膠着する円相場 115円の壁、ドル高アノマリーで突破なるか

外国為替市場で円相場の膠着感が強まっている。10月下旬以降、おおむね1ドル=113円台での小動きが続いている。市場関係者の間では115円の壁は厚いとの声も聞かれる。ドル円相場が再び動き出すきっかけは何か。北朝鮮など地政学リスクや米税制改革の行方に注目する向きが多いが、意外な材料もある。10~12月特有の「ドル高アノマリ―」だ。 「需給により年末に向けて115円を突破する可能性はある」。こう語るのは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジストの植野大作氏だ。 植野氏によると、10~12月の円相場は円安ドル高に傾きやすい。「この時期の米国は感謝祭、クリスマス、そしてニューイヤーと『お祭りシーズン』。これに伴って米国内外でドルキャッシュの需要が強まるほか、米系の多国籍企業などによる本国へ資金還流が起きるとの思惑も強まる」。その一方、「日本では会計年度の下期入りを機に国内機関投資家マネーが動くとの観測が広がりやすいほか、確定申告時期との絡みから個人の益出しの売買は年明け以降に持ち越されやすい」。 <三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジストの植野大作氏> 実際、データで確認してみると、過去5年連続でこの時期は円安ドル高となっている。 <過去5年間の10~12月期のドル円相場の値動き(1ドル/円)> それでは、2018年のドル円相場はどう動くのか。植野氏は利上げで非伝統的な金融政策からの出口戦略を進める米国と、マイナス金利付き量的・質的金融緩和が続く日本との金利差拡大からドル高を見込み、1ドル=119円台半ば程度をドルの上値のメドと予想している。 「米国の懸念材料は米連邦準備理事会(FRB)理事の空席が目立つこと。米税制改革の先送りは米景気にはプラスに作用するかもしれない。減税は足元の景気が堅調な時期ではなく、腰折れした際に実施した方がカンフル剤として効くからだ」(植野氏)。 今年9月末の円相場は1ドル=112円台半ばだった。年末に向けて「ドル高アノマリー」は再現されるだろうか。 ※この記事はQUICKのオプションサービス「QUICKデリバティブズコメント」で配信した記事を再構成したものです。

黒田日銀総裁「リバーサル・レート」に言及 講演のポイントはここ

日銀の黒田東彦総裁は13日、スイス・チューリッヒ大学で講演した。タイトルは「『量的・質的金融緩和』と経済理論」。日銀が公表した講演の邦訳によると、低金利環境がもたらす金融機関の影響について長めに話している。なかでも低金利で「かえって金融緩和の効果が反転(reverse)する可能性がある」という「リバーサル・レートの議論」への言及に市場は注目した。三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニア・マーケットエコノミストの六車治美氏が読み解いた講演のポイントは以下の通り。 ▼総裁としては珍しく、低金利環境がもたらす金融機関への影響について長めに話していた。 ▼具体的には「金利を下げすぎると、預貸金利鞘の縮小を通じて銀行部門の自己資本制約がタイト化し、金融仲介機能が阻害されるため、かえって金融緩和の効果が反転(reverse)する可能性がある」という「リバーサル・レートの議論」に言及。その議論について「注目を集めています」と述べた。 ▼もちろん「現時点で、(日本の)金融仲介機能は阻害されていません」との結論に変わりはないが、「経済・物価情勢だけでなく、金融機関や金融市場の状況について幅広く目配りすることができる中央銀行の機能を、最大限活用していく必要があります」という発言には新鮮味があった。 ▼さらに「日本銀行は、各種の定性的な情報も考慮しながら、2%に向けたモメンタムを維持するために最も適切と考えられるイールドカーブの形状を不断に追求していく方針」という発言の、「各種の定性的な情報も考慮しながら」という部分はこれまでなかったものだ。 ▼10月18日にNYで行われた中曽宏副総裁の講演(進化する金融政策:日本銀行の経験)でも、「先行き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、必要であればイールドカーブの形状についても調整を行っていく方針」という発言が、市場で「金利水準の調整を意識したものか?」との思惑につながったことは記憶に新しい。 ▼12月か1月の金融政策決定会合で、総裁・副総裁が海外講演で述べたような「必要であればイールドカーブ形状の調整も」「各種の定性的な情報も考慮しながら」などイールドカーブコントロールの柔軟化をイメージさせる文言が会合公表文に盛り込まれるかどうか注目される。 ※この記事はQUICKのオプションサービス「QUICKデリバティブズコメント」で配信した記事を再構成したものです。

