トランプ大統領によるドル高けん制(トランプ砲)が日増しに激しくなっている。先週末20日にツイッターで、「中国とEU、その他の国は為替操作と低金利政策を続けてきた。過去、米国が利上げを行い、ドルは強くなっている。米国が競技を行える状況では無い」とつぶやき、中国の元安などを名指しで批判したことでドル高に対する警戒感が台頭。この日のドル指数(DXY)は4日ぶりに大幅反落し、0.72%安の94.48で終えた。
ドルはオフショア人民元に対しても売られ、1ドル=6.76元台へとドル安元高が進んだ。さらに、週明け23日の為替市場でドル円は一時、110円台まで下げ、20日のNY安値(111円38銭)を下回った。
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が21日に開幕したが、国際協調が期待できる状況ではない。スティーブン・ムニューシン財務長官は21日、「為替操作の結果なのか市場力学によるものなのか注意深くみている」と述べ、中国の元安について注視する姿勢を表明した。トランプ政権内の数少ない自由貿易派であるムニューシン長官からもトランプ大統領と歩調を併せる「タカ派」発言が出ており、秋の中間選挙を控えて米国が保護主義路線を強める傾向にマーケットは付き合わざるを得ない。(片平正ニ)
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