18日の米国市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物が急落した。期近の1月限は一時1バレル=45.79ドルまで下げ、前日比で8.19%安となった。ロシアの12月の産油量が過去最高に達しているとの報道が重荷となったほか、米エネルギー情報局(EIA)が17日に発表したリポートで米国の12月の原油生産量が11月から増加し、1月にはさらに増える見通しが示されたことで米ロの供給懸念から売りが優勢だった。
中心限月の2月限は清算値ベースで2017年8月以来、1年4カ月ぶりの安値水準となり、原油版恐怖指数のOVXは14.51%高の53.35で急騰。著名金融ブログのゼロ・ヘッジはこの日のWTI原油先物の急落についていわゆるフラッシュ・クラッシュ気味の下げが2回あったとしつつ、市場関係者の指摘としてファンダメンタルズに基づかない急落だったと指摘していた。
オアンダは18日に投資家向けメモで、「投資家は石油輸出国機構(OPEC)諸国が国内要因で増産を行わなければならないことを理解しており、最近、欧州の小売セクターで年末商戦に懸念が出ていることも原油市場の重しになっている」と指摘。WTIだけでなく、ブレント原油も2017年10月以来の水準で軟調に取引されている現状に着目し、グローバルな景気減速懸念が響いているとみていた。その上で「WTIの価格とS&P500指数が強い相関関係を反映していることから、OPECに関するヘッドラインでリスクに対して強い相関性を持ちながら取引される可能性が高い」と指摘。原油安・米株安の展開が相乗効果で強まる恐れを懸念していた。(片平正ニ)
★S&P500指数(青)とWTI(緑)の推移
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