顧客志向の証券営業、「ゴールベース資産管理」とは

日経平均株価が26年ぶりの高値水準まで回復してきた。この間、大手や準大手を中心に証券会社は個人向け営業を「フロー重視」から「ストック重視」に転換すると宣言した。株式の売買委託手数料などにノルマを設定し、顧客に回転売買を促すスタイルから、預かり資産残高を重視するスタイルへのシフトだ。 結果として証券会社の収益に占める委託手数料の割合は縮小した。こうした流れの中、ストック重視営業の理想的な姿のひとつとして意識されているのが「ゴールベース資産管理」だ。野村総合研究所、野村證券で日本株ストラテジストなどを務め、行動経済学が専門の岩澤誠一郎・名古屋商科大学経済学部長に「ゴールベース資産管理」について聞いた。 岩澤氏によると、新しい顧客志向の切り口とされる「ゴールベース資産管理」は、プライベートバンカーと呼ばれる人たちにとっては新しい概念ではないという。たとえば「3人の子供を大学に進学させたい」「家を建てたい」など、将来の大きな「ゴール」を目標に資産形成する手法だ。将来の大きな支出や、その現在価値を考慮して資産をアロケーション(配分)する。 しかし株式相場が活況になると、手っ取り早く稼げる委託手数料に先祖返りする例がこれまでは目立ったという。日経平均株価が上昇してきた今、証券会社の「ストック重視」の本気度が試されていると岩澤氏は話す。それを見分けるポイントは証券会社の相場見通し(ハウスオピニオン)ではないかと岩澤氏は考えている。 ゴールベース資産管理では、顧客(投資家)が「どういったリスクを、どの程度取れるのか」が重要な情報だ。定期的な収入はいくらか、日常的な支出はどの程度あるか、そのうえで余剰資金の量やリスク許容度などを勘案する必要があり、顧客との信頼関係が欠かせない。少なくとも手持ちの金融商品や不動産といった資産のすべてを、打ち明けてもらう必要があるだろう。 飛び込みの営業マンには厳しいかもしれない。場合によっては「〇〇証券さんとは父の代からのお付き合いで」といった世代を超えた取引関係を目指す必要がある。だから新参者の証券会社に商機がないのかというと、そうでもないと岩澤氏は語る。 上がるばかりが相場ではない。そのうち日経平均にも下落局面が来る。委託手数料を稼ぎたい証券会社であれば、「ぼちぼち株価が下がりそうだから手じまいませんか」と顧客に言うのは、なかなか難しいだろう。営業マンとして目先の手数料収入を投げ出すことになる。しかし、下げ相場への準備を事前に促して損失回避に成功すれば、その顧客からは絶大な信頼を勝ち取ることができるかもしれない。下げ相場こそ新規開拓のチャンスになるとの見方だ。ゴールベース資産管理を志向するのであれば、下げ相場のシグナルを嗅ぎ取ったとき、包み隠さず顧客に弱気見通しを伝えるのが合理的と岩澤氏は指摘する。 このところ株式相場は上値追いの展開だが、必ずしも足元に「相場下落の芽」がないわけではない。国際通貨基金(IMF)の国際金融安定性報告書(Global Financial Stability Report)10月号には、2016年時点で、リーマンショック前の2006年よりも国内総生産(GDP)に対する政府や民間の負債の比率が高まっている国が増えてきたとの指摘がある。「レバレッジ」が高まってきたという分析だ。 岩澤氏は「いますぐということはないだろうけど」と断りながらも、「たとえば米国でハイイールド債の利回りが急上昇するとか、誰かが投げ売りを出さなければならない事態に追い込まれると、連鎖的に売りが広がりかねない状況に、既に陥っている可能性がある」とみている。「それを証券会社のストラテジストは冬のセミナーで語ることができるだろうか」(岩澤氏)。 岩澤氏がある外資系のプライベートバンクのトップ営業マンに話を聞いたところ、ゴールベース資産管理を実践している営業マンは、数多くの顧客のうち数人だけから収益の大半を稼ぎ出していた。その数人とは、一言でいうと資産家だ。回転売買しないのであれば、売買1回あたりの規模は大きくないと営業マンは困るから、必然的に資産規模の大きな顧客に偏ることになる。管理手数料率の低いファンドを勧めるにしても同様だ。 となると、ゴールベース資産管理を志向する場合、プライベートバンキングを求めている資産家が日本にどれだけいるのか、という問題に突き当たる。一方、ネット証券の普及で比較的少額な単位でも株式を売買できる時代になった。ストック重視の観点からみれば、「たとえば中ぐらいの都市の駅前にある大手証券の支店などは、改めて存在意義を問われるのではないか」と岩澤氏はみている。 【QUICKエクイティコメント・山本学】

