。国の政策イベントに一個人として参加できるのは幸せ」(リバモさん) 「いい意味で『お役所らしくない、お祭り』に近いイベントだった。幕間に流れるBGMの選曲も若い人を意識しているのがさりげなく伝わってきた。時間が短く感じられ、もっとじっくり話を聞いてみたかった。山崎氏が『他人任せの投資はダメ』と主張していたが、みんながみんな、最初から完全な自己判断で投資できるとは限らないのでは。その意味ではつみたてNISAでのバランスファンドは投資の入口としていいように感じる」(セロンさん) ■投資しながら貯めようは名言 「油布参事官の『投資しながら貯めよう』は名言。キャッチフレーズとして使うのにもピッタリ。商品の信託報酬上限基準が金融庁側からの提案だったのを初めて知り、びっくり。金融庁の本気度が表れていると感じた。ブロガー3氏による『おススメ一冊ベスト10』はリハーサルなしでこれだけの軽快トークとは凄い。イベントの様子を全国津々浦々にネットで配信するのを検討してはどうか」(毛流麦花さん) 「最初に岡本氏がお金、投資の本質的な話をしたのは良かった。お金というと汚いイメージがあるが、本来お金は感謝のしるし。時間軸・空間軸を広げることなどなど、SNSでも講演内容に好意的なコメントが多かった。今後は、これまで投資をしたことのない人につみたてNISAをどう訴求していけるかが課題。フェスティバルや各地の説明会(つみっプなど)で地道に啓蒙活動を続けていくことには意味があると思う」(フィナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子氏) 「ツイッターの実況中継で参加者の声がリアルタイムに見られることや、ブロガー3氏による本の紹介がくだけていて面白く印象的だった。つみたてNISAの制度を学ぶために参加したが、専門家のパネルディスカッションや制度の秘話を聞くことができ、充実した時間となった(きんゆう女子。 コミュニティマネージャーの金子圭都氏) 「昨年に引き続き、創意工夫された楽しく有意義なイベントだった。参加したかったけれど、すでに申し込みがいっぱいになっていたという声をたくさん聞いた。来年はさらに参加人数を増やして開催して欲しい」(総合司会を務めたファイナンシャルプランナーの岩城みずほ氏) (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、小松めぐみ) ◯つみフェス2018のプログラムはこちら  ◯金融庁・つみップのサイトはこちら  

つみップで「投信あるある」 金融庁が「毎月分配」のカラクリを説明

金融庁が16日夜に開いた個人との意見交換会「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)は、つみップ担当の職員がツイッター上で呼びかけた「投信あるある」をテーマに取り上げた。投信でよくありそうな誤解に対して、ゲストとして登壇した識者が回答し、金融庁は毎月分配のカラクリを詳しく解説した。 つみップは金融庁が昨年4月から開いている積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)に関する個人との意見交換会で、今回で16回を数える。 投信あるあるは投信に関する誤った認識や体験談などをつぶやきあうことで、広く情報を共有しようという試み。金融庁の職員が2月23日夜に「#投信あるある104」というハッシュタグを付けて投稿を呼びかけると、投信ブロガーをはじめとする個人投資家や識者らにつぶやきの輪が広がっていった。今回のつみップでは、集まったつぶやきを材料に投信への理解を深めた。 ■参加者は3分の2が20~30代 金融庁の会議室に集まったのは、男性17人、女性13人の計30人。年代別では20代6人、30代14人、40代7人、50代3人で、20~30代の若い世代が3分の2を占めた。投資経験は3年以上12人、3年未満14人、経験なし3人、現在は休止中が1人と幅広かった。 ゲストは経済評論家の山崎元氏ら識者3人に、著名投信ブロガーの「水瀬ケンイチさん」「NightWalkerさん」「虫とり小僧さん」の3人が加わった。 ■「投信あるある」でよくある誤解を確認 金融庁は「収益調整金」を説明 つみップでは「#投信あるある104」から選んだつぶやきを掲載した冊子「投資信託についてよくある誤解 厳選集」が参加者に配られた。主な誤解や勘違いについて列挙すると、以下の通り。 