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あなたの知らない「インバウンド」、外国人旅行者のホンネを探れ!

記事公開日 2016/4/26 21:47 最終更新日 2018/1/9 11:33 経済・ビジネス コラム・インタビュー 金融コラム

「春節で電化製品を買い漁る中国人」――。インバウンドと聞いてその程度のイメージしかないようなら、あなたは表面しか理解していません。外国人旅行者はなぜ日本に訪れるのか、何を求めているのかを正確に把握する、それがインバウンドを理解するうえで重要です。本レポートでは、インバウンドの今と未来について最低限、憶えておくべきことを纏めました。

外国人旅行者は今後も増加する

2015年は「インバウンド元年」ともいうべき年で、2014年比で47%増の1973万人もの外国人旅行者が日本を訪れました。本年度も1~3月期は前年同月比で約40%ほど増加し、3月には調査開始から初めて月間200万人を突破しました。この傾向を受けて、政府は2020年までの年間目標を2000万人から3000万人に引き上げています。

外国人旅行者の内訳は日本政府観光局がまとめた統計データから確認できます。資料によると、2015年は韓国、中国、台湾、香港の東アジアからの旅行者が全体の7割強を占めました。

外国人観光客_国籍調査

報道から受ける印象では、外国人旅行者とは「爆買いをする中国本土からの団体客」ですが、台湾と香港からも多くの旅行者が訪れており、合計すると中国本土を超えます。これら地域は日本に対する好感度が高く、日本の伝統文化やポップカルチャーに造詣が深い人が多いのが特徴です。さらに近年は韓国からの旅行者も急増しており、全体の2割強と無視できない値です。

中国人は何月にやってくる?

また、2015年は8月に中国人旅行者の入国ピークを迎えました。中国人=春節(旧正月)に海外旅行するというイメージから、春節のある2月が最も多いと思いがちですが、少なくとも資料で確認できる2003年以降で2月がピークの年は一度もありません。中国人は7~9月の夏季に多く訪れる傾向があります。

ここ数年で外国人旅行者が急激に増えた印象ですが、それでも外国人旅行者数は世界で22位、アジアでも7位で政府が目指す観光立国には道半ばといったところです。世界的な観光立国であるフランスやイタリアとは程遠く、中国やタイ、韓国にも劣っています。逆に言えば「伸びしろ」があるとも言え、日本の魅力を積極的に世界にアピールしていく必要があります。

日本に来てまで買いたいモノとは?

日本に来た外国人は土産として様々な商品を購入しています。日本で買うメリットは「品質が良い」「本国より安い」に加えて「デザインが良い」商品が多いからです。観光庁が外国人旅行者を対象に実施した消費動向調査から、彼らが何を購入しているのか確認しましょう。

中国人は化粧品を進んで購入していますが、韓国人は菓子類、台湾人は医薬品を購入しており、国や地域によって好む物が異なるようです。ヨーロッパからの旅行者は酒やたばこなどの嗜好品を購入する傾向があります。

近年、外国人旅行者に人気が高い商品は、ずばり化粧品です。

外国人観光客_化粧品購入

特に中国人からの人気が高く、一人当たりの購入単価が5万円近くと他国の倍以上の金額です。特筆すべきは購入率で、中国からの旅行者のうち約8割が化粧品を購入しています。もはや、中国人にとって日本での観光目的の一つとも言えるでしょう。

インバウンドの目玉として化粧品が期待されるところですが、注意しなくてはいけないのは、これら購入品は自国での流行にも左右されることです。2014年までは炊飯器などの白物家電や時計、貴金属が人気でしたが現在は伸び悩み気味で、代わりに化粧品が人気を集めています。また、中国本土においてはインターネットの口コミを特に重視する傾向があります。化粧品が人気なのも、日本製の品質の高さが口コミで広まったためです。口コミで話題になっているものとして、例えば、コーセー(4922)の「雪肌精」などが有名です。

とはいえ化粧品ブームがいつまでも続くとは言い切れません。インバウンドを考えるには、これらの情報にアンテナを張り続けることが重要となります。

日本の観光は「買う」から「体験する」にシフトする

2015年までは買い物目的の観光客が増加しましたが、今後は体験を求める観光客が増加するでしょう。先の消費動向調査をもとに、外国人旅行客に「訪日前に期待していたこと」と「次回期待すること」をヒアリングした結果を見てみましょう。以下は述べ回答数のグラフです。

外国人観光客_期待すること

訪日前は「日本食を食べる」「ショッピングをする」ことを期待する人が多いのに対して、次回は「温泉に入る」「スポーツ・レジャーを楽しむ」「日常生活を体験する」ことを期待する人が多いことが分かります。円安やビザ発給要件の緩和により買い物目的の旅行客が増加しましたが、いずれ限界が来ることを示唆します。観光立国と呼ばれる諸外国は、いずれも「歴史ある街並み」「華やかなエンターテイメント」「唯一無二の自然」など、その地でしか味わえない体験を売りにしています。今後も継続的に旅行客を増加させるためには、いかに「日本らしさを味わえる体験」を提供できるかが焦点となります。

日本らしさの味わえる観光地のほか、サンリオ(8136)の「サンリオピューロランド」のような日本にしかないテーマパークへの注目が高まるかもしれません。

また、将来的には地方の観光が重要な柱となるでしょう。というのも、旅行客が2回目、3回目とリピートして観光するに従い、主要な観光地よりも、知る人ぞ知る地方の観光地を目指す傾向があるためです。地方に行けば日本らしい伝統文化や自然が容易に体験できるのも魅力です。そのため、地方には、観光資源の再活用や外国人観光客の受け入れ態勢を整備することが急務といえます。

熊本地震の影響は?

4月に発生した熊本地震の影響は観光業界にも波及する見通しです。九州は全国的にも外国人旅行客が急増している地域で、昨年は全観光客の10数%程度が九州を訪れました。多くは福岡から各県の観光地に向かう客ですが、九州の大動脈である熊本の鉄道と道路が寸断されたため、隣県の大分や鹿児島などへの観光にも影響を与えています。また、九州観光関連銘柄の本命になるかもしれないと期待されていたJR九州の上場も、地震の影響で、どうなるかは不透明です。

また、一連の報道による心理的な不安も既に広がりを見せているようです。過去の災害でも、風評被害や自粛ムードにより地域の観光に影を落とすケースがありました。早急なインフラ復旧もさることながら、外国人旅行客への風評対策も求められています。

以上が2016年のインバウンド動向です。報道から受ける印象とは異なる内容もあったでしょう。インバウンド投資を考えているのであれば、今回挙げた政府資料は欠かさずチェックすることをお勧めします。

編集:QUICK Money World

 


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