ビットコイン、初の1万ドル突破 恩恵を受けるETFとは?

仮想通貨のビットコイン(BTC)が29日、コインデスクで1BTC=10358.31ドルまで上昇し、節目の1万ドルを初めて突破した。ビットコインの急騰を受けて、ビットコインの売買アプリを手掛ける米スクエアやマイニング関連のアドバンスト・マイクロ・デバイシスなどへの関心が改めて高まりそうだ。 個別株だけでなく、ビットコインの上昇の恩恵を直接受けるETFとして、「ARK ウェブx.0 ETF」にも関心が向かうかも知れない。このETFはクラウド・コンピューティングやサイバー・セキュリティ、ビッグデータ、eコマース、ブロックチェーンなどに関連する銘柄を組み入れたもの。2014年9月に上場し、今年は右肩上がりで上昇が続いて28日まで8日続伸して連日で上場来高値を更新していた。 QUICK FactSet Workstationによれば、ウェブx.0 ETFの組入銘柄で最も大きいのはビットコインの価格に連動する投資信託のビットコイン・インベストメント・トラスト(GBTC)で、運用資産の8.92%を占める。GBTCは米証券取引委員会(SEC)の承認を受けていないため、適格投資家以外は投資できないことから個人投資家にはなじみの薄いものだが、ビットコイン関連の金融商品として知られる。その他、組み入れ上位にはアマゾン・ドットコム(6.56%)、エヌビディア(3.90%)、テスラ(3.32%)などの主力ハイテク株も並んでいる。 このETFを買うことはビットコインやハイテク株に集中投資するようなものだが、ビットコインの現物を持っているのならARK ウェブx.0 ETFを売り持ちにしてヘッジを掛けるといった使い道もありそうだ。 ARK ウェブx.0 ETFの組入上位20銘柄(QUICK FactSet Workstationより)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

きょう「大注目」の日銀イベント 政策微修正の地ならしはあるか

北朝鮮が29日午前3時18分ごろ、日本海に向けてミサイルを発射した。ミサイルの最高高度は4000KMを超え、射程は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の目安とされる5500KMを遥かに超えると報じられている。ただ、海外市場の反応は一時的なものにとどまっている。ニューヨークダウは一時100ドル近く下げ幅を縮小したが、255.93ドル高の23836.71ドルで取引終了。ドル円も111円台半ばから111円台前半へ下げる場面もあったが、その後は株高を睨みながら111円台半ばを回復した。 リスクオフの流れにならなかった背景は、次期FRB議長に指名されたパウエル理事の公聴会で「銀行規制は現在、充分に厳しい(Tough Enough)」などと述べて、金融規制の緩和に前向きな見解を表明したことや、上院の予算委員会が税制改革法案を可決したことに加え、ケースシラー住宅価格指数やカンファレンスボード消費者信頼感指数が強い結果であったことがあげられる。北朝鮮問題自体も上期ほどの警戒感は薄れている。今はリスクオフ・イベントよりもファンダメンタルズということだろう。 そのファンダメンタルズは先進国共通で「物価以外は好調」。日本以外は金融政策の正常化に向かう方向にある。日本の金融緩和策も変化すると見る向きが増えている。 10月18日に行われた日銀の中曽宏副総裁の講演では「先行き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、必要であればイールドカーブの形状についても調整を行っていく方針です」と述べた。11月13日に黒田総裁は「リバーサル・レート」に言及。25日の毎日新聞のインタビューで日銀の鈴木人司審議委員は「市場が徐々に変化を受け入れられるように微修正が行われるといったことがあってもおかしくない」と述べた。これらは「日銀がYCCの微調整に向けた『地ならし』を始めていると受け取ることもできる」(証券会社)。そしてきょう、29日16時に中曽副総裁の講演が行われる。ここで、改めて「地ならし」とみられる発言があるか「大注目」(同)であろう。 「微調整」があるとすれば10年金利のターゲットの柔軟化が有力であり、長期ゾーンは買いにくくなる。また、超長期ゾーンに関しては、昨日の40年債入札がやや不調だったように、地合いが悪い。YCC導入に際しては、低金利が金融機関に与える悪影響に配慮し、カーブをスティープ化させようとした面があり、「リバーサル・レート」に言及したこととあいまって、超長期ゾーンの金利上昇が意識される。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊債券ストラテジストは、日銀YCCの(微)修正について具体的には以下のようなパターンを想定している。 ①「調整利上げ」─10年金利目標を小幅に引き上げる ②「ステルス利上げ」─政策声明文を変えずにオペによる調整で10年金利の誘導水準をそろりと引き上げる ③「目標年限短期化」─コントロールする年限を10年金利から5年金利に変更する 本日29日の中曽副総裁講演(時事通信社主催金融懇話会)は16時ごろから質疑応答を含めて1時間程度の予定。稲留氏は「副総裁が低金利が金融機関に与える悪影響などについて、いつも以上に言及すれば、YCC(微)修正の観測は強まるだろう」と警戒している。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ダウ255㌦高、来年も高値更新? 米株式に相次ぐ強気予想-2018年相場見通し

