衆院議院運営委員会は5日午後、政府が日銀の次期副総裁候補として提示した若田部昌澄・早大教授と雨宮正佳日銀理事から所信を聴取した。若田部氏は「研究を金融政策に生かし、全力で職務を全うしたい」と述べた。雨宮氏は「これまでの経験と知見を生かして、全力で総裁を支えて参る所存だ」と話した。
市場が特に注目したのは、「リフレ派」の学者枠として副総裁候補となった若田部氏の所信。「必要であるなら追加緩和を提案する」などの発言を受け、5日の東京市場では日経平均先物が下げ渋る場面もあった。以下、若田部氏、雨宮氏の主な発言をまとめた。
<若田部氏の主な発言>
▽金融政策
「これまで5年のスタンス・レジームを継続する」
「(現行の緩和策)メリットのほうがはるかに大きい」
「一般論として、リスクが顕在化する可能性がないとはいえない」
「必要であるなら追加緩和を提案する」「(現行政策の)メニュー改善と強化が第一の検討課題になる」
「経済学者としての立場から申し上げれば、金融政策には限界がない」
「(2%の物価目標)達成が難しいなら追加の緩和策を考えざるを得ない」
「(日銀は長期国債の4割保有)考え方によっては6割は(市場に)残っている。国債以外にも多様なものがある」
「緩和ありきで議論しているわけではない」
「(国債購入)あくまで物価安定2%を達成するための手段」「(政府の)財政悪化を防ぐためではない」
▽緩和の出口
「デフレから完全脱却する前に出口政策をとることは避けるべきだ」
「(デフレ脱却の条件)政府と日銀の協力が欠かせない」
「適切なイメージ共有する必要がある」
「2%の物価安定目標を達成する前に出口戦略の発動はあり得ない」
<雨宮氏の主な発言>
▽国内の物価動向
「持続的に下落する意味でデフレという状況ではない」
「(デフレ脱却不完全)物価安定という日銀の責務を踏まえると日銀にも責任はあった」
「経済、物価は複雑で、単純にある(特定の)政策だけで解決できるわけではない」
▽現行の金融緩和策
「副作用や将来の出口など課題は多岐にわたる」
「副作用はあるが、全体として効果が上回っている」
「(2%の物価目標)長い目でみると為替市場や企業経営、ひいては金融市場の安定につながる」
「あくまで緩和的な金融環境を作るためで、(日銀が政府債務を引き受ける)財政ファイナンスを意図していない」
「金融緩和の副作用と効果については注意深く点検していく」
▽緩和の出口
「市場の安定を確保しながら調整することは技術的には十分に可能だ」
「(政策手段を)どういう順番で使うかはそのときの金融、経済状況による」
【日経QUICKニュース(NQN) 蔭山道子、後藤宏光、鈴木孝太朗】
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