米中対立で甦る「ココム」の亡霊? 日米ハイテク業界に株安の黒い雲

米国と中国の対立が貿易から安全保障へと広がり、投資家が神経をとがらせている。あおりを受けた米IT(情報技術)大手の株価は先週後半以降、大きく水準を切り下げ、日本のハイテク株にも余波が及んでいる。米中対立の度がさらに深まれば、世界の株式市場への悪影響が大きくなるとの不安が広がっている。

「対中貿易制裁の次の米国の標的は欧州連合(EU)や日本を巻き込んだ『ココム規制』の復活ではないか」。先月、複数の米シンクタンクの研究員と意見交換したパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの宮島秀直氏はこう読む。

ココムとは対共産圏輸出統制委員会と呼ばれ、旧ソ連や中国など共産諸国向けの戦略物資の輸出禁止を目的に発足した国際機関を指す。冷戦時代の象徴の一つで日米欧の17カ国が加盟していたが1994年に解散した。

宮島氏の分析の背景にはITを経由した情報漏えいや選挙介入に対する与野党の垣根を越えた米国内での危機感の高まりがある。

先週4日には「アップルなど約30の米企業が中国製の特殊な半導体が組み込まれたサーバーを経由して情報流出の脅威にさらされている」と米ブルームバーグ通信が報道。IT大手の株価が売られ、QUICK・ファクトセットによれば代表的なGAFA(グーグル=アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)と呼ばれる4銘柄の時価総額は4日から8日までに約1370億ドル(4%、約15兆円)減少した。

足元でGAFA銘柄の下げが目立つ

中国製「スパイ半導体」と呼ばれる問題だが、ハッキングの疑いの発端は15年だ。それがこの時期に大きく取り上げられたのは、米議会中間選挙前というタイミングもあるが、米国の世論がIT企業のプライバシー対策に神経質になっている証拠と受け取れる。

「ココム復活」となれば日本への影響も小さくない。内閣府によれば17年の日本から中国への輸出総額1658億ドル(約19兆円)の4割はIC(集積回路)や半導体製造装置、産業用ロボットなどハイテク製品だ。5日以降、9日までに東京エレクトロンは約8%、SUMCOは13%下げる場面があった。

「仮にココム復活は回避されたとしても、中国経由で米国にハイテク製品を輸出する日本企業は検査などのコスト負担が増加する」(第一生命経済研究所の桂畑誠治氏)。市場ではこんな見方も浮上している。

【日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 永井洋一】

 

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