19億円の後始末いまも アルゼンチン債デフォルト問題、今月下旬に債権者集会

アルゼンチン債のデフォルト(債務不履行)。市場関係者の多くは既に忘れているかもしれないが、後始末はまだ終わっていない。アルゼンチン政府は今月下旬にも債権者集会を開き、過去に発行しデフォルトした円建て外債(サムライ債)のうち、未償還になっている一部について最終和解案を示す予定だ。国内の個人投資家を巻き込んだドタバタ劇の幕は果たして下ろせるのだろうか。

今回対象になるのは、1996年から2000年までに発行された4本のサムライ債だ(下表)。01年に財政破綻し、国内外の借金を計画通りに返せなくなったアルゼンチンは05年と10年の2度、債務再編のためにデフォルト債の保有者に対し、新たな国債と交換する「エクスチェンジ・オファー」を実施した。16年には和解の意向を表明し、遅延損害金込みで未償還元本の150%を支払うといった今回の議案と同内容で個別に和解協議を進めてきたが、債権者全員との合意に至っていない。

4本の未償還額はおよそ19億円と、1900億円強あった発行総額の1%程度まで減った。債権者の数は不明だが、数百人規模との見方が出ている。債券の管理会社である銀行とアルゼンチン政府はいまだ係争中で、遅延損害金などを含め未払い金の約180%ほどの支払いを求めているとみられる。残存元本が少額でも合意成立に向けたハードルは低くはない。

今回の債権者集会の開催には半数を超える債権者の出席が必要になる。どうにか開催にこぎ着け、参加者の3分の2以上の賛成を得られれば、ようやくすべての債権者と和解への道が開ける。議案が成立するとアルゼンチン政府は120日以内に債券管理会社に元本の150%に相当する額を支払い、債権者はその後2年間のうちに順次、管理会社からお金を受け取ることになる。

アルゼンチン債はサムライ債のほか主に欧州市場で流通するユーロ円債も含めれば、個人を中心に3万~4万人が投資したともいわれた人気商品だった。とりわけ日本では有利な利回りで運用可能な金融商品が少なく、有利に調達をしようとした発行体と、相対的に高い利回りを求める国内勢の思惑が一致。サムライ債の発行が急速に膨らんでいった経緯がある。

アルゼンチン債の発行当時の格付けは投機的等級のダブルB格で、投資に踏み切るにはかなり勇気がいる水準だったはず。それでも背に腹は代えられない――。運用難に苦しむ投資家がリスク覚悟で低格付け債を求め、損失をこうむる構図はいつでも起こり得る。アルゼンチン債の教訓を忘れてはならない。

〔日経QUICKニュース(NQN) 片岡奈美〕

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