いま注目の米国株、スクエアとは? スマホ決済で成長 ビットコインにも参入か

2017年の米株式市場で注目を集めた銘柄の一つといえば、電子決済サービスのスクエアだ。同社のサービスを通じてビットコインの売買が試験的に開始されたことが材料視されたほか、足元の業績改善が追い風となり、株価は11月24日に年初来高値49ドルを付けた。先週末22日の株価は35ドル台に反落しているが、年初からの上昇率は約2.6倍とダウ工業株30種平均の25%上昇や、ナスダック総合指数の29%上昇を大きくアウトパフォームしている。同社の主力事業やビットコインビジネスの将来性について探った。

スクエアの年初来の株価推移(2016年末を100として指数化)

スクエアチャート直近

※青:スクエア、グレー:ナスダック総合株価指数、黄:ダウ工業株30種平均

ツイッターのCEOとガラス工芸家が共同で創業

スクエアは会長兼最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシー氏と、エンジニアでガラス工芸家でもあるジム・マッケルビー氏が2009年に共同で立ち上げた。ドーシー氏はツイッターのCEOでもある。創業のきっかけは、スマートフォン(スマホ)を通じた両者の会話だった。マッケルビー氏が自身で作成したガラス製の蛇口を販売する際、クレジットカードの対応をしていなかったため、販売の機会を損失してしまったことをドーシー氏に伝えたところ、スマホを活用できないか、という話になったという。その後はカナダに進出し、2013年には日本法人を立ち上げるなどビジネスを拡大中だ。現在はイギリス、オーストラリアでも展開している。   

ドロシー

スクエアのジャック・ドーシー会長兼CEO

 街のホットドックスタンドなど、小規模事業者が主なユーザー

主力事業はスマホやタブレットを用いてクレジット決済するサービスだ。スマホに専用アプリをダウンロードし、約3.5cm四方の小型のカード読み取り機「Square Reader(スクエアリーダー)」を取り付けて顧客のクレジット情報を読み取ると決済できるという仕組み。つまり、スマホやタブレットがクレジットカード決済が可能なPOS(販売時点情報管理)レジの代わりになる。

Square Reader2

Square Reader(スクエアリーダー)

小売店などがクレジット決済を導入するには米国の場合、銀行の審査を通過しなければならないほか、POSレジやカードリーダーの機器購入の初期費用が発生するため、個人や小規模事業主にはハードルが高い。この点にスクエアは目をつけた。サービスを受けるには審査が必要なものの、スクエアリーダーは日本では4980円、米国では無償で提供しているタイプもあるなど手軽だ。米国では2.75%程度、日本では3.25%(JCBカードは3.95%)の手数料をカード会社に支払えば決済できる。米国では街のホットドックスタンドや市場、日本では美容室など小規模事業主および個人事業主がスクエアのメインユーザー。3月には高野山真言宗・総本山金剛峯寺が世界遺産の拝観料の決済などでスクエアのサービスを使用すると発表している。

一般社団法人日本クレジット協会の調べによると、日本の民間消費支出に対するクレジット決済比率は18%(2016年末)にとどまる。スクエアの日本法人・広報部の時松志乃氏は「米国のクレジットとデビットカードの決済比率は合計で50%程度。日本のポテンシャルは大きい」と話す。

決済サービス好調で売上増加、赤字幅も縮小

2017年7~9月期の売上高は前年同期比33%増の5億8500万ドル、最終損益は1600万ドルの赤字と前年同期の3200万ドルの赤字から赤字幅が縮小した。1株損益は0.04ドルの赤字(前年同期0.09ドルの赤字)だった。決済サービスの利用企業が増加したことが赤字縮小につながった。決済サービスから発展した個人事業主や中小企業などへの少額融資サービス「Square Capital(スクエアキャピタル)」も好調で業績改善に寄与している。足元の売上増加を受けて、17年12月期の売上高予測を従来の21億4000万~21億6000万から、21億8000~21億9000万ドルに引き上げた。

【スクエアの業績推移 QUICK FactSet Workstationより作成】

12※17年Q4以降は予想、ーは赤字

ビットコインのビジネスに参入!?

スクエアは現在、米国のみで送金アプリ「Square Cash(スクエアキャッシュ)」を提供しているが、11月半ばに同アプリでビットコインの売買(送金は不可)が試験的に開始されたことが明らかになった。その後、米CNBCに出演したスクエアのサラ・フライヤー最高財務責任者(CFO)は、「ユーザーの需要を把握するためにリサーチしている」とコメント。さらに仮想通貨向け半導体を製造するエヌビディアのような存在になるのか、という質問に対して「それはない。決済の一つの方法としてビットコインの可能性を模索している」と話した。時松氏は「値動きが荒いビットコインで決済することは、現在のところハードルが高い」という。ビットコインの売買についてはスクエアが取引所との取り次ぎを担うのか、もしくはスクエア自体がビットコインを保有するのかなど、詳細は明らかにされていない。具体的なビジネスは示されていないものの、同社の決済サービスでビットコインが利用されると、決済取引を取り巻く現状が急激に変化するかもしれない。こうした点が投資家の期待感がスクエア株上昇の背景にあったようだ。

大規模事業者の獲得が課題

電子マネーやスマホの浸透に伴い、世界的にキャッシュレス化が進みつつある。需要増加が見込めるが、スクエアの主要顧客である小規模事業者は、事業規模の拡大に伴い同社の契約を解消するケースが目立つ。今後は既存顧客のつなぎとめに加えて、大規模事業者の新規獲得が課題になりそうだ。ビットコインをはじめとする仮想通貨の電子決済の実現化にも注目したい。

 

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