 28日の米市場でダウ工業株30種平均が前日比255㌦93セント高の2万3836㌦71セントと大幅高で終えた。値幅を伴って過去最高値を更新するなど、上昇基調を維持している。年の瀬を前に世界の大手金融機関が2018年の相場見通しを公表し始めている。米株式相場については緩やかながらも上値を切り上げるとする予想が多い。S&P500種株価指数の18年末の目標水準は足元から2~11%高と開きがある。 ゴールドマンは「根拠ある熱狂」  強気派のゴールドマン・サックスは上昇相場の持続を「根拠ある熱狂」と指摘。「米国と世界経済はともに潜在成長率を上回るペースの拡大を持続し、低インフレ、緩やかな上昇も依然として低い金利、成立が見込める税制改革を支援材料とする企業収益の増大」を根拠とした。 税制改正を織り込む格好で18年の1株利益(EPS)を従来の139㌦から150㌦に引き上げた。半面、悲観シナリオとして、税制改革が頓挫した場合には「短期的に2450へ下落する」を挙げた。 ▼大手金融機関のS&P500種株価指数の18年末予想 社名               予想水準  UBS                                           2900 クレディ・スイス          2875 ゴールドマン・サックス                      2850 バンクオブアメリカ・メリルリンチ      2800 モルガン・スタンレー                        2750 HSBC                                          2650 ソシエテ・ジェネラル                        2500 ※11月28日時点 米税制改革については他の金融機関も期待を寄せる。バンクオブアメリカ・メリルリンチは「法人税率が20%に引き下げられ、レパトリ(本国送還)で自社株買いが増えればS&P500指数のEPSは約19㌦も押し上げられる」といい、「税制改革法案は実際のEPSが当社予想よりも上振れる要因になる」との見方を示した。 一方で、ソシエテ・ジェネラルは米国株のピークアウトを見込む。「すべてのバリエーション指標で米株は割高でドットコムバブルの以来の水準となっている」と継承を鳴らす。米金利の上昇については「長期金利は18年末に2.7%に上昇するとみており、米株の重しになる」という。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKデリバティブズコメントは、日経平均先物を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するオプションサービスです。  