エヌビディアCEO「スイッチがゲーム業界けん引」  8~10月期純利益55%増【米決算】

画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディアは9日、2017年8~10月期決算を発表した。純利益は前年同期比55%増の8億3800万ドル(約950億円)だった。 ▽エヌビディア 11月9日発表 2017年8~10月期実績(カッコは前年同期) 売上高     26億3600万ドル(20億400万ドル) 純利益     8億3800万ドル(5億4200万ドル) 1株益(GAAP)     1.33ドル(   0.83ドル) (NON-GAAP)    1.33ドル(   0.94ドル) 1株当たり利益(EPS)が市場予想を上回った。2017年11月-18年1月期(4Q)の見通しで売上高を26億5000万ドル±2%と見込み、市場予想(24億4000万ドル)を上回る数字で強気に見込んだことも好感され、同日の時間外取引では買いが優勢になる場面があった。 エヌビディアの決算資料によれば、相手先ブランド(OEM)と知的財産部門を除き、全てのセグメントの売上高が前年同期比で2ケタの伸びを記録した。特に増収率が高かったのが人工知能(AI)で需要が伸びている主力の1つデータセンター部門。前年同期比で2倍超に増え、売上高は5億100万ドルとなった。 エヌビディアのセグメント別売上高(百万ドル、決算資料より) <CEOコメント、決算資料より抜粋> 世界中の産業でAIの導入が進んでおり、素晴らしい四半期決算となった。GeForceとニンテンドースイッチは、ゲーム業界の成長の大きなけん引役となっている。また、わが社の新製品であるロボットDRIVE PX Pegasusは、世界各国の企業で採用されており、業績の拡大が続くと見込んでいる。 過去のインタビュー記事はこちら 任天堂スイッチからAI時代の必需品に エヌビディア日本法人代表に聞く        

日本株ETFにマネーの大規模流入、9カ月半ぶり

日経平均株価の上昇が止まらない。けん引役は海外の投資家だ。マネーフローも目に見える形で浮かび上がりつつある。QUICK FactSet Workstationのデータによると、米運用会社ブラックロックが設定する「iシェアーズMSCIジャパンETF」には7日、3億8800万㌦(約440億円)の資金が流入した。1月26日(4億5400万㌦)以来、約9カ月半ぶりの大規模流入となった。 ※QUICK FactSet Workstationより 上場投資信託(ETF)は機関投資家も個人も手軽に投資ができる金融商品。海外でも幅広い投資家層が日本株への関心を高めている可能性が出てきたようだ。それでも運用資産残高は180億㌦強。直近のピークにあたる2015年には200億㌦を超えていただけに、まだ買い余力があると言えそうだ。 【QUICKデリバティブズコメント・岩切清司】

