6月29日に発表された5月の米個人消費支出(PCE)統計は、米連邦準備理事会(FRB)が重視するPCE物価指数(グラフ水色)が前年同月比2.3%上昇し、4月の2.0%から伸び幅を拡大した。FRBが目標とする2%を上回ったまま、FRBの利上げ継続および利上げペースの加速観測を正当化するように見えるかもしれない。
しかし、米10年債利回りに先行性があるのであれば、PCEの上昇は続かない。BEI(期待インフレ率、グラフ緑)も物価の伸び悩みを想定している。長短スプレッド(2-10年の利回り較差、グラフピンク)は、もっと悲観的だ。これまでの政策金利(FF Target Rate)の引き上げペースが速すぎて景気を「殺してしまう」ことさえも織り込もうとしているように見える。(丹下智博)
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