日経平均、25日線でピタリ下げ止まる 十字線が出現

28日の日経平均株価は前日比9円安の2万2486円と小幅に続落した。半導体需要のピークアウト懸念などで関連株が売られた割には、続落とはいえ底堅い印象も残った。日経平均は取引時間中に一時、132円安の2万2363円まで下げたが、テクニカル分析では25日移動平均割れ目前でピタリと下げ止まった。25日線を強い下値支持水準として意識する投資家は多く、28日の安値近辺では押し目買いが増えた。 ・15日以降、日経平均は25日移動平均を下回りそうで下回らない(情報端末ActiveManagerより)   25日移動平均は、過去25営業日間の終値を単純平均した代表的なテクニカル指標のひとつだ。1カ月間の営業日とほぼ重なり、過去1カ月間の投資家の平均買いコストと考えることができる。上回っている限りは、過去1カ月に買った投資家の間で利益が出ている持ち高が多いことを示している。 日経平均が終値で最後に25日線を下回っていたのは9月11日でそれ以降、上回る状態が続いている。日経平均が7日に約26年ぶりの高値を更新して調整に向かった後、25日線に近づいたのは28日で2度目となる。最初の16日は、取引時間中に節目の2万2000円を下回ったが、その場面で押し目買いが入った。終わってみれば2万2351円と前日から反発し、2万2000円ちょうどだった25日線を大きく上回った。朝方に日本株売りが先行し再び接近した28日は取引時間中もかろうじて割り込まずに下げ渋った。 25日線は9月中旬以降、右肩上がりが続いている。「超短期のトレンドを示す5日移動平均が25日線を上回っているのも、相場の強さを示している」(大和証券の佐藤光シニアテクニカルアナリスト)という。28日はある個人投資家が「25日線まで下げた場面で、押し目買いを入れた」と明かすように、下値支持水準として25日線の存在感は増している。 28日の日経平均のローソク足は終値が始値を上回る陽線だった。上ひげ(高値と終値の差)と下ひげ(始値と安値の差)がともに長いと同時に、胴体(終値と始値の差)が短いきれいな「十字線」が出現した。終値と始値の差は11円50銭にとどまり、10月19日以来の小ささだった。 ・28日はきれいな十字線が出現 十字線は、買いたい投資家と売りたい投資家が拮抗している状態を物語る。これが出現するのは相場の転換点を示唆するといわれるケースが多いが、売り買いが交錯し相場の方向感が出にくい状況を表すこともある。日経平均は15日に2万2028円と直近安値を付けたあとは一進一退が続いており、「気迷い相場」ともいえそうだ。 今後の日本株はどちらに向かうのか。みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストが注目するのが米ダウ工業株30種平均のチャートだ。現時点で25日線を上回るダウ平均が「大幅に調整してこの水準を下回ってくると下落基調に転じたとの見方が広がる。そうなると日経平均も25日線を下抜けする可能性が高い」と警戒している。 【日経QUICKニュース・田中俊行】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

FDルールで何が変わる?② 「重要情報、企業が判断」「分析力が勝負」 大和総研の横山氏

2018年春、上場企業に公平な情報開示を義務付ける「フェア・ディスクロージャー(FD)・ルール」が導入される。市場参加者の間で一部に情報が偏る不公平感が改善するとの期待がある半面、重要情報の定義が曖昧で企業がIR(投資家向け広報)活動をしにくくなるとの懸念もある。注目点について大和総研の横山淳・主任研究員に聞いた。  ――FDルールについてどう評価していますか。 「上場企業が情報を発信する際、特定の人物だけでなく誰でも平等にアクセス可能にすべきという理念は正論だ。ただルールの運用のさじ加減で、企業など現場がどう受け止めて対応するか変わる部分がある。実際にどのようにルールが運用されていくかを見極めないことには、的確な評価は現時点では難しい」  ――副作用も考えられますか。 「企業側が情報をあまり出さなくなる可能性は懸念材料だ。企業が情報の提供に慎重になってしまい、誰に対しても平等に出しませんとなると、投資家が公平に情報へアクセスしやすい環境にしようとした本来の趣旨とは真逆の結果になってしまう。情報の開示の後退には細心の注意を払わなくてはいけない」  ――売上高や受注高といった月次情報の公表をとりやめる動きもあるようです。 「情報提供への姿勢の変化は一部ですでにみられるようだが、そうした動きだけを強調するのは不公平だ。これまでアナリストだけに送っていた資料をウェブ上やプレスリリースで開示しようと検討している企業もあると聞く。後ろ向きな動きばかりでは決してない。企業のなかでFDルールに対し戸惑いのようなものが生じているのは事実だが、しっかり対話をしたいと考えているからこそ悩んでいるのだろう」 「企業に戸惑いが生じる理由の一つは、どこまでが規制対象になる重要情報に該当するのか、すぐには判断しにくい点だ。FDルールの対象になる重要情報の範囲は必ずしも厳密に決まるわけではない。会社の業態や規模によって、ある会社にとっては重要性が高くなくても、別の会社にはとても重要な情報になりうるケースもあるだろう。自分の会社の株価に影響を及ぼす情報かどうかを、企業が自分で考えなくてはならず、悩みの種になっている」  ――投資家との対話が減ってしまう可能性はありませんか。 「前向き、後ろ向きな動きが両方あると思う。これまで私がディスカッションした企業については、どちらかというと対話に積極的な企業が多い。しかしコーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードが導入され、本当は対話なんかしたくないのに仕方なく対話に取り組んでいた企業もあるだろう。そうした企業はFDルールを理由に、これ幸いとばかりに対話をやめてしまう可能性はないとは言えない」  ――独自の情報が得られなくなって、アナリストの役割が低下するとの声も聞かれます。 「むしろアナリストが本来の役割に戻るんだという見方もできるのではないか。いかに早く情報を入手して発信するかではなく、公表されている情報をベースにして、独自の分析力で勝負する本来のアナリストの役割に戻るんだと。アナリストを通じてこっそり情報を流す行為がFDルールでストップし、株価形成が歪んでしまうとすれば、そもそも情報開示が不十分だったということだ。情報開示が本当に十分なのか、議論の余地がある」  ――投資家がいわゆる早耳情報に頼らなくなれば、長期的な視点での投資につながるのでしょうか。 「例えば3年後や5年後の議論をするにしても、足元の情報なしでは進められない。現状の説明をしたうえで3年後、5年後にどんな姿になっているかの話をしなければ、地に足の着いた議論にならない。短期の投資家は足元の部分だけを切り取って材料視する可能性があり、FDルールが長期投資家の増加につながるとは単純に言い切れないだろう」 ※横山氏は「フェア・ディスクロージャーの論点」(2月23日付発行)をはじめ、FDルールに関するリポートを多数執筆している。 【QUICKコンテンツ編集グループ・内山佑輔】  

