QUICKコメントチーム=大野弘貴
10月末のアナリストによる主要企業の業績予想の変化を示すQUICKコンセンサスDIは、金融を含む全産業ベースでマイナス27と9月末(マイナス29)から2ポイント改善した。銘柄数の内訳は「強気」銘柄が44銘柄、「変化なし」が207銘柄、「弱気」銘柄が156銘柄だった。製造業DIはマイナス45と前月から3ポイント改善、非製造業DIは同1ポイント悪化したマイナス9だった。製造業DIは2019年1月末の水準まで持ち直した。19年3月を底に反転傾向が続いている。半導体や電子部品の一部業界で先行きに明るさが見えてきており、今年上期に苦戦した企業業績は下期以降ゆっくりと改善基調をたどるとの見方もある。
(注)コンセンサスDIはアナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義。「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出したリビジョンインデックスである。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象とすることで主要企業の業績に対する市場の期待値が上向きか下向きかを判断することができる。対象となる業績予想は、月末時点から数えて3四半期(9カ月)程度先が期末となる決算期。3月期決算銘柄の場合、12月末(翌年1月発表)から来期予想に切り替わる。
算出対象16業種のうちDIがプラスだったのは「医薬品」、「建設」の2業種。マイナスは11業種、変わらずは3業種だった。
3カ月前の予想純利益と比べて上方修正率が大きかった銘柄は、4カ月連続で中国電力(9504)がトップで、野村ホールディングス(8604)、そーせいグループ(4565)などが続いた。野村HDは29日に発表した19年4~9月期の最終損益が1944億円の黒字となり、前年同期の60億円の赤字から急回復した。保有する野村総合研究所(4307)の株式売却益が利益を押し上げた。足元で株式市場が堅調に推移していることから今後の業績についても期待できるとの見方がある一方、業績の本格的な向上には国内営業部門の収支改善など一段のコスト構造改革の進展が必要との指摘もあった。
予想純利益の下方修正率が大きかった銘柄には、神戸製鋼所(5406)、産業機械のCKD(6407)、金属加工のNTN(6472)といった米中貿易戦争のあおりを受けた企業が並んだ。CKDは4~6月期の決算発表時に、「米中貿易摩擦及び半導体設備投資の遅延などの影響により、機器部門の売上高が期初予想を下回る見込み」となり、通期業績見通しを下方修正していた。12日に予定している4~9月期決算では再度の下方修正はないとの見方があるが、今期は厳しい事業環境が続きそうだ。来期以降の業績改善への期待から投資判断を「強気」にみるアナリストもいる。