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日本株、日銀の買いを上回る海外勢の売り 企業の「110円想定」にため息も

海外投資家による日本株売りに止まる気配が見えない。東京証券取引所が発表した5~9日の投資主体別売買動向によると、現物株と先物の合計額は8397億円の大幅売り越しだった。売り越しは9週連続で、合計は7.8兆円に達した。

日銀は量的・質的金融緩和策で上場投資信託(ETF)の購入を継続している。ただ、購入ペースは「年間6兆円をメド」としており、海外投資家は2カ月半で既に日銀が年間で購入する規模を上回る日本株を売り越した計算になる。

※QUICK端末のナレッジ特設サイト「投資部門別売買状況」より

日銀とタッグを組むかと期待された個人投資家だが、買い越し額は210億円と前の週(3852億円)から急減。7週連続の買い越しとなったが、1.8兆円にとどまる。

米市場では大手ネット株とハイテク関連株への買いが復活し、2月の相場急落後から切り返すとナスダック総合指数は過去最高値を更新している。日米株は次第に明暗が分かれつつあるが、海外勢による日本株外しの需給悪化が最たる要因なのだろう。

QUICKが15日まとめた3月の「QUICK短期経済観測調査(短観)」によると、2018年度の円の想定為替レートについて6割以上の上場企業が「1ドル=110円前後(107.50~112.40円)」と答えた。この結果を見たある外資系証券トレーダーは「あかんやつや・・・」とため息をついた。

足元では円高基調が強く1ドル=106円前後で推移している。この時期の想定レートにしては「珍しく楽観的ですね、ちょっと驚いた」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長)との声が漏れる点も見逃せない。

企業と市場の間に垣間見えた温度差。JPモルガン証券の阪上亮太氏は12日付のレポートで「為替が1ドル=106円前後での推移を続けていることを踏まえると、2018年度会社計画の為替想定は1ドル=105円ないし100円となる公算が大きい。その場合、18年度会社計画は減益になると見込まれる」と早々と指摘。

SMBC日興証券の圷正嗣氏は9日付のレポートで「17年度の経常利益を前期比14.0%増益、純利益を14.6%増益と予想する。18年度の経常利益を前期比9.0%増益、純利益を7.5%増益と予想する」としつつも「2月以降のドル円は昨年のレンジの下限を割ってきており、弊社の業績予想にダウンサイドリスクがある点は否めない」と警戒感を隠さなかった。

すでに野村証券の自動車担当アナリストは7日付でトヨタ(7203)の2019年3月期を円高要因を背景に営業減益と予想、目標株価も9000円から8500円に引き下げていた。

3月期決算企業の来期見通しが明らかになるのは4月中旬以降。それまでに想定為替レートを円高へと修正する可能性は十分ある。結果的に市場予想へとキャッチアップする形になるが、減益を視野に入れるとすれば経営者のマインドに少なからず影を落とす。経営そのものもが攻めよりも守りへと傾きかねない。来年秋には消費増税も予定され国内景気に対する不透明感もつきまとう。

政治も引き続き手控え材料に違いない。ただ、パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの宮島秀直氏は「森友問題に関して海外投資家は疑惑の表面化当初から『たかだか政府所有地の売却に絡む疑惑で政権が揺らぐというのは行き過ぎたポピュリズムだ。日本の国民は本心では国家の安全保障に敏感だから、この点に強みを持つ安倍政権は今回は崩壊しない』と語っている。昨年7月に支持率が30%台前半になって日本株をいったん売ったものの“買い戻し条件付き”(空売りが7割以上)だった」と指摘する。

むしろ警戒すべきは米国の外交政策のようだ。「ティラーソン氏の解任、そして後任にポンペオ氏を指名したことで北朝鮮情勢はまったく油断ならないというのが関係者の認識になっている」という。
そのうえで「ポンペオ氏が5月の米朝首脳会談を形骸化する可能性⇒最もリスクが高まるのは北朝鮮と本質的に融和に向かっている韓国ではなく米国の庇護も限定的な日本⇒ゆえに日本株は少し減らしておかなければといった見方が海外勢の脳裏をよぎっているようだ」としていた。

※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。


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