ビットコイン関連のスクエアが急落 投資判断引き下げで

27日の米国市場で仮想通貨決済などを手掛けるフィンテック企業のスクエア(@SQ/U)が8営業日ぶりに急反落。一時は40.37㌦まで下げ、下落率が17%を超えた。   売上高は順調に拡大してきたが… BTIGリサーチが27日付のリポートで投資判断をニュートラルから売りに引き下げ、目標株価を30㌦と現行水準よりも大幅に安い水準に設定したことが嫌気された。スクエアが「スクエア・キャッシュ」のアプリでビットコインを売ったり買ったりできるようにしたことが株価が急騰につながったと評価したが、「今年は259%も株価がラリーした」などと最近の急騰によってかなり割高になったと警鐘を鳴らした。 アナリストの目標株価から逸脱していた11月 仮想通貨のビットコイン(BTC)は27日、コインデスクで1BTC=9732.76㌦まで上昇して史上最高値を更新し、1万㌦の大台に迫る展開となった。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKデリバティブズコメントは、日経平均先物を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するオプションサービスです。

サムスン株急落 半導体需要サイクルに「下降」観測 東京市場にも波及

27日の韓国株式市場でサムスン電子が5%下落した。アナリストのリポートを受けて半導体需要の先行きへの楽観的な見方が後退。韓国半導体のSKハイニックスも連れ安し、東京市場や台湾市場でも半導体関連に売りが出た。世界的な株高をけん引してきたハイテク株の下落に投資家の警戒感が強まっている。 「NAND型フラッシュメモリーの需要サイクルが2017年10~12月期に16年1~3月期以来、初めて下降局面に入った」。米モルガン・スタンレーのアナリスト、ショーン・キム氏らはこう指摘し、サムスン電子の投資判断を3段階で最上位の「オーバーウエイト(買い)」から真ん中の「イコールウエイト」に引き下げた。目標株価は290万ウォンから280万ウォンに下方修正した。 背景にあるのがデータセンターや中国のスマートフォンの記憶媒体向けの需要の弱含み。「NANDの市況は市場の想定よりも速いペースで下落しそうだ」とも警告する。同じ半導体メモリーのDRAMについても業界の設備増強を受け、19~20年に供給過剰になる可能性があるという。 27日の韓国の半導体株売りは海外にも波及した。NANDでサムスンに次ぐシェアを持つ東芝(6502)が2%安となり、製造装置の東京エレクトロン(8035)やディスコ(6146)も下げた。台湾では台湾積体電路製造(TSMC)が約3%下落した。 サムスンの7~9月期は営業利益が前年同期の2.8倍となる14兆5300億ウォンと好調だった。このうちNANDとDRAMなどの半導体部門が7割近くを稼ぐ。半導体事業の勢いが鈍れば、株価の先高期待がしぼむのも無理はない。 サムスン株は今年に入り前週末までに54%高となっていた。米フィラデルフィア証券取引所の半導体株指数(SOX)は今年に入って48%上昇するなど、スマホやデータセンターなどの需要増の恩恵を受ける半導体銘柄は世界的に買われてきた。リポートに冷や水を浴びせられたサムスン株。不可逆的な変調の到来なら、世界株に一段と波紋を広げかねない。 【NQN香港=柘植康文】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