アップル時価総額100兆円突破、株価は連日で上場来高値更新

8日の米株式市場でアップルが小幅に5日続伸し、一時は176.24ドルまで上昇して分割後の上場来高値を連日で更新した。特に買い材料は聞かれなかったが、3日にiPhoneの10周年記念モデル「iPhone X」を発売してからは下げ知らずで、強い流れとなっている。QUICK FactSet Workstationによると、8日終値時点のアップルの時価総額は9048億ドル(103兆円、1ドル=113.86円で換算)と、円換算ベースで100兆円を突破した。 <アップルの時価総額の推移> QUICK FactSet Workstationより作成 アップルが初代iPhoneを発売したのは2007年6月29日で、この日の時価総額は1060億ドルだった。iPhoneが業績をけん引する中、今年の10周年モデルの販売を受けて時価総額は8.5倍になった格好だ。市場では次の節目として1兆ドル突破が期待されているようで、自社株買いなどの株主還元策があれば一段高が期待されている。指数インパクトの大きさもさることながら、ヘッジファンドなどの保有が多いとされるアップルが強含めば、投資家のリスク許容度が増す相乗効果が期待されそう。 8日のダウ工業株30種平均は小幅に7日続伸し、6.13ドル(0.02%)高の23563.36ドルで終えた。ザラ場ベースの史上最高値は更新できなかったが、連日で史上最高値を更新した。この日の寄与度ランキングトップはジョンソン&ジョンソンで、ダウを約10ドル押し上げたほか、アップルも上昇寄与度上位に顔を出した。 ※この記事はQUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した内容です。QUICKデリバティブズコメントは、日経平均先物や債券を中心に相場動向をLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

アマゾン「エコー」日本語版発売 株価やニュース、音声で応答 金融機関も注目

アマゾンジャパンは8日、日本語に対応した人工知能(AI)搭載のスマートスピーカー「エコー」を発売すると発表した。音声を認識する会話型のAI「アレクサ」を搭載し、話しかけるだけでニュースや天気予報などの情報を読み上げたり、音楽を再生したりできる。ユーザーが「歌って」とお願いすればリズムをつけて歌いだすなど、単なる情報機器を超えて愛着がわく仕掛けも備わる。8日から招待者限定で予約を開始し、発送は今月中旬以降になるとみられる。価格は1万1980円で、小型の「エコー・ドット」は5980円。 エコー・ドット すでに販売されている米国では、10月31日に標準機種で旧モデルより4割も安い新型モデルが発売された。旧モデルも人気を集めたが、新型は音質も改善され普及に拍車がかかるのは間違いない。家事や仕事で手が放せないときやパソコンなど情報機器の操作が煩雑に感じるときに便利で、日本でもヒット商品に育つことが見込まれる。 QUICKもスキル開発 提供情報はもちろん株価 エコーの魅力を高めるうえでカギを握るのが、スピーカーと連携したサービス「スキル」だ。スマートフォン(スマホ)でいうところのアプリにあたり、ユーザーは専用サイトでスキルを無料で取り込みエコーに様々な機能を付加できる。エコーを通じてサービスの提供を計画する各社が開発を急いでいる。 QUICKでは株式情報を提供するスキルだ。「アレクサ、QUICKを開いて」と呼びかけると、エコーが「こんにちはQUICKです。ご用件は何ですか」と応答。各銘柄の株価を聞けばすぐに教えてくれるのはもちろんのこと、三井住友銀行やトヨタの株価を聞けば、系列会社も含めた株価を順番に伝えてくれる。値上がり・値下がり率上位といったランキングのほか、「ニュースを教えて」と頼めば株式市場の場況も読み上げてくれる。 プレスリリースはこちら 金融機関もAIスピーカーの活用拡大へ AIを使ったスピーカーは急速に市場が拡大しつつある。米グーグルは10月、日本で「グーグルホーム」の販売を始めた。国内勢もLINEが「WAVE(ウェーブ)」の正式版を10月に発売し、ソニーも12月の投入を予定する。技術の進展を受けて、AIを組み込んだ自動対話技術「チャットボット」の活用が一部の金融機関で始まっているが、音声認識の精度が向上すれば一段と活躍の舞台は広がるだろう。 SBIグループはFX(外国為替証拠金)取引で個人顧客の問い合わせに自動応答するサービスを始めている。凸版印刷は金融機関向けにAIスピーカーが来店者の問い合わせに答えたり、案内したりするサービスの開発を進める。NTTドコモも音声対話を従来より格段に安くできるソフトの投入を計画している。少子化で中長期的に人手不足感の強まりが避けられないなか、自動応答サービスの開発に参入したり、導入したりする企業は今後も増加が見込まれる。 AIスピーカー市場で存在感を放つエコーの発売に伴って、今後は国内の金融機関でもスキルを開発する動きが広がる可能性が高い。金融機関のサービスとQUICKのマーケット情報を連携させれば、たとえば個人ユーザーが預金残高や、自分が購入した投資信託など金融商品の価格をエコーから教えてもらうことも可能だ。スキルを開発する企業が増えるにつれて、エコー活用の幅も広がりそうだ。  

