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香港、中国の干渉で色あせる金融センターの魅力 HSBCは本社移転見送り

記事公開日 2016/3/2 13:08 最終更新日 2018/1/5 12:49 経済・ビジネス コラム・インタビュー 中国・韓国・アジア アジア特Q便

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。※本記事は2016年2月22日にQUICK端末で配信した記事です。

魅力減少…HSBC、香港への本社移転の見送り

 中国では旧暦の年が明けて、十二支の申(さる)年が始まったが、世界の金融市場は暗雲が立ち込める様相となっている。株安にとどまらず、為替市場に波乱の気配が漂い、欧州の銀行のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が足元で急騰するなど2008年の金融危機と状況が似ており、市場の懸念を誘っている。英金融最大手HSBCホールディングス(コード@5/HK)がロンドンから香港への本社移転の見送りを決めたことは中国と香港の金融市場の魅力が色あせつつあることを十分に物語っており、中国と香港にとって大きな打撃となった。

石油関連融資にかかる欧州銀行の潜在的損失30兆円超も影響

 中国経済の失速、人民元安とそれに伴う資金流出の動きが、今回の世界的な金融危機を後押ししている。風当たりが強い中国と香港では株式相場が早い時期から荒れ模様となっているが、市場の弱気な見方はいまだに変わらない。その背景には、中国経済がハードランディングすることのリスクに対する懸念、そして海外の金融危機の悪化に対する憂慮がある。為替市場の混乱、底値を探る動きが続く世界の石油価格、世界的な経済活動の低迷、ぬぐい切れないデフレの脅威。更には、各国が実施する金融緩和に景気てこ入れ効果が見受けられず、各国の中央銀行はいずれも手詰まり感を抱いている。

ドイツ CDS

 はかばかしくない景気の中、融資の需要が衰え、貸し倒れ率が上昇し、銀行の安定性を揺さぶっている。更には、石油価格の長期的な低迷に伴う石油業界の財務危機が銀行業界にも次第に悪影響を及ぼしつつある。欧州の銀行が抱える石油業界への融資の潜在的な損失額は2100億香港ドル(1香港ドル=約14.5円)に達するとされており、石油会社が融資の返済不能に陥ったり、更には倒産した場合、銀行業界は間違いなく巻き添えを食うことになる。最近の世界的な銀行のCDS保証料率の急騰は、銀行のデフォルトリスクが高まりつつあるという市場の見方を反映している。このような銀行のデフォルトを懸念する信用危機は08年の金融危機前の状況と酷似しており、投資家たちを寝ても覚めても不安にさせている。一方、石油価格については、いまだに減産による価格下支えに向けた協調の足並みがそろわずにいる。各石油産出国は手当たり次第にシェア争いをするだけで、互いにつぶし合いをしている。こうした「国際不協調」は危機を深めるだけだ。

金融センター街として求められる資質は

 香港は海外の金融市場がもたらす負の圧力に直面しているだけでなく、国際金融センターとしての魅力を徐々に失いつつある。英国最大の金融機関であるHSBCホールディングスは近年、英国の大幅な銀行税引き上げを受けて本社移転を検討してきた。最終的に香港回帰またはロンドン残留という二者択一となっていたが、結果として同行は本社を移転せずロンドンにとどめる決断を下した。HSBCは対外的な説明で主に経済や金融面での配慮を要因として挙げた。しかし、近年の中国経済の失速や昨年の「暴力的な景気てこ入れ」後に中国が実施した一連の為替や香港のオフショア人民元市場への介入行為と関係があるとの見方が、市場で少なくない。また、最近、香港の「銅鑼湾書店」を経営するビジネスマンの李波氏が調査協力のために中国関連当局に特別な形式で本土へ移送されたとされる事件が起きた。この事件により、香港の一国二制度が崩壊したとして香港の長期的な法治に対する外国企業の懸念が生じたことから、HSBCがロンドン残留を決断したのだとの指摘もある。
 法治、自由、そして政府の干渉の少なさは、香港が金融センターとして世界中の投資家を惹きつける要因である。こうした優れた点がダメージを受ければ、必然的に香港の魅力が損なわれる。香港が今後も一国二制度と司法の独立を守っていけるかどうか、そして、中国が香港に対する干渉を減らすかどうかという問題は、香港が金融センターとしての優勢を維持する上でカギとなるため、中国と香港の政府は慎重に対応すべきである。


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