「販売額ランキング上位のファンドは、みんなが買っているので良い商品なのでしょう」 「店舗のある銀行や大きな証券会社のほうが、専門家が親切にどの投信がよいか教えてくれるので信用できる」 「環境関連のテーマ型投信を前に積み立て投資していた。既に売却したが、その商品は結局、繰り上げ償還された」 「投資の基準価額は資金流入額が多いほど、多くの人が買うので上がるはず」 「インデックスファンドは基準価額が高いほうが優秀」 「分配金が出ないファンドは分配金を出すファンドより儲からない」 「販売手数料や信託報酬が低いと、それは粗悪品で安物買いの銭失い、という説明がある」 「特別分配金は普通とは違うので特別にお金を振り込んでくれるサービスのこと」 「ノーロードは道路と関係あるのか」 「日本株ファンドの基準価額には組み入れ銘柄の配当金が上乗せされるのに、配当を含まずに計算する『TOPIX』と比較して、運用成績をよくみせようとするケースが少なくない」 「販売会社が経営破たんすると自分のお金が戻ってこない」 金融庁は毎月分配型などで元本を取り崩した分配を可能にする「収益調整金」という追加型株式投資信託特有の仕組みをスライドを使って説明。投信を後から購入した人の「元本」の一部が分配原資に加わっていくため、基準価額が下落しても誰かの「元本」を原資にすることで分配しているというカラクリを解いた。 参加者からは「イメージはつかめた」との声があがった。投信ブロガーの「毛流麦花(モールバッカ)さん」は「投信経理の本を読んで分配金の仕組みについて理解を深めたい」と意欲を示していた。  ■答えがいのあるハイレベルな質疑 「投信あるある」に先立って、金融庁が「つみたてNISA」制度をスタートした背景や狙い、その特長や長期・分散投資の効果、対象商品などを説明した。配布資料には図表に合わせたイラストが差し込まれているのが今回の特色のひとつで、個人がより理解しやすくなるように工夫されていた。 参加者からの質問は「つみたてNISA」の制度に関するものが多かった。 【参加者からの質問】 ・販売手数料の海外(特に米国)との違い ・レバレッジをかけた投信(日経平均の2~3倍の値動き)が対象外となった理由 ・つみたてNISAでの投信販売実績 ・海外留学や海外赴任時の取り扱い ・売却手数料の信託財産留保額がある投信は対象外なのか ・バブル時には身近で投資の話をしやすかったか ・日経平均を20年積み立て投資してプラスになったというグラフがあるが、最終的に上昇した期間なので当然ではないのか ・「一般NISA」から「つみたてNISA」に切り替えてしまうと、5年後に「つみたてNISA」を止めても「一般NISA」のロールオーバーは不可との説明を金融機関から受けたが確かか ゲストの投信ブロガーからは「答えがいのあるハイレベルな質問が多かった」「『どんな投信がいいのか、資産配分はどうしたらいいのか』といった素朴な質問はなかった」などの感想が漏れた。 ■「つみップ」参加で指南役へ、草の根の活動も 参加者からは「職場では投資の話はなかなかできないので、『つみップ』での情報や懇親会での交流は、自分の投資にとても役立つ」(30代男性会社員)との声が聞かれた。 前回の女子部に続き2回目の参加で今年から「つみたてNISA」を毎日800円(月2万円程度)で始めたという30代の女性会社員は「全部は理解できないが、金融庁の説明は説得力があり、これで『外れ商品』に引っかからないと思うと安心」と明るい笑顔で語った。 その話をそばで聞いていた投資経験豊富な30代男性会社員は「投資入門としては最高の選択。『つみたてNISA』の制度には不満な点もあるが、金融庁の制度定着への本気度は感じる」と熱を込めていた。 地方の大学生も参加した。4月から宮崎県での就職が決まっているという山口県在住の大学4年生の男性は「去年は『つみップ』にとんぼ帰りで参加したが、今回は卒業旅行を兼ねて参加。水瀬さんをはじめ著名ブロガーの方にまた会えて感激」と話す。少しずつではあるが「つみたてNISA」が若い世代に浸透し始めている。 「つみップ」に参加するだけではなく学んだことを基にして、「つみたてNISA」の教え役に回っているケースもある。会社を早期退職し現在は職業訓練校に通っている女性は「学校のクラスメート20人あまりに『つみたてNISA』についてプレゼンテーションする機会を持ち、『つみたてNISA』を知らなかった人が関心をもってくれた」と話していた。 