通貨安、スウェーデンにも 政治の季節の欧州にポピュリズム懸念

外国為替市場でスウェーデンの通貨クローナが9年ぶり安値圏で低迷している。対ユーロは8月下旬に1ユーロ=10クローナ台後半と2009年7月以来のユーロ高・クローナ安水準を付けた後、戻りらしい戻りがない。9日投開票のスウェーデン総選挙では反移民を掲げる極右政党が躍進する可能性が高い。イタリアなどで生じたポピュリズム(大衆迎合主義)の波が北欧にも広がるとの警戒感から先回りしたクローナ売りが続いているようだ。

スウェーデンの議会は任期4年で定数は349。前回2014年の議会選では第1党が社会民主労働党(113議席)、第2党が穏健党(83議席)で、第3党に反移民を掲げる極右・民主党(42議席)が続いていた。二大政党の社民党や穏健党の支持が縮小する中、市場参加者の多くは「今回の選挙は民主党が第1党になる確率が非常に高い」(ナットウエスト・マーケッツ証券の剣崎仁氏)とみている。

民主党のオーケソン党首は移民反対を掲げる。総選挙の後にEU離脱の是非を問う国民投票の実施を公言するなど穏やかではない。欧州議会が実施した調査でスウェーデン国民がEU市民だと感じる割合は現在8割近く、仮に民主党が第1党となっても国民投票の実施に向けたハードルは高いが、オーケソン氏がすぐに宗旨を替える公算は小さい。政権発足には時間がかかりそうで、「最終的に脆弱で不安定な政権になる恐れがある」(剣崎氏)。

政治の先行き不透明感はスウェーデンの金融政策にも影を落とす。中央銀リクスバンクは6日、金融政策委員会の結果を発表。政策金利の見通しについて前回までの「ゆっくりした利上げを年末に向けて始める」から「10月は据え置き、12月か19年2月に0.25%引き上げる」に変更した。年内利上げのシナリオがだいぶ怪しくなり、投機的なクローナ売りを促した面がある。

ユーロ圏では10月、主要国ドイツのバイエルン州で州議会選挙を控える。バイエルン州はメルケル首相と難民問題を巡り対立したキリスト教社会同盟(CSU)の地元だ。来年5月には欧州議会の選挙も予定される。この過程で反移民勢力が拡大すれば「移民や難民問題を巡るEUの運営方針へ影響を与えかねない」(第一生命経済研究所の田中理主席エコノミスト)。ポピュリズム懸念はスウェーデンからユーロ圏に回帰するかもしれない。

イタリアの財政問題は簡単には解消されそうにない。スウェーデン総選挙がEU全体への不安を誘い、「クローナ安」から「ユーロ安」に波及していく可能性も想定すべきだろう。

【日経QUICKニュース(NQN ) 菊池亜矢】

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