23日夜(日本時間24日未明)、イタリアのマッタレッラ大統領は次期首相にジュセッペ・コンテ氏を指名した。同氏を首相候補に推薦したポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と極右「同盟」による連立政権が近く発足し、3月4日の総選挙から2カ月半以上という異例の長期間に及んだ政治空白に終止符が打たれることとなる。同氏は五つ星のディ・マイオ党首に近く、行政改革の助言などを担っているとされるものの、政治経験はなく、政権運営の手段は未知数だ。イタリア国債利回りは、やや上昇幅を縮めたようだが、2.4%台で取引を終えている。米独金利が大幅低下したことで、米国債や独国債とイタリア国債のスプレッドは拡大した。
イタリア国債は5月半ばから大きく売り込まれている。新連立政権の政策合意の草案に、ECBが保有するイタリア国債の債務減免要求は、EU予算の分担見直しなどが盛り込まれたと一部メディアで報じられたことがきっかけとされる。正式合意からは削られたものの、反EUや反ユーロの姿勢(EU離脱)への警戒感が続いている。
銀行株の下落も目立つようになってきた。中でも大手銀モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナへの関心が高まっている。同行は不良債権問題から経営不安が強まった過去がある。
再建が進展しているようだったが、新政権の誕生が投資家を不安に与えている。銀行監督に関する政策がモンテ・パスキの将来にネガティブに働く可能性があるようだ。既に同行のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は上昇基調にある。
(丹下智博、岩切清司)
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