FDルールで何が変わる?① 金融庁「対話は積極的に」 モザイク情報は規制対象外

金融庁は上場企業に公平な情報開示を義務付ける「フェア・ディスクロージャー(FD)・ルール」を2018年春に導入する方針だ。上場企業がまだ公表していない重要情報を特定の者に伝えた場合に、ホームページなどで速やかに開示するよう求める。決算の財務情報をはじめ、業績予想の修正や中期計画で掲げる利益予想などが規制対象になりうる。 透明性向上で海外マネー呼び込み 欧州や米国ではすでにFDルールが導入されており、市場の公正さを保つのに一定の効果を上げているとの評価がある。国内への導入で情報開示の透明性が高まれば、海外投資家の資金呼び込みに資するとの声は少なくない。 そもそも国内導入の一つのきっかけとなったのは、一部の証券会社でアナリストが業績関連の情報を企業から公表前に手に入れ、特定の顧客だけに伝えていた問題が相次いで発覚したことだ。インサイダー取引などの不正を防ぎ、市場参加者間の情報格差の是正を図る規制とあって、表立って導入に反対姿勢を示す市場関係者は少ない。 それでも新しい規制とあって、副作用を懸念する声がある点は否めない。中でも多いのが、どこまでを株価に影響を与える重要情報ととらえるべきかを企業側で的確に判断できず、結果として情報開示に及び腰になってしまうのではないかというもの。足元では一部の企業で売上高など月次情報の開示を取りやめる動きが出ている。 一方、大和総研の横山淳主任研究員は「これまではアナリストだけに送っていた資料をウェブ上でも開示しようと検討し始めている企業もある」と指摘。確かに企業にFDルールへの戸惑いはあるものの「対話を積極的に進めたいがゆえの悩み」であり、決して情報開示に後ろ向きな姿ばかりではないと強調する。 FDルールの旗振り役である金融庁にしても、当然のことながら企業の委縮や情報開示後退を意図しているわけではない。金融庁は2014年に機関投資家の行動指針「スチュワードシップ・コード」、15年には上場企業向けの統治指針「コーポレートガバナンス・コード」をまとめ、企業と投資家が対話を深めながら日本企業の信頼・価値を向上させる取り組みを促してきた。FDルール導入にあたっても「企業とアナリスト・投資家との一対一の対話はどんどん積極的にやってほしい」との立場だ。 投資家説明会「いままで通りで問題ない」 企業の投資家向け説明会などについても、金融庁では「いままで通りのやり方で進めてもらえば、特に問題になるようなことはないはず」との認識を示す。企業としては過度に気にせずに従来のスタイルで説明会を続ければいいことになる。もっとも説明会資料はできればホームページ上にもなるべく早めにアップするのが無難と言えよう。 FDルールでは単一では重要情報にならなくても、ほかの情報と組み合わせた場合に重要情報になりうる「モザイク情報」については規制の対象にしていない。アナリストにとってはモザイク情報やほかの情報を組み合わせて企業分析する余地は残された。今後はそうした情報をどれだけ深掘りして付加価値のある材料へと高められるか、独自の分析力が問われることになりそうだ。 【QUICKコンテンツ編集グループ・内山佑輔】