「つみたてNISA」は今年1月に始まったばかりで、投信市場での存在感はまだ小さい。学生での関心の高まりやこうした草の根の活動が徐々に広がっていくにつれ、おおきなうねりに変わっていくのはそう遠くないかもしれない。 ■東京では4月に「つみたてNISAフェスティバル 2018」 つみップはこの後、名古屋市、鯖江市などで開催し、東京では4月21日に「つみたてNISAフェスティバル 2018」を開催する。つみたてNISAフェスティバルは昨年9月に続く2回目。さらなる持ち上がりが期待できそうだ。 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、小松めぐみ)

ツイッターで広がる「投信あるある」 金融庁職員が呼びかけ

「債券でしか運用していないのに、なぜ株式投資信託?」 「基準価額が高いと割高で、低いと割安?」 2月23日夕に「#投信あるある104」というハッシュタグを付けた投稿がツイッター上に登場すると、瞬く間に投信ブロガーをはじめとする個人投資家や識者らによるつぶやきの輪が広がった。 呼びかけたのは、積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)に関する個人投資家の意見交換会(つみたてNISA Meetup、通称:つみップ)を担当する金融庁の職員だ。ハッシュタグは「#」の後に言葉を書くことで特定のテーマであることを示す検索用のキーワードで、「104」は「とうし(投資)」を意味する。 金融庁は昨年からつみップの開催を重ねている。参加者から投資対象となる投資信託の仕組みに関する初歩的な質問を受け、「確かに投信ってわからないことが多い」と感じたのが投信あるあるを始めたきっかけという。 投信の制度や仕組みは難解な専門用語が多く、未経験者や初心者にはわかりにくい。投信でよくありそうな勘違いや投信購入時の体験などをつぶやくことで、広く情報を共有しようというわけだ。   「債券は満期まで保有すれば元本が確保されるのに、債券で運用する投信に元本割れリスクがあるのはなぜか」 「金利の高低と債券価格の上下との関係は?」 「国内非居住者になる海外赴任者は投信を購入できるのか」 「実際の取引に適用されるのはいつの基準価額か」 インターネットなどで調べても正しい答えにたどり着くのが容易でない「投信の常識」がサイバー空間の集合知で浮かび上がりつつある。 金融庁は「貯蓄から資産形成へ」の旗を振り、投資家の裾野拡大に腐心する。3月16日に東京で開催するつみップでは、「#投信あるある104」を参考にしながら、「投信のよくある誤解」について、ゲストを交えて話し合うことも予定しているようだ。 (QUICK資産運用研究所)

金融庁が「つみップ」女子部を開催 率直で実践的な質問が続々

バレンタインデー明けとなる2月15日の夜、金融庁の会議室に30人近くの女性が集った。金融庁が主催する積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の意見交換会「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)の14回目。昨年11月に続く2回目の「女子部」は、文字通り女性だけを対象に参加者を募って開催した。 ■金融庁の制度説明、iDeCoとの違いにも言及 ゲストには、おなじみの経済評論家の山崎元氏やファイナンシャルプランナー(FP)の岩城みずほ氏らに、男性ベテラン投信ブロガーの「NightWalker」さん、「虫とり小僧」さん、「吊られた男」さんの3名が加わった。さらに女子部に花を添える形で、ブログやツイッターで自身の資産運用について積極的な情報発信し、つみたてNISAを既に始めるなど投資経験豊富な「おぱる」さん、「スバル」さん、公務員の「yoko」さんの女性3名が特別ゲストに招かれ、豪華な顔ぶれが揃った。 参加者約30人のうち、6人の投資未経験者を含む半数ほどが投資歴3年未満で、経験歴の分け隔てなく「つみたてNISA」への関心が高いことがうかがえる。 金融庁担当者からは、つみたてNISAを制度化した背景や投資信託の仕組みに加え、同じく税制優遇が受けられる個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)との税制上の違いも説明に盛り込まれたのが今回の特色だった。 ■制度乱立の不便さや償還の不安などリアルな声飛ぶ 質疑・応答の時間では、障害を持つ娘にはつみたてNISAとiDeCoのどちらを勧めたらよいか、子供にはジュニアNISA(子供名義)とつみたてNISA(親名義)のいずれを選択すべきかといった女性目線での質問が目立った。 年間非課税枠がどうして12で割り切れない40万円なのかといった制度に関する素朴な疑問も出た。NISA(一般NISA、ジュニアNISA、つみたてNISA)をすべて一本化してもらった方が便利などの実直な要望もあり、金融庁担当者が熱心に耳を傾ける姿が印象的だった。 つみたてNISA対象ファンドの繰り上げ償還の可能性に関する質問に対して、投信ブロガーからは「繰り上げ償還をそれほど不安視せずにまずは始めることの方が重要」とのアドバイスもあり、そのうえで別の投信ブロガーからは投信制度そのもので「繰り上げ償還されると換金益に課税されるなど、何かと投資家に不利益になるのは改善して欲しい」と金融庁への要望が出る場面もあった。 今回開催されたつみップ女子部の感想を聞くと、ゲストの女性投資家からは「率直で実践的な質問」が多かったとの声が上がっていた。「ジュニアNISA口座で金融機関の変更ができないのは不便」という金融庁への要望もその一つだ。投信ブロガーからは「最近の波乱相場に関連した質問がなかったのは意外」との感想がもれた。   ■懇親会ではゲストを囲む華の輪 木曜日の夜にも関わらず、懇親会には約20人が参加し、ゲストや金融庁職員を囲みながら談笑する華の輪ができた。 ゲストのアドバイスがとても参考になったとの声もあった。「インデックスファンドの低コスト化が進んでいるが、乗り換えた方が良いのか」との質問に対し、山崎氏からは乗り換え時に換金税がかかる場合は「期待リターン×税率」が目安になるとの説明があった。例えば、外国株ファンドの期待リターンをおよそ年率5%とし、税率が約20%なので、信託報酬の差が両者を掛け合わせた1%以上だと乗り換え、1%未満だとそのまま保持、という基準だ。 投資信託の仕組みのイロハを「金融当局」が丁寧に解説していたのは「凄い」とゲストの女性投資家は感心していた。「投信の資産は信託銀行において、ファンドの保有者ごとにきちっと分別管理・保全されている」ので安全という説明が金融庁からあった。 ■50代女性「コツコツ投資もいいかな」 上場企業に勤める50代の独身女性は「職場の周りは自分と同年代の男性ばかり。私もそうだが、みんな定年後の生活に不安をもっているはずなのに、資産運用について話をするような雰囲気は全くない。今回参加して、ブロガーの皆さんと知り合えてよかった。つみたてNISAの非課税期間が20年といっても、定年が近い自分には無関係と思っていたが、今日の話を聞いて少し考えが変わった。一般NISAをつみたてNISAに切り替えてコツコツ投資してもいいかなと考えている」と話していた。 30代の会社員はNISAを少し前に始めたが、「職場の同僚から最近『つみたてNISAのことを教えて』とよく聞かれても、うまく答えられないので今回参加してみた。ヒントをつかめたような気がする」という。働く女性の間では、つみたてNISAの関心度合いがじわり高まってきているのかもしれない。 ゲストの岩城氏は「質疑のレベルが高かった半面、今回参加した投資未経験者が『つみたてNISAをどのように活用し始めたらよいか』を考えるのにどのくらい役立ったか少し不安。昨年11月の女子部では、つみたてNISAを始めるにあたり、その前に必要となる資産形成の金額や適切な運用場所などを5つのステップに分けて考える手順を紹介した。金融庁のつみップのサイトに説明資料が残っているので、投資未経験者の参考になれば」と話していた。 ■「20年という投資なんて・・・」、女性の歌声響く 懇親会の締めの挨拶は山崎氏。「つみたてNISAは失敗しにくい制度なので、『始める』『続ける』そしてそのよさを『教える』を是非実践して欲しい」と述べた後、恒例になりつつある合唱の音頭取りに移った。 今回ひねり出した曲は「20年」と「女性」にひっかけて、1997年に大ヒットした歌姫・安室奈美恵の「CAN YOU CELEBRATE?」。歌詞のサビを「20年という投資なんて知らなかったよね」に置き換えて歌うというシャレタ計らいだった。 ■再び地方へ、つみたてNISAキャラクターも誕生 3月のつみップは地方へ繰り出す。昨年12月のQUICK資産運用研究所の調査では、首都圏に比べ地方の方がつみたてNISAの認知度はやや低い傾向にある。東京でのつみップの熱気がどこまで伝播するか注目だ。 そして、金融庁はつみたてNISAのマスコットキャラクターを募集することを発表した。2月中には募集を開始する予定のようだ。   ◯「個人の資産形成に関する意識調査」の概要はこちら <金融庁> つみたてNISA Meetup (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、小松めぐみ)

