日銀が金融調節運営を解説する「2017年度の金融市場調節」のリポートを発表した。2017年度の日銀の実際の国債買い入れ額は「49兆円」と、方針として掲げている「80兆円をめど」から大きく下方に乖離(かいり)していることがあらためて確認できる。
「日本銀行の国債保有比率の上昇と国債買入れ額」の題したリポート内のコラム(BOX8)では、国債発行残高に対する日銀の保有比率が40%を超える水準となり、この「ストック効果」で金利の下押し効果がしっかりと働いていると強調。今後についても「市場動向に応じて長期国債の買入れ額を柔軟の調整していく考えである」としている。
■日銀のバランスシートと国債買い入れに関するコラム(「2017年の金融市場調節」から)
市場関係者がリポートを読めば「近い決定会合で80兆円をめどという文言が削除される可能性が高まった」という印象を抱くかもしれない。ただ、海外要因による日本経済の下振れリスクが高まっているなか、この文言が削除されたとしても金利は上がりにくいというのが多数派の見方となりそうだ。外国為替市場でさえも、これだけで円を売るという動きにはつながらないだろう。(丹下智博 )
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