小売業を主体とする2月期決算銘柄の決算発表が本格化しているが、製造業などが多数該当する3月期決算は4月下旬からスタートのため少々時間がある。ただ、主力企業の決算発表の前哨戦として注目を集める安川電機(6506)の決算発表が例年以上に早いことに留意したい。安川電機は2016年度までは3月期決算銘柄(決算期は3月20日)として、主力の国際優良企業よりも数日早く決算を発表していたのだが、2017年度から決算期を2月末としたことで、本決算の発表が例年よりも2週間近く早い4月12日となった。
同社株に関しては、1月23日に発表した3Q決算が好調ながら通期予想の上方修正が見送られたことなどが嫌気され、決算発表翌日に商いを伴って売られると、その後は下値模索の展開を余儀なくされた。奇しくも1月23日は日経平均が年初来高値を更新した日であり、その後の米国株の急落などが相俟って日本株は調整を余儀なくされたが、安川電機の3Q決算発表から相場全体の調整が始まったとの見方もあるだけに、今回の本決算が相場転換の契機になるかに注目する向きは多い。
【安川電機と日経平均の年初来の株価推移】
(注)4月10日の株価は前場の終値
焦点は、安川電機が2019年2月期の想定為替レートをどの水準に設定するのか、それを踏まえて今期見通しをどの程度見込むかだろう。日銀が4月2日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の18年度通期の想定為替レートは1ドル=109円66銭だった。ただ3月には一時1ドル=105円割れの場面もあるなど、円高警戒感は強い。そのため、想定レートを1ドル=110円、105円、100円のいずれに設定するかで利益予想は振れそうだ。アナリスト予想の平均であるQUICKコンセンサス(16社平均)で、今期の営業利益は690億円が見込まれている。
投資評価を「中立」としているみずほ証券では、安川電機の為替感応度(1円変動の年間営業利益影響)は2~3億円程度と試算している。決算期変更の影響で単純比較はできないとしながらも、主要顧客である半導体製造装置向け等で主力のACサーボは好調に推移し、太陽光用パワコンなどシステム事業の低迷を吸収し増益基調が続くと予想。今2019年2月期営業利益予想は、1ドル=110円前提で690億円と予想した。
4月3日付で新規「Buy」としてカバレッジを開始したドイツ証券では、為替前提が1ドル=105円でも、順調な利益成長を見込む 堅調な事業成長を背景に同社の事業は引き続き高い成長を続けられ、今2019年2月期の営業利益を689億円と見込む。
一方、投資評価を「アンダーウエイト」に設定しているモルガンスタンレーMUFG証券では、今2019年2月期の会社側ガイダンスは為替影響を除くベースで、ACサーボが前年比横ばい、インバータが同横ばい又は微増益、ロボットが同横ばい又は微増益、システムエンジニアリングが増益(パワコン事業の赤字縮小含む)との方向性が打ち出されると予想。今期営業利益ガイダンス水準は為替前提に左右されるとみて、①1ドル=100円前提ならば550~570億円、②1ドル=105円前提ならば570~590億円と見込む。
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