債券市場、気になる「出口」の入口 金利目標修正の意味は? 黒田総裁きょう会見 

9日の日銀金融政策決定会合は現状維持がコンセンサスだ。2日の黒田東彦総裁の発言を受けた市場の混乱は収まっており、15時半の会見もあまり材料視されないだろう。一方、日本時間夜に発表される2月の米雇用統計は注目。時間当たり賃金の伸び率次第で米金利が上下どちらにも振れる可能性がある。重要イベントを前に、9日の債券相場は模様眺めの展開になりそうだ。

8日の債券相場は先物の値幅がわずか5銭と小動きだった。翌日に日銀金融政策と米雇用統計を控え、様子見ムードが強かった。

焦点は米雇用統計における賃金の伸び率。2月の米金利の上昇加速は、2月2日発表の1月の米雇用統計の賃金上昇率の上振れが起点だった。2月14日発表の米消費者物価指数(CPI)の伸び率も予想を上回り、米10年債利回りは一時2.95%(2月21日)まで上昇した。その後は2.8%台後半を中心にもみ合っているが、米国のインフレ予想を示す「ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)」は高止まりしており、インフレ懸念はくすぶったままだ。

QUICK FactSet Workstationによると、2月の時間当たり賃金の上昇率は前年比2.8%と1月の2.9%から鈍化する見込み。予想通りなら、金利上昇圧力はいったん収まり、13日のCPI待ちになるかもしれない。一方、予想外に強い数値が出れば、米金利は3%を目指す展開となり、株式市場などに影響を与える可能性がある。

現体制で最後の日銀金融政策決定会合では、新たな政策が打ち出されることはないだろう。2日の黒田総裁の所信聴取は「19年度ごろに出口を検討していることは間違いない」との発言が伝わり、市場は混乱したが、その後は「18年度頃に具体的な議論をして出口を探ることになるとは考えていない」(黒田総裁)との認識が浸透している。9日の記者会見で相場が動くような話は出てこないだろう。

では「出口」とは何か。「10年金利の操作目標0%の修正」は「出口」にあたるのか。

10年金利を0%程度に誘導するイールドカーブ・コントロール(YCC)の枠組みのなかで、金利の操作目標を修正することは可能だ。黒田総裁も講演などで、経済・物価・金融情勢の変化に応じて「操作目標を考えていくことになる」と述べている。

しかし、前週末からの議論では「18年度中は10年0%の目標は修正しない」というトーンで受け止めている向きも多く、モヤモヤしている市場関係者は少なくない。

円高懸念がある状況で操作目標を変更することはないだろう。足元の市場認識で修正すれば、マーケットは混乱する。この意味では修正は「事実上の出口」(銀行)なのかもしれない。とすると円高圧力が消えれば、マーケットとのコミュニケーションを図りつつ、目標修正を行う可能性もあるはずだ。

野村証券の松沢中氏はレポートで「今後記者会見等では『緩和出口はいつか』という議論に拘泥する前に、まず『10年金利目標変更』が『緩和出口』の一部なのか否かを明確にしなければならない」と述べている。

別のストラテジストも「日銀としては政策の自由度を確保するために曖昧にしておきたいのだろう。質問する記者も、日銀のことを相当理解したうえで、明確な回答を引き出す質問をする必要があり、かなり難しい」と述べていた。その辺りの駆け引きが、9日の総裁会見の見どころなのかもしれない。

※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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