金融庁が初心者向け「つみップ」  先輩ブロガーに直球質問

1月19日の夜、東京・霞が関にある金融庁の会議室には金融庁担当者やゲストの声に熱心に耳を傾ける30人近くの姿があった。今年1月から始まった積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)について語り合う、金融庁主催の意見交換会「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)も13回目を数え、今回は主に投資経験が3年未満の初心者を対象にした「つみップ Rookies」が初めて開催された。 講師に経済評論家の山崎元氏らを招き、人気投信ブロガーの「虫とり小僧」さん、「はちどう」さん、「吊られた男」さん、「個人凍死家テリー」さんの4人が特別ゲストとして加わった。金融庁の「長期投資のベテランとしてルーキーズの質問に答えて欲しい」という要望に応え、長期投資を実践し、米リーマン・ショックをはじめとする数々の市場の変調をくぐり抜けてきた強者(つわもの)がそろった。 ■スマホで「資産運用シミュレーション」実体験 金融庁担当者はつみたてNISAの制度概要に加え、「投資とは」といった根源的内容を説明。「米国で金融資産が大きく拡大したのは非課税制度が起爆剤になった」「(投資を通じて)未来の幸せで明るい自分に会う準備をしてはどうか」「適度なリスクをとるのが必要だが、投資信託を通じ世界の金融市場全体を少額で買うのが可能」などと解説した。山崎氏は「一部の金融機関という『狼』には気をつけて」と注意を促した。 説明会は終始和やかな雰囲気に包まれ、参加者が自身のスマートフォンを使って金融庁ホームページの「資産運用シミュレーション」を一緒に体験する時間も設けられた。例として、想定利回り(年率)が3%の投資信託を毎月3万円ずつ購入すると20年後には投資元本の720万円が約985万円に増え、運用収益が約265万円(元本に対し約37%のリターン)となることを実体験した。 ■ルーキーズから次々と質問 質疑応答の場では、やや緊張しているためか控え目ながらも、ルーキーズから長期投資に関連した質問が次々と出された。 「妻にも『つみたてNISA』を勧めているが、『知識がない』『損しそうで怖い』として全く耳を貸そうとしてくれない。投信ブロガーの皆さんのご家族はどんな感じか」「新しい商品が出てきて目移りしそうだが、乗り換えた方がいいのか」「20年投資するつもりで、例えば18年目に大きく儲かっていてもそのまま続けた方がいいのか」などだ。 虫とり小僧さんは「ルーキーズの皆さんからの質問は自分のブログ経由で同じように受けたことが何度もあり、投資初心者に共通する疑問や悩みのように感じた」と述べ、「ネット経由ではなく、直接受け答えができたのは新鮮で、少しでも参考になれば嬉しい。『損してもあまり考えこまずにひたすらコツコツ投資を続けることが何より肝心』なことを伝えたかった」と話していた。 つみップにほぼ毎回参加し、ツイッターで臨場感あふれる実況中継が恒例となっている若手投信ブロガーの「安房」さんは、今回はルーキーズに同伴する形で参加。「投信ブロガーにとっても、初心者の率直な疑問に答えることは考え方を整理する機会にもなり、今後の活動に大きなプラスになったのではないか」と語っていた。 ■金融庁、「職域NISA」の広がりに期待 「つみたてNISAは若者にはいい制度と思うが、大学を卒業したばかりの初任給でやりくりするのは苦しい。金融庁は制度をどのように広めていこうとしているのか」と質問の矢は金融庁にも向かった。 金融庁を代表し、油布志行参事官は「長期・積み立て・分散投資のつみたてNISAは投資のスタンダードだと考えている。ただ、制度普及には小さな成功体験の積み上げが欠かせない。必ず儲かる魔法の杖でもないので、投資家が成功しやすいように、手数料負けしないような投資信託に対象を絞り込んだ」などと強調した。 