参院議院運営委員会は7日午後、政府が日銀の次期副総裁候補として提示した若田部昌澄・早大教授と雨宮正佳・日銀理事から所信を聴取した。若田部氏は日本経済のデフレ脱却を判断する条件として「2%以上の物価上昇率が2年間持続すること」を掲げた。今後取りうる金融政策については国債購入以外の選択肢もあると主張した。
若田部、雨宮の両氏は衆参両院の同意を得られれば、20日に副総裁に就任し、4月26~27日の金融政策決定会合から議論に参加する見通し。黒田東彦総裁は4月9日から2期目に入る。
<若田部氏の主な発言>
▽財政再建
「経済の再生なくて財政が再建することはあり得ない。経済が疲弊しているなかで増税しても税収は上げることは難しい」
「(プライマリーバランスの黒字化)急ぐべきではない」
「(金融に財政などを合わせた)さまざまな政策のバランスのとれた連携が必要だ」
▽デフレ脱却の判断
「(物価上昇率)2%以上が2年間持続することだ」「日程に縛られずデータに基づく判断も必要だ」
「デフレは長く続いているため、ここからインフレに持っていくのは難事業だ」
「(デフレを脱却できなかった原因)マクロ経済政策の対応にまずさがあった」
「(政府と日銀が)マクロ政策の対応をきちんとすれば、デフレから脱却できる」
▽今後の金融政策
「国債を買うことだけが選択肢ではない」
「理論的に金融政策には限界がないが、そのときの経済情勢などによって実務的には制約もある」
「制度的な制約なども考慮して政策を考えたい」
<雨宮氏の主な発言>
▽金融緩和の出口戦略
「重要なのは市場とのコミュニケーションだ」
「出口に向けた手段はある」
「出口においては拡大したバランスシートの正常化と、政策金利の引き上げの2つが論点になる」
「出口の手段はあるが、どのような手段をどういった組み合わせでやるかは、その時々の経済・物価情勢によって変わる」
「そのときの経済成長率、需給ギャップの影響、人々の物価観など総合的に判断する必要がある」
▽現行の金融緩和
「物価上昇率が2%で安定的に続くまで続ける」「安定的にという部分の見極めだ」
▽マイナス金利の深掘り
「技術的には可能だが、効果と副作用の比較で判断する必要がある」
【日経QUICKニュース(NQN)後藤宏光、鈴木孝太朗、片野哲也】
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