日経平均のPER、S&P500に接近 QUICK・ファクトセットで18倍

日経平均株価が26年ぶりの高値圏に浮上したことで、投資家の関心は割高感の強弱に移りつつある。判断にあたって投資家が利用する指標が株価予想収益率(PER)。高いほど投資家の期待が強く、株価水準としては割高と判断される。QUICK FactSet Workstationによると、今後12カ月先の業績予想を基にした日経平均のPERは3日に17.81倍まで上昇した。これは2016年12月下旬以来およそ10カ月ぶりの高水準だ。 株価は26年ぶりの水準まで上昇してきたが、先行きの業績期待が高まっているため、PERは直近のレンジ内にとどまっている。指数採用企業の1株あたり予想利益(EPS)が切り上がり、PERの上昇を抑えている。 ※QUICK FactSet Workstationより 一方、世界市場で見比べると日経平均は割安とは言えなくなりつつある。機関投資家が運用指標の参考にする米S&P500種株価指数は18.10倍。日経平均と大差はない。欧州の主要600社で構成するSTOXX600指数のPERは15倍台にとどまり日経平均はこれを上回る。 ただ、TOPIXのPERは15倍台だ。日本株全般で見れば、まだ割安感が残っているとも言えそうだ。 【QUICKデリバティブズコメント・岩切清司】 ※この記事はQUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した内容です。QUICKデリバティブズコメントは、日経平均先物や債券を中心に相場動向をLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。      

画像処理半導体のエヌビディア、2桁増益予想 減速感も台頭か【米決算プレビュー】

GPU(画像処理半導体)大手のエヌビディアが米東部時間9日午後5時(日本時間10日午前7時)に3Q(8~10月期)決算発表を予定している。QUICK FactSet Workstationによると、市場予想のEPS(1株利益)は前年同期比13.9%増の0.95ドルが見込まれている。四半期ベースで2桁増収増益は続くものの、売上高はこれまでの5割増収、純利益は2倍強と急速に伸びていたことを勘案すると、若干の減速感が否めないかもしれない。なお、ソフトバンク(9984)が10兆円ファンドと称される「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を通じてエヌビディアに多額の出資をしており、ソフトバンクの株価動向にも影響を与えるとみられる。 【8~10月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高       :23億6360万ドル(17.9%増) ・純利益             : 5億9710万ドル(10.2%増) ・EPS                  : 0.95ドル(13.9%増) ~~~売上高の部門別内訳~~~ ・ゲーム部門     :12億8000万ドル (2.9%増) ・映像化部門    : 2億3500万ドル(13.5%増) ・データセンター部門: 4億1600万ドル(92.1%増) ・自動車部門    : 1億4200万ドル(24.9%増) ・OEMその他   : 1億8200万ドル (2.0%減) ※QUICK FactSet Workstationより エヌビディアはコンピューターグラフィックスの先端を行くビジュアルコンピューティング企業で、PCやモバイル機器に搭載される高性能なグラフィックスチップとプロセッサの開発・製造を手掛ける。製品用途は、PCの画像処理から、ゲーム機、専門可視化装置、データセンター、AI、仮想通貨のデータ処理、自動車等へと拡大。任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」のメーンプロセッサーにエヌビディア製のモバイルプロセッサ「Tegra」が採用されている。ゲーム向けのグラフィック処理などに使ってきたGPUはAIの技術を取り込みやすい特長があり、ディープラーニングに適しているとみたトヨタ自動車(7203)やテスラなどが相次ぎ採用。エヌビディアのGPUは世界の自動車・部品大手に自動運転車の研究で使われており、レベル5と呼ばれる完全自動運転の技術開発に弾みがつく可能性があるとみられている。 【エヌビディアの時価総額の推移】(単位:100万㌦) ※QUICK FactSet Workstationより作成 2Q(5~7月期)決算では、「ニンテンドースイッチ」を含むゲームに加えて、AI、仮想通貨のデータ処理向けなどの好調で市場予想を大幅に上回る着地となりながらも、決算発表直後は売られた。データセンター向けが市場予想ほど伸びなかったことが嫌気された経緯があり、全体業績の動向は勿論のこと、用途向きの伸びにも注目したい。 ◎過去の決算と株価の推移はQr1などQUICK端末のナレッジ特設サイト「米決算プレビュー」で確認できます。 【過去20四半期決算分析】 EPS実績  対市場予想 上振れ回数    18 下振れ回数       2 EPS実績/市場予想(%) 平均乖離率   +42.0 平均上振れ率    +50.0 平均下振れ率    -30.2 決算発表直後1日の値動き 上昇回数     13 下落回数     7 平均騰落率    +5.6 平均上振率       +10.5 平均下振率         -3.5 ※QUICK FactSet Workstationの「サプライズ履歴」より作成 同社の決算発表は概ね市場予想を上回って着地するケースが多く、過去5年(20四半期)で18回も上振れ。その際の平均上振れ率は50%にも達する。その一方で、2回下振れしたが、その下振れ率は30%。この決算発表直後1日の値動きは、13回が上昇し、7回下落。平均上昇率10.5%、下落率は3.5%だった。 傾向的に市場予想を大幅に上回る着地となり、株価もポジティブに反応することが多い。ただ、市場予想を上回る決算ながら利益確定売り等などで売られたケースも少なくないだけに注意が必要だろう。今回は株価が最高値圏にありながら、増益率が鈍化するとみられるなど警戒感が強いだけに、市場予想通りの着地や若干の上振れ程度ならば利益確定売りに押される可能性が高そうだ。逆に、成長鈍化を払拭するような大幅増益決算となれば、株価上昇に弾みがつくかもしれない。 【QUICKエクイティコメント・本吉亮】 ※QUICKエクイティコメントは、国内株・北米株を中心に相場動向をLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