金融庁は、働く若者がつみたてNISAを始めやすいよう、職場積立NISA(職域NISA)の広がりに期待をかけている。金融庁幹部や職員、家族が率先してつみたてNISAを始めており、今後は中央官庁をはじめ東京都の職員や教職員に広がる可能性もあるようだ。 ■「家に帰ったらつみたてNISA」「投信ブロガーに会えて最高」 初心者は識者や先輩投資家と交流する場が限られるだけに、つみップを通して投資に対する理解が深まったようだ。 今春から社会人になる学生は「銀行で勧められるがままに投信を買った。今日は投資全般について聞きたいと参加した。近くで投資している人がいないのでこういう場はいいですね。家に帰ったらネット証券でつみたてNISAをしようと思う」と意気込んでいた。 今回で8回目の参加となる女性は「毎回テーマが変わるので飽きずに面白い」と語った。「投信ブロガーって本当に実在していたんですね」「投資を始める時に参考にした『生』ブロガーと会えて最高」「金融庁に入るのに緊張したが、意外に敷居が低くホッとした」といった率直な感想も聞かれた。 「介護の仕事をしていて、日々少子高齢化の厳しさを感じる。年金への不安もあるので自分でどうにかしなきゃいけないと思った」「預金の金利が低すぎる、そうかと言って給料がすぐに上がる訳でもないから少しずつでも殖やす努力をしたい」など、働く世代のリアルな声も印象的だった。 つみたてNISAの誤解が解けたとの声もあった。大学4年の女子学生は「一般NISAと併用不可なのを一般NISA口座の解約が必要と勘違いしていた。そうではないと分かったので、長期に寝かせるつもりで、地元に帰省した時に地方銀行でつみたてNISA口座を開設するつもり」と話した。 一方、「多少投資に関心がある人には今回の意見交換会はとても役立つと思うが、職場で投資の話をしようものなら白い目でみられる。『投資が怖い』と思っている人たちが始めるには相当ハードルが高い。制度が広く社会に受け入れられるにはテレビでコマーシャルをバンバン打つなどが必要なのでは」という指摘もあった。 ■金融庁の一室でまさかの歌声 意見交換会の後に設けられた懇親会は金融庁職員を含む30人以上が参加した。懇親会の締めを任された山崎氏は、いつもの辛口がさく裂すると思いきや、音頭をとったのは伴奏ならぬ自身の口笛に合わせての合唱。曲は「スキヤキ・ソング」として世界的に知られている坂本九の「上を向いて歩こう」だった。 金融庁で歌声というまさかの懇親会お開きとなったが、あたかも「歌詞の最後のように『ひとりぼっちの夜』を感じている投資家はつみップに来て、長期投資の輪に加わると一人ではない」と呼びかけているかのようだった。 山崎氏は「一括投資に比べて有利でも不利でもなく、気休めに過ぎない投資手法」とドルコスト平均法(積み立て投資)に対してはどちらかと言えば否定的立場をとるが、「つみたてNISAはいい」と評価。「若者の多くには一括投資が有効なほどのまとまった資金がなく、毎月の少額投資が現実的」「つみたてNISAは、金融庁が対象商品をノーロード・低コスト商品に絞り込んだことで、失敗しにくくて成功体験を作りやすい投資教育の優れた教材になった」「習うより慣れろで、大いにやってみて欲しい」と語った。 会場にはテレビ局の取材が入り、ますます盛り上がるつみップ。次回の2月15日は人気企画の「女子部」だ。 <QUICK Money World関連記事> 「つみたてNISA」本番直前、金融庁に個人投資家が集結 年内最後の「つみップ」  <金融庁> つみたてNISA Meetup 資産運用シミュレーション <日経電子版> ・虫とり小僧さん バランス型で満足(投信ブロガー) ・吊られた男さん 理詰めのパッシブ(投信ブロガー) (QUICK資産運用研究所 高瀬浩、小松めぐみ)

「つみたてNISA」本番直前、金融庁に個人投資家が集結 年内最後の「つみップ」

