顧客の7割が20~30代…スマホ証券の先駆け「One Tap BUY」林社長に聞く

スマートフォンでの証券取引にフィンテックベンチャーが相次いで参入している。Finatext(フィナテキスト)は大和証券グループと共同でスマホ証券会社を設立すると発表。FOLIO(フォリオ)はスマホ向け対話アプリのLINEと資本業務提携し、LINEアプリ上での投資サービスの提供を計画している。

注目のスマホ証券分野で先陣を切ったベンチャーが、「1000円からの少額投資」を売りにするOne Tap BUY(ワンタップバイ)だ。正式サービスの稼働実績を積み上げており、2017年第2四半期(7~9月)の新規口座開設数は約3万2000口座と、ネット証券大手に匹敵する開設ペースを実現している。同社の林和人社長に現状と今後について語ってもらった。

はやし・かずと 1964年大阪生まれ。岡三証券、香港現地証券を経て、香港でインターネット証券会社を起業。2002年には日本初の外国株専業ネット証券を創業した(12年に欧米系証券と経営統合し退職)。2013年にスマホ特化型証券会社のOne Tap BUYを創業。

■顧客の7割が20~30代、投資未経験者も7~8割

――2016年6月に「スマホ証券会社」として業務を始めて1年半以上経過しましたが、状況はどうですか。

「口座数は10万の大台を超え、順調に増え続けている。お客様の7割が20~30才代、また投資未経験者も7~8割と、既存の証券会社がアプローチできていなかった新しい市場を開拓できている」

「顧客層は長期投資家というよりは、FXや仮想通貨の投資家層と重なっている。かといってお客様の投資スタイルは短期投資ではなく、無くなっても困らないお金を株で置きっぱなしにしているという感じだ。もちろんデイトレーダーがいないわけではなく、1000円単位で1日300回トレードしている20才代女性のお客さんもいる」

――既存の証券会社が苦戦している若年層を開拓できた秘訣は何でしょうか。

「少額投資と分かりやすさの二つがポイントだ。若年層は投資をしようにも、タネ銭、つまり元手が無い。東証1部上場株の単元株価(最低投資金額)の平均はだいたい30万円くらいで、十分な貯蓄の無い若年層では手を出しづらい」

「分かりやすさで言えば、東証1部だけで2000銘柄ある中で何を買えばいいのか分からない、という状況を変えた。社内で数か月かけて財務面等のスクリーニングを実施し、選んだ日米株60銘柄(ETFを含めれば66銘柄)を購入対象としている」

――アプリもシンプルで、株価チャート機能がありません。

「昔はチャートは本や手書きで見るもので、QUICK端末でも価格しか表示されていなかった。パソコンでチャートを当たり前に見ることができるようになったのは1990年代半ば以降かな。チャートが無くても良い銘柄を買うというのは、別におかしな行為ではない」

■仮想通貨は「育てるべき市場」

――お話を聞いていると仮想通貨の取り扱いニーズもありそうですが。

「あると思うし、個人的にはやろうと思っている。一方で、我々は法定通貨と金融証券取引法に裏付けされた商品を扱う証券業者であるため、その信用を損なうような行動はできない」

「実は2014年頃から個人でマイニングをやっていたので土地勘はある。仮想通貨は育てなければならない市場だと考えている」

――スマホ証券のライバルも増えつつあるのではないでしょうか。

「確かに最近、色々と話が出てきているが、正式サービスが世に出ていないところが多いのでコメントしようがない。あえて言えば、実績と技術力に自信がある。我々は、まずしっかりサービスを作り、第一種金融商品取引業を取り、業界団体に加入し…と、2年かけて準備した。サービス開発は上流からコーディングまで全て内製で、関連特許も8つ取得している」

――今後についてはどうお考えですか。

「銀行とは色々な協力ができると思っている。長く証券業界にいて感じるのは、物を買うお金と株を買うお金は、結びつかない別物ということだ。株を買うお金は、預金のような余って動かないお金。その考えから、預金口座残高があれば送金せずに株が買える『おいたまま買付』サービスを始めた。今ではこのサービスが全入金の約3割を占めている」

「今後も株式投資を分かりやすく、当たり前のものにするという方向性で、業界の先駆けとなるつもりだ。来年度も、詳細は言えないが、もっと分かりやすく、証券投資のすそ野を広げるような新サービスのリリースを計画している」

【聞き手はQUICKイノベーション本部 吉田晃宗】

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