トヨタ(7203)は、6日に2017年4~12月期の連結決算(米国会計基準)を発表する。現時点で18年3月期の連結純利益は前期比6%増の1兆9500億円を見込むが、米国の税制改革に伴う税負担の軽減などで今期3度目となる通期予想の上方修正への期待がある。
アナリスト予想の平均であるQUICKコンセンサスは、18年3月期のトヨタの純利益は前期比9%増の1兆9913億円(1月31日時点、19社)だ。将来の税負担に備えた「繰り延べ税金負債」を米国の税制改革に伴って取り崩す結果、利益の上振れにつながるとの見方が多い。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストは、この負債の取り崩しでトヨタの18年3月期の純利益は従来予想の1兆9650億円を上回り2兆2350億円まで増えると予想している。
トヨタの18年3月期通期の想定為替レートは、現時点で1ドル=111円だ。1円の円高は、年間の営業利益が400億円減る要因になる。1月以降、円相場は一時、1ドル=108円まで上昇している。もっとも、株式市場では「12月までは為替が利益積み増し要因となっており、現状が想定レートを上回る円高になっていても、為替要因での利益予想見直しはない」(国内証券アナリスト)との声が多い。
車体の素材である鉄やアルミニウムなど価格は上昇している。「原価低減がどこまで進むのかも注目だ」と話す東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは、原価低減が1200億円の増益要因になると見込む。だが、原材料負担が重荷になれば収益悪化につながる。
トヨタは17年には主力セダンの新型カムリなど好採算の車を相次ぎ投入している。売り上げが収益を押し上げる要因との期待も高い。
トヨタは17年12月以降、車載向け電池でのパナソニックとの協業などEV(電気自動車)へのシフトの姿勢を明確にしてきた。これが投資家の評価につながり、5日終値は7501円と17年11月末を6%上回る。モルガン・スタンレーMUFG証券の磯崎仁アナリストは「EVへの期待は、ある程度株価に織り込まれてきた」として現在の株価は割高とみる。
米フォードは自動運転を含むモビリティ事業の損失が17年の税金前損失で3億ドルと発表した。杉本氏は「トヨタも将来的な自動運転や電動化など費用負担を開示すべきだ」と注文をつけていた。
【連結業績の市場予想】
2017年3月期実績 18年3月期 19年3月期
売上高 27兆5971億円 28兆8404億円 29兆2526億円
営業利益 1兆9943億円 2兆1120億円 2兆2351億円
純利益 1兆8311億円 1兆9913億円 2兆455億円
(注)1月31日時点。
【日経QUICKニュース(NQN) 太田明広】
※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。