  街がクリスマスムードに包まれた12月22日、金曜日の夜。東京・霞が関にある金融庁の厳かな会議室に、40人の個人投資家に加え、運用会社、著名な経済評論家らが集まった。2018年1月から始まる積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の本番直前、金融庁主催の「つみたてNISA Meetup」(通称:つみップ)と称する「個人投資家との意見交換会」も年内最後の会合となった。 つみたてNISAをきっかけに、より多くの人が資産形成に関心を持つようになることを狙い今年4月から始まった「つみップ」も今回で12回目。東京だけでなく、大阪や名古屋、金沢など地方でも開催している。運用会社や販売会社をゲストに呼んだり、女性だけを集めた「女子部」を企画したりするなど、様々な趣向で反響を呼び、今回は40人の募集枠があっという間に定員に達する人気ぶりだ。  つみたてNISA対象の投信は12月18日時点で132本。このうち56本をつみたてNISA向けに新たに組成されたインデックスファンドが占める。今回のつみップでは、新商品の狙いや特徴について、運用会社6社(アセットマネジメントOne、大和証券投資信託委託、ニッセイアセットマネジメント、バンガード・インベストメンツ・ジャパン、三菱UFJ国際投信、楽天投信投資顧問)が説明した。  ***************************************************************************** 【運用会社各社の主なポイント】 ・アセットマネジメントOne:8資産均等型やリスク水準が3段階で異なる「たわらノーロード バランス」を投入。 ・大和証券投資信託委託:「S&P500指数」に連動する「iFree S&P500」の誕生秘話。つみップの場で受けた個人投資家からの要望を反映し、いち早く組成したという。 ・ニッセイアセットマネジメント:国内株・先進国株・新興国株を各3分の1ずつ組み合わせる株式のみの「バランスもどき」を設定。 ・三菱UFJ国際投信:ネット専用の「eMAXIS」とは別に、対面販売専用の「つみたて」シリーズを新設。金融機関の窓口で販売員が顧客に制度説明できる商品に。 ・楽天投信投資顧問とバンガード・インベストメンツ・ジャパン:世界の株式市場の大半に1本の投信でアクセスできるようバンガードの超低コストETFを活用。 ****************************************************************************   「今後、信託報酬を下げる予定はあるのか」「繰り上げ償還しないファンドを見極めコツは」――。質疑応答では、参加者から次々と手があがった。「海外株の配当金への課税も考慮すると指数連動性の点で問題はないのか」といった踏み込んだ質問も飛び出した。  専門的な難しい用語が出た時はすかさず金融庁職員が別の言葉に置き換えて補足説明するので、投資初心者でも気後れすることはない。ゲストの識者からは、ノーロードのインデックスファンドの短期売買を防ぐには「信託財産留保額」を運用会社が新たに設けやすいよう、金融庁が促すのが適当ではないかとの提案も出た。  意見交換会の後に開かれた懇親会で、参加者の声を拾ってみた。2回目の参加となる40代女性は「金融庁が主催なので安心感がある」と今回は友人を誘って参加。著名投信ブロガーの一人であるNightWalkerさんは「色んな声に耳を傾けてくれる。金融庁がリーダーシップをとって約1年続いたことが素晴らしい」としみじみ振り返る。「資産運用にあまり関心がない息子には『つみたてNISA』を始めるよう話す」  「運用会社の生の声が聞けたのがよかった」という声もあった。まとまったお金が入って投資を始めたという30代男性は「普段は周囲の人とお金の話しを気軽にできないけれど、ここに来るとオープンに話せるので楽しい。自分が保有しているファンドの運用会社の方に直接質問ができて勉強になりました」と意欲的に語ってくれた。  今回参加した運用会社の関係者は「自社でセミナーを企画してもなかなか資産形成層との接点を持つことが難しいので、とてもいい機会だ」と話す。最近の相次ぐ信託報酬の引き下げ競争については「正直、厳しい」と苦笑しながらも、「長期的に資産形成の後押しに繋がるのであれば、社会貢献だと前向きに思える」と語った。 今回の参加者は主に20代~40代の資産形成層が中心で、多くはSNS(交流サイト)でこのイベントを知ったとのこと。ただ、つみたてNISAを実際に来年から始めるかどうかは、まだ決定していない参加者も少なくない印象だった。  「投資しながら貯める」趣旨で制度設計された「つみたてNISA」。こうした金融庁の意欲的な説明会に参加した個人投資家の輪を通じて、じわり若い世代に広まっていくことが期待される。    (QUICK資産運用研究所 小松めぐみ、高瀬浩)

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