貿易交渉で圧力→景気業績に下押し圧力→利下げ圧力 対中関税第4弾の衝撃波

QUICKコメントチーム=池谷信久、片平正二 イラスト=たださやか

①貿易交渉の相手国に圧力をかける、②その影響で実体経済や企業収益に下押し圧力がかかる、③だから景気下支えのためFRBに利下げ圧力をかける、とみれば、衝撃と混乱を与え続けるトランプ流が理解しやすくなる。

 

トランプ大統領が1日にツイッターで、「中国は大量の農産物を米国から輸入すると合意したが実際には実施しなかった。9月1日から3000億ドル規模の中国製品に対して10%の関税を課す」とつぶやき、対中関税の第4弾を発動する方針を表明した。米中の閣僚級貿易協議が7月末に再開されたものの、事態が悪化する可能性が高まっている。

9月利下げ確率80%台に急上昇

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が金利先物から市場の利下げ予想の確率を算出する「Fedウオッチ」では1日、9月の利下げ確率が80%台に急上昇した。米サプライマネジメント協会(ISM)の7月の製造業景況感指数が市場予想を下回ったことに加え、トランプ大統領のツイッターを受け、米中貿易摩擦が激化し、米景気が減速するとの懸念が広がったためだ。7月31日にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見が市場想定以上にタカ派的だったことで、利下げ確率は50%台に低下していた。

アップルの1株利益4~8%減も

エバコアISIは1日付のITハードウェアに関するリポートで「第4弾が発動されれば、今後の(業績の)インプリケーションに大きな影響を与えると見込まれる。中国から部品などを調達する企業にとって関税で価格が上昇すれば、米国向け輸出製品の需要が減る。一方、中国側が報復措置で米国からの輸入品に対して関税をかけるようなら、米国からの輸出品の需要に悪影響が出るだろう」と指摘した。

アップルやアンフェノール、HPなどに影響が大きい一方、影響が小さい銘柄としては中国売上高が6%以下のインターナショナル・ビジネス・マシーンズやCDWを挙げた。その上で「アップルに関しては10%の関税に伴う製品値上げによって、1株当たり利益(EPS)に4~8%の影響が出る可能性がある」と見込んだ。

政権幹部で戦略的判断、周到な準備か

今回のトランプ大統領のツイートに関して、米経済専門チャンネルのCNBCで政治問題を担当するEamon Javers氏は1日にツイッターで「ホワイトハウスの関係者によると、きょう11時30分に行われた会議でトランプ大統領は上海で行われた貿易協議に関してムニューシン財務長官、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表から報告を受けた」とつぶやいた。

その後、別のツイートで「トランプ大統領が対中関税の第4弾のツイートを下書きを書いている時、トランプ大統領と一緒に会議に出席していたのはムニューシン財務長官、マルバニー米大統領首席補佐官代行、ナバロ大統領補佐官(通商製造政策局長)、国家経済会議(NEC)のクドロー委員長だった。トランプ氏が自分の言葉でツイートを書く上でアドバイスをしていた」とも明らかにした。トランプ大統領の突発的な思いつきではなく、上海で行われた米中の閣僚級協議の結果を踏まえ、トランプ政権幹部で戦略的な判断が示された可能性があるようだ。

Eamon Javers氏はさらに別のツイートで「私はトランプ大統領に『なぜ25%ではなく10%で中国に関税を課すのか』と尋ねた。彼は『これは段階的に行わる』と言った、そして彼は『適当と思うような水準に徐々に上げたり、徐々に下げたりできる』と述べた」とつぶやいた。今回、10%という数字が示されたのは、今後の米中の貿易協議を巡って交渉余地を残したものなのかも知れない。

トランプ大統領は普段はiPhoneでツイートを発しているが、対中関税の第4弾を表明した一連のツイートはWebアプリ経由だった。入念に下書きを作成していた可能性が示唆されていた。

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