2017/03/29 01:15:40

トランプ勝利の予想が的中、運用成果も向上…フコクしんらい生命の林氏に聞く

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トランプ勝利の予想が的中、運用成果も向上…フコクしんらい生命の林氏に聞く (2016/12/09)

  • 今年2月にトランプ氏勝利を断言
  • トランプ氏は資本主義に取り残された人の受け皿
  • 米国のTPP離脱は米のグローバル企業にとっても逆風
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 Brexitに米大統領選--。2016年は世界市場にとって驚きの連続だった。相場深押しした場面もあったが、ひとまず年末に向け上げ基調を維持している。この荒波ともいえる展開にあって、重要イベントの結果を予見し運用成績を向上させている投資家の1人にフコクしんらい生命の取締役執行役員財務部長、林宏明氏がいる。なぜ予想外の結果を見通せたのか。運用状況も含めて話を聞いた。(※6日7:31にQUICKのオプショナルメニュー「QUICKデリバティブズコメント」に配信した記事と同じ内容です。)

フコク林氏

トランプ氏は資本主義に取り残された人の受け皿

--米大統領選が想定外の結果で終わりました
「トランプ氏の勝利は予想していた。驚きはなく必然だとも思っている。昨年にトランプ氏が立候補を表明した時点で確信は乏しかったが勝利を想定した。外部にも断言し始めたのは今年2月。共和党の予備選段階でジェブ・ブッシュ氏の撤退が決定打だった」

--予想を基にした運用状況はいかがですか
「円建ての国内債券を中心に運用し、昨年を上回る運用成果を上げることが出来ている。中長期的に円高方向の見通しを持っていることもあるが、トランプ大統領となれば、短期的には、米国を中心に金利が急上昇すると想定していたためだ。海外の投資をする前に日本にも投資妙味はまだある。例えば昨年は日本の超長期債を大量に買い込んだ。日本の潜在成長率期待インフレ率自然利子率のいずれもが0%だと見ているため、日銀のマイナス金利政策がなくとも、早晩、長期金利が0%近辺になるとのシナリオを数年前から持っていたからだ。これが現在も大きな利益を生み出している」

「米欧の債券相場はかなり不安定になるが、日本の場合は日銀の金融政策のアンカーが極めて強いため、せいぜい10年国債がややプラスになる程度だろう。そういう意味ではトランプ相場は追い風。通期でも運用益をしっかり出せる状況にある。日本には素晴らしい中小企業がたくさんあるし、インフラでも民間が関与することでより機能的で国民生活に資するものを造れる可能性が相当程度ある。今後、金融市場でそのような分野への投資が可能になる投資スキームが出てくることを期待している」

--そもそもトランプ勝利を予想した理由を教えてください
 「グローバリゼーション、もしくは新自由主義の極まった世界になっていた。この世界的な政治の潮流を見極めることが重要だ。資本主義には放っておくと資本の効率をとことん追求する仕組みが内在する。資本を持っている人たちがより豊かになる仕組みでもある。そこで取り残された人たちが出てくるわけだが、これまでアメリカには受け皿がなかった。しかし今回、初めてアメリカ国民は受け皿を得ることができた。1つは民主党の候補指名をヒラリー・クリントンと争ったバーニー・サンダース氏。もう一方がトランプ氏だった」

「トランプ次期米大統領の誕生より、サンダース氏があそこまで善戦した方が驚きでありインパクトがあった。彼の登場により大統領選の本当の論点は『富の再配分』だったはずだ。米国の中で社会主義を標榜した候補者が支持を集めたことが象徴している。これがトランプvsクリントンの構図となり、女性蔑視などに論点がすり変わった。米国のエスタブリッシュメントにとってはトランプ勝利が結果的によかったのではないか。富裕層の資金を政府が再配分するといった可能性が低下したからだ」

「トランプ氏の当選を確信したのは、トランプ・サンダース現象とも言える潮流の中で、国民の不満の受け皿になると同時に、富裕層や法人の大減税や金融規制の撤廃を唱えるトランプ氏が実はエスタブリッシュメントや金融市場にとっても短期的にはかなり選好しやすい存在だったことである」

米国のTPP離脱は米のグローバル企業にとっても逆風

--トランプ氏の政策は依然として不透明です
「経済では財政が焦点。財政出動というのは富の再配分も意味する。進めるほど偏りが生まれ将来の選挙を左右する。リーマン・ショック後の政治は、この再配分が一段と複雑化した。これを敬遠し配分の必要がない中央銀行による金融緩和に軸足を大きく移した。今はこの揺り戻しが起きているが、財政による再配分を進めすぎても問題がある。トランプ次期米大統領がどこまでできるか未知数だ」

「もう一つは外交。個人的にはすでに第3次世界大戦的な様相を呈している側面もあると見ている。もちろん武力といったハードパワーによるものではなく表面上は各国とも友好的な外交関係を維持している。しかし、本来の戦争の目的である経済果実の奪い合いという面では、すでに徴税権や法的措置を使ったソフトパワーによりかなりの規模で始まっている。それを象徴するのが、米国が仏金融機関大手BNPパリバに課した89億ドル(約1兆円)もの罰金だった。一方、欧州ではグーグルなど米国のネット企業が独占禁止法で大規模に摘発される事例も出ている。この国際的対立軸の基本的構図は米国vs欧州であり、環太平洋経済連携協定(TPP)参加国vs欧中ロとなるかもしれない。各国の外交関係が錯綜しており、日本のようにどこの国とも極めて友好的な外交を展開している国もあるので単純な構図ではない。まだ、経済・金融でのパワーゲームの段階だろうが、そのパワーバランスの舵取りは極めて難しい局面に入っていることだけは間違いない」

「この状況でトランプ氏はTPPからの離脱を表明している。TPPはそもそも安全保障の色合いが濃い協定だ。共通のルールを守れない国や地域を排除する目的がある。基準をクリアできない国、たとえば中国やロシアなどだ。米国が離脱するなら、パワーバランスが一段と不安定化する。アップルやグーグルなど米のグローバル企業にとっても逆風になる」

「市場は金融規制の緩和を期待し銀行株を買っている。だが認識を間違っている。米国が緩和しても規制を強化している欧州は緩和する姿勢を示していない。欧州市場でビジネスをするには厳しい基準をクリアする必要がある。本当にグローバル金融機関の収益が改善するのか疑問がある」

「新政権で財務長官に就任するムニューチン氏は米経済が3~4%成長できるとした。しかし、米国は意図せざるインフレに直面するだろう。関税を高め自国内の生産比率を高めてもコストが膨らむ。それを補って余りある売上高の成長が可能なのか。ここにも問題がある。インフレの発生=金利上昇で学生ローンや自動車ローンでサブプライムの不良債権化が表面化するリスクもある。トランプ氏に託された期待が失望に変わる種がここにある」

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