中国株、くすぶる「白馬バブル」崩壊リスク 中長期で強気な見方も

日米が休場だった23日、投資家不在のすきを突くかのように中国の上海と深センの株式相場が急落した。中国当局による投機行為の抑制や資金需給の逼迫、国内景気の減速などさまざまな悪材料への警戒感がピークに達し、間欠泉のように吹き出した。ただ「過熱感が高かった一部銘柄への利益確定売りにすぎない」との見方もあり、中長期の相場には強気論も多い。 上海総合指数は23日に2.3%安と今年最大の下落率を記録した。24日は小反発したが戻りは鈍い。23日に3%超下落した深センの新興企業向け市場の「創業板」指数は24日も下げた。 ■大型優良株、年初来で株価2倍に 「『白馬株』はバブルか否か」――。中国の市場関係者の間では11月半ばからこんな論議が出ていた。白馬株とは中国の相場用語で「好業績の裏付けがある優良な大型銘柄」を指す。代表は白酒製造の貴州茅台酒や家電の美的集団などだ。ちなみに白馬株の反対語は「黒馬株」。業績の裏付けが乏しいものの株価が短期で乱高下する。新規上場銘柄は「新馬株」と呼ばれる。 白馬株はもともと長期保有を前提とした投資家が買うことが多く、投機の対象になりにくかった。様相が変わったのは今年に入ってからだ。貴州茅台酒株は11月16日に719.96元の上場来高値を付け、昨年末の2.2倍に上昇した。美的集団も年初来高値を付けた22日まで、今年に入って株価がほぼ2倍になっていた。 大型株が急上昇したきっかけは、指数算出会社の米MSCIが6月に正式発表した中国株の有力指数への採用だ。指数連動型の運用を目指す機関投資家に加え、先回りを狙った個人投資家も巻き込み、買いが買いを呼び込む展開となった。 ■中国当局が投機行為に警告 これに神経をとがらせたのが中国当局。習近平指導部はかねて、バブルやその崩壊につながるような金融市場のリスクを抑制する方針を掲げていた。貴州茅台酒が高値を付けた17日に国営通信社を通じて投機的な買いを慎むよう呼びかけたうえ、金融機関の資産運用に関する新たな規制案を発表した。 来年の経済運営方針を決める重要会議である12月の中央経済工作会議が近づいていることも「本格的な引き締め策が発表されるのでは」との疑心暗鬼を市場に招いた。貴州茅台酒株は24日までの6営業日で計12%下落した。 株式だけではなく、シャドーバンキング(影の銀行)の温床との見方があった債券も売られている。中国の長期金利の指標となる10年物国債の利回りは今月中旬に約3年1カ月ぶりに4%の節目を上回った。年末に向け資金需要が高まるなか、バブルつぶしをもくろむ中国当局は引き締め気味の金融政策を大きく変えていない。14日発表の中国の10月の経済指標も全般に弱含み、国内景気の減速懸念もくすぶる。株式相場は「一時的に調整する」(内藤証券上海代表処の鄭暁蕾代表)可能性が高い。 ■資金流入期待は崩れず ただ中国や香港の市場関係者の間では、株安が長引くとの見方は少ない。第一上海証券の葉尚志ストラテジストは、当局が投機家の摘発や金融機関の処分などに動いた2015年と比較し「取り締まりの規模がそれほど大きくなるとは考えにくい」と話す。 投資資金の流入も大幅に細るとの見方は聞かれない。確かに中国の一部の大型株は大幅に値上がりしていたが、相場全体で見ると過熱感は乏しいためだ。上海総合指数の年初からの上昇率は8%と、香港株(35%)や日経平均株価(18%)に対し出遅れている。 「急落を機に(割安感という点から)世界の投資家の目が中国株に向き、海外マネーの流入につながる」(24日の上海証券報電子版)との期待が中国内で浮上している。上海市場の上場企業全体の1~9月期の純利益は前年同期比17%程度の増加と、企業業績も好調だ。「消費市場の拡大に加え、国有企業改革も成果を上げ始める」(香港資産運用会社の恵理集団)と長い目で見た好材料を意識する投資家もいる。 中国株は中長期の成長期待と目先の政策リスクのはざまで神経質な動きになる場面がありそうだ。 【NQN香港・桶本典子】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した記事から厳選し、一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

