有名作家の作品を通じてアート市場の今を読み解く本コラムの2回目は、海外市場において人気を博している現代アートの巨匠、アンディ・ウォーホル(1928~87年)。5月17日、マレットジャパンのアートオークションにおいて取引された彼の作品の動向を紹介する。
マレットオークションセール
出品数229点、うち落札数164点 落札率=71.6% 落札総額=1億7892万5000円
(5月17日 マレットジャパンオークションハウス)
ウォーホルはアメリカの代表的なポップアーティスト(大量生産・大量消費の大衆文化を主題としている)で、著名人や商品、コミックヒーローなどをモチーフに多くの作品を手掛け、著名人ではマリリン・モンロー、ミック・ジャガー、毛沢東などが有名。商品ではキャンベルのスープ缶の作品といえば誰もが一度は目にしたことがあるのではないだろうか。シルクスクリーンによって制作された作品は世界の各オークションハウスで多数が取引されており、没後30年を経過しても今なお人気が高い。国内での流通価格は100万円未満のものから高額なものでは1500万~2000万円の作品まで落札価格帯の幅は広いが、ここ数年それぞれのモチーフにおいても価格は安定して高値で取引されている。
今回のマレットジャパンのセールでは、シルクスクリーン作品7点が出品された。1969年制作の「キャンベルスープⅡ」では落札予想価格が200万~300万円のところ330万円で落札。1975年制作の「ミック・ジャガー」は300万~400万円の落札予想価格のところ540万円で落札された。1964年制作の「フラワー」は落札予想価格100万~150万円に対して220万円で落札。コミックヒーローをモチーフにしたものでは1975年制作の「スーパーマン」が出品され、落札予想価格1000万~1500万円のところ1850万円で落札と、出品された7点すべてが落札予想価格の上限を超えての落札となっており、日本でのウォーホルの変わらぬ人気の高さをうかがわせた。
ウォーホルの作品は、没後30年の時を経ても値崩れすることなく安定した価格で取引されている。鑑賞用としてはもちろんのこと、資産として絵画を購入する方にとっても比較的安心して保有できる銘柄ではなかろうか。(月1回配信します)
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