株式市場でノーベル賞関連銘柄を発掘する恒例の季節がやってきた。科学情報サービス会社の米クラリベイト・アナリティクスは20日、論文の引用数などからノーベル賞候補者22人の予想を発表した。
日本人では化学賞に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授(64)が候補にあがった。21日午前の株式市場では薄くて軽く低コストが期待される「ペロブスカイト太陽電池」の関連銘柄の売買が盛り上がった。
「ペロブスカイト太陽電池」は産学官が協力して実用化を目指す
「ペロブスカイト太陽電池」は日本で産学官が協力して実用化を目指している。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2015年6月4日、太陽光発電の発電コスト低減に向けた新たなプロジェクトの始動を発表した。
そのうちの一つが「低コストペロブスカイト太陽電池の技術開発」だ。15年時点での同技術の採択先は早稲田大学や東京大学のほか企業ではパナソニック(6752)、東芝(6502)、積水化学工業(4204)、アイシン精機(7259)、富士フイルム(4901)だった。
NEDOが15年に発表した同プロジェクトでは20年までに発電コスト14円/kWhを実現する太陽電池モジュール、30年までに7円/kWhを実現する技術の確立を目指している。
ノーベル賞候補の宮坂教授が所属のベンチャーも脚光
ノーベル賞候補となった桐蔭横浜大学の宮坂教授が取締役を務める、同大学発ベンチャーのペクセル・テクノロジーズ(横浜市)も脚光を浴びている。
宮坂教授が取締役のペクセル社は光電変換技術の実用化に取り組む大学ベンチャー企業として2004年に発足した。ペクセル社はかつて藤森工(7917)や昭電工(4004)と「色素増感型」と呼ばれるタイプの太陽電池を共同開発していた。
21日午前の株式市場では藤森工は前日比9%高まで上げる場面があった。太陽電池に関連する銘柄に幅広く買いが入り、太陽電池の製造販売を手がけるエヌ・ピー・シー(6255)は前日比8%高まで上昇する場面があった。
2015年6月9日時点の基礎研究の分野における科学研究助成事業の研究成果報告書によると、ペロブスカイト関連化合物の産業財産権を持つ稀元素(4082)は前日比16%高まで買われた。
ノーベル賞関連銘柄の売買は短期的な傾向
株式市場ではノーベル賞関連銘柄の物色は秋の定番行事で、株価の上昇後に利益確定売りが急激に進み、中長期では影響がない場合も多い。
16年はノーベル生理学・医学賞を東京工業大学の大隅良典栄誉教授が受賞、関連銘柄とされたタカラバイオ(4974)やコスモ・バイオ(3386)、医学生物学研究所(4557)の株価は急騰後、1週間も待たずに急落した。
17年のノーベル賞は生理学・医学賞が10月2日、物理学賞が3日、化学賞が4日にそれぞれ発表される。
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