年初来安値圏の楽天株 何が問題なのかを考察してみた

日経平均株価がバブル崩壊後の高値圏で推移するなか、年初来安値圏に甘んじている日経平均採用銘柄が数社ある。その一つが楽天(4755)だ。11月24日終値でみても、昨年末の水準(1145.5円)を下回って推移している。 楽天が13日に発表した2017年7~9月期決算では、国内でのEC(電子商取引)流通総額が前年同期比13.7%増の8559億円、楽天市場における楽天カードでの決済比率は9月に54.3%(前年同月比5.3pt増)に上昇。三木谷浩史会長兼社長が提唱する「楽天経済圏」は順調に拡大しているようにもみえるが、ポイント施策による影響が大きいことに留意したい。 最近、楽天の格好をしたパンダが「SPU!SPU!SPUでけんさくしてね」というCMが頻繁に流れているが、ご覧になったことはあるだろうか?。「SPU」とは、楽天市場での買い物で最大8倍のポイントがもらえるという「スーパーポイントアッププログラム(SPU)」のこと。楽天市場では通常100円(税込)の買い物に対して「楽天スーパーポイント」1ポイントの付与となるが、SPUの適用により、「楽天市場アプリ」、「楽天カード」、「楽天モバイル」、「楽天プレミアムカード・楽天ゴールドカード」の利用状況に応じて、ユーザーは、自動的に付与ポイント倍率が増加する特典を受けることができる。これまでは最大7倍だったが、10月からのプログラム拡充でSPU対象サービスに「楽天ブックス」が加わり、一定の条件を満たすと当月の「楽天市場」での買い物で付与されるポイント倍率が最大8倍にアップした。さらに、11月商戦の「ブラックフライデー(11月24日午前10時から27日まで開催)」では、最大36倍に高めるセールを開催するという。 日本貿易振興機構(JETRO)が7月末に公表した「ジェトロ世界貿易投資報告」2017年版によれば、日本のEC市場における企業別のシェアはAmazon(アマゾン)が20.2%でトップ。楽天は僅差の20.1%で2位となり、3位はソフトバンク(Yahoo!ショッピング)の8.9%だった。上位3社の合計で市場シェアの約5割を占めるなど、寡占市場といえる。 また、視聴行動分析サービスを提供するニールセンデジタルが今春発表した、国内Eコマース利用状況調査によると、2017年3月におけるEコマースアプリ利用者トップはAmazonで1753万人、2位が楽天市場(楽天)、3位はメルカリだった。興味深いのは性別の利用者数で、女性は楽天が最多の990万人、男性はAmazonが最多の934万人。3位のメルカリは女性が735万人で男性の約2倍にまで達するなど、性別による利用者数の違いが際立つ。さらに、興味深いのは「Amazonのみ」利用の男性は33%いるのに対して、「楽天のみ」利用の女性は24%にとどまった。 ポイント還元策が生命線 さらに、マーケティング支援事業などを手掛けるドゥ・ハウスが今夏発表した「インターネット通販サイトの使い分け」に関する調査によれば、消費者がネットショッピングを利用するときに重視する要素は、すべてのモールで「商品の価格」の割合が最も高く、「送料・手数料」や「品揃え」も重視されているという。「ポイント還元率」を重視する割合はECモールごとに差が大きく、Amazon利用者は約1割にとどまるのに対して、「楽天市場」利用者は約3割を占めた。また、利用者の属性はAmazonが男性の比率が高い一方で、楽天は女性の比率が高い。値段にシビアで目移りしやすい女性が主要顧客である楽天にとって、ポイント還元策は生命線であり、楽天はSPUで最大8倍のポイント還元を謳っているが、今後はこれ以上の倍率を打ち出さない限り顧客離れが起きかねない。見た目上、好調にみえるポイント施策は、もろ刃の剣となりそうだ。 楽天市場を取り巻く環境は厳しくなりつつあるようだ。ヤフーショッピングが出店料無料で切り崩しに動き、Amazonはグローバルに膨張して日本でも日増しに存在感を高めている。ヤマト運輸の配送問題が社会問題化したが、これはAmazon利用者が急増している証左。また、楽天市場からは撤退するテナントも相次いでいるという。その要因としては、◇楽天市場で目立つためには商品の価格を下げなければならない(ポイント◯倍、送料無料など)、◇楽天市場のイメージカラーである赤が似合わない企業に違和感がある、◇派手なデザインにしないと目立たない、◇外部リンク禁止の制約でInstagramなどSNSとの連携ができない、◇自前の通販サイトで勝負する企業が相次いでいる、◇ユーザーの個人情報が得られないなど使い勝手が悪い、◇出店料に見合う収益が稼ぎにくい――などが挙がる。これまでは、ECショッピングモールの集客に頼らざるを得なかった企業にとっても、現在は様々な選択肢があり、その一つである楽天市場への出展に固執する企業は少なくなりつつあるのではないだろうか。 海外戦略に苦戦、欧米からの撤退も? 楽天は社内公用語を英語にするなど、グローバル志向が強く積極的に海外事業を展開したが、苦戦しているようだ。国内ではAmazonに対抗しうる存在であるが、海外では天と地の差。Amazonは各国で2割前後のシェアを持つのに対して、楽天は1%以下で勝負にならない。既にアジアでは撤退が相次いでおり、中国からは2012年に早々と撤退したほか、2016年3月にインドネシア、マレーシア、シンガポールで通販サイトを閉鎖。同4月にはタイでネット通販を手掛ける事業会社を売却。欧米の一部地域で細々と継続しているが、撤退は時間の問題と冷ややかな見方が多いようだ。そのような環境下で、サッカー・スペインリーグの名門であるFCバルセロナとパートナー契約を締結し、2017~18年シーズンからの4年間で契約金総額は275億円にのぼる。パートナー契約初年度の今シーズン、現在のところバルセロナはリーグ首位を快走しているが、看板選手であるネイマールが流出。大黒柱のメッシも流出という事態となれば、広告価値は著しく落ちかねない。楽天は欧州事業の立て直し策として銀行経営に進出したが、先行きは不透明といえそうだ。 M&A戦略の失敗も目立つ。楽天の買収戦略は初期の金融事業やトラベルなど、比較的安い案件でも楽天ブランドなどに取り込むことで価値を上げることに成功したが、最近の案件はどうも失敗続きに見える。 2010年に仏ECサイト「プライス・ミニスター」を約225億円で買収し、三木谷氏の肝煎りで2011年にカナダの電子書籍「kobo」を約240億円で買収したが、数年後に減損計上を余儀なくされた。2014年にキプロスの無料対話アプリ「viber」を約900億円で買収したが、業績への貢献は限定的だ。国内では打倒メルカリを目的に2016年に「フリル」を数十億円で買収し、楽天が既存で手掛ける「ラクマ」との相乗効果を狙っているが前途多難。足元では利用者数を伸ばしているが、収益を度外視した「手数料無料」などでメルカリのおこぼれを狙っている感が拭えない。上場に向けて規約を厳しくするメルカリと、偽物・コピー品の出品率の対策が劣るとされるフリルでは、中長期的に差は広がる一方になるだろう。MVNOの「楽天モバイル」はフリーテル買収などで存在感を高めているが、グループ全体の暗雲を吹き飛ばすほどの力はなさそうだ。 【QUICKエクイティコメント・本吉亮】 ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

