QUICKコメントチーム=池谷信久
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が算出する「Fedウオッチ」によると、2020年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までに米連邦準備理事会(FRB)が利下げする確率は約5割まで低下した。
現在の政策金利の誘導目標は1.50~1.75%で、約1年後の来年12月にさらに切り下がる(~1.50%)との予想確率はグラフの水色の部分だ。一時期は90%を超えるまで利下げの織り込みが進んでいたが、足元で急低下した。
米中貿易交渉は一部合意に向けて進展している。FRBも利下げ打ち止めを示唆しており、過度な利下げ期待の剥落は自然な動きだろう。
ただ、米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が3カ月連続で好不況の境目の50を下回るなど、米国経済に力強さはみえない。インフレ率も伸び悩んでおり、FRBが利上げ(グラフでは緑の部分)に転じることは当面ないだろう。利上げが想定されない状況では、利下げ期待が完全に払拭されることも難しそうだ。
※QUICK Market Eyes®はトレーダーやディーラー、運用担当者の皆さまに向けたQUICK独自のマーケット・コメントサービスです。日米の個別株から債券を含めた先物市場まで幅広くカバー。証券会社や機関投資家など運用・調査の現場への取材を通じて得た専門性の高い金融情報を提供します。