債券安・株安の連鎖は止まるか? 日銀オペに注目

日米欧のグローバル・スティープニングは株式市場にも波及。NYダウが一時411ドル安となるなど、30日の内外株式相場は全面安の展開になった。恐怖指数のVIXは一時15.42まで上昇し、昨年8月18日以来、約5カ月ぶりの高水準に達するなど、市場の不安心理は高まっている。

今回の米金利上昇は、FRBの利上げに加え欧州債利回りの上昇が発端となった。ECBの緩和解除に対する期待値が急速に高まり、欧州金利が上昇。為替市場ではユーロ高が進んだ。フローで考えれば米金利上昇を抑えていた欧州市場からの投資が逆流した形だ。

同様のことが、日米間でも起こっている。日銀の早期緩和解除観測は、円債市場関係者からみれば「考え過ぎ」なのだろう。しかし、昨年末にかけてLCH-JSCCスプレッド(ロンドンと日本のクリアリングハウス間のスワップレートの差)が急拡大するなど、海外勢を中心に日本の金利上昇観測は強まった。国内勢からみたフローとしては、ヘッジコストの上昇により米債投資が難しくなったことや、米長期金利(価格下落)による損失確定の売りも出たとみられる。米債への投資は減少、米金利上昇を促すとともに、円高・ドル安要因になった面もありそうだ。

30日の米国市場でも米10年債利回りは2.7%台を維持しており、さらなる金利上昇への警戒感が燻っている。CMEのFEDウォッチ・ツールによると、2018年に3回以上利上げする確率は6割程度。FOMCの想定見通しである、3回を織り込み切れていない。そういう点では、まだ金利上昇余地は残されている。

一方、同じFOMCにおける長期の政策金利見通しである「longer-run」は2.75%。FOMCの金利見通しを超える金利上昇を市場が織り込むほどの材料は出ていない。長い目でみれば、ここからの金利上昇余地は限られるとも考えられる。

ただし、相場は動き出すと水準論が通じなくなることはよくあるケース。特に日本は期末を控え、決算要因による需給に振らされやすい時間帯にある。海外投資で出た損失を埋めるとすると、国内で何らかの益出しが必要になろう。

17年3月末と9月末のレートを確認すると、中長期ゾーンの含み益は乏しく、益出しをするとすれば超長期ゾーンが中心になる。一方、株には含み益が残っているとみられ、益出し売りが出るとすれば、そのあたりになる可能性がある。益出しの動きが、グローバル・スティープニングと株債券の連鎖安加速の一因になるかもしれない。

利回り

昨日、10年債利回りは一時0.095%と日銀指値オペが意識される水準まで上昇した。ただ、引値は0.09%で夜間取引の持ち直しを見る限り、本日は落ち着いたスタートとなり、指値オペも見送られよう。

しかし、今月9日のオペ減額による他市場の反応の様に、予断は許さない。日銀による金利上昇抑制期待が相応にあれば、10時10分をオペ通知をきっかけに、マーケットが動き出す恐れもある。

日銀は10年債を対象にした指値オペを過去2回入れている。1回目は2017年2月3日。10年債利回りは2日に0.115%まで上昇、3日の日銀のオペが注目されていた。日銀は10時10分の通常のオペで、「当面の買入予定」における初回予定額4100億円から、4500億円に増額する異例の対応を行った。しかし、市場では期待外れと受け取られ、10年債利回りは0.15%まで跳ね上がり、12時30分に指値オペを入れざるを得なくなった。指値のレートは0.11%。

2回目は2017年7月7日。6日には0.10%まで上昇し、2月の指値オペ0.11%に近づいた。この時は10時10分のオペで0.11%の指値オペを通知。市場は落ち着きを取り戻した。

1回目は「後手に回った」、2回目は「先手を打った」というのがマーケットの評価になっている。

※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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