「親」か「子」か 「孫」が仕掛ける2兆6000億円のドラマ ソフトバンク12月上場

過去最大級のIPOとして注目が集まるソフトバンクグループ(SBG、9984)の通信子会社のソフトバンク(9434)。市場では早くも需給面を警戒する声がある。

「売り出し総額はおおむね想定通りの額だが、需給の観点からすると決して良い話ではない」――ある市場関係者はこうつぶやく。ソフトバンクの想定売り出し価格から試算される時価総額は7兆円を超える。市場からの資金吸収額は最大2兆6000億円にのぼる計算だ。

※孫正義ソフトバンクG会長兼社長。写真は同社提供の過去の決算説明会動画から

当初売り出しの約89%が国内分の割り当てとなり、海外分はおよそ11%。国内分の多くが個人投資家向けとされる。ある投資信託の幹部は「国内機関投資家の割り当て分は2.5%程度で600億円ほどしかない」という。

2兆を超える資金を残り1カ月で市場から吸収する。魅力としては配当の高さだろう。ソフトバンクは上場に関する資料のなかで連結配当性向85%程度を目安と掲げる。今期は上場期間を考慮して1株当たり配当は37円50銭とするが、通期で倍と試算して想定売り出し価格(1500円)から計算すると配当利回りは5%となる。

先の市場関係者は「高配当利回りとして投信への組み入れ期待は強まるだろう」と指摘する。とはいえ「多くの資金を個人投資家から集めるとなると、新興市場や個人投資家の持ち株比率の高い銘柄には短期的に売り圧力が強まる可能性は否定できない」とみる。

12日の市場では個人投資家の持ち株比率が比較的高く、年初来大きく株価水準を切り上げていたリソー教育(4714)が大きく下落し、「ソフトバンク上場に伴う換金売りもあるのではないか」(国内証券)との声も出ていた。

国内投信幹部は上場資料目を通しながら「機関投資家への割り当て株数の少なさもあるがうちでは申し込まないだろう」とも話していた。高配当という観点でソフトバンクを組み入れる必要はないという。

バーンスタイン・リサーチは13日付のリポートで「むしろグループを保有したい」との見解を示した。ソフトバンクの時価総額や売り出し規模について「9月時点の純負債が3兆700億円だったことを踏まえれば企業価値(EV)は10兆2500億円で当社の予測より60%のプレミアムが付いている」と指摘。ソフトバンクのEVと税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加算したEBITDAとの倍率は8.2倍だとし、「NTTドコモ(9437)は5.5倍、KDDI(9433)は4.4倍だった」と、ソフトバンクのEV/EBITDA倍率の高さに懸念を指摘した。

そのうえで「金融技術に感心するが、最初のインプレッションは買い手でではなく、売り手を保有することだ」と締めくくり、ソフトバンクよりはソフトバンクGに妙味あるとした。ソフトバンクGの投資判断アウトパフォーム、目標株価1万3500円を維持していた。(中山桂一、片平正ニ)

※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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