「始まりでなく一度きりでもない」米利下げ 市場の逆イールド懸念は晴れず

QUICKコメントチーム=池谷信久

31日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で25bpの利下げが決まった。声明文では「経済成長の持続へ適切に行動するだろう」と明記し、追加利下げの可能性を示唆。保有資産を縮小する量的引き締めも予定を2カ月早めて7月31日で終了することとした。ほぼ市場コンセンサス通りの内容だったが、パウエルFRB議長が記者会見で今回の利下げについて「長期の利下げ局面の始まりではない」と発言したことで、米金利は短めのゾーン主導で急上昇した。その後、議長が「一度きりの利下げだとは言っていない」と述べたことや、株価が大幅に下落したことで長期金利は低下。10年と2年の金利差は大幅に縮小した。

FFレートや3カ月TBと10年金利の関係でみれば、利下げ後も逆イールドは解消されていない。逆イールドとリセッションの関係に対する議論は分かれている。ただ、FRBのクラリダ副議長は過去、短期金利が長期金利よりも高い逆イールドの状態になるとかなりの確率でリセッションが起きると述べている。イールドカーブがFRBの政策判断に影響を与えていることは確かだろう。「FRBは逆イールドが解消されるまで利下げを続ける」(ストラテジスト)との声も聞かれる。

また、逆イールドが株式市場で意識されることでリセッション懸念が広がり、株価の下落をもたらす可能性もある。結果的に市場に催促される形で9月のFOMCで追加の利下げに追い込まれるシナリオも描ける。

米国のイールドカーブのフラット化(逆イールド化)は、為替ヘッジのコストを通じて、日本の投資家にとっては米債投資妙味が後退し、米国勢にとっては日本国債への投資妙味が拡大する形になる。ますます日本の金利は上がりそうもない。

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