再び動き始めたトルコリラ買い 「利下げ当面なし」の観測、市場不安やわらぐ

外国為替市場でトルコリラが戻り歩調を強めている。対円は1月31日に1リラ=21円台を回復し、およそ1カ月ぶりの高値を付けた。トルコ中央銀行が公表した四半期インフレ報告書をきっかけに、当面は利下げはないとの見方が広がった。米連邦準備理事会(FRB)が金利引き上げの姿勢を後退させていることも米ドル安を通じてリラの買い安心感につながっている。

トルコ中銀は1月30日に最新のインフレ報告書を発表し、2019年末のインフレ率見通しを14.6%とした。2018年10月時点の15.2%から下方修正し20年末のインフレ見通しも引き下げたが、市場関係者が注目したのは予想の前提が「引き締め的な政策スタンス」だった点だ。

トルコでは3月末、首都のアンカラや最大都市イスタンブールの市長などを選ぶ統一地方選を控える。市場では「エルドアン大統領が選挙前の景気刺激策として利下げを求め、中銀が応じるのではないか」との思惑が出ていたものの、インフレ報告書を受けて「中銀はテコでも動かないとの見方が強まった」(野村証券の中島将行・外国為替アナリスト)という。

中銀の「自信」の背景として、昨年夏から秋にかけてのリラ安がトルコ経済に好影響を及ぼし始めたことも見逃せない。トルコの文化観光省によると、18年の外国人旅行者数は過去最高となった。リラ急落でトルコ旅行の割安感が高まった。一時はブランド品を安く買おうとする企業の「トルコ詣で」が広がった。いずれにせよ外貨獲得が進めば、ドル建て債務の多いトルコのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)改善を促す。

しかも18年終盤から米金利の先高観が薄れ、「トルコショック」の一因にもなった米ドル高圧力が薄れている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが金利先物から算出する米国の金融政策予想「フェドウオッチ」によると、直近では19年は「利上げなし」が76%、「1回の利下げ」が17%。利上げを織り込む動きはしぼんでいる。高金利通貨であるリラには資金が流入しやすい。

米国株の変動性指数(VIX指数)は足元では2カ月ぶりの低さ。市場の不安心理は和らいでいる。高金利のリラが投資家の視線を集める条件は整ってきた。

〔日経QUICKニュース(NQN) 矢内純一〕

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