通貨安競争は避けられた? 日本株、関心集める巨大バスケット取引

日本市場から安堵の声が聞こえてきそうだ。トランプ米大統領は25日に米CNBCのインタビューでドルに対し以下の見解を示した。

・ドルは一段と強くなる
 ・強いドルを望む
 ・ムニューシン米財務長官の発言は誤って解釈された

発言が伝わると外国為替市場では一転してドル買い・円売りとなり、円相場は1ドル=108円台半ばから109円台後半まで一気に1円幅も戻す展開を見せた。

同日に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が理事会後の記者会見で、先日のムニューシン米財務長官のドル安容認発言をけん制。政策当局者のさや当てが続くものの「ガチンコ」の通貨安競争へなだれ込む最悪シナリオはひとまず回避された。

それでもトランプ政権が中間選挙を控えドル安を選好する懸念を完全に拭うことはできないだろう。ある外資系証券の幹部は「投資家は短期的にドル安方向へ目線を向けたままにある」と話す。米景気は順調に拡大し米連邦準備理事会も引き続き政策金利を引き上げる基調に変わりはない。米長期金利に上昇圧力がかかっているにもかかわらず強まるドル安。短期的なモメンタムが出てしまったことで、プレーヤーは目先、流れに乗るしかないのだろう。

これまで日本国内では個人投資家が円高局面でドルへの押し目買いを入れてきた。前週は買い建玉も増えた。ストップロスをシカケにいくような展開はまだ残っているか。

円高を材料にした日本株の売り圧力はトランプ発言でいったんは弱まりそう。そもそも最近になって売られているのは日本株だけではない。足元でファナック(6954)の下げが目立つが、年初からの上昇はもっと目立っていた。アジア市場に目を移せば右肩上がりだった中国のテンセントも昨日まで続落した。利益確定売りという言葉は自然体で使える状況。投資環境が一変したわけではなく、過度な警戒は無用と言えそう。

一部の市場関係者の間で関心を集めるのが取引所外で執行される巨大なバスケット取引だ。25日も継続し、前場中に500億円超の取引が確認された。1月中旬から始まった一連の取引では寄り値で執行される点が共通項として浮上している。取引の背景にはゆうちょ銀行が保有株のアクティブ化を進めているとの観測が流れるものの、ここにきて「新説」も出てきた。

注目されるのが米市場に上場する日本株の上場投資信託(ETF)。QUICK FactSet WorkstationのデータではMSCIの日本株ETFの口数は11月上旬を起点に再び増加。直近までに16%。年明け以降も順調に増大している。対照的にほかの日本株ETFは軒並みAUM(運用資産残高)を減らしている。

MSCIの日本株ETF口数は増加基調をたどる

取引量とETFのAUM増減額がきれいに釣り合わないため、単に右から左へ株券が流れているとは言えないが「ETF間で何らかの動きが出ているのかもしれない。同時に別のファンド設定に絡んでいる可能性もある。この類の取引が発生する場面ではよく米系証券が利用されるけれどね」(関係者)との指摘があった。

円相場に目を奪われがちだが、取引所の外では粛々と国内上場モノのETFで数百億円単位の取引も続いている。需給はどちらに向いているのか。長期的な視点の相場観も必要な局面と言える。

(QUICKデリバティブズコメント)

※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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