金融市場関係者が注目する経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が来週に迫ってきました。今年はドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が3年ぶりに出席し、量的金融緩和の段階的縮小(テーパリング)を示唆するとの思惑もあります。発言の内容次第では外国為替相場に影響を与えることもありそうです。
そこで、毎月実施している「QUICK月次調査<外為>」※を通じて、ジャクソンホール会議で注目しているテーマなどについて外国為替市場の担当者に聞きました。調査期間は8月7~10日、回答者数は74人です。
※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。
ECB総裁の発言に注目集まる
ジャクソンホール会議は主要国の中銀トップのほか、有力経済学者らが集まって経済政策などを討議する経済シンポジウムです。毎年8月下旬に米西部ワイオミング州にある全米有数の観光地ジャクソンホールで開催されます。バーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長が金融政策について発言したことなどから、注目されるイベントの一つになっています。今年は24~26日に予定されており、テーマは「ダイナミックなグローバル経済を促進する」です。
こうしたなか、外為部門などの市場関係者に同会議で注目しているテーマについて聞いたところ、最も多かったのが「欧州の金融政策」で6割を占め、次いで「米国の金融政策」が4割弱となりました。ただ、ジャクソンホール会議後の円相場については、「とくに影響はなし」が4割弱と最も多く、相場への影響は限定的との見方です。市場関係者からは同会議にイエレンFRB議長が出席し、来年2月までの任期について進退を示唆するかどうかに注目しているといった声も聞かれました。
年内はレンジ相場が続くとの予想が約7割
次いで2017年のドル円相場は狭いレンジでの推移が続いていますが、年内にドル円相場がどう動くと予想しますか、と質問。最も多かった回答は「110~115円のレンジ相場」で7割弱を占めました。その一方で、「115円より明らかに円安」が16%、「110円より明らかに円高」が15%とほぼ同数で分かれましたが、前月調査より円安の予想が低下し、円高の予想が高まる結果となりました。
また、3日に第3次安倍第3次改造内閣が発足。金融市場では次の総選挙のタイミングに関心が移りつつあります。そこで衆院解散・総選挙の時期はいつになると予想しますか、と聞いたところ最も多かった回答は「2018年の通常国会以降、年前半まで」で39%、次いで「2018年秋の臨時国会以降、12月の任期満了まで」が33%でした。
事業法人の前提為替レート110円台後半
毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは8月末の平均値で1ドル=110円69銭と、7月調査(113円70銭)から円高にシフト。3カ月後の10月末には111円34銭、6カ月後の1月末には112円77銭との予想です。今後6カ月程度を想定した注目の為替変動要因は、「金利/金融政策」でした。特にユーロについては金融政策の転換点にあるため、金利/金融政策への注目度が高い結果になりました。
ファンドの外貨建て資産の組入状況について運用担当者に聞いたところ、「ニュートラル」が8割と最も多く、相変わらず様子見スタンスが強いようです。また、事業法人の業績予想の前提為替レートは平均値で1ドル=110円87銭、1ユーロ=118円95銭でした。