プロはどう見る? トランプ政権と日本株相場―大和証券著名ストラテジスト&エコノミスト

大和証券はこのほど、「トランプ政権下における投資戦略を総点検」と題したセミナーを開催しました。同証券投資戦略部のチーフストラテジストである三宅一弘氏と、チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏の見方は以下の通りです。

 

チャート

 

トランプ政策で年末に日本株2万2500円も 米金利動向に注目

三宅一弘氏 大和証券投資戦略部チーフストラテジスト

「トランプ米大統領が掲げる今後10年間で2500万人の雇用創出や、実質GDP(国内総生産)の4%成長には懐疑的な面もある。ただ、これらの政策を実現するために大規模なインフラ投資や税制改革が推進され、米10年国債の利回りが3%程度に上昇すれば円相場は1ドル=120~125円の円安を見込む。120円の場合、年末の日経平均株価は2万2500円前後と予想する」

 「トランプ政権の政策の中では法人税を軸とした税制改革に注目している。トランプ案は連邦法人税率を現行の35%から15%への引き下げだ。これに対して共和党案は20%の軽減税率を提案しているほか、企業収益でななく、キャッシュフローに課税するという点が特徴だ。トランポノミクスの主なリスク要因としては、名目・実質の長期金利の上昇を受けてドル高により輸出が減少すること。トランポノミクスの成否は金利を低位に抑制できるかどうかだ。このため、政権側としては米連邦準備理事会(FRB)と連携したいところだろう。2018年にはイエレンFRB議長とフィッシャー副議長の任期が切れるため、後任はトランプ政権の要望をくみ取った人材が選ばれるだろう」

 「日本株市場のポイントは主に2つ。安倍晋三首相による長期安定政権の持続と日銀のテーパリング(量的緩和の縮小)だ。自民党総裁の任期はこれまで2期6年だったが、3期9年に延長され、場合によっては安倍政権が2021年まで続く可能性がある。テーパリングについては2018年の黒田東彦日銀総裁らの任期切れを前に思惑が持ち上がるだろう。ただ、次回の衆院・解散総選挙ではアベノミクスの成果が問われることが予想されるため、安倍政権としては円安・株高を望む。このため、選挙前にはテーパリングには動けず、結果的に2018年に入ってからとみている」

 

三宅一弘

三宅氏

 

米政権がレパトリ減税&インフラ投資に動けば日本株上昇 大和証券の木野内氏

木野内栄治氏 大和証券投資戦略部チーフテクニカルアナリスト

 「日経平均株価は春に2万0300円をトライしたのち、4~6月は調整とみている。その後年末にかけてはトランプ政権の政策が日本株相場の明暗を分ける。米政権が掲げる大規模なインフラ投資や大幅な減税を実現するため、今後は財源が争点になる。案としては国境調整税やレパトリ(本国還流)減税が予想されるほか、ムニューシン米財務長官は50年や100年債の発行も検討すると発言している。なかでも注目はレパトリ減税だ。米国外にある剰余金の推計額は2.6兆円(約300兆円)。税率を引き下げたとしたとしてもこれを上回る本国還流、税収が期待できる。仮にレパトリ減税とインフラ投資がセットで実施されれば、経済効果が出るタイミングは比較的早いだろう。この場合、日経平均株価は年末に2万3000円程度に上昇する可能性もある」

 「レパトリが実施されればドルの買い戻しによるドル高が予想される。例えば、2005年のブッシュ政権下でレパトリ減税が実施された際、円相場は1ドル=101円台から121円台へと円安が加速した。ただ、剰余金を通貨別でみるとユーロの比率が高いため、ドル高・ユーロ安という側面が強くなりそうだ」

 「半面、大幅な法人減税の政策が優先されたり、法人減税に加えてレパトリ減税も実施されれば、米国企業は相対比較から法人減税のメリットを享受したいと考えるだろう。法人減税の大きな効果が出るのは1年程度先になってしまう。このため、日経平均は年末に1万7000円程度に下落するとのシナリオだ」

 

木野内栄治

木野内氏

 

 

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