Gone with the wrong  剛腕、カネとともに去りぬ またも正念場の日産

東京地検特捜部が19日、ルノー・日産自動車・三菱自動車の会長を兼務するカルロス・ゴーン容疑者(64)を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕した。報酬を約50億円過少申告した疑いだという。19日のパリ市場でルノー株は一時55ユーロを割り込み、下落率が15%を超えた。これは2014年10月以来およそ4年ぶりの安値。終値は8.43%安の59.06だった。

JPモルガン証券などで自動車アナリストとして長い経験を持つナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は20日朝のテレビ東京・モーニングサテライトに出演し、「ゴーンさんに権限が集中したのが一番の原因。ゴーンさんは仏政府が進める日産自とルノーの統合を押し返そうとしたが、それは自身の権限を維持するためのもの。今後はゴーンさんが居なくなってゼロベースで日産自は仏政府に交渉すべきで、日産自の交渉力は上がる。日産自は厳しいが、経営を立て直せば株価は上がる。まずは日産自とルノーの交渉次第となるため、三菱自については流動的でしょう」との見解を示していた。短期的に日産自には厳しい展開が予想されるが、長期的には立て直しのチャンスとみていた。

19日付の各社のリポートでは、投資判断を据え置きつつも影響を警戒する指摘が多く見られた。野村証券は投資判断の買い、目標株価1200円を維持した。ゴーン会長とグレッグ・ケリー代表取締役が不正に深く関与していることが明らかになったことを踏まえ、「仮に両名の職が解かれれば、同社の代表取締役3名のうち2名が解任されることとなり異例の事態と言える」としながら、3社のアライアンスの先行きに「不透明感が生まれたとは言えよう」と指摘。ただ、「西川社長以下、日産自の経営陣によって既に実務面での運営がなされている点に鑑みれば、日産自の実務面への影響は比較的小さいとみられる」と見込んでいた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は「今回の件が日産自の信用に与える影響は甚大と考える」としながら、「両氏が同社の経営に与えた損害の全容解明、有価証券報告書の修正内容、氏が代表取締役や近々発足するであろう新経営陣の発言などに注目したい」と指摘した。

JPモルガン証券は「実質的にゴーン会長が現在3社アライアンスを実質的に統括してきた事実を考えれば、今回の一件が3社アライアンスの今後に少なからず影響を与える可能性があると考えるべきであろう」と指摘した。

市場からは「日産自としてはゴーン氏の不正を調査していたのだから、入念に準備していたのだろう。コストカットの一環、日産自にとっては良かったと思う」(市場関係者)との声が出ていた。経営トップの不正を受けてJPX日経400の指数入替の際には除外される可能性が高まりそうだが、自動車業界を取り巻く環境が以前の経営危機時と比べて激変する中、日産自としてはアライアンスの仕切り直しのチャンスを迎えたとも言えそう。ルノーとの提携をご破算にして中小メーカーに戻る公算は小さく、ルノーへの配当を下げるなど災い転じて福となるのか今後の交渉が関心を集めそうだ。(片平正二)

※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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