年末に向けIPOラッシュ 12月は23社 注目はSGホールディングス

今年も年末に向けて企業の新規株式公開(IPO)が相次ぐ。来週は4社、12月は23社が上場する予定だ(11月22日時点)。注目は佐川急便の持ち株会社のSGホールディングスで、今年最大規模となる見込みだ。 11月22日時点で2017年のIPO企業数は91社と、16年の83社を上回る見通し。なかでも12月13日に東証1部に上場する予定のSGホールディングスは、市場から約1200億円を吸収する見込み。今年のIPOとしては最大規模になる。 そのほか、企業変革や働き方改革を支援するエル・ティー・エスや、インバウンド(訪日外国人)専業の総合旅行会社のHANATOUR JAPAN(はなつあーじゃぱん)など、テーマ性のある企業には個人投資家の注目が集まるかもしれない。 <17年末までのIPOカレンダー(22日時点)> 足元の新興株相場は堅調だ。過去1年に上場したIPO銘柄の値動きを基に算出する「QUICK IPOインデックス(単純平均ベース)」は23日に年初来高値を更新した。年初からの上昇率は46%と、日経平均株価の17%を大きく上回る。今年のIPO銘柄で公開価格に対する初値の上昇率が最も大きかった銘柄は、9月14日にマザーズに上場したウォンテッドリー(3991)で約5倍だった。直近21日にマザーズ市場に上場したサインポストの初値は、22日に公開価格(2200円)の3.9倍の8530円を付けた。投資家の需要は旺盛で新興企業株への資金流入が続いている。 ※QUICKでは上場日を一覧表示したIPOカレンダーや、企業の事業概要、過去1年間に上場した銘柄の初値倍率ランキングなど、IPOに関する情報をまとめて提供しています。  

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