市場を揺らす?拘束された「アラビアのバフェット」とは

「アラビアのバフェット」と呼ばれる著名な投資家アルワリード・ビンタラール王子が市場で話題になっている。サウジアラビア政府が反汚職名目で拘束したためだ。6日の米市場ではアルワリードが保有する米ツイッターなどが下落した。 ●アルワリード・ビンタラール王子とは? 巨大投資会社キングダム・ホールディング・カンパニーの会長。1990年代と2008年に経営不振に陥ったシティグループに投資し、大きなリターンを上げたことで有名となる。 ビンタラール王子のツイッター Tweets by Alwaleed_Talal ●市場の見方「サウジの政治的安定性と原油価格に警告」 調査会社SHGマクロアドバイザーズは6日付の「サウジアラビア、殺し屋の夜」と題するリポートで、「過去48時間のサウジアラビアの状況を受け、サウジの政治的安定性と原油価格に警告が発せられた」と指摘した。 この中で「身柄拘束は汚職摘発を装ったもので、根底には政治的な動機が隠れている」とし、34歳のムハンマド皇太子が権力を持つことに反対する勢力に対する先制攻撃だと指摘した。その上で、サウジが主導する石油輸出国機構(OPEC)と産油国のロシアが原油の減産を守っているが、「原油価格が上昇すれば、減産合意を破棄したくなるとみられ、今後数カ月は原油価格のボラティリティが高まるとみられる」とも指摘した。 ●キングダム・ホールディンス保有銘柄 キングダムホールディングスのホームページによると、ツイッター、アップル、タイムワーナー、ニューズ・コーポレーション、イーベイ、AOL、モトローラなど http://www.kingdom.com.sa/investments ●拘束された背景 近い将来サルマン国王から王権が譲られるとみられるムハンマド皇太子は権力集中を進めている。「汚職」を名目に現役閣僚を拘束し、抵抗勢力を一掃する狙いがあるとみられる。ビンタラール王子は自伝で「近代化は絶対に必要」「変革は避けられない」と主張したほどの改革派。皇太子の国王即位を阻みかねない勢力として拘束された可能性が高い。 ※この記事はQr1などQUICKの情報端末で配信したニュースを再構成したものです。情報端末ではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。  

孫社長説明会Live 「マサ、お前は素晴らしい」 米国投資進展にトランプ大統領喜ぶ

 6日に2017年4~9月期決算を発表したソフトバンクグループ(9984)は同日午後4時半から都内で決算説明会を開いた。孫正義社長による60分ほどのプレゼンテーションの後、同社長がアナリストや記者の質問に25分ほど答えた。   16:34 ――スプリントについて 孫社長 「合併後の会社に経営権をとれるような合併にならなそうだった。ほぼイコールパートナーで臨めるなら選択肢として(合併は)あったが、先方は単独の経営権でなければ飲めないと」 16:36 ――スプリントの統合中止について 孫社長 「迷いが終わった後はすっきりした気持ち」 16:40 孫社長 「人間のユーザー同士をつなぐならベライゾンは圧倒的に先を行く。しかしモノと人がつながるIoTを考えたら当社ががぜん有利。アームという会社を持っているから」 「IoTの広がりを考えたときにスプリントの経営権を失うことは10年先に必ず後悔する」 16:48 ――ビジョンファンドについて 孫社長 「戦略的なシナジー集団をわれわれが筆頭株主としてつくり、群戦略で我々の力を発揮していく」 16:50 ――スプリントの株価下落について 孫社長 「私からすればありがとうございます。(スプリント株を)買わせていただきます」 16:58 孫社長 「アリババ株を去年売却したが、先売り予約の状態で19年6月に実際に売れたことになる。株価が上がればデリバティブ負債でマイナスで計上される。しかしマイナスの分のと同額が、19年6月にプラスで計上される。アリババ株が上がれば私は100%万歳と喜んでいる」 17:08 孫社長 「国内の通信事業は新規顧客の獲得が進んでいる。獲得のための値引きが先行投資のかたちでコストになっているが、累積の顧客がたまるとそちらの収入の方が追い抜く」 「国内の通信事業は来期は増収増益になるとみている。正式なコミットメントではないが。慎重な宮内(国内通信事業を手がけるソフトバンクの宮内謙社長)が達成できると言っているので、達成する可能性が高い。達成できなかったら宮内のせい。達成したら私のおかげ」 17:09 孫社長 「通信事業が本業と思ったことは一日もない。ソフトバンクの本業は情報革命」 17:15 ――ヤフーについて 孫社長 「ディスプレー広告が着実に伸びている。アマゾンはEコマースがいまだに赤字だが、時価総額があれだけ大きくなった。Eコマース自体は欠かせない存在でビジネスモデルは証明された。ヤフーショッピングは国内で圧倒的な品揃えを誇り、取扱高も39%増えた。日本のEコマースでも、この規模では(ヤフーが)一番大きく伸びている」 17:18 孫社長 「アームは大きな買い物だったが、買って本当にたいへん良かった。この1年で買ってよかったと確信した。AIやサーバー向けのチップ開発に加えてエヌビディアとの連携も進んでいる」 17:27 孫社長 「ビジョンファンドは非常にグッドスタートを切っており、情報革命を加速する。中国やインド、米国といった地域やAIなど分野ごとにファンドマネージャーを用意して、戦略的にシナジーを出していく」 ――今後のスプリントの交渉は 孫社長 「何でもあり。時と条件と相手といろいろなことある。ただスプリントは半期で2000億円の利益を出せるようになっているので、焦る必要はない。少しゆったり構えようと思っている」 17:44 ――来日しているトランプ大統領と話は。 孫社長 「トランプ大統領が就任する直前に会って米国に500億ドルの投資をコミットしたが、一年間で半分近く進展したことを報告した。増額しようかと思っているくらいだと話したら、『マサ、お前は素晴らしい』と喜んでくれた」 17:49 ――iPhoneX(テン)について 孫社長 「非常に伸びている。一瞬で売り切れてしまった。もっとアップルに供給してほしい」 17:54 ――これまでM&Aの交渉は水面下で行ってきたのに、スプリントとTモバイルの交渉はなぜ先に明らかにしたのか。第三の企業からより有利な条件を引き出す考えがあった? 孫社長 「Tモバイルだけに限定したわけではなかったが、一番の本命としてTモバイルがあったのは事実だ。先方も我々と交渉すると明確にしていたので、我々だけがノーコメントというようにもしにくかった。隠してても仕方ない。真剣に交渉には真正面から取りくんだということだ」 【QUICKコンテンツ編集グループ・内山佑輔】 ※Qr1などQUICKの情報端末では、すべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。

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